(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記現用系と前記予備系をそれぞれ構成する前記複数の弁の1台あたりの能力は、前記現用系と前記予備系をそれぞれ弁1台から構成する場合の弁1台あたりの能力よりも小さい、
請求項1に記載の弁制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〈実施形態1〉
《装置構成》
図1は、実施形態1に係る蒸気供給システムの系統図、
図2は、減圧弁の模式図、
図3は、弁制御装置のブロック図である。
【0014】
図1に示すように、蒸気供給システム10において、減圧弁1−1,1−2,1−3,1−4は、蒸気を一次側(供給側)から二次側(熱負荷側)へ供給する流路2の途中に設けられている。熱負荷は、暖房のほか、医療・工場の生産工程などにおける熱負荷であり、例えば24時間連続運転され、蒸気の供給が求められる設備における熱負荷である。
【0015】
流路2では、不図示のボイラ装置(蒸気供給源)から蒸気の供給を受ける管路21が供給側の集合管である一次ヘッダ22に接続され、一次ヘッダ22に複数の管路23,24が並列に接続され、複数の管路23,24がそれぞれ複数の管路23−1,23−2,24−1,24−2に分岐し、この分岐した管路23−1,23−2,24−1,24−2の途中に減圧弁1−1,1−2,1−3,1−4が設けられている。
【0016】
また、流路2において、管路23−1,23−2が二次側で管路25と接続し、管路24−1,24−2が二次側で管路26と接続し、管路25,26が熱負荷側の集合管である二次ヘッダ27と接続し、二次ヘッダ27に管路28が接続されている。
【0017】
二次ヘッダ27には、計測部(圧力センサ)4が接続され、圧力センサ4と弁制御装置3とが制御線32を介して電気的に接続している。また、弁制御装置3は、制御線31を介して各減圧弁1−1,1−2,1−3,1−4と電気的に接続している。
【0018】
各減圧弁1−1,1−2,1−3,1−4は、同じ構造であり、共通の事項について説明する場合には、減圧弁1と総称する。本実施形態1は、これらの減圧弁1のうち、複数(本例では2台)の減圧弁を現用系と予備系とにそれぞれ割り当て、定期的に現用系と予備系をローテーションする例を示している。
【0019】
本実施形態1の蒸気供給システム10は、減圧弁1を現用系と予備系の二系統を備え、平常時は現用系の減圧弁1で運転し、現用系の減圧弁1が故障した場合、予備系の減圧弁1に切り換えて運転する。即ち、現用系とは、平常時に運転する減圧弁1の系統を示し、予備系とは、現用系減圧弁1の故障時に運転し、平常時には待機状態とする減圧弁1の系統を示す。もっとも、厳寒期や、蒸気使用に係る生産工程の要求量が急増したときなどに、予備系を現用系の一時的な能力不足を補うために稼働することはできる。このように減圧弁1を現用系と予備系の二系統としたことにより、本実施形態1の蒸気供給システム10は、現用系の減圧弁1が故障した場合でも、蒸気の供給を止めることなく予備系の減圧弁1で運転を行い、故障した減圧弁1の交換等の対応を可能としている。従って、現用系の減圧弁1と予備系の減圧弁1は、それぞれが熱負荷側の圧力を目標値に保つのに通常必要な量(以下単に通常量とも称す)の蒸気を供給する能力を有するように設計されている。更に、本実施形態1の蒸気供給システム10は、現用系と予備系をそれぞれ複数(本例では2台)の減圧弁1で構成し、複数の減圧弁1で通常量の蒸気を供給する能力(サイズ)としたため、1台あたりの減圧弁1の能力を1台で通常量の蒸気を供給する減圧弁1と比べて小さくしている。例えば、従来1台で通常量の蒸気を供給する場合に、内径200Aの減圧弁1を用いていたところ、本実施形態では、現用系と予備系をそれぞれ2台に分割して構成することで、200Aより小さい内径の減圧弁1を採用でき、例えば内径80Aの減圧弁1を採用できる。また、本実施形態1では、現用系と予備系の割当を定期的に切り換える。以下、この現用系と予備系の切り換えをローテーションと称する。
【0020】
減圧弁1は、
図2(A)に示すように、弁箱11内に弁座12と弁体16が設けられており、弁体16が弁座12に対して接離可能に弁棒13に支持されている。
【0021】
図2(A)は、弁体16が弁座12から離れた状態、即ち減圧弁1が開いた状態を示しており、弁座12の開口部17を通って一次側の蒸気が二次側へ流動する。
【0022】
図2(B)は、弁体16が弁座12と接した状態、即ち減圧弁1が閉じた状態を示しており、弁座12の開口部17を塞ぎ、一次側と二次側を仕切るため、二次側への蒸気の供給が遮断される。
【0023】
駆動機構14は、ステッピングモータやギヤ等からなり、駆動制御部15からの制御信号に応じて弁棒13を駆動することにより、弁体16を
図2(A),
図2(B)のように弁体16を開閉動作させる。
【0024】
駆動制御部15は、弁制御装置3からの開度命令を受信して、弁体16の開度が当該開度命令の示す開度となるように駆動機構14に制御信号を送り、駆動機構14を動作させる。
【0025】
図3に示すように、弁制御装置3は、蒸気圧取得部33と、動作割当部34、開度命令部35を備えている。
【0026】
蒸気圧取得部33は、圧力センサ4による二次ヘッダ27内の圧力の計測値を制御線31を介して受信するインターフェイスである。
【0027】
動作割当部34は、減圧弁1の一部を現用系として割り当て、この現用系以外の減圧弁1を予備系として割り当てる。この現用系と予備系の割り当てを示す割当情報は、例えばメモリ等に保持する。また、動作割当部は、蒸気圧取得部33が取得した計測値に基づいて、増段、又は減段を決定する。
