特許第6290744号(P6290744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290744
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】情報表示媒体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20180226BHJP
   B42D 25/305 20140101ALI20180226BHJP
【FI】
   G06K19/077 112
   G06K19/077 144
   B42D15/10 307
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-167590(P2014-167590)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-45569(P2016-45569A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】井口 愛
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和道
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隼一
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−053610(JP,A)
【文献】 特開2012−073727(JP,A)
【文献】 特開平07−182471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00 −19/18
B42D 25/00 −25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に表示部を有するモジュールと、
前記モジュールに応じた厚みを有するとともに、前記モジュールが入り込むのに十分な大きさの開口部を有し、該開口部に前記モジュールを内設した第1のフレームと、
前記モジュールの外形よりも小さな開口部を有し、前記第1のフレームの一方の面に重ね合わされた第2のフレームと、
前記モジュール、並びに前記第1及び第2のフレームを挟持する一対の基材とを有し、
前記モジュールが、前記表示部とは反対側の面が前記第2のフレーム側となるように前記第1のフレームの開口部に内設され、
前記モジュールと前記第1のフレームと第2のフレームと前記基材との間にそれぞれ接着用硬化樹脂が充填されている情報表示媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示媒体において、
前記第1のフレームが、複数の外枠部材が積層されてなり、前記複数枚の外枠部材間にも前記接着用硬化樹脂が充填されている情報表示媒体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報表示媒体の製造方法であって、
前記一対の基材のうちの一方の基材上に前記第1のフレームを設置し、前記一方の基材上の前記第1のフレームの開口部に硬化前の接着用硬化樹脂を塗布する工程と、
前記第1のフレームの開口部に、前記表示部が前記一方の基材側となるように前記モジュールを内設する工程と、
前記第1のフレーム上に前記第2のフレームを重ね合わせる工程と、
前記モジュール上に硬化前の接着用硬化樹脂を塗布する工程と、
前記第2のフレーム及び前記モジュール上に、前記一対の基材のうちの他方の基材を重ね合わせる工程と、
前記他方の基材を前記一方の基材側に加圧することにより、前記モジュールと前記第1のフレームと前記第2のフレームと前記基材との間にそれぞれ接着用硬化樹脂を充填する工程とを有する、情報表示媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部付きモジュールを有する情報表示媒体に関し、特に、表示部の視認性低下を回避する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報を表示する情報表示媒体として、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられており、これらは、テレビ受像機に用いられることによりテレビ局から送信されたテレビ映像を表示したり、パソコンのディスプレイとして用いられることにより、パソコンに保存された情報やインターネットを介して配信された情報を表示したりすることができる。さらに近年では、上述したような情報表示媒体に加えて、デジタル情報を紙のように薄い情報表示層に表示する薄型の情報表示媒体が普及しはじめている。このような薄型の情報表示媒体は、紙のように薄いために携帯がしやすいとともに、消費電力が少なく、また視野角が広く、さらには、電極に印加する電圧によって表示される情報を書き換えることができるとともに、電源を切断した場合でも表示内容を保持できることから、今後のさらなる普及が予想される。
