(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、グラビア塗工装置を用いてウェブ表面に厚みのある塗工層を形成する場合、外周面に螺旋状の連続溝が形成されたグラビアロールを使用することが一般的に知られている。上記連続溝は、上記グラビアロールの回転軸心方向一端側から回転方向に行くにつれて次第に回転軸心方向他端側に位置する形状をなしており、上記塗工装置は、搬送されるウェブに上記グラビアロールを回転させながら接触させ、上記連続溝内の塗工液によってビードと呼ばれる上記ウェブと上記外周面とに跨がる液溜まり部を形成しながら当該液溜まりの塗工液を上記ウェブに転写するよう構成されている。
【0003】
ところで、上述の如き外周面に螺旋状の連続溝が形成されたグラビアロールでは、グラビアロールの回転動作による連続溝の移動によって液溜まり部の塗工液がロール回転軸心方向一端側から他端側に向けて次第に移動するので、これに伴って上記液溜まり部に溜まる塗工液の量がロール回転軸心方向他端側部分だけが増える、所謂「耳高」と呼ばれる現象が起きてしまう。この耳高現象が起きると、ウェブ表面に形成される塗工層の厚みがロール回転軸心方向他端側部分だけが厚くなる塗工不良が発生し、塗工後におけるウェブの巻取作業などに問題が生じてしまう。
【0004】
これを回避するために、例えば、特許文献1では、グラビアロールの連続溝におけるロール回転軸心方向のピッチをロール回転軸心方向一端側部分より他端側部分を広くすることにより、連続溝によって液溜まり部に溜まる塗工液の量をロール回転軸心方向一端側部分より他端側部分が少なくなるようにしていて、グラビアロールの回転動作時に連続溝によって液溜まり部の塗工液がロール回転軸心方向一端側から他端側に移動すると、液溜まり部における塗工液の液面の位置がロール回転軸心方向に同じになってウェブ搬送方向の転写幅がロール回転軸心方向に均一となるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、耳高現象に対する対策を特許文献1の如きグラビアロールにおける連続溝の形状を変更することで行うと、例えば、種類の異なる塗工液を使用する場合、粘性が異なることで液溜まり部における塗工液の流れが変化してしまい、塗工液の液面の位置がロール回転軸心方向で変わってしまうし、塗工幅を変えて塗工する場合においても、各塗工幅の端部に対応する位置の連続溝の形状を変更しないと液溜まり部における塗工液の液面の位置がロール回転軸心方向に同じにならない。したがって、種類の異なる形状の連続溝が形成されたグラビアロールを塗工液又は塗工幅が変わる毎に用意する必要があり、製造コストが嵩んでしまう。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外周面に螺旋状の連続溝が形成されたグラビアロールで塗工する際、ウェブに対してムラ無く均一に塗工でき、しかも、コストが嵩まない塗工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、外周面に螺旋状の連続溝が形成されたグラビアロールで塗工する際、グラビアロールの連続溝の形状を変更することなく塗工液のウェブ搬送方向の転写幅がロール回転軸心方向でばらつかないようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、外周面にロール回転軸心方向一端側から回転方向に行くにつれて次第にロール回転軸心方向他端側に位置する螺旋状の連続溝が形成されたグラビアロールと、塗工液を貯溜する貯溜部を有し、該貯溜部に上記グラビアロールの一部が浸された塗工チャンバー、及び先端が上記グラビアロールの外周面に圧接して上記連続溝以外の上記外周面に付着する余分な塗工液を上記グラビアロールの回転動作により掻き取って計量するドクターブレードが配置された塗工液計量手段とを備え、搬送されるウェブに上記グラビアロールを回転させながら接触させ、上記連続溝内の塗工液によって上記ウェブと上記外周面とに跨がる液溜まり部を形成しながら当該液溜まり部の塗工液を上記ウェブに転写するよう構成されたグラビア塗工装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、上記塗工液計量手段には、ロール回転軸心