(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290784
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】操作部と真正保証機能を有する開き蓋ロック機構
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20180226BHJP
B65D 55/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
B65D47/08 110
B65D55/02
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-528881(P2014-528881)
(86)(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公表番号】特表2014-528876(P2014-528876A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】EP2012003509
(87)【国際公開番号】WO2013034246
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年8月17日
(31)【優先権主張番号】102011112615.9
(32)【優先日】2011年9月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513279593
【氏名又は名称】クラルマン クンストシュトッフフェアアルバイトゥング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ゴネルト、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クラルマン、ケルスティン
(72)【発明者】
【氏名】クラルマン、ライナー
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−118344(JP,U)
【文献】
特開2002−205757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
B65D 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサ開口(12)を有する基部(11)と、前記基部(11)に旋回自在に支持され前記基部(11)の上に装着されているロック位置において前記ディスペンサ開口(12)を閉塞する蓋(16)と、前記基部(11)に一体に接続され静止位置と操作位置との間で変位可能に前記基部(11)に支持されている操作部(20)とを備え、前記操作部(20)が操作位置にあるときに前記蓋(16)がロック位置から開放位置の方向に変位可能である、容器(B)上に装着するための真正インジケータを備えたプラスチック製の開き蓋ロック機構(10)において、
前記操作部(20)が設定破壊箇所として作用する少なくとも1つの可撓片(21)のみを介して前記基部(11)に接続され、前記可撓片(21)が前記操作部(20)の操作位置へ最初に変位する際に破壊されるように前記真正インジケータとして作用し、前記操作部(20)が前記可撓片(21)の破壊時に前記基部(11)から外されて前記基部(11)に対して変位自在に構成されていることを特徴とする開き蓋ロック機構。
【請求項2】
前記可撓片(21)が、蝶番ヒンジを構成していることを特徴とする請求項1記載の開き蓋ロック機構。
【請求項3】
前記可撓片(21)が、前記基部(11)の外側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の開き蓋ロック機構。
【請求項4】
前記可撓片(21)が、前記操作部(20)の指当て(27)に境接配置されていることを特徴とする請求項1から3の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項5】
前記操作部(20)が、前記基部(11)にスライド可能に支持されていることを特徴とする請求項1から4の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項6】
前記操作部(20)が、前記基部(11)に嵌め合い結合で支持されていることを特徴とする請求項1から5の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項7】
