(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290585
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】バッチ式基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20180226BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20180226BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20180226BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20180226BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C16/458
H01L21/324 Q
H01L21/205
H01L21/31 F
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-219183(P2013-219183)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-93522(P2014-93522A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2016年7月5日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0125073
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506406663
【氏名又は名称】株式会社テラセミコン
【氏名又は名称原語表記】TERASEMICON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュンイル・リー
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ヒソク・キム
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−310848(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/104204(WO,A1)
【文献】
特開2009−194099(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/035879(WO,A1)
【文献】
国際公開第2005/069361(WO,A1)
【文献】
特開2005−012058(JP,A)
【文献】
特開2001−313268(JP,A)
【文献】
特開平06−168902(JP,A)
【文献】
特開2000−232151(JP,A)
【文献】
米国特許第06287112(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0185308(US,A1)
【文献】
特開2008−047650(JP,A)
【文献】
特開2009−152283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/458
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を水平姿勢で上下方向に所定間隔を隔てて積層して搭載した状態でローディングするためのボートを含むバッチ式基板処理装置であって、
前記複数枚の基板を底面から支持して載置するための複数のリングホルダと、
前記ボートに設けられた第1、第2、及び第3の垂直フレームと、
前記各リングホルダを3点支持方式で載置するべく前記第1、第2、及び第3の垂直フレームに上下方向に所定間隔を隔てて複数の高さ位置のそれぞれで突設された第1、第2、及び第3の支持ロッドであって、前記各リングホルダを前記第1の支持ロッドによって支持する点と前記第2の支持ロッドによって支持する点との角度間隔、及び前記第1の支持ロッドによって支持する点と前記第3の支持ロッドによって支持する点との角度間隔が、それぞれ91゜超かつ150゜以下であり、前記第1の垂直フレームと前記第2の垂直フレームとがなす角度間隔、及び前記第1の垂直フレームと前記第3の垂直フレームとがなす角度間隔が91゜以上である、該第1、第2、及び第3の支持ロッドと、
前記ボート内における前記支持ロッドの上方かつ前記リングホルダの外側の空間内に進入可能な形状を有し、前記基板を底面から支持した状態でボトム−リフト方式により前記ボート内へローディングしかつ/または前記ボートからアンローディングするエンドエフェクタとを含み、
前記エンドエフェクタが、先端がU字状の二叉形状を有し、前記U字状部分において、前記リングホルダの直径よりも大きな内側面間距離及び前記第2の垂直フレームと前記第3の垂直フレームとの間の距離よりも小さな外側面間距離を有し、
前記各リングホルダを前記第1の支持ロッドによって支持する点と前記第2の支持ロッドによって支持する点との角度間隔が、前記第1の垂直フレームと前記第2の垂直フレームとがなす角度間隔より大きく、前記各リングホルダを前記第1の支持ロッドによって支持する点と前記第3の支持ロッドによって支持する点との角度間隔が、前記第1の垂直フレームと前記第3の垂直フレームとがなす角度間隔より大きいことを特徴とするバッチ式基板処理装置。
