(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1反応槽と前記第2反応槽とに共通に設けられた前記洗浄部のうち、最初に設けられた洗浄部で使用する洗浄水は、その他の洗浄部で使用する洗浄水よりも量が少ない、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理設備。
前記第1反応槽と前記第2反応槽とに共通に設けられた前記洗浄部のうち、最初に設けられた洗浄部で使用された洗浄水は、その水分の全量が晶析装置により蒸発され処理される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表面処理設備。
前記排水処理部は、前記洗浄部からの排水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽から移送された排水に含まれるイオンを吸着するためのイオン交換塔と、前記イオン交換塔によって生成された処理水を前記洗浄部に移送して循環させる移送手段と、を有し、
前記貯留槽には、水道水を補給するための水道設備が接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表面処理設備。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る表面処理設備、排水処理設備、及び排水処理方法を図面を参照しながら説明する。
【0017】
(表面処理設備1の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る表面処理設備の構成例を示す図である。
図1に示すように、表面処理設備1は、クロム酸浴を用いて被処理材に表面処理を行うクロム酸系表面処理設備100と、リン酸浴及びホウ酸浴を用いて被処理材に表面処理を行うリン酸ホウ酸系表面処理設備200と、アルカリ浴を用いて被処理材に表面処理を行うアルカリ系表面処理設備300と、を備えている。なお、表面処理設備1を構成する各装置は、配管によって接続されて水の移動が行われるものとする。なお、
図1に示す表面処理設備1は、表面処理が行われる反応槽と、表面処理が施された被処理材を洗浄しその際に生じる排水を処理する排水処理設備と、を有している。
【0018】
(クロム酸系表面処理設備100の構成)
クロム酸系表面処理設備100は、被処理材としてのアルミニウムにアノダイズ処理(陽極酸化皮膜を形成)するためのクロム酸系反応槽110と、アノダイズ処理された被処理材を洗浄する貯留洗浄槽120及び流水洗浄部130と、貯留洗浄槽120からの一次洗浄水を処理する一次洗浄水処理設備140と、流水洗浄部130からの二次洗浄水を処理するクロム酸系イオン交換設備150と、を備えている。
【0019】
クロム酸系反応槽110には、電解液として例えばクロム酸水溶液が入れられている。クロム酸系反応槽110の中で、被処理材をクロム酸水溶液に浸し、陽極として電気分解する。これにより、被処理材の表面に酸化皮膜を形成する(アノダイズ処理)。アノダイズ処理された被処理材は、図示しない搬送装置によって、クロム酸系反応槽110から貯留洗浄槽120に搬送される。
【0020】
貯留洗浄槽120には、アノダイズ処理された被処理材を洗浄するための洗浄水が貯留されている。搬送された被処理材は、洗浄部である貯留洗浄槽120に貯留された洗浄水で洗われる。このように生成された一次洗浄水のうち、上澄み水は図示しない配管を通り流水洗浄部130に導かれる。一方、残りの洗浄水は、一次洗浄水として一次洗浄水処理設備140に導かれる。貯留洗浄槽120で洗浄された被処理材は、図示しない搬送手段により、流水洗浄部130に搬送される。
【0021】
一次洗浄水処理設備140は、その詳細は後述するが、貯留洗浄槽120から導かれた一次洗浄水を処理する排水処理部である。処理された処理水は、貯留洗浄槽120に戻されて再生水として利用される。
【0022】
流水洗浄部130は、洗浄水を噴射するシャワーノズル(不図示)を備えている。このシャワーノズル(不図示)から噴射する水には、貯留洗浄槽120から導かれた上澄み水と、後述するクロム酸系イオン交換設備150から導かれた処理水とが用いられる。貯留洗浄槽120から流水洗浄部130に搬送された被処理材は、シャワーノズル(不図示)から噴射される水により洗浄される。被処理材の洗浄水は、二次洗浄水としてクロム酸系イオン交換設備150に導かれる。流水洗浄部130で洗浄された被処理材は、搬送手段(不図示)により次工程の設備に向けて搬送される。