方向他端側の位置で、且つ、上記ウェブと上記グラビアロールの外周面との間に上記ウェブに沿うように配設され、上記液溜まり部に溜まる塗工液の上記ウェブに向かって通過する量を減少させることで上記ウェブのロール回転軸心方向他端側に転写される塗工液の量を減らしてウェブ搬送方向の転写幅を所定値に制限する網目状シートが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明では、グラビアロールの回転動作による連続溝の移動で液溜まり部の塗工液の一部が回転軸心方向一端側から他端側に移動しても、ロール回転軸心方向他端側におけるウェブ搬送方向の転写幅がロール回転軸心方向一端側におけるウェブ搬送方向の転写幅に合うようになるので、ムラの無い均一な塗工をすることができる。しかもムラ無く均一に塗工するために、連続溝の形状が異なるグラビアロールを塗工液の種類が変わる毎に用意するといった必要がなく、コストが嵩まない。
【0012】
また、液溜まり部に溜まる塗工液がロール回転軸心方向一端側より他端側の方が多い状態のままであっても、ウェブ搬送方向の転写幅がロール回転軸心方向に略均一となる。したがって、耳高現象が起こったままの状態であっても、ムラの無い均一な塗工を確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るグラビア塗工装置1を示す。該グラビア塗工装置1は、複数のガイドロール11(
図1には2つのみ示す)にガイドされて上方向(
図1の搬送方向X1)に搬送されるウェブWに塗工を施すものである。
【0015】
上記グラビア塗工装置1は、
図2に示すように、一対の回転軸12により装置固定側13に回転可能に軸支された金属製のグラビアロール2を備え、該グラビアロール2の外周面2aには、ロール回転軸心方向一端側から回転方向に行くにつれて次第にロール回転軸心方向他端側に位置する螺旋状の連続溝2bが多数形成されている。尚、
図2の連続溝2bは、理解し易くするために誇張して描いている。
【0016】
上記グラビアロール2におけるロール径方向の一側方には、当該グラビアロール2のロール回転軸心方向に延びる略直方体形状の塗工チャンバー3が設けられている。
【0017】
該塗工チャンバー3には、
図1に示すように、塗工液を貯溜するための貯溜部3aが設けられ、該貯溜部3aは、上記グラビアロール2側に開口している。
【0018】
また、上記塗工チャンバー3背面側のロール回転軸心方向他端側には、上記貯溜部3aに連通する水平方向に延びる第1連通孔3bが貫通形成されている。
【0019】
そして、上記貯溜部3aに貯溜された塗工液は、図示しない塗工液循環装置により循環されていて、上記グラビアロール2の外周面2aの一部は、上記貯溜部3aの塗工液に浸されている。
【0020】
上記塗工チャンバー3の上部には、板状をなす樹脂製ドクターブレード4が上記貯溜部3aの開口上端側周縁からグラビアロール側の斜め下方に向かって突設されている。
【0021】
上記ドクターブレード4の先端は、上記グラビアロール2の外周面2aに圧接して上記貯溜部3aのロール回転方向下流側をシールするとともに、上記連続溝2b以外の上記外周面2aに付着する余分な塗工液を上記グラビアロール2の回転動作により掻き取って計量するようになっている。
【0022】
そして、上記ドクターブレード4における上記グラビアロール2への圧接箇所は、上記貯溜部3a内の塗工液に常時浸されている。
【0023】
一方、上記塗工チャンバー3の下部には、板状をなす樹脂製シールプレート5が上記貯溜部3aの開口下端側周縁からグラビアロール側の斜め上方に向かって突設されている。
【0024】
上記シールプレート5は、上記ドクターブレード4に対向するとともに先端が上記グラビアロール2の外周面に圧接していて、上記貯溜部3aのロール回転方向上流側をシールしている。
【0025】
さらに、上記塗工チャンバー3のロール回転軸心方向端部寄りには、樹脂製サイドプレート6が一対取り付けられている。
【0026】
上記サイドプレート6のグラビアロール2側は、当該グラビアロール2側に行くにつれて上下の長さが短くなる山形状をなし、その先端には、側面視で上下方向中途部が反グラビアロール2側に位置する湾曲凹部6aが湾曲形成されている。
【0027】
