(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290646
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】グリッパアーム、およびグリッパアームを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B25B 11/00 20060101AFI20180226BHJP
B67C 3/24 20060101ALI20180226BHJP
B65G 47/86 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
B25B11/00 Z
B67C3/24
B65G47/86
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-29229(P2014-29229)
(22)【出願日】2014年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-159074(P2014-159074A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】13155971.8
(32)【優先日】2013年2月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512137991
【氏名又は名称】ティロロン−シュルニッヒ ゲゼルシャフト エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】シュルニッヒ エルマー リュドヴィッヒ
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−046790(JP,A)
【文献】
特表2011−515302(JP,A)
【文献】
特開平08−310653(JP,A)
【文献】
特表2013−516371(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0203906(US,A1)
【文献】
特公昭46−029827(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 11/00
B25B 5/00 − 7/00
B65G 47/86
B67C 3/24
B25J 1/00 − 21/02
B23P 19/04
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にボトル状の容器を把持、保持、および案内するためのデバイス用グリッパアーム(2)であって、前記デバイスは、前記グリッパアーム(2)の把持部(5)を開放位置から把持位置に動かすために回転可能に取り付けられた制御カム(11)を備え、前記グリッパアーム(2)は、前記デバイスに前記グリッパアーム(2)を揺動可能に取り付けるための軸受ピンを支持するためのボアホール(10)と、前記グリッパアーム(2)の前記把持部(5)を前記把持位置から前記開放位置に動かすための開放手段(6)用の台座(18)と、前記制御カム(11)によって前記グリッパアーム(2)に及ぼされる力、および/または、ゆがみを緩衝および均等にするためのサスペンション手段(16)と、を有する、グリッパアーム(2)において、
前記サスペンション手段(16)は、前記グリッパアームの本体の終端部(14)において一体的に形成されたスプリングバー(17)を備え、前記終端部(14)は、前記スプリングバー(17)用のスプリング空間としての凹部(20)を備えるとともに、前記スプリングバー(17)の前記制御カムに面している側における前記終端部(14)の材料の強度と材料の特性は、前記制御カム(11)によって前記グリッパアーム(2)に及ぼされる前記力、および/または、前記ゆがみを緩衝することおよび均等にすることができることを特徴とする、グリッパアーム(2)。
【請求項2】
前記グリッパアーム(2)の前記把持部(5)を前記把持位置から前記開放位置に動かすための前記開放手段(6)が磁石(19)である、請求項1に記載のグリッパアームにおいて、
前記グリッパアーム(2)は、前方部(12)の前記ボアホール(10)と前記把持部(5)との間に、前記グリッパアーム(2)の組立時に前記磁石(19)が挿入され得る、前記磁石(19)用の台座(18)として、止り穴(22)を備えることを特徴とする、
請求項1に記載のグリッパアーム(2)。
【請求項3】
