特許第6290644号(P6290644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6290644-油圧駆動装置 図000002
  • 特許6290644-油圧駆動装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290644
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】油圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20180226BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   F15B11/00 D
   E02F9/22 C
   E02F9/22 E
   E02F9/22 K
   E02F9/22 R
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-22171(P2014-22171)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-148300(P2015-148300A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(72)【発明者】
【氏名】田島 豊三
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−118306(JP,A)
【文献】 実開昭58−82505(JP,U)
【文献】 特開2008−75746(JP,A)
【文献】 特開昭56−14607(JP,A)
【文献】 特開平5−132974(JP,A)
【文献】 実開昭55−159246(JP,U)
【文献】 特開2002−195206(JP,A)
【文献】 米国特許第3918240(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22
F15B 21/14
E02F 3/42−3/43
E02F 3/84−3/85
E02F 9/20−9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つ設けられ、圧油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプの個数に対応するように少なくとも3つ設けられ、前記油圧ポンプから吐出された前記圧油の流量を制御し、前記圧油を、旋回機能を含む建設機械の油圧アクチュエータに供給する油圧制御弁群と、を備え、
複数の前記油圧制御弁群は、それぞれ前記油圧アクチュエータが接続される切換弁を少なくとも1つ有し、
複数の前記油圧制御弁群のうちの1つは、1つの前記切換弁が前記建設機械の旋回駆動用の前記油圧アクチュエータに接続される旋回駆動用として構成され、旋回駆動用以外の前記切換弁は、他の前記油圧制御弁群に圧油を供給するための補助供給用として構成されている油圧駆動装置。
【請求項2】
複数の前記油圧制御弁群は、それぞれの接続ポートが直接連通するように重ね合わせて設けられており、
前記旋回駆動用の前記切換弁を有する前記油圧制御弁群は、その他の前記油圧制御弁群の間に配置されている請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項3】
複数の前記油圧制御弁群は、それぞれの前記切換弁が互いに平行に並ぶように重ね合わせて設けられている請求項2に記載の油圧駆動装置。
【請求項4】
前記旋回駆動用の前記切換弁を有する前記油圧制御弁群は、複数の前記切換弁を有し、
前記旋回駆動用の前記切換弁は、複数の前記切換弁のうち、前記圧油の流路の最上流側に配置されている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の油圧駆動装置。
【請求項5】
