(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290685
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】振り出し機能付与キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20180226BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20180226BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
B65D33/38
B65D47/06 400
B65D47/20 210
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-71032(P2014-71032)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193386(P2015-193386A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595068232
【氏名又は名称】マルコメ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕雄
(72)【発明者】
【氏名】梅津 直志
【審査官】
谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−049123(JP,A)
【文献】
特開平09−278055(JP,A)
【文献】
特開平05−278766(JP,A)
【文献】
特開2013−035553(JP,A)
【文献】
特開平05−201455(JP,A)
【文献】
特開2002−145299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 − 33/38
B65D 35/44 − 35/54
B65D 39/00 − 55/16
B65D 83/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納袋に開設の開口部に取り付けて、その収納袋に収納されている収納物を振り出し操作によって少量ごとに排出するための振り出し機能付与キャップであって、
収納袋の開口部に差し入れ用の挿入筒を下部に有して平断面形状を略長円形状とした筒状胴体の上部である天板の一隅に、開閉蓋で開閉可能に覆ってなる振り出し口が設けられていて、
前記天板の下方には、前記振り出し口に対応する位置にして、キャップを取り付けた収納袋の天地反転時に収納袋側から振り出し口への収納物の直接移動を規制する規制板を設けて、該規制板に隣り合っていて前記天板における振り出し口以外の板に対応する位置に流入口を開口し、
天板における振り出し口以外の板下の空間に、前記流入口を開放下面として前記キャップ取付の収納袋の天地反転時に流入口を通過する収納物を受け止める第一計量部が形成され、
天板における振り出し口下の空間に、前記規制板を閉じた下面として前記天地反転の収納袋を正置状態に戻す正置回転時に前記第一計量部からの収納物を受け止める第二計量部が形成され、
前記流入口から前記振り出し口に至る収納物通路中に、前記第一計量部と前記第二計量部とを順に備えており、
前記筒状胴部の挿入筒を差し入れる収納袋の開口部の周辺を挿入筒とで挟み込む一対の挟持板が、筒状胴部の外部に、筒状胴部の長手方向に直交する方向に対向する位置にしてセルフヒンジを介して回動可能に連接され、
この挟持板それぞれを収納袋の開口部に差し入れられている挿入筒側へ倒し、挿入筒との間に収納袋の開口部の周辺を配する一方の挟持板の端部と、挿入筒との間に収納袋の開口部の周辺を配する他方の挟持板の端部とを係合させて、挿入筒の外周面に対する収納袋の開口部縁の密着状態を維持させるための挟持板端部連結機構を備え、
前記挟持板端部連結機構は、前記一方の挟持板の端部それぞれの外面に、この一方の挟持板を挿入筒側に倒したときでの挿入筒の長手方向に沿う外方に向けて立つ係止突起と、前記他方の挟持板の端部それぞれの外面部分に立つ基部にセルフヒンジを介して回動可能に連接され、この他方の挟持板を挿入筒側に倒した状態で挿入筒の長手方向と直交する方向に回動して、前記係止突起に係脱可能に係止する係止孔を備えた押さえ板とからなり、