前記磁石(19)がプラスチックフィルムに包まれていることを特徴とする、請求項2に記載のグリッパアーム(2)。
【請求項4】
プラスチックから単一部材として製造されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のグリッパアーム(2)。
【請求項5】
前記プラスチックが繊維強化ポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする、請求項4に記載のグリッパアーム(2)。
【請求項6】
前記把持部(5)が、先細りになっている輪郭、および/または、グリッパアーム(2)の下面(9)から上面(8)にかけて段差のつけられた輪郭を呈することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のグリッパアーム(2)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のグリッパアーム(2)を製造するための方法において、
前記グリッパアーム(2)の実質的に長手方向に延びている凹部(20)が、前記グリッパアームの本体における終端部(14)に形成され、前記終端部(14)の制御カム(11)に面する側においてスプリングバー(17)を形成し、前記スプリングバー(17)によって画定される前記凹部(20)の横方向の外延が前記スプリングバー(17)が必要なばねのたわみのための空間を提供する一方で、前記スプリングバー(17)の前記制御カムに面している側における前記終端部(14)の材料の強度と特性は、前記制御カム(11)によって前記グリッパアーム(2)に及ぼされる力、および/または、ゆがみを緩衝および均等にすることを可能にすることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のグリッパアーム(2)を製造するための方法において、
前方部(12)におけるボアホール(10)と把持部(5)との間に、前記グリッパアーム(2)を完成するために磁石(6)が挿入される、前記磁石(19)用の台座(18)として、止り穴(22)が形成される前記グリッパアーム(2)をプラスチックから単一部材として射出形成することを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記磁石(19)が前記止り穴(22)に押し込まれることを特徴とする、請求項8に記載のグリッパアーム(2)を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にボトル状の容器を把持、保持、および案内するためのデバイス用のグリッパアームと、そのグリッパアームを製造するための方法とに関する。上記デバイスは、グリッパアームの把持部を開放位置から把持位置に動かすために回転可能に取り付けられた制御カムを備え、グリッパアームは、上記デバイスにおけるグリッパアームを揺動可能に取り付けるために軸受ピンを支持するためのボアホールと、グリッパアームの把持部を把持位置から開放位置に動かすための開放手段用台座と、制御カムによってグリッパアームに及ぼされる力、および/または、ゆがみを緩衝および均等にするためのサスペンション手段とを有する。
【背景技術】
【0002】
このようなグリッパアームの原理は、従来技術において知られており、組み立てラインの容器プロセス作業で利用されている。「容器」という用語は、以下で用いられるようには、限定するわけでないが特に、ガラスまたはプラスチックで作られた飲料ボトルなどのボトル状の容器を指す。特にこれらの容器は、洗浄、充填、または密封の際に、供給ステーションにおいて、少なくとも一対のグリッパアームを有する把持デバイスによって把持され、上記プロセスにおける次のステーションに搬送される。このようなデバイスの1つは、たとえば欧州第1851146号公開特許明細書に開示されている。欧州第1851146号公開特許明細書に記載されている「クランプグリップ(clamp grip)」と呼称される把持デバイスは、容器搬送システム用に意図されている。この把持デバイスは、2つのグリッパアームを有し、把持位置と開放位置との間で択一的に動くことができる。この把持デバイスにおける解放または開放のプロセスのそれぞれ、すなわち、グリッパアームの把持位置から開放位置に切り換えるためのプロセスは、把持デバイス用の開放手段を必要とする。この開放手段は、たとえば2つのグリッパアームに力を及ぼすことによって把持デバイスを開くコイルばね、または互いに反発する磁石のペア等で具体化される。グリッパアームは、通常、所定の初期位置を有する。制御ユニットからのいかなる力もない場合に、グリッパアームは自動的に上記所定の初期位置に復帰する。また従来技術より一般に既知のように、制御ユニットは、それによって、機械的に動作する制御カムを実現する。制御カムの力は、それが主としてグリッパアームのゆがみにもなるのであるが、グリッパアームのそれぞれに貼着された板ばねで具体化されるサスペンション手段によって平準化および/または緩衝される。サスペンション手段は、このようにグリッパアームを補助して、把持されるべき容器の材料の許容誤差、または、容器の傾きに起因する把持範囲(gripping reach)のずれを補償し、その結果、確実な把持を可能とし、且つ容器の損傷を防止する。
