特許第6290613号(P6290613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290613
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】合成樹脂製キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20180226BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   B65D47/06
   B65D47/08 130
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-245457(P2013-245457)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-101401(P2015-101401A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100088052
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100189968
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−037295(JP,A)
【文献】 特開2001−122295(JP,A)
【文献】 特開2001−048203(JP,A)
【文献】 特開2002−114241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上蓋とキャップ本体とを備え、
該キャップ本体は、注出筒設置面が設けられた頂壁と該頂壁に立設される注出筒とを有し、
該上蓋は、該上蓋を閉蓋した際に該注出筒と当接可能に設けられたインナーリングを有し、容器口部に嵌着可能な合成樹脂製キャップであって、
該注出筒は、該キャップ本体の偏心位置に設けられ、
該注出筒より外方の該頂壁には、その周縁部に単数又は複数の薄肉部を有しており、
該薄肉部は、該合成樹脂製キャップを該容器口部に嵌着する際に、該注出筒設置面の変形を吸収するために設けられていることを特徴とする合成樹脂製キャップ。
【請求項2】
上蓋とキャップ本体とを備え、
該キャップ本体は、頂壁と該頂壁に立設される注出筒とを有し、
該上蓋は、該上蓋を閉蓋した際に該注出筒と当接可能に設けられたインナーリングを有し、
該注出筒は、該キャップ本体の偏心位置に設けられ、
該注出筒より外方の該頂壁には、その周縁部に単数又は複数の薄肉部を有する、容器口部に嵌着可能な合成樹脂製キャップであって、
前記頂壁の周縁と連続する外筒と、
該頂壁の内面に設けられた内筒とを更に有し、
該外筒と該内筒は、前記容器口部が嵌着される嵌着溝を形成するものであり、
少なくとも1つの前記薄肉部は、該内筒の内周面と連続する様に設けられることを特徴とする合成樹脂製キャップ。
【請求項3】
前記キャップ本体は、前記頂壁の底面より垂設される内筒を有しており、
前記薄肉部は、該注出筒より外方に位置し且つ該内筒よりも内方に位置する該頂壁の周縁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項4】
前記薄肉部は、前記注出筒を囲む様に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項5】
前記薄肉部は、環状又は略C字状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項6】
前記上蓋は、内蓋を更に備え、前記インナーリングは、該内蓋に設けられていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項7】
前記上蓋と前記キャップ本体とは、ヒンジ部によって結合されていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の合成樹脂製キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製キャップに関し、より詳細には容器口部に嵌着可能な合成樹脂製キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上蓋とキャップ本体とを備え、打栓等の手段によって、容器の口部に嵌着される合成樹脂製キャップがある(例えば、特許文献1を参照)。この様なキャップは、外筒と内筒とを設け、それらによって嵌着溝を形成し、当該嵌着溝に容器口部が嵌合されることで嵌着される。
【0003】
又、注出後に容器内の内容物がキャップ本体、特に注出筒の外面に付着し、キャップが汚れることを防止するためにキャップ本体の偏心位置に注出筒が立設された合成樹脂製キャップがある(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−59397号公報
