特許第6290777号(P6290777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290777
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】データ関連情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20180226BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   G06F17/30 220B
   G06F17/30 170Z
   G05B23/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-257509(P2014-257509)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-118886(P2016-118886A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年10月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛維
(72)【発明者】
【氏名】米山 純一
(72)【発明者】
【氏名】北上 眞二
(72)【発明者】
【氏名】今村 誠
(72)【発明者】
【氏名】増▲崎▼ 隆彦
【審査官】 早川 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−215902(JP,A)
【文献】 特開2007−171808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G05B 23/02
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーの検出対象となる機器の設置場所を示す設置場所用語、当該機器の種類を示す機器種類用語及び当該センサーの出力データの種類を示す出力種類用語を含んで構成され、複数のセンサーのそれぞれの出力データに関連付けられているデータ名称情報に基づき前記出力データ毎に生成されたデータ関連情報であって、設置場所用語及び機器種類用語を含む機器特定用語と、出力種類用語と、をそれぞれ項目値として含むデータ関連情報のうち、分析対象とするセンサーの出力データを抽出するために用いられる複数のデータ関連情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたデータ関連情報の中から、予め決められたパラメータリスト生成ルールに従い機器分析ツールに入力する1又は複数のパラメータそれぞれに設定するデータ関連情報を機器毎に選出し、その選出したデータ関連情報の識別情報を含むパラメータリストを機器毎に生成する生成手段と、
前記複数のセンサーのそれぞれの出力データが記憶されているデータ記憶手段から前記各センサーの出力データを取得する取得手段と、
前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータの全てに対してデータ関連情報が選出されなかった場合、データ関連情報が選出されなかったパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、当該データ関連情報が選出されなかったパラメータとしての適合度に従い選出する選出手段と、
前記選出手段により選出されたデータ関連情報で、当該パラメータリストを補完する補完処理手段と、
を有し、
前記選出手段は、前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータのいずれかに複数のデータ関連情報が選出される場合、複数のデータ関連情報が選出されたパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、当該複数のデータ関連情報が選出されるパラメータとしての適合度に従い選出することを特徴とするデータ関連情報処理装置。
【請求項2】
前記パラメータに設定されるべき前記センサーの出力データの特性が規定されたデータ特性ルールを記憶するデータ特性ルール記憶手段を有し、
前記選出手段は、前記各センサーの出力データの前記データ特性ルールとの合致度を前記適合度として算出し、その算出した合致度に基づきデータ関連情報を選出することを特徴とする請求項1に記載のデータ関連情報処理装置。
【請求項3】
前記データ特性ルールには、前記各センサーの出力データの特性を示すルール又は前記センサーの出力データ間の関係を示すルールの少なくとも一方が規定されることを特徴とする請求項に記載のデータ関連情報処理装置。
【請求項4】
前記取得手段により取得されたデータ関連情報の修正処理を実施する修正処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載のデータ関連情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
センサーの検出対象となる機器の設置場所を示す設置場所用語、当該機器の種類を示す機器種類用語及び当該センサーの出力データの種類を示す出力種類用語を含んで構成され、複数のセンサーのそれぞれの出力データに関連付けられているデータ名称情報に基づき前記出力データ毎に生成されたデータ関連情報であって、設置場所用語及び機器種類用語を含む機器特定用語と、出力種類用語と、をそれぞれ項目値として含むデータ関連情報のうち、分析対象とするセンサーの出力データを抽出するために用いられる複数のデータ関連情報を取得する取得手段、
前記取得手段により取得されたデータ関連情報の中から、予め決められたパラメータリスト生成ルールに従い機器分析ツールに入力する1又は複数のパラメータそれぞれに設定するデータ関連情報を機器毎に選出し、その選出したデータ関連情報の識別情報を含むパラメータリストを機器毎に生成する生成手段、
前記複数のセンサーのそれぞれの出力データが記憶されているデータ記憶手段から前記各センサーの出力データを取得する取得手段、
前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータの全てに対してデータ関連情報が選出されなかった場合、データ関連情報が選出されなかったパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、データ関連情報が選出されなかったパラメータとしての適合度に従い選出する選出手段、