【0003】
図5は、情報表示媒体の一例を示す断面図である。
【0004】
本例における情報表示媒体は図5に示すように、フレーム140内に、上述したような薄型の情報表示層を有する表示モジュール110が内設され、これらフレーム140及び表示モジュール110が表面基材150と裏面基材120とによって表裏から挟持されて構成されている。表示モジュール110は、一方の面が表示面113となって情報が表示され、他方の面に電子部品112a〜112cが実装されており、表示面113が表面基材150側となるようにフレーム140の開口部143に内設されている。そして、表示モジュール110とフレーム140と表面基材150と裏面基材120との間に接着用硬化樹脂130が充填され、これら表示モジュール110とフレーム140と表面基材150と裏面基材120とが接着用硬化樹脂130によって互いに接着されている。
【0005】
以下に、上記のように構成された情報表示媒体の製造方法について説明する。
【0006】
図6は、図5に示した情報表示媒体の製造方法を説明するための図である。
【0007】
図5に示した情報表示媒体を製造する場合は、まず、図6(a)に示すように、表面基材150上にフレーム140を載置するとともに、表面基材150上のフレーム140の開口部143に硬化前の接着用硬化樹脂130を塗布する。
【0008】
次に、図6(b)に示すように、表示面113が表面基材150側となるように表示モジュール110を開口部143に合わせてフレーム140に内設させていき、接着用硬化樹脂130が塗布された表面基材150上に表示モジュール110を載置する。
【0009】
次に、図6(c)に示すように、表示モジュール110の電子部品112a〜112cが実装された面上に、硬化前の接着用硬化樹脂130を塗布する。
【0010】
次に、図6(d)に示すように、接着用硬化樹脂130が塗布された表示モジュール110及びフレーム140上に裏面基材120を載置する。
【0011】
そして、裏面基材120側から加圧すると、図6(e)に示すように、表示モジュール110の表面基材150側においては、硬化前の接着用硬化樹脂130が表示モジュール110と表面基材150との間にて薄く均一に延展され、表面基材150とフレーム140との間にも入り込んでいく。また、表示モジュール110の裏面基材120側においては、硬化前の接着用硬化樹脂130が表示モジュール110と裏面基材120との間にて薄く均一に延展され、裏面基材120とフレーム140との間にも入り込んでいく。
【0012】
このように、表面基材150上に接着用硬化樹脂130を介して表示モジュール110を載置した後、加圧することによって表面基材150と表示モジュール110との間にて接着用硬化樹脂130を延展させることにより、表示モジュール110と表面基材150との間に接着用硬化樹脂130が生じていたとしても、その気泡を除去することができる。
【0013】
このようにして接着用硬化樹脂130が加圧によって延展することにより、情報表示媒体全体の厚さが、フレーム140の厚さを基準として一定のものとなる。
【0014】
その後、養生して接着用硬化樹脂130を硬化させ、表示モジュール110とフレーム140と表面基材150と裏面基材120とを接着用硬化樹脂130によって互いに接着させる。
【0015】
このように製造された情報表示媒体は、表面基材150を透明な材料からなるものとすることにより、表示モジュール110の表示面113にて表示された情報が、表面基材150を介して視認されることになる。
【0016】
このように、薄型の情報表示層を有する表示モジュールをフレームに内設してタグ化することにより、情報表示媒体の耐環境性を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2012−73727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図7は、図5に示した情報表示媒体を図6に示した製造方法にて製造した場合に生じる問題点を説明するための図であり、情報表示媒体の断面図を示す。
