(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290790
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】廃棄物ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04F 1/14 20060101AFI20180226BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20180226BHJP
E03F 5/22 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
F04F1/14 Z
C02F11/00 AZAB
C02F11/00 Z
E03F5/22
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-552688(P2014-552688)
(86)(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公表番号】特表2015-512008(P2015-512008A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】GB2013050097
(87)【国際公開番号】WO2013108028
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2016年1月7日
(31)【優先権主張番号】1200970.0
(32)【優先日】2012年1月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514093291
【氏名又は名称】カリル アブ アル ルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】カリル アブ アル ルブ
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭52−119505(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第3719068(DE,A1)
【文献】
特開昭51−015222(JP,A)
【文献】
実開昭60−008499(JP,U)
【文献】
特開2000−266000(JP,A)
【文献】
特開昭48−060078(JP,A)
【文献】
特開2003−096855(JP,A)
【文献】
特開2000−288591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 1/14
C02F 11/00
E03F 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を圧送するための圧送装置であって、
廃棄物を受入れるための入口と廃棄物を送出するための出口とを有する、廃棄物を貯留するための廃棄物チャンバと;
廃棄物を受入れるための入口からの受入れ廃棄物を制御するための第1のバルブと;
廃棄物を送出するための出口を通る送出廃棄物を制御するための第2のバルブと;
を含み、;
圧送装置はさらに、
ポンプと、
圧力チャンバであって、第3のバルブを介するポンプと廃棄物チャンバとの間に接続され、ポンプにより生成された圧力を貯蔵する、圧力チャンバと、
をさらに含み、
ポンプは、圧力チャンバ内部の圧力を上昇させるように作動可能であり;
圧力チャンバが、第1および第2および第3のバルブが閉鎖されている場合に、貯留された圧力を廃棄物チャンバ内に選択的に放出するようにされていて、
廃棄物は、第2のバルブが開放された場合に廃棄物チャンバ内部の圧力により第2のバルブを通って廃棄物チャンバから押し出される、
ことを特徴とする圧送装置。
【請求項2】
さらに廃棄物チャンバ内に浸軟機を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の圧送装置。
【請求項3】
第1および第2のバルブが閉鎖されている場合、廃棄物チャンバの周囲の廃棄物の流れを可能にするためのバイパス導管をさらに含む、ことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の圧送装置。