前記選出手段により選出されたデータ関連情報で、当該パラメータリストを補完する補完処理手段、
として機能させ
前記選出手段は、前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータのいずれかに複数のデータ関連情報が選出される場合、複数のデータ関連情報が選出されたパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、当該複数のデータ関連情報が選出されるパラメータとしての適合度に従い選出することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器に関するデータの分析に用いるデータ関連情報を処理するデータ関連情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルやプラント等の建物には照明や空調機等の様々な機器が設置されているが、ビルやプラント等の監視サービスの提供事業者は、それら機器に関するデータを定周期的に、あるいはその都度取得するなどして機器の監視を行っている。取得するデータとしては、監視対象の機器が例えば空調機の場合、設定温度、実測温度、空調状態、電圧値、電流値、圧力値等各種センサーにより測定された測定値や設定値等がある。取得されるデータは、建物の規模によって数千から数万にも及ぶ場合があるが、各データには、各々を識別するためにデータ名称が付与され、蓄積される。各種センサーの出力データに付与されるデータ名称には、例えば、機器の設置場所を示す用語、データの種別を示す用語、機器の種別を示す用語等が含められる。
【0003】
監視サービスの提供事業者はまた、機器の単なる監視に留まらず、サポート契約により、取得したデータに基づいて機器の診断や省エネ向けの分析等を行っている。その分析は、分析対象とする機器の種類や設置場所等を特定し、その特定した機種等に該当するデータを蓄積されたデータの中から抽出し、その抽出したデータを対象に、専用の分析ツールを用いて行われる。分析ツールを用いて分析を行うために、分析ツールへの入力パラメータを生成する必要がある。従来では、入力パラメータ生成の前準備として、データ名称の表記を分析して当該機器の設置場所及び機器の種類(設備名)を示す情報(エンティティ名)と、当該データの項目(信号名)を示す情報(プロパティ名)とを事前に抽出し、これらの情報及びデータ名称を含むデータ関連情報を予め生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−122792号公報
【特許文献2】特開2011−107757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、データ名称の設定に一定の命名規則があるとはいうものの、建物それぞれの管理者等機器診断や分析等を行う分析者以外の者がデータ名称を各データに付与する場合がある。このため、データ名称の表記に揺れが発生しうる。例えば、温度を示すデータであれば、データ名称に“温度”と表記される場合もあれば、“Temp”と表記される場合もある。
【0006】
前述したように、分析ツールに適正な分析結果を出力させるためには、データ名称から当該データに対応する機器の設置場所、設備名及びデータの信号名をそれぞれ正確に設定しなければならないが、データ名称の表記に揺れがあると、データ名称から生成されるエンティティ名やプロパティ名にも、その揺れの影響が出やすい。従来においては、データ名称の平易な揺れ程度であれば、単語辞書や所定の変換ルールを利用してデータ名称に含まれる用語の統一を図り、設置場所等を正確に表記することは可能であるかもしれない。
【0007】
しかしながら、人手に入力設定されるデータ名称の表記の揺れの全てを予め推測して単語辞書に予め登録しておくことは不可能であり、また、例えばデータ名称に含めるべき信号名等を示す用語が欠落していた場合、単語辞書を利用しても信号名を特定することはできない。
【0008】
本発明は、データ関連情報群の中から機器の設置場所及び種類を特定する用語、又はデータの信号名を特定する用語に基づき分析ツールへの入力パラメータとして設定すべきデータ関連情報が特定できない場合、センサーの出力データを参照することによって、その特定できなかった入力パラメータに設定すべきデータ関連情報の候補を選出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るデータ関連情報処理装置は、センサーの検出対象となる機器の設置場所を示す設置場所用語、当該機器の種類を示す機器種類用語及び当該センサーの出力データの種類を示す出力種類用語を含んで構成され、複数のセンサーのそれぞれの出力データに関連付けられているデータ名称情報に基づき前記出力データ毎に生成されたデータ関連情報であって、設置場所用語及び機器種類用語を含む機器特定用語と、出力種類用語と、をそれぞれ項目値として含むデータ関連情報のうち、分析対象とするセンサーの出力データを抽出するために用いられる複数のデータ関連情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたデータ関連情報の中から、予め決められたパラメータリスト生成ルールに従い機器分析ツールに入力する1又は複数のパラメータそれぞれに設定するデータ関連情報を機器毎に選出し、その選出したデータ関連情報の識別情報を含むパラメータリストを機器毎に生成する生成手段と、前記複数のセンサーのそれぞれの出力データが記憶されているデータ記憶手段から前記各センサーの出力データを取得する取得手段と、前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータの全てに対してデータ関連情報が選出されなかった場合、データ関連情報が選出されなかったパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、データ関連情報が選出されなかったパラメータとしての適合度に従い選出する選出手段と、前記選出手段により選出されたデータ関連情報で、当該パラメータリストを補完する補完処理手段と、を有し、前記選出手段は、前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータのいずれかに複数のデータ関連情報が選出される場合、複数のデータ関連情報が選出されたパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、当該複数のデータ関連情報が選出されるパラメータとしての適合度に従い選出するものである。
