特許第6290622号(P6290622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290622
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】二酸化炭素施用装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20180226BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   A01G9/18
   A01G7/02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-272998(P2013-272998)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-126708(P2015-126708A)
(43)【公開日】2015年7月9日
【審査請求日】2016年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】北崎 浩
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−340683(JP,A)
【文献】 特開2004−066091(JP,A)
【文献】 特開昭63−112928(JP,A)
【文献】 特開昭62−220114(JP,A)
【文献】 特開昭61−224917(JP,A)
【文献】 特開平06−253682(JP,A)
【文献】 特開昭58−220626(JP,A)
【文献】 特開2013−074887(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0171752(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/18
A01G 7/02
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置の燃焼排ガスから二酸化炭素を回収して貯留しておき、当該二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置であって、
内部に吸着材を有しており、二酸化炭素を前記吸着材に吸着させて貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクに燃焼排ガスを供給するための流路である供給流路と、
前記貯留タンクから二酸化炭素を排出するための流路である排出流路と、
前記貯留タンクを介さずに前記供給流路と前記排出流路を繋ぐ流路であるバイパス流路と、
前記供給流路を通じて前記貯留タンクに外気を供給することにより、前記排出流路を通じて前記貯留タンクから二酸化炭素を排出させる外気導入手段と、を備え、
前記貯留タンクから二酸化炭素を排出する際においては、
前記供給流路から前記貯留タンクを通って前記排出流路に到達する外気の流量を第一流量とし、前記供給流路から前記バイパス流路を通って前記排出流路に到達する外気の流量を第二流量としたときにおいて、前記第一流量に対する前記第二流量の比率を変化させるように構成されていることを特徴とし、
前記流路において、流体が流下する方向の反対側を、上流側とし、
前記二酸化炭素施用装置は、前記バイパス流路と前記供給流路との分岐点の前記上流側で、前記供給流路を通る燃焼排ガスの熱を回収して蓄熱しておく蓄熱手段を更に備えており、
前記貯留タンクから二酸化炭素を排出する際において、前記蓄熱手段に蓄熱されていた熱により、前記外気導入手段によって前記貯留タンクに供給される外気を加熱することを特徴とする二酸化炭素施用装置。
【請求項2】
前記貯留タンクから二酸化炭素を排出する際においては、
前記第一流量に対する前記第二流量の比率を徐々に又は段階的に減少させることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素施用装置。
【請求項3】