【特許文献2】特開2010−95304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている様な合成樹脂製キャップは、容器口部とキャップ本体との嵌合をより強固なものとするために、嵌合溝が容器口部よりも僅かに小さく形成される。そのため、容器口部が嵌着溝に嵌合した際に内筒が内方に向かって変形する。この内筒の変形と連動して、注出筒設置面も変形し、注出筒は逆に外方に向かって変形しようとする。
【0006】
特に、注出筒がキャップ本体の偏心位置に形成されている合成樹脂製キャップの場合に注出筒は顕著に変形する可能性が高い。この場合、内筒の変形によって、キャップ本体の注出筒設置面が変形すると、注出筒が外方に傾く方向で変形が進む(図7を参照)。通常、注出筒は、容器の密封性を高めるために、閉蓋時には上蓋に設けられたインナーリングによって当接されているが、注出筒が傾いてしまうと、筒壁との当接性が悪くなり、容器の密封性が低下する可能性がある。そのため、注出筒が偏心位置に設けられた合成樹脂製キャップを容器口部に嵌着させて取り付けることは困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、注出筒がキャップ本体の偏心位置に設けられた合成樹脂製キャップであっても容器口部に嵌着可能にすると共にその際に注出筒が傾くことを防止できる様にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上蓋とキャップ本体とを備え、該キャップ本体は、注出筒設置面が設けられた頂壁と該頂壁に立設される注出筒とを有し、該上蓋は、該上蓋を閉蓋した際に該注出筒と当接可能に設けられたインナーリングを有し、容器口部に嵌着可能な合成樹脂製キャップであって、該注出筒は、該キャップ本体の偏心位置に設けられ、該注出筒より外方の該頂壁には、その周縁部に単数又は複数の薄肉部を有しており、該薄肉部は、該合成樹脂製キャップを該容器口部に嵌着する際に、該注出筒設置面の変形を吸収するために設けられていることを特徴とする合成樹脂製キャップである。
又、本発明は、上蓋とキャップ本体とを備え、該キャップ本体は、頂壁と該頂壁に立設される注出筒とを有し、該上蓋は、該上蓋を閉蓋した際に該注出筒と当接可能に設けられたインナーリングを有し、該注出筒は、該キャップ本体の偏心位置に設けられ、該注出筒より外方の該頂壁には、その周縁部に単数又は複数の薄肉部を有する、容器口部に嵌着可能な合成樹脂製キャップであって、前記頂壁の周縁と連続する外筒と、該頂壁の内面に設けられた内筒とを更に有し、該外筒と該内筒は、前記容器口部が嵌着される嵌着溝を形成するものであり、少なくとも1つの前記薄肉部は、該内筒の内周面と連続する様に設けられることを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0009】
更に、本発明は、前記キャップ本体を、前記頂壁の底面より垂設される内筒を有するものとし、前記薄肉部を、該注出筒より外方に位置し且つ該内筒よりも内方に位置する該頂壁の周縁部に設けることも可能である。又、本発明は、前記薄肉部を前記注出筒を囲む様に設けてもよい。又、本発明は、前記薄肉部を環状又はC字状に設けることが可能である。又、本発明は、前記上蓋が内蓋を更に備えるものとし、前記インナーリングを、該内蓋に設けることが可能である。又、本発明は、前記上蓋と前記キャップ本体とを、ヒンジ部によって結合することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、注出筒より外方の頂壁の周縁部に薄肉部を設けたため、合成樹脂製キャップを容器口部に嵌着させる際の注出筒設置面の変形を薄肉部によって吸収することができ、キャップ本体の偏心位置に注出筒を設けても、合成樹脂製キャップを容器に装着する際に注出筒が傾くことを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態を示す底面図である。
図2図2のII−II線における断面図である。
図3】本発明の第2実施形態を示す底面図である。
図4】本発明の第3実施形態を示す底面図である。
図5】本発明の第4実施形態を示す底面図である。
図6】本発明の第5実施形態を示す図であり、図2に相当する図である。
図7】比較例を示す図2に相当する図であり、(A)は打栓前の様子であり、(B)は打栓後の様子である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。合成樹脂製キャップ1(以下、キャップ1ともいう)は、キャップ本体2、キャップ本体2にヒンジ部3によって回動可能に結合された上蓋4を備える。
【0013】
上蓋4は、天壁5及び天壁5の周縁より垂下するスカート壁6を有する。スカート壁6のヒンジ部4側は切り欠かれており傾斜壁6aとなっている。天壁5は、その内面5aに筒壁7が垂設されている。
【0014】