前記旋回駆動用の前記切換弁と、その他の前記切換弁との間に、前記圧油の流路を遮断可能な切換弁を設けた請求項4に記載の油圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械、例えば油圧ショベルに搭載されている油圧アクチュエータとしては、ブーム、アーム、バケット等を駆動する油圧シリンダと、キャブ(旋回体)、走行用キャタピラ等を駆動する油圧モータとがある。これら油圧アクチュエータを駆動させるための油圧駆動装置は、圧油を吐出する可変容量型油圧ポンプ(以下、単に油圧ポンプという)と、油圧ポンプに対応するように設けられ、油圧ポンプから吐出された圧油を、流量を制御して各油圧アクチュエータに供給する油圧制御弁群と、を備えている。油圧制御弁群には、複数の切換弁が設けられており、これら切換弁と油圧アクチュエータとが接続される。また、各切換弁は、圧油が通流するタンデムバイパス通路やタンデムバイパス通路から分岐したパラレルバイパス通路を介して油圧ポンプに連結されている。
【0003】
ここで通常、建設機械に搭載される油圧駆動装置は、油圧ポンプを2つ備え、また、油圧制御弁群も油圧ポンプの個数に対応するように2つ備えている場合が多い。このように2つの油圧ポンプを用いて各油圧アクチュエータに圧油を供給し、必要に応じて各油圧ポンプから吐出された圧油を合流して所望の油圧アクチュエータに供給することにより、建設機械の操作性を向上させている。
【0004】
また、建設機械に搭載される油圧駆動装置として、油圧ポンプを3つ備えると共に、油圧制御弁群を3つ備えたものもある。この場合、3つの油圧ポンプおよび油圧制御弁群のうちの1つを、とりわけ駆動頻度の高いキャブ旋回用の油圧アクチュエータ(油圧モータ)専用として用いている。そして、他の2つの油圧ポンプおよび油圧制御弁群を、キャブ旋回用の油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータ駆動用として用いることにより、各油圧ポンプの負担を軽減させている。これにより、建設機械の操作性をさらに向上させている。
【0005】
ところで、近年、油圧駆動装置を大型化することなく、建設機械のさらなる操作性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】不二越技報 Vol.56 No.2 通巻121号、[平成25年12月9日検索]、インターネット、<URL:http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tec/pdf/121/121-02.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、装置の大型化を抑制しつつ建設機械の操作性を向上できる油圧駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の油圧駆動装置は、少なくとも3つの油圧ポンプと、この油圧ポンプの個数に対応するように少なくとも3つの油圧制御弁群とを持つ。油圧ポンプは、圧油を吐出する。油圧制御弁群は、油圧ポンプから吐出された圧油の流量を制御し、圧油を、旋回機能を含む建設機械の油圧アクチュエータに供給する。各油圧制御弁群は、それぞれ油圧アクチュエータが接続される切換弁を少なくとも1つ持つ。各油圧制御弁群のうちの1つは、1つの切換弁が建設機械の旋回駆動用の油圧アクチュエータに接続される旋回駆動用として構成されている。また、旋回駆動用の切換弁を持つ油圧制御弁群は、旋回駆動用以外の切換弁が、他の油圧制御弁群に圧油を供給するための補助供給用として構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の油圧駆動装置を示す概略構成図。
図2】実施形態の油圧制御弁群を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の油圧駆動装置を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、油圧駆動装置の概略構成図である。
同図に示すように、油圧駆動装置1は、例えば油圧ショベルに搭載されるものであって、複数の油圧アクチュエータ2を備えている。また、各油圧アクチュエータ2に所望の圧油を供給する油圧ポンプ(可変容量型油圧ポンプ)4を備えている。さらに、油圧アクチュエータ2と油圧ポンプ4との間に設けられ、油圧アクチュエータ2に供給される圧油の流量を制御する油圧制御弁群5を備えている。