前記貯留タンクから二酸化炭素を排出する際において、前記貯留タンクから排出される二酸化炭素の濃度が一定の水準まで低下した際に、前記蓄熱手段に蓄熱されていた熱により、前記外気導入手段によって前記貯留タンクに供給される外気の加熱を開始することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素施用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置の燃焼排ガスから二酸化炭素を回収して貯留しておき、当該二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、施設園芸の農業用ハウス(温室)では、夜間に気温が下がり過ぎて作物の生育が阻害されることのないように、加温機(燃焼装置)を用いて農業用ハウス内の空気を暖めている。この加温機は、重油や灯油などを燃焼させて得られた熱を、温風として農業用ハウス内に送るものである。
【0003】
一方、園芸作物の収率および品質の向上のため、光合成に必要な二酸化炭素を農業用ハウス内に施用(供給)するための二酸化炭素施用装置が開発されており、普及している。この二酸化炭素施用装置は、重油や灯油などを燃焼させることにより二酸化炭素を発生させて、当該二酸化炭素を農業用ハウス内(植物の葉の近傍)に供給するものである。
【0004】
上記のように、農業用ハウスにおいては、夜間は加温機において重油や灯油などを燃焼させ、昼間には二酸化炭素施用装置において重油や灯油などを燃焼させている。つまり、昼間にも夜間にも、重油や灯油などの燃焼によって熱と二酸化炭素の両方を発生させている。
【0005】
ところで、昼間には光合成のために二酸化炭素が必要であるが、夜間には光合成が行われないため二酸化炭素は必要ない。また、夜間には気温が下がるために熱が必要であるが、昼間には気温が比較的高いため熱は必要ない場合が多い。このことに鑑みれば、夜間に加温機で発生した燃焼排ガスから二酸化炭素を回収・貯留しておき、それを昼間に農業用ハウス内に施用することができれば、昼間は重油や灯油などを燃焼させる必要はなくなるため、省エネルギーの促進・地球温暖化抑制という大きな効果が得られる。
【0006】
下記特許文献1に記載された二酸化炭素施用装置では、夜間、加温機で発生した燃焼排ガスから二酸化炭素を回収・貯留しておき、昼間、当該二酸化炭素を農業用ハウス内に施用している。このため、昼間には重油や灯油などを燃焼させる必要がなく、高いエネルギー効率にて農業用ハウス内に二酸化炭素を施用することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−016322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された二酸化炭素施用装置は、貯留タンク内に吸着材を配置しており、当該吸着材に二酸化炭素を吸着させることにより、二酸化炭素を貯留しておくものである。貯留しておいた二酸化炭素を排出(農業用ハウス内に施用)する際には、貯留タンク内に外気(空気)を供給して、当該空気と共に二酸化炭素を排出する構成となっている。このような二酸化炭素施用装置では、二酸化炭素放出過程の初期段階において、比較的高濃度の二酸化炭素が排出されてしまう傾向がある。排出される二酸化炭素の濃度は、その後次第に減少していくのであるが、初期段階で高濃度の二酸化炭素が排出されるため、貯留しておいた二酸化炭素は比較的短時間のうちになくなってしまう。
【0009】
二酸化炭素施用装置においては、植物の葉の近傍に対し、光合成を行うために必要な程度の量の二酸化炭素を可能な限り長時間にわたって排出(施用)することが求められる。高濃度の二酸化炭素を排出しても、その大部分は光合成に用いられることなく農業用ハウスの外部に排出されてしまい、無駄となるからである。
【0010】
従って、上記特許文献1に記載された二酸化炭素施用装置は、貯留しておいた二酸化炭素を無駄なく施用するという観点において、さらなる改良の余地のあるものであった。