【0023】
クロム酸系イオン交換設備150は、その詳細は後述するが、流水洗浄部130から導かれた二次洗浄水を処理する。処理された水は、流水洗浄部130に送られて、シャワーノズル(不図示)から噴射される水として再利用される。
【0024】
(リン酸ホウ酸系表面処理設備200の構成)
リン酸ホウ酸系表面処理設備200は、被処理材としてのアルミニウムにアノダイズ処理(陽極酸化皮膜を形成)するためのリン酸系反応槽210及びホウ酸系反応槽220を備えている。また、リン酸ホウ酸系表面処理設備200は、リン酸系反応槽210及びホウ酸系反応槽220においてアノダイズ処理された被処理材を洗浄する共通の洗浄部230、貯留洗浄槽240、及び流水洗浄部250と、洗浄部230からの洗浄水を処理する洗浄水処理設備260と、貯留洗浄槽240からの一次洗浄水を処理する一次洗浄水処理設備270と、流水洗浄部250からの二次洗浄水を処理するリン酸、ホウ酸系イオン交換設備280と、を備えている。このように、リン酸系反応槽210及びホウ酸系反応槽220においてアノダイズ処理された被処理材は、共通の洗浄設備で洗浄される。また、リン酸ホウ酸系表面処理設備200においては、クロム酸系表面処理設備100とは異なり、貯留洗浄槽(一次洗浄)240での洗浄の前工程として、洗浄部230によって被処理材を洗浄する工程が設けられている。
【0025】
リン酸系反応槽210には、電解液として例えばリン酸水溶液が入れられている。一方、ホウ酸系反応槽220には、電解液として例えばホウ酸水溶液が入れられている。これらの反応槽において、被処理材を水溶液に浸し、陽極として電気分解する。これにより、被処理材の表面に酸化皮膜を形成する(アノダイズ処理)。リン酸系反応槽210及びホウ酸系反応槽220でアノダイズ処理された被処理材は、図示しない搬送装置によって、洗浄部230に搬送される。
【0026】
洗浄部230は、洗浄水を噴射するシャワーノズル(不図示)を備えている。搬送された被処理材は、洗浄部230において、シャワーノズル(不図示)から噴射される水により洗浄される。ここで噴射される水は、後述する流水洗浄部250で噴射される水よりも少量である。このように、各反応槽210、220から取り出された被処理材を、少量の水で洗浄することにより、洗浄部230から高濃度の洗浄水が洗浄水処理設備260に導かれる。
【0027】
洗浄水処理設備260は、その詳細は後述するが、洗浄部230から導かれた高濃度の洗浄水のpHを調整した後に、晶析装置で固形化して処理する。
【0028】
なお、その後のリン酸ホウ酸系表面処理設備200における被処理材と洗浄水との移送過程は、クロム酸系表面処理設備100のものと同様である。そのため、その詳細については、説明を省略する。
【0029】
(アルカリ系表面処理設備300の構成)
アルカリ系表面処理設備300は、被処理材としてのアルミニウムにアノダイズ処理(陽極酸化皮膜を形成)するためのアルカリ系反応槽310と、アノダイズ処理された被処理材を洗浄する貯留洗浄槽320及び流水洗浄部330と、貯留洗浄槽320からの一次洗浄水を処理する一次洗浄水処理設備340と、流水洗浄部330からの二次洗浄水を処理するアルカリ系イオン交換設備350と、を備えている。
【0030】
アルカリ系反応槽310には、電解液として例えば水酸化ナトリウム水溶液や炭酸ナトリウム水溶液といったアルカリ水溶液が入れられている。アルカリ系反応槽310の中で、被処理材を水溶液に浸し、陽極として電気分解する。これにより、被処理材の表面に酸化皮膜を形成する(アノダイズ処理)。アノダイズ処理された被処理材は、図示しない搬送装置によって、アルカリ系反応槽310から貯留洗浄槽320に搬送される。
【0031】
その後のアルカリ系表面処理設備300における被処理材と洗浄水との移送過程は、クロム酸系表面処理設備100のものと同様である。そのため、その詳細については、説明を省略する。
【0032】
(一次洗浄水処理設備140の構成)
次に、クロム酸系表面処理設備100における一次洗浄水処理設備140の構成について説明する。