【請求項4】
バイパス導管が、その中への廃棄物の流れを制御するための流入バルブと、バイパス導管から外への廃棄物の流れを制御するための流出バルブとを有する、ことを特徴とする請求項3に記載の圧送装置。
【請求項5】
廃棄物チャンバ内の廃棄物レベルセンサーをさらに含み、
廃棄物チャンバ内の廃棄物レベルが既定のレベルを超えた場合に、廃棄物が廃棄物チャンバから押し出される、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧送装置。
【請求項6】
さらにクロックを含み、廃棄物チャンバの作動が、クロックにより提供される一日の時刻によって左右される、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧送装置。
【請求項7】
さらに、廃棄物チャンバ出力端に結合された真空チャンバを含み、真空チャンバが入口と出口を有する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の圧送装置。
【請求項8】
ポンプが、真空チャンバ内の圧力を低下させるように作動可能である、ことを特徴とする請求項7に記載の圧送装置。
【請求項9】
さらに真空チャンバ出力端に1つのバルブを含み、
圧力チャンバ内の圧力が真空チャンバ内の圧力よりも高い場合に、圧力チャンバ出力端および真空チャンバ出力端を開放するように作動可能である、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の圧送装置。
【請求項10】
圧力チャンバの出力端が真空チャンバの出力端の開放に先行して開放される、ことを特徴とする請求項9に記載の圧送装置。
【請求項11】
ポンプと浸軟機が単一のモーターにより動力供給されている、ことを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の圧送装置。
【請求項12】
ポンプと浸軟機が相互連通されている、ことを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の圧送装置。
【請求項13】
廃棄物を圧送する方法において、
(i)第1のバルブを開放して廃棄物が廃棄物チャンバ内に流れることができるようにし、第2のバルブを閉鎖して廃棄物が廃棄物容器から外に流れるのを停止させるステップと;
(ii)第1のバルブを閉鎖して、廃棄物が廃棄物チャンバ内に流れるのを停止させるステップと;
(iii)ポンプと廃棄物チャンバとの間に接続された圧力チャンバ内の圧力を増大させるステップであって、ポンプによって生み出された圧力が第3のバルブを介して前記圧力チャンバに供給される、圧力チャンバ内の圧力を増大させるステップと;
(iv)廃棄物チャンバ内部の圧力を廃棄物チャンバの外側の圧力よりも高くなるよう上昇させるために圧力チャンバに蓄積された圧力を選択的に放出するステップであって、ポンプと圧力チャンバとの間の第3のバルブが閉じられたときに圧力が選択的に放出される、圧力チャンバに蓄積された圧力を選択的に放出するステップと;
(v)第2のバルブを開放して廃棄物が廃棄物チャンバから外に流れることができるようにするステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
浸軟機を用いて、廃棄物チャンバ内部で廃棄物を浸軟するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
廃棄物チャンバに結合されているものの廃棄物チャンバから閉鎖されている真空チャンバ内部の圧力を低下させるステップと;
廃棄物チャンバを真空チャンバに対して開放するステップと;
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
ポンプが、真空チャンバから廃棄物チャンバ内へ流体を圧送して、真空チャンバと廃棄物チャンバの圧力を改変する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
廃棄物レベルセンサーが検出する廃棄物チャンバ内の廃棄物の量が既定の閾値を超えるまで、第1のバルブが閉鎖されない、ことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