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯留しておいた二酸化炭素を長時間かけて排出し、農業用ハウス内に無駄なく施用することのできる二酸化炭素施用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る二酸化炭素施用装置は、燃焼装置の燃焼排ガスから二酸化炭素を回収して貯留しておき、当該二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置であって、内部に吸着材を有しており、二酸化炭素を前記吸着材に吸着させて貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクに燃焼排ガスを供給するための流路である供給流路と、前記貯留タンクから二酸化炭素を排出するための流路である排出流路と、前記貯留タンクを介さずに前記供給流路と前記排出流路を繋ぐ流路であるバイパス流路と、前記供給流路を通じて前記貯留タンクに外気を供給することにより、前記排出流路を通じて前記貯留タンクから二酸化炭素を排出させる外気導入手段と、を備え、前記貯留タンクから二酸化炭素を排出する際においては、前記供給流路から前記貯留タンクを通って前記排出流路に到達する外気の流量を第一流量とし、前記供給流路から前記バイパス流路を通って前記排出流路に到達する外気の流量を第二流量としたときにおいて、前記第一流量に対する前記第二流量の比率を変化させるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る二酸化炭素施用装置では、供給流路から貯留タンクを通って排出流路に到達する外気の流量を第一流量とし、供給流路からバイパス流路を通って排出流路に到達する外気の流量を第二流量としたときに、第一流量に対する第二流量の比率を変化させる。このため、貯留タンクから排出される二酸化炭素の濃度が時間の経過とともに変化しても、第一流量に対する第二流量の比率を変化させて適宜調整することにより、農業用ハウスに施用される二酸化炭素の濃度(供給量といってもよい)が変化することを抑制することができる。その結果、初期段階で貯留タンクから一気に二酸化炭素が放出されてしまうことを抑制することができ、貯留しておいた二酸化炭素を長時間かけて排出し、農業用ハウス内に無駄なく施用することができる。また、植物が光合成を行うのに最適な特定の時間帯において、放出する二酸化炭素濃度が最大となるように、第一流量に対する第二流量の比率を変化させることも可能となる。
【0014】
また本発明に係る二酸化炭素施用装置は、前記貯留タンクから二酸化炭素を排出する際においては、前記第一流量に対する前記第二流量の比率を徐々に又は段階的に減少させることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、第一流量に対する第二流量の比率を徐々に又は段階的に減少させる。貯留タンクから排出される二酸化炭素の濃度は、時間の経過とともに低下する傾向があるので、第一流量に対する第二流量の比率を徐々に又は段階的に減少させることにより、農業用ハウスに施用される二酸化炭素の濃度の変化を抑制することができる。
【0016】
また本発明に係る二酸化炭素施用装置は、前記供給流路を通る燃焼排ガスの熱を回収して蓄熱しておく蓄熱手段を更に備えており、前記貯留タンクから二酸化炭素を排出する際において、前記蓄熱手段に蓄熱されていた熱により、前記外気導入手段によって前記貯留タンクに供給される外気を加熱することを特徴とする。
【0017】
この好ましい態様では、燃焼排ガスの熱(排気熱)を回収して蓄熱しておく蓄熱手段を備え、この蓄熱手段に蓄熱されていた熱を利用して、貯留タンクに供給される外気を加熱する。貯留タンクから排出される二酸化炭素の濃度が低下した際において、加熱された外気を貯留タンクに供給すれば、吸着材からの二酸化炭素の離脱が促進される。その結果、貯留タンクから排出される二酸化炭素の濃度が上昇するため、農業用ハウス内への二酸化炭素の施用時間を更に長くすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、貯留しておいた二酸化炭素を長時間かけて排出し、農業用ハウス内に無駄なく施用することのできる二酸化炭素施用装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態における二酸化炭素施用装置の概略構成を示す全体図である。
図2】二酸化炭素排出過程での二酸化炭素濃度の時間変化を示すグラフである。
図3】二酸化炭素排出過程での二酸化炭素濃度の時間変化を示すグラフである。