【0012】
この他に、油圧駆動装置1は、操作部、ポンプ制御部(何れも不図示)等を備えている。操作部は、各油圧アクチュエータ2の操作信号を出力するものであり、この出力信号が油圧制御弁群5やポンプ制御部に入力される。油圧制御弁群5は、後述する各切換弁17a〜37eに操作信号が入力され、この操作信号に基づいて各切換弁17a〜37eが駆動するようになっている。ポンプ制御部は、操作信号に基づいて油圧ポンプ4の駆動制御を行う。
【0013】
ここで、油圧駆動装置1は、3つの油圧ポンプ4(第1油圧ポンプ4a、第2油圧ポンプ4b、第3油圧ポンプ4c)を備えていると共に、各油圧ポンプ4a,4b,4cに対応するように、3つの油圧制御弁群5(第1油圧制御弁群5a、第2油圧制御弁群5b、第3油圧制御弁群5c)を備えている。3つの油圧制御弁群5は、第1油圧制御弁群5a、第2油圧制御弁群5b、および第3油圧制御弁群5cの順に並んで配置されている。換言すれば、第1油圧制御弁群5aと第3油圧制御弁群5cの間に、第2油圧制御弁群5bが配置されている。そして、両側に配置されている第1油圧制御弁群5aおよび第3油圧制御弁群5cに、それぞれ油圧アクチュエータ2が接続されている。
【0014】
複数の油圧アクチュエータ2は、アーム駆動用の油圧シリンダ2a、キャブ旋回用の油圧モータ2b、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2f等で構成されている。
本実施形態では、第1油圧制御弁群5aに、アーム駆動用の油圧シリンダ2a、キャブ旋回用の油圧モータ2b、および2つの走行駆動用の油圧モータ2e,2fのうちの一方の油圧モータ2eが接続されている。また、第3油圧制御弁群5cに、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、および走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2fのうちの他方の油圧モータ2fが接続されている。
【0015】
図2は、油圧制御弁群の斜視図である。
図1図2に示すように、第1油圧制御弁群5aは、直方体状の第1ハウジング13aを有している。この第1ハウジング13a内に、各油圧アクチュエータ2への圧油の流量を調整するための4つの切換弁(スプール)17a,17b,17c,17dがスライド自在(図2における上下方向にスライド自在)に、かつ略平行に設けられている。各切換弁17a〜17dは、いわゆるオープンセンタ型の切換弁である。第1油圧ポンプ4aから供給された圧油は、第1ハウジング13a内に形成されている第1タンデムバイパス通路8a、および第1タンデムバイパス通路8aから分岐した第1パラレルバイパス通路9aを介し、タンク7に連結されている。
【0016】
また、第1ハウジング13aには、第1パラレルバイパス通路9a上に、各切換弁17a〜17dに対応するようにチェック弁10が設けられており、各切換弁17a〜17dに供給された圧油が逆流しないようになっている。
なお、以下の説明では、各切換弁17a〜17dを、上流側(図1における下側)から順に第1切換弁17a、第2切換弁17b、第3切換弁17c、第4切換弁17dと称して説明する。
【0017】
さらに、第1ハウジング13aには、第2油圧制御弁群5bとの合せ面以外の側面に、4つのシリンダポート11a,11b,11c,11dが設けられている。各シリンダポート11a〜11dは、上流側から第1シリンダポート11a、第2シリンダポート11b、第3シリンダポート11c、第4シリンダポート11dの順に配置されている。
【0018】
第1シリンダポート11aは、第1ハウジング13aの第1切換弁17aよりも上流側に形成されているバイパス通路12と連通している。第2シリンダポート11bは、第1切換弁17aと連通している。第3シリンダポート11cは、第3切換弁17cと連通している。第4シリンダポート11dは、第4切換弁17dと連通している。
【0019】
