特許第6290709号(P6290709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6290709-油圧駆動装置 図000005
  • 特許6290709-油圧駆動装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290709
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】油圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20180226BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   F15B11/02 C
   E02F9/22 K
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-103772(P2014-103772)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-165155(P2015-165155A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2017年1月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-21765(P2014-21765)
(32)【優先日】2014年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−278709(JP,A)
【文献】 特開2006−125637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22、21/14
E02F 3/42− 3/43
E02F 3/84− 3/85
E02F 9/20− 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータを操作するための操作信号を出力する操作部と、
前記油圧アクチュエータに所望の圧油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧アクチュエータと前記油圧ポンプとの間に設けられ、前記操作部から出力される前記操作信号に基づいて、前記油圧アクチュエータに供給される前記圧油の流量を制御する油圧制御弁と、
前記操作部から出力される前記操作信号に基づいて、前記油圧ポンプの駆動制御を行うポンプ制御部と、を備え、
前記ポンプ制御部は、
kを自然数とし、
前記操作信号に基づく前記要求流量をQp1l,Qp2l・・・Qpklとし、
前記油圧ポンプの最大吐出量をQpmaxとし、
前記油圧ポンプの最小吐出量をQpminとし、
低減後の前記油圧ポンプの吐出量をQpcとしたとき、
前記吐出量Qpcが、
【数1】
を満たすように、前記油圧ポンプの駆動制御を行う油圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、油圧駆動装置関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械、例えば油圧ショベルは、ブーム、アーム、走行用キャタピラ等の複数の油圧アクチュエータを備えている。これら油圧アクチュエータを駆動させるための油圧駆動装置は、各油圧アクチュエータを操作するための操作信号を出力する操作部(パイロット弁)と、各油圧アクチュエータに所望の圧油を供給する可変容量型油圧ポンプ(以下、単に油圧ポンプという)と、操作信号に基づいて各油圧アクチュエータにそれぞれ供給される圧油の流量を制御する複数の油圧制御弁と、操作信号に基づいて油圧ポンプの駆動制御を行うポンプ制御(コントロールユニット)と、を備えている。油圧ポンプと各油圧制御弁は、圧油が通流するタンデム通路、またはパラレル通路を介して連結されている。
【0003】
ここで、油圧ポンプをポジティブコントロール制御する場合、操作信号の増加に応じて油圧ポンプの吐出量が増加する。すなわち、オープンループ制御であり、油圧ポンプの吐出量に対して油圧制御弁のスプール開度が適正でない場合、高圧力により油圧制御弁にハンチングが生じたり、この結果、油圧アクチュエータの微操作性が悪化したりする。