【0028】
開度命令部35は、蒸気圧取得部33から取得した計測値に基づいて、減圧弁1のうち、少なくとも現用系の減圧弁1を開き、流路2を通った蒸気の二次ヘッダ27内での圧力(二次側の蒸気圧)が目標値となるように、各減圧弁1の開度を指定する。ここで、目標値は、管理者等により予め入力され、メモリ等に記憶しておく。目標値は、季節毎に変更されても良い。なお、開度命令部35は、動作割当部34から現用系と予備系の割当情報を取得し、通常は現用系の減圧弁1を用いて二次側蒸気圧を制御する。
【0029】
弁制御装置3の蒸気圧取得部33や、動作割当部34、開度命令部35は、汎用のプロセッサ(処理装置)がソフトウェア(コンピュータプログラム)に従って上記機能を実現する構成でも、論理回路等が前記機能を実現するように組み合わせされた構成のハードウェアであっても良い。
【0030】
《制御方法》
上記構成の蒸気供給システム10における減圧弁の制御方法について説明する。
【0031】
図4は、圧力センサ4の計測値に基づいて二次側の蒸気圧をフィードバック制御する処理の説明図である。
【0032】
図4の処理が起動されると、先ず、蒸気圧取得部33が二次側蒸気圧の計測値を圧力センサ4から受信する(ステップS10)。
【0033】
次に開度命令部35は、ステップS10で取得した計測値を目標値と比較して、目標値と計測値の差が規定の範囲内か否かを判定し、規定の範囲内であれば(ステップS20,Yes)、
図4の処理を終了し、規定の範囲内でなければ(ステップS20,No)、動
作割当部34が割り当てた運転中の減圧弁1の情報を動作割当部34から取得して運転中の減圧弁1を特定する(ステップS30)。例えば通常状態であれば、現用系に割り当てられた2つの減圧弁1が運転中と特定され、増段されていれば、この増段された減圧弁1と現用系に割り当てられた減圧弁が運転中の減圧弁1と特定される。
【0034】
また、開度命令部35は、目標値と計測値の差に基づいて、運転中の減圧弁の開度を決定する(ステップS40)。開度の決定は、例えば目標値と計測値に差がある場合に、この計測値が目標値となるのに必要な開度と当該差分との比例関係を予め求めて関係式として記憶しておき、ステップS10で取得した計測値と目標値との差に応じた開度を関係式から求める。また、開度の決定は、計測値が目標値を下回っている場合、開度を所定量増加させた値とし、計測値が目標値を上回っている場合、開度を所定量減少させた値としても良い。なお、各減圧弁の開度は同一にしている。
【0035】
そして、開度命令部35は、決定した開度を示す開度命令を運転中の減圧弁1に送って各減圧弁1の開度を変更させ(ステップS50)、
図4の処理を終了する。このように
図4の処理が、制御弁1の動作中、常に繰り返し実行されることで、二次側の蒸気圧が目標値となるように減圧弁1がフィードバック制御される。
【0036】
図5は、目標値及び増減段の閾値の説明図である。
図5の例では目標値を0.33MPa、第一の閾値を0.30MPa、第二の閾値を0.28MPaとしている。
【0037】
本実施形態の蒸気供給システム10では、通常、現用系の二台の減圧弁1で二次側の蒸気圧が目標値となるように運転し、このとき二次側の蒸気圧が第一の閾値以下とならないように設計されている。
【0038】
但し、想定を超えて負荷が変動した場合など、二次側の蒸気圧が第一の閾値以下である場合には、予備系の一台を運転させて、即ち一台増段して3台の減圧弁1で運転する。
【0039】
また、二次側の蒸気圧が第二の閾値以下である場合には、予備系の二台を運転させて、即ち二台増段して4台の減圧弁1で運転する。
【0040】
なお、増段された減圧弁1は、
図4と同様に二次側蒸気圧を目標値に保つように開度が制御される。本実施形態では、稼働中の減圧弁(現用系の減圧弁及び増段した減圧弁)を同一の開度としている。即ち、現用系の2台が全開の状態で、1台増段した場合、増段した減圧弁が開くのに伴って二次側蒸気圧が上昇すると、これに応じて現用系2台の開度が小さくなり、この現用系の開度と同じになるまで増段した減圧弁1が開き、開度命令部35は、二次側蒸気圧が目標値となるように、これら現用系と増段した減圧弁1の開度を制御する。
【0041】
なお、目標値及び増減段の閾値は、季節に応じて変更されても良く、例えば上記設定が冬季の値であった場合に、夏季や中間期は、目標値を0.30MPa、第一の閾値を0.27MPa、第二の閾値を0.25MPaとしても良い。
【0042】
図6は、動作割当部34による増減段処理の説明図である。
図6の処理が起動されると、動作割当部34は、蒸気圧取得部33で取得した計測値が第一の閾値(
図6の例では0.30MPa)以下か否かを判定する(ステップS110)。動作割当部34は、計測値が、第一の閾値以下でない場合(ステップS110,No)、現用系の動作によって必要な蒸気圧が確保できているので、増段は不要であり、現用系の2台での運転とする(ステップS120)。なお、この
図6の処理と並行して開度命令部35は、
図4の処理を行い、
図6のステップS120で2台運転となった場合には、
図4のステップS30では、こ
の現用系の2台の減圧弁1が運転中であることを特定する。
【0043】
一方、動作割当部34は、計測値が第一の閾値以下の場合、(ステップS110,Yes)、現用系の動作だけでは必要な蒸気圧が確保できない状態なので、計測値が第二の閾値(