第1のバルブの閉鎖が、クロックにより提供される一日の時刻によって左右される、ことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を圧送するための圧送装置および廃棄物の圧送方法に関する。より具体的には、本発明は、貯留された圧力を用いて廃棄物を圧送する装置および対応する使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物は、食品廃棄物;新鮮な飲料水(白水(white water));例えばバスタブ、シャワー、シンク、洗たく機などのトイレ以外の家庭用設備に由来する水(家庭雑排水(greywater));または下水および/または汚水(黒色廃棄物(black waste))であり得る。
【0003】
シンク、シャワー、トイレなどのサニタリー品目が排水管の近傍または排水管のレベルよりも下に設置されている場合、廃棄物に対し作用して廃棄物を排水管に沿って押し出す重力は、低いかさらには負ということもあり得る、すなわち廃棄物を排水管に沿って流れさせるには不充分なものであり得る。この問題を克服するために、移動させるべき廃棄物が存在する場合に起動されるポンプによって排水管に沿って廃棄物を圧送することもある。
【0004】
浸軟式トイレは、粉砕または混合用機構を使用して人間の排泄物をスラリー化し、このスラリーを次にポンプによって移動させることができる。浸軟されたスラリーを下水システム内に圧送するためには、ほとんどの場合、電動ポンプが使用される。
【0005】
浸軟式トイレの用途向けではない浸軟ユニットは、超音波装置によって提供される場合がある。下水スラッジの超音波崩壊は、一つの浸軟水処理技術である。下水に及ぼされる超音波エネルギーは、細菌細胞と分解困難な有機物の両方を機械的に破壊する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の圧送機構の欠点は、スラリーを圧送するのに必要とされる強力な圧送に起因してポンプの騒音が高いという点にある。ポンプは、廃棄物が下水道排水管に沿って移動させられている期間中作動させる必要がある。
【0007】
上述の浸軟および/または圧送装置は、船、トレーラハウス、共同住宅、家、および他の仮設または常設の構造物内で使用するためのものである。例えば住宅用利用分野においては、騒音が高くて煩わしい圧送は、明らかに、廃棄物ポンプの1つの望ましくない特徴である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、廃棄物を圧送するための圧送装置であって、
廃棄物を受入れるための入口と廃棄物を送出するための出口とを有する、廃棄物を貯留するための廃棄物チャンバと;
廃棄物チャンバに連結されたポンプと;
廃棄物チャンバ入口からの受入れ廃棄物を制御するための第1のバルブと;
廃棄物チャンバ出口を通る送出廃棄物を制御するための第2のバルブと、を含むものにおいて;
ポンプは、第1および第2のバルブが閉鎖されている場合に廃棄物チャンバ内部の圧力を上昇させるように作動可能であり;
廃棄物は、第2のバルブが開放された場合に廃棄物チャンバ内部の圧力により第2のバルブを通って廃棄物チャンバから押し出される、圧送装置が提供される。
圧送力は、廃棄物チャンバ内部に格納された圧力によって提供される。圧送の騒音は従来のポンプのものに比べて低く、圧送が必要とされる頻度は、廃棄物チャンバ内部に一定量の廃棄物を貯留できるために削減される。
この装置のさらなる利点は、複数のバルブによって、上流側の廃棄物源と下流側の下水システムまたはそれに類するものが分離されているという点にある。このバルブシステムは、昆虫およびそれに類するもの、例えばゴキブリが装置を通過して上流側の廃棄物源に到達し、その後、連結用下水システムを介して住居内に侵入するのを防ぐ障壁として作用する。装置は、その少なくとも1つのバルブが閉鎖されて上流側の管を下流側の管から遮断することを保証し得る。本発明の別の利点は、装置によって圧送される廃棄物が圧送作用により崩壊させられるという点にある。圧送圧力が高くなればなるほど、崩壊効果は大きくなる。
【0009】
好ましくは、圧送装置は、ポンプにより生成された圧力を貯留するための圧力チャンバをさらに含み、圧力チャンバは、貯留された圧力を廃棄物チャンバ内に選択的に放出する。この別個のチャンバは、任意の時点で圧力を蓄積してよく、したがって、廃棄物チャンバが閉鎖された場合の圧力の蓄積に限定されない。さらに、別個の圧力チャンバは、チャンバ内の圧力を上昇させるためにより低速の圧送を可能にすることから、さほど強力でないポンプしか必要とされず、システムにより生成される騒音をさらに削減する。
