特許第6290636号(P6290636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290636
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/22 20060101AFI20180226BHJP
   F02M 37/10 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   F02M37/22 G
   F02M37/22 A
   F02M37/22 P
   F02M37/10 J
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-11497(P2014-11497)
(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2015-137633(P2015-137633A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】永作 友一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 耕史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 拓也
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−072055(JP,A)
【文献】 実開平01−076554(JP,U)
【文献】 国際公開第00/000734(WO,A1)
【文献】 特開2006−105148(JP,A)
【文献】 特開2011−122563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/22
F02M 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、
前記燃料タンク本体の内部に配設され、側壁と上壁を備え前記上壁に開口部が形成されたサブタンクと、
前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、
を備え、前記低部は前記開口部の直下に位置する燃料タンク。
【請求項2】
前記燃料タンク本体の内部には、前記フィルタを透過した前記燃料を前記燃料タンク本体の外部に導出する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、
前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、
一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記サブタンクの内部において前記フィルタの上部で開口する燃料戻し通路と、
を備える請求項1記載の燃料タンク。
【請求項3】
前記燃料戻し通路の前記他端は、前記低部に向かって開口している請求項2記載の燃料タンク。
【請求項4】
前記フィルタは、前記上面を含む表面で囲まれた内部空間を有し、
前記燃料タンク本体の内部には、前記内部空間から前記燃料タンク本体の外部に前記燃料を導出する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、
前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、
一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記内部空間で開口する燃料戻し通路と、
を備える請求項1記載の燃料タンク。
【請求項5】
前記燃料戻し通路の他端は、前記内部空間において前記低部の車両下方に位置し車両上方に向けて開口している請求項4記載の燃料タンク。
【請求項6】
内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、
前記燃料タンク本体の内部に配設され、側壁と上壁を備え前記上壁に開口部が形成されたサブタンクと、
前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、
を備え、
前記燃料タンク本体の内部には、前記フィルタを透過した前記燃料を前記燃料タンク本体の外部に導出する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、
前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、
一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記サブタンクの内部において前記フィルタの上部で開口する燃料戻し通路と、
を有する燃料タンク。
【請求項7】
前記燃料戻し通路の前記他端は、前記低部に向かって開口している請求項6記載の燃料タンク。
【請求項8】
内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、
前記燃料タンク本体の内部に配設され、上部に開口部を有するサブタンクと、
前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、
を備え、
前記フィルタは、前記上面を含む表面で囲まれた内部空間を有し、