図2は、一次洗浄水処理設備の構成を示す図である。一次洗浄水処理設備140は、自然沈下を利用して一次洗浄水の処理を行う自然沈下処理設備160と、自然沈下処理設備160からの上澄水を処理するためのMF膜処理装置171、UV計・活性炭塔172、RO装置173、及び混床式イオン交換装置174と、脱水処理設備175と、減圧処理装置176と、晶析装置177と、を備えている。
【0033】
自然沈下処理設備160は、一次洗浄水を処理して、フロックやスラッジなどの固形成分を生成し、これらの固形成分を沈殿分離する。自然沈下処理設備160は、混合槽161と、pH調整槽162と、固液分離装置163と、を備えている。
【0034】
混合槽161は、貯留洗浄槽120で洗浄に用いられた一次洗浄水を貯留する。このように混合槽161に貯留された一次洗浄水は、アノダイズ処理された被処理材を最初に洗浄した洗浄水であるため、金属成分が高い高濃度洗浄水となる。混合槽161において、貯留された洗浄水には、助剤であるカルシウム塩あるいはアルミニウム塩が添加される。これにより、不溶解成分あるいは重金属水酸化物が生成される。このように助剤が添加された洗浄水は、pH調整槽162に移送される。
【0035】
pH調整槽162は、混合槽161から移送された洗浄水のpH値を制御するための貯水槽である。pH調整槽162では、貯留されている洗浄水に苛性ソーダなどのアルカリ剤が添加される。また、pH調整槽162では固形成分を分離しやすくするための凝集剤を添加してもよい。このように、pH調整槽162でpH値が制御された水は、反応処理水として、固液分離装置163に移送される。
【0036】
固液分離装置163は、pH調整槽162から移送されてきた反応処理水中の不溶解成分あるいは重金属水酸化物を沈殿させる。これにより、反応処理水を、上澄み水と、スラッジ(沈殿分離汚泥)とに分離することができる。そして、上澄み水はMF膜処理装置171に移送され、スラッジは脱水処理設備175に移送される。これにより、MF膜処理装置171に、固形成分の量を低減した上澄水を移送することができ、MF膜処理装置171に対する付加を軽減することができる。
【0037】
MF膜処理装置171は、固液分離装置163で分離できなかった固形成分を除去するための濾過装置である。MF膜処理装置171は、膜孔径の細かい膜(ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride、PVDF)を素材とする公称孔径0.02μmの中空糸膜モジュール)を用いている。これにより、MF膜処理装置171は、高精度に固形成分を除去することができ、後の工程への負荷を減らすことができる。ろ過処理により生成されるスラリー(膜分離濃縮液)は、脱水処理設備175に移送される。一方、固形成分が除去された上澄水であるろ過処理水は、UV計・活性炭塔172に移送される。
【0038】
UV計・活性炭塔172のうち、UV計は、MF膜処理装置171から移送されたろ過処理水に存在する有機物を殺菌・分解する。これにより、有機物は活性炭塔で吸着されやすい形状に変換される。そして、活性炭塔において有機物が吸着される。このようにして、有機物が吸着された処理水は、RO(Reverse Osmosis)装置173に移送される。
【0039】
RO装置173は、UV計・活性炭塔172から移送されてきた処理水を、塩濃度が高い濃縮液と透過水とに分離する。濃縮液は、減圧処理装置176に移送される。一方、透過水は、混床式イオン交換装置174に移送される。
【0040】
混床式イオン交換装置174は、RO装置173によって脱塩処理された透過水を、高純度の純水に変換する。高純度の純水は、貯留洗浄槽120に移送、貯留され、再生水として利用される。
【0041】
脱水処理設備175は、固液分離装置163で生成されたスラッジと、MF膜処理装置171で生成されたスラリー(膜分離濃縮液)とを脱水する。生成されたスラッジは、有害な金属成分を含むため、例えば産業廃棄物として廃棄される。
【0042】
減圧処理装置176は、減圧状態で、RO装置173から移送された濃縮液を蒸留する。塩濃度が高くなった濃縮水は、晶析装置177に移送させる。
【0043】
晶析装置177は、水蒸気を熱源として加熱することができるディスクを備えている。加熱したディスクに、減圧処理装置176で生成された濃縮水が塗布されると蒸発し、ディスク表面に残留したスラッジはスクレーパーで除去される。スラッジは、有害な金属成分を含むため、例えば産業廃棄物として廃棄される。
