特許第6290796号(P6290796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6290796固体状ポリアルミノキサン組成物、オレフィン重合用触媒、オレフィン重合体の製造方法、および固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290796
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】固体状ポリアルミノキサン組成物、オレフィン重合用触媒、オレフィン重合体の製造方法、および固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/06 20060101AFI20180226BHJP
   C08G 79/10 20060101ALI20180226BHJP
   C08F 4/602 20060101ALI20180226BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   C07F5/06 D
   C08G79/10
   C08F4/602
   C08F10/00 510
【請求項の数】14
【全頁数】110
(21)【出願番号】特願2014-560813(P2014-560813)
(86)(22)【出願日】2014年2月7日
(86)【国際出願番号】JP2014052856
(87)【国際公開番号】WO2014123212
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2015年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2013-23266(P2013-23266)
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-212878(P2013-212878)
(32)【優先日】2013年10月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】鶴来 交
(72)【発明者】
【氏名】花田 汐理
(72)【発明者】
【氏名】柴原 敦
(72)【発明者】
【氏名】河村 憲守
(72)【発明者】
【氏名】西埜 文晃
(72)【発明者】
【氏名】原田 恭行
(72)【発明者】
【氏名】山田 航
(72)【発明者】
【氏名】松本 華子
(72)【発明者】
【氏名】原 烈
(72)【発明者】
【氏名】中村 達也
(72)【発明者】
【氏名】室戸 敏宏
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−502714(JP,A)
【文献】 特表2005−538203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/06
C08F 4/642
C08F 10/00
C08G 79/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムを含有し、
以下の方法(i)により測定した、25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度が0.50モル%未満であり、
以下の方法(ii)により測定した、25℃におけるトルエンに対する溶解度が1.0モル%未満であり、
以下の方法(iii)により測定した、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、該ポリアルキルアルミノキサン部位に由来するアルキル基および該トリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基の合計のモル数に対する該トリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率が13モル%以上であり、
以下の方法(iv)により測定した、25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が95モル%以下であり、かつ
下記式で表される均一性が0.40以下である、
固体状ポリアルミノキサン組成物。
〔方法(i)〕
溶解度は、25℃に保持された50mLのn−ヘキサンに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
〔方法(ii)〕
溶解度は、n−ヘキサンの代わりにトルエンを用いた以外は、前記方法(i)と同様の方法により求める。
〔方法(iii)〕
モル分率は、固体状ポリアルミノキサン組成物10mgに0.5mLのテトラヒドロフラン(THF)−d8(重溶媒)を加え、その後25℃で2時間の攪拌を行い、該THF−d8への可溶部を、測定温度24℃の条件下で、1H−NMR測定を用いて求める。
〔方法(iv)〕
溶解度は、n−ヘキサンの代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は、前記方法(i)と同様の方法により求める。
〔均一性〕
(式)均一性 = ΣXi|D50−Di|/D50ΣXi
ここで、Xiは粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。
【請求項2】
前記ポリアルキルアルミノキサンが、下記一般式(1)で表される構成単位を含み、前記トリアルキルアルミニウムが、トリメチルアルミニウムを含む、請求項1に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物。
【化1】
【請求項3】
前記ポリアルキルアルミノキサンが、ポリメチルアルミノキサンであり、トリアルキルアルミニウムが、トリメチルアルミニウムであり、かつ、
前記方法(iii)により測定した、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、ポリメチルアルミノキサン部位に由来するメチル基およびトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基の合計のモル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率が、13モル%以上である、請求項1に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物。
【請求項4】
比表面積が、400〜800m2/gの範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物。
【請求項5】
粒子状であり、体積統計値での中位径D50が0.1〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物と、下記一般式(8)で表される(H)周期律表第3〜10族から選ばれる1種の遷移金属原子を有する遷移金属化合物を接触させて得られる、オレフィン類の重合触媒。
31323334M・・・(8)
(式中、Mは周期律表第3族〜第10族から選ばれる遷移金属原子を示し、R31、R32、R33およびR34は、互いに同一でも異なっていてもよく、シクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子、アルキルシリル、アルキルアミド、アルキルイミド、−SO3Rまたは水素原子を示す。)
【請求項7】
請求項に記載のオレフィン類の重合触媒の存在下にて、炭素原子数2〜20のα−オレフィン、炭素原子数3〜20の環状オレフィンおよび炭素原子数4〜20のジエン化合物から選ばれる1種以上のオレフィンを重合する工程を含む、オレフィン重合体の製造方法。
【請求項8】
(A)トリアルキルアルミニウムの部分加水分解反応により調製される、ポリアルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムおよび炭化水素溶媒を含む溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)周期律表第15〜17族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物を接触させる工程と、
40℃以上の加熱条件下で、該溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)中に含まれるアルミニウム−炭素結合を有する化合物と、該有機化合物(B)を反応させて、固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させる工程と、
前記析出させる工程の後に、さらに90〜200℃の条件下で加熱熟成する工程を含む、固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法。
【請求項9】
前記接触させる工程における接触温度が40℃以上である、請求項に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法。
【請求項10】
前記(B)有機化合物が、(C)酸素原子を含む有機化合物である、請求項またはに記載の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法。
【請求項11】
前記(C)酸素原子を含む有機化合物が、(D)アルデヒドを含む有機化合物、(E)ケトンを含む有機化合物、(F)アルコールを含む有機化合物および(G)カルボン酸を含む有機化合物からなる群から選ばれる1種以上である、請求項10に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法。
【請求項12】
前記(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中のポリアルキルアルミノキサンが、下記一般式(1)で表される構成単位を含むポリアルミノキサンを含む、請求項11のいずれか一項に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法。
【化2】
【請求項13】
前記(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中のトリアルキルアルミニウムが、トリメチルアルミニウムを含む、請求項12のいずれか一項に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法。
【請求項14】
前記(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中のポリアルキルアルミノキサンが、ポリメチルアルミノキサンであり、前記(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中のトリアルキルアルミニウムが、トリメチルアルミニウムである、請求項13のいずれか一項に記載の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン類の多量化反応、もしくは重合反応に用いられる固体状ポリアルミノキサン組成物、該組成物を含んでなるオレフィン重合触媒および該触媒の存在下で得られるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法および該製造方法によって得られる固体状ポリアルミノキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
アルキルアルミニウムの部分加水分解物であるポリアルミノキサン組成物は、オレフィン多量体、もしくはオレフィン重合体の製造において、主触媒である遷移金属錯体を活性化する助触媒として働くことが知られている。特にトリメチルアルミニウムを原料とするポリメチルアルミノキサン組成物は、優れた助触媒性能を示すことが広く知られている(特許文献1)。
【0004】
ポリメチルアルミノキサン組成物は、トリメチルアルミニウムの部分加水分解反応(特許文献2、3)、もしくは、トリメチルアルミニウムとカルボン酸等の含酸素有機化合物との反応により形成されるアルミニウム−酸素−炭素結合を有するアルキルアルミニウム化合物の熱分解反応(特許文献4、5)により製造され、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒に溶解した溶液状態のポリメチルアルミノキサン組成物として市販されている。
【0005】
該ポリメチルアルミノキサン組成物を、溶液状態で、オレフィン重合反応の助触媒としてそのまま重合系内に装入するオレフィン重合体の製造方法では、生成するオレフィン重合体のモルフォルジーが制御できず、重合反応器等へのオレフィン重合体付着によるファウリングが容易に発生するため、安定生産性に課題があった。
【0006】
粒子形状が良好で安定生産可能なオレフィン重合体の製造方法として、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウムなどの固体状無機担体にポリメチルアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒を用いる製造方法が開示されている(特許文献6〜9)。また固体状無機担体を使用する利点として、担体粒径の選択が可能なことも挙げられる。オレフィン多量体もしくはオレフィン重合体の製造では、スラリー重合などの液相重合や気相重合装置の各プロセスに適した担体粒径が選択される。
【0007】
しかしながら、これらの固体状無機担体にポリメチルアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒は、ポリメチルアルミノキサン組成物を単独で助触媒として使用した場合と比べて活性が大きく低下してしまい、経済性の観点から好ましくない。さらに、これらの固体状無機担体は生成するポリマー中に異物として残留しやすく、ポリマー物性の悪化をもたらす。
【0008】
上記問題を解決するため、ポリアルミノキサン組成物自体を担体として使用すべく、ポリアルミノキサン組成物を固体状で得るための提案がなされている。その製造方法として、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒に溶解した溶液状態のポリアルミノキサン組成物に、不溶性ないし難溶性溶媒とを接触して固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させる方法(特許文献10、11)、ポリメチルアルミノキサンに塩を加えて、固体スラリーを得る方法(特許文献12)、不溶性ないし難溶性溶媒に可溶なポリメチルアルミノキサンを調製後、該可溶性のポリメチルアルミノキサンに、有機ボロキシンを反応させる方法(特許文献13)、同様に、不溶性ないし難溶性溶媒との接触後に析出した固形物を含むスラリー液に、酸素含有化合物を反応させる方法(特許文献14)、トリメチルアルミニウムの含有率が低い特殊な溶液状態のポリメチルアルミノキサン組成物を加熱する方法(特許文献15)が開示されている。
【0009】
しかしながら、特許文献10〜14に記載の製造方法を用いた場合、原料として用いたポリアルミノキサン組成物に対して、固体状生成物としてのポリアルミノキサン組成物の回収率は高くなく、経済性の観点から大きな問題があった。また、これらの製造方法には、ポリアルミノキサン組成物の粒子径の制御方法、および粒径の均一性に関する具体的な記述は何らなされておらず、また特許文献10〜15では、固体状ポリアルミノキサン組成物を遷移金属化合物と組合せてオレフィン重合体を製造した際に得られるポリマー粒子のかさ比重などのポリマーモルフォルジーに関する記載がほとんどない。特に、特許文献14に記載の製造方法では、スラリー液を用いているため、均一な粒径を有するポリアルミノキサン組成物を得ることはできなかった。
【0010】
すなわち、該先行技術では、固体状無機担体を使用するデメリットに対する優位性に主眼が置かれており、固体状無機担体を使用するメリットについては、ほとんど省みられていない。例えば、シリカ担体を使用する場合では、シリカ表面の水酸基がポリメチルアルミノキサンと反応しアルミニウム−酸素間に共有結合を形成するため、ポリアルミノキサン成分の溶媒への溶出が抑制される。そのため、触媒調製工程および/または重合(多量化)反応工程においても、助触媒成分、主触媒成分、ないしは主触媒成分と助触媒成分との反応組成物の反応溶媒への溶出、いわゆるリーチングが抑制され、その結果、かさ比重が大きく、運転安定性に優れたオレフィン重合体が得られる。
【0011】
固体状ポリアルミノキサン組成物を、助触媒担体としてオレフィンスラリー重合などの液相重合や気相重合プロセスへの適用するためには、ファウリング抑制の観点から、リーチングを極力抑制することが必要となる。加えて、一般的に重合(多量化)反応工程に添加されるイオン性官能基やポリエーテル官能基などの極性の高い官能基を分子内に有する帯電防止剤等の極性の高い物質の存在下でも充分にリーチングを抑制する必要がある。
【0012】
特許文献11では、実施例に記載された固体状ポリメチルアルミノキサン組成物のn−ヘキサンに対する溶解度が1.0モル%以上であることが記載されている。また特許文献15では、実施例に記載された固体状ポリメチルアルミノキサン組成物では、極性の高い化合物であるテトラヒドロフラン−d8中で1H−NMR測定が可能であり、メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率が12モル%以下であることが記載されている。すなわち、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物におけるテトラヒドロフラン−d8溶解部は、ポリメチルアルミノキサンの含有率が高く、トリメチルアルミニウムの含有率が低いことが記載されている。
【0013】
特許文献15には、粒径の均一性を向上させた固体状ポリメチルアルミノキサン組成物の製造方法が開示されている。しかしながら、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物の粒子径の制御方法に関する具体的な記述はない。また、原料として用いたポリメチルアルミノキサン組成物に対して、高い回収率で固体状ポリメチルアルミノキサン組成物を得るためには、特殊な溶液状態のポリメチルアルミノキサン組成物を原料とする必要があることが記載されているが当該原料はトリメチルアルミニウムの含有率が低いため、原料そのものの保存安定性に問題があった(特許文献8)。加えて、前記の特殊な溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物を製造するためには、危険な高濃度のトリメチルアルミニウムを原料として使用しなければならないため、商業スケールで実施するためには、製造設備上の制約が大きいとの問題があった。
【0014】
さらに、特許文献15では、トリメチルアルミニウムと含酸素有機化合物の反応により調製した溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物を用いているため、1種の溶液状ポリアルミノキサン組成物から、任意の異なる粒径の固体状ポリアルミノキサンを作り分けられることができなかった。通常、固体状ポリアルミノキサン組成物を、スラリー重合などの液相重合や気相重合プロセス、特に既設の各製造プロセスに適用するためには、製造プロセス毎に最適な担体粒径の固体状ポリアルミノキサン組成物を用いることが望ましい。一方、経済性の観点から、高価なポリアルミノキサン組成物を原料として使用するためには、原料として用いたポリアルミノキサン組成物に対して、高い回収率で固体状ポリアルミノキサン組成物を製造する方法が望まれる。しかしながら、原料として商業的に入手可能な溶液状ポリアルミノキサン組成物を用いて、任意の異なる均一な粒径の固体状ポリアルミノキサン組成物を高い回収率で容易に製造できる方法についての報告例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4960878号明細書
【特許文献2】特開平6−329680号公報
【特許文献3】特表2000−509040号公報
【特許文献4】特開2005−263749号公報
【特許文献5】特表2000−505785号公報
【特許文献6】特開2002−179721号公報
【特許文献7】特開2003−327611号公報
【特許文献8】特開2008−069361号公報
【特許文献9】特開2009−001829号公報
【特許文献10】特公平7−42301号公報
【特許文献11】特開2000−95810号公報
【特許文献12】特開平8−319309号公報
【特許文献13】特開平7−70144号公報
【特許文献14】特開平7−300486号公報
【特許文献15】国際公開第2010/055652号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、シリカなどの固体状無機担体を使用せずに、オレフィン多量体、もしくはオレフィン重合体の製造用触媒の助触媒かつ触媒担体として好適な固体状ポリアルミノキサン組成物を提供することである。さらに、既存のオレフィンスラリー重合などの液相重合や気相重合プロセスへの適用を可能にする、粒子径が比較的均一に制御された固体状ポリアルミノキサン組成物を提供することである。加えて、オレフィン重合(多量化)反応工程および/またはその触媒調製工程において、助触媒成分、主触媒成分、ないしは主触媒成分と助触媒成分との反応組成物のリーチングを極力抑制した固体状ポリアルミノキサン組成物、すなわち、溶媒への溶解度を極力低くした固体状ポリアルミノキサン組成物を提供することである。
【0017】
また、上記固体状ポリアルミノキサン組成物と遷移金属化合物を用いて、オレフィン重合(多量化)用触媒を提供することおよび該触媒の存在下で得られるオレフィン重合体の製造方法を提供することも課題の一つである。
【0018】
また、固体状ポリアルミノキサン組成物を高い回収率で、かつ均一な粒子径で製造する方法を提供することも課題の一つである。加えて、特別な溶液状ポリアルミノキサン組成物を原料として必要としない製造方法、すなわち商業的に入手可能な溶液状ポリアルミノキサン組成物を原料として使用できる固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、固体状ポリアルミノキサン組成物の溶媒への溶解性を極力小さくすることで、オレフィン重合(多量化)触媒調製工程におけるリーチングを抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
また、後述する、特定の溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)と特定の有機化合物(B)を接触させ、加熱条件下で、該溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)中に含まれるアルミニウム−炭素結合を有する化合物と、該有機化合物(B)を反応させることにより、粒径均一性が高く、かつ任意の粒子径に制御された固体状ポリアルミノキサン組成物を、原料として用いたポリアルミノキサン組成物に対して高い回収率で析出させることができることを見出した。
【0021】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、ポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムを含有し、
以下の方法(i)により測定した、25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度が0.50モル%未満であり、
以下の方法(ii)により測定した、25℃におけるトルエンに対する溶解度が1.0モル%未満であり、かつ
以下の方法(iii)により測定した、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、該ポリアルキルアルミノキサン部位に由来するアルキル基および該トリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基の合計のモル数に対する該トリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率が13モル%以上である。
【0022】
〔方法(i)〕
溶解度は、25℃に保持された50mLのn−ヘキサンに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
【0023】
〔方法(ii)〕
溶解度は、n−ヘキサンの代わりにトルエンを用いた以外は、前記方法(i)と同様の方法により求める。
【0024】
〔方法(iii)〕
モル分率は、固体状ポリアルミノキサン組成物10mgに0.5mLのテトラヒドロフラン(THF)−d8(重溶媒)を加え、その後25℃で2時間の攪拌を行い、該THF−d8への可溶部を、測定温度24℃の条件下で、1H−NMR測定を用いて求める。
【0025】
さらに、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、以下の方法(iv)により測定した、25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が95モル%以下であることが好ましい。
【0026】
〔方法(iv)〕
溶解度は、n−ヘキサンの代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は、前記方法(i)と同様の方法により求める。
【0027】
本発明のオレフィン類の重合触媒は、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物と、下記一般式(8)で表される(H)周期律表第3〜10族から選ばれる1種の遷移金属原子を有する遷移金属化合物を接触させて得られる。
【0028】
31323334M・・・(8)
(式中、Mは周期律表第3族〜第10族から選ばれる遷移金属原子を示し、R31、R32、R33およびR34は、互いに同一でも異なっていてもよく、シクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子、アルキルシリル、アルキルアミド、アルキルイミド、−SO3Rまたは水素原子を示す。)
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、本発明のオレフィン類の重合触媒の存在下にて、炭素原子数2〜20のα−オレフィン、炭素原子数3〜20の環状オレフィンおよび炭素原子数4〜20のジエン化合物から選ばれる1種以上のオレフィンを重合する工程を含む。
【0029】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法は、(A)ポリアルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムおよび炭化水素溶媒を含む溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)周期律表第15〜17族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物を接触させる工程と、
加熱条件下で、該溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)中に含まれるアルミニウム−炭素結合を有する化合物と、該有機化合物(B)を反応させて、固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させる工程を含む。
【0030】
また、該製造方法は、前記析出させる工程の後に、さらに加熱熟成する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、シリカなどの固体状無機担体を使用せずとも、オレフィン多量体、もしくはオレフィン重合体の製造用触媒の助触媒かつ触媒担体として好適な、溶媒への溶解度が極めて低い固体状ポリアルミノキサン組成物を提供することができる。本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、オレフィン重合(多量化)反応工程および/またはその触媒調製工程において、助触媒成分、主触媒成分、ないしは主触媒成分と助触媒成分との反応組成物のリーチングを極力抑制できる。さらに、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物を助触媒として使用すると、シリカ担体にポリメチルアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒を用いた場合と比べて、極めて高い重合活性を示す。
【0032】
また、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、粒子径が比較的均一であり、既存のオレフィンスラリー重合などの液相重合や気相重合プロセスに好適である。
【0033】
本発明の製造方法により、粒子径の均一性が高く、かつ任意の粒子径に制御された固体状ポリアルミノキサン組成物を、極めて高い回収率で製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、原料として、商業的に入手可能な溶液状ポリアルミノキサン組成物を好適に使用して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、試験例A1(試験例D1)で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図2図2は、試験例A7(試験例D14)で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図3図3は、試験例D9で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(200倍)である。
図4図4は、試験例D9で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物のMicrotrac MT3300EX IIによる粒度分布評価結果である。
図5図5は、試験例D31で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(200倍)である。
図6図6は、試験例D31で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物のMicrotrac MT3300EX IIによる粒度分布評価結果である。
図7図7は、試験例D33で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(200倍)である。
図8図8は、試験例D33で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物のMicrotrac MT3300EX IIによる粒度分布評価結果である。