図6の例では0.28MPa)以下か否かを判定する(ステップS130)。ここで、計測値が、第二の閾値以下でない場合(ステップS130,No)、動作割当部34は、1台増段し、3台の減圧弁1での運転とする(ステップS140)。なお、どの減圧弁1を3台目とするかは、例えば各減圧弁1−1,1−2,1−3,1−4の優先度を決めておき、増段する際に予備系の2台のうち、優先度の高い減圧弁1−1,1−2,1−3又は1−4を3台目とする。
【0044】
ステップS140で3台運転とした場合、開度命令部35は、
図4のステップS30で、現用系の2台と増段した3台目の減圧弁1が運転中であることを特定する。
【0045】
増段後、動作割当部34は、この増段の効果の確認のため所定時間(
図6の例では30
0秒)待機する(ステップS150)。その後、動作割当部34は、
図4のステップS5
0で開度命令部35が出力する制御出力値(開度)を取得し(ステップS160)、この制御出力値が30%以下か否か、即ち減段を行うか否かを判定する(ステップS170)。従って、ステップS150で所定時間効果待ちをしている間は、減段を行わない。
【0046】
制御出力値が30%以下でない場合(ステップS170,No)、動作割当部34は、ステップS160に戻り、制御出力値が30%以下となるまでステップS170の判定を繰り返す。
【0047】
制御出力値が30%以下となった場合(ステップS170,Yes)、動作割当部34は、この制御出力値が30%以下の状態が所定時間(
図6の例では60秒)継続したか否かを判定する(ステップS180)。
【0048】
動作割当部34は、制御出力値が30%以下の状態が所定時間継続しなかった場合(ステップS180,No)、ステップS160に戻り、制御出力値が30%以下の状態が所定時間継続した場合(ステップS180,Yes)、3台目の減圧弁1を減段し(ステップS190)、2台運転とする(ステップS120)。
【0049】
一方、ステップS130で、計測値が、第二の閾値以下の場合(ステップS130,Yes)、動作割当部34は、2台増段し、4台の減圧弁1での運転とする(ステップS200)。この場合、開度命令部35は、
図4のステップS30で、現用系の2台と増段した3台目,4台目の減圧弁1が運転中であることを特定する。なお、どの減圧弁1を3台目,4台目とするかは、例えば各減圧弁1−1,1−2,1−3,1−4の優先度を決めておき、増段する際に予備系の2台のうち、優先度の高い順に3台目,4台目とする。
【0050】
増段後、動作割当部34は、この増段の効果の確認のため所定時間(
図6の例では30
0秒)待機する(ステップS210)。その後、動作割当部34は、3台目の減圧弁1に
ついて
図4のステップS50で開度命令部35が出力する制御出力値(開度)を取得し(ステップS220)、この制御出力値が30%以下か否か、即ち減段を行うか否かを判定する(ステップS230)。このステップS220−S230と並行して、動作割当部34は、4台目の減圧弁1について
図4のステップS50で開度命令部35が出力する制御出力値(開度)を取得し(ステップS240)、この制御出力値が30%以下か否か、即ち減段を行うか否かを判定する(ステップS250)。従って、ステップS210で所定時間効果待ちをしている間は、減段を行わない。制御出力値が30%以下でない場合(ステップ250,No)、動作割当部34は、ステップS240に戻り、制御出力値が30
%以下となるまでステップS250の判定を繰り返す。
【0051】
制御出力値が30%以下となった場合(ステップS250,Yes)、動作割当部34は、4台目の減圧弁1を減段して3台運転とする(ステップS260)。
【0052】
一方、動作割当部34は、3台目の減圧弁1について制御出力値(開度)を取得し(ステップS220)、この制御出力値が30%以下か否かを判定し(ステップS230)、制御出力値が30%以下でない場合(ステップS230,No)、ステップS220に戻り、制御出力値が30%以下となるまでステップS230の判定を繰り返す。
【0053】
制御出力値が30%以下となった場合(ステップS230,Yes)、動作割当部34は、この制御出力値が30%以下の状態が所定時間(
図6の例では60秒)継続したか否かを判定する(ステップS270)。
【0054】
動作割当部34は、制御出力値が30%以下の状態が所定時間継続しなかった場合(ステップS270,No)、ステップS220に戻り、制御出力値が30%以下の状態が所定時間継続した場合(ステップS270,Yes)、3台目の減圧弁1を減段し(ステップS280)、2台運転とする(ステップS120)。なお、
図6の処理は、制御弁1の動作中、常に繰り返し実行する。
【0055】
次に運転する減圧弁を切り換えるローテーション制御について説明する。
図7は、現用系と予備系を定期的に切り換えるローテーション制御の説明図、
図8は、2台運転時にローテーションする場合の運転状態の推移を示す表、
図9は、減圧弁1の開閉動作を縦軸にとり、横軸に時間をとって、切り換え時の各減圧弁1の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。
【0056】
図7の処理を開始すると、動作割当部34は、定期的な切り換えタイミングに達したか否かを判定する(ステップS310)。なお、切り替えタイミングは、夜間や休日など、負荷変動が少ない場合に設定するのが好適である。
図8は、一日一回、23:00に切り換えを行う例を示している。切り替えタイミングに達していなければ(ステップS310,No)、動作割当部34は、切り換えを行わず、
図7の処理を終了する。
【0057】
