特許第6290746号(P6290746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290746
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】ユニット開閉器及び開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/662 20060101AFI20180226BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20180226BHJP
   H02B 7/00 20060101ALI20180226BHJP
   H02B 13/045 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H01H33/662 R
   H02B1/20 C
   H02B7/00 Z
   H02B13/045 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-172330(P2014-172330)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-46235(P2016-46235A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 美稀
(72)【発明者】
【氏名】藪 雅人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−251964(JP,A)
【文献】 実開昭63−162485(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/60−33/68
H02B 1/00− 1/38
H02B 1/46− 7/08
H02B 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向して配置された可動電極及び固定電極を少なくとも備えた真空インタラプタが固体絶縁物でモールドされていると共に、前記固定電極側には第1及び第2の電気接続部を、前記可動電極側には第3の電気接続部を具備し、かつ、前記可動電極側には集電機構及び前記可動電極を開閉可能に駆動する絶縁操作ロッドを備え、
前記固定電極側の第1の電気接続部には、該第1の電気接続部に、軸方向の締め付け力を加える締め付け装置が設置されており、
前記第1の電気接続部は、固定側ブッシング導体とアレスタ導体の接触部及び該固定側ブッシング導体とアレスタ導体のそれぞれを覆う固体絶縁物同士の接触部を含み、かつ、前記締め付け装置は、軸方向の締め付け力を、少なくとも前記固定側ブッシング導体とアレスタ導体のそれぞれを覆う前記固体絶縁物同士の接触部に加えるものであり、
前記締め付け装置は、前記第1の電気接続部近傍の前記固定側ブッシング導体を覆う前記固体絶縁物の外周部に設置されたヒンジ部品と、該ヒンジ部品を介して回転するバクル部品とから成り、かつ、前記アレスタ導体を覆う前記固体絶縁物上には凹部が設けられ、この凹部内に、前記ヒンジ部品を介して回転した前記バクル部品が収まることにより、前記固定側ブッシング導体を覆う固体絶縁物とアレスタ導体を覆う固体絶縁物の接触部に、軸方向の締め付け力が加わるものであることを特徴とするユニット開閉器。
【請求項2】
請求項に記載のユニット開閉器において、
前記アレスタ導体を覆う前記固体絶縁物の接触面に凹部又は凸部が、前記固定側ブッシング導体を覆う前記固体絶縁物の接触面に凸部又は凹部がそれぞれ少なくとも1つ形成され、該凹凸部が嵌め合うことにより、前記アレスタ導体を覆う前記固体絶縁物と前記固定側ブッシング導体を覆う前記固体絶縁物が接続されることを特徴とするユニット開閉器。
【請求項3】
請求項に記載のユニット開閉器において、
前記アレスタ導体を覆う前記固体絶縁物の接触面と前記固定側ブッシング導体を覆う前記固体絶縁物の接触面にそれぞれ形成された少なくとも1つの前記凹凸部に、シール材が介在されていることを特徴とするユニット開閉器。
【請求項4】
請求項に記載のユニット開閉器において、
前記シール材は、前記アレスタ導体を覆う前記固体絶縁物の接触面の凹部又は凸部、或いは前記固定側ブッシング導体を覆う前記固体絶縁物の接触面の凹部又は凸部のいずれかに付着されていることを特徴とするユニット開閉器。