【0044】
なお、リン酸ホウ酸系表面処理設備200における一次洗浄水処理設備270、及びアルカリ系表面処理設備300における一次洗浄水処理設備340は、クロム酸系表面処理設備100における一次洗浄水処理設備140と、処理する洗浄水に含まれる成分が異なることにより添加する薬剤の種類や量は異なるものの、
図2に示す構成自体は同様である。
【0045】
(クロム酸系イオン交換設備150について)
図3は、クロム酸系イオン交換設備150の構成を示す図である。クロム酸系イオン交換設備150は、流水洗浄部130から移送された二次洗浄水を再生純水として処理し、該再生純水を流水洗浄部130にリターンする。クロム酸系イオン交換設備150は、二次洗浄水を貯留する洗浄水貯留槽151、二次洗浄水内の濁質を取り除くためのフィルタ152、二次洗浄水中のイオンを取り除くためのクロム酸系イオン交換塔159、生成された純水を貯留するための純水貯留槽156、純水貯留槽156に貯留された純水を加圧タンク158に送り込む加圧ポンプ157、及び加圧ポンプ157によって送り込まれた純水を高圧の状態で貯蔵する加圧タンク158を備えている。
【0046】
洗浄水貯留槽151には、流水洗浄部130から二次洗浄水が供給されるだけでなく、水道設備180から水道水が供給される。洗浄水貯留槽151に水道水が供給されることにより、流水洗浄部130とクロム酸系イオン交換設備150との間で循環される循環水が減少することを抑制することができる。また、供給される水道水に含まれる塩素によって、循環水の水質の悪化を抑制することができる。
【0047】
フィルタ152は、濾過器に着脱可能なカートリッジ式のフィルタであり、洗浄水貯留槽151から移送された水に含まれる濁質を取り除く。
【0048】
クロム酸系イオン交換塔159は、カチオン交換樹脂が充填されたカチオン交換塔153と、アニオン交換樹脂が充填されたアニオン交換塔154及びアニオン交換塔155と、を備えている。このように構成されたクロム酸系イオン交換塔159によって、水中の各種イオンが除去されて純水が生成される。
【0049】
生成された純水は、一旦、純水貯留槽156に貯留される。そして、加圧ポンプ157及び加圧タンク158により流水洗浄部130に送られる。このようにして、流水洗浄部130において被処理材の洗浄に用いられた二次洗浄水は、クロム酸系イオン交換設備150によって純水にされて、再び流水洗浄部130に戻される。
【0050】
(リン酸、ホウ酸系イオン交換設備280について)
図4は、リン酸、ホウ酸系イオン交換設備280の構成を示す図である。リン酸、ホウ酸系イオン交換設備280の基本的な構成は、上述したクロム酸系イオン交換設備150と同様である。すなわち、リン酸、ホウ酸系イオン交換設備280は、洗浄水貯留槽281と、フィルタ282と、リン酸ホウ酸系イオン交換塔289と、純水貯留槽286と、加圧ポンプ287と、加圧タンク288と、を備えている。洗浄水貯留槽281には、水道設備290から水道水が供給される。一方で、リン酸ホウ酸系イオン交換塔289の構成は、上述のクロム酸系イオン交換塔159の構成と異なっている。
【0051】
リン酸ホウ酸系イオン交換塔289は、カチオン交換樹脂が充填されたカチオン交換塔283と、アニオン交換樹脂が充填されたアニオン交換塔284と、混合されたカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが充填された混床式交換塔285とを備えている。この構成によって、リン酸イオンはアニオン交換塔284により吸着され、ホウ酸イオンは混床式交換塔285により吸着される。このように構成されたリン酸ホウ酸系イオン交換塔289によって、水中の各種イオンが除去されて純水が生成される。
【0052】
(アルカリ系イオン交換設備350について)
図5は、アルカリ系イオン交換設備350の構成を示す図である。アルカリ系イオン交換設備350の基本的な構成は、上述のクロム酸系イオン交換設備150等の構成と同様である。すなわち、アルカリ系イオン交換設備350は、洗浄水貯留槽351と、フィルタ352と、アルカリ系イオン交換塔359と、純水貯留槽356と、加圧ポンプ357と、加圧タンク358と、を備えている。洗浄水貯留槽351には、水道設備360から水道水が供給される。一方で、アルカリ系イオン交換塔359の構成は、上述の構成と異なっている。