一方、切り替えタイミングに達した場合(ステップS310,Yes)、動作割当部34は、減圧弁1の運転状態を確認し、どの減圧弁1−1,1−2,1−3,1−4が運転中かを特定する(ステップS320)。例えば、
図8のタイミング51で切り換える場合、切り換え前の状態は列50に示すように減圧弁1−1,1−2が現用系(運転中)であり、減圧弁1−3,1−4が予備系(全閉)である。
【0058】
次に動作割当部34は、4台の減圧弁1が運転中か否かを判定し(ステップS330)、4台全ての減圧弁1が運転中であれば(ステップS330,Yes)、切り換えを行わず、
図7の処理を終了する。
【0059】
また、運転中の減圧弁1が4台でなければ(ステップS330,No)、ステップS320で取得した運転状態に基づいて、動作割当部34が、現用系及び予備系のそれぞれ一部の弁について現用系と予備系とを切り換え、開度命令部35が、この切り換えに従って開度命令を出力する(ステップS340)。
【0060】
具体的には、動作割当部34が、現用系の減圧弁1を予備系とし、予備系の減圧弁1を現用系として割り当てを切り換え、この割当情報をメモリに記憶すると共に開度命令部35に通知する。
【0061】
開度命令部35は、通知された切り換え後の割り当てに従って
図4のように二次側蒸気圧の計測値に従った制御を行う。例えば、
図8のタイミング51に示す例の場合、開度命令部35は、現用系として計測値に従った制御を行っていた減圧弁1−1に対し、予備系として全閉とする開度命令を送り、予備系として全閉であった減圧弁1−3に対して計測値に応じた開度に開くように開度命令を送る。
【0062】
この開度命令を受けた減圧弁1−1は、
図9に示すようにタイミング51で閉じ始め、タイミング52で閉じ動作を完了して全閉状態となる。また、開度命令を受けた減圧弁1−3は、
図9に示すようにタイミング51で開き始め、タイミング52で開く動作を完了して指示された開度となる。
【0063】
そして、動作割当部34は、ステップS340の後、所定時間経過したか否かを判定し(ステップS350)、所定時間経過した場合(ステップS350,No)、制御弁1のうち、ステップS340で切り換えた以外の弁について動作割当部34が現用系と予備系とを切り換え、開度命令部35が、この切り換えに従って開度命令を出力して減圧弁1の開閉を制御し(ステップS360)、
図7の処理を終了する。
【0064】
具体的には、動作割当部34が、現用系の減圧弁1を予備系とし、予備系の減圧弁1を現用系として割り当てを切り換え、この情報をメモリに記憶すると共に開度命令部35に通知する。
【0065】
開度命令部35は、通知された切り換え後の割り当てに従って
図4のように二次側蒸気圧の計測値に従った制御を行う。例えば、
図8のタイミング53に示す例の場合、開度命令部35は、現用系として計測値に従った制御を行っていた減圧弁1−2に対し、予備系として全閉とする開度命令を送り、予備系として全閉であった減圧弁1−4に対して計測値に応じた開度に開くように開度命令を送る。
【0066】
この開度命令を受けた減圧弁1−2は、
図9に示すようにタイミング53で閉じ始め、タイミング54で閉じ動作を完了して全閉状態となる。また、開度命令を受けた減圧弁1−4は、
図9に示すようにタイミング53で開き始め、タイミング54で開く動作を完了して指示された開度となる。
【0067】
そして、次の切り換えタイミング(
図8では翌23:00)に達し、
図7の処理によって切り換えが行われると、
図8に示すようにタイミング55で動作割当部34が、予備系と現用系の減圧弁1を切り換え、開度命令部35が、予備系として全閉であった減圧弁1−1に対して計測値に応じた開度に開くように開度命令を送り、現用系として計測値に従った制御を行っていた減圧弁1−3に対し、予備系として全閉とする開度命令を送る。
【0068】
このように、現用系と予備系を交互に切り換えるローテーション制御を毎日繰り返すことで、減圧弁が長期間同じ開度となることが防止される。
【0069】
また、現用系と予備系を切り換える際に、全ての減圧弁1を一度に切り換えるのではなく、現用系と予備系のそれぞれ一部(本例では2台)ずつ切り換えることにより、他の減圧弁によって計測値に基づく制御が継続されるので、切り換えによる二次側蒸気圧の変動を抑えることができる。
【0070】
図8,
図9では、2台の減圧弁1で運転している場合の切り換え動作を示したが、これに限らず、3台の減圧弁1で運転している場合に切り換えを行う場合もある。
【0071】
図10は、3台運転時にローテーションする場合の運転動作の推移を示す表、
図11は、減圧弁1の開閉動作を縦軸にとり、横軸に時間をとって、切り換えタイミングを示したタイミングチャートである。
【0072】
図7の処理を実行し、切り換えタイミングに達したと判定して(ステップS310,Yes)、運転状態を確認した際(ステップS320)、
図10の例では、列60に示したように、現用系の減圧弁1−1,1−2と、増段された減圧弁1−3の3台での運転中であることが取得される。
【0073】
この場合、
図7のステップS340では、動作割当部34が、
図10のタイミング61に示されるように、現用系の減圧弁1−1を予備系とし、予備系の減圧弁1−4を現用系として割り当てを切り換え、この割当情報を開度命令部35に通知する。
【0074】
開度命令部35は、通知された切り換え後の割り当てに従い、現用系として計測値に従った制御を行っていた減圧弁1−1に対し、予備系として全閉とする開度命令を送り、予備系として全閉であった減圧弁1−4に対して計測値に応じた開度に開くように開度命令を送る。
【0075】
この開度命令を受けた減圧弁1−1は、