【0003】
しかし、ほこりのある環境でこのような把持デバイスを動作させることは、衛生上の問題につながる。かかる問題は、飲料、ジュース、あるいは離乳食のボトル詰めといった衛生面にセンシティブなプロセスで用いられる場合には、特に不都合であることがわかっている。これは、このような既知の従来技術のグリッパアームにおける前述の個々の部品、特に、それぞれが取り付け手段を伴うコイルばねや板ばねが、ほこり、および/または、他の不純物を捕集し、それによって好ましからぬ黴菌が繁殖し得るからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、不純物や黴菌から充分に守られた状態を容易に維持することのできるグリッパアームを開示するという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題は、冒頭で述べられたグリッパアームにおいて、当該グリッパアーム本体の終端部に一体的に形成されたスプリングバーをサスペンション手段が備えたことによって達成される。これによって、従来のグリッパアームにおいて日常的に用いられていた別部材の板ばねが省かれる。そのことにより、実質的により衛生的な単一部材構成のグリッパアームが、汚染物質を捕集するクロスホールなしに実現され得る。しかして、このことは同時に、メンテナンス/修理を必要としやすい傾向を大幅な低減をもたらす。これは、自身が取り付け具をもつ従来の板ばねが、別部品としてもはや必要とされないためである。その結果、表面の凹部などの、黴菌や汚染物質がたまり得る面が大幅に低減する。
【0006】
さらなる実施形態では、グリッパアームの把持部を把持位置から開放位置に動かすためのグリッパアームの開放手段は磁石である。そのため、グリッパアームは、前方部のボアホールと把持部との間に、磁石用台座として、止り穴を有利に備える。止り穴には、グリッパアームの組立時に磁石を挿入することができる。開放手段としての磁石を有するグリッパアームは、上述した従来技術から知られてはいるが、磁石は、同様に従来技術から既知のコイルばねに取って代わっている。しかし、既知のグリッパアームに磁石を固着することは比較的複雑であり、溶接またはねじ留めによって後々やっかいなことになる場合がある。溶接の場合には熱が生じ、その熱によって磁力が大幅に弱められる。一方、ねじ留めは汚染物質を捕集する。これに対し、上記止り穴は、いかなる取り付け手段もさらに用いずに磁石を確実に保持することができるように寸法取りされている。また上記止り穴は、止り穴の内側の面に配置された突出したエッジ、または突起部分を呈することもあり得るが、この部分は、磁石の切り欠きと協働し、それによって磁石が所定位置にロックされて外に落ちないようにされる。本発明によるグリッパアームにおけるさらに有利な改良は、従来技術から知られているねじによる取り付けに対する改善策を提供する。本件デバイスは、発明性のある一対のグリッパアームを常に用いているので、次のことが良好な形態として示される。すなわち、――従来技術から十分に知られているように、――磁石の対向する極同士は、2つの磁石がグリッパアームのペアを開放するために互いに反発するように同じ極性であることが必要である。
【0007】
磁石は、好ましくは、プラスチックフィルムに包まれている。磁石をプラスチックケースに包むことは、磁石の摩耗および/もしくは腐食を大幅に低減し、かつ/または、それらを防止さえする。残ったすべての摩耗物質はプラスチックケースの中にたまる。このように、本発明の、このさらなる展開は、デバイス全体の清潔さに著しく寄与する。さらに磁石は、磁力を弱め得る外部からの衝撃から保護される。
【0008】