前記操作部(20)が、前記基部(11)に係止されていることを特徴とする請求項6記載の開き蓋ロック機構。
【請求項8】
前記蓋(16)が、一体に前記基部(11)に接続されていることを特徴とする請求項1から7の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項9】
前記蓋(16)が、少なくとも1つのヒンジ帯(18)を介して前記基部(11)に接続されていることを特徴とする請求項1から8の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項10】
前記蓋(16)が、少なくとも1つのばね片(19)を介して前記基部(11)に接続されていることを特徴とする請求項1から9の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項11】
前記ばね片(19)が、前記蓋(16)をその開放位置およびロック位置の少なくとも一方に付勢していることを特徴とする請求項10記載の開き蓋ロック機構。
【請求項12】
前記蓋(16)が、そのロック位置において嵌め合い結合的に前記操作部(20)に係合することを特徴とする請求項1から11の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項13】
前記蓋(16)が第1の係合部(34)を有し、この係合部が前記蓋(16)のロック位置において前記操作部(20)の第2の係合部(35)と係合することを特徴とする請求項1から12の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項14】
両係合部(34、35)が、前記操作部(20)の操作時に係合を外されることを特徴とする請求項13記載の開き蓋ロック機構。
【請求項15】
前記蓋(16)が少なくとも1つの突起(28)を有し、この突起が前記基部(11)を前記蓋(16)のロック位置において開口(29)に係合することを特徴とする請求項12から14の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項16】
前記蓋(16)と前記操作部(20)が、対角線上に対向する範囲で前記基部(11)に接続されることを特徴とする請求項1から15の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項17】
前記操作部(20)が、その操作位置において前記蓋(16)に当接し、前記蓋(16)を開放位置の方向に付勢することを特徴とする請求項1から16の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項18】
前記基部(11)がキャップ状に形成され、その外周面(11a)に切欠き(15)を有し、その中に前記操作部(20)が指当て(27)とともに配置されていることを特徴とする請求項1から17の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項19】
前記操作部(20)がケース状に形成され、前記基部(11)が前記操作部(20)の中に配置されていることを特徴とする請求項1から17の1つに記載の開き蓋ロック機構。
【請求項20】
前記基部(11)、前記蓋(16)および前記操作部(20)が一体のプラスチック射出成形品として形成され、前記操作部(20)が前記基部(11)の外側に配置されて前記基部(11)と前記可撓片(21)を介して接続され、続いて前記操作部(20)が前記可撓片(21)を介して旋回(矢印S1)されて前記基部(11)の内室に配置され、前記基部(11)の外周面(11a)の切欠き(15)に係合し、
前記操作部(20)が、前記基部(11)にスライド可能に保持されるように係止されることを特徴とする請求項1から18の1つに記載の開き蓋ロック機構の製造および組み立て方法。
【請求項21】
前記基部(11)、前記蓋(16)および前記操作部(20)が一体のプラスチック射出成形品として形成され、前記操作部(20)が前記基部(11)の外側に配置されて前記基部(11)と前記可撓片(21)を介して接続され、続いて前記操作部(20)が前記可撓片(21)を介して旋回(矢印S3)されて前記基部(11)をその内室に収容し、前記基部(11)が前記操作部(20)の外周面(20a)の切欠き(20b)に係合し、
前記操作部(20)が、前記基部(11)にスライド可能に保持されるように係止されることを特徴とする請求項1から17、および19の1つに記載の開き蓋ロック機構の製造および組み立て方法。