また、複数の油圧アクチュエータを同時に作動させようとした場合、操作信号に基づく各油圧アクチュエータへの圧油要求流量を合算した流量の圧油を油圧ポンプから吐出することになる。しかしながら、その合算した流量が油圧ポンプの最大吐出量を越えていると、各油圧アクチュエータへの圧油の流量が不足してしまう。
【0004】
より具体的には、例えば、2つの油圧アクチュエータに、油圧ポンプの最大吐出量に対してそれぞれ50%の圧油流量を要求するように操作したとする。この場合、2つの油圧アクチュエータへの圧油要求流量の合計が既に油圧ポンプの最大吐出量に達してしまう。このため、各油圧アクチュエータに、油圧ポンプの最大吐出量に対して50%以上の圧油流量を要求したとしても各油圧アクチュエータが操作部の要求通りに動作しないことになる。換言すれば、操作部を操作しても各油圧アクチュエータの動作に変化が生じないことになる。このように、複数の油圧アクチュエータを同時に操作する場合、各油圧ショベルの操作性が悪化すると共に、操作員が油圧ショベルの操作に違和感を覚える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3071215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、複数の油圧アクチュエータを同時に操作する場合において、各油圧アクチュエータの操作性の悪化を防止すると共に、操作員への操作感を向上できる油圧駆動装置提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の油圧駆動装置は、油圧アクチュエータと、操作部と、油圧ポンプと、油圧制御弁と、ポンプ制御部と、を持つ。操作部は、油圧アクチュエータを操作するための操作信号を出力する。油圧ポンプは、油圧アクチュエータに所望の圧油を供給する。油圧制御弁は、油圧アクチュエータと油圧ポンプとの間に設けられ、操作部から出力される操作信号に基づいて、油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する。ポンプ制御部は、操作部から出力される操作信号に基づいて、油圧ポンプの駆動制御を行う。また、ポンプ制御部は、kを自然数とし、前記操作信号に基づく前記要求流量をQp1l,Qp2l・・・Qpklとし、前記油圧ポンプの最大吐出量をQpmaxとし、前記油圧ポンプの最小吐出量をQpminとし、低減後の前記油圧ポンプの吐出量をQpcとしたとき、 前記吐出量Qpcが、
【数1】
を満たすように、前記油圧ポンプの駆動制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の油圧駆動装置を示す概略構成図。
図2】実施形態の油圧ポンプの吐出量の変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の油圧駆動装置を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、油圧駆動装置の概略構成図である。
同図に示すように、油圧駆動装置1は、例えば油圧ショベルに搭載されるものであって、複数の油圧アクチュエータ2を備えている。また、各油圧アクチュエータ2を操作するための操作信号を出力する操作部3を備えている。さらに、各油圧アクチュエータ2に所望の圧油を供給するポジティブコントロール制御方式の油圧ポンプ(可変容量型油圧ポンプ)4を備えている。そして、油圧アクチュエータ2と油圧ポンプ4との間に設けられ、操作部3から出力される操作信号に基づいて、油圧アクチュエータ2に供給される圧油の流量を制御する油圧制御弁5を備えている。また、操作部3から出力される操作信号に基づいて、油圧ポンプ4の駆動制御を行うポンプ制御部6を備えている。
【0011】
なお、本実施形態の油圧駆動装置1は、2つの油圧ポンプ4(4a,4b)を備え、各油圧ポンプ4a,4bに、対応する油圧制御弁5(5a,5b)を介して油圧アクチュエータ2が接続されている。しかしながら、油圧ポンプ4の個数は2つに限られるものではなく、3つ以上の複数個設けてもよい。また、油圧制御弁5の個数も油圧ポンプ4の個数に対応して3つ以上の複数個設けてもよい。