【0010】
また、前記パラメータに設定されるべき前記センサーの出力データの特性が規定されたデータ特性ルールを記憶するデータ特性ルール記憶手段を有し、前記選出手段は、前記各センサーの出力データの前記データ特性ルールとの合致度を前記適合度として算出し、その算出した合致度に基づきデータ関連情報を選出するものである。
【0011】
また、前記データ特性ルールには、前記各センサーの出力データの特性を示すルール又は前記センサーの出力データ間の関係を示すルールの少なくとも一方が規定されるものである。
【0012】
また、前記取得手段により取得されたデータ関連情報の修正処理を実施する修正処理手段を有するものである。
【0013】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、センサーの検出対象となる機器の設置場所を示す設置場所用語、当該機器の種類を示す機器種類用語及び当該センサーの出力データの種類を示す出力種類用語を含んで構成され、複数のセンサーのそれぞれの出力データに関連付けられているデータ名称情報に基づき前記出力データ毎に生成されたデータ関連情報であって、設置場所用語及び機器種類用語を含む機器特定用語と、出力種類用語と、をそれぞれ項目値として含むデータ関連情報のうち、分析対象とするセンサーの出力データを抽出するために用いられる複数のデータ関連情報を取得する取得手段、前記取得手段により取得されたデータ関連情報の中から、予め決められたパラメータリスト生成ルールに従い機器分析ツールに入力する1又は複数のパラメータそれぞれに設定するデータ関連情報を機器毎に選出し、その選出したデータ関連情報の識別情報を含むパラメータリストを機器毎に生成する生成手段、前記複数のセンサーのそれぞれの出力データが記憶されているデータ記憶手段から前記各センサーの出力データを取得する取得手段、前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータの全てに対してデータ関連情報が選出されなかった場合、データ関連情報が選出されなかったパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、データ関連情報が選出されなかったパラメータとしての適合度に従い選出する選出手段、前記選出手段により選出されたデータ関連情報で、当該パラメータリストを補完する補完処理手段、として機能させ、前記選出手段は、前記生成手段により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータのいずれかに複数のデータ関連情報が選出される場合、複数のデータ関連情報が選出されたパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、前記各センサーの出力データの、当該複数のデータ関連情報が選出されるパラメータとしての適合度に従い選出するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、データ関連情報群の中から機器の設置場所及び種類を特定する用語、又はデータの信号名を特定する用語に基づき分析ツールへの入力パラメータとして設定すべきデータ関連情報が特定できない場合、センサーの出力データを参照することによって、その特定できなかった入力パラメータに設定すべきデータ関連情報の候補を選出することができる。
【0015】
また、パラメータリストの補完に伴い、正しくない表記が含まれているデータ関連情報をユーザに修正・補完させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るデータ関連情報処理装置の一実施の形態を有するデータ分析システムの全体構成図である。
図2】本実施の形態におけるデータ関連情報処理装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態におけるデータ関連情報処理装置のブロック構成図である。
図4】本実施の形態におけるデータ関連情報のデータ設定例を示した図である。
図5】本実施の形態におけるパラメータリスト生成処理を示したフローチャートである。
図6】本実施の形態におけるパラメータリスト生成ルールとして規定されている標準シナリオパターンを示した図である。
図7図4に示したデーや関連情報に基づき生成されたパラメータリストのデータ内容例を示した図である。
図8】本実施の形態における分析ツールの一例として機器の異常を検出する異常検出エンジンを示した図である。
図9】本実施の形態におけるデータ関連情報の他のデータ設定例を示した図である。
図10図9に示したデーや関連情報に基づき生成されたパラメータリストのデータ内容例を示した図である。
図11】本実施の形態におけるデータ特性ルール記憶部に予め設定されたデータ特性ルールの設定例を示した図である。
図12A】本実施の形態において収集されるデータの特性を説明するためにデータの遷移をグラフ形式にて示した図である。
図12B】本実施の形態において収集されるデータの特性を説明するためにデータの遷移をグラフ形式にて示した図である。
図13】本実施の形態において収集されるデータの特性を説明するためにデータの遷移をグラフ形式にて示した図である。
図14】本実施の形態におけるデータ関連情報群に含まれるデータ関連情報の一部のデータ設定例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るデータ関連情報処理装置の一実施の形態を有するデータ分析システムの全体構成図である。本実施形態におけるデータ分析システムは、建物1に設置されている空調機、照明、受変電設備等の各種機器に関するデータを取得し、データに付与されているデータ名称に基づき分析対象のデータを抽出し、抽出されたデータに基づき分析や診断等を行う。なお、図1には1つの建物1のみが図示されているが、複数の建物1からデータを取得して分析や診断等を行ってもよい。
【0019】
建物1は、例えばオフィスビルやプラント等である。建物1に設置されている機器には、各種のデータを検出する各種のセンサーが取り付けられており、センサーにより出力されるデータは、ネットワーク2を介してデータ収集装置3に送信される。各データには、当該データを識別するためのデータ名称が関連付けられる。このデータ名称は、例えば、建物1の利用者によって作成される。