【請求項22】
前記蓋(16)と前記操作部(20)が、対角線上に対向する範囲で前記基部(11)に接続されることを特徴とする請求項20または21記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサ開口を有する基部と、基部に旋回自在に支持され基部に装着されているロック位置においてディスペンサ開口を閉塞する蓋と、基部に一体に接続され静止位置と操作位置とに変位可能に基部に支持されている操作部とを備え、操作部が操作位置にあるときに蓋がロック位置から開放位置方向に変位可能である、容器上に装着するためのプラスチック製の開き蓋ロック機構に関する。
【0002】
さらに本発明は、このような開き蓋ロック機構の製造および組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0003】
この種の開き蓋ロック機構は、一般に、瓶や缶、またはたとえばクリーム、液状せっけん、練り歯磨き、または流入または注入可能な製品を収容できる、その他の容器を必要に応じて簡単に、使用者が容器を掴んでいる手の一本の指で操作部を変位して蓋を開くようにして、開けるのに用いられている。これにより、蓋を開いて容器に入っている製品にアクセスするための、いわゆるワンハンド操作が可能となる。このような開き蓋ロック機構は、特許文献1に開示されている。
【0004】
この種の開き蓋ロック機構は、ほぼ円筒状の基部を有しており、これに蓋がヒンジ接続されている。基部の内部には、操作部が旋回自在に支持されており、これに使用者が開き蓋ロック機構の閉塞状態で押圧力を加え、操作部を回転軸を介して旋回させて、蓋をその開放位置に上方に押すようになっている。
【0005】
基部、蓋および操作部は、一体のプラスチック射出成形品として形成されており、蓋はヒンジ帯を介して基部に接続されている。
【0006】
操作部は、異なる側に配置された2つのねじれピンを介して基部に一体に接続される。ねじれピンは、操作部の旋回軸を規定し、操作部に対する復帰力がねじれピンの内部応力から得られるようにされている。
【0007】
操作部は、公知の開き蓋ロック機構では基部の上側にディスペンサ開口の近くに配置される。これは、製品が使用時に基部と操作部との間の中間室に入り込むという欠点を有する。ある種の製品では、これは衛生上の理由から許すことができず、基部に対する操作部の変位が付着した製品残部により妨げられる恐れがある。
【0008】
さらに公知の開き蓋ロック機構は、ねじれピンの形成に複雑な工具が必要なので、製造に多大の労力を要する。
【0009】
多くの製品では、開き蓋ロック機構がまだ開けられていないことを使用者が認識することが望まれている。この種のいわゆる真正インジケータは公知の開き蓋ロック機構では、たとえば開き蓋ロック機構にフィルムを張るなどして、後から取り付けなければならない。これは労力を要し、コストが掛る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第2035292B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、簡単に製造できるとともに、真正インジケータを組み込んだ、上述の種類の開き蓋ロック機構を提供することにある。
【0012】
さらに、迅速にかつコスト的に有利に実施できる、この種の開き蓋ロック機構の製造および組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開き蓋ロック機構に関しては、上記の課題は請求項1の特徴を有する開き蓋ロック機構により解決される。
【0014】
この場合、操作部は設定破壊箇所として用いられる少なくとも1つの可撓片を介して基部に接続され、可撓片は操作位置への操作部の最初の変位の際に破壊されるようになっている。
【0015】
本発明による開き蓋ロック機構でも、蓋および操作部はなかんずく基部とともに一体のプラスチック射出成型品として形成される。この場合、操作部はなかんずく可撓片を介して基部に接続される。使用者が蓋を開けるために、操作部をその操作位置に変位させると直ちに、可撓片は破壊される。このようにして可撓片は、使用者により簡単に認識できる真正インジケータとして用いられる。
【0016】
本発明の有利な実施態様では、操作部は可撓片のみを介して基部に接続される。可撓片の破壊後操作部は基部から開放されるが、基部には変位可能に保持されており、したがって浮動的に支持される。
【0017】
