(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290658
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
F24H1/18 301Z
F24H1/18 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-45079(P2014-45079)
(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2015-169385(P2015-169385A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】広野 徳純
(72)【発明者】
【氏名】小林 徳司
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5050000(JP,B2)
【文献】
実開平03−089348(JP,U)
【文献】
特開2011−102682(JP,A)
【文献】
特開昭54−095044(JP,A)
【文献】
特開2012−163238(JP,A)
【文献】
特開平06−174306(JP,A)
【文献】
特開2010−270939(JP,A)
【文献】
実開昭51−56629(JP,U)
【文献】
実公昭50−10614(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18−1/20
F24H 4/00−4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクに供給口からの水を給水する給水管と、前記給水管の流路の途中にある給水圧力を調整する減圧弁と、前記減圧弁よりも上流で前記給水管と分岐する排水管と、前記給水管と前記排水管との分岐点に設けられた前記給水管の流路と前記排水管の流路とを切り替える三方弁と、前記三方弁の切り替え制御を行う制御装置を備え、前記制御装置は、前記供給口から給水した水が前記減圧弁を通らないように前記三方弁の流路を前記減圧弁側の前記給水管側を閉じ、前記供給口側の前記給水管側と前記排水管側が連通するように切り替え、前記供給口から給水した水をそのまま排水管から排水する排水動作を行えるようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記制御装置と通信可能に接続されるリモコンに、前記三方弁の切り替えを指示する排水スイッチを設けたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯タンクを備えた貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の貯湯式給湯装置は、市水から供給した水を加熱手段で温め、温めた湯水を貯湯タンク等に蓄え、使用目的に応じて貯湯タンク内の湯水を給湯していた。
【0003】
しかし、水道工事などを行った直後の市水は、配管の錆や工事時に混入した汚泥等が混じった汚れた水であり、そのまま貯湯タンク内に給水してしまうと貯湯タンク内が汚れてしまうので、洗面所や台所の給水栓で汚れた水が綺麗になるまで水を出していなければならず非常に手間がかかっていた。また、汚れた水が貯湯タンク内の水と混じってしまうと、貯湯タンク内の水をすべて排出した後、貯湯タンクを洗浄しなければならず、非常に手間がかかってしまう。
【0004】
そこで、水道工事の断水を検知すると、水道工事の断水直後に貯湯タンクへの給水経路を開閉する給水開閉手段を閉状態にし、給水開閉手段より上流側に設けた排水開閉手段を開状態にすることで汚れた水が貯湯タンク内に流入するのを防いでいたものがあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5050000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようなものでは、給水経路中の排水開閉手段より上流側に設けられている減圧弁を、水道工事直後の配管の錆や工事時に混入した汚泥が汚してしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献1のようなものでは、貯湯タンクへの給水経路を開閉する給水開閉手段と、給水開閉手段より上流に設けた排水開閉手段とを設けており、複数の開閉手段が必要になるため部品数の増加分のコストアップという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクに
供給口からの水を給水する給水管と、前記給水管の流路の途中にある給水圧力を調整する減圧弁と、前記減圧弁よりも上流で前記給水管と分岐する排水管と、前記給水管と前記排水管との分岐点に設けられた前記給水管の流路と前記排水管の流路とを切り替える三方弁と、前記三方弁の切り替え制御を行う制御装置を備え
、前記制御装置は、前記供給口から給水した水が前記減圧弁を通らないように前記三方弁の流路を前記減圧弁側の前記給水管側を閉じ、前記供給口側の前記給水管側と前記排水管側が連通するように切り替え、前記供給口から給水した水をそのまま排水管から排水する排水動作を行えるようにした。
【0009】