さらにグリッパアームは、プラスチックから単一部材として有利に製造され得る。従来のグリッパアームはステンレス鋼で作られていたため比較的高価であった。しかして、金属のグリッパアームは、述べられたような装置の動作中に曲がることがたびたび知られている。この曲がりは、一方では、装置の動作中に認識することが困難であるが、他方では、把持しようとしたり搬送しようとしたりする容器、さらに/または、対向配置されて、それぞれに容器が搬送されてきたり、あるいはそれぞれが容器を受け取るグリッパアーム、その他の取り付け具に損傷を招く恐れがある。しかしながら、グリッパアームがプラスチックで作られる場合、それらのグリッパアームは、使い捨て品として極めて経済的に射出成形され得る。さらにプラスチックは、この用途に向けては、以下の点で、ステンレス鋼より良好な特性を示す。つまり、過負荷がかかったグリッパアームは、曲がるのではなく、すぐに壊れてしまい、ボトルはそれに由来するいかなる損傷も伴わず、加えて過負荷が作用したグリッパアームをすぐに見分けられ得るのである。その単一部材設計により、グリッパアームは、極めて迅速かつ経済的に交換され得る。
【0009】
繊維強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、十分な可撓性と結びついた良好な剛性を示すことから有利なプラスチックであることがこれまで証明されてきた。PEEKは、耐熱性の高い熱可塑性物質であり、繊維補強材によって比剛性と硬度の高いファイバー/プラスチック合成物にされている。従来用いられていた金属またはステンレス鋼と異なり、プラスチックは、水で洗浄された時にいかなる摩耗の兆候もほとんど示さない。プラスチックから作られたグリッパアームは、摩耗した後にはいかなる問題もなく廃棄され得る容易に交換可能な製品を提供し、多大な費用または長い納期なしに交換され得る。
【0010】
さらに、有利であると証明されてきたことは、把持部が、先細りになっている輪郭、および/または、グリッパアームの下面から上面にかけて段差のつけられた輪郭を呈することである。そのようにすることにより、ボトルのネックのところ、特に、ボトルのネックにおけるネックリングまたはカラーの上の方と同様に下の方のところでもボトル状の容器をより良好かつ確実に把持することが可能となる。
【0011】
同様に本発明は、上述したグリッパアームを製造するための発明性のある方法に関し、このうち、グリッパアームの概ね長手方向に延びている凹部は、グリッパアーム本体の終端部に形成される。終端部の材料が区画する境界は、制御カムに面する側にスプリングバーを形成する。スプリングバーによって画定される凹部の横方向の外延がスプリングバーにおける必要なばねのたわみのための空間を提供する一方で、材料が区画する境界における材料の強度と特性は、制御カムによってグリッパアームに及ぼされる力、および/または、ゆがみを緩衝および均等にすることを可能にする。
【0012】
発明性のある本方法の利点は、本質的には、発明性のあるグリッパアームに関して上記で提供された詳細に由来するものである。要するに強調されるべきことは、発明性のある本方法が、従来の別部品としての板ばねを不要にするグリッパアームの製造を可能にする点であり、それによって、このようなグリッパアームが利用される、特にボトル状の容器を把持、保持、および案内するためのデバイスのメンテナンス操作が不要なことに関し、及び、そのデバイスが清潔なことに関し、実質的に高い要請を充足し得る点である。
【0013】
発明性のある本方法のある有利なさらなる改良は、プラスチックから単一部材として射出成形されるグリッパアームのために提供する。該方法によって、グリッパアームを完成するために磁石が挿入される止り穴が、ボアホールと把持部との間の磁石用台座として、前方部に形成される。発明性のある本方法の有利なさらなる改良は、特別な磁石装着処理からなることである。該磁石装着処理は、確実なものであり、汚染物質および/または腐食から保護され、追加の部品を不要とする。それによってメンテナンスが不要となるばかりでなく、製造が経済的になる。グリッパアームを製造するために用いられる材料としてプラスチックを用いることだけでも、金属から作られたグリッパアームと比べて、摩耗の兆候と汚染とを低減するという利点を有する。プラスチックが用いられるため、グリッパアームは、研磨洗浄剤だけでなく水で洗浄されてもよい。さらに、グリッパアームの製造コストは、単一部材で作られる場合には大幅に下がり得る。完全なグリッパアームを作り出すために1つだけの成形化合物または射出成形化合物が必要である。発明性のあるグリッパアームを有する把持デバイスが機能するためには、台座の中に挿入されるか、または、はめ込まれる開放手段を除いて、さらなる部品の組み込み、利用、または取り付けは必要ない。
【0014】
