特許第6290771号(P6290771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290771
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20180226BHJP
   G01M 15/02 20060101ALN20180226BHJP
【FI】
   G08C19/00 J
   !G01M15/02
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-231750(P2014-231750)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-95702(P2016-95702A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 義規
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 克則
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 浩
(72)【発明者】
【氏名】馬 文静
(72)【発明者】
【氏名】久田 薫
(72)【発明者】
【氏名】中西 敏郎
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−053751(JP,U)
【文献】 実開平05−081636(JP,U)
【文献】 実開昭58−132820(JP,U)
【文献】 特開平09−257655(JP,A)
【文献】 特表2002−516981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 19/00
G01M 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと1対1の関係で接続され、前記センサから出力されるセンサ出力を取得し外部に出力する回路を少なくとも内蔵した複数の計測モジュールと、前記計測モジュールの其々から出力されたデータを収集する本体部とを備える計測装置であって、
前記本体部は、
当該計測装置の使用者によって持ち運びが可能であり、内部に複数の前記計測モジュールを着脱可能に収容する筐体と、
前記筐体に収容された前記計測モジュールから出力されたデータを収集するデータ収集手段と、
収集した前記データを予め設定された出力先装置へ出力する出力手段および前記データを記憶する記憶部の少なくとも一方とを備える
ことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記筐体の内部に設置され、前記計測モジュールと着脱可能に接続される複数の接続コネクタを備え、
複数の前記接続コネクタは、互いに同一の形状を有し、予め設定された配列方向に沿って配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
複数の前記接続コネクタは、
複数の前記計測モジュールのうち前記配列方向に沿った長さが最小となる前記計測モジュールを最小計測モジュールとし、前記最小計測モジュールにおける前記配列方向に沿った長さと一致するように予め設定された最小配列方向長の間隔で、前記配列方向に沿って配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
複数の前記接続コネクタのうち、前記計測モジュールと接続されている前記接続コネクタを検出する接続検出手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項5】
複数の前記計測モジュールの少なくとも一つは、
前記センサとして、内燃機関の排気管に直接挿入されることによって前記排気管内の排気ガスの状態を検出する直挿型センサを用いる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記センサと前記計測モジュールとは、着脱可能に接続される
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項7】
前記本体部と前記計測モジュールは、互いにデータの送受信可能である
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項8】
当該計測装置の現在位置を特定するための情報を取得する位置情報取得手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の計測装置。
【請求項9】