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のユニット開閉器を3台平行に配置し、それぞれのユニット開閉器の前記固定電極側の1つの前記第1の電気接続部が回路間連結母線でそれぞれ電気的に接続されると共に、前記ユニット開閉器のそれぞれの下方に各ユニット開閉器の前記可動電極を独立に開閉する3台の電磁操作器を平行に配置し、かつ、3台の前記ユニット開閉器の第1のユニット開閉器の固定電極側の第2の電気接続部にはパンタグラフ回路が接続され、前記第1のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部にはAC回路又はDC回路が接続され、第2のユニット開閉器の固定電極側の第2の電気接続部にはアレスタ回路が接続され、前記第2のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部には、前記第1のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部に接続されたAC回路又はDC回路以外の回路が接続され、第3のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部にはアース回路が接続されていることを特徴とする開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユニット開閉器及び開閉装置に係り、特に、電力機器用或いは鉄道車両等に搭載される受配電用開閉機器に好適なユニット開閉器及び開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉装置の例について、特許文献1に記載されている固体絶縁スイッチギヤの構成を用いて説明する。
【0003】
特許文献1に記載されている従来の開閉装置は、真空バルブをシリコンゴムやエポキシ樹脂のような絶縁材料でモールドしたユニット開閉器、固体絶縁母線、固体絶縁操作機構ケースなどを組み合わせることによって、色々な構成の開閉装置を構成している。
【0004】
特に、ユニット開閉器の構成は、可動側と固定側にそれぞれ1つの電気接続部を具備し、それぞれの電気絶続部には中心部に電気を通電するための導体部や接触子を、その周辺部分には電気的な絶縁を確保するために円錐状の固体絶縁物を備えている。
【0005】
固体絶縁スイッチギヤのユニット開閉器は、可動側と固定側にそれぞれ1つの電気接続部を具備しているが、一方の電気接続部に2つの回路を接続する場合、電気接続部にT字形などの分岐用固体絶縁母線を接続し、その分岐用固体絶縁母線に2つの回路を接続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−251413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の固体絶縁スイッチギヤには、ユニット開閉器、可動側と固定側にそれぞれ1つの電気接続部を具備しているが、一方の電気接続部に2つの回路を接続する場合、電気接続部に一旦T字形の分岐用固体絶縁母線を接続し、その分岐用固体絶縁母線に2つの回路を接続する必要があり、部品点数の増加と開閉装置の大型化を招く恐れがある。
【0008】
特に、装置の小型化のためには、絶縁として必要な最小限の幅が要求されるため、固定側の電気接続部に面圧確保のための締め付け構造を備えるスペースが小さくなり、面圧不足による電気的性能の確保が難しくなる可能性がある。つまり、電気接続部に面圧不足による微小ギャップが形成され、電界分布が乱れ、部分放電が発生して絶縁劣化を起こす可能性がある。
【0009】
近年の開閉装置は、高電圧化や大容量化が要求され、非常に小さいギャップであっても容易に部分放電が発生する可能性がある。例えば、定格電圧6kVのものを12kVに電圧格上げを行うと、数100μm以下の微小ギャップにおいて部分放電が発生することがある。
【0010】
従って、開閉装置の小型化により、電気接続部の固体絶縁物同士の接触面が絶縁性能を満たす最小限のスペースであっても、偏荷重などによる接触面における微小ギャップの発生を防止し、面圧を確保することで部分放電特性を向上し得る開閉装置が望まれている。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、一方の電気接続部に2つの回路を接続する場合であっても、部品点数の増加と装置の大型化が防止できると共に、偏荷重に対する接触面の微小ギャップが防止でき、部分放電特性の向上を図ることができるユニット開閉器及び開閉装置。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のユニット開閉器は、上記目的を達成するために、相対向して配置された可動電極及び固定電極を少なくとも備えた真空インタラプタが固体絶縁物でモールドされていると共に、前記固定電極側には第1及び第2の電気接続部を、前記可動電極側には第3の電気接続部を具備し、かつ、前記可動電極側には集電機構及び前記可動電極を開閉可能に駆動する絶縁操作ロッドを備え、前記固定電極側の第1の電気接続部には、該第1の電気接続部に、軸方向の締め付け力を加える締め付け装置が設置されており、前記第1の電気接続部は、固定側ブッシング導体とアレスタ導体の接触部及び該固定側ブッシング導体とアレスタ導体のそれぞれを覆う固体絶縁物同士の接触部を含み、かつ、前記締め付け装置は、軸方向の締め付け力を、少なくとも前記固定側ブッシング導体とアレスタ導体のそれぞれを覆う前記固体絶縁物同士の接触部に加えるものであり、前記締め付け装置は、前記第1の電気接続部近傍の前記固定側ブッシング導体を覆う前記固体絶縁物の外周部に設置されたヒンジ部品と、該ヒンジ部品を介して回転するバクル部品とから成り、かつ、前