前記燃料タンク本体の内部には、前記内部空間から前記燃料タンク本体の外部に前記燃料を導出する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、
前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、
一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記内部空間で開口する燃料戻し通路と、
を有し、前記燃料戻し通路の他端は、前記内部空間において前記低部の車両下方に位置し車両上方に向けて開口している燃料タンク。
【請求項9】
内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、
前記燃料タンク本体の内部に配設され、上部に開口部を有するサブタンクと、
前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、
を備え、
前記低部は、前記フィルタの上面端部に設けられており、前記サブタンク内において前記低部と連通し前記上面端部の下方に設けられ前記異物を収容する異物収容部を有する燃料タンク。
【請求項10】
少なくとも前記開口部の下部から前記異物収容部が設けられた前記上面端部に向けて下り勾配の前記傾斜部が設けられている請求項9記載の燃料タンク。
【請求項11】
前記異物収容部と前記上面端部の間には、前記上面端部から前記異物収容部に前記異物の移動を許容し、前記異物収容部から前記上面端部に前記異物の移動を許容しない逆止弁が設けられている請求項9又は10記載の燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の燃料タンクには、燃料が偏在した場合、又は燃料の液位が低下した場合にも燃料ポンプからエンジンに安定的に燃料を供給するために、燃料タンク内で一定量の燃料を局所的に貯めるサブタンクが燃料タンクの底壁側に設けられている。サブタンクの内部には、燃料から異物を除去するためのフィルタが配設されており、フィルタの内部から燃料ポンプを介してエンジンに燃料が供給される構成である。このような先行技術として、例えば、特許文献1に記載されたような技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−36584
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィルタに付着した異物を除去するという点については記載がなかった。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、フィルタに付着した異物を特定の場所に集める燃料タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、前記燃料タンク本体の内部に配設され、側壁と上壁を備え前記上壁に開口部が形成されたサブタンクと、前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、を備え、前記低部は前記開口部の直下に位置する。
【0007】
この燃料タンクでは、サブタンク内の燃料中に含まれる異物がフィルタ表面において燃料から除去され、フィルタ表面に付着することになる。ここで、フィルタの上面には、周囲よりも低い低部と、低部に向かって下り勾配とされた傾斜部が設けられている。したがって、フィルタの上面に付着した異物は、傾斜部に案内されて低部に移動し、低部に集められる。そこで、例えばサービス時等に、燃料タンクの開口部から吸引装置等をサブタンクの開口部内に挿入し、低部に溜まった異物を効率的に回収することができる。
【0009】
この燃料タンクでは、フィルタの低部がサブタンクの開口部の直下に設けられている。この結果、フィルタの上面において、サブタンクの開口部の直下(の低部)に異物が集められる。したがって、例えばサービス時等に、燃料タンクの開口部から吸引装置等をサブタンクの開口部内に挿入し、低部に溜まった異物を回収することが容易になる。
【0010】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、前記燃料タンク本体の内部には、前記フィルタを透過した前記燃料を前記燃料タンク本体の外部に導出する燃料ポンプと、前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記サブタンクの内部において前記フィルタの上部で開口する燃料戻し通路と、を備える。
【0011】
この燃料タンクでは、フィルタを透過した燃料が燃料ポンプで吸引され、燃料送出通路を介してエンジンに供給される。この際、燃料の一部は、燃料送出通路上に設けられた燃料戻し部から燃料戻し通路を介してサブタンクの内部に戻される。ここで、燃料戻し通路の先端が、サブタンクの内部においてフィルタの上部において開口しているため、サブタンク内における燃料戻し通路からの燃料の流入によってフィルタ上部の燃料が流動する。この結果、フィルタ上面の低部に溜まっている異物が飛散し、サブタンクの開口部からサブタンクの外部に異物を排出することができる。
【0012】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、前記燃料戻し通路の前記他端は、前記低部に向かって開口している。