前記計測モジュールは、予め設定された測定機能を有し、前記測定機能に適合した物理量を検出する前記センサが接続される
ことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサからのデータを収集する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が実際に道路を走行している状態において内燃機関から排出される排気ガス中に含まれるNOx濃度を計測するために、車両にNOxセンサとデータ収集装置とを搭載した計測装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−88711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気ガス中のNOx濃度に加え複数のガス成分を計測する計測装置として、複数のセンサからのデータを一括して収集して処理する機能が予め組み込まれた計測装置では、複数のセンサのうち1つのセンサからのデータ収集で不具合が発生した場合に、計測装置全体を取り換えて修理する必要があり、計測装置の使用者にとって使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、計測装置の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明は、センサと1対1の関係で接続され、センサから出力されるセンサ出力を取得し外部に出力する回路を少なくとも内蔵した複数の計測モジュールと、計測モジュールの其々から出力されたデータを収集する本体部とを備える計測装置である。
【0007】
そして本体部は、筐体と、データ収集手段とを備える。筐体は、当該計測装置の使用者によって持ち運びが可能であり、内部に複数の計測モジュールを着脱可能に収容する。データ収集手段は、筐体に収容された計測モジュールから出力されたデータを収集する。
【0008】
さらに、本体部は、出力手段および記憶部の少なくとも一方を備える。出力手段は、収集したデータを、予め設定された出力先装置へ出力する。記憶部は、収集したデータを記憶する。
【0009】
このように構成された本発明の計測装置は、筐体内に計測モジュールが装着されることによって、計測モジュールからデータを収集する。そして、本発明の計測装置は、収集したデータを予め設定された出力先装置へ出力することと、収集したデータを記憶することとの少なくとも一方を実行する。これにより、本発明の計測装置は、計測モジュールからのデータを、出力先装置において利用したり、記憶部から取得して利用したりすることを可能とする。
【0010】
そして本発明の計測装置は、複数の計測モジュールを着脱可能に筐体内に収容することができる。このため、本発明の計測装置は、使用者が所望する計測機能を有する計測モジュールを筐体内に装着することにより、使用者が所望するデータを収集することができ、計測装置の利便性を向上させることができる。
【0011】
また本発明の計測装置は、筐体内に装着されている計測モジュールで不具合が発生した場合に、不具合が発生した計測モジュールを筐体内から取り外すことができる。このため、本発明の計測装置は、計測モジュールに不具合が発生した場合に、計測装置全体を取り換えることなく不具合を解消することができ、計測装置の利便性を向上させることができる。
【0012】
さらに本発明の計測装置は、計測モジュールを収容する筐体が持ち運び可能であるため、計測装置の設置場所の自由度を向上させることができる。
また本発明の計測装置では、筐体の内部に設置され、計測モジュールと着脱可能に接続される複数の接続コネクタを備え、複数の接続コネクタは、互いに同一の形状を有し、予め設定された配列方向に沿って配置されるようにしてもよい。これにより、本発明の計測装置は、同一の計測機能を有する複数の計測モジュールを計測装置の本体部に装着することが可能となる。さらに、複数の計測モジュールに取り付けられる接続コネクタを互いに同一の形状とすることにより、計測モジュールは、筐体の内部に設置された複数の接続コネクタの何れにも装着することが可能となる。これにより、本発明の計測装置は、筐体内における計測モジュールの設置位置の自由度を向上させることができる。
【0013】
また本発明の計測装置では、複数の接続コネクタが、最小計測モジュールにおける配列方向に沿った長さと一致するように予め設定された最小配列方向長の間隔で、配列方向に沿って配置されるようにしてもよい。なお最小計測モジュールとは、複数の計測モジュールのうち配列方向に沿った長さが最小となる計測モジュールである。これにより、本発明の計測装置は、上記の配列方向に沿って上記の最小配列方向長の整数倍の間隔で複数の計測モジュールを本体部に装着することが可能となる。このため、本発明の計測装置は、計測モジュールにおける上記の配列方向に沿った長さを、筐体がその内部に計測モジュールを収容することができる能力に応じて任意に設定することが可能となる。