記アレスタ導体を覆う前記固体絶縁物上には凹部が設けられ、この凹部内に、前記ヒンジ部品を介して回転した前記バクル部品が収まることにより、前記固定側ブッシング導体を覆う固体絶縁物とアレスタ導体を覆う固体絶縁物の接触部に、軸方向の締め付け力が加わるものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の開閉装置は、上記目的を達成するために、上記構成のユニット開閉器を3台平行に配置し、それぞれのユニット開閉器の前記固定電極側の1つの前記第1の電気接続部が回路間連結母線でそれぞれ電気的に接続されると共に、前記ユニット開閉器のそれぞれの下方に各ユニット開閉器の前記可動電極を独立に開閉する3台の電磁操作器を平行に配置し、かつ、3台の前記ユニット開閉器の第1のユニット開閉器の固定電極側の第2の電気接続部にはパンタグラフ回路が接続され、前記第1のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部にはAC回路又はDC回路が接続され、第2のユニット開閉器の固定電極側の第2の電気接続部にはアレスタが接続され、前記第2のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部には、前記第1のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部に接続されたAC回路又はDC回路以外の回路が接続され、第3のユニット開閉器の可動電極側の第3の電気接続部にはアース回路が接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一方の電気接続部に2つの回路を接続する場合であっても、部品点数の増加と装置の大型化が防止できると共に、偏荷重に対する接触面の微小ギャップが防止でき、部分放電特性の向上を図ることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のユニット開閉器の実施例1を示す縦断面図である。
図2図1のA部を拡大して示す斜視図である。
図3図2の断面図である。
図4】本発明のユニット開閉器の実施例1であり、固定側ブッシング導体とアレスタ導体及び固体絶縁物の接触面とアレスタ固体絶縁物の接触面が接続される前の接触面の状態を示す半断面斜視図である。
図5図4の状態から固定側ブッシング導体とアレスタ導体及び固体絶縁物の接触面とアレスタ固体絶縁物の接触面が接続された後の接触面の状態を示す半断面斜視図である。
図6】本発明の実施例3である開閉装置を示す縦断面図である。
図7】本発明の実施例3である開閉装置の1つのユニット開閉器を示す縦断面図である。
図8】本発明の実施例3である開閉装置の電気接続部を締め付ける前の状態を示す斜視図である。
図9】本発明の実施例3である開閉装置の電気接続部を締め付けた後の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図示した実施例に基づいて本発明のユニット開閉器及び開閉装置を説明する。なお、各実施例において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0017】
図1乃至図3に、本発明のユニット開閉器の実施例1を示す。
【0018】
図1に示すように、本実施例のユニット開閉器1は、相対向して配置された固定電極2a及び可動電極3a、固定電極2aに接続されている固定導体2及び可動電極3aに接続されている可動導体3、セラミック絶縁筒4から構成される真空インタラプタ5と、可動導体3に接続される中心導体である可動側ブッシング導体6、固定導体2に接続される中心導体である固定側ブッシング導体7とがエポキシ樹脂などの固体絶縁物8でモールドされ、更に、真空インタラプタ5の可動側には、ばねコンタクト9などの集電機構と、真空インタラプタ5の可動導体3を固定導体2に対して接離(開閉)自在に駆動する気中絶縁操作ロッド10とを備えている。
【0019】
また、気中絶縁操作ロッド10の周囲の空間は、固体絶縁物8とゴムベローズ11などの可撓性部材によって封止され、内部には乾燥空気などの絶縁ガスが封入されている。なお、ゴムベローズ11の代りに直線シールを適用したり、透湿性を備えた膜で封止しても良いし、或いは気中絶縁操作ロッド10の沿面距離を十分に大きく確保することによって、その周囲の空間は封止せずに大気状態としてもよい。
【0020】
また、本実施例のユニット開閉器1は、真空インタラプタ5の固定導体2側に2つの第1の電気接続部12及び第2の電気接続部13、可動導体3側に1つの第3の電気接続部14を具備している。固定導体2側の第2の電気接続部13及び可動導体3側の第3の電気接続部14は、コーン形のブッシングであり、固定導体2側の第1の電気接続部12は、凹形状になっている。即ち、固定導体2側の第1の電気接続部12は、アレスタ固体絶縁物23で覆われたアレスタ導体22の端部が同軸円錐凸状に形成されると共に、固定側ブッシング導体7の一方端が同軸円錐凹状に形成された接続部であり、この両者の接続部の凹凸部が嵌合することで、アレスタ導体22と固定側ブッシング導体7が電気的に接続されている。しかも、固定側ブッシング導体7の同軸円錐凹状に形成された中央底部には貫通穴(図示せず)が設けられ、この貫通穴を貫通させたボルト15によって固定導体2が固定側ブッシング導体7と電気的に締結され、固定側ブッシング導体7の同軸円筒凹状の内面が電接面(ボルト15による締結で固定導体2と電気的に接続)となっている。