【請求項2】
前記複数枚の基板の各々の重心が前記第2の支持ロッドによって支持する点と前記第3の支持ロッドによって支持する点とを結んだ直線より前記第1の支持ロッドによって支持する点の側に位置するように、前記複数枚の基板の各々が配置されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項3】
前記リングホルダを固定的に載置することができるように、前記リングホルダを載置可能な段差を前記支持ロッドの先端部に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項4】
前記リングホルダの直径が、前記基板の直径の0.6倍ないし0.8倍であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項5】
前記基板の直径が300mmであり、かつ前記リングホルダのリング幅が2mmないし25mmであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項6】
前記リングホルダのリング幅が2mmないし5mmであることを特徴とする請求項5に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項7】
前記エンドエフェクタが、前記U字状部分において、前記基板の直径よりも小さな外側面間距離を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項8】
前記第1の垂直フレームと前記第2の垂直フレームとがなす角度間隔、及び前記第1の垂直フレームと前記第3の垂直フレームとがなす角度間隔が120゜未満であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項9】
複数枚の基板を水平姿勢で上下方向に所定間隔を隔てて積層して搭載した状態でローディングするためのボートを含むバッチ式基板処理装置であって、
前記複数枚の基板を底面から支持して載置するための複数のリングホルダと、
前記ボートに設けられた第1、第2、及び第3の垂直フレームと、
前記各リングホルダを3点支持方式で載置するべく前記第1、第2、及び第3の垂直フレームに上下方向に所定間隔を隔てて複数の高さ位置のそれぞれで突設された第1、第2、及び第3の支持ロッドであって、前記第1、第2、及び第3の垂直フレームから突設された前記第1、第2、及び第3の支持ロッドの先端が、前記リングホルダまたは前記基板の中心点に向けられた、該第1、第2、及び第3の支持ロッドと、
前記ボート内における前記支持ロッドの上方かつ前記リングホルダの外側の空間内に進入可能な形状を有し、前記基板を底面から支持した状態でボトム−リフト方式により前記ボート内へローディングしかつ/または前記ボートからアンローディングするエンドエフェクタとを含み、
前記エンドエフェクタが、先端がU字状の二叉形状を有し、前記U字状部分において、前記リングホルダの直径よりも大きな内側面間距離及び前記第2の垂直フレームと前記第3の垂直フレームとの間の距離よりも小さな外側面間距離を有し、
互いに隣接する前記垂直フレーム間の角度間隔を調整することにより、前記第1、第2、及び第3の支持ロッドが前記リングホルダを91゜以上120゜以下の角度間隔を隔てて3点支持方式で支持することができるようにし、
前記複数枚の基板の各々の重心が前記第2の支持ロッドによって支持する点と前記第3の支持ロッドによって支持する点とを結んだ直線より前記第1の支持ロッドによって支持する点の側に位置するように、前記複数枚の基板の各々が配置されるように構成されたことを特徴とするバッチ式基板処理装置。
【請求項10】
前記ボートが、石英、シリコンカーバイド(SiC)、黒鉛、カーボン複合材またはシリコン(Si)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項11】
前記リングホルダが、石英、シリコンカーバイド(SiC)、黒鉛、カーボン複合材またはシリコン(Si)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のバッチ式基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチ式基板処理装置に関し、より詳細には、リングホルダ上に載置された基板を、ボトム−リフト(bottom-lift)方式のエンドエフェクタ(end effector)を用いてローディング及び/またはアンローディングすることができるバッチ式基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、蒸着(Vapor Deposition)装置と、アニーリング(Annealing)装置とに大別される。
【0003】
蒸着装置は、半導体の核心構成をなす透明伝導層、絶縁層、金属層またはシリコン層を形成する装置であって、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)またはPECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)などのような化学気相蒸着装置と、スパッタリング(Sputtering)などのような物理気相蒸着装置とがある。