【0053】
アルカリ系イオン交換塔359は、活性炭が充填された活性炭塔353と、カチオン交換樹脂が充填されたカチオン交換塔354と、アニオン交換樹脂が充填されたアニオン交換塔355とを備えている。このように構成されたアルカリ系イオン交換塔359によって、水中の各種イオンが除去されて純水が生成される。
【0054】
(洗浄部230の設置について)
リン酸ホウ酸系表面処理設備200には、クロム酸系表面処理設備100及びアルカリ系表面処理設備300と異なり、貯留洗浄槽240の前洗浄工程として、洗浄部230において被処理材を洗浄する工程を設けている。このように洗浄部230を設けた理由は次の通りである。
【0055】
リン酸を含む洗浄水を処理するために、一次洗浄水処理設備270における混合槽161(
図2)において助剤としてカルシウム塩(CaCl
2)を添加した場合、下記化学式1で示すように、リン酸カルシウム(Ca
3(PO4)
2)と塩酸(HCl)が生成される。このように生成されたリン酸カルシウム(Ca
3(PO4)
2)は、混合槽161で沈殿する。
【0057】
下記化学式2で示すように、pH調整槽162において、混合槽161から移送されたカルシウム塩(CaCl
2)が添加された洗浄水のpHを調整するために苛性ソーダ(NaOH)を添加すると、塩化ナトリウム(NaCl)が生成される。
【0059】
一方、リン酸を含む洗浄水を処理するために、一次洗浄水処理設備270における混合槽161において助剤としてアルミニウム塩(AlCl
3)を添加した場合は、下記化学式3で示すように、リン酸アルミニウム(AlPO4)と塩酸(HCl)が生成される。このように生成されたリン酸アルミニウム(AlPO4)は、混合槽161で沈殿する。
【0061】
下記化学式4で示すように、pH調整槽162において、混合槽161から移送されたアルミニウム塩(AlCl
3)が添加された洗浄水のpHを調整するために苛性ソーダ(NaOH)を添加すると、塩化ナトリウム(NaCl)が生成される。
【0063】
このように、洗浄水に含まれるリン酸を処理しようとすると、塩化ナトリウム(NaCl)が生成され、処理水中の塩分濃度が上昇する。そのため、その後の工程に設けられた脱塩処理を行うためのRO装置173の負荷がかかり、再生水の回収率が悪くなるという問題があった。このような問題は、洗浄水に含まれるホウ酸を処理する際にも同様に生じる。そこで、本実施形態においては、貯留洗浄槽240の前に被処理材を洗い流す洗浄部230を設けて、被処理材に付着したリン酸あるいはホウ酸を洗い流している。これにより、一次洗浄水処理設備270に移送される一次洗浄水の濃度を低減させることができ、RO装置173の負荷を低減することができる。
【0064】
(洗浄水処理設備260の構成について)
図6は、洗浄水処理設備260の構成を示す図である。洗浄水処理設備260は、洗浄水貯留槽261と、pH調整槽262と、晶析装置263とを備えている。上述したように、洗浄部230において、シャワーノズル(不図示)から被処理材に噴射する水は、流水洗浄部250(
図1)で噴射される水よりも少量である。
【0065】
洗浄水貯留槽261は、洗浄部230から移送された高濃度の洗浄水を貯留する。上述のように、洗浄水貯留槽261に貯留された洗浄水は、アノダイズ処理された被処理材を最初に少量の水で洗浄することにより生じた洗浄水であり、金属成分が高い高濃度洗浄水となる。洗浄水貯留槽261に貯留された洗浄水は、pH調整槽262に移送される。
【0066】
pH調整槽262は、洗浄水貯留槽261から移送された洗浄水のpH値を制御するための貯水槽である。pH調整槽262では、貯留されている洗浄水に苛性ソーダなどのアルカリ剤が添加される。また、pH調整槽162では固形成分を分離しやすくするための凝集剤を添加してもよい。このように、pH調整槽162でpH値が制御された水は、晶析装置263に移送される。
【0067】
晶析装置263は、水蒸気を熱源として加熱することができるディスクを備えている。加熱したディスクに、pH調整槽262から送られた排水が塗布されると蒸発し、ディスク表面に残留したスラッジはスクレーパーで除去される。スラッジは、有害な金属成分を含むため、例えば産業廃棄物として廃棄される。