【0021】
そして、本実施例のユニット開閉器1は、固定電極2a側の第1の電気接続部12には、この第1の電気接続部12に、軸方向の締め付け力を加える締め付け装置24が設置されている。
【0022】
図2及び図3を用いて、上述した締め付け装置24を具体的に説明する。図2及び図3は、固定導体2側の第1の電気接続部12を拡大して示すものである。
【0023】
該図に示す如く、本実施例で採用されている締め付け装置24は、第1の電気接続部12近傍の固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8の外周部の全周に4ヶ所設置されたヒンジ部品24aと、このヒンジ部品24aを介して回転する4つのバクル部品24bとから構成され、一方、アレスタ導体22を覆うアレスタ固体絶縁物23上には凹部(溝)23aが設けられており、この凹部23a内に、ヒンジ部品24aを介して回転したバクル部品24bが収まることにより、固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8とアレスタ導体2を覆うアレスタ固体絶縁物23の接触部に、軸方向の締め付け力が加わるものである。
【0024】
更に詳述すると、本実施例の締め付け装置24は、絶縁性能を確保するために必要な固定側ブッシング導体7とアレスタ導体22が接触している部分の固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8の径方向の最小厚さtにより形成される接続部のスペースの中で、固定導体2の軸方向に一定の軸力(締め付け力)が、第1の電気接続部12の全周(全面)に加わるように締め付けるもので、これにより、第1の電気接続部12の固体絶縁物8とアレスタ固体絶縁物23の接続部の全周に締め付け力が加わり、両者を強固に接続することができる。
【0025】
更に、本実施例では、図3に示す如く、アレスタ導体22を覆うアレスタ固体絶縁物23の接触面12にV字状の凹部又は凸部が、固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8の接触面12にV字状の凸部又は凹部が1つ形成され、この凹部と凸部が弾性体から成るシリコンゴム等のシール材25を接触部全周(全面)に介在して嵌め合うことにより、固定側ブッシング導体7とアレスタ導体22及びアレスタ導体22を覆うアレスタ固体絶縁物23と固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8が接続されている。
【0026】
なお、シール材25は、上述した如く、接触部の全周(全面)に設けても良いし、凹部と凸部の嵌合部のみに設けてもよい。そのシール材は、単体で設けてもよいし、固体絶縁物と一体化されていてもよい。また、接触面12a、12bの形状は、V字状以外に、角形、丸形或いは波形のような平面以外であっても構わない。
【0027】
このような本実施例の構成とすることにより、第1及び第2の電気接続部12及び13に2つの回路を接続する場合であっても、部品点数の増加と装置の大型化が防止できると共に、固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8側の接触面12とアレスタ導体22を覆うアレスタ固体絶縁物23側の接触面12に、両者が嵌め合えるように1つの凹部と凸部を形成することで、偏荷重に対する接触面12aと12bの微小ギャップが防止でき、部分放電特性の向上効果が得られる。
【0028】
しかも、凹部と凸部に弾性体のシール材25を介在することにより、接触面12aと12bの間で弾性体のシール材25が弾性変形し、接触面12aと12bの微小ギャップを防止しながら、固体絶縁物8の接触面12とアレスタ固体絶縁物23の接触面12を嵌め合い両者を接続することができる効果がある。
【実施例2】
【0029】
図4及び図5に、本発明のユニット開閉器の実施例2を示す。図4は、固定側ブッシング導体7とアレスタ導体22及び固体絶縁物8の接触面12とアレスタ固体絶縁物23の接触面12が接続される前の接触面の状態を示し、図5は、固定側ブッシング導体7とアレスタ導体22及び固体絶縁物8の接触面12とアレスタ固体絶縁物23の接触面12が接続された後を示す。
【0030】
該図に示す本実施例では、アレスタ導体22を覆うアレスタ固体絶縁物23の接触面12にV字状の凹部又は凸部が、固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8の接触面12にV字状の凸部又は凹部が複数個(本実施例では3つ)形成され、この3つの凹部と凸部が弾性体から成るシリコンゴム等のシール材25を介在して嵌め合うことで、固定側ブッシング導体7とアレスタ導体22及びアレスタ導体22を覆うアレスタ固体絶縁物23と固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8が接続されている。