挿入筒側に倒したときの挟持板端部の間から収納袋の開口部の周辺が食み出たときの周辺余剰部を、前記押さえ板の係止突起への回動により一方の挟持板端部の外面側に倒し込みして、この倒し込みされた周辺余剰部を、前記係止突起と係止孔との係止部分から離間した位置で押さえ板と一方の挟持板端部の外面とで挟んで倒し込み保持することを特徴とする振り出し機能付与キャップ。
【請求項2】
上記振り出し口の近傍位置に邪魔板が天板から下垂していて、該邪魔板は、キャップ取付の収納袋の上記天地反転時において上記第一計量部に位置した収納物の振り出し口側への移動を規制する板であり、
上記規制板の流入口側の端部に天板側に傾斜した仕分け板が設けられていて、該仕分け板は、正置状態に戻す収納袋の上記正置回転時において第一計量部に位置した収納物を第二計量部と流入口とに分ける板である請求項1に記載の振り出し機能付与キャップ。
【請求項3】
上記挿入筒の下縁は、長手方向での中央下部が下方に凸となるように波形状としている請求項1または2に記載の振り出し機能付与キャップ。
【請求項4】
上記挿入筒には、筒状胴体の内方に向けて凸の凹溝または貫通孔からなる凹所が設けられ、上記挟持板に、前記凹所に対応する位置にして収納袋の開口部の周辺を前記凹所に押し込んで保持する凸体が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の振り出し機能付与キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細かな各種食材を混在させてなるふりかけなどのような粉状体、顆粒体、粉砕物、そして調味料などを収納した収納袋の一辺を切除して形成した開口部分に取り付けたり、フィルムを重ね合わせて開け閉め可能に形成した開封口に取り付けることで、収納袋の収納物を少量ずつ振り出すことができるようにするために用いる振り出し機能付与キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、筒状の収納袋にパスタや菓子類を収納した商品においてパスタの使用残りが生じたり菓子類が食べ残しとなって残ることがあり、その場合にその収納袋の開口部に取り付けて、収納物の取り出しができるように開け閉めする袋物クリップが、例えば特許文献1に示されている。
【0003】
この特許文献1での袋物クリップは、平断面形状を長円形状として収納袋の開口部に挿入する筒状胴体と、筒状胴体の長手方向に直交する方向に対向位置して筒状胴体の外部にセルフヒンジを介して回動可能に連接された挟持板と、前記筒状胴体の上部である天板に対してスライド可能に重ねられて天板の一隅側に開口の振り出し口をスライド操作で開閉する蓋板とからなるものであった。
【0004】
そして、上記袋物クリップでは、筒状胴体を収納袋の開口部に差し入れてその筒状胴体の外周回りに位置する前記収納袋の開口部周辺を、挟持板それぞれの倒しでその挟持板と筒状胴体との間に配し、また筒状胴体の長手方向で相対する端部それぞれの位置で対向する一方の挟持板の端部と他方の挟持板の端部とを互いに係合させることで、筒状胴体の外周回りに収納袋の開口部周辺を対の挟持板にて挟み込みして固定されるようにしたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−049123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した袋物クリップは、形状が比較的大きい収納物が収められた収納袋の開口部を一時的に開け閉めし、袋内にある残り物の取り出しを容易に行なうことができるようにすることを目的としている。そのため、収納袋から前記残物などを取り出す場合には、収納袋全体を天地逆さまにして開口部から一度に排出しても何ら問題とはならない用具である。
【0007】
一方、二枚のフィルムを重ね合わせて袋上辺に開閉可能な開口を配する収納袋やパウチタイプであって上辺側を切除することで開口を得るようにした収納袋に、調味料やふりかけ食品のような粉状体や顆粒体、粉砕物などからなる収納物を収納した商品も多く流通している。このような商品では使用に際し、一辺に形成した開口部から収納物を少量ずつ排出しており、上述した袋物クリップを利用することで収納物の排出が容易に行なえるかどうかの可能性を検討していた。
【0008】
しかしながら、上記粉状体や顆粒体、粉砕物などからなる収納物は収納袋を振りながら少量ずつ取り出す商品であり、また上記袋物クリップは単に開口を備えているだけもの用具であるため、開口から一度に必要以上の収納物が排出され易く、使用者側で収納物の取り出し量を調整し難いという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記袋物クリップのような筒状胴体を収納袋の開口部に差し入れてその筒状胴体に連接の対の挟持板で収納袋の開口部の周辺を挟み込んで取り付ける簡便さを活かしつつ、少量ずつ収納物を排出する振り出し操作が行なえるようにすることを課題とし、このような用具を取り付けることで収納袋の利用勝手を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を