【0019】
図5に示した情報表示媒体を図6に示した製造方法にて製造した場合、表示モジュール110の表示面113と表面基材150との加圧直後の間隔が図7(a)に示すようにd1であったとしても、一般的に表示モジュール110の比重が接着用硬化樹脂130の硬化前の比重よりも小さいことにより、図7(b)に示すように接着用硬化樹脂130が硬化するまでに表示モジュール110が接着用硬化樹脂130中を裏面基材120側に移動していき、表示モジュール110の表示面113と表面基材150との間隔がd2と広がり、表示モジュール110の表示面113と表面基材150との間に介在する接着用硬化樹脂130の厚さが厚くなる。すると、特に接着用硬化樹脂130が有色のものである場合、表示面113に表示される情報の視認性がその接着用硬化樹脂130によって低下してしまうことになる。
【0020】
特に、接着用硬化樹脂130は、表示モジュール110に実装された電子部品11a〜112cの高さの差を吸収する役割も果たしているため、接着用硬化樹脂130は、ある程度多く塗布する必要があり、そのため、表示モジュール110の表示面113と表面基材150との間隔d2が広いものとなり、視認性が大きく低下してしまうという問題点がある。
【0021】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、一方の面に表示部を有するモジュールがフレームに内設され、これらモジュールとフレームが一対の基材に挟持され、モジュール、フレーム及び基材間に接着用硬化樹脂が充填されてなる情報表示媒体において、表示部に表示される情報の視認性が接着用硬化樹脂によって低下してしまうことを回避できる情報表示媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明は、
一方の面に表示部を有するモジュールと、
前記モジュールに応じた厚みを有するとともに、前記モジュールが入り込むのに十分な大きさの開口部を有し、該開口部に前記モジュールを内設した第1のフレームと、
前記モジュールの外形よりも小さな開口部を有し、前記第1のフレームの一方の面に重ね合わされた第2のフレームと、
前記モジュール、並びに前記第1及び第2のフレームを挟持する一対の基材とを有し、
前記モジュールが、前記表示部とは反対側の面が前記第2のフレーム側となるように前記第1のフレームの開口部に内設され、
前記モジュールと前記第1のフレームと第2のフレームと前記基材との間にそれぞれ接着用硬化樹脂が充填されている。
【0023】
上記のように構成された本発明においては、製造する場合、まず、一対の基材のうちの一方の基材上に第1のフレームを設置し、また、一方の基材上の第1のフレームの開口部に硬化前の接着用硬化樹脂を塗布し、第1のフレームの開口部に、表示部が一方の基材側となるようにモジュールを内設する。次に、第1のフレーム上に第2のフレームを重ね合わせ、モジュール上に硬化前の接着用硬化樹脂を塗布する。次に、第2のフレーム及びモジュール上に、一対の基材のうちの他方の基材を重ね合わせ、他方の基材を一方の基材側に加圧することにより、モジュールと第1のフレームと第2のフレームと基材との間にそれぞれ接着用硬化樹脂を充填する。これにより、一方の基材とモジュールとの間の接着用硬化樹脂に気泡が混入していたとしても、気泡は加圧によってモジュールの周囲から外側に押し出され、気泡による視認性低下が回避される。その後、養生して接着用硬化樹脂を硬化させることによってモジュールと第1のフレームと第2のフレームと基材とを接着することになるが、一般的にモジュールの比重が接着用硬化樹脂の硬化前の比重よりも小さいことにより、他方の基材が天側となった状態で養生が行われると、硬化していない接着用硬化樹脂中をモジュールが他方の基材側に移動していき、モジュールの表示部と一方の基材との間隔が広がってしまう。ところが、本発明においては、モジュールを内設する第1のフレームの他方の基材側に、モジュールの外形よりも小さな開口部を有する第2のフレームが重ね合わされているため、モジュールの他方の基材側の面の一部がこの第2のフレームに当接することでモジュールの他方の基材側への移動が第2のフレームによって規制されることになり、それにより、第1のフレームの厚みをモジュールに応じたものとすることで、モジュールの表示部と一方の基材との間隔が、予め決められたもの以上に広がってしまうことがなくなり、接着用硬化樹脂によって視認性が低下してしまうことが回避される。
【0024】