そして、第1シリンダポート11aに、キャブ旋回用の油圧モータ2bが接続されている。また、第2シリンダポート11bに、2つの走行駆動用の油圧モータ2e,2fのうちの一方の油圧モータ2eが接続されている。さらに、第4シリンダポート11dに、アーム駆動用の油圧シリンダ2aが接続されている。なお、本実施形態では、第3シリンダポート11cを、予備ポートに設定している。
【0020】
また、第1ハウジング13aには、第2油圧制御弁群5bとの合せ面側の側面に、3つの接続ポート11e,11f,11gが設けられている。各接続ポート11e〜11gは、上流側から第1接続ポート11e、第2接続ポート11f、第3接続ポート11gの順に配置されている。
第1接続ポート11eは、バイパス通路12aと連通している。第2接続ポート11fは、第2切換弁17bと連通している。第3接続ポート11gは、第4切換弁17dおよび第4シリンダポート11dと連通している。
【0021】
第2油圧制御弁群5bは、第1ハウジング13aと同様に直方体状に形成された第2ハウジング13bを有している。この第2ハウジング13b内に、4つの切換弁27a,27b,27c,27dがスライド自在(図2における上下方向にスライド自在)に、かつ略平行に設けられている。各切換弁27a〜27dは、いわゆるオープンセンタ型の切換弁である。第2油圧ポンプ4bから供給された圧油は、第2ハウジング13b内に形成されている第2タンデムバイパス通路8b、および第2タンデムバイパス通路8bから分岐した第2パラレルバイパス通路9bを介し、タンク7に連結されている。
【0022】
また、第2ハウジング13bには、第2パラレルバイパス通路9b上に、各切換弁27a〜27dに対応するようにチェック弁10が設けられており、各切換弁27a〜27dに供給された圧油が逆流しないようになっている。
なお、以下の説明では、各切換弁27a〜27dを、上流側(図1における下側)から順に第1切換弁27a、第2切換弁27b、第3切換弁27c、第4切換弁27dと称して説明する。
【0023】
ここで、第1切換弁27aは、キャブ旋回用の油圧モータ2bを駆動するために用いられ、その他の第2切換弁27b〜第4切換弁27dは、他の油圧制御弁群(第1油圧制御弁群5aおよび第3油圧制御弁群5c)に圧油を供給するための補助供給用(合流用)として用いられる。
より具体的には、第1切換弁27aは、第2ハウジング13bにおける第1油圧制御弁群5aとの合せ面側の側面に設けられている第1接続ポート21aと連通している。この第1接続ポート21aが、第1油圧制御弁群5aの第1接続ポート11eに接続されている。これにより、第2油圧制御弁群5bの第1切換弁27aは、第1油圧制御弁群5aのバイパス通路12を介してキャブ旋回用の油圧モータ2bと接続される。
【0024】
一方、第2切換弁27bは、第2ハウジング13bにおける第1油圧制御弁群5aとの合せ面側の側面に設けられている第2接続ポート21bと連通している。この第2接続ポート21bが、第1油圧制御弁群5aの第2接続ポート11fに接続されている。これにより、第2油圧制御弁群5bの第2切換弁27bは、第1油圧制御弁群5aの第2切換弁17bと接続される。
【0025】
また、第3切換弁27cは、第2ハウジング13bにおける第3油圧制御弁群5cとの合せ面側の側面に設けられている第5接続ポート21eと連通している。この第5接続ポート21eは、第3油圧制御弁群5cに接続される。
さらに、第4切換弁27dは、第2ハウジング13bにおける第1油圧制御弁群5aとの合せ面側の側面に設けられている第3接続ポート21cと連通している。この第3接続ポート21cが、第1油圧制御弁群5aの第3接続ポート11gに接続されている。これにより、第2油圧制御弁群5bの第4切換弁27dは、第1油圧制御弁群5aの第4切換弁17dと接続される。
【0026】
また、第2ハウジング13bには、第3油圧制御弁群5cとの合せ面側の側面に、第4接続ポート21dおよび第6接続ポート21fが設けられている。第4接続ポート21dは、第2切換弁27bおよび第2接続ポート21bと連通している。一方、第6接続ポート21fは、第4切換弁27dおよび第3接続ポート21cと連通している。
この他に、第2ハウジング13bには、第1バイパス通路22aおよび第2バイパス通路22bが形成されている。第1バイパス通路22aは、第1油圧制御弁群5aのパラレルバイパス通路9aと連通している。一方、第2バイパス通路22bは、第1油圧制御弁群5aのタンデムバイパス通路8aと連通している。