【0013】
この燃料タンクでは、燃料戻し通路の先端が、サブタンク内部のフィルタ上部において低部に向かって開口しているため、燃料戻し通路から流入した燃料の流れが低部を直撃する。すなわち、燃料戻し通路から流入した燃料が低部に溜まっている異物を飛散させ、サブタンクの開口部からサブタンクの外部に異物を排出することができる。
【0014】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、前記フィルタは、前記上面を含む表面で囲まれた内部空間を有し、前記燃料タンク本体の内部には、前記内部空間から前記燃料タンク本体の外部に前記燃料を導出する燃料ポンプと、前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記内部空間で開口する燃料戻し通路と、を備える。
【0015】
この燃料タンクでは、フィルタの内部空間から燃料ポンプで燃料が吸引され、燃料送出通路を介してエンジンに供給される。この際、燃料の一部は、燃料送出通路上に設けられた燃料戻し部から燃料戻し通路を介してサブタンクの内部に戻される。ここで、燃料戻し通路の他端がフィルタの内部空間で開口している。したがって、燃料戻し通路からフィルタの内部空間に燃料が流入し、フィルタの内部空間からフィルタの外部(上方)へ向かう燃料の流れを生ずる。このフィルタ上方への燃料の流れが、フィルタの低部に溜まっている異物を車両上方に飛散させる。この結果、飛散した異物がサブタンクの上部に設けられた開口部からサブタンクの外部に排出されることになる。
【0016】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、前記燃料戻し通路の他端は、前記内部空間において前記低部の車両下方に位置し車両上方に向けて開口している。
【0017】
この燃料タンクでは、燃料戻し通路の他端がフィルタの内部において低部の車両下方に位置し、車両上方の低部に向けて開口している。したがって、フィルタの内部空間から上面の低部に向かう燃料の流れを生ずる。この車両上方に向かう燃料の流れが低部を直撃し、低部に溜まっている異物は車両上方に飛散する。この結果、飛散した異物が、サブタンクの開口部からサブタンクの外部に排出される。
請求項6に記載の発明では、内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、前記燃料タンク本体の内部に配設され、側壁と上壁を備え前記上壁に開口部が形成されたサブタンクと、前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、を備え、前記燃料タンク本体の内部には、前記フィルタを透過した前記燃料を前記燃料タンク本体の外部に導出する燃料ポンプと、前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記サブタンクの内部において前記フィルタの上部で開口する燃料戻し通路と、を有する。
請求項7に記載の発明では、請求項6記載の発明において、前記燃料戻し通路の前記他端は、前記低部に向かって開口している。
請求項8記載の発明では、内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、前記燃料タンク本体の内部に配設され、上部に開口部を有するサブタンクと、前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、を備え、前記フィルタは、前記上面を含む表面で囲まれた内部空間を有し、前記燃料タンク本体の内部には、前記内部空間から前記燃料タンク本体の外部に前記燃料を導出する燃料ポンプと、前記燃料ポンプの燃料送出側に設けられた燃料送出通路と、前記燃料送出通路上に設けられ、前記燃料の一部を前記サブタンクの内部に戻す燃料戻し部と、一端が前記燃料戻し部に接続され、他端が前記内部空間で開口する燃料戻し通路と、を有し、前記燃料戻し通路の他端は、前記内部空間において前記低部の車両下方に位置し車両上方に向けて開口している。
【0018】
請求項記載の発明では、内部に燃料を貯留する燃料タンク本体と、前記燃料タンク本体の内部に配設され、上部に開口部を有するサブタンクと、前記サブタンクの内部に配設され、周囲よりも低くなった低部と前記周囲から前記低部に向かって下り勾配となっている傾斜部とを備えた上面を含む表面で前記燃料から異物を除去するフィルタと、を備え、前記低部は、前記フィルタの上面端部に設けられており、前記サブタンク内において前記低部と連通し前記上面端部の下方に設けられ前記異物を収容する異物収容部を有する
【0019】
この燃料タンクでは、サブタンク内の燃料中に含まれる異物がフィルタ表面において燃料から除去され、フィルタ表面に付着することになる。ここで、フィルタの上面には、周囲よりも低い低部と、低部に向かって下り勾配とされた傾斜部が設けられている。したがって、フィルタの上面に付着した異物は、傾斜部に案内されて低部に移動し、低部に集められる。そこで、例えばサービス時等に、燃料タンクの開口部から吸引装置等をサブタンクの開口部内に挿入し、低部に溜まった異物を効率的に回収することができる。