図9図9は、試験例a1で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図10図10は、試験例a2で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図11図11は、試験例a3で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図12図12は、試験例a5(試験例d4)で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物の電子顕微鏡写真(200倍)である。
図13図13は、試験例a5(試験例d4)で得られた乾燥後の固体状ポリアルミノキサン組成物のMicrotrac MT3300EX IIによる粒度分布評価結果である。
図14図14は、試験例B1で得られた乾燥後のオレフィン重合触媒の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図15図15は、試験例B5で得られた乾燥後のオレフィン重合触媒の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図16図16は、試験例b1で得られた乾燥後の粒子の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図17図17は、試験例b2で得られた乾燥後の粒子の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
図18図18は、試験例b3で得られた乾燥後の粒子の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔固体状ポリアルミノキサン組成物〕
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、ポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムを含有し、好ましくは、オレフィン多量体、もしくはオレフィン重合体の製造用触媒に対する助触媒性能が優れるとの理由から、下記一般式(1)で表される構成単位を含むポリアルキルアルミノキサン(本発明において、『下記一般式(1)で表される構成単位を含むポリアルミノキサン』とも称す)およびトリメチルアルミニウムを含有し、より好ましくは、ポリメチルアルミノキサンおよびトリメチルアルミニウムを含有する。なお、本発明において、ポリメチルアルミノキサンおよびトリメチルアルミニウムを含有する固体状ポリアルミノキサン組成物を、『固体状ポリメチルアルミノキサン組成物』とも称す。
【0036】
【化1】
本発明において、Meは、メチル基を示す。
【0037】
ポリアルキルアルミノキサンは、通常一般式(1)および/または一般式(2)で表される単位を含む。ポリアルキルアルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される単位が2〜50程度繰り返されている構成を含むと推定されているが、本発明の効果を奏する限り、該構成に限定されない。また、その単位の繋がり様は、例えば、線状、環状あるいはクラスター状と種々であり、ポリアルキルアルミノキサンは、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定されている。また、ポリアルキルアルミノキサンは、一般式(1)または一般式(2)で表される単位のみからなってもよい。
【0038】
【化2】
一般式(2)中、R1は、通常、炭素原子数2〜20の炭化水素基を示し、好ましくは炭素原子数2〜15の炭化水素基を示し、より好ましくは炭素原子数2〜10の炭化水素基を示す。炭化水素基の具体例としては、エチル、プロピル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、フェニル、トリルなどが挙げられる。
【0039】
トリアルキルアルミニウムとしては、メチル基を有するトリメチルアルミニウム、炭素原子数2〜20の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムまたはトリアリールアルミニウムが挙げられる。
【0040】
該トリアルキルアルミニウムの具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n−アルキル)アルミニウム; トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec−ブチル)アルミニウム、トリ(tert−ブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルブチル)アルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム; トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
【0041】
該トリアリールアルミニウムの具体例としては、トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどが挙げられる。好ましくは、トリメチルアルミニウムである。
【0042】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物に含まれるポリアルキルアルミノキサンは、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構成単位を含むものであればよい。
【0043】
すなわち、
(a)前記一般式(1)で表される構成単位のみからなるもの、
(b)前記一般式(2)において、R1が1種類のみで表される構成単位のみからなるもの、
(c)前記一般式(2)において、R1が2種類以上で表される構成単位からなるもの、
(d)前記一般式(1)で表される構成単位と前記一般式(2)で表される構成単位の双方を含むもの(R1が1種類若しくは2種類以上のいずれも含む)、の態様を取るものが一般的に考えられる。
【0044】
これらのうち、オレフィン多量体、もしくはオレフィン重合体の製造用触媒に対する助触媒性能の観点からは、(a)および(d)のように一般式(1)で表される構成単位を含むポリアルキルアルミノキサンが好ましく、原料調達の観点を併せて考慮すると、(a)に示す一般式(1)で表される構成単位のみからなるポリメチルアルミノキサンであることがより好ましい。
【0045】
また、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物に含まれるトリアルキルアルミニウムについては、ポリアルキルアルミノキサンの種類に関わらず、いずれのアルキル基を有するトリアルキルアルミニウムをも使用することができる。これらの中でも、トリメチルアルミニウムが、助触媒としての活性および原料調達の観点から好ましく用いられる。
【0046】
また、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、以下の要件(i)〜(iii)を満たし、好ましくは、以下の要件(i)〜(iv)を満たす。
【0047】
要件(i):以下の方法(i)により測定した、25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度が0.50モル%未満である。
【0048】
要件(ii):以下の方法(ii)により測定した、25℃におけるトルエンに対する溶解度が1.0モル%未満である。
【0049】
要件(iii):以下の方法(iii)により測定した、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、該ポリアルキルアルミノキサン部位に由来するアルキル基および該トリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基の合計のモル数に対する該トリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率(以下、『モル分率(1)』とも称す)が13モル%以上である。
【0050】
〔方法(i)〕
溶解度は、25℃に保持された50mLのn−ヘキサンに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
【0051】
〔方法(ii)〕
溶解度は、n−ヘキサンの代わりにトルエンを用いた以外は、前記方法(i)と同様の方法により求める。具体的には、溶解度は、25℃に保持された50mLのトルエンに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
【0052】
〔方法(iii)〕
モル分率は、固体状ポリアルミノキサン組成物10mgに0.5mLのテトラヒドロフラン(THF)−d8(重溶媒)を加え、その後25℃で2時間の攪拌を行い、該THF−d8への可溶部を、測定温度24℃の条件下で、1H−NMR測定を用いて求める。
【0053】
なお、該組成物に含有されるポリアルキルアルミノキサンが、前記一般式(1)で表される構成単位を含むポリアルキルアルミノキサンであり、トリアルキルアルミニウムがトリメチルアルミニウムを含む場合、方法(iii)により測定した、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、該ポリアルキルアルミノキサン部位に由来するアルキル基およびトリメチルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基の合計のモル数に対するトリメチルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率(以下、『モル分率(2)』とも称す)は、13モル%以上である。
【0054】
また、モル分率(1)および(2)共に、アルキル基には、メチル基に由来するモル数も含まれる。
【0055】
また、該組成物に含有されるポリアルキルアルミノキサンがポリメチルアルミノキサンであり、トリアルキルアルミニウムがトリメチルアルミニウムである場合、方法(iii)により測定した、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、ポリメチルアルミノキサン部位に由来するメチル基およびトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基の合計のモル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率(以下、『モル分率(3)』とも称す)は、13モル%以上である。
【0056】
本発明では、前記一般式(1)で表される構成単位を含むポリアルキルアルミノキサンおよびトリメチルアルミニウムを含有する組成物、または、ポリメチルアルミノキサンおよびトリメチルアルミニウムを含有する組成物が好ましい。
【0057】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、触媒担体として用いることができ、特にオレフィン多量体、もしくはオレフィン重合体の製造用触媒の助触媒かつ触媒担体に好適であるが、本発明の効果を奏する限り、これらに限定されるものではない。
【0058】
本発明の組成物は、25℃に保持されたn−ヘキサンおよびトルエンに対する溶解度が極めて低いことが好ましい。オレフィン重合(多量化)反応工程および/またはその触媒調製工程において、助触媒成分、主触媒成分、ないしは主触媒成分と助触媒成分との反応組成物のリーチングは、不定形オレフィン重合物を生成し、重合反応器等でのファウリングの一因になる。従って、該組成物は、オレフィン重合(多量化)反応工程および/またはその触媒調製工程で使用されるn−ヘキサンに代表される脂肪族炭化水素溶媒、およびトルエンに代表される芳香族炭化水素溶媒に対する溶解度は小さい程良い。
【0059】
上記の観点から、該組成物をオレフィン重合(多量化)反応に適用する場合、方法(i)により測定した、25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度は通常0.50モル%未満、好ましくは0.30モル%以下、より好ましくは0.10モル%以下である。また、方法(ii)により測定した、25℃におけるトルエンに対する溶解度は通常1.0モル%未満、好ましくは0.50モル%以下、より好ましくは0.30モル%以下である。なお、n−ヘキサンおよびトルエンに対する溶解度の下限については、上述のとおり溶解度は小さい程良いことから規定することに大きな意味はないが、好ましくは、0モル%である。溶解度の測定は、特公平7−42301号公報に記載の方法に準じて実施することができる。具体的な方法は、試験例に記載する。
【0060】
固体状ポリアルミノキサン組成物の、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、モル分率(1)および(2)は、東ソー研究・技術報告誌2003年第47巻55−60に記載のMMAOの解析方法と同様の方法で実施することができる。すなわち、モル分率(1)および(2)は、1H−NMR測定を実施することにより、一般式(1)の構造に帰属されるポリアルキルアルミノキサン、一般式(2)の構造に帰属されるポリアルキルアルミノキサン、トリメチルアルミニウムおよびトリアルキルアルミニウム(トリメチルアルミニウムを除く)のそれぞれに帰属される面積比から求めることができる。
【0061】
また、固体状ポリアルミノキサン組成物中のポリアルキルアルミノキサンがポリメチルアルミノキサンであり、トリアルキルアルミニウムがトリメチルアルミニウムである、該組成物の場合、モル分率(3)は、国際公開第2010/055652号パンフレットに記載の方法に準じて、1H−NMR測定を実施することにより、ポリメチルアルミノキサンおよびトリメチルアルミニウムのそれぞれの成分に帰属される面積比から求めることができる。具体的な方法は、試験例に記載する。
【0062】
該組成物は、方法(iii)により測定した、モル分率(1)および(2)が13モル%以上、すなわちテトラヒドロフラン−d8可溶部では、トリアルキルアルミニウムのモル分率が大きい程、好ましい。また同様に、該組成物が、方法(iii)により測定した、モル分率(3)も13モル%以上が好ましく、テトラヒドロフラン−d8可溶部では、トリメチルアルミニウムのモル分率が大きい程、好ましい。
【0063】
一般に、溶液状態のポリアルミノキサン組成物では、トリメチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムのモル分率が小さくなると、溶媒に不溶なゲル成分が生成することが知られている。従って、固体状ポリアルミノキサン組成物中においても、トリアルキルアルミニウムのモル分率が小さい程、溶媒に対する溶解度が低くなり、リーチングが抑制できると考えられ、一見すると、本発明と矛盾するように思われる。
【0064】
メタロセン触媒、およびポストメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いたオレフィン重合反応では、助触媒としてトリアルキルアルミニウムを単独で使用した場合、その触媒活性は極めて低いため、溶液状ポリアルミノキサン組成物の助触媒としての性能は、ポリアルキルアルミノキサン成分が必須であることが広く知られている。従って、固体状ポリアルミノキサン組成物からのリーチングによるファウリングを抑制するためには、トリアルキルアルミニウムではなく、ポリアルキルアルミノキサンのリーチングを抑制することが本質であると考える。
【0065】
一般的なスラリー重合(多量化)反応、もしくは気相重合反応においては、生成するポリマー粒子同士の静電的相互作用によるファウリングを防止するため、帯電防止剤が添加されている。帯電防止剤は一般的にイオン性官能基やポリエーテル官能基などの極性の高い官能基を分子内に有していることから、リーチングによるファウリングを充分に抑制するためには、助触媒として有効な成分であるポリアルキルアルミノキサンの反応溶媒へのリーチングを、帯電防止剤等の極性の高い物質の存在下でも充分に抑制する必要がある。
【0066】
また、メタロセン触媒、およびポストメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒、すなわち主触媒である遷移金属錯体との接触においても、その錯体固有の分子内分極によりリーチングが促進される場合もある。
【0067】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、上記の観点から、極性化合物であるテトラヒドロフラン−d8可溶部のポリアルキルアルミノキサンの割合が低い程、すなわち、トリアルキルアルミニウムの含有率が高い程望ましく、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、モル分率(1)は、13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上であり、また、同様に、テトラヒドロフラン−d8可溶部のポリアルキルアルミノキサンの割合が低い程、すなわち、トリメチルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウムの含有率が高い程望ましく、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、モル分率(2)においても、13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上である。さらに、同様に、テトラヒドロフラン−d8可溶部のポリメチルアルミノキサンの割合が低い程、すなわち、トリメチルアルミニウムの含有率が高い程望ましく、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、モル分率(3)においても、13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上である。
【0068】
一方、13モル%未満では、ポリメチルアルミノキサンなどのポリアルキルアルミノキサンのリーチングの割合が多いことから、主触媒である遷移金属錯体との接触により固体状ポリアルミノキサン組成物の崩壊が発生しやすくなる。また、オレフィン重合(多量化)反応においても、生成するオレフィン重合体のかさ比重が低下するなどの現象が発生し、ファウリングが発生しやすくなる。一方、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、モル分率(1)の上限は、特に限定はされないが、ポリアルミノキサンのリーチングの割合が少ない程好ましいことから、例えば99モル%である。テトラヒドロフラン−d8可溶部における、モル分率(2)および(3)の上限も、同様である。
【0069】
また、極性化合物共存下でのポリアルキルアルミノキサンの反応溶媒へのリーチングを抑制するという観点から、本発明の組成物は、以下の要件(iv)をさらに満たすことが好ましい。
【0070】
要件(iv):以下の方法(iv)により測定した、25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が、95モル%以下であることが好ましく、より好ましくは90モル%以下、更に好ましくは85モル%以下である。テトラヒドロフランに対する溶解度の下限は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、リーチングの観点から、例えば1モル%でよい。
【0071】
〔方法(iv)〕
溶解度は、n−ヘキサンの代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は、前記方法(i)と同様の方法により求める。具体的には、該溶解度は、25℃に保持された50mLのテトラヒドロフランに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてろ過により、ろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定し、固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
【0072】
方法(iv)で用いられるテトラヒドロフランは、安定剤(ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)が不含のもので、含水率は2.0ppm未満である。なお、脱気脱水は、Organometallics誌1996年15巻1518−1520に記載の方法で行うことができる。
【0073】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、通常粒子状であり、比表面積が400〜800m2/gの範囲にあることが好ましい。担体の比表面積は、オレフィン重合反応における触媒活性に大きく影響を与えることが知られており、比表面積が小さいと、主触媒となる遷移金属錯体の活性化効率が低下し、触媒活性が低下するおそれがある。一方、比表面積が高すぎると、一般に担体の細孔直径が小さくなるため、主触媒である遷移金属錯体が、担体に均一に担持されなくなることがあるおそれがある。上記のことから、比表面積は、400〜800m2/gの範囲にあることが好ましく、420〜700m2/gの範囲にあることがより好ましい。
【0074】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物の比表面積は、BET吸着等温式を用い、固体表面におけるガスの吸着および脱着現象を利用して求めることができる。具体的な方法は、試験例に記載する。
【0075】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、体積統計値での中位径D50が0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。オレフィン重合(多量化)触媒成分として使用する場合、平均粒径が100μmより大きくなると、粗大ポリマー粒子が多く生成し、ポリマー排出口や、ポリマー移送ラインの閉塞などのトラブルを引き起こすおそれがある。一方、平均粒径が0.1μmより小さくなると、微小ポリマー粒子が多く生成し、静電気による帯電付着の問題が発生しやすくなるだけでなく、沈降性やろ過性の悪化により、生産効率が低下する問題が発生するおそれがある。上記のことから、体積統計値での中位径D50は0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜80μmの範囲であり、更に好ましくは1.0〜60μmの範囲である。体積統計値での中位径D50は、たとえば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。具体的な方法は、試験例に記載する。
【0076】
固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径の均一性を表す指標として、国際公開第2010/055652号パンフレットには、下記の数式(1)で示される定義が記載されている。
【0077】
均一性 = ΣXi|D50−Di|/D50ΣXi・・・(1)
ここで、Xiは粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。該指標では値が大きくなるほど分布が広いことを示す。
【0078】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物をオレフィン重合(多量化)プロセスへ適用する場合、安定運転性の観点から、固体状ポリアルミノキサン組成物の粒度分布は狭いほうが好ましく、上記数式(1)で示される均一性は、通常0.40以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは、0.27以下、さらに好ましくは0.25以下である。特に、シリカにポリアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒の代替として使用することを考慮すると、前記担持型触媒の均一性と同等以上であることが望ましい。上記均一性の下限は、固体状ポリアルミノキサン組成物が自己会合により粒子状に形成されることを考慮すると、例えば0.15でよい。
【0079】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、溶媒中に分散したスラリー液であっても、溶媒を除去した状態、必要により乾燥した状態であってもよい。
【0080】
なお、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、固体状担体を含有しない。ここで、固体状担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウムなどの固体状無機担体、またはポリスチレンビーズなどの固体状有機担体が挙げられる。固体状担体を含有しないことで、固体状担体を含有するポリアルミノキサン組成物が有する欠点を回避することができる。
【0081】
〔固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法〕
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法を具体的に説明するが、本発明の効果を奏する限り、これらに限定されるものではない。
【0082】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物は、粒子径制御性の理由から、次の製造方法、すなわち、
(A)ポリアルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムおよび炭化水素溶媒を含む溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)周期律表第15〜17族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物(以下、『(B)有機化合物』とも称す)を接触させる工程と、
加熱条件下で、該溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)中に含まれるアルミニウム−炭素結合を有する化合物と、該(B)有機化合物を反応させて、固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させる工程を含んで得られることが好ましい。
【0083】
また、析出した固体状ポリアルミノキサン組成物を、さらに加熱熟成する工程を含むことが好ましい。
【0084】
以下、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物、(B)有機化合物の詳細を説明したのち、(A)成分と(B)成分の反応による固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法について説明する。
【0085】
[(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物]
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物は、ポリアルキルアルミノキサン、好ましくは一般式(3)および/または前記一般式(2)で表される構成単位を含むポリアルキルアルミノキサン、より好ましくは一般式(3)で表される構成単位を含むポリアルキルアルミノキサン、さらに好ましくはポリメチルアルミノキサンと、トリアルキルアルミニウム、好ましくはトリメチルアルミニウムと、炭化水素溶媒を含有する。
【0086】
【化3】
一般式(3)で表される構成単位を含むポリアルミノキサンは、トリメチルアルミニウムから調製されたもの、またはトリメチルアルミニウムと炭素原子数2〜20の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムまたはトリアリールアルミニウムの二成分以上から調製されたものである。二成分以上から調製される場合、前記一般式(2)で表される構成単位を含んでいてもよい。トリアルキルアルミニウムおよびトリアリールアルミニウムについては、前記に記載の通りである。
【0087】
また、その他、ポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムなどについては、前記に記載の通りである。
【0088】
該製造方法では、原料として用いられる(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物が、ポリアルキルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウムおよび炭化水素溶媒を含む限り、その調製方法に特に限定されないが、トリメチルアルミニウムのみから調製する場合は、例えば、特開平6−329680号公報または特表2000−509040号公報に記載されているトリメチルアルミニウムの部分加水分解反応、特開2005−263749号公報または特表2000−505785号公報に記載されているトリメチルアルミニウムと酸素を含む有機化合物の熱分解反応で調製された溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物を原料として使用することができる。また、トリメチルアルミニウムと、炭素原子数2〜20の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムまたはトリアリールアルミニウムの二成分以上から調製する場合は、例えば、米国特許第5041584号明細書、特表2001−502714号公報に記載されている溶液状ポリアルミノキサン組成物で、いわゆる「変性されたメチルアルミノキサン(MMAO)」を原料として使用することができる。
【0089】
該製法では、炭化水素溶媒に可溶であれば、任意のポリアルミノキサン組成物を適用できるが、商業スケールでの実施を考慮した場合、原料調達性の観点から、広く市販されている溶液状ポリアルミノキサン組成物を使用することが好ましく、特にトリメチルアルミニウムの部分加水分解反応により調製される溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物を使用することが好ましい。
【0090】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物は、(A)の調製における未反応原料のトリメチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムを含有していてもよい。また(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物の成分調製のために添加されたトリメチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムを含有していてもよい。
【0091】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中のメチル基などのアルキル基のモル分率は、前記モル分率(1)〜(3)と同様に、国際公開第2010/055652号パンフレットまたは東ソー研究・技術報告誌2003年第47巻55−60に記載の方法に準じて、1H−NMR測定を実施することにより、求めることができる。
【0092】
溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)中の、上記により求められる、アルキル基の総モル数に対するトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率またはアルキル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率の範囲に特に制限されないが、ポリアルキルアルミノキサン成分の量が多い方が望ましいと考えられる。また、同様に、(A)成分が溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物である場合、上記により求められる、メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率の範囲に特に制限されないが、ポリメチルアルミノキサン成分の量が多い方が望ましいと考えられる。メタロセン触媒、およびポストメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いたオレフィン重合反応では、助触媒としてトリメチルアルミニウムを単独で使用した場合、その触媒活性は極めて低いため、溶液状ポリアルミノキサン組成物の助触媒としての性能は、ポリメチルアルミノキサンなどのポリアルキルアルミノキサン成分が必須であることが知られている。したがって、加水分解法での調製を考慮した場合、メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率の上限は通常60モル%でよく、好ましくは55モル%、さらに好ましくは50モル%でよい。アルキル基の総モル数に対するトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率の上限およびアルキル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率の上限も同様である。一方、その下限は、ゲル成分が発生しない範囲であればよく、(A)成分である溶液状ポリアルミノキサン組成物の製造方法により異なるが、一般的には、6モル%、好ましくは16モル%である。
【0093】
原料として用いられる(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物は、溶液状であれば炭化水素溶媒に対するポリアルキルアルミノキサンとトリアルキルアルミニウムの濃度は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、ポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムが析出することなく安定に保存できる濃度であればよい。
【0094】
一般に、溶液状ポリアルミノキサン組成物は、調製条件や保存条件により、容易にポリアルキルアルミノキサンに由来するゲル状物が堆積することが知られており(特開2005−263749号公報)、またゲル状物の堆積が目視で観察されない場合においても、本質的には、溶液状ポリアルミノキサン組成物にゲル成分が含まれている可能性があることは、当業者に広く知られている。(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物は、上記のようなゲル成分を含むものであってもよい。また(A)成分が目視でゲル状物を含むものであっても、そのまま使用することができるが、粒径均一性制御の観点からは、ゲル状物をろ過やデカンテーション等の方法で除去して使用するほうが好ましい。
【0095】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物に用いられる炭化水素溶媒は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、ポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムを溶解できる溶媒が好ましい。溶媒としては、不活性炭化水素溶媒が好ましく、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素; シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素; ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、クメン、シメン、テトラリンなどの芳香族炭化水素を挙げることができる。該ポリアルキルアルミノキサン、好ましくは一般式()で表される構成単位を含むポリアルキルアルミノキサン、より好ましくはポリメチルアルミノキサンの溶解度および沸点を考慮して上記の芳香族炭化水素を使用することが好ましいが、ポリアルキルアルミノキサン成分が析出しない範囲で、脂肪族炭化水素溶媒または脂環族炭化水素溶媒を混ぜて使用してもよい。また、溶媒は、固体状ポリアルミノキサン組成物が析出する温度以上の沸点を有することが好ましく、65℃以上がより好ましいが、低沸点の溶媒を使用する場合は、任意の温度で加熱するために加圧してもよい。
【0096】
[(B)周期律表第15〜17族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物]
(B)周期律表第15〜17族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物は、該組成物(A)中のポリアルキルアルミノキサン、およびトリメチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムなどの、該組成物(A)中に含まれるアルミニウム−炭素結合を有する化合物と反応し、アルミニウムと第15〜17族の元素間に結合を形成できる化合物であれば特に制限されないが、アルキルアルミニウム化合物との反応性が高い化合物が好ましい。また、(B)有機化合物は、周期律表第15〜17族の元素を2種以上含んでいても良く、同元素を2元素以上含んでいても良い。なお、該有機化合物は、前記に記載のポリアルキルアルミノキサンと異なる。
【0097】
(B)原材料入手性の観点も考慮すると、周期律表第15族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物としては、窒素、またはリンを含む化合物、周期律表第16族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物としては、酸素、または硫黄を含む化合物が好ましい。また、周期律表第17族の元素を含む少なくとも1種の有機化合物としては、ハロゲンを含む化合物が好ましく、反応性の観点から、部分的にハロゲン化された有機化合物を使用することがより好ましい。
【0098】
窒素を含む化合物の例としては、アミン、イミン、イミド、アミド、ニトリル、イソシアニド、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン化合物、含窒素複素環式化合物などが挙げられる。さらに具体的に例示すると、アミンとしては、第1級〜第3級アミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミン、アミノ化合物およびグリシンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0099】
第1級〜第3級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族アミン、並びに、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香族アミン及びその誘導体などが挙げられる。
【0100】
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0101】
トリアミンとしては、ジエチレントリアミンなどが挙げられる。
【0102】
アミノ化合物としては、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコールなどが挙げられる。
【0103】
イミンとしては、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン及びエチレンイミンなどが挙げられる。
【0104】
イミドとしては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、フタルイミドなどが挙げられる。
【0105】
アミドとしては、カルボン酸アミド、N置換アミド、Nジ置換アミドなどのN置換アミド、芳香族アミド、芳香族ジアミドなどの芳香族アミド、ウレア(尿素)、カルバミド、ウレタン、ラクタム、ラクチム、ヒドラジド、イミド酸、イミド酸エステル等が挙げられる。具体的には、例えばアセトアミド、ベンズアミド等が挙げられる。
【0106】
ニトリルとしては、ブチロニトリル、アセトニトリルなどの脂肪族ニトリル及びベンゾニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、テレフタロニトリル、テトラシアノベンゼンなどの芳香族ニトリルなどが挙げられる。
【0107】
イソシアニドとしては、tert−ブチルイソシアニド、1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド、1−アダマンチルイソシアニド、2,6−キシリルイソシアニドなどが挙げられる。
【0108】
ニトロ化合物としては、ニトロベンゼン、ニトロピリジン等が挙げられる。
【0109】
ニトロソ化合物としては、ニトロソジメチルアニリン、ニトロソナフトールなどが挙げられる。
【0110】
ヒドラジン化合物としては、例えばヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジンなどが挙げられる。
【0111】
含窒素複素環式化合物としては、含窒素複素単環化合物及び含窒素縮合複素環化合物が挙げられる。含窒素複素単環化合物としては、5員環化合物であるピロール及びその誘導体、ピラゾールやイミダゾール等のジアゾール類及びその誘導体、トリアゾール類及びその誘導体、並びに、6員環化合物であるピリジン及びその誘導体、ピリダジンやピリミジンやピラジン等のジアジン類及びその誘導体、トリアジン類及び、メラミンやシアヌル酸等のトリアジン類誘導体等が挙げられる。また、含窒素縮合複素環化合物としては、キノリン、フェナントロリン、プリン等が挙げられる。
【0112】
リンを含む化合物としては、有機リン化合物である、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスフィナスアミド、ホスホナスジアミド、ホスホラストリアミド、ホスホラミダイト、ホスホロジアミダイト、ホスフィンオキサイド、ホスフィネート、ホスホネート、ホスフェイト、ホスフィニックアミド、ホスホノジアミデート、ホスホラミド、ホスホラミデート、ホスホロジアミデート、ホスフィンイミド、ホスフィンサルファイド、ホスホニウムイリド、有機ホスホン酸などが挙げられる。
【0113】
ホスフィンとしては、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアリールモノアルキルホスフィン、モノアリールジアルキルホスフィンなどが挙げられる。トリアリールホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。トリアルキルホスフィンとしては、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、ビス(tert−ブチル)メチルホスフィンなどが挙げられる。モノアリールジアルキルホスフィンとしては、ビス(シクロヘキシル)ビフェニルホスフィン、ビス(tert−ブチル)ビフェニルホスフィンなどが挙げられる。
【0114】
ホスホナイトとしては、フェニルジフェノキシホスフィンなどのアリールホスホナイト; ブチルジブトキシホスフィンなどのアルキルホスホナイト; フェニルジブトキシホスフィンなどのアルキルアリールホスホナイトなどが挙げられる。
【0115】
ホスファイトとしては、トリフェニルホスファイトなどのアリールホスファイト; トリブチルホスファイトなどのアルキルホスファイト; ジメチルフェニルホスファイトなどのアルキルアリールホスファイトなどが挙げられる。
【0116】
酸素を含む化合物の例としては、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、無水カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、エステル、エポキシド、カルボナート、含酸素複素環式化合物などが挙げられる。
【0117】
硫黄を含む化合物の例としては、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、チオエステル、チオノエステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルフラン、ペルスルフラン、含硫黄複素環式化合物などが挙げられる。
【0118】
チオールとしては、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、アミルメルカプタン、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール、ヘキサデシルチオール、ベンジルメルカプタン、o−、m−またはp−トリルメルカプタン、o−、m−またはp−メチルフェニルメタンチオールなどが挙げられる。
【0119】
スルフィドとしては、エチルスルフィド、プロピルスルフィド、ブチルスルフィド、アリルスルフィド、メチルエチルスルフィドおよびメチルフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0120】
ジスルフィドとしては、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド及びジヘキサデシルジスルフィドなどが挙げられる。
【0121】
スルホキシドとしては、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0122】
チオエステルとしては、メチルチオエステル、エチルチオエステル、n−プロピルチオエステル、イソプロピルチオエステル、t−ブチルチオエステル、ペンチルチオエステル、ヘキシルチオエステルなどが挙げられる。
【0123】
スルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、1,1−エタンジスルホン酸、1,1−プロパンジスルホン酸、1,2−エチレンジスルホン酸、1,3−プロピレンジスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸、4−ヒドロキシ−2−ブタンスルホン酸、4−ヒドロキシ−1−ブタンスルホン酸などが挙げられる。
【0124】
スルホン酸エステルとしては、p−トルエンスルホン酸、メトキシスルホン酸、メタンスルホン酸、ペルフルオロアルキルスルホン酸などが挙げられる。
【0125】
含硫黄複素環式化合物としては、チオフェン、チアゾールなどが挙げられる。
【0126】
周期律表第17族の元素(ハロゲン)を含有する場合、ハロゲン元素がフッ素であることがさらに好ましい。具体的に例示すると、α,α,α−トリフルオロトルエン、パーフルオロトルエン、2−メチルベンゾトリフルオリド、3−メチルベンゾトリフルオリド、4−メチルベンゾトリフルオリド、1,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルメタン、1,2−ビス{3'−(トリフルオロメチル)フェニル}−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、3−(トリフルオロメチル)ビフェニル、1,2−ビス{2−(トリフルオロメチル)フェニル)エタン、1,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、α,α−ジフルオロトルエン、1,4−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン、4−(ブロモジフルオロメチル)−1−(ジフルオロメチル)ベンゼン、パーフルオロ(ベンジルテトラリン)、パーフルオロパーヒドロフルオレン、ヘプタフルオロイソプロピルベンゼン、α−フルオロトルエン、1−フルオロブタン、2−メチル−2−フルオロプロパン(フッ化−t−ブチル)、1−フルオロペンタン、1−フルオロヘキサン、3−メチル−フルオロペンタン、3−メチル−フルオロヘキサン、1−メチル−1−フルオロシクロヘキサン、1−フルオロヘプタン、1−フルオロオクタン、2−メチル−2−フルオロヘプタン、1,2−ジフルオロ−1−メチルシクロオクタン、1−フルオロノナン、1−フルオロデカン、1−フルオロドデカン、1,3−ジフルオロ−1,3,5−メチルシクロオクタン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、4−ブロモベンゾトリフルオリド、4−ヨードベンゾトリフルオリド、3−フルオロベンゾトリフルオリド、3−クロロベンゾトリフルオリド、3−ブロモベンゾトリフルオリド、3−ヨードベンゾトリフルオリド、2−フルオロベンゾトリフルオリド、2−クロロベンゾトリフルオリド、2−ブロモベンゾトリフルオリド、2−ヨードベンゾトリフルオリド、4−(トリフルオロメチル)ベンジルクロリド、4−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド、3−(トリフルオロメチル)ベンジルクロリド、3−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド、2−(トリフルオロメチル)ベンジルクロリド、2−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド、4−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、3−(トリフルオロメチル)アニソール、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルメタン、2,4−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン、1−ヨード−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニソール、2−(トリフルオロメチル)ピリジン、3−(トリフルオロメチル)ピリジン、4−(トリフルオロメチル)ピリジン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)ピリジン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ピリジン、2−クロロ−6−トリフルオロメチルピリジン、2−ブロモ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン、2,3−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリジン、2,6−ジクロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−クロロ−3−トリフルオロメチルピリジン、2−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン、2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン、3−クロロ−2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン、2−クロロ−6−メチル−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン、4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン、4−クロロ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)キノリン、4,5,7−トリクロロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン、4−クロロ−2,8−ビス(トリフルオロメチル)キノリンなどが挙げられる。
【0127】
(B)有機化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0128】
これらのうち、後述する反応制御性の観点から、(B)有機化合物としては、周期律表第16族の元素を含む有機化合物が好ましく、(C)酸素を含む有機化合物であることが特に好ましい。なお、反応制御性は、(A)成分と(B)成分との反応速度制御性に加えて、固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径制御性の意味を含む。
【0129】
(C)酸素原子を含む有機化合物で、(A)成分との反応性が高い化合物としては、(D)アルデヒドを含む有機化合物、(E)ケトンを含む有機化合物、(F)アルコールを含む有機化合物、(G)カルボン酸を含む有機化合物が挙げられる。一般的に(A)成分として広く市販されているトリメチルアルミニウムから調製される溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物は、トルエン溶液として入手することができる。上述した(D)〜(G)の化合物を用いることで、トルエンの沸点以下の温和な加熱条件で固体状ポリアルミノキサン組成物を調製することができる。
【0130】
上記化合物群の中でも、粒子径制御性に特に優れるという観点から、(D)アルデヒドを含む有機化合物、(E)ケトンを含む有機化合物、(F)アルコールを含む有機化合物が特に好ましく用いられる。
【0131】
(D)アルデヒドを含む有機化合物としては、R2−CHOで表されるものが用いられる。R2は炭素原子数1〜50の炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基である、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルや、複素環の一価基、もしくは水素原子であるホルムアルデヒド等が挙げられる。また上記の炭化水素基には、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ハロゲンなどの置換基を含んでいてもよい。
【0132】
アルデヒドを含む有機化合物を具体的に例示すると、R2がアルキルとしては、アセトアルデヒド、2−クロロアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ピバルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブタナ−ル、ヘキサナ−ル、ウンデカナ−ル、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタナ−ル、オキサルアルデヒド、マロンアルデヒドなどが挙げられる。
【0133】
2がシクロアルキルとしては、シクロヘキサンカルボアルデヒドなどが挙げられる。
【0134】
2がアルケニルとしては、アクロレイン、2−ブテナール、2−ペンテナール、2−ヘキセナール、2−ヘプテナール、2−オクテナール、2−デセナール、2−ドデセナール、2−オクタデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−へプタジエナール、2,4−オクタジエナール、シンナムアルデヒド、2−フラルアクロレイン、プレナール、ゲラニアール、ネラール、シトラール、ファルネサール等が挙げられる。
【0135】
2がアリールとしては、その炭素数が6〜20であることがさらに好ましく、ベンズアルデヒド、2−ナフタアルデヒド、o−、m−、またはp−トルアルデヒド、o−、m−、またはp−フルオロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−クロロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−アニスアルデヒド、o−、m−、またはp−アセトキシベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−フタルアルデヒド等が挙げられる
2がアラルキルとしては、その炭素数が7〜21であることがさらに好ましく、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。
【0136】
2が複素環の一価基としては、複素環に含まれる炭素数が4〜20であることが好ましく、フルフラ−ル、2−チオフェンカルボアルデヒド、ニコチンアルデヒド等が挙げられる。
【0137】
これらの中で特に好ましいものとして、R2がアリールである、ベンズアルデヒド、2−ナフタアルデヒド、o−、m−、またはp−トルアルデヒド、o−、m−、またはp−フルオロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−クロロベンズアルデヒド、o−、m−、またはp−フタルアルデヒド等、R2がアルケニルである、アクロレイン、2−ブテナール、2−ペンテナール、2−ヘキセナール、2−ヘプテナール、2−オクテナール、2−デセナール、2−ドデセナール、2−オクタデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−へプタジエナール、2,4−オクタジエナール、シンナムアルデヒド、2−フラルアクロレイン、プレナール、ゲラニアール、ネラール、シトラール、ファルネサール等を挙げることができる。
【0138】
(E)ケトンを含む有機化合物としては、R3COR4で表されるものが用いられる。R3とR4は同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜50の炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基である、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルや、複素環の一価基が挙げられる。また上記の炭化水素基は、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ハロゲンなどの置換基を含んでいてもよい。またR3とR4は互いに連結し環構造を形成してもよい。
【0139】
ケトンを含む有機化合物のR3、R4において、アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、s−ヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、s−オクチル、t−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
【0140】
3、R4において、シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
【0141】
3、R4において、アルケニルとしては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル、オクタデカジエニル、9,12,15−オクタデカトリエニル、9,11,13−オクタデカトリエニル、クロチル等が挙げられる。
【0142】
3、R4において、アリールとしては、その炭素数が6〜20であることがさらに好ましく、フェニル、トリル、キシリル、ハロゲン化フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントレン、ペリレン等が挙げられる。
【0143】
3、R4において、アラルキルとしては、その炭素数が7〜21であることがさらに好ましく、ベンジル、ナフチルメチル、アントリルメチル等が挙げられる。
【0144】
3、R4において、複素環の一価基としては、複素環に含まれる炭素数が4〜20であることがより好ましく、フリル、ピロリル、ピロリジル、ピリジル、チオフェニル等が挙げられる。
【0145】
ケトンを含む有機化合物の具体例としては、アセトン、エチルメチルケトン、プロピルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、ブチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、2−ウンデカノン、メチルビニルケトン、アクリロフェノン、メシチルオキシド、フルオロアセトン、クロロアセトン、2,4−ペンタンジオン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、シクロデカノン、2−ノルボルナノン、2−アダマンタノン、テトラヒドロピラン−4−オン、ベンジルアセトン、1−インダノン、2−インダノン、α−テトラロン、β−テトラロン、7−メトキシ−2−テトラロン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジベンジルケトン、3,4−ジメチルアセトフェノン、2−アセトナフトン、2−クロロアセトフェノン、o−、m−、またはp−フルオロアセトフェノン、ベンザルアセトフェノン、o−、m−、またはp−ノニルアセトフェノン、フェニルベンジルケトン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、o−、m−、またはp−クロロベンゾフェノン、o−、m−、またはp−メチルベンゾフェノン、2,4−ジメチルベンゾフェノン、ブチロフェノン、イソブチロフェノン、ピバロフェノン、バレロフェノン、カプロフェノン、エナントフェノン、カプリロフェノン、ノナノフェノン、デカノフェノン、ウンデカノフェノン、ラウロフェノン、パルミトフェノン、2−ベンゾイルナフタレン、1,3−ジベンゾイルプロパン、2−ベンゾイルピリジン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、シナミルメチルケトン、フルフラルアセトン等のケトン類等を挙げることができる。
【0146】
これらの中で特に好ましいものとして、アセトフェノン、プロピオフェノン、3,4−ジメチルアセトフェノン、o−、m−、またはp−クロロベンゾフェノン、o−、m−、またはp−フルオロアセトフェノン、o−、m−、またはp−メチルベンゾフェノン、2−アセトナフトン、ベンザルアセトフェノン、o−、m−、またはp−ノニルアセトフェノン、フェニルベンジルケトン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4−ジメチルベンゾフェノン、ブチロフェノン、イソブチロフェノン、ピバロフェノン、バレロフェノン、カプロフェノン、エナントフェノン、カプリロフェノン、ノナノフェノン、デカノフェノン、ウンデカノフェノン、ラウロフェノン、パルミトフェノン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、シナミルメチルケトン、フルフラルアセトン等を挙げることができる。