【0020】
データ収集装置3によって収集された各種データは、データ管理システム4のデータ記憶部41に記憶される。また、データに関連付けられたデータ名称はリスト化され、データ名称リストしてデータ名称リスト記憶部42に記憶される。データ管理システム4は、1又は複数のコンピュータにより形成される。各記憶部41,42は、コンピュータに搭載された1又は複数のハードディスクドライブ(HDD)にて実現される。
【0021】
データ関連情報生成装置5は、データ管理システム4に記憶されているデータ名称リストから、分析対象となるデータそれぞれに付与されたデータ名称の組(分析対象データ名称組)を抽出する。更に、データ関連情報生成装置5は、抽出した分析対象データ名称組に含まれる各データ名称を分析することで当該データが取得された機器の種別や設置場所、当該データの信号名等を特定し、それら特定した情報をそれぞれデータ項目としたデータ関連情報を生成する。そして、生成されたデータ関連情報を分析対象データ名称組でまとめることで1組のデータ関連情報(データ関連情報群)を生成する。
【0022】
なお、分析対象データ名称組は、例えば、本願と同一特許出願人による特許出願(特願2013−094260号に記載されたデータ名称抽出装置又はプログラムを用いて生成してよい。
【0023】
データ抽出装置6は、データ関連情報処理装置10から送られてくるデータ関連情報(群)に含まれるデータ名称が付与されたデータを分析対象データとしてデータ記憶部41から抽出する。分析装置7は、この分析対象データに基づき分析対象の機器の分析や診断等を行う。分析装置7は、種々の分析ツールを用いて機器の分析等を行うが、各分析ツールには、例えば図8に例示した異常検出エンジンのようにデータ関連情報を特定するデータIDがパラメータとして入力される。
【0024】
ところで、データ関連情報に含まれる機器の種別等の表記、具体的にはデータ関連情報に含まれるエンティティ名やプロパティ名は、データ名称によって揺れが発生する可能性がある。前述したようにエンティティ名やプロパティ名に揺れが発生すると、分析ツールへの入力パラメータとして設定するデータ関連情報のデータIDを正しく抽出できない可能性が生じうる。本実施の形態におけるデータ関連情報処理装置10は、このデータ関連情報群の中からエンティティ名又はプロパティ名に基づき分析ツールへの入力パラメータとして設定すべきデータ関連情報を特定できない場合でも、データ記憶部41に蓄積されているセンサーの出力データそのものを参照することによって、その特定できなかった入力パラメータに設定すべきデータ関連情報の候補を選出しうることを特徴としている。
【0025】
本実施の形態においては、データ分析システムを以上説明したような装置構成としたが、これに限る必要はなく、例えば、各装置5〜7,10をそれぞれ複数の装置にて実現するように構成してもよい。
【0026】
図2は、本実施の形態におけるデータ関連情報処理装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態においてデータ関連情報処理装置10を形成するコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU51、ROM52、RAM53、ハードディスクドライブ(HDD)54を接続したHDDコントローラ55、入力手段として設けられたマウス56とキーボード57、及び表示装置として設けられたディスプレイ58をそれぞれ接続する入出力コントローラ59、通信手段として設けられ、少なくともデータ関連情報生成装置5及びデータ抽出装置6との間でデータ通信を行う際に用いられるネットワークコントローラ60を内部バス61に接続して構成される。
【0027】
図3は、本実施の形態におけるデータ関連情報処理装置10のブロック構成図である。本実施の形態におけるデータ関連情報処理装置10は、データ関連情報取得部11、エンティティ名変換部12、プロパティ名変換部13、パラメータリスト生成部14、パラメータリスト補完処理部15、修正・補完処理部16、データ関連情報出力部17、制御部18、データ関連情報記憶部21、生成ルール記憶部22、パラメータリスト記憶部23及びデータ特性ルール記憶部24を有している。
【0028】
データ関連情報取得部11は、取得手段として設けられ、分析対象とするセンサーの出力データを抽出するために用いられる複数のデータ関連情報を組にしてデータ関連情報生成装置5から取得し、データ関連情報記憶部21に登録することで記憶させる。エンティティ名変換部12は、図示しない辞書を参照して、データ関連情報取得部11により取得された複数のデータ関連情報のうち修正を要するエンティティ名を修正する。プロパティ名変換部13は、図示しない辞書を参照して、データ関連情報取得部11により取得された複数のデータ関連情報のうち修正を要するプロパティ名を修正する。パラメータリスト生成部14は、生成手段として設けられ、データ関連情報取得部11により取得されたデータ関連情報群の中から、予め決められたパラメータリスト生成ルールに従い機器分析ツールに入力する1又は複数のパラメータそれぞれに設定するデータ関連情報を機器毎に選出し、その選出したデータ関連情報の識別情報を含むパラメータリストを機器毎に生成する。
【0029】
本実施の形態におけるパラメータリスト補完処理部15は、選出手段及び補完処理手段として機能する。すなわち、パラメータリスト補完処理部15は、パラメータリスト生成部14により生成されたパラメータリストの中に含めるべきパラメータの全てに対してデータ関連情報が選出されなかった場合、データ関連情報が選出されなかったパラメータとして選出されるべきデータ関連情報を、各センサーの出力データの、データ関連情報が選出されなかったパラメータとしての適合度に従い選出し、その選出したデータ関連情報で当該パラメータリストを補完する。
【0030】
修正・補完処理部16は、修正・補完処理手段として設けられ、データ関連情報取得部11により取得されたデータ関連情報の修正・補完処理を実施する。データ関連情報出力部17は、必要によりエンティティ名変換部12及びプロパティ名変換部13により修正されたデータ関連情報及び必要によりパラメータリスト補完処理部15により補完されたパラメータリストをデータ抽出装置6へ出力する。制御部18は、各構成要素11〜17と連携動作して、データ関連情報処理装置10において実施される処理の全体制御を行う。
【0031】