【0014】
また本発明の計測装置では、複数の接続コネクタのうち、計測モジュールと接続されている接続コネクタを検出する接続検出手段を備えてもよい。これにより、本発明の計測装置は、筐体内に収容されている計測モジュールの筐体内での位置を特定することが可能となる。
【0015】
また本発明の計測装置では、複数の計測モジュールの少なくとも一つが、センサとして、内燃機関の排気管に直接挿入されることによって排気管内の排気ガスの状態を検出する直挿型センサを用いるようにしてもよい。これにより、本発明の計測装置は、計測モジュールの内部に排気ガスを導入することなく、排気ガスの状態を検出することができる。
【0016】
また本発明の計測装置では、センサと計測モジュールとが、着脱可能に接続されるようにしてもよい。これにより、本発明の計測装置は、センサに不具合が発生した場合に、センサと計測モジュールのうちセンサのみを取り換えることにより不具合を解消することができ、計測装置の利便性を向上させることができる。
【0017】
また本発明の計測装置では、本体部と計測モジュールが、互いにデータの送受信可能であるようにしてもよい。これにより、本発明の計測装置は、計測モジュールからデータを収集するだけではなく、計測モジュールへ情報を提供することが可能となる。
【0018】
また本発明の計測装置では、位置情報取得手段が、当該計測装置の現在位置を特定するための情報を取得するようにしてもよい。これにより、本発明の計測装置は、当該計測装置の現在位置と、計測モジュールの計測結果とを関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】計測装置1の斜視図である。
図2】モジュール3とセンサ6の斜視図である。
図3】メインユニット2の斜視図である。
図4】メインユニット2とモジュール3の構成を示すブロック図である。
図5】モジュール接続コネクタ61〜66とユニット接続コネクタ24の構成を示す図である。
図6】スロット識別処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
本発明が適用された実施形態の計測装置1は、図1に示すように、1台のメインユニット2と、4台のモジュール3a,3b,3c,3dとを備える。以下、モジュール3a,3b,3c,3dを代表した1台のモジュールをモジュール3という。
【0021】
メインユニット2は、筐体11と、取手12とを備える。
筐体11は、直方体(本実施形態では、例えば高さ30cm×幅40cm×奥行30cm)の箱形状に形成されており、その内部に、メインユニット2の構成要素とモジュール3を収容する。
【0022】
筐体11の直方体を構成する6面のうちの正面に、矩形状の開口部11aが形成されており、この開口部11aからモジュール3を挿入することにより、モジュール3が筐体11の内部に収納される。
【0023】
取手12は、筐体11の直方体を構成する6面のうちの上面に取り付けられている。メインユニット2の使用者は、取手12を把持することにより、メインユニット2を持ち運ぶことができる。
【0024】
モジュール3aは、その内部にディーゼルエンジンの排気ガスの一部を導入し、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる粒子状物質(Particulate Matter)の量を計測する装置である。モジュール3bは、NOxセンサを用いて、排気ガス中に含まれる窒素酸化物の濃度を計測する装置である。モジュール3cは、アンモニアセンサを用いて、排気ガス中に含まれるアンモニアの濃度を計測する装置である。モジュール3dは、空燃比センサを用いて、排気ガスの空燃比を計測する装置である。
【0025】
モジュール3は、ケース21、取付板22、案内レール23、ユニット接続コネクタ24およびセンサ接続コネクタ25を備える。
ケース21は、直方体の箱形状に形成されており、その内部に、モジュール3の構成要素を収容する。
【0026】
ケース21の高さHcと奥行Dcは、モジュール3a,3b,3c,3dが水平方向に沿って整列して筐体11の内部に収納されるように、モジュール3a,3b,3c,3dで同一の寸法となるように予め設定されている。
【0027】
ケース21の幅Wcは、モジュール3の幅の最小単位となるスロット幅Wsのほぼ整数倍となるように設定されている。なお、モジュール3aの幅Wcは、スロット幅の約3倍である。また、モジュール3b,3c,3dの幅Wcは、スロット幅の約1倍である。