【0010】
好ましくは、圧送装置はさらに、廃棄物チャンバ内に浸軟機を含む。浸軟機は、回転羽根構造、超音波構造またはそれに類するものであってよい。浸軟機によって生成されるスラリーは、下水管などの管に沿ってより容易に圧送される。廃棄物チャンバ内に機械的浸軟機と共に、あるいはその代りとして超音波振動発生器を設置して、付随する廃棄物管に沿って容易に圧送され得るスラリーの形にあらゆる固形廃棄物を分解してよい。
【0011】
好ましくは、圧送装置は、第1および第2のバルブが閉鎖されている場合、廃棄物チャンバの周囲の廃棄物の流れを可能にするためのバイパス導管をさらに含む。好ましくは、バイパス導管は、その中への廃棄物の流れを制御するための流入バルブと、バイパス導管から外への廃棄物の流れを制御するための流出バルブとを有する。バイパス導管は、圧送装置の選択的使用を可能にする。圧送装置が正常に機能しなかった場合、バイパスは、廃棄物を補給するために通る代替的経路を提供する。同様に、バイパスは、1つ以上の他の圧送装置と直列に圧送装置を使用することを可能にする。
【0012】
好ましくは、圧送装置は、廃棄物チャンバ内の廃棄物レベルセンサーをさらに含み、ここで廃棄物チャンバ内の廃棄物レベルが既定のレベルを超えた場合に、廃棄物は廃棄物チャンバから押し出される。こうして、廃棄物チャンバが満杯になった場合にのみ圧送することによって、廃棄物の圧送のために最も効率良く動力を使用することが可能になる。代替的には、レベルセンサーは、破棄物の圧送を可能にすることで、廃棄物により占有されていない廃棄物容器内の空き容量を変動させて異なる圧送特性が得られるようにする。すなわち、廃棄物容器内により多くの空きスペースが存在すればするほどより多くの流体が廃棄物容器内に圧送され、こうして圧送装置の圧送能力を増大させることができる。
【0013】
好ましくは、液体廃棄物は、廃棄物チャンバが既定のレベルに達するまで、または固形廃棄物がチャンバ内に入る時点まで(追加の検出器を使用してよい)、廃棄物チャンバ内に貯留される。このとき機械的浸軟機または超音波装置などの浸軟用装置が起動させられて、圧送に好適なスラリーを生成する。貯留された廃棄物からの臭気の放出は、こうして最小限におさえられる。固形廃棄物の検出は、廃棄物チャンバ内の流体レベルセンサーおよび/または重量センサーによって行なわれてよい。
【0014】
好ましくは、圧送装置はさらにクロックを含み、ここで廃棄物チャンバの作動は、クロックにより提供される一日の時刻によって左右される。圧送頻度を操作して、一日および/または一週の間の期間における圧送を増減させてもよい。例えば、夜遅くに圧送が求められる確率を少なくするために夕方早くに圧送を始動させてもよい。
【0015】
好ましくは、圧送装置は、さらに、廃棄物チャンバ出力端に結合された真空チャンバを含み、この真空チャンバは入口と出口を有する。好ましくは、ポンプは、真空チャンバ内の圧力を低下させるように作動可能である。真空チャンバは、廃棄物の前後での圧力差を増大させ、こうして廃棄物はより加速されて圧送効果を増大させることができる。好ましくは、圧送装置は、さらに真空チャンバ出力端に1つのバルブを含み、ここで装置は、圧力チャンバ内の圧力が真空チャンバ内の圧力よりも高い場合に、圧力チャンバ出力端および真空チャンバ出力端を開放するように作動可能である。バルブは、廃棄物の流れを制御するための単純な機構を提供する。真空チャンバ内の圧力は、圧力チャンバ内の上昇分よりも大きい規模で低下させられてよい。廃棄物チャンバの入力バルブは、廃棄物チャンバ出力端と共に開放されてよく、こうして廃棄物チャンバ入力端は、真空チャンバの低い圧力に曝露される。したがって、廃棄物を廃棄物チャンバ入口から吸い上げてよい。装置は、従来の水洗トイレと比べて、上流側で装置に連結されているトイレを水洗するのに必要とされる水の量を最小限にするまたは不要にすることができる。
【0016】
好ましくは、圧力チャンバ出力端は、真空チャンバの出力端の開放に先行して開放される。このタイミングの特徴は、出力端が開放される前に装置の出力端に向かって廃棄物を加速する。こうして、真空チャンバ内の相対真空によりひき起こされる真空チャンバの出力端を通る真空チャンバの外側からの廃棄物の流れは、装置の出力端におけるものに比べて削減される。