そして、当該湾曲凹部6aの内周面を上記グラビアロール2の外周面2aに圧接することにより、上記ドクターブレード4、シールプレート5、及び両サイドプレート6で上記貯溜部3aを密閉するようになっている。
【0028】
上記グラビア塗工装置1は、
図3に示すように、上記貯溜部3a内のロール軸心方向他端側におけるドクターブレード4近傍の塗工液を吸引する第1吸引機7(転写幅制限手段)を備えている。
【0029】
該第1吸引機7は、直線状の直線ノズル7a(第1吸引ノズル)と、該直線ノズル7aを介して上記貯溜部3aの塗工液を吸引するポンプ7bとを備え、上記塗工チャンバー3、上記ドクターブレード4、上記シールプレート5及び上記両サイドプレート6とで本発明の塗工液計量手段10を構成している。
【0030】
上記直線ノズル7aは、上記第1連通孔3bにスライド可能に嵌挿され、スライド動作により先端開口が上記グラビアロール2の外周面2aに対して接離するようになっている。
【0031】
そして、上記グラビア塗工装置1は、
図1及び
図2に示すように、上記グラビアロール2を上記ウェブWの搬送方向X1と逆方向X2(
図1参照)に回転させながら当該ウェブWに接触させ、上記連続溝2b内の塗工液によって上記ウェブWと上記外周面2aとに跨がる液溜まり部14を形成しながら当該液溜まり部14の塗工液を上記ウェブWに転写するようになっている。尚、
図1の液溜まり部14は、理解し易くするために誇張して描いている。
【0032】
また、上記第1吸引機7で上記貯溜部3a内のロール軸心方向他端側におけるドクターブレード4近傍の塗工液を吸引することにより、貯溜部3a内のドクターブレード4近傍が負圧になることで連続溝2b内に貯溜部3a内の塗工液が入り込み難くなり(連続溝2b内の空気と貯溜部3a内の塗工液とが置換し難くなり)、ロール回転軸心方向他端側の領域の連続溝2b内に溜まる塗工液が減るようになっている。したがって、上記連続溝2bによって上記液溜まり部14に溜まる塗工液の量がロール回転軸心方向一端側より他端側が少なくなるので、グラビアロール2の回転動作による連続溝2bの移動で液溜まり部14の塗工液の一部が回転軸心方向一端側から他端側に移動した状態で、液溜まり部14における塗工液の液面の位置がロール回転軸心方向で略均一になり、ムラ無く均一に塗工することができる。
【0033】
すなわち、上記第1吸引機7は、上記貯溜部3a内のロール軸心方向他端側におけるドクターブレード4近傍の塗工液を吸引することにより、上記ウェブWに対するウェブ搬送方向の転写幅を所定値に制限するようになっている。
【0034】
以上より、本発明の実施形態1によると、グラビアロール2の回転動作による連続溝2bの移動で液溜まり部14の塗工液の一部がロール回転軸心方向一端側から他端側に移動しても、ロール回転軸心方向他端側におけるウェブ搬送方向の転写幅がロール回転軸心方向一端側におけるウェブ搬送方向の転写幅に合うようになるので、ムラの無い均一な塗工をすることができる。しかもムラ無く均一に塗工するために、連続溝2bの形状が異なるグラビアロール2を塗工液の種類が変わる毎に用意するといった必要がなく、コストが嵩まない。
【0035】
また、直線ノズル7aをスライドさせることで塗工液を吸い込む位置がグラビアロール2の外周面2aに対して接離するので、貯溜部3a内における連続溝2b近傍の負圧値を変更して連続溝2bに溜まる塗工液の量を調整することができる。
【0036】
尚、本発明の実施形態1では、第1吸引機7による塗工液の吸引位置の変更を第1連通孔3bに嵌挿された直線ノズル7aをスライドさせることで行っているが、これに限らず、直線ノズル7a自体が伸縮する構造であってもよく、吸引位置をグラビアロール2の外周面2aに対して接離させる構造であればよい。
《発明の実施形態2》
図4は、本発明の実施形態2に係るグラビア塗工装置1を示す。この実施形態2では、塗工チャンバー3及び第1吸引機7の一部構造が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0037】
実施形態2の塗工チャンバー3には、実施形態1の如き第1連通孔3bが無く、ロール回転軸心方向他端側のサイドプレート6に上記貯溜部3aに連通する第2連通孔3cが貫通形成されている。
【0038】