グリッパアームを製造するためのこれまでに述べられた方法の1つでは、磁石は、止り穴に押し込まれるか、または、はめ込まれることが有利である。本発明による方法におけるこのさらなる展開の利点は、特に、材料を無駄にすることの少ない射出成形のプロセスで製造され得る、磁石のためのとりわけ確実で形状に合う取り付け具をもたらし得ることにある。
【0015】
以下では、これまでに述べられた実施形態とは基本的に開放手段の位置決めと種類とにおいて異なる、グリッパアームおよび把持デバイスの代替実施形態が説明される。
【0016】
さらなる実施形態の1つでは、グリッパアームの一方における好ましくは少なくとも1つの磁石と、把持デバイスにおいて対応して配置されたグリッパアームにおける少なくとも1つの磁石とは、グリッパアームの終端部に配置されて引き寄せるように極性を与えられる。この構成の利点は、前方部が開放手段用台座を備えていないことであり、そのために短く形成され得ることである。前方部が短いことにより、前方部とグリッパアームのピボット軸との間のレバーアームが短くなり、それにより前方部は、高い負荷を扱うとともに重い容器を保持することができる。
【0017】
2つの磁石を用いる代わりに、グリッパアームの一方が少なくとも1つの磁石を備え、対応して配置された他のグリッパアームが少なくとも1つの磁化可能な要素を備えてもよい。それにより、グリッパアームの一方における少なくとも1つの磁石と、他のグリッパアームにおける少なくとも1つの磁化可能な要素とは、グリッパアームの終端部に配置されて引き寄せる。この場合、グリッパアームへの磁石の挿入時における磁石の向きは特別に注意を払われる必要はないが、これは、一般に既知のように、磁化可能な要素が逆の磁気極性を自動的に帯びるためである。発明性のあるグリッパアームにおけるこの代替実施形態は、全体で製造コストをさらに下げる。さらに、1つだけの磁石は衝撃などの外部からの影響によって損傷を受ける場合があり、このことは、このように設計された把持デバイスのメンテナンスと修理が比較的容易となっている理由である。
【0018】
制御カムの動作を妨げることのないさらなる開放手段としてのスプリングが、グリッパアームどうしの間において、終端部および/または前方部に単独もしくは付加的に組み込まれていてもよい。
【0019】
グリッパアームを洗浄することの利便性をさらに向上させるため、グリッパアームの上面および/または下面の少なくとも一部は傾けられている。把持デバイスにグリッパアームが取り付けられる際にハウジング素子または固定用素子によって部分的に覆われるグリッパアームの面または領域は、それらの面が傾斜していることによって到達が比較的容易であり、水および/またはエアジェットで洗浄され得る。
【0020】
以下の図は、発明性のあるグリッパアームと、2つのグリッパアームで構成された把持デバイスとを説明する際に添付図面において得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による把持デバイスにおける発明性のあるグリッパアームの斜視図である。
【
図2】開いた位置における発明性のある把持デバイスの概略平面図である。
【
図3】閉じた位置における発明性のある把持デバイスの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1の斜視図は、本発明によるグリッパアーム2を示す。
【0023】
グリッパアーム2は、好ましくは、細長い形状あるとともに前方部12と終端部14とに分かれている。グリッパアーム2は、特にボトル状の容器を把持、保持、および案内するためのデバイス用に設けられる。グリッパアーム2は、――図面では、示されていないが――グリッパアーム2の把持部5を開放位置から把持位置に動かすために回転可能に取り付けられた制御カムを有する。前方部12と終端部14との間、または、前方部12と終端部14との境目には、デバイスにおけるグリッパアーム2を揺動可能に取り付けるための軸受ピンを支持するためのボアホール10――図面では、示されていないが――が配置されている。前方部12には、グリッパアーム2の把持部5を把持位置から開放位置に動かすために、開放手段6のための台座18が形成されている。把持部5と、対応する第2のグリッパアーム――図面では、示されていないが――の把持部との相互作用によって、把持デバイスが容器を把持および保持することが可能となる。容器は、好ましくは、もっとも限定されないが、PETプラスチック(ポリエチレンテレフタレート)またはガラスで作られたボトルであり、ボトルのネックの所、または、ボトルのカラー(collar)の下の方の所で握られて保持される。ただし、非ボトル状の容器を、たとえばその容器の本体の所で握ることも十分に実現可能である。制御カムによってグリッパアーム2に及ぼされる力、および/または、ゆがみを緩衝および均等にするために、サスペンション手段16が終端部14に構成されている。しかしてサスペンション手段16は、グリッパアーム本体の終端部14に一体的に形成されたスプリングバー17を備える。スプリングバー17自体は、台座20の制御カムに面している材料が区画する境界である。凹部20は、グリッパアーム本体の終端部14において、スプリングバー17に対し実質的に平行に形成され、スプリングバー17に必要なばねのたわみのための空間を提供する。