考慮してなされたもので、収納袋に開設の開口部に取り付けて、その収納袋に収納されている収納物を振り出し操作によって少量ごとに排出するための振り出し機能付与キャップであって、
収納袋の開口部に差し入れ用の挿入筒を下部に有して平断面形状を略長円形状とした筒状胴体の上部である天板の一隅に、開閉蓋で開閉可能に覆ってなる振り出し口が設けられていて、
前記天板の下方には、前記振り出し口に対応する位置にして、キャップを取り付けた収納袋の天地反転時に収納袋側から振り出し口への収納物の直接移動を規制する規制板を設けて、該規制板に隣り合っていて前記天板における振り出し口以外の板に対応する位置に流入口を開口し、
天板における振り出し口以外の板下の空間に、前記流入口を開放下面として前記キャップ取付の収納袋の天地反転時に流入口を通過する収納物を受け止める第一計量部が形成され、
天板における振り出し口下の空間に、前記規制板を閉じた下面として前記天地反転の収納袋を正置状態に戻す正置回転時に前記第一計量部からの収納物を受け止める第二計量部が形成され、
前記流入口から前記振り出し口に至る収納物通路中に、前記第一計量部と前記第二計量部とを順に備え
ており、
前記筒状胴部の挿入筒を差し入れる収納袋の開口部の周辺を挿入筒とで挟み込む一対の挟持板が、筒状胴部の外部に、筒状胴部の長手方向に直交する方向に対向する位置にしてセルフヒンジを介して回動可能に連接され、
この挟持板それぞれを収納袋の開口部に差し入れられている挿入筒側へ倒し、挿入筒との間に収納袋の開口部の周辺を配する一方の挟持板の端部と、挿入筒との間に収納袋の開口部の周辺を配する他方の挟持板の端部とを係合させて、挿入筒の外周面に対する収納袋の開口部縁の密着状態を維持させるための挟持板端部連結機構を備え、
前記挟持板端部連結機構は、前記一方の挟持板の端部それぞれの外面に、この一方の挟持板を挿入筒側に倒したときでの挿入筒の長手方向に沿う外方に向けて立つ係止突起と、前記他方の挟持板の端部それぞれの外面部分に立つ基部にセルフヒンジを介して回動可能に連接され、この他方の挟持板を挿入筒側に倒した状態で挿入筒の長手方向と直交する方向に回動して、前記係止突起に係脱可能に係止する係止孔を備えた押さえ板とからなり、
挿入筒側に倒したときの挟持板端部の間から収納袋の開口部の周辺が食み出たときの周辺余剰部を、前記押さえ板の係止突起への回動により一方の挟持板端部の外面側に倒し込みして、この倒し込みされた周辺余剰部を、前記係止突起と係止孔との係止部分から離間した位置で押さえ板と一方の挟持板端部の外面とで挟んで倒し込み保持することを特徴とする振り出し機能付与キャップを提供して、上記課題を解消するものである。
【0011】
(請求項2の発明)
また、上記発明において、上記振り出し口の近傍位置に邪魔板が天板から下垂していて、該邪魔板は、キャップ取付の収納袋の上記天地反転時において上記第一計量部に位置した収納物の振り出し口側への移動を規制する板であり、
上記規制板の流入口側の端部に天板側に傾斜した仕分け板が設けられていて、該仕分け板は、正置状態に戻す収納袋の上記正置回転時において第一計量部に位置した収納物を第二計量部と流入口とに分ける板であることが良好である。
【0014】
(請求項
3の発明)
また、上記発明において、上記挿入筒の下縁は、長手方向での中央下部が下方に凸となるように波形状としていることが良好である。
【0015】
(請求項
4の発明)
また、本発明において、上記挿入筒には、筒状胴体の内方に向けて凸の凹溝または貫通孔からなる凹所が設けられ、上記挟持板に、前記凹所に対応する位置にして収納袋の開口部の周辺を前記凹所に押し込んで保持する凸体が設けられていることが良好である。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、袋の開口部に対の挟持板の挟み込みを利用して取り付けることのできるキャップに、筒状胴体の内方で上記流入口から振り出し口に至る収納物通路が屈曲した通路となり、その屈曲部分を第一計量部と第二計量部としているので、キャップを取り付けた収納袋を振り出し操作すれば、一度に多くの収納物が振り出し口から排出されずに少量ずつ排出され、使用者が好みの量にして収納物を取り出すことができる。