【0028】
取付板22は、矩形状の開口部11aの高さとほぼ同じ高さを有するとともに、ケース21の幅Wcとほぼ同じ幅を有する矩形状に形成された板状の部材である。
取付板22は、ケース21の直方体を構成する6面のうちの正面に取り付けられる。なお取付板22は、取付板22の矩形を構成する4辺のうちの上辺が、ケース21の正面の矩形を構成する4辺のうちの上辺よりも上方に位置するように配置される。さらに取付板22は、取付板22の矩形を構成する4辺のうちの下辺が、ケース21の正面の矩形を構成する4辺のうちの下辺よりも下方に位置するように配置される。
【0029】
そして、取付板22においてケース21と接触していない部分には、モジュール3をメインユニット2の内部に収納した状態で固定するためのネジを挿入するための貫通孔22aが形成される。
【0030】
案内レール23は、ケース21の直方体を構成する6面のうちの上面と下面に取り付けられる(図1では、下面に取り付けられた案内レール23を不図示)。案内レール23は、ケース21の直方体を構成する正面から背面に向かう方向に沿って、上面と下面から突出するように設けられている。
【0031】
ユニット接続コネクタ24は、モジュール3をメインユニット2に接続するためのコネクタであり、ケース21の背面に取り付けられている。ユニット接続コネクタ24は、モジュール3a,3b,3c,3dで互いに同一の形状を有している。
【0032】
センサ接続コネクタ25は、センサをモジュール3に接続するためのコネクタであり、取付板22の正面に取り付けられている。
図2に示すように、センサ6は、センサ素子31と、コネクタ32と、信号ケーブル33とを備える。センサ素子31は、接続されるモジュール3の機能に対応した物理量を検出する。コネクタ32は、センサ6が接続されるモジュール3のセンサ接続コネクタ25と着脱可能に嵌め合う構造を有している。信号ケーブル33は、センサ素子31とコネクタ32とを電気的に接続する信号線である。
【0033】
このため、センサ6のコネクタ32とモジュール3のセンサ接続コネクタ25とを嵌め合わせることにより、センサ6からの検出信号がモジュール3へ入力可能となる。
モジュール3b,3c,3dに接続されるセンサ6はそれぞれ、NOxセンサ、アンモニアセンサ、空燃比センサである。なお、NOxセンサ、アンモニアセンサおよび空燃比センサは、内燃機関の排気管に直接挿入される直挿型センサである。
【0034】
またメインユニット2は、図3に示すように、スロット案内溝群41、モジュール接続コネクタ群42およびスイッチパネル43を備える。
スロット案内溝群41は、予め設定された6個のスロットにそれぞれ案内するスロット案内溝51,52,53,54,55,56を備える。
【0035】
スロット案内溝51〜56は、モジュール3のケース21における上面と下面に設けられた案内レール23と嵌め合うことが可能な凹部であり、筐体11の直方体を構成する正面から背面に向かう方向に沿って延びるように設置される。
【0036】
またスロット案内溝51〜56は、矩形状の開口部11aの矩形を構成する上辺の付近と下辺の付近に設置されている(図3では、上辺の付近に設置されたスロット案内溝51〜56を不図示)。
【0037】
そしてスロット案内溝51〜56は、矩形状の開口部11aの矩形を構成する上辺および下辺と平行になるように予め設定されたスロット配列方向Dsに沿ってスロット幅Ws毎に設置される。
【0038】
このため、以下に示す手順で、スロット案内溝51に対応するスロットにモジュール3を収容することができる。まず、筐体11の外部から開口部11a内にモジュール3を挿入するときに、モジュール3のケース21における上面および下面に設けられた案内レール23をそれぞれ、開口部11aの上辺および下辺の付近に設けられたスロット案内溝51に嵌める。そして、案内レール23とスロット案内溝51とが嵌め合った状態で、スロット案内溝51が延びている方向に沿ってモジュール3を筐体11の内部へ移動させる。これにより、モジュール3が筐体11内に収容される。
【0039】
なお、上述の手順で、スロット案内溝52,53,54,55,56に対応するスロットにモジュール3を収容することができる。以下、スロット案内溝51,52,53,54,55,56に対応するスロットをそれぞれ、第1,2,3,4,5,6スロットという。
【0040】
モジュール接続コネクタ群42は、モジュール接続コネクタ61,62,63,64,65,66を備える。モジュール接続コネクタ61,62,63,64,65,66はそれぞれ、第1,2,3,4,5,6スロットに収容されたモジュール3をメインユニット2に接続するためのコネクタである。
【0041】