【0004】
アニーリング装置は、半導体の製造に用いられるシリコンウエハなどの基板上に蒸着されている所定の薄膜に対して結晶化、相変化などのプロセスのために必須の熱処理過程を行う装置である。
【0005】
図1は、従来のバッチ式基板処理装置を示す斜視図であり、
図2は、
図1のバッチ式基板処理装置の平面図及び断面図である。このような従来のバッチ式基板処理装置は、韓国登録特許第772462号公報(特許文献1)に開示されている。
【0006】
図1及び
図2を参照すると、従来のバッチ式基板処理装置は、半導体製造プロセスを処理するための反応チャンバ(図示せず)であって、内部に収容空間を有し、下部に開口部を有するチャンバと、複数枚の円板状基板10を水平姿勢で上下方向に所定間隔を隔てて積層して搭載した状態でローディング(搬入)するためのボート(リングボート)20とを備えている。
【0007】
ここで、ステージ(図示せず)に設けられたカセット(図示せず)に収納された基板10は、ロボットアームのエンドエフェクタ40によってボート20へ移送される。
【0008】
ボート20は、基板10の周囲を囲む如く配置された3つの支柱状の垂直フレーム、すなわち、基板10の搬出入方向に見て左右両側にそれぞれ1つずつ配置された1対の垂直フレーム22及び前方に配置された1つの垂直フレーム24(以下、集合的に「垂直フレーム22、24」と呼ぶ。)を含み、各垂直フレーム22、24からは基板10の枚数と同じ本数の支持ロッド26が上下方向に所定間隔で突出形成されている。
【0009】
垂直フレーム22、24からそれぞれ水平方向に突設されかつ同一平面上に位置する3本の支持ロッド26によって、円環(リング)形状のリングホルダ30が底面から支持される。このとき、これら3本の支持ロッド26がリングホルダ30を支持する点は、等角度間隔(120゜)をなしている。
【0010】
リングホルダ30上には、基板10を載置することができる。リングホルダ30は、その枠面(上端面)上において基板10を底面から支持することができる。
【0011】
基板10の下側の空間は、リングホルダ30及びリングホルダ30の外側空間に干渉する支持ロッド26によって閉鎖されており、基板10の上側の空間は、トップ−エッジ−グリップ(top-edge-grip)方式のエンドエフェクタ40により基板10をローディング及びアンローディングするために、支持ロッド26の占有空間を除いて外部に露出されている。ここで、トップ−エッジ−グリップ方式のエンドエフェクタ40は、エンドエフェクタ40の作業経路と同一平面内で作業経路の両側から内向きに突設された2本の支持ロッド26間に進入可能な大きさの幅を有しており、残りの1本の支持ロッド26(すなわち、上記平面内で作業経路を延長した仮想線上において内向きに突設された支持ロッド26)との干渉を回避するために、エンドエフェクタ40の先端部には回避溝部28が設けられている。
【0012】
しかし、従来のバッチ式基板処理装置では、基板10の下側の空間が閉鎖されているのでエンドエフェクタ40が入り込むことができず、基板10の上側の空間だけが露出しているので、トップ−エッジ−グリップ方式のエンドエフェクタ40を用いてローディング及び/またはアンローディングを行う場合に基板10間のピッチ(間隔)Pが大きくなるという問題点があった。具体的には、トップ−エッジ−グリップ方式のエンドエフェクタ40は、基板10の上方(トップ)から下降して基板10の両端部(エッジ)を把持(グリップ)するために最小限の作業空間aが確保されなければならないため、このような制限はピッチPを拡大させ、ボート20に搭載可能な基板10の枚数を減少させるという問題点があった。
【0013】
また、トップ−エッジ−グリップ方式のエンドエフェクタ40は、基板10を把持するために複雑な構成を有し、かつ、エンドエフェクタ40がボート20内に進入するステップと、エンドエフェクタ40が下降して基板10を把持するステップと、エンドエフェクタ40が上昇して基板10をアンローディングするステップとを経るため、プロセス時間が増加するという問題点があった。
【0014】
さらに、トップ−エッジ−グリップ方式のエンドエフェクタ40が基板10を把持するため、ローディング及び/またはアンローディング中に基板10の上面が汚染物質に暴露される可能性が高く、相対的にエンドエフェクタ40と基板10の上面とが接触することによって、基板10の上面にスクラッチが生じるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国登録特許第772462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、上記の従来技術の諸問題点を解決するためになされたものであって、リングホルダ上に載置された基板をボトム−リフト方式により処理することができるバッチ式基板処理装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、基板間のピッチを小さくしてボートに搭載可能な基板の枚数を増加させることによって、単位プロセス当たりの基板の処理量を増加させることができるバッチ式基板処理装置を提供することを目的とする。