【0031】
また、弾性体のシール材25は、上述した実施例1と同様な配置構成が取れることは勿論、固定側ブッシング導体7を覆う固体絶縁物8の接触面12に付着形成されても良いし、アレスタ導体22を覆うアレスタ固体絶縁物23の接触面12に付着形成されても良い。
【0032】
このような本実施例の構成としても、その効果は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0033】
図6乃至図9に、本発明の実施例3である開閉装置を示す。
【0034】
該図に示すように、本実施例の開閉装置は、実施例1で説明した構成のユニット開閉器1を3台(1A、1B、1C)平行に配置し、それぞれの第1、第2及び第3のユニット開閉器1A、1B及び1Cの固定導体2側の第1の電気接続部12が、回路間連結母線固体絶縁物27で覆われた回路間連結母線26でそれぞれ電気的に接続されると共に、第1、第2及び第3のユニット開閉器1A、1B及び1Cのそれぞれ下方に各ユニット開閉器1A、1B、1Cの可動導体3を独立に開閉する3台の電磁操作器(図示せず)を平行に配置し、かつ、第1のユニット開閉器1Aの固定導体2側の第2の電気接続部13には、ケーブルヘッド17A及びケーブル17を介してパンタグラフ回路21が接続され、第1のユニット開閉器1Aの可動導体3側の第3の電気接続部14には、ケーブルヘッド16A及びケーブル16を介してAC回路(例えば変圧器)19又はDC回路(例えば変換器)20が接続され、第2のユニット開閉器1Bの固定導体2側の第2の電気接続部13にはアレスタ回路が接続され、第2のユニット開閉器1Bの可動導体3側の第3の電気接続部14には、第1のユニット開閉器1Aの可動電極3a側の第3の電気接続部14に接続されたAC回路19又はDC回路20以外の回路が接続され、第3のユニット開閉器1Cの可動導体3側の第3の電気接続部14にはアース回路が接続されている。
【0035】
即ち、図6に示すように、実施例1で説明した構成の第1、第2及び第3のユニット開閉器1A、1B及び1Cを紙面左右方向に3回路分配置し、それぞれの第1の電気接続部12が回路間連結母線26で接続されている。そして、本実施例では、紙面右側の第3のユニット開閉器1Cの可動導体3側にはアース回路が接続され、紙面中間の第2のユニット開閉器1Bの可動導体3側にはDC回路20が、固定導体2側にはアレスタ回路が接続され、紙面左側の第1のユニット開閉器1Aの可動導体3側にはAC回路19が、固定導体2側にはパンタグラフ回路21が接続されている。
【0036】
このような本実施例の構成とすることにより、第1及び第2の電気接続部12及び13に2つの回路を接続する場合、従来は、電気接続部に一旦T字形の分岐用固体絶縁母線を接続し、その分岐用固体絶縁母線に2つの回路を接続する必要があったが、本実施例では、T字形の分岐用固体絶縁母線を接続する必要がなくなり、従って、第1及び第2の電気接続部12及び13に2つの回路を接続する場合であっても、部品点数が増加することはなくなり、装置の大型化を招くことを防止できる。
【0037】
また、図8及び図9に示すように、第1の電気接続部12に締め付け装置24を備えることにより、開閉装置の小型化による電気接続部の固体絶縁物同士の接触面が、絶縁性能を満たす最小限のスペースであっても、偏荷重などによる接触面における微小ギャップの発生を防止し、面圧を確保することで部分放電特性を向上し得る開閉装置を提供することができる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、さまざまな変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施例の構成の一部について、構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…ユニット開閉器、1A…第1のユニット開閉器、1B…第2のユニット開閉器、1C…第3のユニット開閉器、2…固定導体、2a…固定電極、3…可動導体、3a…可動電極、4…セラミック絶縁筒、5…真空インタラプタ、6…可動側ブッシング導体、7…固定側ブッシング導体、8…固体絶縁物、9…ばねコンタクト、10…気中絶縁操作ロッド、11…ゴムベローズ、12…第1の電気接続部、12a…アレスタ固体絶縁物の接触面、12b…固体絶縁物の接触面、13…第2の電気接続部、14…第3の電気接続部、15…ボルト、16、17…ケーブル、16A、17A…ケーブルヘッド、19…AC回路、20…DC回路、21…パンタグラフ回路、22…アレスタ導体、23…アレスタ固体絶縁物、23a…凹部、24…締め付け装置、24a…ヒンジ部品、24b…バクル部品、25…シール材、26…回路間連絡母線、27…回路間連絡母線固体絶縁物。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9