モジュール接続コネクタ61〜66はそれぞれ、第1〜6スロットにモジュール3が収容されている状態において、モジュール3の背面に設置されているユニット接続コネクタ24と嵌め合うことができる位置に設置される。
【0042】
スイッチパネル43は、メインユニット2の動作を指示するための複数のスイッチと、メインユニット2の動作状況を示す複数のLED(Light Emitting Diode)ランプとを備え、筐体11の直方体を構成する6面のうちの正面に設置される。
【0043】
またメインユニット2は、図4に示すように、電力供給部71、データ入出力部72、CAN(Controller Area Network)インターフェース回路(以下、CANI/F回路という)73、内部メモリ74、操作制御回路75およびメインCPU(Central Processing Unit)76を備える。
【0044】
電力供給部71は、電源コネクタ81、ヒューズ82、電源回路83およびレギュレータ84を備える。
電源コネクタ81は、バッテリVBからバッテリ電圧を入力するために、バッテリVBと接続されるコネクタである。
【0045】
ヒューズ82は、電源コネクタ81と、モジュール接続コネクタ61〜66のVB端子121(図5を参照)との間の電源供給経路に設けられ、この電源供給経路に過大な電流が流れると溶断する。
【0046】
電源回路83は、ヒューズ82を介してバッテリVBからバッテリ電圧を入力し、このバッテリ電圧から、12Vの電圧を生成する。そして電源回路83は、生成した12V電圧を、モジュール接続コネクタ61〜66の12V端子122(図5を参照)から出力する。
【0047】
レギュレータ84は、電源回路83から12V電圧を入力し、5Vの電圧を生成する。そしてレギュレータ84は、生成した5V電圧を、データ入出力部72、CANI/F回路73、内部メモリ74、操作制御回路75、メインCPU76およびスイッチパネル43へ出力する。
【0048】
データ入出力部72は、USB(Universal Serial Bus)メモリモジュール91、CANI/F回路92、USBインターフェースモジュール93、OBD(On Board Diagnosis)2インターフェースモジュール94、GPS(Global Positioning System)インターフェースモジュール95、Bluetooth(登録商標)インターフェースモジュール96を備える。以下、USBインターフェースモジュール93、OBD2インターフェースモジュール94、GPSインターフェースモジュール95およびBluetoothインターフェースモジュール96をそれぞれ、USBI/Fモジュール93、OBD2I/Fモジュール94、GPSI/Fモジュール95およびBTI/Fモジュール96という。
【0049】
またデータ入出力部72は、USBメモリ用コネクタ101、CAN通信用コネクタ102、USB用コネクタ103、OBD2用コネクタ104、GPS用コネクタ105を備える。
【0050】
USBメモリモジュール91は、USB規格に準拠した方式で、USBメモリ用コネクタ101を介して接続されたUSBメモリとの間でデータの送受信を行う。
CANI/F回路92は、CAN通信プロトコルに従って、CAN通信用コネクタ102を介して接続された装置(例えば、パーソナルコンピュータ8)との間でデータの送受信を行う。
【0051】
USBI/Fモジュール93は、USB規格に準拠した方式で、USB用コネクタ103を介して接続された装置との間でデータの送受信を行う。
OBD2I/Fモジュール94は、OBD2規格に準拠した方式で、OBD2用コネクタ104を介して接続された装置(例えば、車載ECU(Electronic Control Unit)9)との間でデータの送受信を行う。
【0052】
GPSI/Fモジュール95は、GPS衛星からの衛星信号を受信するGPS受信機(不図示)をGPS用コネクタ105を介してメインユニット2に接続するためのインターフェースである。
【0053】
BTI/Fモジュール96は、Bluetooth規格に準拠した方式で近距離無線通信を行う。
CANI/F回路73は、CAN通信プロトコルに従って、モジュール接続コネクタ61〜66のCAN_H端子124とCAN_L端子125(図5を参照)に接続されたモジュール3との間でデータの送受信を行う。
【0054】
内部メモリ74は、各種データを記憶するための記憶装置である。
操作制御回路75は、使用者がスイッチパネル43のスイッチを介して行った入力操作を特定するための入力操作情報をメインCPU76へ出力する。また操作制御回路75は、メインCPU76からの指示に基づいて、スイッチパネル43のLEDランプの動作を制御する。
【0055】