また、第1のフレームを複数の外枠部材が積層された構成とすれば、第1のフレームの厚みをモジュールに応じたものに容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、一方の面に表示部を有するモジュールがフレームに内設され、これらモジュールとフレームが一対の基材に挟持され、モジュール、フレーム及び基材間に接着用硬化樹脂が充填されてなる情報表示媒体において、モジュールを内設する第1のフレームに重ね合わされ、モジュールの外形よりも小さな開口部を有する第2のフレームにより、硬化前の接着用硬化樹脂中をモジュールが移動することによってモジュールの表示部と表示部側の基材との間隔が広がってしまうことが回避され、それにより、表示部に表示される情報の視認性が接着用硬化樹脂によって低下してしまうことを回避できる。
【0026】
また、第1のフレームが、複数の外枠部材が積層されてなり、複数枚の外枠部材間にも接着用硬化樹脂が充填されたものにおいては、第1のフレームの厚みをモジュールに応じたものに容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の情報表示媒体に用いられるモジュールの実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は表面から見た図である。
図2】本発明の情報表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示した構成から裏面基材及び接着用硬化樹脂を取り除いた状態を示す図、(d)は(c)に示した構成から第2のフレームを取り除いた構成を示す図、(e)は表面から見た図、(f)は(e)に示した構成から表面基材及び接着用硬化樹脂を取り除いた状態を示す図である。
図3図2に示した情報表示媒体の製造方法を説明するための図である。
図4図2に示した情報表示媒体が図3に示した製造方法で製造される際の作用を説明するための図である。
図5】情報表示媒体の一例を示す断面図である。
図6図5に示した情報表示媒体の製造方法を説明するための図である。
図7図5に示した情報表示媒体を図6に示した製造方法にて製造した場合に生じる問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
まず、本発明の情報表示媒体に用いられるモジュールについて説明する。
【0030】
図1は、本発明の情報表示媒体に用いられるモジュールの実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は表面から見た図である。
【0031】
本形態におけるモジュールは図1に示すように、一方の面に表示部13を有するモジュール本体11の他方の面に複数の電子部品12a〜12cが実装されて構成されている。
【0032】
モジュール本体11には、導電性ペーストを用いた印刷等によって配線パターンやランド部(不図示)が形成されており、電子部品12a〜12cは、この配線パターンを介して適宜接続されるようにランド部上に実装されている。
【0033】
表示部13は、例えば、対向する一対の電極層間に、電極層間の電位差に応じてその状態が変化する表示層を有する電子ペーパー等からなるものである。電子ペーパーは、メモリ性を有することにより、電源が切断された後でも表示を維持することができる。このような表示部13は、モジュール本体11の電子部品12a〜12cが実装された面とは反対側の面にて例えば、“0”〜“99”の情報を表示する。
【0034】
次に、上記のように構成されたモジュール10を用いた情報表示媒体について説明する。
【0035】
図2は、本発明の情報表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示した構成から裏面基材20及び接着用硬化樹脂30を取り除いた状態を示す図、(d)は(c)に示した構成から第2のフレーム42を取り除いた構成を示す図、(e)は表面から見た図、(f)は(e)に示した構成から表面基材50及び接着用硬化樹脂30を取り除いた状態を示す図である。
【0036】
本形態における情報表示媒体は図2に示すように、図1に示した表示モジュール10を用いたものであり、表示モジュール10と、表示モジュール10を内設した第1のフレーム41と、第1のフレーム41に重ね合わされた第2のフレーム42とが、互いに同一形状となる一対の基材である表面基材50と裏面基材20とでその表裏から挟持されて構成されている。
【0037】