また、実施形態2の第1吸引機7は、上記ポンプ7bからロール回転軸心方向一端側に延びるとともに、その延出端からグラビアロール2側に向かって突出するL字ノズル7c(第2吸引ノズル)を備え、該L字ノズル7cは、上記第2連通孔3cにスライド可能に嵌挿され、スライド動作により先端開口がロール回転軸心方向に移動するようになっている。
【0039】
したがって、本発明の実施形態2によると、L字ノズル7cをスライドさせることで塗工液を吸い込む位置がロール回転軸心方向に移動するので、塗工するウェブWの幅寸法に応じて塗工液の溜まる量を調整する連続溝2bの位置を簡単に変更することができる。
【0040】
尚、本発明の実施形態2では、第1吸引機7による塗工液の吸引位置の変更を第2連通孔3cに嵌挿されたL字ノズル7cをスライドさせることで行っているが、これに限らず、L字ノズル7c自体が伸縮する構造であってもよく、吸引位置をグラビアロール2のロール回転軸心方向に移動させる構造であればよい。
《発明の実施形態3》
図5は、本発明の実施形態3に係るグラビア塗工装置1を示す。この実施形態3では、実施形態1の如き第1吸引機7が無く、上記液溜まり部14の塗工液を吸引する第2吸引機8(転写幅制限手段)が設けられている点が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0041】
上記第2吸引機8は、細い筒状をなす吸引ストロー8aと、該吸引ストロー8aを介して上記液溜まり部14の塗工液を吸引するポンプ8bとを備え、上記液溜まり部14のロール回転軸心方向他端側に溜まる塗工液を吸引することにより、液溜まり部14のロール回転軸心方向他端側に溜まる塗工液の量を減らすようになっている。
【0042】
したがって、グラビアロール2の回転動作による連続溝2bの移動で液溜まり部14の塗工液の一部がロール回転軸心方向一端側から他端側に移動しても、ロール回転軸心方向他端側の塗工液の液面の位置がロール回転軸心方向一端側の液面の位置に合うようになるので、ウェブWに対してムラの無い均一な塗工を安定して行うことができる。
《発明の実施形態4》
図6は、本発明の実施形態4に係るグラビア塗工装置1を示す。この実施形態4では、実施形態3の如き第2吸引機8が無く、スポンジからなる吸収部材15(転写幅制限手段)を備えている点が実施形態3と異なるだけでその他は実施形態3と同じであるため、以下、実施形態3と異なる部分のみを説明する。
【0043】
上記吸収部材15は、上記ドクターブレード4と上記液溜まり部14との間で、且つ、ロール回転軸心方向他端側の位置に取替可能に装置固定側(図示せず)に固定され、上記連続溝2b内に溜まる塗工液を吸収することにより、上記液溜まり部14のロール回転軸心方向他端側に溜まる塗工液の量を減らすようになっている。
【0044】
したがって、グラビアロール2の回転動作による連続溝2bの移動で液溜まり部14の塗工液がロール回転軸心方向一端側から他端側に移動しても、簡単な構造でロール回転軸心方向他端側の塗工液の液面の位置をロール回転軸心方向一端側の位置と略同じにでき、ウェブWに対してムラの無い均一な塗工ができ、しかも、設備投資を嵩まないようにできる。
【0045】
尚、実施形態4の吸収部材15は、連続溝2b内に溜まる塗工液を吸収する位置に取り付けられているが、液溜まり部14に溜まる塗工液を直接吸収して液溜まり部14の塗工液の量を減らす位置に取り付けてもよく、吸収部材15が連続溝2b内及び液溜まり部14の少なくとも一方の塗工液を吸収するようにすればよい。
【0046】
また、実施形態4では、スポンジからなる吸収部材15を用いているが、該吸収部材15は、塗工液を吸収するものであれば布材等からなるものであってもよい。
《発明の実施形態5》
図7は、本発明の実施形態5に係るグラビア塗工装置1を示す。この実施形態5では、実施形態3の如き第2吸引機8が無く、上記ドクターブレード4の如き樹脂製掻出プレート16(転写幅制限手段)が上記ドクターブレード4と上記液溜まり部14との間の位置で、且つ、ロール回転軸心方向他端側の位置において装置固定側13に固定されている点が実施形態3と異なるだけでその他は実施形態3と同じであるため、以下、実施形態3と異なる部分のみを説明する。
【0047】
上記掻出プレート16は、上下に真っ直ぐ延び、下端(先端)が上記グラビアロール2の外周面2aに圧接して上記連続溝2b内に溜まる塗工液の一部を上記グラビアロール2の回転動作により掻き出して連続溝2b内に溜まる塗工液を減らすようになっている。