メインCPU76は、データ入出力部72、CANI/F回路73、内部メモリ74および操作制御回路75からの入力に基づいて各種処理を実行し、データ入出力部72、CANI/F回路73、内部メモリ74および操作制御回路75を制御する。
【0056】
例えばメインCPU76は、CANI/F回路73を介してモジュール3から受信した計測データを、内部メモリ74に記憶する。
またメインCPU76は、モジュール3から受信した計測データを、USBメモリモジュール91に接続されたUSBメモリに記憶する。
【0057】
またメインCPU76は、モジュール3から受信した計測データを、CANI/F回路92またはUSBI/Fモジュール93に接続されたパーソナルコンピュータ8へ出力する。
【0058】
またメインCPU76は、OBD2I/Fモジュール94に接続された車載ECU9から入力したデータを内部メモリ74に記憶する。
またメインCPU76は、GPS用コネクタ105に接続されたGPS受信機から入力した衛星信号に基づいて、メインユニット2の現在位置を算出し、この算出結果を内部メモリ74に記憶する。
【0059】
またメインCPU76は、モジュール3から受信した計測データを、BTI/Fモジュール96を用いて近距離無線で送信する。
またメインCPU76は、CANI/F回路92またはUSBI/Fモジュール93に接続されたパーソナルコンピュータ8から、モジュール3が計測を行う際の計測条件を示す計測設定情報を受信すると、この計測設定情報を、CANI/F回路73を介してモジュール3へ送信する。これにより、計測設定情報を受信したモジュール3では、計測設定情報が示す計測条件で計測を行うように計測条件が変更される。
【0060】
次にモジュール3は、CANI/F回路111とモジュールCPU112を備える。
CANI/F回路111は、CAN通信プロトコルに従って、メインユニット2との間でデータの送受信を行う。
【0061】
モジュールCPU112は、センサ6とCANI/F回路111からの入力に基づいて各種処理を実行し、センサ6とCANI/F回路111を制御する。
図5に示すように、メインユニット2のモジュール接続コネクタ61〜66はそれぞれ、VB端子121、12V端子122、GND端子123、CAN_H端子124、CAN_L端子125およびスロット識別端子126,127を含む複数の端子を備えている。また、モジュール3のユニット接続コネクタ24は、モジュール接続コネクタ61〜66の複数の端子のそれぞれに対応する端子を備えている。
【0062】
VB端子121は、バッテリVBからのバッテリ電圧をモジュール3へ供給するための端子である。12V端子122は、電源回路83からの12V電圧をモジュール3へ供給するための端子である。GND端子123は、モジュール3を接地するための端子である。CAN_H端子124とCAN_L端子125は、メインユニット2とモジュール3との間でCAN通信を行うための端子である。
【0063】
スロット識別端子126,127は、モジュール3が接続されているスロットを識別するための端子である。スロット識別端子126およびスロット識別端子127にはそれぞれ、スロット識別用抵抗130の一端および他端が接続される。
【0064】
モジュール接続コネクタ61〜66には、互いに異なる抵抗値を有するスロット識別用抵抗130が接続される。本実施形態では、モジュール接続コネクタ61,62,63,64,65,66にはそれぞれ、1kΩ、5kΩ、10kΩ、15kΩ、20kΩ、25kΩのスロット識別用抵抗130が接続される。
【0065】
次に、モジュール3のモジュールCPU112が実行するスロット識別処理の手順を説明する。
スロット識別処理は、モジュール3のVB端子121または12V端子122から電圧が供給されることによりモジュールCPU112が起動した後に開始される。
【0066】
スロット識別処理が開始されると、モジュールCPU112は、図6に示すように、まずS10にて、ユニット接続コネクタ24においてスロット識別端子126,127に対応する端子間に、予め設定された識別電流値の電流を流し、両端子間の電圧を測定することにより、スロット識別用抵抗130の抵抗値を算出する。
【0067】
そしてS20にて、S10で算出した抵抗値が予め設定された第1スロット抵抗値(本実施形態では1kΩ)と一致しているか否かを判断する。ここで、第1スロット抵抗値と一致している場合には(S20:YES)、S30にて、第1スロットに接続されていることを示すスロット接続情報をCAN通信でメインユニット2へ送信し、スロット識別処理を終了する。
【0068】