【0017】
好ましくは、ポンプと浸軟機は単一のモーターにより動力供給される。単一のモーターが、より信頼性の高い、より安価でよりコンパクトな圧送装置を提供する。
【0018】
好ましくは、ポンプと浸軟機は相互連通している。ポンプと浸軟機は、1つのものとして回転するように接合されてよい。この設計により、圧送および浸軟機システムの複雑さが削減される。
【0019】
本発明の第2の態様によると、廃棄物を圧送する方法において、第1のバルブを開放して廃棄物が廃棄物チャンバ内に流れることができるようにし、第2のバルブを閉鎖して廃棄物が廃棄物容器から外に流れるのを停止させるステップと;第1のバルブを閉鎖して、廃棄物が廃棄物チャンバ内に流れるのを停止させるステップと;廃棄物チャンバ内部の圧力を、ポンプを用いて廃棄物チャンバの外側の圧力よりも高くなるまで上昇させるステップと;第2のバルブを開放して廃棄物が廃棄物チャンバから外に流れることができるようにするステップと、を含む方法が提供されている。圧送力は、廃棄物チャンバ内部に格納された圧力によって提供される。圧送の騒音は、従来のポンプの場合よりも少なく、圧送が必要とされる頻度は、廃棄物チャンバ内部に一定量の廃棄物を貯留できることから削減される。
【0020】
好ましくは、ポンプが最初に圧力チャンバ内部の圧力を上昇させてから、圧力チャンバを廃棄物チャンバに対して開放する。この別個のチャンバは、任意の時点で圧力を蓄積してよく、したがって、廃棄物チャンバが閉鎖された場合の圧力の蓄積に限定されない。さらに、別個の圧力チャンバは、チャンバ内の圧力を上昇させるためにより低速の圧送を可能にすることから、さほど強力でないポンプしか必要とされず、システムにより生成される騒音をさらに削減する。
【0021】
好ましくは、方法は、浸軟機を用いて、廃棄物チャンバ内部で廃棄物を浸軟するステップをさらに含む。浸軟機は、回転羽根構造、超音波構造またはそれに類するものであってよい。浸軟機によって生成されるスラリーは、下水管などの管に沿ってより容易に圧送される。
【0022】
好ましくは、方法は、廃棄物チャンバに結合されているものの廃棄物チャンバから閉鎖されている真空チャンバ内部の圧力を低下させるステップと;廃棄物チャンバを真空チャンバに対して開放するステップと、をさらに含む。好ましくは、ポンプは、真空チャンバから廃棄物チャンバ内へ流体を圧送して、真空チャンバと廃棄物チャンバの圧力を改変する。真空チャンバは、廃棄物の前後の圧力差を増大させ、こうして廃棄物をより加速して圧送効果を増大させることができる。
【0023】
好ましくは、第1のバルブは、廃棄物レベルセンサーが検出する廃棄物チャンバ内の廃棄物の量が既定の閾値を超えるまで閉鎖されない。好ましくは、第1のバルブは、クロックにより提供される一日の時刻によって左右されるように選択可能である。圧送頻度を操作して、一日および/または一週の間の一時限中における圧送を増減させてもよい。例えば、夜遅くに圧送が求められる確率を少なくするために夕方早くに圧送を始動させてもよい。
【0024】
本発明についてここで、添付図面を参照しながら、単なる一例として記述する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図9】本発明の第7の実施形態の作動についての流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、入口11と出口13を有する廃棄物チャンバ12を示す。入口11は、第1のバルブV11によってチャンバ12から分離されている。出口13は第2のバルブV12によってチャンバ12から分離されている。圧力ライン14が、第3のバルブV13により廃棄物チャンバ12に結合されている。矢印A11、A12およびA13は、流体がどのように装置内を流れ得るかを例示している。第1の矢印は、第1のバルブV11を通って廃棄物チャンバ12内に流入する廃棄物を表わす。第2の矢印A13は第2のバルブA12を通って廃棄物チャンバ12から外に流出する廃棄物を表わす。第3のバルブは、第3のバルブV13を通って圧力ライン14から廃棄物チャンバ12内に流れる流体を表わす。
【0027】