【0048】
したがって、本発明の実施形態5によると、液溜まり部14においてロール回転軸心方向他端側の塗工液の液面の位置がロール回転軸心方向一端側の液面の位置に合わせる際に、第6の発明の如き吸収部材15の吸収能力が低下すると作業者が新しい吸収部材15に交換するという定期的な作業の頻度が減り、作業者にかかる負担の軽い設備にできる。
《発明の実施形態6》
図8(a),(b)は、本発明の実施形態6に係るグラビア塗工装置1を示す。この実施形態6では、実施形態3の如き第2吸引機8が無く、側面視で緩やかに湾曲する網目状シート17(転写幅制限手段)が設けられている点が実施形態3と異なるだけでその他は実施形態3と同じであるため、以下、実施形態3と異なる部分のみを説明する。
【0049】
上記網目状シート17は、ロール回転軸心方向他端側で、且つ、上記ウェブWと上記グラビアロール2の外周面2aとの間に上記ウェブWに沿うように配設されている。
【0050】
上記網目状シート17は、
図8(b)に示すように、細孔17aが多数形成されており、上記液溜まり部14の塗工液が上記ウェブWに向かって通過する量を減少させて上記ウェブWのロール回転軸心方向他端側に転写される塗工液の量を制限するようになっている。
【0051】
したがって、液溜まり部14に溜まる塗工液がロール回転軸心方向一端側より他端側の方が多い状態のままであっても、ウェブ搬送方向の転写幅がロール回転軸心方向にばらつかなくなる。したがって、耳高現象が起こった状態であっても、ムラの無い均一な塗工を確実に行うことができる。
《発明の実施形態7》
図9は、本発明の実施形態7に係るグラビア塗工装置1を示す。この実施形態7では、実施形態3の如き第2吸引機8が無く、側面視で緩やかに湾曲する浸透シート18(転写幅制限手段)が設けられている点が実施形態3と異なるだけでその他は実施形態3と同じであるため、以下、実施形態3と異なる部分のみを説明する。
【0052】
上記浸透シート18は、ロール回転軸心方向他端側で、且つ、上記ウェブWと上記グラビアロール2の外周面2aとの間に配設され、上記液溜まり部14に溜まる塗工液を毛細管現象により浸透させて液面を下げるようになっている。
【0053】
したがって、グラビアロール2の回転動作による連続溝2bの移動で液溜まり部14の塗工液がロール回転軸心方向一端側から他端側に向けて移動しても、簡単な構造でロール回転軸心方向他端側の塗工液の液面の位置がロール回転軸心方向一端側の液面の位置に合うようになるので、ウェブWに対してムラの無い均一な塗工ができる。
【0054】
尚、本発明の実施形態1〜7では、転写幅制限手段としての第1吸引機7や第2吸引機8をグラビア塗工装置1にそれぞれ単独で組み込んでいるが、組み合わせてグラビア塗工装置1に組み込むようにしてもよい。
【0055】
また、本発明の実施形態1〜7では、グラビアロール2をウェブWの搬送方向X1と逆方向X2に回転させながらウェブWに接触させているが、グラビアロール2をウェブWの搬送方向X1と同方向に回転させながらウェブWに接触させるようにしてもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態1〜7では、グラビアロール2を金属製としているが、ステンレス材や樹脂材で形成してもよい。また、金属製のグラビアロール2にセラミックコートや硬質炭素膜を表面処理したものや樹脂製のグラビアロール2にメッキ処理を施したものを用いてもよい。
【0057】
さらに、本発明の実施形態1〜7では、上記シールプレート5は樹脂製のものを使用したが、その他の材質のものでもよく、例えば、ステンレス製やゴム製のものを用いてもよい。また、金属にセラミックコートを施したものを用いてもよい。また、金属製のシールプレート5にセラミックコート、硬質炭素膜を表面処理したものや樹脂製のシールプレート5にメッキ処理を施したものを用いてもよい。
【0058】
それに加えて、上記ドクターブレード4は、樹脂製のものを使用したが、その他の材質のものでもよく、例えば、金属製及びゴム製のものを用いてもよい。また、金属製のドクターブレード4にセラミックコート、硬質炭素膜を表面処理したものや樹脂製のドクターブレード4にメッキ処理を施したものを用いてもよい。