一方、第1スロット抵抗値と一致していない場合には(S20:NO)、S40にて、S10で算出した抵抗値が予め設定された第2スロット抵抗値(本実施形態では5kΩ)と一致しているか否かを判断する。ここで、第2スロット抵抗値と一致している場合には(S40:YES)、S50にて、第2スロットに接続されていることを示すスロット接続情報をCAN通信でメインユニット2へ送信し、スロット識別処理を終了する。
【0069】
一方、第2スロット抵抗値と一致していない場合には(S40:NO)、S60にて、S10で算出した抵抗値が予め設定された第3スロット抵抗値(本実施形態では10kΩ)と一致しているか否かを判断する。ここで、第3スロット抵抗値と一致している場合には(S60:YES)、S70にて、第3スロットに接続されていることを示すスロット接続情報をCAN通信でメインユニット2へ送信し、スロット識別処理を終了する。
【0070】
一方、第3スロット抵抗値と一致していない場合には(S60:NO)、S80にて、S10で算出した抵抗値が予め設定された第4スロット抵抗値(本実施形態では15kΩ)と一致しているか否かを判断する。ここで、第4スロット抵抗値と一致している場合には(S80:YES)、S90にて、第4スロットに接続されていることを示すスロット接続情報をCAN通信でメインユニット2へ送信し、スロット識別処理を終了する。
【0071】
一方、第4スロット抵抗値と一致していない場合には(S80:NO)、S100にて、S10で算出した抵抗値が予め設定された第5スロット抵抗値(本実施形態では20kΩ)と一致しているか否かを判断する。ここで、第5スロット抵抗値と一致している場合には(S100:YES)、S110にて、第5スロットに接続されていることを示すスロット接続情報をCAN通信でメインユニット2へ送信し、スロット識別処理を終了する。
【0072】
一方、第5スロット抵抗値と一致していない場合には(S100:NO)、S120にて、第6スロットに接続されていることを示すスロット接続情報をCAN通信でメインユニット2へ送信し、スロット識別処理を終了する。
【0073】
このように構成された計測装置1は、モジュール3a,3b,3c,3dと、モジュール3a,3b,3c,3dから出力された計測データを収集するメインユニット2とを備える。
【0074】
そして、メインユニット2の筐体11は、計測装置1の使用者によって持ち運びが可能であり、内部にモジュール3a,3b,3c,3dを着脱可能に収容する。CANI/F回路73は、筐体11に収容されたモジュール3から出力された計測データを収集する。
【0075】
さらに、メインCPU76は、収集した計測データを、パーソナルコンピュータ8などへ出力する。内部メモリ74と、USBメモリモジュール91に接続されたUSBメモリは、収集した計測データを記憶する。
【0076】
このように計測装置1は、筐体11内にモジュール3が装着されることによって、モジュール3から計測データを収集する。そして計測装置1は、収集した計測データをパーソナルコンピュータ8などへ出力することと、収集したデータを内部メモリ74などに記憶することとの少なくとも一方を実行する。これにより計測装置1は、モジュール3からの計測データを、パーソナルコンピュータ8において利用したり、内部メモリ74などから取得して利用したりすることを可能とする。
【0077】
そして計測装置1は、複数のモジュール3を着脱可能に筐体11内に収容することができる。このため計測装置1は、使用者が所望する計測機能を有するモジュール3を筐体11内に装着することにより、使用者が所望する計測データを収集することができ、計測装置1の利便性を向上させることができる。
【0078】
また計測装置1は、筐体11内に装着されているモジュール3で不具合が発生した場合に、不具合が発生したモジュール3を筐体11内から取り外すことができる。このため計測装置1は、モジュール3に不具合が発生した場合に、計測装置1全体を取り換えることなく不具合を解消することができ、計測装置1の利便性を向上させることができる。
【0079】
さらに計測装置1は、モジュール3を収容する筐体11が持ち運び可能であるため、計測装置1の設置場所の自由度を向上させることができる。
また計測装置1は、筐体11の内部に設置され、モジュール3と着脱可能に接続されるモジュール接続コネクタ61,62,63,64,65,66を備える。モジュール接続コネクタ61〜66は、互いに同一の形状を有し、予め設定されたスロット配列方向Dsに沿って配置される。これにより計測装置1は、同一の計測機能を有する複数のモジュール3を計測装置1のメインユニット2に装着することが可能となる。さらに、モジュール3a,3b,3c,3dに取り付けられるユニット接続コネクタ24が互いに同一の形状を有している。このため、モジュール3a,3b,3c,3dは、筐体11の内部に設置されたモジュール接続コネクタ61〜66の何れにも装着することが可能となる。これにより計測装置1は、筐体11内におけるモジュール3の設置位置の自由度を向上させることができる。