また、筒状胴体の挿入筒回りに収納袋の開口部の周辺がより一層確実に取り付けられて、振り出し操作を繰り返す際に収納袋内の収納物がキャップ内に向けて衝突しても、キャップが収納袋から外れることを防止できる。
また、収納袋の開口部における周辺余剰部をも、挟持板端部連結機構で保持するため、振り出し操作を繰り返す際に収納袋内の収納物がキャップ内に向けて強く衝突しても、キャップが収納袋から外れることを防止できる。
【0017】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、上下反転時や戻しの正置時に第一計量部から第二計量部へ動く収納物の量を規制したり、第二計量部から振り出し口側へ動く収納物の量を規制して、振り出し一回当たりの収納物の排出量が一層定まり易くなる。
【0020】
(請求項
3の発明の効果)
請求項
3の発明によれば、挿入筒の下端の長手方向での中央が下方に凸とされているので、挿入筒のこの凸となっている部分を収納袋の開口部に先に入れて差し込むようにすることにより挿入筒の長手方向に対向する端部も、収納袋の開口部に入り込むようになり、キャップの収納袋への取付作業がより簡単になる。
【0021】
(請求項
4の発明の効果)
請求項
4の発明によれば、挟持板と挿入筒とで挟んでいる収納袋の開口部の周辺に対して引張力を付与して開口部の周辺で挿入筒を締め込むこととなり、振り出し操作を繰り返す際に収納袋内の収納物がキャップ内に向けて強く衝突しても、キャップが収納袋から外れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の係る振り出し機能付与キャップの一例を上方から見た状態で示す説明図である。
【
図2】
図1のX−X線部に沿った位置での断面を示す説明図である。
【
図3】一例の筒状胴体内を長手方向に沿った断面で示す説明図である。
【
図5】収納袋の上辺における開口部に一例を取り付ける状態を示す説明図である。
【
図6】収納袋に一例を取り付けた状態を示す説明図である。
【
図7】一例における対の挟持板を挿入筒回りにて連結した状態を断面で示す説明図である。
【
図8】収納袋の上辺における開口部に一例の挿入筒を差し入れて一つの挟持板を倒した状態を一部切り欠いて示す説明図である。
【
図9】収納袋の上辺における開口部に一例の挿入筒を差し入れた状態を断面で示す説明図である。
【
図11】同じく一例の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は振り出し機能付与キャップで、
図1から
図3に示すように該振り出し機能付与キャップ1は、平断面形状を略長円形状とした筒状胴体2の上部である天板3の一隅(長手方向での一端側)に振り出し口4を開口し、天板3にセルフヒンジを介して連接された開閉蓋5で前記振り出し口4を開閉可能にして覆っている。
【0024】
(挟持板)
また振り出し機能付与キャップ1は、筒状胴体2の下部を収納袋の一辺に形成の開口部に差し入れる挿入筒6として備え、筒状胴体2の長手方向に直交する方向に対向する位置にしてセルフヒンジを介して挟持板7と挟持板8とが連接されていて、この対の挟持板7、8を挿入筒6側に倒すことができるように回動可能としている。挟持板7、8それぞれは、挿入筒6の長手方向の中心線位置を境にする半形状に応じた形状を有していて、挟持板7、8それぞれを挿入筒6側に倒したときにその挿入筒6の外面形状に合致する(
図7参照)。
【0025】
(挟持板端部連結機構)
振り出し機能付与キャップ1には、上記挟持板7、8それぞれを挿入筒6側に倒してから互いに連結することのできる挟持板端部連結機構Aを備えている。この挟持板端部連結機構Aは、挿入筒6を収納袋の開口部に差し込んでから挟持板7、8それぞれを挿入筒6側に倒し、挿入筒6との間に収納袋の開口部の周辺を位置させている一方の挟持板7の端部と、同じく挿入筒6との間に収納袋の開口部の周辺を位置させて前記一方の挟持板7の端部と近接することとなる他方の挟持板8の端部とを係合させるものであり、挿入筒6の端部側それぞれの位置で、前記両端部が係合することによって挟持板7,8が挿入筒6の外周面を押圧し、この挿入筒6の外周面に対する収納袋の開口部縁の密着状態を維持させるようにしたものである。
【0026】