図11に示すようにタイミング61で閉じ始め、タイミング62で閉じ動作を完了して全閉状態となる。また、開度命令を受けた減圧弁1−4は、
図11に示すようにタイミング61で開き始め、タイミング62で開く動作を完了して指示された開度となる。
【0076】
所定時間経過後(ステップS350,Yes)、
図7のステップS360では、動作割当部34が、
図10のタイミング62に示されるように、現用系の減圧弁1−2を予備系とし、予備系の減圧弁1−3を現用系として割り当てを切り換え、この割当情報を開度命令部35に通知する。
【0077】
開度命令部35は、通知された切り換え後の割り当てに従い、現用系として計測値に従った制御を行っていた減圧弁1−2に対し、予備系として全閉とする開度命令を送り、予備系として全閉状態であった減圧弁1−1に対して増段された予備系として計測値に応じた開度の開度命令を送る。
【0078】
この開度命令を受けた減圧弁1−2は、
図11に示すようにタイミング63で閉じ始め、タイミング64で閉じ動作を完了して全閉状態となる。また、開度命令を受けた減圧弁1−1は、
図11に示すようにタイミング63で開き始め、タイミング64で開く動作を完了して指示された開度となる。
【0079】
なお、
図10,
図11に示すように、3台でローテーション制御を行った後、減段して2台運転する場合には、予備系である減圧弁1−1を全閉状態とする。
【0080】
また、ローテーション制御を行う場合、
図10,
図11に示すように、2度に分けて制御弁1の開閉を切り換えるのが望ましいが、3台の減圧弁1で運転している場合、
図12に示すように一度に切り換えても良い。
【0081】
図12に示す例の場合、
図7のステップS340では、動作割当部34が、
図12のタイミング71で現用系の減圧弁1−1を予備系とし、予備系の減圧弁1−3を現用系として割り当てを切り換え、この割当情報を開度命令部35に通知する。
【0082】
開度命令部35は、通知された切り換え後の割り当てに従い、現用系として計測値に従
った制御を行っていた減圧弁1−1に対し、増段された予備系として計測値に応じた開度とする開度命令を送り、増段された予備系として計測値に従った制御を行っていた減圧弁1−3に対して計測値に応じた開度とする開度命令を送る。
【0083】
この開度命令を受けた減圧弁1−1は、予備系に切り換えられたものの増段された予備系として計測値に応じた制御が継続されるため
図12のように開度の変化としては現れない。また、開度命令を受けた減圧弁1−3は、現用系に切り換えられたものの、
図12に示すように切り換え前から計測値に応じた制御が行われているため、開度の変化としては現れない。
【0084】
所定時間経過後(ステップS350,Yes)、
図7のステップS360では、動作割当部34が、
図12のタイミング73で現用系の減圧弁1−2を予備系とし、予備系の減圧弁1−3を現用系として割り当てを切り換え、この割当情報を開度命令部35に通知する。
【0085】
開度命令部35は、通知された切り換え後の割り当てに従い、現用系として計測値に従った制御を行っていた減圧弁1−2に対し、予備系として全閉とする開度命令を送り、予備系として全閉状態であった減圧弁1−4に対し、現用系として計測値に応じた開度の開度命令を送る。
【0086】
この開度命令を受けた減圧弁1−2は、
図12に示すようにタイミング73で閉じ始め、タイミング74で閉じ動作を完了して全閉状態となる。また、開度命令を受けた減圧弁1−4は、
図12に示すようにタイミング73で開き始め、タイミング74で開く動作を完了して指示された開度となる。
【0087】
なお、このように3台でローテーション制御を行う場合は、
図7のローテーション制御中は、減段を禁止しても良い。
【0088】
以上のように、本実施形態1によれば、減圧弁を複数設け、通常時に運転する減圧弁をローテーションすることにより、減圧弁が、長期間、同じ開度を続けて固着することを防止できる。
【0089】
また、本実施形態1では、通常の範囲を超えて二次側蒸気圧が不足した場合に、予備系の減圧弁を増段することができるため、非常に稀な事態を想定して容量の大きな減圧弁を採用する必要がなく、蒸気の流量が少ない時期に減圧弁の開度が小さくなり過ぎて不純物が堆積するといった固着の要因を抑制することができる。
【0090】
更に、本実施形態1では、現用系と予備系をそれぞれ複数(本例では2台)の減圧弁1で構成し、複数の減圧弁1で通常量の蒸気を供給する能力(サイズ)として1台あたりの減圧弁1の能力を小さくしたことにより、現用系の減圧弁1と予備系の減圧弁1をそれぞれ1台で構成した場合と比べて、夏季のように蒸気の流量が少ないときでも弁体の移動が大きくなるようにして、固着を抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態1の蒸気供給システム10は、減圧弁1を現用系と予備系の二系統で構成したことにより、現用系の減圧弁1が故障した場合でも、蒸気の供給を止めることなく予備系の減圧弁1で運転を行い、故障した減圧弁1の交換等の対応を可能としており、工場や病院、研究施設など、蒸気の供給を止められない施設において好適に利用できる。
【0092】
なお、本実施形態1では、所定時刻にローテーションを行うことで、例を示したが、ローテーションのタイミングは、これに限らず、同じ開度が所定期間継続した場合や、
図6
のように増減段を行う場合をローテーションのタイミングとしても良い。例えば、開度センサを設けて減圧弁1の開度を取得し、メモリ等に記憶しておき、この減圧弁1の開度の変動が所定範囲から変わらない状態が所定期間以上継続した場合、ローテーションのタイミングに達したと判定して