スカート壁6の一端はヒンジ部3を介してキャップ本体2の凸壁15と結合され、その逆側の他端には鍔部8が形成されている。そして、スカート壁6の下端内周面には上蓋4の閉蓋時(以下、単に閉蓋ともいう)に係止凸起19と係合する係合凸起9が形成されている。筒壁7には、閉蓋時にその内面が注出筒口部12aの外面と当接可能に形成されたインナーリング10aを備えた内蓋10が遊嵌合されており、内蓋10が、筒壁7外へと落下することを防止する環状突起7aがその内面下端に形成されている。
【0015】
本実施形態において、筒壁7よりも外方の内面5aには、中足11が垂設されている。中足11は、筒壁7に対向する部分が切り欠かれた略C字筒状であり、筒壁7よりも長く形成されている。尚、中足11は、必要に応じて任意に形成されるものであり、キャップ1が打栓によって容器口部に装着される際にその打栓力によって注出筒12の口部12aが変形することを防止するために形成される。
【0016】
キャップ本体2は、注出筒12、注出筒12の下端と連続する頂壁13及び頂壁13の周縁より垂下する外筒14とを有する。外筒14は、その上端部に鍔部8側略3/4周に亘って切欠14aが形成されており、残りヒンジ部3側1/4周には凸壁15が立設されている。又、その下端部内面に、キャップ1が装着される容器(図示せず)の口部に形成された嵌合凹部に嵌合する嵌合突条16が形成されている。
【0017】
注出筒12は、頂壁13に立設させており、その先端には口部12aが形成されている。注出筒12は、キャップ本体2の中心位置よりもヒンジ部3から離間した位置、つまり、キャップ本体2の偏心位置に形成されている。又、凸壁15は、その両端に傾斜壁15aが形成されている。傾斜壁15aは、上蓋4のスカート壁6に形成された傾斜壁6aと合わさる様に、略同一の傾斜角で形成される。
【0018】
頂壁13は、その底面13bに外筒14と共に前記容器口部が嵌着される嵌着溝17を形成する内筒18が外筒14と同心円状に垂設され、その周縁の外筒14の切欠14aと対向する箇所に係止凸起19が形成されている。
【0019】
又、頂壁13の周縁部13aには、薄肉部20が設けられている。薄肉部20は、頂壁13の底面13bに溝部21を形成することで設けられると共に注出筒12を囲む様に設けられる。又、薄肉部20は、キャップ1を容器口部に嵌着する際に破断しない程度の肉厚で形成される。
【0020】
溝部21(薄肉部20)は、底面視略環状に形成されている。本実施形態において、溝部21(薄肉部20)は、内筒18の内面と連続する様に形成されており、断面視略U字状又は弧状に形成されている。
【0021】
キャップ1は、打栓等の手段によって、容器口部を嵌着溝17に嵌合することで、容器口部に取付けられることで使用される。その際に、容器口部が嵌着溝17に嵌合されることで、内筒18には、内方に向かって逆ハ字状に変形させ様とする力が働く。そうすると、頂壁13の注出筒設置面13cには周縁より押され、凸状に変形させようとする力が働くこととなる。
【0022】
この際、薄肉部20が設けられていないと、図7に示す比較例のキャップ101の様に、頂壁113の注出筒設置面113cの変形によって、注出筒112は外方に倒れ、注出筒112とインナーリング122との密封性は損なわれてしまう。対して、キャップ1の様に薄肉部20が設けられている場合は、当該注出筒載置面13cの変形は、薄肉部20によって吸収されるため、注出筒12が外方へと倒れこむことを防止できる。そのため、キャップ1を容器口部に嵌着後においても、インナーリング10aと注出筒12とが問題なく当接可能となり、容器の密封性は確保することが可能となる。
【0023】
本発明を上記実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。例えば、薄肉部20は、第1実施形態の様に必ずしも一重である必要はなく、第2実施形態(図3を参照)の様に二重以上設けることも可能である。又、第3実施形態(図4を参照)及び第4実施形態(図5を参照)の様に薄肉部20を底面視略C字状にすることも可能である。尚、上記実施形態は、何れも上蓋4とキャップ本体2とがヒンジ部3で連結された所謂ヒンジキャップであるが、上蓋4がキャップ本体2に螺着される所謂スクリューキャップについても適用可能である。又、第5実施形態(図6を参照)の様にインナーリング10aを備えた内蓋10を上蓋4に設ける替りに、上蓋4の天壁5に垂設されたインナーリング22を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 合成樹脂製キャップ 2 キャップ本体 3 ヒンジ部
4 上蓋 5 天壁 5a 内面
6 スカート壁 6a 傾斜壁 7 筒壁
7a 環状突起 8 鍔部 9 係合凸起
10 内蓋 10a インナーリング 11 中足
12 注出筒 12a 口部 13 頂壁
13a 周縁部 13b 底面 13c 注出筒設置面
14 外筒 14a 切欠 15 凸壁
15a 傾斜壁 16 嵌合突条 17 嵌着溝
18 内筒 19 係止凸起 20 薄肉部
21 溝部 22 インナーリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7