【0027】
第3油圧制御弁群5cは、直方体状の第3ハウジング13cを有している。この第3ハウジング13c内に、各油圧アクチュエータ2への圧油の流量を調整するための5つの切換弁37a,37b,37c,37d,37eがスライド自在(図2における上下方向にスライド自在)に、かつ略平行に設けられている。各切換弁37a〜37eは、いわゆるオープンセンタ型の切換弁である。第3油圧ポンプ4cから供給された圧油は、第3ハウジング13c内に形成されている第3タンデムバイパス通路8c、および第3タンデムバイパス通路8cから分岐した第3パラレルバイパス通路9cを介し、タンク7に連結されている。
【0028】
また、第3ハウジング13cには、第3パラレルバイパス通路9c上に、各切換弁37b〜37eに対応するようにチェック弁10が設けられており、各切換弁37b〜17eに供給された圧油が逆流しないようになっている。
なお、以下の説明では、各切換弁37a〜37eを、上流側(図1における下側)から順に第1切換弁37a、第2切換弁37b、第3切換弁37c、第4切換弁37d、第5切換弁37eと称して説明する。
【0029】
さらに、第3ハウジング13cには、第2油圧制御弁群5bとの合せ面以外の側面に、3つのシリンダポート31a,31b,31cが設けられている。各シリンダポート31a〜31cは、上流側から第1シリンダポート31a、第2シリンダポート31b、第3シリンダポート31cの順に配置されている。
【0030】
第1シリンダポート31aは、第2切換弁37bと連通している。第2シリンダポート31bは、第3切換弁37cと連通している。第3シリンダポート31cは、第4切換弁37dと連通している。
そして、第1シリンダポート31aに、2つの走行駆動用の油圧モータ2e,2fのうちの他方の油圧モータ2fが接続されている。また、第2シリンダポート31bに、ブーム駆動用の油圧シリンダ2dが接続されている。さらに、第3シリンダポート31cに、バケット駆動用の油圧シリンダ2cが接続されている。
【0031】
また、第3ハウジング13cには、第2油圧制御弁群5bとの合せ面側の側面に、第1接続ポート31d、第2接続ポート31e、および第3接続ポート31fが設けられている。第1接続ポート31dは、第3切換弁37cおよび第2シリンダポート31bと連通している。また、第1接続ポート31dは、第2油圧制御弁群5bの第4接続ポート21dに接続されており、第3油圧制御弁群5cの第3切換弁37cと第2油圧制御弁群5bの第2切換弁27bとが接続されるようになっている。
【0032】
第2接続ポート31eは、第4切換弁37dおよび第3シリンダポート31cと連通している。また、第2接続ポート31eは、第2油圧制御弁群5bの第5接続ポート21eに接続されており、第3油圧制御弁群5cの第4切換弁37dと第2油圧制御弁群5bの第3切換弁27cとが接続されるようになっている。
【0033】
第3接続ポート31fは、第5切換弁37eと連通している。また、第3接続ポート31fは、第2油圧制御弁群5bの第6接続ポート21fに接続されており、第3油圧制御弁群5cの第5切換弁37eと第2油圧制御弁群5bの第4切換弁27dとが接続されるようになっている。
【0034】
一方、第3油圧制御弁群5cの第1切換弁37aは、第2油圧制御弁群5bの第1バイパス通路22aおよび第2バイパス通路22bに接続されている。これにより、第3油圧制御弁群5cの第1切換弁37aに流入した圧油を、第2油圧制御弁群5bの第1バイパス通路22aを介して第1油圧制御弁群5aの第1パラレルバイパス通路9aに供給できるようになっている。
【0035】
ここで、図2に詳示するように、各油圧制御弁群5a〜5cは、それぞれの切換弁17a〜37eの配列方向(以下、ハウジングの長手方向という)に対して直交する方向(以下、ハウジングの短手方向という)に重ねて設けられている。また、各油圧制御弁群5a〜5cは、各切換弁17a〜37eが互いに平行に並ぶように重ねて設けられている。そして、各ハウジング13a〜13cの合せ面以外の側面に、それぞれシリンダポート11a〜31fを設けている。