データ関連情報記憶部21には、データ関連情報取得部11により取得され、データ関連情報処理装置10において修正・補完対象とされるデータ関連情報が記憶される。ここで、図4を参照しながら、本実施の形態におけるデータ関連情報について説明する。
【0032】
データ関連情報はセンサーの出力データ毎に生成されるが、図4には、8データ分のデータ関連情報が示されている。データ関連情報には、各データを識別するためのデータIDが付与される。そして、データIDに対応させて、種別名、データ名称、エンティティ名及びプロパティ名という各項目が設定される。本実施の形態では、センサーからの出力データをその種類によって複数に分類するが、種別名は、当該センサーからの出力信号が属する信号種別を示す信号種別情報である。データ名称は、センサーからの出力データに付与される名称であり、本実施の形態では、所定の命名規則に従って、センサーの検出対象となる機器の設置場所を示す設置場所用語、当該機器の種類を示す機器種類用語及び当該センサーからの出力データの種類を示す出力種類用語を含んでいる。エンティティ名には、データ関連情報生成装置5において分析されることでデータ名称から抽出された設置場所用語及び機器種類用語を含む機器特定用語が含まれる。プロパティ名には、データ関連情報生成装置5において分析されることでデータ名称から抽出された出力種類用語が含まれる。
【0033】
本実施の形態におけるデータIDは、当該機器の動作制御を行うコントローラを識別するコントローラ識別コードと、センサーからの出力信号の種類を示す信号種類コードと、各データ関連情報それぞれに付与されたシリアル番号と、を組にして生成される。図4の設定例によると、この1組のデータ関連情報は、コントローラ識別コード“0101”及び“0102”に接続された機器に対応するセンサーから取得されたデータに対応する情報であることがわかる。
【0034】
プロパティ名は、センサーからの出力信号に付与された信号名であり、“AI”などによって表される信号の種類(信号種類コード)により分類されると共に、“計測”などによって表される信号の種類(種別名)により分類される。信号種類コードと種別名は、同じ信号の種類を示す情報でも異なる分類基準によってプロパティ名(信号名)を分類する。例えば、データ関連情報31に対応するデータ(出力信号)は、B1F(地下1階)に設置されている空調機の給気(SA)の温度を計測するセンサーから出力されたデータであることを示している。このデータ関連情報31に対応するデータは、プロパティ名の“SA温度”から給気温度という種類を示す信号データであり、データIDにおける分類基準によると“AI”からアナログ信号で入力される信号というグループに分類されるデータである同時に、種別名における分類基準によると“計測”から計測により得られたデータというグループに分類されるデータであることがわかる。
【0035】
その他の記憶手段22〜24のデータ構成に関しては、処理の説明と合わせて追って説明する。
【0036】
データ関連情報処理装置10における各構成要素11〜18は、データ関連情報処理装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU51で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部21〜24は、データ関連情報処理装置10に搭載されたHDD54にて実現される。あるいは、RAM53又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0037】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータの51CPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0038】
次に、データ関連情報処理装置10におけるパラメータリストを生成する処理について図5に示したフローチャートを用いて説明する。
【0039】
データ関連情報取得部11は、図4に示したような1組のデータ関連情報(群)がデータ関連情報生成装置5から送られてくると、それを取得し、データ関連情報記憶部21に登録する(ステップ101)。
【0040】
1組のデータ関連情報が取得されると、エンティティ名変換部12は、1組に含まれている全てのデータ関連情報をデータ関連情報記憶部21から読み出し、各データ関連情報に含まれているエンティティ名を抽出し、重複しているエンティティ名があれば、その重複を解消するよう削除したり、図示しない辞書を参照して表記に揺れのあるエンティティ名を変更したりする。プロパティ名変換部13も同様に、辞書を参照して表記に揺れのあるプロパティ名を変更する。
【0041】
図6は、生成ルール記憶部22に記憶された、パラメータリストを生成するルール(パラメータリスト生成ルール)として予め規定されている標準シナリオパターンを示す図であり、データ関連情報から図6に例示した標準シナリオパターンに従い、パラメータリスト生成部14は、図7に示すようなパラメータリストを生成する(ステップ102)。
【0042】
まず、パラメータリスト生成部14は、標準シナリオパターンにおけるエンティティ(シナリオ名)の設定に従ってデータ関連情報記憶部21に記憶されているデータ関連情報からエンティティ名を抽出し、パラメータリストのシナリオ名として設定する。図7に示した設定例を参照すると、データ関連情報から “B1F系統空調機”及び“3F系統空調機”のエンティティ名が抽出され、その抽出されたエンティティ名がシナリオ名として“B1F系統空調機シナリオ”及び“3F系統空調機シナリオ”と設定される。
【0043】
続いて、シナリオ毎に以下の処理を行う。ここでは、“B1F系統空調機”を例にして説明すると、標準シナリオパターンにおけるパラメータ1の設定に従い、“B1F系統空調機シナリオ”(エンティティ名が“B1F系統空調機”)においてプロパティ名が“SA温度”又は “給気温度”のデータ関連情報を特定し、その特定したデータ関連情報のデータID“0101_AI_0000001”をパラメータリストにおけるパラメータ1に設定する。続いて、標準シナリオパターンにおけるパラメータ2の設定に従い、“B1F系統空調機シナリオ”においてプロパティ名が“SA温度設定”又は “給気温度設定”のデータ関連情報を特定し、その特定したデータ関連情報のデータID“0101_AV_0000002”をパラメータリストにおけるパラメータ2に設定する。パラメータ3及びパラメータ4に対しても同様に処理することで、該当するデータIDを各パラメータに設定する。なお、データ関連情報が正しく生成されていれば、“SA温度”又は “給気温度”のいずれか一方のみがデータ関連情報に設定されており、また“SA温度設定”又は “給気温度設定”のいずれか一方のみがデータ関連情報に設定されている。“3F系統空調機”に対するパラメータリストも同様に処理することで設定することで、図7に示すパラメータリストが生成される。