【0080】
また計測装置1では、モジュール接続コネクタ61〜66が、スロット幅Wsの間隔で、スロット配列方向Dsに沿って配置される。スロット幅Wsは、モジュール3b,3c,3dにおけるスロット配列方向Dsに沿った長さと一致するように設定されている。なおモジュール3b,3c,3dは、モジュール3a,3b,3c,3dのうちスロット配列方向Dsに沿った長さが最小となるモジュールである。
【0081】
これにより計測装置1は、スロット配列方向Dsに沿ってスロット幅Wsの整数倍の間隔で複数のモジュール3を本体部に装着することが可能となる。このため計測装置1は、モジュール3におけるスロット配列方向Dsに沿った長さを、筐体11がその内部にモジュール3を収容することができる能力に応じて任意に設定することが可能となる。
【0082】
また計測装置1では、モジュール3のモジュールCPU112が、モジュール接続コネクタ61〜66のうち、モジュール3と接続されているものを検出する。これにより計測装置1は、筐体11内に収容されているモジュール3の筐体11内での位置(すなわち、スロット)を特定することが可能となる。
【0083】
また計測装置1では、モジュール3b,3c,3dが、センサ6として直挿型センサを用いている。これにより計測装置1は、モジュール3b,3c,3dの内部に排気ガスを導入することなく、排気ガスの状態を検出することができる。
【0084】
また計測装置1では、センサ6とモジュール3とが、着脱可能に接続される。これにより計測装置1は、センサ6に不具合が発生した場合に、センサ6とモジュール3のうちセンサ6のみを取り換えることにより不具合を解消することができ、計測装置1の利便性を向上させることができる。
【0085】
また計測装置1では、メインユニット2とモジュール3が、互いにデータの送受信可能である。これにより計測装置1は、モジュール3から計測データを収集するだけではなく、モジュール3へ情報を提供することが可能となる。
【0086】
また計測装置1では、GPSI/Fモジュール95が、計測装置1の現在位置を特定するための情報を取得する。これにより計測装置1は、計測装置1の現在位置と、モジュール3の計測結果とを関連付けることができる。
【0087】
以上説明した実施形態において、メインユニット2は本発明における本体部、モジュール3は本発明における計測モジュール、CANI/F回路73は本発明におけるデータ収集手段、メインCPU76は本発明における出力手段、内部メモリ74およびUSBメモリモジュール91に接続されたUSBメモリは本発明における記憶部、パーソナルコンピュータ8は本発明における出力先装置である。
【0088】
また、モジュール接続コネクタ61〜66は本発明における接続コネクタ、モジュールCPU112は本発明における接続検出手段、GPSI/Fモジュール95は本発明における位置情報取得手段である。
【0089】
また、モジュール3b,3c,3dは本発明における最小計測モジュール、スロット幅Wsは本発明における最小配列方向長である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
【0090】
例えば上記実施形態では、ディーゼルエンジンの排気ガスの粒子状物質の量、窒素酸化物の濃度などを計測するものを示したが、モジュール3の計測対象はこれに限定されるものではない。
【0091】
また上記実施形態では、モジュール3が水平方向に沿って1列に整列して収容されるものを示したが、モジュール3が垂直方向に沿って1列に整列して収容されるようにしてもよいし、水平方向または垂直方向に沿って2列以上に整列して収容されるようにしてもよい。
【0092】
また上記実施形態では、モジュール3から受信した計測データを、内部メモリ74に記憶する。しかし、メインユニット2が表示装置を備えている場合には、モジュール3から受信した計測データが示す計測結果を、この表示装置に表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…計測装置、2…メインユニット、3…モジュール、6…センサ、8…パーソナルコンピュータ、11…筐体、12…取手、61〜66…モジュール接続コネクタ、72…データ入出力部、73…CANI/F回路、74…内部メモリ、76…メインCPU、111…CANI/F回路、112…モジュールCPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6