図4】二酸化炭素排出過程での二酸化炭素濃度の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、本実施形態の二酸化炭素施用装置1の概略構成を示す全体図である。二酸化炭素施用装置1は、燃焼排ガスから二酸化炭素を回収・貯留し、貯留した二酸化炭素を放出して農業用ハウス内に供給するシステムである。図1に示すように、二酸化炭素施用装置1は、加温機11(燃焼装置)と、外気導入流路21と、供給流路51と、排気熱回収器31(蓄熱手段)と、浄化装置41と、ブロア61(外気導入手段)と、貯留タンク71と、排出流路81と、バイパス配管91と、燃焼排ガス量調整バルブV1と、外気量調整バルブV2と、排出流量調整バルブV3と、バイパス流量調整バルブV4と、を備える。また、図1に示すように、二酸化炭素施用装置1は、農業用ハウス10内に収容される。
【0022】
加温機11は、重油や灯油などを燃焼させて得られた熱を、温風として送る装置である。加温機11は、夜間に気温が下がり過ぎて作物の生育が阻害されることのないように、農業用ハウス10内に温風を供給する。加温機11には煙突12が接続されており、この煙突12から、重油や灯油などの燃焼により生じた燃焼排ガスが排出される。この煙突12の途中には、燃焼排ガス量調整バルブV1を介して供給流路51が接続されている。図示しない制御装置により燃焼排ガス量調整バルブV1を制御することで、燃焼排ガスが煙突12から排出される状態と、燃焼排ガスが供給流路51に供給される状態とが切り替えられる。
【0023】
供給流路51は、煙突12(燃焼排ガス量調整バルブV1)と貯留タンク71とを繋ぐ配管であって、加温機11から燃焼排ガスを貯留タンク71に供給する流路となっている。供給流路51の途中には、上流側から順に、外気導入流路21と、排気熱回収器31と、浄化装置41と、凝縮水タンク121と、ブロア61と、がそれぞれ接続されている。
【0024】
外気導入流路21は、その一端が供給流路51に接続され、他端が農業用ハウス10内の空間に開放された配管である。外気導入流路21によって、農業用ハウス10内の空気(外気)を供給流路51内に導入することが可能となっている。外気導入流路21から導入される外気の流量は、外気導入流路21に設けられた外気量調整バルブV2によって調整される。
【0025】
排気熱回収器31は、所謂熱交換器であって、供給流路51内を流れる気体(燃焼排ガス)の熱を回収したり、供給流路51内を流れる気体(外気)に熱を加えたりすることのできる装置である。排気熱回収器31は、供給流路51のうち、供給流路51と外気導入流路21との接続部分よりも下流側に配置されている。この排気熱回収器31によって燃焼排ガスの熱を回収することで、供給流路51内を流れる燃焼排ガスの温度を下げることが可能となっている。その結果、下流側の貯留タンク71に供給される燃焼排ガスの温度を、二酸化炭素の吸着に適した温度とすることが可能となっている。排気熱回収器31によって回収された熱は、貯湯タンク33(蓄熱手段)内に湯として蓄熱される。
【0026】
排気熱回収器31と貯湯タンク33は配管34で接続されており、配管34には放熱装置32が配置されている。必要に応じて放熱装置32から熱を放出することによって、貯湯タンク33内の湯の温度が上昇し過ぎることが防止される。
【0027】
尚、排気熱回収器31としては、燃焼排ガスの熱を回収し、回収した熱を蓄熱する機能を有するものであれば、特に限定されることなく様々な種類の熱交換器を用いることが可能である。また、放熱装置32としては、配管34を流れる水の温度を下げる機能を有するものであれば、特に限定されることなく様々な種類のもの(例えばラジエータ)を用いることが可能である。
【0028】
浄化装置41は、燃焼排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去する装置である。窒素酸化物及び硫黄酸化物は、植物に生育にあたって悪影響を与えるため、これらを除去するために浄化装置41が設けられている。浄化装置41は、供給流路51のうち排気熱回収器31よりも下流側に配置されている。但し、触媒等を用いた高温浄化を行う場合には、供給流路51のうち排気熱回収器31よりも上流側に配置される事もある。
【0029】
凝縮水タンク121は、燃焼排ガス中の水分を回収する装置である。供給流路51内を流れる燃焼排ガスが、上述した排気熱回収器31によって熱が回収されて冷却される際において、燃焼排ガス中の水分が凝縮されて供給流路51内で水滴(凝縮水)となる。このような供給流路51内に生じる水滴を回収するために凝縮水タンク121が設けられている。