【0044】
以上説明したように、パラメータリストは、エンティティ名及びプロパティ名に基づき生成される。データ関連情報に含まれるエンティティ名及びプロパティ名が正しく設定されていれば、図7に示したようにシナリオ毎に全てのパラメータが設定されるので(ステップ103でY)、パラメータリストが正しく生成されたと判断される。
【0045】
これにより、データ関連情報出力部17は、処理対象の複数のデータ関連情報をデータ関連情報記憶部21から読み出し、この読み出したデータ関連情報(群)と、そのデータ関連情報に基づき生成された1又は複数のエンティティのパラメータリストと、を組にしてデータ抽出装置6に出力する。
【0046】
データ抽出装置6は、データ関連情報処理装置10から送られてくるデータ関連情報(群)に含まれるデータ名称が付与されたデータを分析対象データとしてデータ記憶部41から抽出する。分析装置7は、この分析対象データに基づきデータ関連情報処理装置10から直接、あるいはデータ抽出装置6を介して送られてくるパラメータリストに設定されたパラメータを入力パラメータとして分析対象の機器の分析や診断等を行う。
【0047】
図8は、分析ツールの一例として機器の異常を検出する異常検出エンジンを示した図である。以上のようにしてエンティティ名により特定される機器毎にパラメータリストが生成されると、当該機器に対して設定されたパラメータに該当するデータ(センサーの出力データ)を異常検出エンジンに入力することによって異常候補となる機器を検出する。
【0048】
機器の診断や省エネ向けの分析により適正な分析結果を得るためには、データ関連情報の中から分析ツールへの入力パラメータとして設定すべきデータ関連情報(に対応するセンサーの出力データ)を特定する必要があるが、この分析のためのデータの特定は、前述したようにデータ関連情報に含まれるデータ名称から特定される機器の設置場所、種類や信号名に基づき行われる。
【0049】
ところで、ステップ101においてデータ関連情報生成装置5から取得したデータ関連情報に正しくないデータ名称が含まれている場合、エンティティ名変換部12及びプロパティ名変換部13によってエンティティ名及びプロパティ名が修正されてもなお、図9に例示したデータ関連情報32,33のように、データ名称における表記の揺れの影響が消失できずに正しくない表記のままエンティティ名又はプロパティ名の少なくとも一方が生成されてしまう場合が生じうる。なお、データ関連情報32,33は本来、図4におけるデータ関連情報34,35のように設定されるべきデータ関連情報であるので、それぞれエンティティ名が正しい表記となっていない。
【0050】
パラメータリスト生成部14が図9に例示したデータ関連情報に基づき生成した場合にパラメータリストの例を図10に示す。“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータ4には、プロパティ名が“状変値”のデータ関連情報32が特定されるはずが、エンティティ名が異なると判断されることから特定されない。この結果、“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータ4には何も設定されず、“B1F系統空調機AHU−1シナリオ”のパラメータリスト36が別途生成されてしまう。また、“3F系統空調機シナリオ”のパラメータ2には、プロパティ名が“SA温度設定”のデータ関連情報33が特定されるはずが、エンティティ名が異なると判断されることから特定されない。この結果、“3F系統空調機シナリオ”のパラメータ2には何も設定されず、“13F系統空調機シナリオ” のパラメータリスト37が別途生成されてしまう。
【0051】
データ関連情報生成装置5から取得したデータ関連情報に基づき正しいパラメータリストを生成するには、エンティティ名変換部12及びプロパティ名変換部13の機能を強化し、エンティティ名及びプロパティ名を適切に修正・補完して生成することも考えられるが、本実施の形態では、データ記憶部41に記憶されている各センサーの出力データそのものを参照することにより、以下に説明するように正しいパラメータリストを生成できるようにした。
【0052】
すなわち、図10に例示したように、パラメータリスト生成部14により全てのパラメータが設定されない場合(ステップ103でN)、制御部18は、パラメータリスト補完処理部15を起動する。パラメータリスト補完処理部15は、起動されると、データ特性ルールを参照してシナリオ毎に以下の処理を実施する。
【0053】
図11は、本実施の形態におけるデータ特性ルール記憶部24に予め設定されたデータ特性ルールの設定例を示した図である。データ特性ルールには、パラメータに設定されるべき各センサーの出力データの特性を示すルール又はセンサーの出力データ間の関係を示すルールの少なくとも一方が規定されている。各シナリオに対応するパラメータリストとして適切なデータIDの組が設定されているならば、各データIDに対応するデータ又はデータの組は、データ特性ルールに規定された全てのルールに合致するという関係にある。従って、パラメータリスト補完処理部15は、データ特性ルールを参照してデータIDが設定されていないパラメータに設定すべきデータIDを次のようにして探索する。
【0054】
まず、パラメータリスト補完処理部15は、パラメータリストに含まれている先頭の“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータリストを読み出すと、その中のパラメータ4にデータIDが設定されていないことを認識する。パラメータリスト補完処理部15は、データ特性ルール記憶部24に設定されたデータ特性ルールの中からパラメータ4を含んでいるルールを取り出す。図11に例示したデータ特性ルールの設定例では、ルール1のみを取り出すことになる。つまり、ここでは、パラメータリスト補完処理部15は、ルール1を用いてパラメータの補完を実施する。このルール1には、パラメータ1〜3が含まれているので、パラメータリスト補完処理部15は、パラメータ1〜3に設定されているデータIDに対応するデータをデータ記憶部41から読み出すことで取得する(ステップ104)。なお、データを読み出す所定の期間は予め決められている。