【0147】
(F)アルコールを含む有機化合物としては、R5−OHで表されるものが用いられる。R5は炭素原子数1〜50の炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基である、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルや、複素環の一価基、もしくは水素原子である水等が挙げられる。また上記の炭化水素基は、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ハロゲンなどの置換基を含んでいてもよい。
【0148】
アルコールを含む有機化合物を具体的に例示すると、R5がアルキルとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、ヘキサノール、4−メチル−1−ペンタノール、1−フェニル−1−ペンタノール、ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、6−メチル−1−ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、2−オクチル−1−ドデカノール、グリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、オクタデカンジオール、フルフリルアルコール等が挙げられる。
【0149】
5がシクロアルキルとしては、シクロヘキサノール、1−、または2−テトラロール等が挙げられる。
【0150】
5がアルケニルとしては、プロペノール、クロチルアルコール、2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプテン−1−オール、2−オクテン−1−オール、2−ドデセン−1−オール、2−オクタデセノール、シンナミルアルコール、プレノール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、ゲラニオール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、フィトール、イソフィトール、ゲラニルリナロール、ソルビルアルコール、2,4−へプタジエン−1−オール等が挙げられる。
【0151】
5がアリールとしては、その炭素数が6〜20であることがさらに好ましく、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、o−、m−、またはp−クロロフェノール、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノール、1,2−、1,3−、または1,4−ベンゼンジオール、ナフトール等が挙げられる。
【0152】
5がアラルキルとしては、その炭素数が7〜21であることがさらに好ましく、ベンジルアルコール、o−、m−、またはp−メチルベンジルアルコール、o−、m−、またはp−イソプロピルベンジルアルコール、o−、m−、またはp−フルオロベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、1−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−2−プロパノール、1−(o−、m−、またはp−トリル)エタノール等が挙げられる。
【0153】
5が複素環の一価基としては、複素環に含まれる炭素数が4〜20であることがさらに好ましく、テトラヒドロフラン−2−オール、テトラヒドロフラン−2,4−ジオール、2−ヒドロキシピペリジン等が挙げることができる。
【0154】
これらの中で特に好ましいものとして、1−フェニル−1−ペンタノール、プロペノール、クロチルアルコール、2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプテン−1−オール、2−オクテン−1−オール、2−ドデセン−1−オール、2−オクタデセノール、シンナミルアルコール、プレノール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、ゲラニオール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、フィトール、イソフィトール、ゲラニルリナロール、ソルビルアルコール、2,4−へプタジエン−1−オール、ベンジルアルコール、o−、m−、またはp−メチルベンジルアルコール、o−、m−、またはp−イソプロピルベンジルアルコール、o−、m−、またはp−フルオロベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、1−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−2−プロパノール、1−(o−、m−、またはp−トリル)エタノール、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノール等を挙げることができる。
【0155】
(G)カルボン酸を含む有機化合物としては、R6COOHで表されるものが用いられる。R6は炭素原子数1〜50の炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基である、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルや、複素環の一価基、もしくは水素原子であるギ酸が挙げられる。また上記の炭化水素基は、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ハロゲンなどの置換基を含んでいてもよい。
【0156】
一般式R6COOHにおいて、R6がアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、ヘキシル、1−メチルペンチル、ヘプチル、オクチル、1−メチルヘプチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等が挙げられる。具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸等を挙げることができる。
【0157】
6がシクロアルキルとしては、2−シクロプロペンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−テトラリンカルボン酸などが挙げられる。
【0158】
6がアルケニルとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、セネシオ酸、2−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、2−ノネン酸、ゲラン酸、2−デセン酸、2−ドデセン酸、2−オクタデセン酸、ファルネシル酸、ゲラニルゲラン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、トラウマト酸、シンナミリデン酢酸、ソルビン酸、ムコン酸、2,4−オクタジエン酸等を挙げることができる。
【0159】
6がアリールとしては、その炭素数が6〜20であることがさらに好ましく、フェニル、トリル、キシリル、ハロゲン化フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントレン、ペリレン等が挙げられる。具体例としては、安息香酸、o−、m−、またはp−トルイル酸、o−、m−、またはp−フルオロ安息香酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ安息香酸、o−、m−、またはp−クロロ安息香酸、4−メトキシ安息香酸、ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、フェナントレンカルボン酸、ペリレンカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。
【0160】
6がアラルキルとしては、その炭素数が7〜21であることがさらに好ましく、ベンジル、ナフチルメチル、アントリルメチル等が挙げられる。具体例としては、フェニル酢酸、ナフチル酢酸、アントリル酢酸等を挙げることができる。
【0161】
6が複素環の一価基の場合、複素環に含まれる炭素数はより好ましくは4〜20であり、2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸等を挙げることができる。
【0162】
これらの中で特に好ましいものとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、セネシオ酸、2−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、2−ノネン酸、ゲラン酸、2−デセン酸、2−ドデセン酸、2−オクタデセン酸、ファルネシル酸、ゲラニルゲラン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、トラウマト酸、シンナミリデン酢酸、ソルビン酸、ムコン酸、2,4−オクタジエン酸、安息香酸、o−、m−、またはp−トルイル酸、o−、m−、またはp−フルオロ安息香酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ安息香酸、o−、m−、またはp−クロロ安息香酸、4−メトキシ安息香酸、ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、フェナントレンカルボン酸、ペリレンカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。
【0163】
また、(A)成分と(B)成分との反応性の観点から、(B)有機化合物が、第15〜17族元素のβ位に多重結合を有する構造を含む化合物、例えば、下記一般式(4)で表される構造を含む化合物であると、(A)成分と(B)成分との反応における反応速度が向上するためより好ましい。
【0164】
【化4】
一般式(4)中、Eは15〜17族の元素を含む置換基を示す。R7〜R11は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜50の炭化水素基を示し、R8とR9、R9とR10は互いに連結して脂環または芳香環を形成していてもよい。また、R8とR9は直接炭素−炭素結合を形成して三重結合を形成してもよく、EとR10および/またはR11は直接E−炭素間に結合を形成してもよい。
【0165】
ここで、Eとしては、窒素原子、リン原子、酸素原子または硫黄原子を含む置換基、もしくは、ハロゲン原子を含む炭化水素基、またはハロゲン原子であることが好ましい。窒素原子、リン原子、酸素原子または硫黄原子を含む置換基、ハロゲン原子を含む炭化水素基、またはハロゲン原子の具体例としては、(B)有機化合物として上記例示した各化合物群に相当するものであり、本発明の効果を奏する限り、特に限定されない。例えば、Eが窒素原子を含有する置換基の場合、当該置換基は、上述したアミン、イミン、イミド、アミド、ニトリル、イソシアニド、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、含窒素複素環式化合物の各化合物に相当する置換基であることを満たせば足りる。
【0166】
これらのうち、Eとしては、前述の通り、周期律表第16族の元素を含む置換基であることが好ましく、酸素原子を含む置換基であることがより好ましく、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸の各置換基から選ばれるものがさらに好ましく、アルデヒド、ケトン、アルコールの各置換基から選ばれるものが特に好ましい。
【0167】
また、一般式(4)中、炭素原子数1〜50の炭化水素基として具体的には、炭素原子数1〜50の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、炭素原子数3〜50の脂環族炭化水素基、炭素原子数6〜50の芳香族炭化水素基があげられる。
【0168】
[(A)成分と(B)成分の反応による固体状ポリアルミノキサン組成物の製造方法]
該製法において、固体状ポリアルミノキサン組成物は、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)有機化合物を接触させて、加熱条件下で、該溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)中に含まれるアルミニウム−炭素結合を有する化合物と、該(B)有機化合物を反応させ、析出させることにより調製される。その反応の過程において、使用する(B)周期律表第15〜17族の元素を含む有機化合物の種類に応じて、下記一般式(5)〜(7)で表される成分が生成すると考えられる。
【0169】
−(R12)Al−X(R13)(R14) ・・・(5)
−(R12)Al−YR13 ・・・(6)
−(R12)Al−Z ・・・(7)
一般式(5)〜(7)中、R12は炭素原子数1〜20の炭化水素基または酸素原子を示す。Xは第15族の原子、Yは第16族の原子、Zは第17族の原子を示す。R13、R14は炭素原子数1〜50炭化水素基を示し、同一であっても、異なっていてもよい。
【0170】
一般式(5)〜(7)で表される成分は、アルミニウムと15〜17族の元素間に結合を有する成分であり、(B)有機化合物が、溶液状ポリアルミノキサン組成物(A)に含まれるポリアルキルアルミノキサンおよびトリメチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムなどアルミニウム−炭素結合、好ましくはアルミニウム−アルキル結合を有する化合物と反応することで生成する(Australian Journal of Chemistry誌1974年27巻1639−1653、同1974年27巻1655−1663、同1974年27巻1665−1672、Tetrahedron Letters誌1997年38巻5679−5682)。周期律表第15〜16族の元素を含む有機化合物を反応に使用する場合、一般式(5)〜(7)で表される成分とアルミニウムがさらに反応し、例えば、一般式(6)においてYで示される元素が酸素の場合、アルミニウム−酸素−アルミニウム結合が生成する(Australian Journal of Chemistry誌1974年27巻1639−1653)。すなわち、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物に含まれる、アルミニウム−炭素結合、好ましくはアルミニウム−アルキル結合を有する化合物と、(B)成分との反応により、ポリアルキルアルミノキサンの鎖長に変化が生じているものと考えられる。
【0171】
本発明者らは、(B)有機化合物の種類が、固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径と粒子径の均一性を制御する上で重要であると推測している。(B)有機化合物が、アルミニウム−炭素結合、好ましくはアルミニウム−アルキル結合と反応し、直接的にポリアルキルアルミノキサンの鎖長に変化をもたらす役割を果たすだけでなく、ポリアルキルアルミノキサン同士の自己会合に影響を与えているものと考えている。この直接的なポリアルキルアルミノキサンの鎖長の変化、およびポリアルキルアルミノキサン同士の自己会合の結果、生じたポリアルミノキサン組成物が溶媒に対する溶解度の限界に達すると、エネルギー的に安定な粒径の固体状ポリアルミノキサン組成物として析出してくるものと考えられる。
【0172】
また本発明者らは、固体状ポリアルミノキサン組成物のエネルギー的に安定な粒子径の大きさは、添加される(B)有機化合物の性質に大きく依存しているものと推測している。例えば、(B)有機化合物が長鎖アルキル基を有する成分を含む場合は、固体状ポリアルミノキサン組成物の平均粒子径は小さくなる傾向が見られる。この現象については、例えば、一般式(5)〜(7)で表される成分のR12〜R14のいずれか1つ以上が長鎖アルキル基を有する成分である場合、長鎖アルキル基同士の反発により、ポリアルキルアルミノキサン同士が近傍に集まることが阻害されるため、ポリアルキルアルミノキサン同士の自己会合が抑制され、その結果として平均粒子径が小さくなると考えることができる。
【0173】
一方、(B)有機化合物が、例えば、テンプレートとして機能することでポリアルキルアルミノキサン同士の自己会合を強くアシストする場合は、平均粒子径が大きくなると考えることができる。
【0174】
上記のように、該製造方法では、(B)有機化合物の種類を変更することにより、固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径を任意に制御することが可能であり、体積統計値での中位経D50で0.1〜100μmの範囲で制御することができる。また、固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径の均一性を考慮した場合、体積統計値での中位経D50が0.5〜80μmの範囲で均一性をより高くすることができ、1.0〜60μmの範囲で均一性をさらに高くすることができる。なお、中位経D50およびその測定方法などについては、前記および試験例を参照できる。
【0175】
該製造方法で調製される固体状ポリアルミノキサン組成物の粒度分布は比較的狭く、上記数式(1)で示される粒子径の均一性は0.40以下で調製可能である。シリカにポリアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒の代替として使用することを考慮すると、前記担持型触媒の均一性と同等以上であることが望ましい。上記式で示される固体状ポリアルミノキサン組成物の均一性は、0.30以下に調製することが好ましく、0.27以下に調製することがより好ましく、0.25以下に調製することがさらに好ましい。
【0176】
また、該製造方法から得られる固体状ポリアルミノキサン組成物の比表面積は、通常400〜800(m2/g)程度である。具体的な測定方法は、実施例を参照できる。該組成物の比表面積は、先行技術(特公平7−42301号公報、国際公開第2010/055652号パンフレット参照)と比べて極めて大きい。この理由は明らかではないが、本発明者らは、該組成物が生成する過程における(B)成分の役割と関係しているもの考えている。
【0177】
固体状ポリアルミノキサン組成物は、未反応原料の、ポリアルキルアルミノキサン、トリメチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、(B)有機化合物を含有していてもよい。また、通常は乾燥によって除去されるが、除去しきれない炭化水素溶媒を含んでいてもよい。
【0178】
(B)有機化合物が、上記の粒径制御の役割を果たすことを考慮すると、(B)有機化合物の添加量も重要になると考えられる。固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径制御に一定の効果を与える観点から、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物に添加される(B)有機化合物の量は、(B)有機化合物の種類に依存し、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、(A)成分中のアルミニウム1モル当たり、0.01〜0.35モルが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.25モルである。
【0179】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中の、ポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムの合計の濃度A(重量%)の上限は、入手できる溶液状ポリアルミノキサン組成物に依存する。該組成物(A)を一般的な市販品として入手する場合の上限は30重量%程度となるが、トリメチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムから調製する場合はその限りではない。濃度Aは反応速度に影響するため、固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径の均一性への影響を考慮すると、上限は40重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、さらに好ましくは25重量%である。一方、濃度A(重量%)の下限は、固体状ポリアルミノキサン組成物の生産性を考慮すると1重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。
【0180】
該製造方法では、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)有機化合物を接触させる工程を含む。(B)有機化合物を(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物に接触させる方法は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、固体または液体の(B)成分を(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物に一括添加または分割添加して接触させる方法、(A)成分に用いられているものと同様の炭化水素溶媒に(B)成分を溶解または懸濁させたものを(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物に一括添加または分割添加して接触させる方法、または反対に、(A)成分を(B)成分に添加して接触させる方法が挙げられる。反応を均一に実施する観点からは、(B)成分を(A)成分に添加して接触させる方法が好ましい。さらに、(B)有機化合物を2種以上組み合わせて使用する場合は、(B)成分を1種ずつ添加しても、2種以上を混合して添加してもよい。
【0181】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と(B)有機化合物の反応に用いる反応装置については、回分反応器(槽型)、管型反応器(連続)、連続槽型反応器など、特に制限なく用いることができる。また槽型の反応器を用いる場合、反応器の容量や、攪拌機の種類や回転数等の条件については、所望とする固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径や粒度分布などの物性値に合わせて適宜選択することができる。
【0182】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)有機化合物を接触させる温度は、200℃以下であれば特に制限されないが、添加する(B)有機化合物の種類により選択される。具体的には(B)有機化合物と、アルミニウム−炭素結合、好ましくはアルミニウム−アルキル結合の反応性を考慮して選択される。例えば、(B)有機化合物の添加中に、固体状ポリアルミノキサン組成物が析出すると、粒子径の均一性に問題が生じる場合がある。このように、(A)と(B)の反応性が極めて高い場合は、より低温で接触させることで粒子径の均一性を高くすることができると考えられる。一方で、(A)と(B)の反応性が低い場合は、より高温で接触させることが望ましいが、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物そのものが加熱により劣化することが懸念される。
【0183】
上記の観点から、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)有機化合物を接触させる温度は、−10〜120℃の範囲が好ましく、より好ましくは−5〜110℃の範囲、さらに好ましくは0〜95℃の範囲である。接触温度の下限をさらに下げることに関しては、ポリメチルアルミノキサンなどのポリアルキルアルミノキサンがゲル状物として析出しない限り、反応そのものに特段の影響を与えるものではないが、商業的に製造する際の用役費用を考慮すると、上記の下限が好ましいと考える。
【0184】
また、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と(B)有機化合物を接触させる温度は、粒径制御の点から、加熱条件下で行うことも好ましい。また、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と(B)有機化合物を接触させる前に予め加熱して、予め加熱した温度または該温度以上で接触させることも好ましく、比較的粒子径が均一な固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させることができる点から、予め加熱しておいた温度で接触させることがより好ましい。これらの場合、接触させる温度は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、粒径制御の点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60〜90℃である。
【0185】
該製造方法では、加熱条件下で、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中に含まれるアルミニウム−炭素結合を有する化合物と、(B)有機化合物を反応させて、固体状ポリアルミノキサン組成物の少なくとも一部を析出させる工程を含む。ここで、少なくとも一部とは、固体状ポリアルミノキサン組成物が析出する限り、その析出量には何ら限定されない。また、該製法において、加熱条件下とは、常温以上の温度で加熱することである。
【0186】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)有機化合物の接触後は、接触させた温度で反応させてもよく、反応を促進する目的で、反応液を連続的に昇温しても、段階的に昇温してもよい。また、加熱条件下であれば、接触させた温度より、低い温度で反応させてもよい。昇温する場合、昇温速度は特に限定されないが、商業スケールで実施する場合の加熱設備上の制限を考慮すると、0.01〜5℃/分程度の範囲であればよい。なお、該反応液には、接触時または接触後に析出した固体状ポリアルミノキサン組成物の少なくとも一部を含んでいてもよい。
【0187】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)有機化合物の反応が進行することで、生成物である固体状ポリアルミノキサン組成物が析出してくる。該析出開始温度が40℃未満では、ゲル状物や不定形の粒子が析出しやすいため、粒子の均一性の観点から好ましくない。従って、40℃未満で(A)成分と(B)成分を接触する場合は、析出開始温度が40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上になるように反応液を加熱することが望ましい。また、(B)有機化合物の添加中に、固体状ポリアルミノキサン組成物が析出してくると、粒子径の均一性の点で好ましくないため、析出させるための加熱温度は、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と(B)有機化合物を接触させる温度以上であることが好ましい。
【0188】
該製造方法では、析出した固体状ポリアルミノキサン組成物を含む上記反応液を、さらに加熱熟成する工程を含んでもよい。
【0189】
該加熱熟成により、(A)成分と(B)成分の反応がさらに進行するため、固体状ポリアルミノキサン組成物を高い収率で得ることができる。加熱熟成する温度は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、高収率が得られる点から、65〜200℃が好ましく、より好ましくは70〜180℃、さらに好ましくは80〜170℃、さらにより好ましくは90〜150℃、最も好ましくは93〜130℃である。また、固体状ポリアルミノキサン組成物の少なくとも一部を析出させた温度でそのまま加熱熟成してもよい。
【0190】
(A)成分と(B)成分の反応が進行することにより、固体状アルミノキサン組成物の析出量は増加し、一定のレベルに到達すると析出量の増加は緩やかになる。(B)有機化合物の種類だけを変更して、同一の反応条件で反応した場合、ある時間における固体状ポリアルミノキサン組成物の析出量は異なる。一見すると、固体状アルミノキサン組成物の回収率は、(B)有機化合物の種類に大きく依存しているように見えるが、(B)成分の種類に応じて最適な反応条件を選定することで、極めて高い回収率で固体状アルミノキサン組成物を析出させることができる。なお、該製法において、固体状アルミノキサン組成物の回収率は、アルミニウム成分の固体化率で表わすことができ、通常95.0〜99.9(%)である。具体的な測定方法は、試験例を参照できる。
【0191】
(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と、(B)有機化合物を反応させる時間は、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物の組成、(B)有機化合物の種類や添加量、反応濃度、反応温度などにより最適な時間が異なるが、生産性を考慮して48時間未満、好ましくは36時間未満、より好ましくは24時間未満で反応が完結する条件を選択することが望ましい。
【0192】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出に要する時間は、(B)有機化合物の添加量が多いほど短く、また(B)有機化合物が同じである場合、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物中のトリアルキルアルミニウムのモル分率が低いほど、反応濃度が高いほど、反応温度が高いほど、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出に要する時間は短くなる傾向がある。
【0193】
固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径は、固体が析出する段階で概ね決定されると考えている。一般に物質の溶解度は温度に依存することから、固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させる温度の変化が小さい方が粒子径の均一性が高くなると考えられる。該観点からは、反応の初期段階から最終段階までの反応温度差が小さいほうが望ましいと考えられる。したがって、(B)成分としては、比較的温和な加熱条件下で(A)成分との反応が進行し、その反応の進行に伴って、比較的粒子径が均一な固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させることができるものを選択することがより好ましい。
【0194】