可撓片は、たとえば帯状に形成される蝶番ヒンジを形成すると有利である。このようにすれば、操作部を後述する開き蓋ロック機構の組み立てのため可撓片を介して旋回させて、組み立て位置に変位させることが可能となる。この場合、可撓片を介して基部と操作部を接続することは、この両部材が組み立て前に所望の設定位置をとることを保証する。
【0018】
本発明の有利な実施態様では、可撓片は基部の外側に配置される。このようにすれば、可撓片は使用者により簡単に認知可能となる。
【0019】
好適には、可撓片は操作部の指当てに境接して配置される。使用者は、操作部に変位力を及ぼすために指当てに指をあてる。可撓片が、指当てに直接境接配置されていれば、これにより使用者により加えられる力が短距離で可撓片に導かれ、その破壊に役立てられることが保証される。さらに使用者は、指当てを通常は開き蓋ロック機構を開く際に目視するので、可撓片が既に破壊されているか、まだ無傷であるかを直ちに認識できる。
【0020】
可撓片が操作部の最初の変位で破壊された後に、操作部は基部から開放されて基部に対して自由に変位可能となる。所定の変位運動を得るためには、本発明の別の実施態様において、操作部が基部にスライド自在に支持される。これはたとえば、操作部が嵌め合い結合で特に係止により基部に保持されることにより達成される。操作部は、これによりその静止位置とその操作位置との間で一定に変位可能となり、操作部は基部に保持され案内される。
【0021】
第1の実施態様では、操作部はケースとして形成された基部の内部に配置され、この中で変位できるように支持される。しかし、代替的に操作部をケース状に形成し、基部を操作部の内部に配置することも可能である。この種の態様では、操作部は基部を取り囲み、同様に基部に対してスライド可能に支持される。
【0022】
蓋も基部に一体に接続されれば、基部、操作部および蓋が一体のプラスチック射出成型品として作ることができるので有利である。この場合、特に蓋はそれ自体は公知のように、蝶番ヒンジを形成する、少なくとも1つのヒンジ帯を介して基部と接続される。
【0023】
これに付加的にまたは代替的に、蓋は少なくとも1つのばね片を介して基部に接続されるようにすることもできる。
【0024】
1つのばね片または複数のばね片は、蓋をその開放位置に付勢する力を蓋に及ぼすように規定され位置決めされる。この結果蓋は、操作部の操作により基部との係合を解かれると直ちにその開放位置に自動的に旋回する。
【0025】
好適には、ばね片は、ばねを負荷されたトグルレバーの形で変形状態に応じてばね力を種々の方向に及ぼすように規定され調整される。蓋がその閉塞位置から開放位置へ動かされると、まず蓋をその閉塞位置にもたらしているばね片のばね力が解放される。いわゆる切換点に、ばね片の一定の変形が到達すると、ばね片のばね力は反対方向、すなわち蓋の開放位置の方向へ作用する。このようにして、ばね片は、蓋を切換点に到達後に確実にその開放位置に変位させるようにする蓋の開き運動も、また蓋を切換点に到達後に閉塞位置に付勢させるようにする蓋の閉塞運動も助成する。
【0026】
蓋は、その閉塞位置において基部上に摩擦による力結合または締付けまたは嵌め合いにより保持することができる。この場合、蓋はその閉塞位置において操作部と嵌め合い結合するようにできる。この目的のため、蓋は第1の係合部を有するようにし、これが蓋の閉塞位置において操作部の第2の係合部と係合できるようにされる。たとえば蓋は、基部を蓋の閉塞位置において開口に係合させる少なくとも1つの突起を有することができる。使用者が操作部を操作すれば、両係合部は係合を外されるので、蓋はその操作部における嵌め合い保持状態から開放されて開放位置へ変位することができる。
【0027】
基部は、別の実施態様では、筒状の基本形状および特に円筒状の基本形状を有し、その際蓋および操作部は基部の対角線上の範囲において基部と接続されることができる。
【0028】
本発明の有利な実施態様では、基部はキャップ状に形成され、上面および外周面を有することができる。外周面には切欠きが設けられ、組み立て状態では殆ど基部の内部に配置される操作部が基部の壁部にその指当てで係合するようにすることができる。
【0029】
代替的に、操作部をケース状に形成し、基部を操作部内に配置することも可能である。この場合にも、蓋と操作部は基部の対角線上にある範囲で基部に接続される。この実施態様では、操作部の外周面に切欠きが設けられ、組み立て状態では殆ど操作部の内部に配置される基部が、蓋を取り付けている部分で操作部の壁部に係合するようにすることができる。
【0030】