図7と同様に現用系と予備系を切り換える処理を行っても良い。また、
図6のように増段又は減段した際、増段した減圧弁1を現用系に切り換える、又は減段した減圧弁予備系を切り換えても良い。
【0093】
〈実施形態2〉
図13は、実施形態2に係る蒸気供給システム100の系統図である。前述の実施形態1では、2台の現用系減圧弁と2台の予備系減圧弁を切り換える例を示したが、本実施形態2では、1台の現用系と1台の予備系減圧弁を切り換える例を示す。なお、この2台を1台にした以外の部分は同じであるので、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0094】
《装置構成》
図13に示すように、蒸気供給システム100において、減圧弁1−1,1−2は、蒸気を一次側(供給側)から二次側(熱負荷側)へ供給する流路2の途中に設けられている。
【0095】
流路2では、不図示のボイラ装置(蒸気供給源)から蒸気の供給を受ける管路21が一次ヘッダ22に接続され、一次ヘッダ22に管路23接続され、管路23が複数の管路23−1,23−2に分岐し、この分岐した管路23−1,23−2の途中に減圧弁1−1,1−2が設けられている。
【0096】
また、流路2において、管路23−1,23−2が二次側で管路25と接続し、管路25が二次ヘッダ27と接続し、二次ヘッダ27に管路28が接続されている。
弁制御装置3は、制御線31を介して各減圧弁1−1,1−2と電気的に接続している。
【0097】
《制御方法》
上記構成の蒸気供給システム100における減圧弁1の制御方法について説明する。
【0098】
図14は、動作割当部34による増減段処理の説明図、
図15は、現用系と予備系を定期的に切り換えるローテーション制御の説明図、
図16は、ローテーションに伴う運転状態の推移を示す表、
図17は、減圧弁1の開閉動作を縦軸にとり、横軸に時間をとって、切り換え時の各減圧弁1の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。
【0099】
図14の処理は、
図6において減圧弁1を1台増段する処理S110〜S190とほぼ同じである。
図14の処理が起動されると、動作割当部34は、蒸気圧取得部33で取得した計測値が閾値(
図14の例では0.30MPa)以下か否かを判定し(ステップS110)、計測値が、閾値以下でない場合(ステップS110,No)、現用系の1台での運転とする(ステップS120A)。なお、この
図14の処理と並行して開度命令部35は、
図4の処理を行い、
図14のステップS120Aで1台運転となった場合には、
図4のステップS30では、この現用系の減圧弁1が運転中であることを特定する。
【0100】
一方、動作割当部34は、計測値が閾値以下の場合(ステップS110,Yes)、1台増段した後、
図6と同様に減段するか否かの判定処理(S150〜S180)を行い、減段と判定した場合(ステップS180,Yes)、2台目の減圧弁1を減段し(ステップS190A)、1台運転とする(ステップS120A)。
【0101】
次にローテーション制御について説明する。
図15の処理を開始すると、動作割当部34は、前述の
図7と同様にローテーションの処理(S310〜S340)を行う。なお、本実施形態2では、1台の現用系減圧弁1と1台の予備系減圧弁1との切り換えなので、一度の切り換え(S340)で
図15のローテーション処理を終了する。
【0102】
ここで、
図10のタイミング61と同様に、本実施形態2の現用系減圧弁1−1を全閉とする動作と、予備系減圧弁1−2を所定の開度に開く動作とを同時に行うと、切り換えが完了するまで二次側蒸気圧を目標値に保つ制御が行えない。このため、本実施形態2では、一方の減圧弁1で開動作を開始した場合、他方の減圧弁1で二次側蒸気圧を目標値に保つ制御を行い、所定の開度でこの制御を切り換え、一方の減圧弁1で二次側蒸気圧を目標値に保つ制御を行い、他方の減圧弁1で閉動作を行う。
【0103】
例えば、
図16に示すタイミング81で動作割当部34によって現用系と予備系が切り換えられた場合、開度命令部35は、予備系として全閉であった減圧弁1−2に対して所定の開度に開くように開度命令を送る。この開度命令を受けた減圧弁1−2は、
図17に示すタイミング81から直線Laのように開き始める。
【0104】
一方、開度命令部35は、現用系として計測値に基づく制御を行っていた減圧弁1−1について、タイミング81で予備系に切り換えられても計測値に基づく制御を継続する。従って、開度命令部35は、タイミング81から減圧弁1−2が開き始め、二次側蒸気圧の計測値が上昇すると、これを目的値に保つため
図17の直線Lbの如く開度を逓減させるように、減圧弁1−1へ開度命令を送る。この開度命令を受けた減圧弁1−1は、
図17に示す直線Lbのように、減圧弁1−2と逆にタイミング81から閉じ始める。
【0105】
そして、開度命令部35は、二次側蒸気圧を目標値に保つための減圧弁1−1の開度が所定の開度に達した、例えば50%以下に達したと判定した場合(
図16のタイミング82)、現用系減圧弁1−2について計測値に基づく制御を開始し、予備系の減圧弁1−1に対して開度を0%(全閉)とする開度命令を送る。
【0106】
この全閉とする開度命令を受けた減圧弁1−1は、
図17の直線Ldに示すように全閉に向けて閉じる動作を行い、タイミング83で閉じ動作を完了する。
【0107】
一方、減圧弁1−2は、