上述した(B)成分として好ましい有機化合物である(C)酸素原子を含む有機化合物を(A)成分との反応に用いることにより、比較的温和な加熱条件下、好ましくは40℃以上で(A)成分との反応が進行し、その反応の進行に伴って、比較的粒子径が均一な固体状ポリアルミノキサン組成物を析出させることができる。なお、加熱条件の好ましい範囲は、前記の加熱熟成の温度を参照できる。
【0195】
(C)酸素原子を含む有機化合物が、上記一般式(4)で表される構造、すなわち酸素原子のβ位に多重結合を有する構造を含む化合物であるほうが、(A)成分と(C)成分との反応における反応速度が向上する傾向が見られるため、より好ましい。この場合、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物に添加される(C)一般式(4)で表される構造を有する有機化合物の量は、(A)成分中のアルミニウム1モル当たり、0.01〜0.35モルが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.25モルである。
【0196】
固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径は、(C)酸素原子を含む有機化合物を用いた反応においても、一般式(6)で表される成分のR12、R13部分が長鎖アルキル基を有する成分である場合、平均粒子径が小さくなる傾向が見られる。なお、長鎖アルキル基は、分岐を有していても良い。
【0197】
また固体状ポリアルミノキサン組成物の粒子径は、(C)酸素原子を含む有機化合物の基質の種類、すなわち(D)アルデヒドを含む有機化合物、(E)ケトンを含む有機化合物、(F)アルコールを含む有機化合物、(G)カルボン酸を含む有機化合物により異なる傾向が見られる。
【0198】
上記の(D)〜(G)の基質の比較では、一般式(6)で表される成分のR13が同一である有機化合物を用いて、その他の製造条件が同一下で固体状ポリアルミノキサン組成物を製造した場合、(E)ケトンを含む有機化合物を用いた場合の粒子径が最も大きく、(F)アルコールを含む有機化合物を用いた場合の粒子径が最も小さくなる傾向が見られる。該理由については定かではないが、本発明者らは、添加された(C)酸素原子を含む有機化合物は、ポリアルミノキサンの自己会合を促進するテンプレートとしての機能に、特に差があるものと考えている。
【0199】
(C)酸素原子を含む有機化合物が(E)ケトンを含む有機化合物の場合は、ポリアルミノキサンの自己会合を促進するテンプレートとしての機能が特に強く働く傾向があり、上記一般式(6)で表される成分の効果よりも大きい場合があると考えられる。
【0200】
通常(C)成分の添加量が多くなると、固体状ポリアルミノキサン組成物の粒径は小さくなる傾向が見られるが、テンプレートとしての機能が強いケトンを含む有機化合物を用いると、ケトンを含む有機化合物の添加量が増えるに連れて粒径が大きくなる場合がある。
【0201】
また固体状ポリアルミノキサン組成物の析出速度についても、上記(D)〜(G)の基質の比較では、(E)ケトンを含む有機化合物、(D)アルデヒドを含む有機化合物を用いた場合の固体状ポリアルミノキサン組成物の析出が早く、次いで、(F)アルコールを含む有機化合物であり、(G)カルボン酸を含む有機化合物を用いた場合の固体状ポリアルミノキサン組成物の析出が最も遅い傾向が見られる。なお、これらの析出の形態は、通常、粒子状である。
【0202】
該製造方法は、析出した固体状ポリアルミノキサン組成物を、たとえば、前記の炭化水素溶媒を用いて洗浄する工程をさらに含むことができる。用いることのできる炭化水素溶媒は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、使用目的に応じて選択することが好ましい。すなわち、オレフィン重合プロセスに適用可能な溶媒、また乾燥を目的とするのであれば低沸点の溶媒を選択することが好ましい。
【0203】
〔オレフィンの重合(多量化)触媒〕
本発明は、オレフィン重合(多量化)触媒(以下、『オレフィン類の重合(多量化)触媒』とも称す)を包含する。本発明のオレフィン類の重合触媒は、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物に、下記一般式(8)で示される(H)遷移金属錯体を接触して得られる。
【0204】
31323334M ・・・(8)
(式中、Mは遷移金属原子を示し、R31、R32、R33およびR34は、互いに同一でも異なっていてもよく、シクロペンタジエニル骨格を有する基、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子、アルキルシリル、アルキルアミド、アルキルイミド、−SO3Rまたは水素原子を示す。)
<(H)遷移金属錯体>
本発明で用いられる(H)遷移金属錯体は、公知のオレフィン重合(多量化)触媒として機能し得る遷移金属化合物であれば特に制限はない。
【0205】
一般式(8)中のMは、周期律表第3族〜第10族の遷移金属原子で、具体的には、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、ニオブなどが挙げられ、好ましくは周期律表3族〜第6族、より好ましくは周期律表4族〜第5族、さらに好ましくは周期律表4族の遷移金属原子が挙げられる。
【0206】
一般式(8)において、シクロペンタジエニル骨格を有する基としては、例えばシクロペンタジエニル;メチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、メチルエチルシクロペンタジエニル、プロピルシクロペンタジエニル、メチルプロピルシクロペンタジエニル、ブチルシクロペンタジエニル、メチルブチルシクロペンタジエニル、ヘキシルシクロペンタジエニルなどのアルキル置換シクロペンタジエニル;インデニル;4,5,6,7−テトラヒドロインデニル;フルオレニル、アズレニルなどを例示することができる。また、該基は、インデニル、フルオレニル、アズレニルおよびこれらが有する一つ以上の水素原子が炭化水素基で置換された基も包含し、インデニル、フルオレニル、アズレニルを有する基の場合は、シクロペンタジエニルに縮合する不飽和環の二重結合の一部または全部が水添されていてもよい。これらの基はハロゲン原子、トリアルキルシリルなどが置換していてもよい。
【0207】
一般式(8)において、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、炭素数が1〜12の炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチルなどのアルキル; シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル; フェニル、トリルなどのアリール;ベンジル、ネオフィルなどのアラルキルが例示される。
【0208】
アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどが例示される。
【0209】
アリーロキシとしては、フェノキシなどが例示される。
【0210】
アルキルシリルとしては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルなどが例示される。
【0211】
アルキルアミドとしては、ジメチルアミド、ジエチルアミドなどが例示される。
【0212】
アルキルイミドとしては、メチルカルボニルアミノカルボニル、エチルカルボニルアミノカルボニル、n−ブチルカルボニルアミノカルボニルなどが挙げられる。
【0213】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示される。
【0214】
−SO3Rで表される配位子としては、p−トルエンスルホナト、メタンスルホナト、トリフルオロメタンスルホナトなどが例示される。なお、Rは、一価の官能基である。
【0215】
(H)遷移金属錯体の具体例としては、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属アルキル化物、遷移金属アルコキシ化物、非架橋性または架橋性メタロセン化合物などが挙げられる。
【0216】
以下に、本発明において好ましい(H)遷移金属錯体の例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0217】
上記例示された遷移金属化合物(H)の中で、重合活性などの観点から好ましい例として、シクロペンタジエニル骨格を有する基を、1つ以上、好ましくは1つないし2つ有する非架橋性または架橋性メタロセン化合物が挙げられ、シクロペンタジエニル骨格を2つ有する非架橋性または架橋性メタロセン化合物がより好ましい。
【0218】
シクロペンタジエニル骨格を有する基としては、前述に記載の通りである。
【0219】
シクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン;イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどのアルキリデン;シリレン;ジメチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレンなどの置換シリレンなどを介して結合されていてもよい。
【0220】
シクロペンタジエニル骨格を有する場合、それ以外の配位子としては、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアラルキルなどの炭素数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子、アルキルシリル、アルキルアミド、アルキルイミド、−SO3Rまたは水素原子が挙げられる。これらの具体は、前述に記載の通りである。
【0221】
これらの化合物についての一般的な構造としては、下記一般式(A1)もしくは(A2)で表される化合物が好ましい例として挙げられる。
【0222】
【化5】
上記式(A1)および(A2)中、Mは上記一般式(8)で規定されたものと同様の遷移金属原子を示す。Mの具体例としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルが挙げられ、好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
【0223】
上記式(A1)および(A2)中、Qはヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を示す。該炭化水素基としては、たとえば、ハロゲン原子含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基(例えば、酸素原子をアルコキシ、カルボニル、カルボキシルの形で含む基)、イオウ含有炭化水素基(例えば、イオウ原子をアルキルチオ、チオカルボニル、チオカルボキシル、ジチオカルボキシルの形で含む基)、ケイ素含有炭化水素基(例えば、ケイ素原子を−Si(R20)(R21)(R22)の形で含む基)、リン含有炭化水素基(例えば、リン原子を−P(R23)(R24)の形で含む基)、窒素含有炭化水素基(例えば、窒素原子を−N(R25)(R26)の形で含む基)、あるいはホウ素含有炭化水素基(例えば、ホウ素原子を−B(R27)(R28)の形で含む基)が挙げられ、具体的には、置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいアリールを表す。該炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜8のアルキル、炭素原子数が1〜8のアルケニル、置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜8のアルキニル、置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜8のアリールであり、最も好ましくは、炭素原子数が1〜8のアルキルである。
【0224】
上記式(A1)および(A2)中、jは1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数、更に好ましくは2または3を示す。jが2以上の整数の場合、複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0225】
式(A1)および(A2)中、Cp1およびCp2は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニルを示す。置換シクロペンタジエニルとは、シクロペンタジエニルが有する少なくとも1つの水素原子が置換基で置換された基である。これらの基については、前述も参照できる。
【0226】
置換シクロペンタジエニルにおける置換基としては、例えば、炭化水素基(以下「該基(f1)」として参照することがある。)またはケイ素含有炭化水素基(以下「該基(f2)」として参照することがある。)が挙げられる。その他、置換シクロペンタジエニルにおける置換基としては、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基などのヘテロ原子含有炭化水素基(ケイ素含有炭化水素基(f2)を除く)を挙げることもできる。
【0227】
該基(f1)としては、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、例えば、直鎖状または分岐状の炭化水素基(例:アルキル、アルケニル、アルキニル)、環状飽和炭化水素基(例:シクロアルキル)、環状不飽和炭化水素基(例:アリール)が挙げられる。炭化水素基(f1)としては、前記例示の基のうち互いに隣接する炭素原子に結合した任意の二つの水素原子が同時に置換されて脂環または芳香環を形成している基も含む。
【0228】
該基(f1)としては、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デカニル、アリル(allyl)などの直鎖状の脂肪族炭化水素基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、アミル、3−メチルペンチル、ネオペンチル、1,1−ジエチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1−メチル−1−プロピルブチル、1,1−プロピルブチル、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピルなどの分岐状の脂肪族炭化水素基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチルなどの環状飽和炭化水素基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル、クミルなどの、飽和炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子がアリールで置換された基が挙げられる。
【0229】
該基(f1)の中でも、炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチルなどが好適な例として挙げられる。
【0230】
該基(f2)としては、好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有炭化水素基であり、例えば、シクロペンタジエニルの環炭素にケイ素原子が直接共有結合している基が挙げられる。具体的には、アルキルシリル(例:トリメチルシリル)、アリールシリル(例:トリフェニルシリル)が挙げられる。
【0231】
ヘテロ原子含有炭化水素基(該基(f2)を除く)としては、具体的には、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、N−メチルアミノ、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロフェニルが挙げられる。
【0232】
式(A2)中、Yは炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn(スズ)−、−NRa−、−P(Ra)−、−P(O)(Ra)−、−BRa−または−AlRa−を示す。ただし、Raは炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子または窒素原子に炭素原子数1〜20の炭化水素基が1個または2個結合した窒素化合物残基(−NRHまたは−NR2;Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基)である。
【0233】
これらのメタロセン化合物のうちでは、前記一般式(A2)で表される化合物が好ましく、国際公開第2001/27124号パンフレットに開示されているような、下記一般式(II)で表される架橋型メタロセン化合物(以下「架橋型メタロセン化合物(II)」ともいう。)が更に好ましい。
【0234】
【化6】
架橋型メタロセン化合物(II)は、構造上、次の特徴[m1]〜[m3]を備える。
【0235】
[m1]二つの配位子のうち、一つは置換基を有していてもよいシクロペンタジエニルであり、他の一つは置換基を有するフルオレニル(以下「置換フルオレニル」ともいう。)である。
【0236】
[m2]二つの配位子が、アリール(aryl)を有する炭素原子またはケイ素原子からなるアリール基含有共有結合架橋部(以下「架橋部」ともいう。)によって結合されている。
【0237】
[m3]メタロセン化合物を構成する遷移金属(M)が周期表第4族の原子、具体的には、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
【0238】
以下、架橋型メタロセン化合物(II)が有する、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル、置換フルオレニル、架橋部およびその他特徴について、順次説明する。
【0239】
(置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル)
式(II)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましく、隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0240】
例えば、R1、R2、R3およびR4は全て水素原子であるか、またはR1、R2、R3およびR4のいずれか一つ以上が炭化水素基(好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基)またはケイ素含有基(好ましくは炭素原子数1〜20のケイ素含有基)である。その他、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基などのヘテロ原子含有基を挙げることもできる。
【0241】
1、R2、R3およびR4のうちの二つ以上が水素原子以外の置換基である場合は、前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよく;R1、R2、R3およびR4のうちの隣接する二つの基同士は互いに結合して脂環または芳香環を形成していてもよい。
【0242】
1〜R4における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニルの箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R1〜R4におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニルの箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R1〜R4におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニルの箇所にて例示した基が挙げられる。
【0243】
(置換フルオレニル)
式(II)中、R5、R8、R9およびR12はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基またはケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示し、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基が好ましい。R6およびR11は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R7およびR10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基から選ばれる同一の原子または同一の基であり、水素原子、炭化水素基およびケイ素含有基が好ましく;R6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよく;ただし、"R6、R7、R10およびR11が全て水素原子であること"はない。
【0244】
重合活性の視点からは、R6およびR11がいずれも水素原子ではないことが好ましい。R6、R7、R10およびR11がいずれも水素原子ではないことが更に好ましい。R6およびR11が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であり、且つR7とR10が炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれる同一の基であることが特に好ましい。また、R6およびR7が互いに結合して脂環または芳香環を形成し、R10およびR11が互いに結合して脂環または芳香環を形成していることも好ましい。
【0245】
5〜R12における炭化水素基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニルの箇所にて定義した炭化水素基(f1)が挙げられる。R5〜R12におけるケイ素含有基の例示および好ましい基としては、上記置換シクロペンタジエニルの箇所にて定義したケイ素含有基(f2)が挙げられる。R5〜R12におけるヘテロ原子含有基としては、上記置換シクロペンタジエニルの箇所にて例示した基が挙げられる。
【0246】
6およびR7(R10およびR11)が互いに結合して脂環または芳香環を形成した場合の置換フルオレニルとしては、後述する一般式(III)〜(VII)で表される化合物に由来する基が好適な例として挙げられる。
【0247】
(架橋部)
式(II)中、R13およびR14はそれぞれ独立にアリールを示し、Y1は炭素原子またはケイ素原子を示す。本発明のオレフィン重合体の製造方法において重要な点は、架橋部の架橋原子Y1に、互いに同一でも異なっていてもよいアリール(aryl)[R13およびR14]が結合していることである。製造上の容易性から、R13およびR14は互いに同一であることが好ましい。
【0248】
アリールとしては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびこれらが有する芳香族水素(sp2型水素)の一つ以上が置換基で置換された基が挙げられる。置換基としては、上記置換シクロペンタジエニルの箇所にて定義した炭化水素基(f1)およびケイ素含有基(f2)や、ハロゲン原子およびハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0249】
アリールの具体例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ビフェニルなどの炭素原子数6〜14、好ましくは炭素原子数6〜10の非置換アリール;トリル、ジメチルフェニル、イソプロピルフェニル、n−ブチルフェニル、t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール;シクロヘキシルフェニルなどのシクロアルキル置換アリール;クロロフェニル、ブロモフェニル、ジクロロフェニル、ジブロモフェニルなどのハロゲン化アリール;(トリフルオロメチル)フェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニルなどのハロゲン化アルキル置換アリールが挙げられる。置換基の位置は、メタ位および/またはパラ位が好ましい。これらの中でも、置換基がメタ位および/またはパラ位に位置する置換フェニルが更に好ましい。
【0250】
(架橋型メタロセン化合物のその他の特徴)
式(II)中、Qはヘテロ原子を含んでもよいアルキルを示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0251】
Qにおけるアルキルとしては、式A1およびA2中におけるQと同様の原子または基を挙げることができる。
【0252】
(好ましい架橋型メタロセン化合物(II)の例示)
以下に架橋型メタロセン化合物(II)の具体例を示す。なお、例示化合物中、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルとは式(III)で示される構造の化合物に由来する基を指し、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式(IV)で示される構造の化合物に由来する基を指し、ジベンゾフルオレニルとは式(V)で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,1',3,6,8,8'−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式(VI)で示される構造の化合物に由来する基を指し、1,3,3',6,6',8−ヘキサメチル−2,7−ジヒドロジシクロペンタフルオレニルとは式(VII)で示される構造の化合物に由来する基を指す。
【0253】
【化7】
【0254】
【化8】
【0255】
【化9】
【0256】
【化10】
【0257】
【化11】
以上のメタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。公知の方法としては、例えば、本出願人による国際公開第2001/27124号パンフレット、国際公開第2004/029062号パンフレット、国際公開第2004/87775号パンフレット、に記載の方法が挙げられる。
【0258】
以下に、一般式(8)のMがジルコニウムである遷移金属化合物について具体的な化合物を例示するが、これらに限定されるものでない。
【0259】
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、rac−ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−アセナフトシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピル−7−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレンビス{1−(2−メチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、8−オクタメチルフルオレン−12’−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロライド、ジ−p−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ−p−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウム(IV)ジメチル、ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウム(IV)ジクロリドなどが例示できる。
【0260】
なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2−および1,3−置換体を含み、三置換体は1,2,3−および1,2,4−置換体を含む。
【0261】
またプロピル、ブチルなどのアルキルは、n−、i−、sec−、tert−などの異性体を含む。
【0262】
また、本発明では上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。ハフニウム金属に置換えた具体例としては、ビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドを例示できる。また同様な立体構造を有するチタニウム化合物やハフニウム化合物、さらには臭化物、ヨウ化物などの他に、例えばOrganometallics誌1994年13巻954−963、特開平3−9913号公報、特開平2−131488号公報、特開平3−21607号公報、特開平3−106907号公報、特開平3−188092号公報、特開平4−69394号公報、特開平4−300887号公報、国際公開第2001/27124号パンフレット、特開2010-144035号公報、特開2012-92199号公報、特開2013-60518号公報などに記載されているような遷移金属化合物を挙げることができる。
【0263】
また、(H)遷移金属化合物として、特開平11−315109号公報、特開2000−239312号公報、国際公開第2001/55231号パンフレット、Chemical Review誌2011年111巻2363−2449に記載されているような下記一般式(9)で表される遷移金属化合物も挙げられる。
【0264】
【化12】
一般式(9)中、Mは周期律表第4〜10族の遷移金属原子を示し、
mは、1〜6の整数を示し、
19〜R24は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR19〜R24で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0265】
具体的には、ビス{N−(5−アダマンチル−3−メチルサリチリデン)−2−メチルシクロヘキシルアミナト}ジルコニウム(IV)ジクロリド、ビス{N−(3−tert−ブチルサリチリデン)−2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリナト}チタニウム(IV)ジクロリドなどが例示できる。
【0266】
また、(H)遷移金属化合物として、例えば、国際公開第2003/091262号パンフレット、米国特許出願第2004/0010103号、国際公開第2007/136496号パンフレットに記載されている架橋ビス芳香族リガンドを有する遷移金属錯体も挙げられる。
【0267】
具体的には、ビス((2−オキソイル−3−(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−(5−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−(4−(1,1−ジメチルエチル)−2−フェノキシ)−プロパン−1,3−ジイルジルコニウム(IV)ジクロライドが例示できる。
【0268】
また、(H)遷移金属化合物として、例えば、国際公開第2009/5003号パンフレット、特開2011−178682号公報、特開2011−195584号公報に記載されているような下記一般式(10)で表される化合物も挙げられる。
【0269】
【化13】