また、この燃料タンクでは、フィルタの上面端部に低部が設けられており、低部が設けられた上面端部の下方に低部に連通する異物収容部が設けられている。したがって、サブタンク内においてフィルタの上面に付着した異物は、傾斜部に案内されて上面端部に設けられた低部に集められ、低部と連通し低部の下方に設けられた異物収容部に移動(収容)させることができる。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項記載の発明において、少なくとも前記開口部の下部から前記異物収容部が設けられた前記上面端部に向けて下り勾配の前記傾斜部が設けられている。
【0021】
この燃料タンクでは、サブタンクの開口部の下部から低部が設けられたフィルタの上面端部に向けて下り勾配の傾斜部が設けられている。したがって、サブタンクの開口部からサブタンクの内部に進入した燃料より比重の大きい異物が、傾斜部に案内されてフィルタの上面端部に設けられた低部に到達し、低部の下方に設けられた異物収容部に収容される。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項又は10記載の発明において、前記異物収容部と前記上面端部の間には、前記上面端部から前記異物収容部に前記異物の移動を許容し、前記異物収容部から前記上面端部に前記異物の移動を許容しない逆止弁が設けられている。
【0023】
この燃料タンクでは、低部が設けられたフィルタの上面端部と異物収容部の間には、上面端部から異物収容部に向けての異物の移動を許容し、反対方向の移動を許容しない逆止弁が設けられている。したがって、異物収容部に収容された異物が、フィルタの上部に戻ってくることが抑制又は防止される。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記構成としたので、燃料タンクのフィルタ表面に付着した異物を特定の場所に集めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る燃料タンクの縦断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る燃料タンクの縦断面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る燃料タンクの縦断面図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る燃料タンクの縦断面図である。
図5】本発明の第5実施形態に係る燃料タンクの縦断面図である。
図6】本発明の第5実施形態に係るサブタンクの一部切欠き平面図である。
図7】(A)は本発明の第5実施形態のバリエーションに係るサブタンクの平面図であり、(B)は(A)のB−B断面図である。
図8】本発明の第5実施形態のバリエーションに係る燃料タンクの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
【0027】
本発明の第1実施形態に係る燃料タンクについて図1を参照して説明する。なお、燃料タンクには様々な部材が配設されているが、本発明の要旨に関係のない部材は図示省略している。
【0028】
図1に示すように、燃料タンク10は、内部に燃料Sを貯留する燃料タンク本体12と、燃料タンク本体12の底部に設けられ燃料の残存容量が少ないときでも外部に燃料を供給可能とするサブタンク14と、サブタンク14の底に配設されたフィルタ16と、フィルタ16の内部から外部(エンジン)へ燃料を供給する燃料ポンプ18と、燃料ポンプ18で導出される燃料の圧力を一定に保つために、過剰な燃料をサブタンク14の内部に還流するプレッシャーレギュレータ20と、燃料ポンプ18から燃料タンク10の外部に燃料を導出するポンプモジュール22とを備える。
【0029】
燃料タンク本体12は、図1に示すように、矩形の箱状体であり、底壁24と、底壁24の両端部から上方に延在する側壁26、28と、側壁26、28の上端を結ぶ上壁30とから形成され、内部に燃料が貯留される閉空間32が形成されている。また、上壁30には、ポンプモジュール22が取り付けられる開口部34が形成されている。
【0030】
サブタンク14は、図1に示すように、側壁36、38と上壁40とを備えた矩形の箱形状であり、開口部を車両下方向として燃料タンク本体12の底壁24上に載置される。なお、底壁24と側壁36、38の間からサブタンク14の内部に燃料Sが流入可能とされている。
【0031】
上壁40には、燃料Sがサブタンク14の内部に流入するための開口部42と、プレッシャーレギュレータ20からサブタンク14に燃料Sの一部を戻すための燃料戻し通路62を構成する円形の管路44とが形成されている。
【0032】
フィルタ16は、サブタンク14の底部側で燃料タンク本体12の底壁24上に配設されており、サブタンク14の側壁36、38間に固着されている。フィルタ16は、図1に示すように、底部46、側部48、50、上部52を備え、これらに囲まれた断面略矩形状の内部空間53を形成している。上部52の上面52Aには、周囲の部分よりも低い(車両上下方向で下方に位置する)低部54と、低部54に向かって下り勾配となっている傾斜部56とを備える。なお、低部54は、サブタンク14の開口部42の直下に位置する。ここで、「底部」とは、隣接する周囲の全ての上面52Aよりも低い、又は隣接する周囲の一部の上面52Aと同レベルでその他の部分よりも低い部分をいう。
【0033】