フレーム41は、同一形状の3枚の外枠部材41a〜41cが積層されて構成されている。外枠部材41a〜41cは、例えばポリ塩化ビニル等の不透明な樹脂材料からなり、その外形が表面基材50及び裏面基材20と同一であり、表示モジュール10の外形と同一形状の開口部43を有することにより、枠形状となっている。なお、開口部43は、表示モジュール10が入り込むために十分な大きさであれば、表示モジュール10の外形と同一形状でなくてもよい。また、外枠部材41a〜41cは、その厚さがモジュール本体11よりも薄いものであるが、3枚の外枠部材41a〜41cが積層されることにより、フレーム41の厚さがモジュール本体11の厚さと同等のものとなっている。このように、フレーム41は、表示モジュール10に応じた厚みを有している。なお、フレーム41は、後述するように、表示モジュール10の裏面基材20側への移動がフレーム42によって規制された場合に、表示モジュール10の表示面13と表面基材50との間隔が所定以上とならないような厚みであれば、モジュール本体11の厚さと同等のものでなくてもよい。
【0038】
フレーム42は、例えばポリ塩化ビニル等の不透明な樹脂材料からなり、その外形が表面基材50及び裏面基材20と同一であり、フレーム41の外枠部材41c上に重ね合わされている。そして、表示モジュール10の外形よりも一回り小さな開口部44を有しており、それにより、フレーム42がモジュール本体11の電子部品12a〜12cが実装された面の一部に当接し、かつ、電子部品12a〜12cが、開口部44から表出している。すなわち、表示モジュール10は、表示部13とは反対側の面がフレーム42側となるようにフレーム41の開口部43に内設されている。フレーム42の厚さは、電子部品12a〜12cのうち、高さが最も高い電子部品12a,12cと同等またはそれ以上のものとなっている。
【0039】
上記のように配置された表示モジュール10及びフレーム41,42は、表面基材50と裏面基材20とによってその表裏から挟持されている。
【0040】
裏面基材20は、第2の基材となるものであって、透明または不透明のPET(ポリエチレンテレフタレート)等からなり、表示モジュール10の電子部品12a〜12cが実装された面側に、表示モジュール10及びフレーム42に重ね合わされるように配置されている。
【0041】
表面基材50は、第1の基材となるものであって、透明なPET等からなり、表示モジュール10の表示部13が設けられた面側に、表示モジュール10及びフレーム41に重ね合わされるように配置されている。表面基材50は、表示モジュール10及びフレーム41に重ね合わされるように配置された際に表示部13の周囲に対向する領域が、印刷が施されることにより隠蔽部52となっており、表示モジュール10の表示部13の外周部を外部から視認不可能としている。この隠蔽部52以外の領域は、印刷が施されておらずに透明部51となっており、表面基材50側から表示部13が視認可能となっている。なお、表面基材50は、表示部13に対向する領域が透明部51となっていれば、隠蔽部52は必ずしも設ける必要はない。
【0042】
また、表示モジュール10とフレーム41とフレーム42と表面基材50と裏面基材20との間に接着用硬化樹脂30が充填されており、この接着用硬化樹脂30によって、表示モジュール10とフレーム41とフレーム42と表面基材50と裏面基材20とが接着されている。
【0043】
また、フレーム41を構成する3枚の外枠部材41a〜41c間にも接着用硬化樹脂30が充填されており、この接着用硬化樹脂30によって、外枠部材41a〜41cが互いに接着されている。
【0044】
また、表示モジュール10の単位体積当たりの重さとなる比重は、接着用硬化樹脂30の比重よりも小さなものとなっている。
【0045】
以下に、上記のように構成された情報表示媒体の製造方法について説明する。
【0046】
図3は、図2に示した情報表示媒体の製造方法を説明するための図であり、情報表示媒体の断面図を示す。
【0047】
図2に示した情報表示媒体を製造する場合は、図3(a)に示すように、まず、表面基材50の一方の面上に3枚の外枠部材41a〜41cをその外周部が重なり合うように積層して設置し、表面基材50の一方の面上の、外枠部材41a〜41cが積層されてなるフレーム41の開口部43に、硬化前の接着用硬化樹脂30を塗布する。この際、表面基材50と外枠部材41a〜41cとの位置合わせは、上述したようにそれらの外周部が重なり合うようにすることで行うこともできるが、突き当てや位置決め用のピン等を用いて相対位置が定まるようにすることが好ましい。
【0048】