(一般式(10)中、R25〜R30は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。また、R25はZと連結していてもよい。
【0270】
Mは、周期律表第3〜10族から選ばれる遷移金属原子を示す。
【0271】
nはMの原子価を示す。
【0272】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Xで示される原子や基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0273】
Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示す。
【0274】
Zは、置換基を有していてもよい炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を示し、YとNとを結ぶ最短結合数は4〜6である。
【0275】
式中、YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよく、YとR25とを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。また式中、点線表示は配位結合を示す。)
一般式(10)で表される化合物としては、トリクロロ{6−[(2'−メトキシ−κO1−ビフェニル−2−イル)イミノ−κN1−メチル]−4−メチル−2−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−イル)フェノラト}チタン(IV)(試験例に記載の化合物9)が挙げられる。
【0276】
なお、本発明のオレフィン重合触媒は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて固体状担体を併用しても良い。固体状担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウムなどの固体状無機担体、またはポリスチレンビーズなどの固体状有機担体が挙げられる。
【0277】
[オレフィン重合(多量化)触媒の製造方法]
本発明のオレフィン重合触媒における各成分の使用量について説明する。
【0278】
本発明において使用する固体状ポリアルミノキサン組成物の使用量は、固体状ポリアルミノキサン組成物中のAl原子のモル数と、成分(H)遷移金属化合物のモル数の比[=(固体状ポリアルミノキサン組成物中のAl原子のモル数)/((H)遷移金属化合物のモル数)]が、通常1〜10000であり、好ましくは3〜3000、より好ましくは5〜1000、さらに好ましくは10〜500、特に好ましくは20〜400である。
【0279】
固体状ポリアルミノキサン組成物中のAl原子のモル数と、成分(H)遷移金属化合物のモル数の比が上記の範囲より小さいと十分な触媒活性が発現しない場合があり、上記の範囲より大きい場合は経済的に好ましくない。
【0280】
本発明のオレフィン重合触媒の調製方法について説明する。
【0281】
本発明のオレフィン重合触媒は、固体状ポリアルミノキサン組成物と成分(H)遷移金属化合物を有機溶媒中で接触させることによって調製することができる。接触方法は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、固体または液体の(H)遷移金属化合物を、固体状ポリアルミノキサン組成物と有機溶媒からなる懸濁液に一括添加または分割添加して接触させる方法、(H)成分を有機溶媒で溶解または懸濁させたものを、固体状ポリアルミノキサン組成物と有機溶媒からなる懸濁液に一括添加または分割添加して接触させる方法、または反対に、固体または有機溶媒で懸濁させた固体状ポリアルミノキサン組成物を、(H)成分に添加して接触させる方法が挙げられる。反応を均一にする観点からは、(H)成分を固体状ポリアルミノキサン組成物に添加することが好ましい。さらに(H)遷移金属化合物を2種以上組み合わせて使用する場合は、(H)成分を1種ずつ添加しても、2種以上を混合してもよい。
【0282】
本発明のオレフィン重合触媒の調製に使用される溶媒としては、特に限定されないが、固体状ポリアルミノキサン組成物と直接反応しない溶媒が好ましく、特に不活性炭化水素溶媒が好ましい。例えば、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素; シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素; ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、クメン、シメン、テトラリンなどの芳香族炭化水素を挙げることができる。これらの溶媒は、1種または2種以上を混ぜて使用してもよい。
【0283】
本発明のオレフィン重合触媒を調製する温度は、−20〜200℃の間で選択して処理を行うことが好ましい。
【0284】
本発明のオレフィン重合触媒は、洗浄しないで使用してもよく、上記の有機溶媒で洗浄した後に使用してもよい。
【0285】
本発明のオレフィン重合触媒は、溶媒中に分散したスラリー液であっても、溶媒を除去した状態、必要により乾燥した状態であってもよい。
【0286】
〔オレフィン重合体(オレフィン多量体)の製造方法〕
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、本発明のオレフィン類の重合触媒の存在下にて、オレフィンを重合する工程を含む。本発明のオレフィン類の重合触媒は、そのまま触媒としてあるいは触媒成分として用いてもよく、またオレフィンを予備重合させて得た予備重合触媒として用いてもよい。オレフィン重合体は、該工程を含む限り、公知の方法にて製造できる。なお、該オレフィン重合体は、オレフィンの単独重合体および2種以上のオレフィンより製造されるブロック共重合体およびランダム共重合体などの共重合体を包含する。
【0287】
重合方法としては、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの無極性溶媒を使用するスラリー重合法、モノマーを気体状態で触媒と接触して重合を行う気相重合法、あるいは液化状態のモノマーを溶媒としてその中で重合させるバルク重合法などを挙げることができる。また、該重合は、1段重合、2段重合などの多段重合、連続重合、バッチ重合のいずれであってもよい。
【0288】
スラリー重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物等を挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0289】
上述のオレフィン類の重合触媒成分を用いて、オレフィンの重合を行うに際しては、固体触媒成分中に含まれる成分(H)に由来する遷移金属原子が、反応容積1リットル当たり、通常10-12〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルになるような量で用いられる。
【0290】
また、上述のオレフィン類の重合触媒成分を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜170℃、特に好ましくは40〜170℃の範囲である。重合時間は、通常10秒〜20時間の範囲で行うことができる。重合圧力は、通常0.001MPa〜250MPa、好ましくは0.005MPa〜50MPa、より好ましくは0.005MPa〜10MPaの条件下である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0291】
得られるオレフィン系重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。重合時には、ファウリング抑制あるいは粒子性状改善を目的として、ポリアルキレンオキサイドブロック、高級脂肪族アミド、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、アルキルジエタノールアミンおよびポリオキシアルキレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物を共存させてもよい。
【0292】
本発明のオレフィン重合体の製造方法で用いられるオレフィンとしては、たとえば、炭素原子数2〜20のα−オレフィン、炭素原子数3〜20の環状オレフィン、炭素原子数4〜20のジエン化合物が挙げられるが、本発明の効果を奏する限り、これらに限定されない。本発明では、これらのオレフィンを1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0293】
炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。好ましくは、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンである。
【0294】
炭素原子数3〜20の環状オレフィンとしては、シクロプロペン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどが挙げられる。好ましくは、ノルボルネン、テトラシクロドデセンである。
【0295】
炭素原子数4〜20のジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。好ましくは、ブタジエン、イソプレン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどである。
【0296】
さらにスチレン、α-メチルスチレンおよびビニルシクロヘキサンなどの環構造を有するモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチル等の極性モノマー、ビスフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペンおよびクロロエチレンなどのハロゲン置換オレフィンなども用いることができる。
【0297】
重合反応により得られたオレフィン重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
【0298】
〔試験例〕
本発明はこれら試験例に限定されるものではない。
【0299】
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物の調製、溶媒精製およびオレフィン重合(多量化)触媒の調製は、全て不活性ガス雰囲気下で行い、使用した溶媒等は、予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。
【0300】
固体状ポリアルミノキサン組成物の溶解度試験に使用したヘキサン、トルエン、テトラヒドフランは、含水率2.0ppm未満のものを用いた。またテトラヒドロフランは安定剤不含のものを用いた。なお、脱気脱水は、Organometallics誌1996年15巻1518−1520に記載の方法で実施した。
【0301】
Bis(n−butylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichloride、Diphenylmethylidene(cyclopentadienyl)(9−fluorenyl)zirconium(IV) Dichloride、Dimethylsilylenebis(cyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichloride、Bis(t−butylcyclopentadienyl)hafnium(IV) Dichlorideは、和光純薬株式会社より入手した。
【0302】
ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドは国際公開第2004/87775号パンフレットに記載の方法に従って合成した。
【0303】
ビス((2−オキソイル−3−(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−(5−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−(4−(1,1−ジメチルエチル)−2−フェノキシ)−プロパン−1,3−ジイルジルコニウム(IV)ジクロライドは米国特許出願第2004/0010103号の合成手順を参考に合成した。
【0304】
ジ−p−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウム(IV)ジメチルは、国際公開第2004/029062号パンフレットに記載のジ−p−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウム(IV)ジクロリドのメチル化反応により合成した。
【0305】
下記試験方法の(3)〜(7)においては、固体状ポリアルミノキサン組成物の乾燥サンプルを使用した。固体状ポリアルミノキサン組成物の乾燥は、25℃で減圧乾燥を行い、重量変化が認められない時点を乾燥の終点とした。
【0306】
[試験方法]
(1)回収率(アルミニウム基準の固体化率)
試験例において、固体状ポリアルミノキサン組成物の回収率は、(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物と(B)有機化合物の反応におけるアルミニウム成分の固体化率から求めた。具体的には、上記反応溶液の上澄み部分に含まれるアルミニウム含量を、島津製作所社製ICPS(登録商標)−8100を用いて、ICP発光分光分析法(ICP−AES)により求め、(A)成分に含まれる総アルミニウム含量で除して、固体化していないアルミニウムのモル%を求め、100モル%からの差分をとることで、回収率(固体化率)を算出した。
【0307】
(2)粒度分布:固体状ポリアルミノキサン組成物の体積統計値での中位経D50および均一性
固体状ポリアルミノキサン組成物の積統計値での中位経D50および均一性はMicrotrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めた。
【0308】
測定には固体状ポリアルミノキサン組成物を、窒素流通下、湿潤デシケーター中で事前に失活したサンプルを用いた。分散媒には主にメタノールを用いた。
【0309】
触媒粒度分布の指標として、均一性は、国際公開第2010/055652号パンフレットに記載の方法に準じて、下記の式で示される定義を用いた。
【0310】
均一性 = ΣXi|D50 − Di|/D50ΣXi
ここで、Xiは粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。
【0311】
上記均一性の値が低い程、得られるオレフィン重合体は粒径の揃った粒子になる傾向がある。
【0312】
(3)溶解度
本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物の、25℃におけるn−ヘキサンおよびトルエンに対する溶解度の測定は、特公平7−42301号公報に記載の方法に準じて実施した。具体的には、得られた固体状ポリアルミノキサン組成物を乾燥して、溶媒に対する溶解度を測定した。n−ヘキサンに対する溶解割合は、25℃に保持された50mLのn−ヘキサンに固体状ポリアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてG−4グラス製フィルターを用いて溶液部を分離して、このろ液中のアルミニウム濃度を測定することにより求める。該方法で得られる溶解割合は、試料として用いた固体状ポリアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対する上記ろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として決定される。なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の乾燥は、25℃で減圧乾燥を行い、重量変化が認められない時点を乾燥の終点とした。
【0313】
また、25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度の測定は、使用する溶媒を50mLのテトラヒドロフランに変更したことを除いて、上記に記載した方法で実施した。
【0314】
(4)アルミニウム含量
固体状ポリアルミノキサン組成物および(A)溶液状ポリアルミノキサン組成物のアルミニウム含量は、島津製作所社製ICPS(登録商標)−8100を用いて、ICP発光分光分析法(ICP−AES)により求めた。
【0315】
(5)アルキル基またはメチル基のモル分率(1)〜(3)
(5−1)固体状ポリアルミノキサン組成物の、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、ポリアルキルアルミノキサン部位に由来するアルキル基およびトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基の総モル数(合計のモル数)に対するトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率(1)またはポリアルキルアルミノキサン部位に由来するアルキル基およびトリメチルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基の総モル数(合計のモル数)に対するトリメチルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム部位に由来するアルキル基のモル分率(2)は、東ソー研究・技術報告誌2003年第47巻55−60に記載のMMAOの解析方法と同様の方法で実施した。具体的には、1H−NMR測定により、一般式(1)で表される単位を含むポリメチルアルミノキサン、一般式(2)で表される単位を含むポリアルキルアルミノキサン、一般式(1)および一般式(2)で表される単位を含むポリメチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムのそれぞれに帰属される面積比から求めた。
【0316】
(5−2)固体状ポリメチルアルミノキサン組成物の、テトラヒドロフラン−d8可溶部における、ポリメチルアルミノキサン部位に由来するメチル基およびトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基の総モル数(合計のモル数)に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率(3)は、国際公開第2010/055652号パンフレットに記載の方法に準じて実施した。具体的には、1H−NMR測定により、トリメチルアルミニウムおよびポリメチルアルミノキサンのそれぞれの成分に帰属される面積比から求めた。以下に、トリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率の求め方を例示する。
【0317】
重溶媒にはTHF−d8を用いてポリメチルアルミノキサン組成物の1H−NMR測定を実施する。1H−NMR測定は270MHz 日本電子(株)社製EX270 NMR測定装置を用い、測定温度24℃で行った。
【0318】
溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物の分析サンプルは、溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物約0.05mlに対しTHF−d8を0.5ml添加することにより調製した。
【0319】
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物の分析サンプルは、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物10mgに対しTHF−d8を0.5ml添加し、その後、25℃で2時間撹拌することにより調製し、該THF−d8への可溶部を用いた。なお、未溶解成分が含まれる場合においても、そのまま分析に供した。
【0320】
(i)−0.3ppmから−1.2ppm程度に現われるトリメチルアルミニウムを含むポリメチルアルミノキサンのメチル(Me)基ピークの全体の積分値を求め、これをI(ポリメチルアルミノキサン)とする。
【0321】
(ii)−1.1ppm付近のトリメチルアルミニウムに由来するメチル(Me)基ピークをポリメチルアルミノキサンのメチル(Me)基ピークのベースラインから切り出し、その積分値I(トリメチルアルミニウム−Me)を求める。
【0322】
I(トリメチルアルミニウム−Me)をI(ポリメチルアルミノキサン)で割って規格化すると、トリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率を求めることができる。
【0323】
なお、(ii)のピークの切り出し方法としては、ベースラインコレクションを用いる方法により実施した。
【0324】
(6)固体状ポリアルミノキサン組成物の比表面積
固体状ポリアルミノキサン組成物の比表面積は、測定装置に日本ベル社製のBELSORP(登録商標)−maxを使用し、液体窒素温度下における窒素ガス吸着法にて、吸着脱離等温線を測定した。解析法として、BET法を用いて比表面積を求めた。
【0325】
(7)電子顕微鏡(SEM)観察
固体状ポリアルミノキサン組成物に対して、日本電子(株)社製オートファインコーター(JFC−1600)を用いて白金を蒸着させ、その後、日本電子(株)社製走査型電子顕微鏡(JSM−6510LV)にて該組成物を観察した(倍率:200倍または1000倍)。
【0326】
(8)オレフィン重合(多量化)触媒の分析
オレフィン重合(多量化)触媒の分析は、上記固体状ポリアルミノキサン組成物の分析に準じて実施した。オレフィン重合(多量化)触媒中のチタン、ジルコニウム、ハフニウム含有量は、島津製作所社製ICPS(登録商標)−8100を用いて、ICP発光分光分析法(ICP−AES)により求めた。
【0327】
(9)オレフィン多量化反応
反応生成物の収量および1−ヘキセン(1−オクテン、デセン類)の選択率は、ガスクロマトグラフィー(島津GC−2010PLUS、J&W Scientific DB−5カラム)を用いて分析した。
【0328】
[触媒活性]
単位時間当たりに得られた反応生成物の質量を、多量化に使用した遷移金属触媒成分中の遷移金属原子量(ミリモル)で除して求めた。
【0329】
[1−ヘキセン(1−オクテン、デセン類)の選択率]
以下の式に従い1−ヘキセン(1−オクテン、デセン類)の選択率を求めた。
【0330】
S(%)=Wp/Wr×100
S(%):1−ヘキセンの選択率(重量分率)
Wr(重量):反応により生成した炭素原子数が4以上からなる生成物の合計重量
Wp(重量):反応により生成した1−ヘキセンの重量
なお、1−オクテン、デセン類の選択率は上記方法に準じて求めた。
【0331】
[ファウリング率]
生成したポリエチレン粒子全量X1(g)に対し、ファウリング評価用のテストピースに付着したポリエチレン粒子の量X2(g)の割合をファウリング率Fとして、以下の式に従い求めた。
【0332】
F(%)=X2/X1×100
(10)オレフィン重合反応
[メルトフローレート(MFR)]
MFRの測定は、ASTMD1238に準拠し、エチレン重合体は、190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。プロピレン重合体は、230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
【0333】
[密度]
密度の測定は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
【0334】
[プロピレン単独重合体の融点(Tm)]
プロピレン単独重合体の融点(Tm)は、パーキンエルマー社製Diamond DSCを用いて、以下のようにして測定した。サンプルを230℃で融解させてシート状にした後、約5mgの当該シート状サンプル試料をパーキンエルマー社製B014−3021/B700−1014サンプルパンに充填した。
【0335】
サンプルを、窒素雰囲気下、230℃まで昇温して10分間保持した後、10℃/分で30℃まで冷却した。続いてサンプルを、窒素雰囲気下、30℃で1分間保持した後、10℃/分で230℃まで昇温させた。このときに観測された結晶溶融ピークのピーク頂点から、融点(Tm)を算出した。
【0336】
[4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体の融点(Tm)]
パーキンエルマー社製DSC8000を用い、窒素雰囲気下(20mL/min)、約5mgの試料を精秤し、10℃/minで30℃から280℃まで昇温した。280℃で5分間保持した後、10℃/minで30℃まで冷却した。30℃で5分間保持した後、10℃/minで280℃まで昇温させた。2回目の昇温時に観測された結晶溶融ピークの頂点を融点(Tm)とした。
【0337】
[4-メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体の溶媒可溶部量(SP)]
重合体スラリーを濾過することで、固体状重合体(白色固体)と濾液とに分離した。次いで、濾液から蒸発法により溶媒を除去することで、濾液中に溶解している重合体を得た。次いで以下の式に基づき、濾液中の重合体量を算出した。
【0338】
濾液中の重合体量(重量%)=W2/(W1+W2)×100
W1:濾別された固体状重合体(白色固体)の質量(g)
W2:スラリーの濾液中に溶解している重合体の質量(g)
[極限粘度([η])]
サンプル約20mgをデカリン15mLに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5mL追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/C値を極限粘度[η]とした。
【0339】
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
[嵩密度]
嵩密度の測定は、ASTM D1895−96 A法に準じて実施した。
【0340】
[予備実験1]
アルベマール社製ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液の1H−NMR測定を行い、メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率を求めたところ、28.5モル%だった。またICP−AES測定よりAl濃度を測定したところ、3.01mmol/mLだった(以下、『予備実験1Aの溶液』と称す)。
【0341】
同様に、本試験例に使用したアルベマール社製ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液の全ロットのAl濃度を測定した結果、3.00mmol/mL(以下、『予備実験1Bの溶液』と称す)、3.04mmol/mL(以下、『予備実験1Cの溶液』と称す)、3.07mmol/mL(以下、『予備実験1Dの溶液』と称す)、3.15mmol/mL(以下、『予備実験1Eの溶液』と称す)だった。
【0342】
[予備実験2]
東ソー・ファインケム社製ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液(TMAO−211)の1H−NMR測定を行い、メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率を求めたところ、47.0モル%だった。またICP−AES測定よりAl濃度を測定したところ、3.01mmol/mLだった(以下、『予備実験2の溶液』と称す)。
【0343】
[予備実験3]
窒素雰囲気下で、予備実験1で用いたアルベマール社製ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液(30mL、27.03g)を遠心管に採取し、すり付玉栓でふたをした。ゲル状物の堆積は目視で観測されなかった。
【0344】
[予備実験4]
予備実験3で調整したサンプルを、遠心分離機を用いて2,000Gで60分間遠心分離した。遠心分離後の遠心管の底部には無色透明のゲル状沈殿物が観察された。窒素雰囲気下で遠心分離後の上澄みを、ピペットを用いて注意深く取り出し、遠心分離したポリメチルアルミノキサン組成物のトルエン溶液を得た。1H−NMR測定を行い、メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率を求めたところ、30.7モル%であった。
【0345】
なお、遠心管底部のゲル状沈殿物の重量を測定したところ、0.463gであり、ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液中のゲル状沈殿物の重量百分率は1.7wt%であった。
【0346】
[予備実験5](8−オクタメチルフルオレン−12’−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドの合成
(1)1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウム:窒素雰囲気下、200ml三口フラスコにエチルマグネシウムブロマイドのtert−ブチルメチルエーテル溶液(1.0M、40ml)を装入した。この溶液を氷浴で冷却しつつシクロペンタジエン2.64gを20分間かけて滴下し、室温に戻し17時間攪拌し、溶液Aを調製した。
【0347】
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコにジイソプロピルエーテル200ml、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)0.36gを装入した。水浴下、この溶液に先に調製した溶液Aを20分間かけて滴下した。1−ブロモアダマンタン4.30gをジイソプロピルエーテル40mLに溶解させて滴下し、70℃で10時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、水浴下、飽和塩化アンモニウム水溶液200mlを加えた。有機層を分離し、水層をヘキサン200mlで抽出し、先の有機層と合わせて、水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフを用いて精製することにより、4.2gの粗生成物を得た。
【0348】
窒素雰囲気下、100mlシュレンクフラスコに得られた粗生成物4.2g、ヘキサン20mLを装入した。氷浴下、この溶液に1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液13.8mLを20分間かけて滴下し、室温に戻し17時間攪拌した。この反応液から析出物をろ取し、ヘキサンで洗浄することにより、表題化合物を得た。収量2.70g、収率66%。
【0349】
1H−NMRの測定結果により、目的物を同定した。
【0350】
1H−NMR(THF−d8): δ 5.57−5.55(2H,m), 5.52−5.50(2H,m), 1.96(3H,s), 1.87(6H,s), 1.74(6H,s).