フィルタ16は燃料Sが接触することによってフィルタ16の表面に油膜が形成されることにより撥水性が確保されるものである。したがって、サブタンク14内に燃料Sがある限り必ず燃料Sがフィルタ16に接触するためフィルタ16の撥水性が確保される。
【0034】
燃料タンク10内部から外部に燃料Sを供給する燃料供給系は、フィルタ16の内部から燃料ポンプ18まで連通する燃料吸引通路58と、燃料ポンプ18と、燃料ポンプ18からポンプモジュール22まで燃料Sを供給する燃料送出通路60と、燃料送出通路60上に設けられたプレッシャーレギュレータ20からサブタンク14の内部に燃料Sの一部を戻す燃料戻し通路62とから構成される。
【0035】
ポンプモジュール22は、円筒形の筒状体64の内部に一体的に構成されているものであって、その上端に設けられたフランジ66が燃料タンク本体12の開口部34に図示しない係止手段で係止されているものである。
【0036】
このように形成された燃料タンク10の作用について説明する。
【0037】
燃料タンク10では、燃料タンク本体12内に貯留されている燃料Sの液位Lがサブタンク14の上壁40よりも高い場合には、サブタンク14の上壁40に設けられた開口部42からサブタンク14の内部に燃料Sが流入すると共に、サブタンク14の側壁36、38と燃料タンク本体12の底壁24の隙間からサブタンク14の内部に燃料Sが流入する。この結果、サブタンク14の内部において底壁24側に配設されたフィルタ16の上部52、底部46等から燃料Sがフィルタ16の内部空間53に流入する。この状態で、燃料ポンプ18を駆動することにより、フィルタ16の内部空間53から燃料吸引通路58、燃料ポンプ18、燃料送出通路60、ポンプモジュール22を介して外部(エンジン)に燃料Sが供給される。ここで、プレッシャーレギュレータ20によって一部の燃料Sが燃料戻し通路62を介してサブタンク14の内部に還流される。
【0038】
ところで、燃料タンク10では、様々な理由により燃料タンク本体12の内部に水滴Pを生じ、開口部42からサブタンク14の内部に進入することがある。水滴Pは燃料Sよりも比重が大きいため、サブタンク14の内部で車両下方に沈降する。この結果、フィルタ16の上面52Aに水滴Pが到達する。
【0039】
ここで、燃料タンク10のフィルタ16は一部でも燃料Sに浸っていると撥水性を有するため、フィルタ16の上面52Aに到達した水滴Pはフィルタ16の内部に進入することが防止又は抑制される。
【0040】
また、フィルタ16の上面52Aには、周囲よりも低い(車両下方に位置する)低部54に向かって下り勾配とされた傾斜部56が形成されているため、フィルタ16の上面52Aに付着した燃料Sよりも比重が大きい水滴Pは、傾斜部56に案内され低部54に集められる。
【0041】
したがって、燃料タンク10のサービス時等に、開口部34からポンプモジュール22を取り外した際に、開口部34からサブタンク14の開口部42内に吸引具等を挿入することにより、フィルタ16の低部54に集められた水滴Pを効率的に吸引回収することができる。特に、低部54がサブタンク14の開口部42の直下に設けられているため、水滴Pの回収が容易となる。
【0042】
また、燃料戻し通路62は、管路44によってサブタンク14内でフィルタ16の上部に開口しているため、燃料戻し通路62から流入する燃料Sによってフィルタ上部の燃料Sが流動する。この結果、低部54に溜まっていた水滴Pが飛散し、開口部42からサブタンク14の外部に水滴Pが排出される。
【0043】
さらに、水滴Pが低部54に集められることによって、フィルタ16の上面52Aにおいて水滴Pが付着している面積が減少する。この結果、フィルタ16は濾過性能の低下が抑制され、所定の濾過性能を確保することができる。特に、低部54に溜まった水滴Pが飛散し、サブタンク14の開口部42からサブタンク14の外部に排出されることにより、フィルタ16の濾過性能が一層回復する。
【0044】
このように、本実施形態に係る燃料タンク10は、フィルタ16の上面52Aに設けられた低部54と傾斜部56によって、フィルタ16の上面52Aに到達した水滴Pを低部54に集めることができる。しかも、低部54は、サブタンク14の開口部42の直下に位置するため、サービス時等に燃料タンク10の開口部34からサブタンク14の開口部42に吸引具等を挿入することにより、集められた水滴Pを容易に吸引することきができる。
【0045】
また、燃料戻し通路62によってプレッシャーレギュレータ20からサブタンク14内に燃料Sの一部を戻す構成としているため、車両戻し通路62から流入する燃料Sの流れによって低部54に溜まった水滴Pが飛散して、開口部42からサブタンク14の外部へ排出される。すなわち、燃料Sの還流によってフィルタ16に付着した水滴Pを自動的に排除することができる。
【0046】
さらに、低部54に水滴Pを集めること、又は集めた水滴Pを燃料Sの還流によって飛散させ、その一部を開口部34からサブタンク14の外部に排出することによって、フィルタ16が所定の濾過性能を確保することができる。
【0047】
なお、フィルタ16は撥水性とされているため、上面52Aに到達した水滴Pがフィルタ内部に進入することは防止又は抑制されている。
【0048】
また、本実施形態では、フィルタ16の上面52Aに設けられた低部54は一か所であったが、複数であっても良い。さらに、傾斜部56は、連続的に単一の下り勾配で形成されていたが、下り勾配が変化しても良い。さらに、傾斜部56の途中に水平になっている部分があっても良い。