【0024】
図示されている実施形態では、開放手段6は磁石19である。磁石は、グリッパアーム2の組立工程において、台座18の中に挿入されるか圧入され得る。台座18は、ボアホール10と把持部5との間に配置された止り穴22として形成される。磁石19は、円筒形であるとともにプラスチックフィルムで包まれている。グリッパアーム2は、好ましくは繊維強化ポリエーテルエーテルケトンを材料とする、単一部材のプラスチック製品からなる。把持部5は、先細りになっているとともにグリッパアーム2の下面9から上面8にかけて段差のつけられた輪郭を呈する。ボアホール10は、グリッパアーム2の上面8から下面9までを連続する穴に相当しており、円形断面を有し、またボアホール10の対称軸に相当するピボット軸4を規定している。しかして、ピボット軸4は上面8および下面9に直角に延びている。磁石19は、磁石19の表面部分が、対応する第2のグリッパアームの外側の面と面一になるように止り穴22に挿入される。磁石19の径は、前方部12の厚さより大きく、そのため、磁石19が上面8の主要部分を超えて突き出ている。グリッパアーム2は、開放手段6は別にして、プラスチックを材料にして単一部材として射出成形されてもよい。
【0025】
図2は、開いた位置における、発明性のある2つのグリッパアーム2および3で構成された把持デバイス1の概略平面図を示す。
【0026】
把持デバイス1は、
図1に示されているグリッパアーム2に加え、対応する第2のグリッパアーム3を備える。2つのグリッパアーム2および3は、対称的に同一となるように配置および構成されている。図示されている把持デバイス1の開放位置は、グリッパアーム2および3の前方部12における把持部5どうしの間で、好ましくは把持デバイス1の前側から案内され得る容器によって特徴づけられる。把持デバイス1はさらに、2つのグリッパアーム2および3のサスペンション手段16どうしの間に配置された制御カム11を備える。制御カム11は、制御カム11の対称軸に相当する制御軸7周りに360度、好ましくは約200度回転し得る。しかして、制御カム7はリミットストップ――図面では、示されていないが――に衝合する。このことは、終点位置のところでロックされた制御カム7が有する利点、すなわち、規定された開放/閉塞力によって変更され得る一方、制御カム7が単独では変化し得ないという利点である。開放位置では、2つのグリッパアーム2および3のサスペンション手段16どうしの間の距離が可能な限り小さくなるように、好ましくは、その距離が制御カムの最も小さい厚さと一致するように、制御カム11は設定される。
【0027】
図3は、閉じた位置における、発明性のある2つのグリッパアーム2および3で構成された把持デバイス1の概略平面図を示す。
【0028】
把持デバイス1は、
図2の把持デバイスに対応しており、制御カム11が制御軸7のまわりで約90度回転している点のみにおいて異なる。このため、閉じた位置における2つのグリッパアーム2および3のサスペンション手段16どうしの間に作られた距離が大きくなり、前方部12どうしの間の距離は小さくなっている。サスペンション手段16どうしの間の距離は、制御カムの最も大きい厚さと一致していることが好ましい。サスペンション手段16は、優先の上では、容器が保持されている場合でも、スプリングバー17の材料に対する応力を低減するためにこの位置で押し付けられることはない。サスペンション手段16は、上記の通り、握られることになる容器の材料のめったにない許容誤差、または、容器の傾きに起因する把持範囲のずれを補償する助けとなる。
【符号の説明】
【0029】
1 把持デバイス
2 グリッパアーム
3 対応するグリッパアーム
4 グリッパアームのピボット軸
5 把持部
6 開放手段
7 制御軸
8 上面
9 下面
10 ボアホール
11 制御カム
12 前方部
14 終端部
16 サスペンション手段
17 スプリングバー
18 開口手段用の台座
19 磁石
20 凹部
22 止り穴