(2)2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン:
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコにTHF40ml、塩化マグネシウム1.57gを装入した。この溶液に1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウム3.09gをTHF10mlに溶解させて5分間かけて滴下し、室温で2時間、さらに50℃で3時間攪拌した。氷/アセトン浴下、1−アセチルシクロヘキセン1.96g(15.75mmol)をTHF10mlに溶解させて10分間かけて滴下し、室温で19時間攪拌した。氷/アセトン浴下、酢酸1.0ml、ピロリジン3.1mlを装入し、室温で17時間攪拌した。氷/アセトン浴下、飽和塩化アンモニウム水溶液30mlを加えた。ヘキサン100mlを加えた後、有機層を分離し、水層をヘキサン200mlで抽出し、先の有機層と合わせて、水で二回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。メタノールから再結晶することにより、表題化合物を得た。収量2.134g、収率47%。
【0351】
1H−NMR、GC−MSの測定結果により、目的物を同定した。
【0352】
1H−NMR(Toluene−d8): δ 6.06(1H,s), 5.98(1H,s), 2.88−2.78(2H,m), 1.98−1.13(26H,m).
GC−MS:m/Z=306(M+).
(3)8−オクタメチルフルオレン−12’−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン):
窒素雰囲気下、30mlシュレンク管にオクタメチルフルオレン1.546g、tert−ブチルメチルエーテル40mlを装入した。氷/アセトン浴下、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液2.62mlを15分間かけて滴下した。徐々に室温に戻しながら22時間攪拌した。2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン1.349gを加えた。室温で19時間、さらに50℃で8時間攪拌した後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液100mlに加えた。有機層を分離し、水層をヘキサン100mlで抽出し、先の有機層と合わせて、水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた固体をアセトンで洗浄することにより、表題化合物を得た。収量1.51g、収率54%。
【0353】
FD−MSの測定結果により、目的物を同定した。FD−MS:m/Z=693(M+).
1H−NMRより、複数の異性体の混合物であった。
【0354】
(4)(8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド:
窒素雰囲気下、100mlシュレンク管に8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン1.039g、α−メチルスチレン0.47ml、ヘキサン30ml、シクロペンチルメチルエーテル2.62mlを装入した。25℃のオイルバス下、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液2.18mlを10分間かけて滴下した。50℃で4時間攪拌した後、析出物をろ過し、ヘキサンで洗浄することにより、桃色粉末を得た。100mlシュレンク管に、この桃色粉末、ジエチルエーテル30mlを装入したドライアイス/アセトンバスで冷却した後、四塩化ジルコニウム0.385g(1.65mmol)をジエチルエーテル30mlにて懸濁させつつ加えた。その後徐々に室温まで昇温しながら16時間攪拌した。
【0355】
溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン約70mlを用いて残留物から可溶分を抽出した。得られた溶液を濃縮した後、ヘキサン50mlを加え、ろ過にて不溶物を取り除いた。この溶液を約10mlまで濃縮した後、−30℃で一晩静置した。析出した粉末をろ過によって取り出し、ヘキサンで洗浄し、0.384gの橙色粉を得た。この橙色粉にジエチルエーテル5mlを加えて溶解させ、−30℃で一晩静置した。析出した粉末をろ過によって取り出し、ヘキサンで洗浄し、目的物を得た。収量0.220g、収率17%。
【0356】
1H−NMRの測定結果により、目的物を同定した。
【0357】
1H−NMR(270MHz, CDCl3, TMS基準): δ 7.98(1H,s), 7.86(1H,s), 7.60(1H,s), 7.37(1H,s), 6.19(1H,J=1.6Hz,d), 5.33(1H,J=1.6Hz,d), 3.58−3.44(2H,m), 2.35−2.28(1H,m), 2.18(3H,s), 1.94−1.18(54H,m).
[固体状ポリアルミノキサン組成物の合成]
試験例に記載の方法にて、固体状ポリアルミノキサン組成物の合成を行った。試験例における製造方法の一部および結果を表1〜13に示した。
【0358】
[試験例A1(試験例D1)]
攪拌機付の200mLガラス製フラスコ(以下、『フラスコA』と称す)にトルエン14mLを加え70℃に昇温後、『アルベマール社製ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液(Al濃度=3.01mmol/mL、14mL、42mmol)』(以下、『試験例A1の溶液』と称す)を加えた。続いてBenzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を40mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。アルミニウム基準の固体化率は94.0%だった。
【0359】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0360】
[固体状ポリアルミノキサン組成物の分析]
粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は29.3μm、均一性は0.237であった。
【0361】
得られた固体状ポリアルミノキサン組成物を乾燥して、溶媒に対する溶解度を測定した。25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度は0.05モル%、トルエンに対する溶解度は0.15モル%、テトラヒドロフランに対する溶解度は94.6モル%であった。
【0362】
メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率(モル分率(3))は13.2モル%であった。また固体状ポリアルミノキサン組成物中のアルミニウム含量は43.5wt%であった。また比表面積は521m2/gであった。
【0363】
SEMによる観測を行った。その結果を図1に示す。
【0364】
結果を表1に示す。
【0365】
[試験例A2(試験例D2)]
試験例A1において、Benzaldehydeのトルエン溶液を添加後、70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で105℃まで昇温し、105℃で4時間反応させた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0366】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0367】
結果を表1に示す。
【0368】
[試験例A3(試験例D3)]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、Benzaldehyde(0.67g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0369】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0370】
結果を表1に示す。
【0371】
[試験例A4]
フラスコAにトルエン48mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(34mL、102mmol)を加えた。続いてBenzaldehyde(1.84g、17.3mmol)のトルエン溶液(28mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(60mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を80mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0372】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0373】
結果を表1に示す。
【0374】
[試験例A5]
フラスコAにトルエン46mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(34mL、102mmol)を加えた。続いてBenzaldehyde(2.05g、19.4mmol)のトルエン溶液(29mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A4と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0375】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0376】
結果を表1に示す。
【0377】
[試験例A6(試験例D6)]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、Acetophenone(0.66g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0378】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0379】
結果を表1に示す。
【0380】
[試験例A7(試験例D14)]
フラスコAにトルエン27mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(27mL、81mmol)を加えた。続いて、2−Phenyl−2−propanol(1.66g、12.2mmol)のトルエン溶液(33mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A4と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0381】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol添加後、73℃まで昇温したときに観測された。
【0382】
結果を表1に示す。
【0383】
SEMによる観測を行った。その結果を図2に示す。
【0384】
[試験例A8]
フラスコAにトルエン37mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(34mL、102mmol)を加えた。続いてBenzaldehyde(1.46g、13.8mmol)のトルエン溶液(38mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で8時間反応させた。80℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(60mL)を用いて80℃で3回洗浄した後、トルエンを加えて全量を102mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0385】
結果を表1に示す。
【0386】
[試験例A9(試験例D23)]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、4−Fluorobenzaldehyde(0.78g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0387】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、4−Fluorobenzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0388】
結果を表1に示す。
【0389】
[試験例A10]
フラスコAにトルエン37mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(34mL、102mmol)を加えた。続いてAcetophenone(1.65g、13.8mmol)のトルエン溶液(38mL)を120分かけて添加した。添加後70℃で60分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で105℃まで昇温し、105℃で8時間反応させた。80℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(60mL)を用いて80℃で3回洗浄した後、トルエンを加えて全量を87mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0390】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0391】
結果を表1に示す。
【0392】
[試験例A11]
フラスコAにトルエン37mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(34mL、102mmol)を加えた。続いてPropiophenone(1.85g、13.8mmol)のトルエン溶液(38mL)を180分かけて添加した。添加後70℃で60分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で8時間反応させた。その後は、試験例A10と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0393】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Propiophenone添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0394】
結果を表1に示す。
【0395】
[試験例A12]
フラスコAにトルエン8mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(35mL、106mmol)を加えた。続いてValerophenone(2.58g、15.9mmol)のトルエン溶液(10mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で105℃まで昇温し、105℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回,常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を100mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0396】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Valerophenone添加後、76℃まで昇温したときに観測された。
【0397】
結果を表1に示す。
【0398】
[試験例A13]
フラスコAにトルエン10mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(35mL、106mmol)を加えた。続いてOctanophenone(2.82g、13.8mmol)のトルエン溶液(10mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A12と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0399】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Octanophenone添加後、85℃まで昇温したときに観測された。
【0400】
結果を表1に示す。
【0401】
[試験例A14(試験例D11)]
フラスコAにトルエン40mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Aの溶液(40mL、120mmol)を加えた。続いてLaurophenone(4.69g、18.0mmol)のトルエン溶液(48mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(100mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を114mLに調製した。
【0402】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Laurophenone添加後、93℃まで昇温したときに観測された。
【0403】
結果を表1に示す。
【0404】
[試験例A15]
フラスコAにトルエン50mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(35mL、106mmol)を加えた。続いてLaurophenone(4.16g、16.0mmol)のトルエン溶液(27mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A12と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0405】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Laurophenone添加後、93℃まで昇温したときに観測された。
【0406】
結果を表1に示す。
【0407】
[試験例A16]
フラスコAにトルエン3mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(39.5mL、120mmol)を加えた。続いてDL−1−Phenylethyl alcohol(2.20g、18.0mmol)のトルエン溶液(9mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A12と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0408】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、DL−1−Phenylethyl alcohol添加後、90℃まで昇温したときに観測された。
【0409】
結果を表1に示す。
【0410】
[試験例A17]
フラスコAにトルエン16mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(21mL、64mmol)を加えた。続いてGeraniol(1.62g、10.5mmol)のトルエン溶液(9mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。その後は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0411】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Geraniol添加後、52℃まで昇温したときに観測された。
【0412】
結果を表1に示す。
【0413】
[試験例A18]
フラスコAにトルエン16mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(18mL、55mmol)を加えた。続いてFarnesol(1.93g、8.7mmol)のトルエン溶液(24mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で90分間攪拌した。その後は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0414】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Farnesol添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0415】
結果を表1に示す。
【0416】
[試験例A19]
フラスコAにトルエン17mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(17.5mL、53mmol)を加えた。続いてPhytol(3.36g、8.0mmol)のトルエン溶液(11mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A12と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0417】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Phytol添加後、75℃まで昇温したときに観測された。
【0418】
結果を表1に示す。
【0419】
[試験例A20]
フラスコAにトルエン3mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(35mL、106mmol)を加えた。続いて2−Methyl−3−buten−2−ol(1.37g、16.0mmol)のトルエン溶液(11mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で105℃まで昇温し、105℃で6時間反応させた。その後は、試験例A12と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0420】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Methyl−3−buten−2−ol添加後、100℃まで昇温したときに観測された。
【0421】
結果を表1に示す。
【0422】
[試験例A21]
フラスコAにトルエン10mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Dの溶液(21mL、64mmol)を加えた。続いてLinalool(1.59g、10.3mmol)のトルエン溶液(15mL)を60分かけて添加した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を60mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0423】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Linalool添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0424】
結果を表1に示す。
【0425】
[試験例A22]
フラスコAにトルエン10mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Aの溶液(21mL、63mmol)を加えた。続いてLinalool(1.75g、11.3mmol)のトルエン溶液(15mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A21と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0426】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Linalool添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0427】
結果を表1に示す。
【0428】
[試験例A23]
フラスコAにトルエン13mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(27mL、82mmol)を加えた。続いてDL−1−Phenylethyl alcohol(1.20g、9.8mmol)/Isophytol(0.73g、2.5mmol)のトルエン溶液(10mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A12と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0429】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、DL−1−Phenylethyl alcohol/Isophytol添加後、102℃まで昇温したときに観測された。
【0430】
結果を表1に示す。
【0431】
[試験例A24]
フラスコAにトルエン12mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(21mL、64mmol)を加えた。続いてBenzoic acid(0.23g、1.9mmol)/Octanophenone(1.96g、9.6mmol)のトルエン溶液(13mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A21と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0432】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzoic acid/Octanophenone添加後、92℃まで昇温したときに観測された。
【0433】
結果を表1に示す。
【0434】
[試験例A25]
フラスコAにトルエン14mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(18mL、55mmol)を加えた。Benzotrifluoride(0.13g、0.92mmol)のトルエン溶液(2mL)を10分かけて添加し、70℃で5分間攪拌した。続いてFarnesol(1.94g、8.7mmol)のトルエン溶液(23mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で90分間攪拌した。1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。その後は、試験例A21と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0435】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Farnesol添加後、70℃で撹拌中に観測された。
【0436】
結果を表1に示す。
【0437】
[試験例A26]
フラスコAにトルエン23mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(16mL、49mmol)を加えた。続いてN,N−Dimethylbenzylamine(0.065g、0.48mmol)/2−Phenyl−2−propanol(1.06g、7.8mmol)のトルエン溶液(12mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で110℃まで昇温し、110℃で6時間反応させた。その後は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0438】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、N,N−Dimethylbenzylamine/2−Phenyl−2−propanol添加後、91℃まで昇温したときに観測された。
【0439】
結果を表1に示す。
【0440】
[試験例A27]
フラスコAにトルエン12mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Cの溶液(13mL、40mmol)とトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(Al濃度=1.00mmol/mL、0.79mL、0.79mmol)を加えた。続いてAcetophenone(0.71g、5.9mmol)のトルエン溶液(16mL)を120分かけて添加した。添加後70℃で60分間攪拌した。その後は、試験例A26と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0441】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加中に観測された。
【0442】
結果を表1に示す。
【0443】
[試験例A28]
試験例A27において、予備実験1Cの溶液(13mL、40mmol)とトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(Al濃度=1.00mmol/mL、0.79mL、0.79mmol)の代わりに、予備実験1Cの溶液(12mL、36mmol)と東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aのトルエン溶液(Al濃度=2.13mmol/mL、1.85mL、3.9mmol)を用いた以外は、試験例A27と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0444】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加中に観測された。
【0445】
結果を表1に示す。
【0446】
[試験例A29]
フラスコAにトルエン17mLを加え50℃に昇温後、東ソー・ファインケム社製ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液(TMAO−211、Al濃度=2.94mmol/mL、20mL、59mmol)を加えた。続いてDL−1−phenylethyl alcohol(2.00g、16.4mmol)のトルエン溶液(7mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例A12と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0447】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、1−phenylethyl alcohol添加後、89℃まで昇温したときに観測された。
【0448】
結果を表1に示す。
【0449】
【表1(1)】
【0450】
【表1(2)】
[試験例D4]
フラスコAにトルエン14mLを加え80℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてBenzaldehyde(0.67g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。添加後80℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を40mLに調製した。アルミニウム基準の固体化率は98.7%だった。
【0451】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加中に観測された。
【0452】
[固体状ポリアルミノキサン組成物の分析]
粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は24.0μm、均一性は0.243であった。
【0453】
結果を表2に示す。
【0454】
[試験例D5]
フラスコAにトルエン14mLを加え95℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてBenzaldehyde(0.67g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加し、添加後、95℃で4時間反応させた。その後は、試験例D4と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0455】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加中に観測された。
【0456】
結果を表2に示す。
【0457】
[試験例D7]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、Acetophenone(0.76g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0458】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0459】
結果を表2に示す。
【0460】
[試験例D8]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてAcetophenone(0.86g、7.1mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。その後は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0461】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加後、75℃まで昇温したときに観測された。
【0462】
結果を表2に示す。
【0463】
[試験例D9]
フラスコAにトルエン14mLを加え70℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてAcetophenone(0.66g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で8時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて80℃で3回洗浄した後、トルエンを加えて全量を40mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0464】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0465】
[固体状ポリアルミノキサン組成物の分析]
SEMによる観察を行った。その結果を図3に示す。また、粒度分布を測定した結果、体積統計値での中位径D50は28.8μm、均一性は0.230であった(図4)。
【0466】
結果を表2に示す。
【0467】
[試験例D10]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてAcetophenone(0.76g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0468】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone添加後、80℃まで昇温したときに観測された。
【0469】
結果を表2に示す。
【0470】
[試験例D12]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて1−(p−Tolyl)−ethanol(0.86g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0471】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、1−(p−Tolyl)−ethanol添加後、69℃まで昇温したときに観測された。
【0472】
結果を表2に示す。
【0473】
[試験例D13]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.74g、5.5mmol)のトルエン溶液(16.8mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0474】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol添加後、90℃まで昇温したときに観測された。
【0475】
結果を表2に示す。
【0476】
[試験例D15]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて1−Phenylethyl alcohol(0.77g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0477】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、1−Phenylethyl alcohol添加後、90℃まで昇温したときに観測された。
【0478】
結果を表2に示す。
【0479】
[試験例D16]
フラスコAにトルエン70mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Aの溶液(70mL、210mmol)を加えた。続いてDL−1−Phenylethyl alcohol(3.85g、31.6mmol)のトルエン溶液(84mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(90mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を200mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0480】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、DL−1−Phenylethyl alcohol添加後、93℃まで昇温したときに観測された。
【0481】
結果を表2に示す。
【0482】
試験例D16は、試験例D15と同一の攪拌動力で実施しているため、反応溶液全体の平均せん断応力は試験例D16が小さい。試験例D16試験例D15の平均粒子径の差は、攪拌状態の影響が反映されたと考えられる。
【0483】
[試験例D17]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、予備実験2の溶液(Al濃度=3.01mmol/mL、14mL、42mmol)』(以下、『試験例D17の溶液』と称す)を加えた。続いて1−Phenylethyl alcohol(1.39g、11.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0484】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、1−Phenylethyl alcohol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0485】
結果を表2に示す。
【0486】
[試験例D18]
フラスコAにトルエン27mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Aの溶液(6.5mL、20mmol)を加えた。続いてBenzophenone(0.47g、2.6mmol)のトルエン溶液(7mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を19mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0487】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、benzophenone添加後、80℃まで昇温したときに観測された。
【0488】
結果を表2に示す。
【0489】
[試験例D19]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてCyclohexyl Phenyl ketone(1.19g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0490】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Cyclohexyl Phenyl ketone添加後、50℃で攪拌中に観測された。
【0491】
結果を表2に示す。
【0492】
[試験例D20]
フラスコAに、予備試験1Aの溶液(20mL、60mmol)を加えて50℃に昇温した。続いてCyclohexyl methyl ketone(1.14g、9.0mmol)のトルエン溶液(23mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を57mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0493】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Cyclohexyl methyl ketone添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0494】
結果を表2に示す。
【0495】
[試験例D21]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてp−Nonylacetophenone(1.55g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0496】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、p−Nonylacetophenone添加後、60℃まで昇温したときに観測された。
【0497】
結果を表2に示す。
【0498】
[試験例D22]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、p−Fluoroacetophenone(0.87g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0499】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、p−Fluoroacetophenone添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0500】
結果を表2に示す。
【0501】
[試験例D24]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて4−Fluorobenzyl alcohol(1.01g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0502】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、4−Fluorobenzyl alcohol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0503】
結果を表2に示す。
【0504】
[試験例D25]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてBenzyl alcohol(0.68g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0505】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzyl alcohol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0506】