ここで、各油圧ポンプ4a,4bおよび油圧制御弁5a,5bの構成はほぼ同一である。このため、以下の説明においては、一方の油圧ポンプ4aおよび油圧制御弁5aについて主に説明し、必要に応じて他方の油圧ポンプ4bおよび油圧制御弁5bについて説明する。
【0012】
複数の油圧アクチュエータ2は、アーム駆動用の油圧シリンダ2a、キャブ(旋回体)旋回用の油圧モータ2b、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2f等で構成されている。なお、本実施形態では、一方の油圧制御弁5aに、アーム駆動用の油圧シリンダ2a、キャブ(旋回体)旋回用の油圧モータ2b、および2つの走行駆動用の油圧モータ2e,2fのうちの一方の油圧モータ2eが接続されている。また、他方の油圧制御弁5bに、バケット駆動用の油圧シリンダ2c、ブーム駆動用の油圧シリンダ2d、および走行駆動用の2つの油圧モータ2e,2fのうちの他方の油圧モータ2fが接続されている。しかしながら、これらに限られるものではなく、各油圧制御弁5a,5bに任意の油圧アクチュエータ2を接続することが可能である。
【0013】
油圧制御弁5aは、各油圧アクチュエータ2への圧油の流量を調整するための切換弁(スプール)7を有している。切換弁7は、いわゆるオープンセンタ型の切換弁であって、油圧ポンプ4aに、圧油が通流する高圧配管であるタンデム通路8、およびタンデム通路8から分岐したパラレル通路9を介して連結されている。また、各切換弁7には、操作部3から出力される操作信号が入力される。
さらに、パラレル通路9には、各切換弁7に対応するようにチェック弁10が設けられており、切換弁7に供給された圧油が逆流しないようになっている。また、パラレル通路9の最下流側には、チェック弁10よりも上流側にオリフィス11が設けられている。
【0014】
油圧ポンプ4には、ギヤポンプ14が併設されている。ギヤポンプ14は、配管15を介して操作部3に接続されており、操作部3からパイロット圧を発生させるために用いられる。具体的には、ギヤポンプ14から吐出された圧油は配管15を通流し、配管15の途中に設けられたリリーフ弁16によりタンク17に還流される。そして、リリーフ弁16を介し、ギヤポンプ14から吐出された圧油が操作部3に供給される。
【0015】
操作部3は、操作レバー1と、この操作レバー1で操作される複数(例えば、4つ)のパイロット弁13とを主構成としている。そして、操作レバー1の操作(操作角度)に応じて各パイロット弁13が押圧され、パイロット弁13から操作レバー1の操作角度に比例したパイロット圧が出力される。このパイロット圧により各切換弁7の切換が行われる。
また、操作部3には、パイロット圧を検出する複数(例えば、2つ)の圧力センサ21が設けられている。この圧力センサ21により検出された信号は、電気信号としてポンプ制御部6に出力される。
【0016】
ポンプ制御部6は、予め設定された各油圧アクチュエータ2の流量特性テーブルを有している。そして、操作部3から出力された信号に基づいて流量特性テーブルを参照し、所望の油圧アクチュエータ2に供給する圧油の流量を算出する。なお、以下の説明では、操作部3の操作に基づいて算出された圧油の流量、すなわち、操作部3の操作に基づく各油圧アクチュエータ2に要求されている圧油の流量を、単に要求流量と称する。
【0017】
ここで、ポンプ制御部6では、複数の油圧アクチュエータ2を同時操作する場合で、かつ各油圧アクチュエータ2の要求流量の合計が油圧ポンプ4a(4b)の最大吐出量以下であっても、要求流量から所定比率にて油圧ポンプ4a(4b)の吐出量を低減するように制御している。つまり、ポンプ制御部6では、以下の数(1)〜数(3)の計算を行い、油圧ポンプ4a(4b)の吐出量が算出される。
【0018】
すなわち、kを自然数とし、各油圧アクチュエータ2の要求流量をQp1,Qp2・・・Qpkとし、油圧ポンプ4a(4b)の最大吐出量をQpmaxとし、油圧ポンプ4a(4b)の最小吐出量をQpminとし、油圧ポンプ4a(4b)の制御後の吐出量をQpcとしたとき、
吐出量Qpcは、
【0019】
【数1】
【0020】