【0018】
さらに、本発明は、構造が簡単なエンドエフェクタを採用したバッチ式基板処理装置を提供することを目的とする。
【0019】
なお、本発明は、基板のローディング及び/またはアンローディング時間を減少させ、プロセス時間を画期的に減少させたバッチ式基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態にかかるバッチ式基板処理装置は、複数枚の基板を水平姿勢で上下方向に所定間隔を隔てて積層して搭載した状態でローディングするためのボートを含むバッチ式基板処理装置であって、複数枚の基板を底面から支持して載置するための複数のリングホルダと、リングホルダを底面から支持して載置するべくボートの複数の垂直フレームに上下方向に所定間隔を隔てて突設された複数の支持ロッドと、ボート内における支持ロッドの上方かつリングホルダの外側の空間内に進入可能な形状を有し、基板を底面から支持した状態でボトム−リフト方式によりボート内へローディングしかつ/またはボートからアンローディングするエンドエフェクタとを含むことを特徴とする。
【0021】
また、上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態にかかるバッチ式基板処理装置は、複数枚の基板を水平姿勢で上下方向に所定間隔を隔てて積層して搭載した状態でローディングするためのボートを含むバッチ式基板処理装置であって、基板を底面から支持して載置するためのリングホルダと、各リングホルダを91゜ないし150゜の角度間隔を隔てて3点支持方式で載置するべく各垂直フレームに上下方向に所定間隔を隔てて突設された複数の支持ロッドと、ボート内における支持ロッドの上方かつリングホルダの外側の空間内に進入可能な形状を有し、基板を底面から支持した状態でボトム−リフト方式によりボート内へローディングしかつ/またはボートからアンローディングするエンドエフェクタとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
このように構成された本発明によれば、リングホルダ上に載置された基板をボトム−リフト方式で処理することができるという効果がある。
【0023】
また、本発明は、基板間のピッチを小さくしてボートに搭載可能な基板の枚数を増加させることによって、単位プロセス当たりの基板の処理量を増加させることができるという効果がある。
【0024】
さらに、本発明は、構造が簡単なエンドエフェクタを採用することができるという効果がある。
【0025】
また、本発明は、基板のローディング及び/またはアンローディング時間を減少させ、プロセス時間を画期的に減少させることができるという効果がある。
【0026】
なお、本発明は、大面積基板を最適化された大きさのリングホルダで支持することによって、基板の撓みを防止するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来のバッチ式基板処理装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のバッチ式基板処理装置の平面図及び断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかるバッチ式基板処理装置を示す斜視図である。
【
図4】
図3のバッチ式基板処理装置の平面図及び断面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態にかかるバッチ式基板処理装置を示す斜視図である。
【
図6】
図5のバッチ式基板処理装置の平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
後述する本発明に関する詳細な説明は、本発明が実施できる特定の実施形態を例として示す添付図面を参照する。これら実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明される。本発明の多様な実施形態は互いに異なるが、相互排他的である必要はないことが理解されなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は一実施形態に関連し、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲内で他の実施形態で実現可能である。また、それぞれの開示された実施形態における個別構成要素の位置または配置は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲内で変更可能であることが理解されなければならない。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として受け入れるものではなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、その請求項が主張するのと均等なすべての範囲と共に添付した請求項によってのみ限定される。図面において、類似の参照符号は、様々な側面にわたって同一または類似の機能を指し示し、長さ及び面積、厚さなどとその形態は便宜のために誇張されて表現されていることがある。
【0029】