使用中、廃棄物は、重力などの力の下で廃棄物チャンバ入口11内に入る。第1のバルブV11は開放しており、流れA11が廃棄物チャンバ内に入ることができるようにしている。廃棄物チャンバの出口13は閉鎖されており、廃棄物はチャンバ12内に蓄積する。第1のバルブV11は閉鎖され、第2のバルブV12は閉鎖したままで、第3のバルブV13は開放される。流体は、力を受けて圧力ライン14から廃棄物チャンバ12内に入る。流体の力は、ポンプによって機械的に生成されるか、あるいは、重力による位置エネルギーの結果として得られる。流体は、気体、例えば空気であってよい。廃棄物チャンバ12内の圧力は上昇する。その後、第2のバルブV12は開放され、廃棄物チャンバ12内部に収納された廃棄物はチャンバの出口13から吐出される。第2および第3のバルブは閉鎖され、第1のバルブは開放されて、サイクルが再び開始できるようにする。
【0028】
図2は、入口21と出口23を有する廃棄物チャンバ22を示す。(
図1の場合と同じように)第1のV21、第2のV22および第3のV23のバルブが存在し、圧力ライン24も同様である。この実施形態では、装置は、廃棄物チャンバ22と圧力ライン24の間に結合された圧力チャンバ25を有する。圧力チャンバ25は廃棄物チャンバおよび圧力ラインから、それぞれ第3のバルブV23および第4のバルブV24によって分離されている。流体は、対応するバルブが開放した時点で、対応する矢印A23、A24によって表わされている通り、第3のバルブV23および第4のバルブV24を通って流れてよい。圧力チャンバ25の容積は、圧力貯留装置を提供する。
【0029】
使用中、廃棄物は、
図1に関連して説明され第1の矢印A21で表わされているように、廃棄物チャンバ22内に入る。この時間中、第4のバルブV24が開放し、圧力チャンバ25内への流体の流れA24を可能にする。第3のバルブV23は閉鎖され、流体が圧力チャンバから廃棄物チャンバ22内に流れるのを防いでいる。廃棄物チャンバの出口23は、閉鎖された第2のバルブV22により遮蔽され、こうして廃棄物が廃棄物チャンバ内に蓄積する。廃棄物チャンバ内の廃棄物が既定のレベルに達した場合、あるいは既定の長さの時間が経過した後、第1のバルブV21は閉鎖し、入口21を介して廃棄物チャンバ内に廃棄物が流れるのが妨げられる。第4のバルブV24は閉鎖され、第3のバルブV23は開放されて、圧力チャンバ25内部の加圧流体が廃棄物チャンバ22内に流れ込んで廃棄物チャンバ内部の圧力を上昇させることを可能にする。第2のバルブV22は開放され、廃棄物チャンバ内部の廃棄物は、加圧流体によって出口23を介してチャンバから押し出される。
【0030】
図3は、チャンバを通った廃棄物の流れを可能にする入口31および出口33を有する廃棄物チャンバ32を示す。入口31にある第1のバルブV31が開放し、出口33にある第2のバルブV32が閉鎖されている場合、廃棄物は廃棄物チャンバの内部に集積する。チャンバの内部には、複数の羽根B31を含む浸軟装置B3がある。浸軟機は、廃棄物チャンバ31内に収納されたあらゆる固形廃棄物を液化することを目的とし、これにより、浸軟後に廃棄物はスラリーとなる。圧力ライン34は、第3のバルブV33を介して廃棄物チャンバ内に供給している。圧力ライン34は、廃棄物チャンバ32内に加圧流体を供給して、開放した第2のバルブV32を介して廃棄物チャンバ出口33から廃棄物を加圧下で強制的に放出できるようにする。
【0031】
図4は、第1のバルブV41によってチャンバから分離された入口41と、第2のバルブV42によってチャンバから分離された出口43とを伴う廃棄物チャンバを示している。廃棄物チャンバは第3のバルブV43により圧力ライン44に結合されている。廃棄物チャンバは、先の図に関連して以上で説明されている通り、廃棄物を貯留し圧力下で駆出するように作動可能である。入口41から出口43への廃棄物の流れは、廃棄物チャンバを通してかまたはオーバーフローチャンバ45を通してかのいずれかである。オーバーフローチャンバは、オーバーフロー入口バルブV45によって入口41に、そしてオーバーフロー出口バルブV46によって出口43に結合されている。廃棄物チャンバ入口バルブV41が閉鎖され、オーバーフロー入口V45および出口V46バルブが開放している場合、廃棄物は廃棄物チャンバ、第1のバルブおよび第2のバルブを迂回して廃棄物チャンバの周囲を流れ得る。一部の実施形態において、オーバーフロー機構は、液体廃棄物を吐出すためだけに使用される。
【0032】
図5および