図17に示す直線Lcのように、タイミング82からタイミング83にかけて減圧弁1−2とは逆に開く動作を行い、タイミング83以降は、通常の1台運転を行う。
【0108】
そして、次の切り換えタイミング(
図16のタイミング84、翌23:00)に達すると、動作割当部34が、予備系と現用系の減圧弁1を切り換え、開度命令部35が、予備系として全閉であった減圧弁1−1に対して計測値に応じた開度に開くように開度命令を送る。
【0109】
一方、開度命令部35は、現用系として計測値に基づく制御を行っていた減圧弁1−2について、タイミング84で予備系に切り換えられても計測値に基づく制御を継続する。従って、開度命令部35は、タイミング84から減圧弁1−1が開き始め、二次側蒸気圧の計測値が上昇すると、これを目的値に保つため
図17の直線Lbの如く開度を逓減させるように、減圧弁1−2へ開度命令を送る。
【0110】
そして、開度命令部35は、二次側蒸気圧を目標値に保つための減圧弁1−1の開度が50%以下に達したと判定した場合(
図16のタイミング85)、現用系減圧弁1−1について計測値に基づく制御を開始し、予備系の減圧弁1−2に対して開度を0%(全閉)
とする開度命令を送る。
【0111】
この全閉とする開度命令を受けた減圧弁1−2は、全閉に向けて閉じる動作を行い、タイミング86で閉じ動作を完了する。一方、減圧弁1−1は、タイミング85からタイミング86にかけて減圧弁1−2とは逆に開く動作を行い、タイミング86以降は、通常の1台運転を行う。
【0112】
このように、本実施形態2によれば、現用系と予備系を交互に切り換えるローテーション制御を毎日繰り返すことで、予備系の減圧弁が、長期間、閉じ同じ開度を続けて固着することを防止できる。
【0113】
また、本実施形態2では、通常の範囲を超えて二次側蒸気圧が不足した場合に、予備系の減圧弁を増段して2台で運転することができるため、非常に稀な事態を想定して容量の大きな減圧弁1を採用する必要がなく、蒸気の流量が少ない時期に減圧弁の開度が小さくなり過ぎて不純物が堆積するといった固着の要因を抑制することができる。
【0114】
また、現用系と予備系を切り換える際に、全ての減圧弁1の開閉を一度に切り換えるのではなく、1台ずつ切り換えることにより、他の減圧弁によって計測値に基づく制御が行われるので、切り換えによる二次側蒸気圧の変動を抑えることができる。
【0115】
〈実施形態3〉
図18は、実施形態3に係る蒸気供給システム200の系統図である。前述の実施形態1では、2台の現用系減圧弁と2台の予備系減圧弁を切り換える例を示したが、本実施形態3では、3台の減圧弁を備え、負荷に応じて必要な台数を稼動させるシステムの例を示す。なお、本実施形態では、平常時に一台だけで稼動する減圧弁1を現用系、他の2台の減圧弁1を予備系と定義する。本実施形態3は、前述実施形態2と比べて減圧弁を3台にした以外の部分は同じであるので、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0116】
《装置構成》
図18に示すように、蒸気供給システム200において、減圧弁1−1,1−2は、蒸気を一次側(供給側)から二次側(熱負荷側)へ供給する流路2の途中に設けられている。
【0117】
流路2では、不図示のボイラ装置(蒸気供給源)から蒸気の供給を受ける管路21が一次ヘッダ22に接続され、一次ヘッダ22に管路23接続され、管路23が複数の管路23−1,23−2,23−3に分岐し、この分岐した管路23−1,23−2,23−3の途中に減圧弁1−1,1−2,1−3が設けられている。
【0118】
また、流路2において、管路23−1,23−2,23−3が二次側で管路25と接続し、管路25が二次ヘッダ27と接続し、二次ヘッダ27に管路28が接続されている。
【0119】
弁制御装置3は、制御線31を介して各減圧弁1−1,1−2,1−3と電気的に接続している。
【0120】
各減圧弁1−1,1−2,1−3は、同じ構造であり、共通の事項について説明する場合には、減圧弁1と総称する。
【0121】
《制御方法》
上記構成の蒸気供給システム10における減圧弁1の制御方法について説明する。
【0122】
図19は、動作割当部34による増減段処理の説明図、
図20は、ローテーションに伴う運転状態の推移を示す表である。
【0123】
前述の
図6の処理が平常時に減圧弁1を2台で運転するのに対し、
図19の処理では、平常時に減圧弁1を1台で運転することが異なり、その他の処理はほぼ同じである。即ち、
図19の処理が起動されると、動作割当部34は、蒸気圧取得部33で取得した計測値が第一の閾値(
図19の例では0.30MPa)以下か否かを判定し(ステップS110)、計測値が、第一の閾値以下でない場合(ステップS110,No)、現用系の1台での運転とする(ステップS120A)。なお、この
図19の処理と並行して開度命令部35は、
図4の処理を行い、
図19のステップS120Aで1台運転となった場合には、
図4のステップS30では、この現用系の減圧弁1が運転中であることを特定する。
【0124】
一方、動作割当部34は、計測値が第一の閾値以下の場合、(ステップS110,Yes)、
図6と同様に1台増段した場合には(ステップS130,140)、この増段した2台目の減圧弁1を減段するか否かの判定処理(S150〜S180)を行い、減段と判定した場合(ステップS180,Yes)、2台目の減圧弁1を減段し(ステップS190A)、1台運転とする(ステップS120A)。
【0125】