を満たすように設定されている。なお、kは、油圧アクチュエータ2の個数を示している。また、油圧ポンプ4a(4b)の最小吐出量とは、油圧ポンプ4a(4b)を駆動させるにあたって、最低限吐出しなければならない圧油の流量のことをいう。これは、油圧ポンプ4a(4b)を最小吐出量以上で駆動させないと、油圧ポンプ4a(4b)が焼き付き等を起こすおそれがあるからである。
【0021】
次に、上記数式(1)〜数式(2)の具体的な計算方法について、油圧駆動装置1の動作説明と共に、説明する。
まず、操作員が操作部3を操作すると、この操作に基づいて対応する油圧アクチュエータ2の切換弁7が作動すると共に、圧力センサ21により圧力信号(操作信号)が検出される(操作信号検出工程)。
【0022】
このとき、圧力センサ21により(操作信号検出工程の検出結果により)、操作員が複数の油圧アクチュエータ2を同時に操作しようとしているのか否かが判断される(アクチュエータ操作判断工程)。
続いて、圧力センサ21により検出された信号がポンプ制御6に出力される。ポンプ制御部6は、圧力センサ21からの出力センサ21に基づいて油圧ポンプ4の吐出量を制御する。
【0023】
ここで、一例として、油圧駆動装置1には2つの油圧アクチュエータ2が設けられており、操作員は、これら2つの油圧アクチュエータ2を同時に駆動させようとしている場合について、具体的に説明する。なお、以下の説明では、油圧ポンプ4の最大吐出量Qpmaxを220[L/min]とし、油圧ポンプ4の最小吐出量Qpminを20[L/min]とし、各油圧アクチュエータ2の要求流量Qpk(k=1,2)が、それぞれ120[L/min]であるとする。
【0024】
まず、数式(1)に基づいて、各油圧アクチュエータ2のQpsを算出する。
すなわち、数式(1)より、1つ目の油圧アクチュエータ2のQpsは、
Qps=1−(120−20)/(220−20)=0.5
と算出される。
ここで、Qpk=(120−20)となるのは、各油圧アクチュエータ2の要求流量から油圧ポンプ4の最小吐出量を減ずるからである。
【0025】
同様に、1つ目の油圧アクチュエータ2のQpsは、
Qps=1−(120−20)/(220−20)=0.5
と算出される。
【0026】
次に、数式(1)により求められたQps1,Qps、および数式(2)に基づいて、Sqを算出する。
すなわち、数式(2)より、
Sq=1−0.5×0.5=0.75
と算出される。
【0027】
続いて、数式(2)により求められたSq、および数式(3)に基づいて、油圧ポンプ4の油圧ポンプ4の吐出量Qpcを算出する。
すなわち、数式(3)より、
Qpc=0.75×(220−20)+20=170
と算出される。
【0028】
つまり、2つの油圧アクチュエータ2の要求流量Qpk(k=1,2)が、それぞれ120[L/min]であるとき、実際の油圧ポンプ4の吐出量Qpcは、170[L/min]となる。ここで、単純に2つの油圧アクチュエータ2の要求流量Qpk(k=1,2)を合算すると、120+120=240[L/min]であるから、この合算値に対し、実際の油圧ポンプ4の吐出量Qpcは、約70%程度に低減されたということになる。
【0029】
換言すれば、2つの油圧アクチュエータ2の要求流量Qpkの合算が最大吐出量Qpmaxを越える場合、または最大吐出量Qpmax以下の何れであっても、要求流量Qpkの合算から所定比率にて油圧ポンプ4の吐出量Qpcが低減される。上記の場合、油圧ポンプ4の吐出量Qpc(170[L/min])は、まだ最大吐出量Qpmax(220[L/min])に達していないので、操作員が2つの油圧アクチュエータ2をさらに動作させようとした場合であっても、それに応じて油圧ポンプ4の吐出量Qpcを増加させることができ、各油圧アクチュエータ2の動作速度等を変化させることができる。
【0030】
より具体的に、図2に基づいて、操作部3の操作に基づく油圧ポンプ4の吐出量Qpcの変化について説明する。
図2は、縦軸を、油圧ポンプ4の吐出量Qpc[L/min]とし、横軸を、操作部3による各油圧アクチュエータ2への要求度(油圧ポンプ4の最大吐出量Qpmaxに対する要求流量の比率)[%]とした場合の、油圧ポンプ4の吐出量Qpcの変化を示すグラフである。なお、図2では、2つの油圧アクチュエータ2を同時に動作させる場合と、3つの油圧アクチュエータ2を同時に動作させる場合の2つの場合を示している。また、図2中、破線で示している線は、それぞれ各油圧アクチュエータ2に要求されている合算流量を示している。