【0030】
ブロア61は、供給流路51内を流れる気体(外気や燃焼排ガス)を貯留タンク71側に送風する送風装置である。ブロア61としては、例えば送風ファンが用いられる。ブロア61を稼働させることで、供給流路51内の気体が貯留タンク71に供給される。ブロア61は、供給流路51のうち凝縮水タンク121よりも下流側に配置されている。尚、ブロア61の位置はこのような位置に限られず、供給流路51の任意の位置とすることができる。
【0031】
貯留タンク71は、供給流路51の最も下流側に設けられ、供給流路51を通じて貯留タンク71に空気又は燃焼排ガスが導入される。貯留タンク71は、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着・貯留する吸着材72を内部に有している。このため、貯留タンク71に導入された燃焼排ガスに含まれた二酸化炭素は、貯留タンク71内の吸着材72によって吸着・貯留される。燃焼排ガスは、このように二酸化炭素の一部又は全部が取り除かれた後、貯留タンク71に接続された排出流路81から排出される。このとき、吸着材72に吸着された二酸化炭素の量は次第に増加して行き、上限量(飽和吸着量)に達した後に一定となる。
【0032】
尚、本実施形態では、吸着材72として例えば活性炭等が用いられるものであるが、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着・貯留する機能を有するものであれば他の材料を用いても良く、例えばゼオライト等の親水性多孔質材料を用いても良い。
【0033】
バイパス配管91は、供給流路51のうちブロア61と貯留タンク71との間の部分(分岐部52)と、排出流路81とを接続する配管である。ブロア61により送風された気体は、分岐部52において分岐して貯留タンク71とバイパス流路のバイパス配管91両方に流入する。その後、バイパス配管91と排出流路81との接続部分(合流部82)において再び合流する。
【0034】
すなわち、バイパス配管91は、貯留タンク71を介さずに供給流路51と排出流路81とを繋ぐ流路(バイパス流路)を構成する配管である。バイパス配管91には、バイパス流量調整バルブV4が設けられてきる。バイパス流量調整バルブV4により、バイパス配管91を流れる空気の流量が調整されるようになっている。
【0035】
排出流路81には、排出流量調整バルブV3が設けられている。排出流量調整バルブV3により、排出流路81内を流れる空気又は燃焼排ガスの流量が調整されるようになっている。
【0036】
上記構成を備える二酸化炭素施用装置1において、燃焼排ガス中の二酸化炭素を貯留タンク71に吸着・貯留する二酸化炭素吸着過程と、貯留タンク71に吸着・貯留された二酸化炭素を排出する二酸化炭素排出過程について以下に説明する。
【0037】
二酸化炭素吸着過程においては、燃焼排ガスが供給流路51側に流れるように燃焼排ガス量調整バルブV1を調整した状態で、加温機11及びブロア61を稼働させる。このとき、外気量調整バルブV2は閉じた状態となっており、排出流量調整バルブV3は開いた状態となっており、バイパス流量調整バルブV4は閉じた状態となっている。このため、加温機11から供給流路51内に導入された燃焼排ガスの全量は、ブロア61に送風されて貯留タンク71に流入する。排気熱回収器31は稼働した状態となっており、燃焼排ガスは温度が下げられた状態で貯留タンク71側に供給される。その結果、燃焼排ガスに含有される二酸化炭素が吸着材72に吸着し、貯留タンク71内に貯留される。このような二酸化炭素吸着過程は、主に、農業用ハウス10内の温度が低下する夜間に行われる。
【0038】
二酸化炭素排出過程においては、加温機11を停止させた状態でブロア61を稼働させる。このとき、外気量調整バルブV2は開いた状態となっており、排出流量調整バルブV3は開いた状態となっており、バイパス流量調整バルブV4は開いた状態となっている。このため、供給流路51内では、外気導入流路21から導入された外気が流れる。当該外気は、貯留タンク71とバイパス配管91の両方に供給される。
【0039】