本明細書において、基板は、半導体基板、LED、LCDなどの表示装置に用いる基板、太陽電池基板などを含む意味で理解できる。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態にかかるバッチ式基板処理装置を示す斜視図であり、
図4は、
図3のバッチ式基板処理装置の平面図及び断面図である。
【0032】
図3を参照すると、本発明の一実施形態にかかるバッチ式基板処理装置100には、ボート(リングボート)200と、複数の円環(リング)形状のリングホルダ300と、ボトム−リフト方式のエンドエフェクタ400とが含まれている。
【0033】
ボート200は、複数枚の円板状基板10を水平姿勢で上下方向に所定間隔を隔てて積層して搭載した状態でローディングするためのバッチ式基板処理装置用ボートである。ボート200の材質は、石英、シリコンカーバイド(炭化ケイ素:SiC)、黒鉛、カーボン複合材、シリコン(Si)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0034】
ボート200は、複数の、好適には3つの、支柱状の垂直フレーム220、240を含むことができる。以下では、ボート200の垂直フレーム220、240を3つと想定して説明する。
【0035】
ボート200の水平断面は略円形であるが、その円周の概ね半分に相当する部分に含まれるように垂直フレーム220、240が配置されており、残りの半分において前面開口部5が画定されている。前面開口部5は、エンドエフェクタ400の作業経路上にあり、ここを通って基板10をローディングしかつ/またはアンローディングすることができる。
【0036】
ここで、
図3及び
図4においては、エンドエフェクタ400の作業経路を延長した仮想線上に位置する垂直フレーム240を基準として、残りの2つの垂直フレーム220となす角度間隔Aがそれぞれ91゜となるように配置されている実施形態が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、エンドエフェクタ400が通過できる範囲内で、垂直フレーム240と垂直フレーム220とがなす角度間隔Aが91〜120゜となるように垂直フレームを配置することができる。詳細については、
図5及び
図6に関連して後述する。
【0037】
各垂直フレーム220、240には、基板10を水平姿勢で多段に保持することができるようにボート200の内側に向けて突出させた支持ロッド260を所定の高さ間隔を隔てて複数配置することができる。
【0038】
支持ロッド260は、リングホルダ300を底面から支持して載置することができるように構成されている。支持ロッド260は、リングホルダ300を91〜150゜の角度間隔を隔てて3点支持方式により支持して載置することができる。
【0039】
リングホルダ300をより固定的に載置することができるように、リングホルダ300を載置可能な段差262を支持ロッド260の先端部に形成することもできる。
【0040】
基板10を超高温(約1200〜1350℃)で熱処理する場合には、基板10及びリングホルダ300において垂れ下がり現象が発生し得る。したがって、リングホルダ300を120゜の等間隔で3点支持することにより、リングホルダ300及びリングホルダ300上の基板10の重量を支持ロッド260によって均等に支持できるようにすることが好ましい。
【0041】
しかし、基板10を中温ないし高温(約500〜800℃)で熱処理する場合には、基板10及びリングホルダ300における垂れ下がり現象をやや減少させることができるため、リングホルダ300を120゜の等間隔で3点支持する必要性が緩和される。したがって、中温ないし高温で熱処理を行う場合には、3本の支持ロッド260とリングホルダ300とがそれぞれ接触する3つの点の角度間隔を91〜150゜にすることができる。具体的には、エンドエフェクタ400の作業経路を延長した仮想線上に位置する垂直フレーム240から中心点Cの方向に向かって突設された支持ロッド260’とリングホルダ300との接触点と、垂直フレーム220から突設された支持ロッド260’’とリングホルダ300との接触点とがなす角度間隔B(両接触点を両端とする弧に対する中心角)は、91〜150゜であり得る。
【0042】
リングホルダ300は、高温熱処理過程における基板のスリップ(シリコン格子の結晶欠陥)の発生を防止するとともに、大口径化(300mm、450mm)された基板10を底面から支持して構造的に垂れ下がりを防止するために用いられる。リングホルダ300は、高温環境と反応プロセスの化学環境に対応するために、セラミック系、例えば、シリコンカーバイド(SiC)で形成することができ、他にも、石英、黒鉛、カーボン複合材またはシリコン(Si)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0043】
基板10を安定的に支持するために、各リングホルダ300は、その中心軸[または中心点C]が一致するように配置されることが好ましい。ここで、中心軸[または中心点C]とは、リングホルダ300または基板10の重心を通る垂線[または重心点(原点)]であると理解できる。一方、リングホルダ300が基板10を効果的に全面積にわたって均等に支持するために、リングホルダ300の直径を基板10の直径の0.6ないし0.8倍にすることができる。特に、リングホルダ300の内側及び外側に基板10の面積をそれぞれ1/2ずつ支持させるために、リングホルダ300の直径は基板10の直径の0.7倍であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、プロセス温度、基板の大きさ及び強度などを考慮して、リングホルダ300の直径を適切に変更することができる。