前記制御装置と通信可能に接続されるリモコンに、前記三方弁の切り替えを指示する排水スイッチを設けた。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、給水管内の減圧弁よりも上流に、給水方向と排水方向に流路を切り替える事ができる三方弁を設けたことで、水道工事で配管の錆や工事時に混入した汚泥等が混じった汚れた水が貯湯タンク内や減圧弁に流入するのを防ぎ、容易に外部へ排水することができると共に、三方弁だけで切り替え動作を行う事ができるので安価で部品数がすくなく使い勝手の良い排水制御を行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態の貯湯式給湯装置の概略構成図
【
図2】本発明の第1実施形態を説明するためのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のヒートポンプ貯湯式給湯装置の第一実施形態を
図1に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1の下部に接続された給水管、3は貯湯タンク1の上部に接続された給湯管、4は貯湯タンク1内の市水を加熱するヒートポンプ式加熱手段、5は貯湯タンク1とヒートポンプ式加熱手段4をつなぐヒートポンプ循環配管である。
【0013】
6は給水管2の途中で分岐する給水バイパス管、7は給湯管3を流れる湯水と給水バイパス管6を流れる市水を適宜の比率で混合して給湯設定温度あるいは風呂設定温度に調整する混合弁、8は混合弁7によって混合された湯水を出す給湯栓である。
【0014】
9は市水を供給する供給口、10は不純物を取り除くフィルターを有した給水圧を減圧するための減圧弁、11は減圧弁10よりも上流で分岐した排水管、12は給水管2の流路と排水管11の流路とを切り替える事ができる三方弁、13は排水管11から排水された水を下水道に流す排水ホッパーである。
【0015】
14はマイコン等からなる各センサの出力に基づいて所定の演算を行い機器の運転を制御すると共に三方弁12の切り替え制御を行う制御装置、15は使用者が操作することで各種の設定ができる操作部を有し、操作した内容を制御装置14に通信接続することができるリモコン、16は貯湯タンク1下部へと接続されている給水管2の流路と排水管11の流路とを切り替える排水スイッチである。
【0016】
次に、沸き上げ運転について説明する。
沸き上げ要求があるとヒートポンプ循環5の途中にある図示しない循環ポンプが駆動して、貯湯タンク1内下部から水をくみ上げ、ヒートポンプ式加熱手段4で温めて貯湯タンク1上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク1内の水が湯水へと沸き上げられる。
【0017】
次に、給湯動作について説明する。
給湯栓8が開かれると供給口9から市水を供給されて、給水管2の途中に設けられた減圧弁10で圧力を調整してから貯湯タンク1下部に流入すると共に、給水バイパス管6を通り、貯湯タンク1上部から押し出された湯と給水バイパス管6の水をユーザーが要求した設定温度の比率で混ぜ合わされて、給湯栓8から給湯される。
【0018】
しかし、水道工事直後に給湯を行うと、貯湯タンク1への給水時に配管の錆や工事時に混入した汚泥が貯湯タンク1内の水に混じり汚れた水になってしまい、貯湯タンク1内の汚れた水を洗浄するには、貯湯タンク1内の水を全部排水してからでなければ洗浄ができないので非常に手間がかかってしまう。
【0019】
ここで、水道工事直後の排水動作についてフローチャート図に基づいて第1実施形態について説明する。
【0020】
水道工事が終了したことを確認したユーザーがリモコン15の排水スイッチ16をONにしたことを検知すると(S1)、制御装置14は三方弁12を駆動させ、給水管2の流路から排水管11の流路に切り替え(S2)、排水管11を通して供給口9からの水を排水ホッパー13に排水開始する。
【0021】
排水を開始してから一定時間(ここでは5分)経過すると(S3)、制御装置14は三方弁12を排水管11の流路から貯湯タンク1の給水管2の流路に切り替え(S4)、排水を停止させる。
【0022】
このように、水道工事終了後に一定時間給水管2の水を排水することで、水道工事の際に出た配管の錆や工事時に混入した汚泥を貯湯タンク1内に流入させずに排水ホッパー13に排水することができるので、貯湯タンク1内の洗浄する手間をかけずにできると共に、簡単な操作で排水を行う事ができる。
【0023】
また、減圧弁10よりも上流で給水管2から分岐する排水管11の流路を設けた事で、減圧弁10のフィルターに配管の錆や工事時に混入した汚泥が付着することで減圧弁が詰まることを防止する。
【0024】
なお、本発明は第1実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、排水の一定時間を5分としていたが、5分に限定するものではなく5分以上の時間又は5分以下の時間を一定時間としても良いものである。
【0025】
また、三方弁12は水道工事からの復旧を検知する検知手段を設け、工事からの復旧を検知したら自動で三方弁12を切り替えるようにして、ユーザーが排水スイッチ16を押さなくても配管内の水を排水し、排水が終わったら給水管2の流路に切り替えることができるようにしても良いものである。
【符号の説明】
【0026】
1 貯湯タンク
2 給水管
9 供給口
10 減圧弁
11 排水管
12 三方弁
13 排水ホッパー
14 制御装置
15 リモコン
16 排水スイッチ