【0055】
そして、パラメータリスト補完処理部15は、データ記憶部41に保存されているデータ、厳密にはパラメータ1〜3に設定されているデータIDに対応するデータを除くデータを全て読み出すことで取得する(ステップ105)。そして、パラメータ1〜3に設定されているデータIDに対応するデータ及び読み出したデータのうち1つを順番にルール1に当てはめる。
【0056】
例えば、機器に関するデータが30秒毎に収集されているとし、前述したデータを読み出す所定期間が1日だとすると、その読み出した所定期間内には2個/分×60×24=2880個/日のデータに対して上記ルールの適否が判断される。
【0057】
このようにして、パラメータリスト補完処理部15は、読み出したデータそれぞれに対してルールへの合致度(ルールに合致したデータ数/所定期間内の全データ数)を算出する(ステップ106)。この合致度が高いほど、パラメータ4に設定されるべきデータIDに対応する正しいデータといえる。従って、合致度が最大となるデータのデータIDをパラメータ4に自動的に設定することで、“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータリストを完成させるようにしてもよい。ただ、本実施の形態では、管理者等に設定させるようにした。
【0058】
すなわち、パラメータリスト補完処理部15は、データ記憶部41に含まれている全てのデータに対して合致度を算出すると、そのうち合致度の上位所定数のデータ関連情報を、“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータリストにパラメータとして設定済みのデータ関連情報と共にディスプレイ58に表示する(ステップ107)。これにより、管理者等にパラメータ4に設定すべきデータIDを選択させるようにしてもよい。このようにして、パラメータリスト補完処理部15は、管理者等により選択されたデータ関連情報のデータIDを、データIDが設定されていなかったパラメータ4に設定することで、“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータリストを完成させる(ステップ108)。具体的には、結果として図7に例示した内容のパラメータリストが生成される。
【0059】
この処理を他のシナリオに対しても繰り返し行うことになるが、図10に示したパラメータリストの設定例によると、“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータ4に設定されたデータID“0101_BV_0000004”は、“B1F系統空調機AHU−1シナリオ”に含まれている。従って、“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータリストの完成に伴い、図10に示した次のパラメータリストに処理を移行する前に、 “B1F系統空調機AHU−1シナリオ”を削除するのが好適である。
【0060】
前述した“B1F系統空調機シナリオ”と“B1F系統空調機AHU−1シナリオ”との関係から次のことが言える。すなわち、データ関連情報に設定されているデータ名称は、人手により設定されることから表記に揺れが発生し、その表記の揺れに伴いエンティティ名とプロパティ名に表記の揺れが発生する。これに伴い、図10に例示したようにデータIDが設定されないパラメータが存在することになる。このように、データ名称の設定ミスによってデータIDが設定されないパラメータが存在することになるが、データ名称の設定が全て正しければ、実際には図7に例示したようにデータIDが設定されないパラメータリストは生成されない。つまり、前述した“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータ4に設定されるべきデータIDは、いずれかのシナリオ(上記例では“B1F系統空調機AHU−1シナリオ”)に設定されることになるので、その設定されているいずれかのシナリオ(上記例では“B1F系統空調機AHU−1シナリオ”)は表記のミスによってパラメータリストに加えられたシナリオであることから削除してもよいことになる。
【0061】
前述したパラメータリスト補完処理部15における処理内容から明らかなように、パラメータにデータIDが設定されていない数の少ないシナリオから処理するのが好適である。上記例のように“B1F系統空調機シナリオ”を処理することによって“B1F系統空調機AHU−1シナリオ”を消去することが可能だからである。“B1F系統空調機AHU−1シナリオ”に対してパラメータを補完する処理を実施しようとすると、設定されていない複数のパラメータにあらゆる組合せのデータを当てはめて正しいパラメータ1,2,3を探索しなければならなくなり、処理負荷が増大するからである。“3F系統空調機シナリオ”と “13F系統空調機シナリオ” との関係においても同様である。
【0062】
本実施の形態に例示した4つのパラメータの組によりパラメータリストが生成される場合、2個のパラメータが設定され、2個のパラメータが設定されないシナリオも存在しうる。例えば、パラメータ1,2にデータIDが設定されているとする。この場合は、パラメータ3,4にデータ記憶部41から取り出したデータを当てはめデータ特性ルールに従い合致度を算出することになるが、この場合はパラメータ3,4のみにデータIDが設定されているシナリオ、あるいはパラメータ3のみ及びパラメータ4のみにデータIDが設定されているシナリオとが削除されることになる。
【0063】
また、パラメータリストに含まれるパラメータ数が奇数の場合は、設定されているパラメータの数が半数より多いパラメータリストから前述したデータを順次読み出し、データ特性ルールに当てはめていく探索処理の処理対象とすることでパラメータリストを効率的に補完することが可能となる。
【0064】
続いて、パラメータリスト補完処理部15は、パラメータリストに含まれている“3F系統空調機シナリオ”のパラメータリストを読み出すと、その中のパラメータ2にデータIDが設定されていないことを認識する。パラメータリスト補完処理部15は、データ特性ルール記憶部24に設定されたデータ特性ルールの中からパラメータ2を含んでいるルールを取り出す。図11に例示したデータ特性ルールの設定例では、ルール1及びルール2を取り出すことになる。このルール1には、パラメータ1,3,4が含まれているので、パラメータリスト補完処理部15は、パラメータ1,3,4に設定されているデータIDに対応するデータをデータ記憶部41から読み出す。