【0031】
同図に示すように、本実施形態では、複数の油圧アクチュエータ2を同時に操作させる場合、操作部3による各油圧アクチュエータ2への要求度が高くなるに従って油圧ポンプ4の吐出量Qpcが最大吐出量Qpmaxに近づくが、最大吐出量Qpmaxを越えないことが確認できる。
【0032】
次に、油圧駆動装置1には2つの油圧アクチュエータ2が設けられているが、操作員が1つの油圧アクチュエータ2のみを単独で駆動させる場合について説明する。なお、各流量の条件は、上記2つの油圧アクチュエータ2を同時に駆動させる場合と同様とする。すなわち、油圧ポンプ4の最大吐出量Qpmaxを220[L/min]とし、油圧ポンプ4の最小吐出量Qpminを20[L/min]とし、油圧アクチュエータ2の要求流量Qpk(k=1,2)を120[L/min]とする。
【0033】
この場合、数式(1)より、1つ目の油圧アクチュエータ2のQpsは、
Qps=1−(120−20)/(220−20)=0.5
と算出される。
一方、2つ目の油圧アクチュエータ2のQpsは、要求流量が0[L/min]であるから、結果的に油圧ポンプ4の最小吐出量ということになり、
Qps=1−(20−20)/(220−20)=1
と算出される。
【0034】
次に、数式(1)により求められたQps1,Qps、および数式(2)に基づいて、Sqを算出する。
すなわち、数式(2)より、
Sq=1−0.5×1=0.5
と算出される。
【0035】
続いて、数式(2)により求められたSq、および数式(3)に基づいて、油圧ポンプ4の油圧ポンプ4の吐出量Qpcを算出する。
すなわち、数式(3)より、
Qpc=0.5×(220−20)+20=120
と算出される。
【0036】
つまり、1つの油圧アクチュエータ2のみを単独で駆動させる場合、油圧アクチュエータ2の要求流量Qpkに対して実際の油圧ポンプ4の吐出量Qpcが100%となる。
このことは、各数式(1)〜(3)からも読み取れる。すなわち、便宜上、操作されていない油圧アクチュエータ2では、「1」を算出させるため、数式(1)では、1から引き変換しているのである。そして、数式(2)では、各油圧ポンプ4の要求流量の総乗数を算出している。数式(1)では、操作されていない油圧アクチュエータ2は、「1」が算出されているので、数式(1)で算出された油圧ポンプ4の最大吐出量Qpmaxに対する割合がそのまま算出される。そして、数式(1)での変換を再変換し、数式(3)により油圧ポンプ4の吐出量Qpcが決定する。
【0037】
したがって、上述の実施形態によれば、複数の油圧アクチュエータ2の要求流量Qpkの合算が最大吐出量Qpmaxを越える場合、または最大吐出量Qpmax以下の何れであっても、要求流量Qpkの合算から所定比率にて油圧ポンプ4の吐出量Qpcが低減されるので、油圧ポンプ4から圧油が過剰に吐出されてしまうことを防止できる。具体的には、上記数式(1)〜数式(3)を満たすように油圧ポンプ4の吐出量Qpcを設定することにより、複数の油圧アクチュエータ2を同時に操作する場合における油圧ポンプ4の過剰な圧油の吐出を防止できる。このため、複数の油圧アクチュエータ2を同時に操作する場合において、各油圧アクチュエータ2の操作性の悪化を防止すると共に、操作員への操作感を向上できる。
【0038】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数の油圧アクチュエータ2を同時操作する場合、複数の油圧アクチュエータ2の要求流量Qpkの合算が最大吐出量Qpmaxを越える場合、または最大吐出量Qpmax以下の何れであっても、要求流量Qpkの合算から所定比率にて油圧ポンプ4の吐出量Qpcが低減されるので、油圧ポンプ4から圧油が過剰に吐出されてしまうことを防止できる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
1…油圧駆動装置、2…油圧アクチュエータ、3…操作部、4…油圧ポンプ、5…油圧制御弁、6…ポンプ制御部、7…切換弁
図1
図2