【0044】
また、基板10の直径が300mmであるとき、リングホルダ300のリング幅は2〜25mmであってよく、より好適には2〜5mmであってよい。リングホルダ300が基板10の直径の0.7倍に相当する210mmの直径(外径)を有する場合、リングホルダの300のリング幅を2〜25mmに設定すると、基板10がリングホルダ300と接触する面積の割合を約1.85〜20.56%にすることができ、リングホルダ300のリング幅を2〜5mmに設定すると、基板10がリングホルダ300と接触する面積の割合を約1.85〜4.56%にすることができる。別の実施形態として、リングホルダ300が199mmの直径(外径)を有する場合、リングホルダ300のリング幅を2〜25mmに設定すると、基板10がリングホルダ300と接触する面積の割合を約1.85〜15.56%にすることができ、リングホルダ300のリング幅を2〜5mmに設定すると、基板10がリングホルダ300と接触する面積の割合を約1.75〜4.31%にすることができる。したがって、リングホルダ300のリング幅を2〜5mmに設定すると、基板10の略5%より低い水準の面積しかリングホルダ300と接触しないので、基板10の垂れ下がりを防止すると同時に、基板10の下部のスクラッチをさらに減少させることができるという利点がある。
【0045】
同様に、基板10の直径が450mmであるときにも、リングホルダ300のリング幅を調整することにより、基板10の垂れ下がりを防止すると同時に、基板10の下部のスクラッチを減少させる範囲で基板10とリングホルダ300との接触する面積の割合を調整することができる。
【0046】
エンドエフェクタ400は、ボトム−リフト方式により基板10をボート200へローディングしかつ/またはボート200からアンローディングすることを可能にする。
【0047】
さらに、
図3及び
図4を参照すると、本発明の一実施形態にかかるボトム−リフト方式のエンドエフェクタ400は、ボート200内における支持ロッド260’’の上方かつリングホルダ300の外側の空間内に進入可能な形状を有し、基板10を底面から支持した状態でボート200内へローディングしかつ/またはボート200からアンローディングすることができる。ボート200内への進入時にリングホルダ300と干渉することを回避するために、ボトム−リフト方式のエンドエフェクタ400は、先端が略U字状の二叉(フォーク)形状を有することができる。また、
図4の(b)の平面図に示されるように、エンドエフェクタ400が、先端が略U字状の二叉形状を有することによって、垂直フレーム240から突設された支持ロッド260’との干渉の問題も自然に解決することができる。また、
図4の(b)の断面図に示されているように、エンドエフェクタ400がボート200内に進入するとき、エンドエフェクタ400は、リングホルダ300の高さとほぼ同じ高さであるが支持ロッド260’’の上面よりも高い位置にあるので、2つの垂直フレーム220から突設された支持ロッド260’’との干渉の問題も解決できる。つまり、エンドエフェクタ400の進入高さを、2つの垂直フレーム220から突設された支持ロッド260’’の高さと異ならせることにより、支持ロッド260’’との干渉の問題を解決することができる。
【0048】
また、エンドエフェクタ400は、リングホルダ300との干渉回避と同時に基板10を安定的かつ効果的に支持することができるように、略U字状部分において、リングホルダ300の直径よりも大きな内側面間距離d1及び基板10の直径よりも小さな外側面間距離d2を有することが好ましい。
【0049】
一実施形態として、基板10の直径が300mmであるときに、内側面間距離d1が200〜220mm、外側面間距離d2が244〜260mmとなるようにエンドエフェクタ400の大きさを決めることによって、エンドエフェクタ400がリングホルダ300及び2つの垂直フレーム220との干渉を回避することができ、基板10のローディング及び/またはアンローディングを容易に行うことができる。
【0050】
別の実施形態として、基板10の直径が450mmであるときに、内側面間距離d1が300〜330mm、外側面間距離d2が366〜390mmとなるようにエンドエフェクタ400の大きさを決めることによって、エンドエフェクタ400がリングホルダ300及び2つの垂直フレーム220と干渉することを回避することができ、基板10のローディング及び/またはアンローディングを容易に行うことができる。
【0051】
図5は、本発明の別の実施形態にかかるバッチ式基板処理装置を示す斜視図であり、
図6は、
図5のバッチ式基板処理装置の平面図及び断面図である。以下の
図5及び
図6の説明では、上述した
図3及び
図4の説明との相違点についてのみ記述し、重複する事項の説明は省略する。
【0052】
図5及び
図6を参照すると、垂直フレーム220から突設された支持ロッド260’’の先端が中心点Cに向けられていることを確認することができる。
【0053】
ここで、
図3及び