図6は、圧送装置を例示する。両方の図共、共にバルブによって廃棄物チャンバから分離されている入口および出口を伴う廃棄物チャンバを示している。同様に両方の図共、第1の伝動装置T5.1、T6.1によってモーターM5、M6.1に結合された廃棄物チャンバの内部に収納された浸軟機B5、B6も示している。図は、廃棄物チャンバ内へと導く圧力ラインに結合されたポンプP5、P6を示している。ポンプP5、P6は共に、第2の伝動装置T5.2、T6.2によってモーターM5、M6.2に結合されている。
図5中、単一のモーターM5が浸軟機B5とポンプP5に動力を供給し、一方
図6においては、浸軟機M6およびポンプP6は2つの別個のモーターによる動力供給を受けている。
【0033】
図7は、入口71と出口74を有する圧送装置を示す。入口71は第1のバルブV71に結合され、出口は第2のバルブV74に結合されている。廃棄物チャンバ72は第1のバルブV71によって入口71に結合され、こうして廃棄物チャンバは入口から選択的に廃棄物を受入れることができる。真空チャンバ73が中間バルブV72によって廃棄物チャンバに結合されており、こうして真空チャンバは廃棄物チャンバから選択的に廃棄物を受入れることができる。真空チャンバ73は第2のバルブV74によって出口74に結合されている。浸軟機が廃棄物チャンバの内部に設置されている。
【0034】
真空チャンバ73は同様に、真空バルブV71により真空ライン75に結合されている。真空ラインは、真空バルブV75、真空ライン75およびポンプP7を通って真空チャンバ73から流体を圧送するためにポンプP7に結合されている。ポンプは、圧力バルブV73により圧力ライン76と廃棄物チャンバ72に結合されている。ポンプから流れる流体は圧力ラインを通り、選択的に圧力バルブを通って圧力チャンバ内に移行してよい。
【0035】
使用中、第1のバルブV71は開放して廃棄物が廃棄物チャンバ72内に流れることができるようにし、中間バルブV72は閉鎖されてチャンバから廃棄物が流れ出るのを防ぐ。廃棄物は廃棄物チャンバ内に集積し、必要な場合チャンバ内部に収納された浸軟機によってスラリー化される。廃棄物を装置から排出しなければならない場合、ポンプP7を使用して、真空チャンバ73内部の圧力を低下させると同時に真空チャンバから廃棄物チャンバへと流体を圧送することによって廃棄物チャンバ72内部の圧力を上昇させる。廃棄物を駆出するために、中間バルブは開放され、2つのチャンバ間の圧力差は、物質を廃棄物チャンバから閉鎖した第2のバルブV74の先に存在する出口74に向かって加速させるための力を提供する。第2のバルブは開放され、廃棄物は、開放した第2のバルブを通って出口に向かって移動し続ける。第2のバルブは、廃棄物が前記バルブ内を通過した後に閉鎖される。
【0036】
図9は、
図7に示されている装置についての流れ図を示す。システムは開始され(F1)、装置のバルブを廃棄物の受入れおよび貯留に設定する。廃棄物は、その量が既定のレベルまで廃棄物チャンバを満たす(F2)まで、装置の廃棄物チャンバ内に蓄積する。タイマー制御(F3)が起動されてよく、これにより装置は、既定の長さの時間だけ、あるいは一日の既定の時刻までのいずれかの時点まで廃棄物を蓄積することになり、廃棄物チャンバが既定のレベルまで満たされる必要はない。充填レベル(F2)に達した場合、またはタイマー制御(F3)値が達成された場合、装置のバルブの状態は、廃棄物が廃棄物チャンバ内に入るのを停止させるように変更される(F4)(廃棄物チャンバおよび真空チャンバは、ポンプへと導く開口部以外、封止されている)。ポンプは、封止された真空チャンバから封止された圧力チャンバ内に流体を圧送するように起動させられ(F5)、こうして、廃棄物チャンバ内部の相対圧力は上昇し、真空チャンバ内部の相対圧力は低下する。廃棄物チャンバ、真空チャンバ、および/または内部にポンプが収容されているチャンバの中に存在する圧力センサーが監視され、既定の圧力に達した時点でバルブの状況が変化し(F7)、これにより真空バルブおよび圧力バルブは閉鎖し(ポンプを隔離し、ポンプを通した廃棄物チャンバと真空チャンバの間の空気の移動を停止させ)、中間バルブは開放する。ポンプは停止される(F8)。廃棄物チャンバ内の廃棄物は、廃棄物チャンバ内の流体が膨張し廃棄物を相対圧力がさらに低い真空チャンバ内へと押すことから、もはやチャンバ内にとどまらない。
【0037】