【0049】
またさらに、開口部42の直下に低部54を設けているが、これに限定する趣旨ではない。
【0050】
[第2実施形態]
【0051】
次に、本発明の第2実施形態に係る燃料タンクについて図2を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。第1実施形態と異なるのは燃料戻し通路62なので、当該部分のみ説明する。
【0052】
図2に示すように、燃料タンク70において、燃料戻し通路62はサブタンク14の上壁40に設けられた管路44と、管路44に連続してサブタンク14の内部に配設されたチューブ72とを備える。チューブ72は、管路44の下端から傾斜部56に沿って低部54に向かって延在する。チューブ72の先端は低部54の直近に配設され、低部54を向いて開口している。
【0053】
このように構成された燃料タンク70の作用について説明する。
【0054】
第1実施形態と同様にサブタンク14の内部に進入した水滴Pは、フィルタ16の上面52Aに設けられた傾斜部56によって案内され、低部54に集められる。ここで、燃料戻し通路62は、管路44に続くチューブ72が傾斜部56に沿って配設され、チューブ72の先端が低部54に向かって開口している。したがって、プレッシャーレギュレータ20から燃料戻し通路62に燃料Sの一部が還流された場合には、チューブ72の先端から低部54に向かって燃料Sが噴出する。この結果、低部54に溜まっていた水滴Pが飛散し、サブタンク14の開口部42からサブタンク14の外部に水滴Pが排出される。
【0055】
このように燃料タンク70では、燃料戻し通路62を構成するチューブ72を低部54の近傍まで配設し、低部54に向かって先端を開口していることにより、プレッシャーレギュレータ20から還流する燃料Sを低部54に溜まっている水滴Pに向けて直接噴射することができる。したがって、水滴Pを効率的に飛散させてサブタンク14の開口部42からサブタンク14の外部に効率的に排出することが可能となる。
【0056】
また、サブタンク14の開口部42からサブタンク14の外部に水滴Pを効率的に排出できるため、水滴Pの付着によるフィルタ16の濾過性能の低下を一層抑制できる。
【0057】
[第3実施形態]
【0058】
続いて、本発明の第3実施形態に係る燃料タンクについて図3を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。第1実施形態と異なるのは、燃料戻し通路62なので当該部分のみ説明する。
【0059】
図3に示すように、燃料タンク80において、燃料戻し通路62は、サブタンク14の上壁40に設けられた管路44と、管路44に連続するチューブ82とを備える。
【0060】
チューブ82は、管路44の下端部からフィルタ16の上部52を貫通してフィルタの内部空間53まで延在している。フィルタ16の内部空間53では、フィルタの傾斜部56に沿ってフィルタ16の低部54の下方まで延在している。また、チューブ82の先端(低部54に対向する部分)の上側側面には、低部54に向かって開口部84が形成されている。
【0061】
このように構成された燃料タンク80の作用について説明する。
【0062】
燃料戻し通路62は、管路44に続いてチューブ82がフィルタ16の上部52を貫通して内部空間53における低部54の下方まで延在している。しかも、チューブ82の先端には、低部54に対向する上側側面に開口部84が複数設けられている。
【0063】
したがって、プレッシャーレギュレータ20から燃料戻し通路62に燃料Sが還流された場合には、チューブ82の先端に設けられた開口部84から低部54に向かって、すなわち、車両下方から車両上方に燃料Sが噴出する。この結果、低部54に溜まっていた水滴Pが車両上方に飛散し、サブタンク14の開口部42からサブタンク14の外部に水滴Pが排出される。
【0064】
このように燃料タンク80では、燃料戻し通路62を構成するチューブ82をフィルタ内部の低部54の下方まで配設し、先端の上側側面に開口部84を設けていることにより、プレッシャーレギュレータ20から還流する燃料Sを低部54に溜まっている水滴Pに対して車両下方から噴射し、水滴Pを車両上方に飛散させることができる。すなわち、サブタンク14の開口部42から外部に水滴Pを排出することが一層容易となった。
【0065】
また、フィルタ16に付着した水滴Pがサブタンク14の外部へ一層排出されるため、水滴Pの付着によるフィルタ16の濾過性能低下を一層抑制することができる。
【0066】
なお、フィルタ16の内部空間53で燃料戻し通路62の先端を開口させるだけの構成でも、フィルタ16の内部空間53に車両下方から車両上方に向かう燃料Sの流れを生じさせ、低部54に溜まった水滴Pを飛散させ、サブタンク14の開口部42から外部に水滴Pを排出することができる。
【0067】
[第4実施形態]
【0068】
本発明の第4実施形態に係る燃料タンクについて図4を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0069】
図4に示すように、燃料タンク90は、ディーゼルエンジンに適用される燃料タンクである。したがって、燃料タンク90の内部には燃料ポンプやポンプモジュールが配設されてはいない。
【0070】