図4に関連して説明した実施形態では、バッチ式基板処理装置100は、垂直フレーム240と2つの垂直フレーム220とがなす角度間隔Aを固定した後[一例として、91゜]、垂直フレーム220から突設される支持ロッド260’’の突出角度を調整することにより、垂直フレーム240から中心点Cに向かって突設される支持ロッド260’とリングホルダ300とが接触する点と、2つの垂直フレーム220から突設される支持ロッド260’’とリングホルダ300とが接触する点とがなす角度間隔Bが91〜150゜になるようにし、その範囲でリングホルダ300を3点で支持させる方式のものであった。すなわち、垂直フレーム220から突設される支持ロッド260’’は、中心点Cに向かって突設されていなくてもよい。
【0054】
これに対して、
図5及び
図6のバッチ式基板処理装置100’では、垂直フレーム220から突設された支持ロッド260’’はその先端が中心点Cに向けられているため、垂直フレーム240と垂直フレーム220とがなす角度間隔Aを調整するだけで、支持ロッド260とリングホルダ300とが接触する点の角度間隔Bを調整することができる。ただし、この場合、角度間隔AまたはBが120゜を超えると、エンドエフェクタ400のボート200内への進入時に垂直フレーム220または支持ロッド260’’とエンドエフェクタ400との干渉が発生し得るため、角度間隔AまたはBを91〜120゜、好適には105゜に維持することができる。
【0056】
以下では、
図4及び
図6を参照して、ボトム−リフト方式のエンドエフェクタ400を採用したバッチ式基板処理装置100の動作過程を説明する。
図4及び
図6は、基板10のアンローディング過程を示しているが、ローディング過程はアンローディング過程を逆に行うものと理解できる。
【0057】
まず、
図4の(a)及び
図6の(a)を参照すると、各垂直フレーム220、240から突設された3つの支持ロッド260の先端部上にリングホルダ300が載置されており、リングホルダ300上には、リングホルダ300と中心軸[または中心点C]が一致するように基板10が載置されている。
【0058】
ここで、
図4の(b)及び
図6の(b)に示されているように、ボトム−リフト方式のエンドエフェクタ400を前面開口部5からボート200内に進入させる。この時、エンドエフェクタ400は、リングホルダ300の外周面を囲むことができるように先端が略U字状の二叉形状を有しており、ボート200内において、2つの垂直フレーム220から突設された支持ロッド260’’の上方かつリングホルダ300の外側の空間内に進入する。このとき、エンドエフェクタ400は、支持ロッド260’’の上面よりも高い位置を通るため、リングホルダ300または支持ロッド260との干渉を回避しながらボート200内に進入し、基板10の下側(ボトム)に入り込むことができる。その後、エンドエフェクタ400は、基板10をリングホルダ300から所定の高さRまで持ち上げる(リフト)。
【0059】
さらに、
図4の(c)及び
図6の(c)に示されているように、エンドエフェクタ400は、基板10だけを支持したまま、ボート200から基板10をアンローディングすることができる。
【0060】
このように、本発明のボトム−リフト方式のエンドエフェクタ400を採用することによって、基板10とリングホルダ300との間の高さRだけでも基板10のローディング及び/またはアンローディングを行うことができるという利点がある。つまり、トップ−エッジ−グリップ方式のバッチ式基板処理装置では、ピッチPを決定するために、基板の上方(トップ)から下降して基板の両端部(エッジ)を把持(グリップ)するための最小限の作業空間a、エンドエフェクタの厚さ、基板の厚さ及びリングホルダの高さまで考慮していたのに対して、本発明のボトム−リフト方式のバッチ式基板処理装置では、ピッチPを決定するために、リングホルダと基板との間の離間距離(高さR)、基板の厚さ及びリングホルダの高さだけを考慮すればよいので、結局、ピッチPを大幅に小さくすることができる。したがって、本発明は、ボートに搭載可能な基板の枚数を増加させることによって、単位プロセス当たりの基板の処理量を増加させることができるという利点がある。
【0061】
また、基板を把持するためのエンドエフェクタに関して、複雑な構成を有するトップ−エッジ−グリップ方式のエンドエフェクタをボトム−リフト方式のものに置き換えることができるため、構造が簡単になり、ボトム−リフト方式のエンドエフェクタを用いて基板のローディング及び/またはアンローディング時間を減少させ、プロセス時間を画期的に減少させることができるという利点がある。
【0062】
上述のように好適実施形態を挙げて図示及び説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で当業者による多様な変形及び変更が可能である。そのような変形例及び変更例は、本発明及び添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0063】
5 前面開口部
10 基板
20、200 ボート
22、24、220、240 垂直フレーム
26、260 支持ロッド
28 回避溝部
30、300 リングホルダ
40 トップ−エッジ−グリップ方式のエンドエフェクタ
400 ボトム−リフト方式のエンドエフェクタ