操作部は変位可能であり、好適にはスライドできるように基部に支持される。操作部が使用者により操作位置に変位されると、操作部は蓋に作用し、蓋を操作部および/または基部との係合から解放し、これにより蓋は好適には自動的にその開放位置へ旋回する。この場合、本発明の更なる展開において、操作部はその操作位置において少なくとも1箇所、特に互いに間隔を置いた少なくとも2つの箇所で蓋と当接し、蓋をこれにより開放位置へ付勢するようにすることができる。操作部は、蓋を基部に取り付ける少なくとも1つのヒンジ帯の近くまたはこのヒンジ帯で蓋に作用するようにすると有利である。別の箇所は、対角線上に対向する蓋の端部に操作部の指当ての近くに設けると有利である。
【0031】
方法に関する上述の課題は、第1の実施態様では以下の工程を有する開き蓋ロック機構の製造および組み立て方法により解決される。
【0032】
まず基部、蓋および操作部が一体のプラスチック射出成型品として作られ、操作部が基部の外側に配置されて蓋と可撓片を介して接続される。可撓片に対角線上に対向する基部の端部に蓋が少なくとも1つのヒンジ帯を介して形成されるので、操作部、基部および蓋はこの順序で配列される。
【0033】
プラスチック射出成型品が十分な安定性を示すようになった後で、操作部が基部に対して可撓片を介して旋回されるので、操作部は下側から鉢またはキャップ状の基部の内室に入りそこに配置され、基部の外周面の切欠きに操作部が係合する。操作部が基部の内部に保持され、そこから外れないようにすると有利である。これは、たとえば操作部が基部に係止されることにより達成できる。この場合、係止は、操作部が基部内でスライドできるように保持されるように設定される。
【0034】
方法の第2の実施態様は、以下の工程を有する。
【0035】
一体のプラスチック射出成型品としての開き蓋ロック機構の製造は、上述のようにして行われる。プラスチック射出成型品が十分な安定性を示すようになった後で、操作部が基部に対して可撓片を介して旋回されるので、操作部は下側から基部の周りに配置され、すなわち基部はケース状の操作部の内室に配置され、操作部の外周面の切欠きに基部が係合する。その際操作部および基部は互いに相対的にたとえば係止により互いに離れないように保持され、操作部が基部にスライドできるように保持される。
【0036】
所望の場合、蓋が少なくとも1つのヒンジ帯を介して旋回され、基部に締付けまたは係止されるようにすることができる。
【0037】
操作部およびまた蓋の旋回運動のために十分な構造空間を与えるために、蓋および操作部が対角線上に対向する基部の箇所で基部に接続されるようにすると有利である。
【0038】
本発明方法の別の特徴は、本発明による開き蓋ロック機構の前述および/または後述の記載から明らかにされる。
【0039】
本発明のさらなる詳細および特徴は、以下の図面を参照した実施例の説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は第1の実施例による開き蓋ロック機構の組み立て前の前面斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示した開き蓋ロック機構の背面斜視図である。
【
図3】
図3は組み立て後の開き蓋ロック機構の上面斜視図である。
【
図5】
図5は
図3に示した開き蓋ロック機構の垂直断面図である。
【
図6】
図6は第2の実施例による開き蓋ロック機構の組み立て前の前面斜視図である。
【
図7】
図7は
図6に示した開き蓋ロック機構の背面斜視図である。
【
図8】
図8は組み立て後の開き蓋ロック機構の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および
図2は、一体のプラスチック射出成形品として作られた後の開き蓋ロック機構10を示す。開き蓋ロック機構10は中央に基部11を有し、その基部の対角線上に対向する範囲に蓋16と操作部20が接続されている。
【0042】
基部11はキャップ状の基本形状を有し、その上側にディスペンサ開口12を有する。さらに、上側には開口29が形成され、これに蓋16の突起28が係合することができる。ディスペンサ開口12と開口29を除き、基部11の上側は平滑な何もない表面であり、製品の残りによる開き蓋ロック機構10の汚れまたは機能障害が殆ど避けられるようになっている。
【0043】
基部11は、さらに外周面11aを有し、操作部20の近くに切欠き15が設けられている。
【0044】
基部11の内部には、内ねじ14を有する短管状の中央突起13が形成されており、この内ねじにより開き蓋ロック機構