遅延(F9)の間、廃棄物は真空チャンバに向かってその中へと加速され、さらに第2のバルブに向かって進行する。第2のバルブは開放し(F10)、廃棄物は第2のバルブに向かってそしてこのバルブの中を通ってその進路を続行する。装置の圧送は何回反復されてもよく、これは決定機能(F11)により表わされている。圧送反復が求められた場合、システムはバルブを再び圧送準備状態に設定し(F4)、そうでなければシステムは、より多くの廃棄物が廃棄物チャンバ内に受け入れられ得るようにバルブを設定する(F1)。
【0038】
図8は、
図7に示されたものに類似する圧送装置を示す。
図8では、真空チャンバ83は真空バルブV85よって真空ライン85に結合されている。真空ラインはさらに、真空チャンバ83から真空バルブV85、真空ライン85およびポンプP8を通して流体を圧送するためにポンプP8に結合されている。ポンプは圧力ライン86および圧力バルブV83を通して廃棄物チャンバ82に結合されており、こうしてポンプから流れる流体は、圧力ライン内を通り選択的に圧力バルブを通って圧力チャンバ内に移行してよい。浸軟機B8とポンプP8は同心で、共に結合され、対応する回転動作を有する。浸軟機とポンプは、単一の材料部品から形成されるか、または多数の材料部品を接合することで形成されてよい。ポンプP8は廃棄物チャンバ82の周囲に配置されていることから、
図8を見ればわかるように、圧送効果も同様に廃棄物チャンバの周囲にあり、
図8中、流体は、共に左から右に進み圧送される流体の移動を表わす2つの矢印によって例示されている通り、断面の上下両方で圧送されている。
【0039】
別の実施形態(図示せず)において、浸軟機とポンプは、同心ギアシステムによって結合されている。
【0040】
図9に関連して説明された実施形態では、レベルセンサー、タイマーおよび/または圧力センサーが必要でない場合がある。廃棄物容器を定期的に空にすることをタイマーが保証するようにしてもよく、それによりレベルセンサーを不要とすることもできる。廃棄物区画は、それが或る一定の割合で満杯になった時点で初めて空にされてもよく、こうしてタイマーの必要は無くすこともできる。ポンプは設定された期間作動するようにしてもよく、それにより圧力センサーの必要無くすることもできる。
【0041】
図10は、廃棄物を貯留するための廃棄物チャンバ102および廃棄物容器内に貯留された廃棄物を浸軟するための超音波浸軟機10Uを有する圧送装置を示す。超音波浸軟機は超音波圧力波AUを発出して廃棄物を崩壊させる。超音波浸軟機は、機械的浸軟機の代りに、あるいは機械的浸軟機と併せて使用してよい。
【0042】
当業者にとっては、さまざまな修正が明らかである。例えば、上述のいずれの実施形態にも浸軟機が存在してもしなくてもよい。浸軟機は、圧送装置が作用する廃棄物が固形物を含まない場合には必要とされない。
図9に関連して記述されたレベルセンサーは、あらゆる実施形態において存在してよい。
図9に関連して記述されたタイマー起動は、あらゆる実施形態において存在してよい。廃棄物チャンバまたは圧力チャンバに加えられる圧力は変動してよい。圧力は、処分中の廃棄物のタイプおよび/または処分中の廃棄物の量によって左右されるかもしれない。任意には、廃棄物に加えられる圧力が非常に高い場合、これは、廃棄物が廃棄物チャンバから駆出される時点で浸軟効果をひき起こすことができ、浸軟機の使用は回避されるかもしれない。廃棄物チャンバ内の廃棄物の量が既定のレベルより低い場合、廃棄物チャンバを既定の圧力レベルまで加圧することにより、浸軟が回避されるかもしれない。異なる圧力レベルは、浸軟を不要とする異なる対応する加圧効果を有するかもしれない。
【0043】
チャンバ内の圧力を上昇させるために廃棄物チャンバ内に圧送される流体は、通常は空気であるが、任意の圧縮可能な流体を使用してもよいことから、本発明はこの特定の流体に限定されるべきではない。
【0044】
廃棄物チャンバの廃棄物レベルセンサーは図中に例示されていない。廃棄物レベルセンサーは、超音波エミッタおよびレシーバにより実施されてよく、この場合廃棄物のレベルは、発出された超音波が廃棄物の表面から反射されレシーバにより検出されるのにかかる時間に影響を及ぼす。代替的には、レベルセンサーは、機械式スイッチに連結されるチャンバ内部の機械的フロート、あるいは廃棄物の重量が廃棄物チャンバ内の膜を変位させ変位量が測定される空気圧センサーによって実施されてよい。