貯留タンク71内において吸着、貯留されていた二酸化炭素は、ブロア61から貯留タンク71に供給された外気と共に、排出流路81へと排出される。その後、バイパス配管91を流れる外気と合流して濃度が低下した状態で、農業用ハウス10内(植物の葉の近傍)へと排出される。このような二酸化炭素排出過程は、植物が光合成を行う昼間に行われる。
【0040】
尚、バイパス流量調整バルブV4の開度は、図示しない制御装置からの信号によって例えば時間の経過とともに調整されるものである。バイパス流量調整バルブV4の開度に関しては、例えば、二酸化炭素排出過程の初期段階において、バイパス流量調整バルブV4を全開とし、供給流路51内から導入される外気の流量の約半分をバイパス配管91に流してバイパスさせた後、所定の時間が経過した後にバイパス流量調整バルブV4を全閉とし、供給流路51内から導入される外気の全量を貯留タンク71に供給することも可能である。
【0041】
また、例えば、初期段階にバイパス流量調整バルブV4を全開とし、その後はバイパス流量調整バルブV4を徐々に閉じることで、バイパス配管91に流れる外気の量を徐々に減少させ、貯留タンク71に流れる外気の量を徐々に増加させるようにすることも可能である。以上のように、供給流路51から貯留タンク71を通って排出流路81に到達する外気の流量(第一流量)と、供給流路51からバイパス配管91を通って排出流路81に到達する外気の流量(第二流量)との比率は、バイパス流量調整バルブV4の開度を調整することにより徐々に又は段階的に変えることができる。換言すれば、第一流量に対する第二流量の比率を徐々に又は段階的に変化させることができる。
【0042】
また上述した二酸化炭素排出過程において、排出流量調整バルブV3の開度を、バイパス流量調整バルブV4の開度の開度と共に(又は単独にて)調整することで、第一流量に対する第二流量の比率を減少させるように構成してもよい。すなわち、貯留タンク71に流れる外気の流量に対するバイパス配管91に流れる外気の流量の比率を、排出流量調整バルブV3及びバイパス流量調整バルブV4の両方の開度によって減少させるように構成しても良い。この比率に関しては、例えば、第一流量に対する第二流量の比率を徐々に減少させるように構成しても良く、所定時間経過後に、第一流量に対する第二流量の比率を段階的に変化させるように構成しても良い。
【0043】
本実施形態では、上述したように、第一流量に対する第二流量の比率を変化させる。このため、貯留タンク71から排出される二酸化炭素の濃度が変化しても、第一流量に対する第二流量の比率を変化させて適宜調整することにより、農業用ハウスに施用される二酸化炭素の濃度が変化することを抑制することができる。その結果、初期段階で貯留タンクから一気に二酸化炭素が放出されてしまうことがなく、貯留しておいた二酸化炭素を長時間かけて排出し、農業用ハウス内に無駄なく施用することができる。
【0044】
また本実施形態では、上述したように、第一流量に対する第二流量の比率を徐々に又は段階的に減少させる。二酸化炭素の貯留量(吸着量)の低下に伴い、貯留タンク71から排出流路81へと排出される二酸化炭素の濃度は時間の経過とともに低下する傾向にあるので、第一流量に対する第二流量の比率を徐々に又は段階的に減少させることにより、農業用ハウス10内に施用される二酸化炭素の濃度の変化を抑制することができる。
【0045】
続いて図2を参照しながら、上述した二酸化炭素排出過程における二酸化炭素濃度の時間変化について説明する。図2は、二酸化炭素排出過程における二酸化炭素濃度の時間変化を示すグラフであって、二酸化炭素施用装置1により二酸化炭素を施用した場合と、従来の二酸化炭素施用装置により二酸化炭素を施用した場合とを比較するためのグラフである。図2におけるグラフの横軸は時間を表し、図2におけるグラフの縦軸は農業用ハウス10内に供給(施用)される二酸化炭素の濃度を表している。図2では、本発明の実施形態に係る二酸化炭素施用装置1によって施用した場合における二酸化炭素濃度の時間変化を、グラフG1として示している。また、従来の二酸化炭素施用装置によって施用した場合における二酸化炭素濃度の時間変化を、グラフG2として示している。
【0046】