さらに、第1油圧制御弁群5aと第2油圧制御弁群5b、および第2油圧制御弁群5bと第3油圧制御弁群5cは、それぞれ対応する接続ポート11e〜31f同士が直接接続されている。これにより、3つの油圧制御弁群5a〜5cを組み付けた際の油圧制御弁群5全体の小型化が図れるようになっている。
【0036】
なお、各油圧制御弁群5a〜5cに圧油を供給する各油圧ポンプ4a〜4cは、ハウジングの長手方向一端に形成されているポンプポート14a〜14cを介して接続される。また、図2中、符号15a〜15cは、各切換弁17a〜37eを駆動するための圧油が供給される切換弁ポートを示している。
【0037】
このような構成のもと、アーム駆動用の油圧シリンダ2aや走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2fのうちの一方の油圧モータ2eを駆動させる際は、主に第1油圧ポンプ4aを駆動させ、第1油圧制御弁群5aを介して油圧シリンダ2aや油圧モータ2eに所望の流量の圧油を供給する。
また、キャブ旋回用の油圧モータ2bを駆動させる際は、主に第2油圧ポンプ4bを駆動させ、第2油圧制御弁群5bおよび第1油圧制御弁群5aを介して油圧モータ2bに所望の流量の圧油を供給する。
【0038】
ここで、キャブ旋回用の油圧モータ2bが接続されている第2油圧制御弁群5bの第1切換弁27aは、第2油圧制御弁群5bに設けられた4つの切換弁27a〜27dのうち、最上流側に設けられている。このため、第2油圧ポンプ4bから吐出された圧油の圧損をできる限り抑えつつ、キャブ旋回用の油圧モータ2bに圧油を供給できる。
より詳しく説明する。すなわち、下流側に位置する切換弁(27b〜27d)には、上流側に位置する切換弁、または第2パラレルバイパス通路9bを通流して第2油圧ポンプ4bから吐出された圧油が供給されることになる。このため、この分圧油の圧損が大きくなってしまうので、最上流側に配置された第1切換弁27aにキャブ旋回用の油圧モータ2bを接続することにより、この油圧モータ2bに効率よく圧油を供給することができる。
【0039】
また、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2fのうちの他方の油圧モータ2fを駆動させる際は、主に第3油圧ポンプ4cを駆動させ、第3油圧制御弁群5cを介して油圧シリンダ2c,2dや油圧モータ2fに所望の流量の圧油を供給する。
【0040】
ここで、アーム駆動用の油圧シリンダ2aや走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2fのうちの一方の油圧モータ2eを駆動させる場合において、これら油圧シリンダ2aや油圧モータ2eへの圧油の要求流量の合計が、第1油圧ポンプ4aの最大吐出量を超える場合がある。このような場合、第2油圧ポンプ4bおよび第3油圧ポンプ4cから吐出される圧油が、第2油圧制御弁群5bを介して第1油圧制御弁群5aに供給される。
すなわち、第2油圧制御弁群5bの第2切換弁27b〜第4切換弁27dは、それぞれ第1油圧制御弁群5aおよび第3油圧制御弁群5cと連通されている。このため、第2油圧ポンプ4bおよび第3油圧ポンプ4cから吐出される圧油を、必要に応じて第1油圧制御弁群5aに供給することが可能となる。これにより、油圧シリンダ2aや油圧モータ2eへ所望の流量の圧油を確実に供給できる。
【0041】
また、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2fのうちの他方の油圧モータ2fを駆動させる場合も、上記アーム駆動用の油圧シリンダ2aや走行駆動用の一方の油圧モータ2eを駆動させる場合と同様の動作が行われる。
すなわち、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、走行駆動用の他方の油圧モータ2fを駆動させる場合において、これら油圧シリンダ2d,2fや油圧モータ2fへの圧油の要求流量の合計が、第3油圧ポンプ4cの最大吐出量を超える場合、第1油圧ポンプ4aおよび第2油圧ポンプ4bから吐出される圧油が、第2油圧制御弁群5bを介して第3油圧制御弁群5cに供給される。