次に、図3(b)に示すように、表示部13が表面基材50側となるように表示モジュール10を開口部43に合わせてフレーム41に内設させていき、接着用硬化樹脂30が塗布された表面基材50上に表示モジュール10を載置する。この際、上述したように開口部43が表示モジュール10の外形と同一形状であるため、表示モジュール10を開口部43に合わせてフレーム41に内設させると、フレーム41との位置合わせがされている表面基材50と表示モジュール10との相対位置が予め決められたものとなり、それにより、表示モジュール10の表示部13のみが表面基材50の透明部51と対向し、表面基材50側から表示部13が視認可能となり、表示モジュール10の表示部13以外の部分が隠蔽部52によって視認不可能な状態となる。
【0049】
次に、図3(c)に示すように、フレーム41上にその外周部がフレーム41の外周部に重なり合うようにフレーム42を重ね合わせて載置する。この際、フレーム42には、表示モジュール10の外形よりも一回り小さな開口部44が設けられているため、その外周部がフレーム41の外周部に重なり合うようにフレーム42を載置すると、フレーム42がモジュール本体11の電子部品12a〜12cが実装された面の一部に当接し、かつ、電子部品12a〜12cが、開口部44から表出した状態となる。なお、フレーム41とフレーム42との位置合わせについても、上述したようにそれらの外周部が重なり合うようにすることで行うこともできるが、突き当てや位置決め用のピン等を用いて相対位置が定まるようにすることが好ましい。
【0050】
次に、図3(d)に示すように、表示モジュール10上に、硬化前の接着用硬化樹脂30を塗布する。この際、表示モジュール10に実装された電子部品12a〜12cの全てが覆われるように接着用硬化樹脂30を塗布する必要がある。
【0051】
次に、図3(e)に示すように、接着用硬化樹脂30が塗布された表示モジュール10、及びフレーム42上に裏面基材20を載置する。この場合も、裏面基材20の外周部がフレーム42の外周部に重なり合うようにフレーム42上に裏面基材20を載置することで、裏面基材20とフレーム42との位置合わせを行うことができるが、突き当てや位置決め用のピン等を用いて相対位置が定まるようにすることが好ましい。
【0052】
その後、裏面基材20側から加圧すると、図3(f)に示すように、表示モジュール10の表面基材50側においては、硬化前の接着用硬化樹脂30が表示モジュール10と表面基材50との間にて薄く均一に延展され、表面基材50とフレーム41の外枠部材41aとの間にも入り込む。また、表示モジュール10を表面基材50上に載置した際に、表面基材50と表示部13との間にて接着用硬化樹脂30に気泡が混入していたとしても、その気泡が加圧によって表示モジュール10の周囲から外側に押し出される。これにより、気泡による視認性低下が回避される。
【0053】
また、表示モジュール10の裏面基材20側においては、硬化前の接着用硬化樹脂30が表示モジュール10と裏面基材20との間にて薄く均一に延展され、裏面基材20とフレーム42との間にも入り込む。また、接着用硬化樹脂30の十分な厚さによって、電子部品12a〜12cの高さの差が吸収される。
【0054】
また、上記加圧によって、硬化前の接着用硬化樹脂30が、フレーム41とフレーム42との間、さらには、フレーム41を構成する外枠部材41a〜41c間にも入り込む。
【0055】
その後、所定時間養生して接着用硬化樹脂30を硬化させることにより、表示モジュール10とフレーム41とフレーム42と表面基材50と裏面基材20とが接着されるとともに、フレーム41を構成する外枠部材41a〜41cどうしも接着されることになる。
【0056】
以下に、上記のように製造された情報表示媒体の作用について説明する。
【0057】
図4は、図2に示した情報表示媒体が図3に示した製造方法で製造される際の作用を説明するための図であり、情報表示媒体の断面図を示す。
【0058】
接着用硬化樹脂30を硬化させるために、裏面基材20が天側となった状態で養生が行われると、上述したように表示モジュール10の比重が接着用硬化樹脂30の硬化前の比重よりも小さいことにより、硬化していない接着用硬化樹脂30中を表示モジュール10が裏面基材20側に移動していき、表示モジュール10の表示部13と表面基材50との間隔が広がってしまう。
【0059】