この実施の形態での挟持板端部連結機構Aをより具体的に説明すれば、一方の挟持板7の端部それぞれの外面に、この一方の挟持板7を挿入筒6側に倒したときに挿入筒6の長手方向に沿う外方に向けて立つ係止突起A1と、他方の挟持板8の端部それぞれの外面部分に立つ基部にセルフヒンジを介して回動可能に連接され、この他方の挟持板8を挿入筒6側に倒した状態で挿入筒6の長手方向と直交する方向に回動して、前記係止突起A1に係脱可能に係止する係止孔A2を備えた押さえ板A3とからなるものである。
【0027】
そして、
図4〜
図6に示すように収納袋aの上辺を切除してなる開口部bに挿入筒6を差し入れて、前記対の挟持板7、8を倒しから挟持板端部連結機構Aにおける押さえ板A3を回動させて係止突起A1に係合させることで、収納袋aにこの振り出し機能付与キャップ1が取り付けられる。
【0028】
図4〜
図6、
図8、
図9において示す収納袋aでの開口部bは挿入筒6の外周長さに応じた開口であって、この開口部bに挿入筒6を差し入れてもこの挿入筒6の外面との間で大きな隙間を生じさせない。しかし、この収納袋aはパウチタイプの袋であってヒートシール辺cが前記開口部bの端部それぞれに位置する。
【0029】
(周辺余剰部の倒し込み保持)
本振り出し機能付与キャップ1では挟持板端部連結機構Aが構成されている部分で開口部bの両端のヒートシール辺cをも倒し込んで保持するものである。即ち、上記対の挟持板7、8を挿入筒6側に倒したときに相対する端部の間からヒートシール辺cが外方に向けて張り出す開口部bでの周辺余剰部となるが、上記押さえ板A3は、係止突起A1に向けて回動させるときに前記周辺余剰部(ヒートシール辺c)を倒し、
図7に示されているように係止突起A1と係止孔A2との係止部分から離間した位置で、これを一方の挟持板7の端部の外面とで挟んだ状態で倒し込み保持する保持手段9の役割を果たすものであ
る。
【0030】
収納袋aは図示されたパウチタイプのものに限定されるものではない。そのため、収納袋の一辺に開設した開口部が挿入筒6の外周長さより大きい開口となる場合もあるが、上述したように挟持板7、8の端部の間から周辺余剰部として外方に張り出させ、挟持板端部連結機構Aによる係合を形成する際に前記周辺余剰部を保持手段9での倒し込みで保持するようにすればよいものである。これによって、収納袋の開口部が挿入筒6の外周長さより大きい開口であっても、開口部と挿入筒6との間に隙間を生じさせずに振り出し機能付与キャップを収納袋に取り付けることができるという有用な点がある。
【0031】
(挿入筒下縁波形)
実施の形態において振り出し機能付与キャップ1での挿入筒6の下縁の高さ位置は一様とはしていない。
図3、
図8、
図9に示すようには、長手方向に沿っている筒壁の中央下部が下方に延設されていて、その中央下部10が下方に凸となるように波形状としている。このように収納袋の開口部に差し入れる挿入筒6の長手方向での中央下部が下方に凸としており、挿入筒の下縁の一部分が下方に緩やかに突出する波形にしている下縁形状としているので、挿入筒6を収納袋の開口部に差し入れるときに、最初にその波形の凸の部分を差し入れてから挿入筒6を収納袋の開口部に押し込んでも、その挿入筒6の長手方向に対向する端部もスムーズに前記開口部に入ることとなり、挿入筒6の差し込み作業が簡単になる。
【0032】
また、挿入筒6の長手方向での中央部分を下方に延設しているので、挿入筒6の開口部への差し入れをスムーズなものとしながら振り出し機能付与キャップ1を収納袋に取り付けた後の振り出し操作に際し、収納袋の包材の上から挿入筒の長手方向中央部分が位置する部分を挟み持つときに強度の高い部分として利用でき、振り出し操作に際し、手先で収納袋を潰さずに手持ちできるようにしている。
【0033】
(挟持板と挿入筒壁との凹凸)
上述したように、この実施の形態では挿入筒6を収納袋の開口部に差し入れて挟持板7、8それぞれを倒して、前記収納袋の開口部の周辺を挿入筒6と対の挟持板7,8とで挟み込むようにして挟持板7、8を相互に連結して、収納袋に本振り出し機能付与キャップ1が確実に取り付けられるようにしているが、収納袋への取り付けがより確実になるようにした工夫を有している。
【0034】
図示されているように、挿入筒6の長手方向に沿って広幅とされている筒壁の中央部(上記下縁が下方に凸となっている壁部分)に、キャップ高さ方向に沿って縦にして、かつ挿入筒6の内方に向けて突出した平断面形状となる凹溝が設けられている。また、挿入筒6の長手方向に対向する湾曲した筒壁の端部に、筒壁を貫通する貫通孔が設けられている。この凹溝と貫通孔とを凹所11とし、挟持板7、8には倒した際に前記凹所11に対応する位置にして凸体12が設けられており、前記凸体12は収納袋の開口部の周辺を前記凹所11に押し込んで保持する働きをするものとなる(
図7)。
【0035】