【0042】
したがって、上述の実施形態によれば、3つの油圧制御弁群5a〜5cのうち、第2油圧制御弁群5bの第1切換弁27aを、キャブ旋回用の油圧モータ2bの駆動用として構成しているので、使用頻度の高いキャブ旋回用の油圧モータ2bの操作性を向上できる。換言すれば、油圧モータ2b以外の他の油圧アクチュエータ2を同時に操作する場合であっても、油圧モータ2bへの圧油の供給不足を防止することができ、油圧モータ2bの操作性を確実に向上できる。
また、第2油圧ポンプ4bを、キャブ旋回用の油圧モータ2bを駆動させる油圧ポンプに特化させることにより、第2油圧ポンプ4bのサイズを、他の油圧ポンプ4a,4cと比較して小型化することも可能になる。
【0043】
さらに、第2油圧制御弁群5bの第1切換弁27a以外の切換弁、すなわち、第2切換弁27b〜第4切換弁27dを、他の油圧制御弁群(第1油圧制御弁群5aおよび第3油圧制御弁群5c)に圧油を供給するための補助供給用(合流用)として構成している。このため、必要に応じて3つの油圧ポンプ4a〜4cから吐出された圧油を、それぞれ第2油圧制御弁群5bを介して各油圧アクチュエータ2に供給することができる。よって、油圧駆動装置1が搭載される建設機械(例えば油圧ショベル)の操作性をさらに向上できる。
【0044】
また、キャブ旋回用の油圧モータ2bの駆動用および補助供給用として構成した第2油圧制御弁群5bを、第1油圧制御弁群5aと第3油圧制御弁群5cとの間に配置している。そして、第1油圧制御弁群5aと第2油圧制御弁群5b、および第2油圧制御弁群5bと第3油圧制御弁群5cは、それぞれ対応する接続ポート11e〜31e同士が直接接続されている。このため、各油圧ポンプ4a〜4cから各油圧アクチュエータ2への圧油の補助供給流路(圧油の合流流路)を、全てハウジング13a〜13c内に収納することができる。よって、補助供給流路の配設が不要になり、油圧駆動装置1の製造コストを低減できると共に、油圧制御弁群5全体を小型化できる。
【0045】
これに加え、各油圧制御弁群5a〜5cは、各切換弁17a〜37eが互いに平行に並ぶように重ねて設けられている。このため、3つの油圧制御弁群5a〜5cを組み付けた際の油圧制御弁群5全体の占有スペースを省スペース化できる。よって、設計時の油圧駆動装置1のレイアウトも容易になる。
【0046】
また、キャブ旋回用の油圧モータ2bが接続されている第2油圧制御弁群5bの第1切換弁27aは、第2油圧制御弁群5bに設けられた4つの切換弁27a〜27dのうち、最上流側に設けられている。このため、第2油圧ポンプ4bから吐出された圧油の圧損をできる限り抑えつつ、キャブ旋回用の油圧モータ2bに圧油を供給できる。このため、油圧モータ2bの操作性をさらに向上できる。
【0047】
なお、上述の実施形態では、油圧駆動装置1は、3つの油圧ポンプ4(第1油圧ポンプ4a、第2油圧ポンプ4b、第3油圧ポンプ4c)を備えていると共に、各油圧ポンプ4a,4b,4cに対応するように、3つの油圧制御弁群5(第1油圧制御弁群5a、第2油圧制御弁群5b、第3油圧制御弁群5c)を備えている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、油圧駆動装置1は、油圧ポンプ4および油圧制御弁群5を、それぞれ3つ以上備えていてもよい。この場合、複数の油圧制御弁群5のうちの1つをキャブ旋回用の油圧モータ2bの駆動用(第2油圧制御弁群5b)として設定する。また、この場合、キャブ旋回用の油圧モータ2bの駆動用油圧制御弁群を、その他の油圧制御弁群の間に配置し、各油圧制御弁群を重ねて設けることが望ましい。
【0048】
また、各油圧制御弁群5a〜5cに設けられている切換弁17a〜37eの個数は、上述の実施形態の個数に限られるものではなく、必要に応じて切換弁の個数を任意に設定することが可能である。とりわけ、第2油圧制御弁群5bにおいては、少なくともキャブ旋回用の油圧モータ2bに接続される第1切換弁27aが設けられていればよい。
【0049】