ところで、図2に示した情報表示媒体においては、表示モジュール10を内設するフレーム41の裏面基材20側に、表示モジュール10の外形よりも小さな開口部44を有するフレーム42が重ね合わされている。そのため、表示モジュール10の裏面基材20側の面の一部が、図4中A部にてフレーム42に当接し、それにより、表示モジュール10の裏面基材20側への移動がフレーム42によって規制され、表示モジュール10の表示部13と表面基材50との間隔が、フレーム41の厚さに応じた間隔以上に広がってしまうことがなくなる。そこで、フレーム41の厚さを、上述したようにモジュール本体11の厚さと同等のものとすることにより、表示モジュール10の表示部13と表面基材50との間隔が、例えば0μm以上25μm以下と狭いものとなり、予め決められた間隔以上に広がってしまうことが回避される。ここで、本形態におけるフレーム41は、3枚の外枠部材41a〜41cが積層されて構成されている。そのため、モジュール本体11の厚さに応じた枚数の外枠部材を積層してフレーム41を構成することにより、表示モジュール10の表示部13と表面基材50との間隔を所定のものとすることができる。
【0060】
上記養生によって接着用硬化樹脂30が硬化した後、情報表示媒体の製品のサイズに応じた形状に刃型を用いて断裁加工し、製品を完成させる。
【0061】
このように製造された情報表示媒体は、表示モジュール10の表示面13にて表示された情報が、表面基材50の透明部51を介して視認されることになる。
【0062】
このように本形態においては、表示モジュール10を内設するフレーム41の裏面基材20側に、表示モジュール10の外形よりも小さな開口部44を有するフレーム42が重ね合わされていることにより、裏面基材20が天側となった状態で養生が行われた際に、硬化していない接着用硬化樹脂30中を表示モジュール10が裏面基材20側に移動しようとした場合でも、表示モジュール10の裏面基材20側の面の一部がフレーム42に当接し、それにより、表示モジュール10の裏面基材20側への移動がフレーム42によって規制されることになり、表示モジュール10の表示部13と表面基材50との間隔が広がってしまうことが回避されることになる。そして、それにより、表示部13に表示される情報の視認性が接着用硬化樹脂30によって低下してしまうことを回避できる。
【0063】
ところで、上述したように表示モジュール10の裏面基材20側への移動を規制するのであれば、モジュール本体11の電子部品12a〜12cが実装された面上に、電子部品12a〜12cの形状に応じた貫通孔を具備する緩衝材を搭載し、この緩衝材によって表示モジュール10の裏面基材20側への移動を規制することが考えられる。
【0064】
ところが、そのような構成とした場合は、緩衝材とモジュール本体11とが当接する面積が広くなるため、接着用硬化樹脂30を塗布した後に加圧した場合でも、緩衝材とモジュール本体11との間の全ての領域に接着用硬化樹脂30が入り込んでいくことは困難である。そのため、部材間の接着性にばらつきが生じたり、表面基材50の表面の平坦性が損なわれたりする虞れがある。
【0065】
それに対して、本形態のように、フレーム42を用いたものにおいては、表示モジュール10の裏面基材20側への移動を規制するものが、フレーム42という枠形状のものであるため、接着用硬化樹脂30を塗布した後に加圧した場合に、フレーム42と、モジュール本体11、フレーム41及び裏面基材20との間に接着用硬化樹脂30がそれぞれ入り込みやすく、さらには、接着用硬化樹脂30が硬化した後、情報表示媒体の製品のサイズに応じた形状に刃型を用いて断裁加工することになるため、フレーム42とフレーム41及び裏面基材20との間に、表示モジュール10側から一定の幅だけ接着用硬化樹脂30が入り込んでいればよい。そのため、部材間の接着性にばらつきが生じたり、表面基材50の表面の平坦性が損なわれたりする虞れがない。
【0066】
なお、本形態においては、フレーム41として、3枚の外枠部材41a〜41cが積層され、これら外枠部材41a〜41cが接着用硬化樹脂30によって接着されたものを例に挙げて説明したが、フレーム41を構成する外枠部材の数は3枚に限らない。ただ、複数枚の外枠部材からフレーム41を構成すれば、フレーム41の厚みを表示モジュール10に応じたものに容易に調整することができる。
【0067】
また、フレーム42においても、フレーム41と同様に複数枚の外枠部材が積層された構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 表示モジュール
11 モジュール本体
12a〜12c 電子部品
13 表示部
20 裏面基材
30 接着用硬化樹脂
41,42 フレーム
41a〜41c 外枠部材
43,44 開口部
50 表面基材
51 透明部
52 隠蔽部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7