これによって挟持板7、8と挿入筒6とで挟んでいる収納袋の開口部の周辺の一部分を凹所11に押して収納袋の包材に挿入筒回り方向で引張力を付与していて、開口部の周辺で挿入筒を締め込んで振り出し機能付与キャップ1の取付をさらに強固なものとなるようにしている。
【0036】
(収納物の振り出し)
本振り出し機能付与キャップ1では、粉状体、顆粒体、粉砕物、そして調味料などを収納した収納袋に上述のようにして取り付けたのち、振り出し操作を行なうことで少量ずつ収納物を排出できるようにしている。この機能を生じさせるために、
図3と
図8とに示すように筒状胴体2の内空間であって天板3の下方に振り出し口4に対応する位置にして規制板13が設けられている。また、この規制板13の筒状胴体長手方向で隣り合う部分であって天板3での振り出し口4以外の板部分の下方となる位置に開口として流入口14が設けられている。
【0037】
このように筒状胴体2の内方では振り出し口下方に規制板13があり、その規制板13の側方を天板の板部分下方位置となる流入口14としているため、キャップ取付の収納袋を天地反転させるような振り出し操作を行なったときでも、収納袋から流入口14に達しその流入口14から振り出し口4に至る収納物通路を鈎状の曲がりが連続するものとしているので、収納袋内から収納物が直線的に振り出し口4に到達しないようにしている。
【0038】
そして、収納物の少量ずつの排出を行なえるようにするために、天板3における振り出し口以外の天板下となる空間に、流入口14を開放下面として収納袋の天地反転時にその流入口14を通過する収納物を受け止める第一計量部15が形成され、振り出し口4下の空間には、規制板13を閉じた下面として天地反転の収納袋を正置状態に戻す正置回転時に第一計量部15からの収納物を受け止める第二計量部16が形成されていて、前記収納物通路中の各屈曲部分を第一計量部15と第二計量部16としている。
【0039】
このように収納物通路の屈曲部分を第一計量部と第二計量部とし、各計量部それぞれで収納物の受け止めて通路中の収納物の動きを規制しているので、キャップを取り付けた収納袋を振り出し操作すれば、一度に多くの収納物が振り出し口から排出されずに少量ずつ排出され、振り出しを繰り返すことで使用者が好みの量にして収納物を取り出すことができる。
図11は使用時での正置状態を示し、また、収納物の排出は一度に多くが排出されないようにしているため、天地反転した容器姿勢になるまで回転させても少量排出できるとともに、
図12に示すように傾斜させた状態でも少量排出が行なえるものである。
【0040】
さらに、この実施の形態では振り出しごとに排出される収納物の量をより安定したものとするためにつぎの工夫が施されている。まず、振り出し口4の近傍位置にして天板3から邪魔板17が下垂している。この邪魔板17は、本キャップ1が取り付けられた収納袋の天地反転時において第一計量部15に位置した収納物が振り出し口側へ移動するのを規制するものである。また、図示されているように規制板13の流入口14側の端部が天板側に傾斜していて、この傾斜部分を仕分け板18として設けている。前記仕分け板18は、本キャップ1を取り付けた収納袋の振り出し操作中の正置状態に戻す正置回転時において、第一計量部15に位置した収納物を第二計量部16と流入口14側とに分ける板であり、流入口14側に移動する収納物は収納袋内に戻されるものである。
【0041】
このように上下反転時や戻しの正置時に第一計量部15から第二計量部16へ動く収納物の量を規制したり、第二計量部16から振り出し口4側へ動く収納物の量を規制しているので、振り出し一回当たりの収納物の排出量がより定まり易く、使用者は収納物を振り出し操作で一層調整し易くなる。
【0042】
本振り出し機能付与キャップの上記実施の形態は合成樹脂材で成形する関係上、天板3の周囲に筒状胴体2の上端部分が一体となった上部品と、筒状胴体2の前記上端部分を除いた形態の下部品とに分けられて成形されており、前記下部品の上部に上部品を嵌め付けて振り出し機能付与キャップが得られる。また、符号19はキャップ取付済みの収納袋を他物に掛け止める用途に用いるフックを示している。
【符号の説明】
【0043】
1…振り出し機能付与キャップ
2…筒状胴体
3…天板
4…振り出し口
6…挿入筒
7…挟持板
8…挟持板
9…保持手段
10…筒壁の中央下部
11…凹所
12…凸体
13…規制板
14…流入口
15…第一計量部
16…第二計量部
17…邪魔板
18…仕分け板
A…挟持板端部連結機構
A1…係止突起
A2…係止孔
A3…押さえ板
a…収納袋
b…開口部
c…ヒートシール辺