10が破線だけで示した容器B(
図5参照)の上にねじ止めできるようになっている。その代わりに、開き蓋ロック機構
10は容器Bの上に被せたり押し込んだりすることも可能である。
【0045】
基部11の外周面11aの内側には、基部11の中心に向かって突出する複数のリブ24が形成されており、リブはそれぞれ係止用切欠き25を有している。
【0046】
基部11の円周範囲の一部に蓋16が、基部11の円周方向に互いに間隔を置いている2つのヒンジ帯18を介して一体に接続されている。ヒンジ帯18の間には、同様に一体に形成された1つの帯状のばね片19が設けられている。蓋16が、
図1、
図2に示した基部11の横側に配置されている開放位置から、基部11の上側に配置される
図3から
図5に示したロック位置に旋回されると、ばね片19に内部応力が生じ、これにより蓋16は切換点に到達するまではその開放位置の方向に付勢され、切換点の通過後はそのロック位置の方向に付勢されている。
【0047】
蓋16は、ほぼキャップ状に形成され、ロック位置で基部11に向く下側に栓17を有しており、この栓はロック位置でディスペンサ開口12に係合してこれを閉塞する(
図5参照)。さらに蓋には、栓17とずれた位置に突起28が形成され、この突起は蓋16のロック位置で基部11の上側にある開口29に係合し、その先端が基部11の内室に突出する。
【0048】
ばね片19は、蓋16のロック位置で基部11に向く内側表面に突起32を有しており(
図5参照)、この突起は蓋16のロック位置で若干基部11の内室に突出している。
【0049】
蓋16に対角線上に対向する基部11の範囲には、操作部20が取り付けられる。操作部20は、基部11の外周面11aの上縁部に接続されて蝶番として作用するヒンジ21だけで基部11と接続されている。操作部20は、指当て27として用いられる部材を有しており、これは基部11の近くに配置され、その上側に凹み30とその隣りにスライド片31を有している。凹み30の側方には、ハーケン状の第2の係合部35が配置され、これは蓋16の第1の係合部34とそのロック位置で係合し、蓋16の持ち上がりもしくはロック位置からの変位を防いでいる。
【0050】
蓋16と反対側の指当て27の端部では、操作部20は中央の切欠き23を取り囲む枠33として形成されている。中央の切欠き23と反対側の枠33の外側には、複数の桟状の係止用突起26が形成されている。
【0051】
ヒンジ21と反対側に操作部20はスライド板22有しており、これは基部11と反対方向に突出している。
【0052】
以下に、開き蓋ロック機構10の製造と組み立てについて説明する。開き蓋ロック機構10は、
図1、
図2に示すように一体のプラスチック射出成形品として形成され、操作部20、基部11および蓋16はこの順序で一体に順次配列されている。開き蓋ロック機構10の組み立てには、まず操作部20がヒンジ21を介して旋回され(
図2の矢印S
1参照)、基部11の外周面11aにある切欠き15を通って下側から基部11の内室に入る。その際枠33が基部11の短管状の突起13を取り囲み、操作部20の係止用突起26が基部11のリブ24の係止用切欠き15に係合する。このようにすれば、操作部20はもはや基部11から外れなくなる。操作部20と基部11との間の係止は、操作部20が基部11の半径方向に変位またはスライドできるように選ばれるが、操作部20はヒンジ21によりとりあえずこれをできないようにされている。この組み立て位置において操作部20の凹み30は第2の係合部35とともに基部11の開口29の下側に位置決めされる。
【0053】
続いて、蓋16がヒンジ帯18を介して旋回される(
図1の矢印S
2参照)ので、蓋16は基部11の上側に装着される。このロック位置(
図5参照)において、栓17がディスペンサ開口12に挿入されてこれを閉塞する。突起28は、基部11の上側にある開口29に係合する。開口29の下側では、組み立て状態において操作部20の凹み30が配置され、これに突起28が係合し、その第1の係合部34が操作部20の第2の係合部35と係合し、蓋16をそのロック位置に保持する。操作部20のスライド片31はこの状態で突起28の近くにあり、操作部20のスライド板22は
図5に示すようにばね片19の突起32のごく近くにある。
【0054】
開き蓋ロック機構10は、容器に製品を充填した後に容器にねじ止めまたは押し止めされる。
【0055】
使用者が容器に装着された開き蓋ロック機構10を開くときには、使用者は外側から基部11から側方に突出している操作部20の指当て27を押すことにより、この操作部には半径方向内側に向かう力P(