すなわち、燃料タンク90の外部からフィルタ16の内部空間53まで挿通される燃料吸引通路58と、サブタンク14の内部に燃料Sの一部を戻す燃料戻し通路62とが、フランジ66に取り付けられている。
【0071】
このように構成される燃料タンク90の作用について説明する。
【0072】
燃料タンク90では、サブタンク14の内部に進入した水滴Pがフィルタ16の上面52Aに付着し、傾斜部56に案内されて低部54に集められる。したがって、サービス時等に燃料タンク本体12の開口部34を開放し、開口部34からサブタンク14の開口部42に吸引具等を挿入することによって、開口部42の直下に設けられた低部54に集められた水滴Pを効率的に回収することができる。
【0073】
また、燃料戻し通路62は、管路44によってサブタンク14内でフィルタ16の上部に開口しているため、燃料戻し通路62から排出される燃料Sによってフィルタ16上部の燃料Sが流動する。この結果、低部54に溜まっていた水滴Pが飛散し、開口部42からサブタンク14の外部に水滴Pが排出される。
【0074】
このように、ディーゼルエンジン用の燃料タンク90においても燃料タンク10と同様の作用効果を奏する。
【0075】
なお、燃料タンク90は、第1実施形態の燃料タンク10に対応するものであるが、燃料戻し通路62の構成を変更した第2、第3実施形態の燃料タンク70、80に対応する構成を適用しても良い。
【0076】
[第5実施形態]
【0077】
次に、本発明の第5実施形態に係る燃料タンクについて図5および図6を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成要素について同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施形態の燃料タンクは、第1実施形態とサブタンクの形状が異なるのみなので、サブタンクについてのみ説明する。
【0078】
燃料タンク100は、図5に示すように、サブタンク14が下部材102と下部材102に嵌合する上部材104とから構成されている。
【0079】
下部材102は、図5及び図6に示すように、縦壁106が平面視略矩形状に形成された筒状体であり、その矩形をなす一方の短辺側を構成する縦壁106の外側に後述する異物収容部108となる異物収容室110を形成している。
【0080】
異物収容室110は、図5に示すように断面が矩形の部屋であり、図6に示すように、平面視において矩形をなす一方の短辺側を構成する縦壁106の全幅に亘って延在している。短辺に相当する縦壁106の幅方向中央部で車両上方側には、後述する上部材104の切欠き120と連通する矩形の入口112が形成されている。
【0081】
また、下部材102の長手方向両端の縦壁106、106間には、異物収容部108側に向かって下り勾配とされてフィルタ16が固定されている。フィルタ16は、それぞれ断面ハット形状の上フィルタ16Aと下フィルタ16Bが対向するように端部で接合されることにより、両者の間に空間を有する形状とされている。
【0082】
なお、このようにフィルタ16自体を傾斜配置することによって、フィルタ16の上面52Aの端部を除く部分が傾斜部56に相当し、上面52Aの異物収容部108側端部が低部54に相当することになる。
【0083】
なお、フィルタ16の下方にはメッシュ114が配設されており、フィルタ16を下方より支持している。
【0084】
上部材104は、平面視矩形状に配置された側壁116と上壁118とを備える。図6に示すように、平面視矩形状に配置された側壁116は、下部材102の縦壁106の内側に挿入可能とされており、下端部がフィルタ16の接合部分上に載置されている。
【0085】
なお、側壁116の異物収容部108側には、短手方向中央部の下端部分に矩形の切欠き120が形成されている。この切欠き120と異物収容部108の入口112とによって、サブタンク14の低部54側(低部54の上部)と異物収容室110が連通されている。
【0086】
図5図6に示すように、上壁118は、平面部122から開口部42に向かって下り勾配とされた傾斜面124と、傾斜面124と対向配置された縦壁部126と、傾斜面124と縦壁部126の下端部を連結する底面128、130とで囲まれた開口部42が形成されている。
【0087】
なお、燃料タンク100は、プレッシャーレギュレータ20がないタイプのものであって、燃料戻し通路62もない。
【0088】
このように構成される燃料タンク100の作用について説明する。
【0089】
燃料タンク100では、サブタンク14の上部材104に設けられた開口部42から水滴Pがサブタンク14の内部に進入する。サブタンク14の内部で燃料Sよりも比重の大きい水滴Pは沈降してフィルタ16の上面52A(上フィルタ16A)に到達する。フィルタ16は、異物収容部108側が低くなるように傾斜して配置されているため、フィルタ16の上面52Aに到達した水滴Pは、フィルタ16の傾斜部56に案内されて車両下方に位置する端部(低部54)まで移動する。この低部54まで移動した水滴Pは、側壁116に設けられた切欠き120、縦壁106に設けられた入口112を介して異物収容部108の異物収容室110に移動する。すなわち、水滴Pは異物収容部108(異物収容室110)に収容される。
【0090】