さらに、上述の実施形態では、第2油圧制御弁群5bには、4つの切換弁27a〜27dが設けられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第1切換弁27aと第2切換弁27bとの間に、これら第1切換弁27aと第2切換弁27bとの間の第2タンデムバイパス通路8bおよび第2パラレルバイパス通路9bを遮断可能な切換弁27e(図1に2点鎖線で示す)を設けてもよい。
この切換弁27eを設けることにより、第2油圧ポンプ4bから吐出された圧油を、全て効率よくキャブ旋回用の油圧モータ2bに供給することが可能になる。このため、キャブの旋回駆動の頻度がきわめて高いような場合であっても、キャブの操作性を安定させることができる。
【0050】
また、上述の実施形態では、第1油圧制御弁群5aに、アーム駆動用の油圧シリンダ2a、キャブ旋回用の油圧モータ2b、および2つの走行駆動用の油圧モータ2e,2fのうちの一方の油圧モータ2eを接続する場合について説明した。また、第3油圧制御弁群5cに、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、および走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2fのうちの他方の油圧モータ2fを接続する場合について説明した。しかしながら、これらに限られるものではなく、第1油圧制御弁群5aおよび第3油圧制御弁群5cには、キャブ旋回用の油圧モータ2b以外のさまざまな油圧アクチュエータ2を接続することが可能である。
【0051】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、3つの油圧制御弁群5a〜5cのうち、第2油圧制御弁群5bの第1切換弁27aを、キャブ旋回用の油圧モータ2bの駆動用として構成しているので、使用頻度の高いキャブ旋回用の油圧モータ2bの操作性を向上できる。換言すれば、油圧モータ2b以外の他の油圧アクチュエータ2を同時に操作する場合であっても、油圧モータ2bへの圧油の供給不足を防止することができ、油圧モータ2bの操作性を確実に向上できる。
また、第2油圧ポンプ4bを、キャブ旋回用の油圧モータ2bを駆動させる油圧ポンプに特化させることにより、第2油圧ポンプ4bのサイズを、他の油圧ポンプ4a,4cと比較して小型化することも可能になる。
【0052】
さらに、第2油圧制御弁群5bの第1切換弁27a以外の切換弁、すなわち、第2切換弁27b〜第4切換弁27dを、他の油圧制御弁群(第1油圧制御弁群5aおよび第3油圧制御弁群5c)に圧油を供給するための補助供給用(合流用)として構成している。このため、必要に応じて3つの油圧ポンプ4a〜4cから吐出された圧油を、それぞれ第2油圧制御弁群5bを介して各油圧アクチュエータ2に供給することができる。よって、油圧駆動装置1が搭載される建設機械(例えば油圧ショベル)の操作性をさらに向上できる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…油圧駆動装置、2…油圧アクチュエータ、4…油圧ポンプ、4a…第1油圧ポンプ(油圧ポンプ)、4b…第2油圧ポンプ(油圧ポンプ)、4c…第3油圧ポンプ(油圧ポンプ)、5…油圧制御弁群、5a…第1油圧制御弁群(油圧制御弁群)、5b…第2油圧制御弁群(油圧制御弁群)、5c…第3油圧制御弁群(油圧制御弁群)、8a…第1タンデムバイパス通路、8b…第2タンデムバイパス通路(圧油の流路)、8c…第3タンデムバイパス通路、9a…第1パラレルバイパス通路、9b…第2パラレルバイパス通路(圧油の流路)、9c…第3パラレルバイパス通路、11a,31a…第1シリンダポート、11b,31b…第2シリンダポート、11c,31c…第3シリンダポート、11d…第4シリンダポート、11e,21a,31d…第1接続ポート(接続ポート)、11f,21b,31e…第2接続ポート(接続ポート)、11g,21c,31f…第3接続ポート(接続ポート)、17a,27a,37a…第1切換弁(切換弁)、17b,27b,37b…第2切換弁(切換弁)、17c,27c,37c…第3切換弁(切換弁)、17d,27d,37d…第4切換弁(切換弁)、37e…第5切換弁(切換弁)、21d…第4接続ポート(接続ポート)、21e…第5接続ポート(接続ポート)、21f…第6接続ポート(接続ポート)
図1
図2