一方、2台増段した場合、(ステップS130,S200)、動作割当部34は、この増段した3台目の減圧弁1を減段するか否かの判定処理(S240〜S250)を行い、減段と判定した場合(ステップS250,Yes)、動作割当部34は、3台目の減圧弁1を減段する(ステップS260A)。
【0126】
また、動作割当部34は、増段した2台目の減圧弁1を減段するか否かの判定処理(S220〜S270)を行い、減段と判定した場合(ステップS680,Yes)、2台目の減圧弁1を減段し(ステップS280)、1台運転とする(ステップS120A)。
【0127】
次にローテーション制御について説明する。本実施形態3のローテーション制御は、前述の実施形態2と比べて、3台でローテーションする点が異なり、現用系減圧弁1と予備系減圧弁1とを切り換える処理は、
図15と同じである。
【0128】
図20に示す定期的な切り換えタイミング91に達した場合、切り換え前の状態は列90に示すように減圧弁1−1が現用系(運転中)であり、減圧弁1−2,1−3が予備系(全閉)である。このため、動作割当部34は、減圧弁1−1を予備系に切り換え、減圧弁1−2を現用系に切り換える。ここで、2台の予備系のうち、どちらの減圧弁1を現用系に換えるかは、例えば予め順序を決めておき、この順序に従って切り換える。
【0129】
この切り換えに従って開度命令部35は、
図16のタイミング81〜83と同様に減圧弁1−1を現用系から予備系に切り換えて全閉とし、減圧弁1−2を予備系から現用系に切り換えて計測値に基づく制御を行う。
【0130】
そして、次の切り換えタイミング94に達した場合、切り換え前の状態は減圧弁1−2が現用系(運転中)であり、減圧弁1−1,1−3が予備系(全閉)である。このため、動作割当部34は、減圧弁1−2を予備系に切り換え、減圧弁1−1,1−3のうち一つ、例えば前述の順序に従って減圧弁1−3を現用系に切り換える。この切り換えに従って開度命令部35は、予備系として全閉であった減圧弁1−3に対して所定の開度に開くように開度命令を送る。この開度命令を受けた減圧弁1−3は、
図17の直線Laに示すように指定の開度に向けて開く動作を行う。一方、開度命令部35は、現用系として計測値に基づく制御を行っていた減圧弁1−2について、タイミング94で予備系に切り換えら
れても計測値に基づく制御を継続する。
【0131】
この場合、開度命令部35は、減圧弁1−3が開き始めて、二次側蒸気圧の計測値が上昇するのに対して、二次側蒸気圧を目的値に保つため減圧弁1−2へ開度を逓減させるように開度命令を送る。この開度命令を受けた減圧弁1−2は、
図17の直線Lbに示すように二次側蒸気圧の計測値に応じて閉じるように制御される。
【0132】
そして、開度命令部35は、二次側蒸気圧を目標値に保つための減圧弁1−2の開度が所定の開度に達した、例えば50%以下に達したと判定した場合(
図20のタイミング95)、現用系減圧弁1−3について計測値に基づく制御を開始し、予備系の減圧弁1−2に対して開度を0%(全閉)とする開度命令を送る。
【0133】
この全閉とする開度命令を受けた減圧弁1−2は、
図17の直線Ldに示すように全閉に向けて閉じる動作を行い、タイミング96で閉じ動作を完了する。
【0134】
一方、減圧弁1−3は、
図17に示す直線Lcのように、タイミング94からタイミング95にかけて減圧弁1−2とは逆に開く動作を行い、タイミング86以降は、通常の1台運転を行う。
【0135】
そして、更に次の切り換えタイミング97に達した場合、切り換え前の状態は減圧弁1−3が現用系(運転中)であり、減圧弁1−1,1−2が予備系(全閉)である。このため、動作割当部34は、減圧弁1−3を予備系に切り換え、減圧弁1−1,1−2のうち一つ、例えば前述の順序に従って減圧弁1−1を現用系に切り換える。この切り換えに従って開度命令部35は、前述のタイミング94〜96と同様に減圧弁1−3を現用系から予備系に切り換えて全閉とし、減圧弁1−1を予備系から現用系に切り換えて計測値に基づく制御を行う(タイミング97〜99)。
【0136】
このように本実施形態3によれば、負荷に応じて必要な台数を稼動させるシステムにおいても、蒸気の供給量が少ないときに運転する減圧弁(現用系の減圧弁)を定期的にローテーションすることで、減圧弁が、長期間、同じ開度を続けて固着することを防止できる。
【0137】
なお、本実施形態では、1台の現用系減圧弁と2台の予備系減圧弁を用いた例を示したが、予備系の減圧弁が増えた場合でも同様にローテーションを行うことができる。
【0138】
また、上記実施形態1〜3では、供給する蒸気の圧力を制御する減圧弁の例を示したが、減圧弁に限らず、電気的に開閉を制御できる弁で、流体の流量又は圧力を制御する構成であれば良い。
【0139】
更に、上記実施形態1〜3では、蒸気の例を示したが、蒸気に限らず、他の気体、液体等、弁の開閉で制御可能な流体であれば良い。
【0140】
また、上記実施形態1〜3では、上述のように減圧弁1の制御に露点計ではなく、圧力計4を採用して二次側蒸気圧に基づいて制御する例を示したが、流量計の検出値に基づいて減圧弁1の制御を行う構成でも良い。例えば、
図21は、実施形態1の圧力計4に代えて、管路25,26に流量計5を設け、流量計5の計測値に基づいて、管路25,26を通る流体の流量が目標値となるように弁1−1,1−2,1−3,1−4の開閉を制御するシステム300である。当該システム300は、圧力計4を流量計5に代えた構成が異なり、その他の構成は前述の実施形態1の蒸気供給システム10と同じである。即ち、
図21のシステム300においても
図7と同様に弁1−1,1−2,1−3,1−4のロー
テーションを行うことで、弁1−1,1−2,1−3,1−4の固着を防止できる。