異物収容部108は、上端に入口112があり、入口112から車両下方に延在しているため、燃料Sよりも比重が大きい水滴Pが異物収容室110に収容された後でフィルタ16上に戻ることが防止または抑制される。
【0091】
このように、燃料タンク100では、フィルタ16がサブタンク14内で異物収容部108側に向けて下り勾配で傾斜して配置されているため、サブタンク14内においてフィルタ16の上面52Aに到達した水滴Pが異物収容部108(低部54)側に移動し、切欠き120および入口112を介して異物収容部108に収容される。したがって、フィルタ16の上面52Aに到達した水滴Pが上面52Aに止まることが良好に防止又は抑制される。
【0092】
この結果、水滴Pの付着によるフィルタ16の濾過性能の低下が抑制される。
【0093】
また、異物収容室110が低部54の車両下方に設けられ、異物収容室110の入口112が異物収容室110の上部に設けられているため、異物収容室110に収容された水滴Pがフィルタ16上に戻ることが防止又は抑制される。
【0094】
さらに、サービス時等にサブタンク14の下部材102から上部材104を取り外すことによって、燃料タンク本体12の開口部34から異物収容室110の入口112に吸引具を挿入することによって、水滴Pを吸引することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、サブタンク14に対してフィルタ16自体を傾斜配置することによって、フィルタ16の上面52Aに付着した全ての水滴Pを、上面52Aの端部に形成された低部54に集められるように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、水滴Pがサブタンク14の開口部42から進入することを考慮して、少なくとも開口部42の直下から異物収容室110が形成された端部側の低部54に向かって下り勾配となる傾斜部56を上面52Aに設けることが考えられる。このように構成することによって、傾斜部56の面積を抑制しつつサブタンク14内に進入する水滴Pを効率的に回収することができる。
【0096】
また、異物収容部108(異物収容室110)は、図7(A)、図7(B)に示すように、下部材102(縦壁106)の周囲を囲むように形成しても良い。このように構成することにより、異物収容部108(異物収容室110)の異物収容量を増加させることができる。
【0097】
さらに、図8に示すように、異物収容部108の異物収容室110の入口112に逆止弁132を配設しても良い。逆止弁132は、入口112に挿通される軸体134と、軸体134の一端側で膨出された球形の係止部136と、他端側で側面視で円弧状の弁体であるフランジ部138とを有する。
【0098】
一方、入口112は、周方向に等間隔で周壁から径方向内側に突出形成された複数の舌片140と、複数の舌片140の中心に形成された円形の開口部142とを備える。開口部142には、逆止弁132の軸体134が挿通可能であるが、係止部136が挿通できない径とされている。
【0099】
したがって、水滴Pが切欠き120から異物収容部108の入口112に到達した際、入口112の開口部142および複数の舌片140の間を通過した水滴Pがフランジ部138を押圧することによって係止部136が舌片140に当接するまで軸体134が異物収容室110側に移動し、フランジ部138を縦壁106から離間させる。この結果、逆止弁132が開放され、水滴Pが低部54から異物収容室110に移動する。
【0100】
一方、異物収容室110に収容された水滴Pが入口112に到達した場合には、水滴Pがフランジ部138を押圧することによりフランジ部138が縦壁106に当接し、入口112を閉塞する。すなわち、逆止弁132が入口112を閉塞して、水滴Pがフィルタ16上に戻ることを防止又は抑制する。
【0101】
このように、異物収容部108(異物収容室110)の入口112に逆止弁132を設けることにより、異物収容室110に収容された水滴Pが再びフィルタ16上に戻ることを一層確実に防止又は抑制できる。
【0102】
なお、第5実施形態では、燃料タンク100にプレッシャーレギュレータ20がない構成としたが、プレッシャーレギュレータ20がある構成でも良い。この場合には、第1〜第4実施形態と同様に、燃料戻し通路62から還流される燃料Sの流れによって水滴Pが飛散し、開口部42からサブタンク14の外部に排出されることもある。
【0103】
また、一連の実施形態では、異物の一例として水滴Pについて説明したが、これに限定されるものではない。水、燃料以外の液滴であっても良いし、フィルタ16上を移動可能な固体でも良い。
【0104】
さらに、第1〜第4実施形態では、プレッシャーレギュレータ20と燃料戻し通路62があったが、ない構成でも良い。あるいは、燃料戻し通路62でサブタンク14の外部に燃料Sの一部を還流する構成でも良い。
【符号の説明】
【0105】
10、70、80、90、100 燃料タンク
12 燃料タンク本体
14 サブタンク
16 フィルタ
18 燃料ポンプ
20 プレッシャーレギュレータ(燃料戻し部)
42 開口部
52A 上面(表面)
53 内部空間
54 低部
56 傾斜部
60 燃料送出通路
62 燃料戻し通路
108 異物収容部
132 逆止弁
P 水滴(異物)
S 燃料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8