図3、
図5参照)が加わる。この力Pにより、操作部20を蓋16に接続しているヒンジ21が破壊される。これにより操作部20は基部11から開放され、基部内でスライド可能になる。操作部20のスライドにより、まず操作部20の第2の係合部35が蓋16の第1の係合部34から外され、蓋16をこれにより解放する。続いてスライド片31が蓋16の突起28に当接し、これを上方に基部11の開口29から引き出す。その直後に操作部20のスライド板22がばね片19の突起32に当接し、ばね片に蓋16の開放位置方向に力を及ぼす。操作部20のスライドは、従って蓋16のその開放位置方向への初期の旋回作用を生じ、蓋16の栓17は基部11のディスペンサ開口12から上方に引き出される。蓋16がばね片19のばね力の切換点を通過すると直ちに、蓋はばね片19の内力によりその開放位置に旋回する。
【0056】
ヒンジ21が操作部20の最初の操作時に操作部20と蓋16の間で破壊するので、ヒンジは真正インジケータとして作用し、使用者はいつでも、操作部20が既に一度スライドし従って蓋16が既に開けられたかどうかを知ることができる。
【0057】
図6から
図10には、開き蓋ロック機構10の第2の実施態様が示されている。この際、第1の実施態様と同一または差し当たり機能的に同様に作用する部材には
図1から
図5と同じ符号を付しており、その説明はここでも参照することにする。
【0058】
第2の実施態様でも、開き蓋ロック機構10は一体のプラスチック射出成形品として形成され、中央の基部11を有しており、これに対角線上に対向する範囲に蓋16と操作部20が接続されている。第1の実施態様とは異なり、基部はコンパクトで箱状の基本形状を有し、その外側にはレール上の係止用突起36を担持している。
【0059】
基部11の端部には、蓋16が蝶番として作用するヒンジ帯18を介して一体に接続されている。ヒンジ帯18の近くには、2つのばね片19が取り付けられており、これらは蓋16を前述のようにその旋回位置に応じて開放位置の方向またはロック位置の方向への付勢している。蓋16は、前述のように栓17で基部のディスペンサ開口12に挿入される。さらに、蓋16には側方の突起28が取り付けられ、蓋16のロック位置で操作部20の方向に突出しており、そこに形成された凹み30に係合する。
【0060】
基部11と対角線上に対向する蓋16の範囲に操作部20が取り付けられ、蝶番として作用するヒンジ21を介して基部11に接続されている。第1の実施態様とは異なり、操作部20はケース状に円筒状の基本形態で形成されており、操作部20の外周面20aには切欠き20bが形成される。
【0061】
操作部20の内部には、同様に複数の係止用突起26が取り付けられ、基部のレール状の係止用突起36と係合するようになっている。
【0062】
開き蓋ロック機構10が一体のプラスチック射出成形品として作られた後で、蓋がヒンジ帯18を介して旋回して(
図6の矢印S
2参照)基部11に装着されることにより基部11上のそのロック位置に変位させられ、その栓17がディスペンサ開口12に入りこれを閉塞する。続いて操作部20が、組み立てのためヒンジ21を介して旋回され、基部11は操作部20の内室に入り、ケース状の操作部20が基部11を内部に収容し、これを取り囲む。この際係止用突起26が係止用突起36と係合するので、基部11に対する操作部20の変位またはスライドが可能となるが、この変位はヒンジ21が破壊しない限りヒンジ21により妨げられる。
【0063】
開き蓋ロック機構10は、容器に製品が充填された後に容器Bの上に装着される。
【0064】
使用者が最初に指当て27に力P(
図8、
図10参照)を加えると、ヒンジ21が破壊されるので、操作部20は蓋16から解放される。操作部20の以後の運動および蓋16の突起28と操作部20の凹み30との当接により蓋16は操作部20から持ち上げられ、ばね片19のばね作用によりそのロック位置から開放位置へ旋回し、蓋16の栓17がディスペンサ開口12から引き出され、ディスペンサ開口12が開放される。
【符号の説明】
【0065】
10 開き蓋ロック機構
11 基部
12 ディスペンサ開口
13 短管状中央突起
14 内ねじ
15 切欠き
16 蓋
17 栓
18 ヒンジ帯
19 ばね片
20 操作部
21 ヒンジ
22 スライド板
23 切欠き
24 リブ
25 係止用切欠き
26 係止用突起
27 指当て
28 突起
29 開口
30 凹み
31 スライド片
32 突起
33 枠
B 容器
P 押圧力