【0068】
このようにして、洗浄部230において水を被処理材に噴射して生成された高濃度の排水は、洗浄水処理設備260において処理される。
【0069】
(実施形態の効果について)
以上説明したように、本発明の実施の形態によると、リン酸系表面処理を施した被処理材の洗浄水と、ホウ酸系表面処理を施した被処理材の洗浄水との処理設備を共用している。これにより、別々に排水処理設備を設ける場合と比べて、設備投資のコストと保守メンテナンスのコストを抑制することができる。また、表面処理設備をコンパクトにすることができ、表面処理設備の設置スペースを小さくすることができる。
【0070】
また、貯留洗浄槽240による洗浄の前段階で、洗浄部230において少量の水で被処理材を洗浄し、生成された高濃度の排水を晶析装置で乾燥ケークとして処理することで、無排水処理設備で処理が難しい成分を予め被処理材から除去することができる。これにより、リン酸及びホウ酸を含む排水の処理を容易に行うことができる。
【0071】
また、洗浄部230で洗浄を行うことで、貯留洗浄槽240における被処理材の洗浄により生じた一次洗浄水中のリン酸、あるいはホウ酸の濃度を抑制することができる。これにより、一次洗浄水に注入される助剤によって上昇する塩分濃度を抑制することができる。この結果、一次洗浄水処理設備270におけるRO装置173の負荷が低減され、リサイクル水の回収率を向上させることができる。さらに、リン酸ホウ酸系イオン交換塔289の負荷も軽減され、保守メンテナンスのコストを抑制することができる。
【0072】
また、リン酸ホウ酸系イオン交換塔289が、カチオン交換塔283、アニオン交換塔284、及び混床式交換塔285の順に配列することにより、リン酸イオン及びホウ酸イオンを効率よく吸着することができる。
【0073】
また、洗浄水貯留槽151に水道水を供給することにより、各流水洗浄部130、250、330と各イオン交換設備150、280、350との間で循環される循環水の減少を抑制することができる。また、供給される水道水に含まれる塩素によって、循環水の水質の悪化を抑制することができる。
【0074】
(他の形態について)
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上述の実施形態では、洗浄部230及び洗浄水処理設備260を、リン酸ホウ酸系表面処理設備200のみに設けたが、クロム酸系表面処理設備100に同様の設備を設けてもよいし、アルカリ系表面処理設備300に同様の設備を設けてもよい。これにより、以降の排水処理設備の負荷を低減することができる。
【0075】
また、表面処理設備1は、クロム酸系表面処理設備100、リン酸ホウ酸系表面処理設備200、及びアルカリ系表面処理設備300を備えているが、さらに他の表面処理を備えていてもよい。例えば、電解液としてシュウ酸水溶液によって表面処理を行う設備を備えていてもよいし、電解液として硫酸水溶液によって表面処理を行う設備を備えていてもよい。また、表面処理設備が、リン酸ホウ酸系表面処理設備200の他に、上記した表面処理設備のうち、1つの表面処理設備を備えるようにしてもよい。
【0076】
また、表面処理設備1によって酸化皮膜を形成する被処理材としてアルミニウムを例に説明したが、他の金属であってもよい。例えば、チタンやマグネシウムに陽極酸化皮膜を形成する場合にも、本発明を適用することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【解決手段】表面処理設備1は、貯留したリン酸水溶液によって金属の表面に酸化皮膜を形成する第1反応槽210と、貯留したホウ酸水溶液によって金属の表面に酸化皮膜を形成する第2反応槽220と、貯留したリン酸水溶液とホウ酸水溶液とは異なる水溶液によって金属の表面に酸化皮膜を形成する第3反応槽110と、第1反応槽210、第2反応槽220、及び第3反応槽110によって酸化皮膜が形成された金属を洗浄する洗浄部120、230と、洗浄部120、230から排出された排水を処理する排水処理部140、260と、を備える。表面処理設備1は、第1反応槽210と第2反応槽220とによって酸化皮膜が形成された金属を、共通の洗浄部230によって洗浄し、第3反応槽110によって酸化皮膜が形成された金属を、第3反応槽110のみに対応する洗浄部120によって洗浄する。