図2に表されるように、グラフG1とグラフG2とを比較すると、グラフG1(本発明)の方が、特に二酸化炭素排出過程の初期段階において排出される二酸化炭素濃度を大幅に低減させることができている。そして、時間の経過とともに、グラフG2(従来)では二酸化炭素濃度が大きく減少しているが、グラフG1(本発明)では、時間が経過しても二酸化炭素濃度の変化(低下)を抑制することができている。換言すれば、グラフG1(本発明)では、農業用ハウス10内に供給する二酸化炭素濃度をほぼ一定の状態とすることが可能となっている。その結果、従来よりも長時間の二酸化炭素の施用が可能となっている。
【0047】
また本発明施用方法では、二酸化炭素排出過程において、所定時間経過後(図2では時刻t1)に、バイパス配管91に設けられたバイパス流量調整バルブV4の開度を小さくして、第一流量に対する第二流量の比率を減少させている。つまり、貯留タンク71に流れる外気の流量に対するバイパス配管91内に流れる外気の流量の比率を減少させている。このため、貯留タンク71に流れる外気の流量が大きくなり、農業用ハウス10内に供給される二酸化炭素の濃度が増加している。その結果、より長時間の二酸化炭素の施用が可能となっている。
【0048】
続いて、図3を参照しながら、上述した二酸化炭素施用装置1の運転方法(第一運転方法)とは異なる運転方法(第二運転方法)について説明する。図3は、図2と同様のグラフであって、二酸化炭素排出過程における二酸化炭素濃度の時間変化を示すグラフである。具体的には、二酸化炭素施用装置1により二酸化炭素を施用した場合と、従来の二酸化炭素施用装置により二酸化炭素を施用した場合とを比較するためのグラフである。尚、この第二運転方法においても、上述した第一運転方法と同様に、時刻t1にバイパス流量調整バルブV4の開度を小さくしている。
【0049】
この第二運転方法では、貯留タンク71から排出される二酸化炭素の濃度が低下した際(図3の時刻t2)に、貯留タンク71に供給される外気を排気熱回収器31により加熱する。すなわち、貯湯タンク33(蓄熱手段)に蓄熱していた熱を利用して、供給流路51内を流れる外気を加熱する。貯留タンク71には比較的暖かい外気が導入され、吸着材72からの二酸化炭素の離脱が促進されるため、農業用ハウス10内に供給される二酸化炭素の濃度が時刻t2において再び上昇している。このように、貯留タンク71に供給される外気を途中から加熱して二酸化炭素の濃度を上昇させることで、農業用ハウス10内への二酸化炭素の施用時間を更に長くすることができる。
【0050】
続いて、図4を参照しながら、上述した二酸化炭素施用装置1の運転方法(第二運転方法)とは異なる運転方法(第三運転方法)について説明する。図4は、図2及び図3と同様のグラフであって、二酸化炭素排出過程における二酸化炭素濃度の時間変化を示すグラフである。具体的には、二酸化炭素施用装置1により二酸化炭素を施用した場合と、従来の二酸化炭素施用装置により二酸化炭素を施用した場合とを比較するためのグラフである。図4に示したグラフG2は、図2及び図3に示したグラフG2と同一のグラフであり、従来の二酸化炭素施用装置によって施用した場合における二酸化炭素濃度の時間変化を示している。図4に示したグラフG1は、この第三運転方法で二酸化炭素施用装置1を運転した場合における、二酸化炭素濃度の時間変化を示している。
【0051】
この第三運転方法では、また、植物が光合成を行うのに最適な特定の時間帯(時刻t20を含む時間帯)において、放出する二酸化炭素濃度が最大となるように、第一流量に対する第二流量の比率を変化させている。グラフG1に示した従来の運転方法においては、運転の初期段階(時刻t10を含む時間帯)において最も高い濃度の二酸化炭素が放出され、その後は徐々に減少している。これに対し、二酸化炭素施用装置1では、このように任意の時間帯において最も高い濃度の二酸化炭素が放出されるような運転を行うことが可能となっている。
【0052】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:二酸化炭素施用装置
10:農業用ハウス
11:加温機
12:煙突
21:外気導入流路
22:外気導入部
31:排気熱回収器
32:放熱装置
33:貯湯タンク
34:配管
41:浄化装置
51:供給流路
52:分岐部
61:ブロア
71:貯留タンク
72:吸着材
81:排出流路
82:合流部
91:バイパス流路
121:凝縮水タンク
V1:燃焼排ガス量調整バルブ
V2:外気量調整バルブ
V3:排出流量調整バルブ
V4:バイパス流量調整バルブ
図1
図2
図3
図4