【0065】
そして、パラメータリスト補完処理部15は、前述したようにデータ記憶部41に保存されているデータを1つ読み出し、パラメータ1,3,4に設定されているデータIDに対応するデータ及び読み出したデータをルール1に当てはめ合致度を算出する。また、パラメータリスト補完処理部15は、読み出したデータをルール2に当てはめ合致度を算出する。“3F系統空調機シナリオ”のように複数のルールを用いる場合、ルール毎に算出した合致度を平均して“3F系統空調機シナリオ”の合致度として算出するようにしてもよい。
【0066】
パラメータリスト補完処理部15は、データ記憶部41に含まれている全てのデータに対して合致度を算出すると、そのうち合致度の上位所定数のデータIDを、“3F系統空調機シナリオ” のパラメータリストにパラメータとして設定済みのデータ関連情報と共にディスプレイ58に表示する。これにより、管理者等にパラメータ2に設定すべきデータIDを選択させるようにしてもよい。このようにして、“3F系統空調機シナリオ”のパラメータリストを完成させる。具体的には、図7に例示した内容のパラメータリストが生成されることになる。
【0067】
パラメータリスト生成部14によってパラメータが欠落したパラメータリストが生成された場合、本実施の形態では、パラメータリスト補完処理部15によりデータ特性ルールに基づきパラメータリストを補完させる。
【0068】
ここで、データ特性ルールのルール2及びルール3の設定内容について図12A図12B及び図13を用いて説明する。なお、各図とも横軸はデータが取得された時刻を示し、縦軸は、名称は異なるものの全てセンサーの出力データ値を示す。
【0069】
データ記憶部41に蓄積される機器に関するデータが、例えば室温の設定温度だとすると、その設定温度は、図12Aに例示したように頻繁に上下動せず一定値が連続するような特性を持つデータである。そして、設定温度が変更された場合に値が瞬時に変化し、また変化量は所定値(例えば、0.1℃)の整数倍である。これに対し、室温の測定値は、図12Bに例示したように一定値が連続せず、設定値とは異なり上下動しうる特性を持つデータである。データ特性ルールのルール2は、パラメータ2のデータの取り得る値が所定時間内、例えば1時間以内に10個未満である、換言すると1時間以内では10回以上、データ値が変化しない、すなわちパラメータ2は設定値に相当するデータ関連情報が設定されるべきと考えられる。なお、設定値と測定値との閾値を意味する“10”は、データの特性に応じて適切な値を設定すればよい。
【0070】
また、データ記憶部41に蓄積される機器に関するデータが、例えば給気温度だとすると、給気温度は、図13に例示したように機器の設置場所等によって上下限が決められる特性を持つデータである。ルール3は、パラメータ1のデータの取り得る値が1より大きく10未満であるデータであることを示している。なお、上限値“10”と下限値“1”は、データの特性に応じて適切な値を設定すればよい。
【0071】
図14は、データ関連情報群に含まれるデータ関連情報の一部のデータ設定例を示した図である。この例のようにエンティティ名及びプロパティ名が同じ場合、“B1F系統空調機シナリオ”のパラメータ1に該当するデータ関連情報が2つ存在することになる。もちろん、これらのデータ関連情報のうち一方は、人的ミスにより表記に誤りがある。このような場合も、例えばルール2やルール3のようなルールを適用することによって正しいデータ関連情報を特定することが可能になる。
【0072】
ところで、データ関連情報記憶部21に登録されているデータ関連情報のエンティティ名またはプロパティ名の少なくとも一方の表記が正しくないためにパラメータリスト生成部14によってパラメータが欠落したパラメータリストが生成されることになるが、これは、上記の通り、パラメータリスト補完処理部15により補完される。しかし、このままでは、データ関連情報記憶部21の設定内容が正しくないままである。そこで、本実施の形態では、修正・補完処理部16を設け、正しくないエンティティ名及びプロパティ名を修正・補完できるようにした。すなわち、パラメータリスト補完処理部15によりパラメータが補完されたことを検出すると、あるいは、図14に例示したように重複したデータ関連情報の中から正しいデータ関連情報が選択されると、制御部18は、修正・補完処理部16を起動する。修正・補完処理部16は、起動されると、パラメータリスト補完処理部15が完成させたパラメータリストに対応するシナリオ(エンティティ名)のデータ関連情報、あるいは1組のデータ関連情報をディスプレイ58に表示して、正しくない表記を含むデータ関連情報のエンティティ名やプロパティ名等を管理者等に修正させる。
【0073】
以上のようにして、データ関連情報記憶部21及びパラメータリスト記憶部23の設定内容が修正・補完されると、データ関連情報出力部17は、処理対象の複数のデータ関連情報をデータ関連情報記憶部21から、そのデータ関連情報に基づき生成された1又は複数のエンティティのパラメータリストをパラメータリスト記憶部23からそれぞれ読み出し、この読み出したデータ関連情報(群)とパラメータリストとを組にしてデータ抽出装置6に出力する。そして、前述したように、分析装置7は、分析対象の機器の分析や診断等を行う。
【符号の説明】
【0074】
1 建物、2 ネットワーク、3 データ収集装置、4 データ管理システム、5 データ関連情報生成装置、6 データ抽出装置、7 分析装置、10 データ関連情報処理装置、11 データ関連情報取得部、12 エンティティ名変換部、13 プロパティ名変換部、14 パラメータリスト生成部、15 パラメータリスト補完処理部、16 修正・補完処理部、17 データ関連情報出力部、18 制御部、21 データ関連情報記憶部、22 生成ルール記憶部、23 パラメータリスト記憶部、24 データ特性ルール記憶部、41 データ記憶部、42 データ名称リスト記憶部、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 ハードディスクドライブ(HDD)、55 HDDコントローラ、56 マウス、57 キーボード、58 ディスプレイ、59 入出力コントローラ、60 ネットワークコントローラ、61 内部バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14