結果を表2に示す。
【0507】
[試験例D26]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて4−Methylbenzyl alcohol(0.77g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0508】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、4−Methylbenzyl alcohol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0509】
結果を表2に示す。
【0510】
[試験例D27]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて3−Methylbenzyl alcohol(0.77g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0511】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、3−Methylbenzyl alcohol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0512】
結果を表2に示す。
【0513】
[試験例D28]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて2−Methylbenzyl alcohol(0.77g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0514】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Methylbenzyl alcohol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0515】
結果を表2に示す。
【0516】
[試験例D29]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、4−Isopropylbenzyl alcohol(0.95g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0517】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、4−Isopropylbenzyl alcohol添加後、89℃まで昇温したときに観測された。
【0518】
結果を表2に示す。
【0519】
[試験例D30]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて1−Phenyl−1−propanol(0.86g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0520】
結果を表2に示す。
【0521】
[試験例D31]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて1−Phenyl−1−pentanol(1.03g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。その後は、試験例D8と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0522】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、1−Phenyl−1−pentanol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0523】
[固体状ポリアルミノキサン組成物の分析]
SEMによる観察を行った。その結果を図5に示す。また、粒度分布を測定した結果、体積統計値での中位径D50は19.1μm、均一性は0.223であった(図6)。
【0524】
結果を表2に示す。
【0525】
[試験例D32]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、Geraniol (0.97g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0526】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Geraniol添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0527】
結果を表2に示す。
【0528】
[試験例D33]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、Farnesol (1.40g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0529】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Farnesol添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0530】
[固体状ポリアルミノキサン組成物の分析]
SEMによる観察を行った。その結果を図7に示す。また、粒度分布を測定した結果、体積統計値での中位径D50は6.6μm、均一性は0.227であった(図8)。
【0531】
結果を表2に示す。
【0532】
[試験例D34]
フラスコAにトルエン14mLを加え70℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてPhytol(1.87g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、ヘプタン(90mL)を添加し、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはヘプタン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、ヘプタンを加えて全量を40mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0533】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、phytol添加後、75℃まで昇温したときに観測された。
【0534】
結果を表2に示す。
【0535】
[試験例D35]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いて1−Phenylethyl alcohol(0.77g、6.3mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で加熱した。
【0536】
1−Phenylethyl alcohol添加開始から2時間後の固体化率は52%、3時間後の固体化率は77%、4時間後の固体化率は86%、6時間後の固体化率は92%だった。
【0537】
[試験例D36]
試験例D35の加熱温度95℃を60℃に変更して反応追跡を実施した。
【0538】
1−Phenylethyl alcohol添加開始から2時間後の固体化率は16%、4時間後の固体化率は26%、8時間後の固体化率は54%だった。
【0539】
試験例D35から加熱温度を下げることにより、反応速度の低下が見られ、同一反応時間における固体化率は低下した。
【0540】
[試験例D37]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.43g、3.2mmol)/1−Phenyl−1−pentanol(0.52g、3.2mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0541】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/1−Phenyl−1−pentanol添加後、94℃まで昇温したときに観測された。
【0542】
結果を表2に示す。
【0543】
[試験例D38]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/1−Phenyl−1−pentanol(0.26g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0544】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/1−Phenyl−1−pentanol添加後、86℃まで昇温したときに観測された。
【0545】
結果を表2に示す。
【0546】
[試験例D39]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.74g、5.5mmol)/1−Phenyl−1−pentanol(0.16g、0.8mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0547】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/1−Phenyl−1−pentanol添加後、79℃まで昇温したときに観測された。
【0548】
結果を表2に示す。
【0549】
[試験例D40]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/Benzyl alcohol(0.17g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0550】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/Benzyl alcohol添加後、93℃まで昇温したときに観測された。
【0551】
結果を表2に示す。
【0552】
[試験例D41]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/1−Phenyl−1−propanol(0.21g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0553】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/1−Phenyl−1−propanol添加後、85℃まで昇温したときに観測された。
【0554】
結果を表2に示す。
【0555】
[試験例D42]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/DL−1−Phenylethyl alcohol(0.19g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0556】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/DL−1−Phenylethyl alcohol添加後、80℃まで昇温したときに観測された。
【0557】
結果を表2に示す。
【0558】
[試験例D43]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/Benzaldehyde(0.17g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0559】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0560】
結果を表2に示す。
【0561】
[試験例D44]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/4−Methylbenzyl alcohol(0.19g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0562】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/4−Methylbenzyl alcohol添加後、89℃まで昇温したときに観測された。
【0563】
結果を表2に示す。
【0564】
[試験例D45]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/Acetophenone(0.19g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0565】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/Acetophenone添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0566】
結果を表2に示す。
【0567】
[試験例D46]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.64g、4.7mmol)/4−Methylbenzaldehyde(0.19g、1.6mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0568】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/4−Methylbenzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0569】
結果を表2に示す。
【0570】
[試験例D47]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、2−Phenyl−2−propanol(0.57g、4.2mmol)/4−Methylbenzaldehyde(0.25g、2.1mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0571】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−Phenyl−2−propanol/4−Methylbenzaldehyde添加終了直後に観測された。
【0572】
結果を表2に示す。
【0573】
[試験例D48]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、Benzyl alcohol(0.34g、3.2mmol)/4−Methylbenzaldehyde(0.38g、3.2mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0574】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzyl alcohol/4−Methylbenzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0575】
結果を表2に示す。
【0576】
[試験例D49]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、DL−1−Phenylethyl alcohol(0.51g、4.2mmol)/4−Methylbenzaldehyde(0.25g、2.1mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0577】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、DL−1−Phenylethyl alcohol/4−Methylbenzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0578】
結果を表2に示す。
【0579】
[試験例D50]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、4−Methylbenzyl alcohol(0.51g、4.2mmol)/4−Methylbenzaldehyde(0.25g、2.1mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0580】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、4−Methylbenzyl alcohol/4−Methylbenzaldehyde添加終了直後に観測された。
【0581】
結果を表2に示す。
【0582】
[試験例D51]
フラスコAにトルエン14mLを加え70℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。続いてAcetophenone(0.52g、4.4mmol)/4−Methylbenzaldehyde(0.13g、1.1mmol)のトルエン溶液(17mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で60分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。その後は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0583】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone/4−Methylbenzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0584】
結果を表2に示す。
【0585】
[試験例D52]
試験例A1において、Benzaldehyde(0.58g、5.5mmol)のトルエン溶液(17mL)の代わりに、Acetophenone(0.49g、4.1mmol)/4−Methylbenzaldehyde(0.16g、1.4mmol)のトルエン溶液(17mL)を用いた以外は、試験例A1と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0586】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Acetophenone/4−Methylbenzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0587】
結果を表2に示す。
【0588】
[試験例D53]
フラスコAにトルエン22mLを加え50℃に昇温後、予備実験1Eの溶液(20mL、63mmol)を加えた。続いて(p−Methylphenyl)methanethiol(1.31g、9.5mmol)のトルエン溶液(14mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。析出した固体状ポリアルミノキサンは、50℃まで降温後、ヘプタン(100mL)を添加し、上澄み液をデカンテーションで除去した。続いて、ヘプタン(100mL)を用いて常温で2回洗浄した後、ヘプタンを加えて全量を50mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0589】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、(p−Methylphenyl)methanethiol添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0590】
結果を表2に示す。
【0591】
[試験例D54]
試験例A22において、予備実験1Aの溶液(21mL、63mmol)の代わりに予備実験4で調整したポリメチルアルミノキサン組成物のトルエン溶液(21mL、63mmol)を用いたこと以外は、試験例A22と同様にして、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0592】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Linalool添加後、95℃まで昇温したときに観測された。
【0593】
試験例A22と比較して、体積統計値での中位径D50および均一性の違いは極めて小さかった。本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物の製造法は、溶液状ポリアルミノキサン組成物中の遠心分離処理で分離可能なゲル状物質の有無による影響を受けないことが確認された。
【0594】
結果を表2に示す。
【0595】
[試験例D55]
フラスコAにトルエン14mLを加え50℃に昇温後、アルベマール社製ポリメチルアルミノキサン組成物の20wt%トルエン溶液(Al濃度=3.04mmol/mL、7.8mL、23mmol)と東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aのトルエン溶液(Al濃度=2.18mmol/mL、4.6mL、10mmol)を加えた。続いて2−phenyl−2−propanol(0.82g、6.0mmol)のトルエン溶液(9mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で100℃まで昇温し、100℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をフィルターで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(25mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を40mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0596】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、2−phenyl−2−propanol添加後、90℃まで昇温したときに観測された。
【0597】
結果を表2に示す。
【0598】
[試験例a1]
国際公開第2010/055652号パンフレットに記載の方法(予備実験3および実施例2)に基づいて固体状ポリアルミノキサンを調製した。ただし、トリメチルアルミニウムの発火等の安全性に配慮して、当該文献に開示されている条件の約1/3倍の濃度で実施した。
【0599】
具体的には、攪拌装置を有するガラス製反応器に1.5mol/Lに調製したトリメチルアルミニウムのトルエン溶液80mLを装入した。該溶液を15℃になるまで冷却し、これに安息香酸(5.86g、48mmol)を溶液の温度が25℃以下になるような速度でゆっくりと添加した。その後50℃で加熱熟成を1時間行った。この時、トリメチルアルミニウムと安息香酸の酸素原子のモル比は、1.25であった。反応液を70℃で4時間加熱し、その後60℃で6時間加熱した後、一度室温まで冷却した。次いで100℃で8時間加熱し、固体状アルミノキサンを析出させた。溶液を30℃以下まで冷却した後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(60mL)を用いて、常温で4回洗浄した後、トルエンを加えて全量を75mLに調製した。アルミニウム基準の固体化率は61.6%だった。
【0600】
[固体状ポリアルミノキサン組成物の分析]
粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は27.2μm、均一性は0.242であった。
【0601】
得られた固体状ポリアルミノキサン組成物を乾燥して、溶媒に対する溶解度を測定した。25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度は0.04モル%、トルエンに対する溶解度は0.27モル%、テトラヒドロフランに対する溶解度は>99.9モル%であった。
【0602】
メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率は9.5モル%であった。また固体状ポリアルミノキサン組成物中のアルミニウム含量は41.3wt%であった。また比表面積は230m2/gであった。
SEMによる観測を行った。その結果を図9に示す。
【0603】
結果を表3に示す。
【0604】
[試験例a2]
攪拌装置を有するガラス製反応器に1.5mol/Lに調製したトリメチルアルミニウムのトルエン溶液150mLを装入した。該溶液を15℃になるまで冷却し、これに安息香酸(11.0g、90mmol)を溶液の温度が25℃以下になるような速度でゆっくりと添加した。その後50℃で加熱熟成を1時間行った。この時、トリメチルアルミニウムと安息香酸の酸素原子のモル比は、1.25であった。反応液を70℃で4時間加熱し、その後60℃で6時間加熱した後、一度室温まで冷却した。次いで100℃で4時間加熱し、固体状アルミノキサンを析出させた。溶液を30℃以下まで冷却した後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(60mL)を用いて、常温で4回洗浄した後、トルエンを加えて全量を75mLに調製した。
【0605】
SEMによる観測を行った。その結果を図10に示す。
【0606】
結果を表3に示す。
【0607】
[試験例a3]
フラスコAにトルエン23mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(20mL、60mmol)を加えた。続いてBenzaldehyde(0.70g、6.6mmol)のトルエン溶液(21mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で2回洗浄した後、トルエンを加えて全量を45mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
SEMによる観測を行った。その結果を図11に示す。
【0608】
結果を表3に示す。
【0609】
[試験例a4]
フラスコAにトルエン20mLを加え70℃に昇温後、予備実験1Bの溶液(20mL、60mmol)を加えた。続いてBenzaldehyde(0.83g、7.8mmol)のトルエン溶液(24mL)を30分かけて添加した。添加後70℃で30分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で80℃まで昇温し、80℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄した後、トルエンを加えて全量を50mLに調製して、固体状ポリアルミノキサン組成物を得た。
【0610】
なお、固体状ポリアルミノキサン組成物の析出開始は、Benzaldehyde添加後、70℃で攪拌中に観測された。
【0611】
結果を表3に示す。
【0612】
試験例a1〜a4では、メチル基の総モル数に対するトリメチルアルミニウム部位に由来するメチル基のモル分率は13.0モル%未満であった。また、25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度は95モル%より大きい値であった。
【0613】
[試験例a5(試験例d4)]
予備実験1Aの溶液を用いて、特開平7−300486号公報の実施例(実験109)に記載の方法に基づいて固体状ポリアルミノキサンを調製したところ、ゲル状の成分を多く含む不定形の固体が得られた。
【0614】
[固体状ポリアルミノキサン組成物の分析]
SEMによる観察を行った。その結果を図12に示す。また、粒度分布を測定した結果、体積統計値での中位径D50は149μm、均一性は0.513であった(図13)。
【0615】
得られた固体状ポリアルミノキサン組成物を乾燥して、溶媒に対する溶解度を測定した。25℃におけるn−ヘキサンに対する溶解度は0.56モル%、トルエンに対する溶解度は33.6モル%、テトラヒドロフランに対する溶解度は>99.9モル%であった。
【0616】
結果を表3に示す。
【0617】
[試験例d1]
フラスコAにトルエン30mLを加え70℃に昇温後、試験例A1の溶液を加えた。70℃で60分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させたが、固体状ポリアルミノキサン組成物は析出しなかった。
【0618】
結果を表3に示す。
【0619】
[試験例d2]
フラスコAにトルエン30mLを加え70℃に昇温後、試験例D17の溶液を加えた。70℃で60分間攪拌した後、1.0℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃で4時間反応させたが、固体状ポリアルミノキサン組成物は析出しなかった。
【0620】
結果を表3に示す。
【0621】
[試験例d3]
特開2004−51801号明細書の実施例記載の方法で多孔質シリカ(AGCエスアイテック社H−121)にポリメチルアルミノキサンを担持して、シリカ担持ポリメチルアルミノキサンを調製した。固体状ポリアルミノキサン組成物と同様の方法で失活処理後、粒度分布を測定した。
【0622】
結果を表3に示す。
【0623】
【表2(1)】
【0624】
【表2(2)】
【0625】
【表2(3)】
【0626】
【表3】
[オレフィン重合(多量化)触媒の調製]
試験例に記載の方法にて、オレフィン重合(多量化)触媒の調製を行った。
【0627】
[試験例B1]
グローブボックス内で、試験例A1で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.99mmol/mL、1.6mL、1.6mmol)を反応容器に採取した。該スラリーに、トルエン(6.9mL)を加えた後、国際公開第2009/5003号パンフレット記載のTi化合物9(下記化合物9)のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.7mL、0.032mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。静置して固体成分を沈降させた後、上澄みを0.2μmフィルターに通して残留固体成分を除去して、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0628】
【化14】
得られたろ液(10mL)をICP−AESで分析した結果、ろ液中のTi濃度は定量限界以下(0.021mmol/L未満)であった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物に担持されなかったTiは0.44μmol未満、即ち反応に使用したTiの1.4mol%未満だった。また、ろ液中のAl濃度は定量限界以下(0.19mmol/L未満)であった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物から溶出したAlは4.0μmol未満、即ち反応に使用したAlの0.3mol%未満だった。
【0629】
調製したオレフィン重合(多量化)用触媒(固体成分)の粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は29.0μm、均一性は0.214であった。
【0630】
結果を表4に示す。
【0631】
SEMによる観測を行った。その結果を図14に示す。
【0632】
[試験例B2]
試験例A2で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.97mmol/mL、1.6mL、1.6mmol)およびトルエン(6.8mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0633】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果および該触媒(固体成分)の粒度分布を表4に示す。
【0634】
[試験例B3]
試験例A3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、1.8mL、1.6mmol)およびトルエン(6.7mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0635】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果および該触媒(固体成分)の粒度分布を表4に示す。
【0636】
[試験例B4]
試験例A6で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.03mmol/mL、1.5mL、1.5mmol)、トルエン(6.7mL)および上記Ti化合物9のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.4mL、0.031mmol)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0637】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果および該触媒(固体成分)の粒度分布を表4に示す。
【0638】
[試験例B5]
試験例A7で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.86mmol/mL、1.9mL、1.6mmol)およびトルエン(6.7mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0639】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果および該触媒(固体成分)の粒度分布を表4に示す。
【0640】
SEMによる観測を行った。その結果を図15に示す。
【0641】
[試験例b1]
試験例a1で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.94mmol/mL、1.7mL、1.6mmol)およびトルエン(6.8mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0642】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した結果、ろ液中のTi濃度は0.044mmol/Lであった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物に担持されなかったTiは0.93μmol、即ち反応に使用したTiの2.9mol%だった。また、ろ液中のAl濃度は1.7mmol/Lであった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物から溶出したAlは36μmol、即ち反応に使用したAlの2.3mol%だった。
【0643】
調製した粒子(固体成分)の粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は57.3μm、均一性は0.378であった。
【0644】
結果を表4に示す。
【0645】
SEMによる観測を行った。その結果を図16に示す。粒子が溶融し、粒子同士が結合して巨大な塊を形成していた。
【0646】
[試験例b2]
試験例a2で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.06mmol/mL、1.5mL、1.6mmol)およびトルエン(7.0mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0647】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果および該触媒(固体成分)の粒度分布を表4に示す。
【0648】
SEMによる観測を行った。その結果を図17に示す。粒子が溶融し、粒子同士が結合して巨大な塊を形成していた。
【0649】
[試験例b3]
試験例a3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、1.8mL、1.6mmol)およびトルエン(6.7mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0650】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果および該触媒(固体成分)の粒度分布を表4に示す。
【0651】
SEMによる観測を行った。その結果を図18に示す。粒子が溶融し、粒子同士が結合して巨大な塊を形成していた。
【0652】
[試験例b4]
試験例a4で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.18mmol/mL、1.4mL、1.7mmol)およびトルエン(7.2mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0653】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果および該触媒(固体成分)の粒度分布を表4に示す。
【0654】
SEMによる観測を行った。粒子が溶融し、粒子同士が結合して巨大な塊を形成していた。
【0655】
試験例b1〜b4では、担持されていない遷移金属化合物およびアルミニウムが観測された。即ち、固体状ポリアルミノキサン組成物から、主触媒成分および助触媒成分のリーチングが観測された。また平均粒子径D50の顕著な増大が観測された。該現象は遷移金属化合物との接触により粒子の溶融、および粒子同士の結合による巨大な塊の形成に起因しているものと推定される。
【0656】
[試験例B6]
試験例A1で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.99mmol/mL、3.2mL、3.2mmol)およびトルエン(5.3mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0657】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果を表5に示す。
【0658】
[試験例B7]
試験例A1で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.99mmol/mL、6.4mL、6.4mmol)およびトルエン(2.1mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0659】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液(15mL)を分析した。その結果を表5に示す。
【0660】
[試験例B8]
グローブボックス内で、試験例A1で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.99mmol/mL、9.6mL、9.5mmol)を反応容器に採取した。このスラリーから濃度調製のために上澄み(1.1mL)をデカンテーションで除去した後、上記Ti化合物9のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.7mL、0.032mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0661】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液(15mL)を分析した。その結果を表5に示す。
【0662】
[試験例B9]
試験例A3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、3.6mL、3.2mmol)およびトルエン(4.9mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0663】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果を表5に示す。
【0664】
[試験例B10]
試験例A3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、7.1mL、6.3mmol)およびトルエン(1.4mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0665】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液(15mL)を分析した。その結果を表5に示す。
【0666】
[試験例B11]
試験例A6で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.03mmol/mL、3.0mL、3.1mmol)、トルエン(5.2mL)および上記Ti化合物9のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.4mL、0.031mmol)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0667】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果を表5に示す。
【0668】
[試験例B12]
試験例A6で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.03mmol/mL、6.0mL、6.2mmol)、トルエン(2.2mL)および上記Ti化合物9のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.4mL、0.031mmol)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0669】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果を表5に示す。
【0670】
[試験例b5]
試験例a2で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.06mmol/mL、3.0mL、3.2mmol)およびトルエン(5.5mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0671】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した結果、ろ液中のTi濃度は0.055mmol/Lであった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物に担持されなかったTiは1.2μmol、即ち反応に使用したTiの3.6mol%だった。また、ろ液中のAl濃度は5.5mmol/Lであった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物から溶出したAlは117μmol、即ち反応に使用したAlの3.7mol%だった。
【0672】
結果を表5に示す。
【0673】
[試験例b6]
試験例a2で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.06mmol/mL、6.0mL、6.4mmol)およびトルエン(2.5mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0674】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果を表5に示す。
【0675】
[試験例b7]
試験例a3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、3.6mL、3.2mmol)およびトルエン(4.9mL)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0676】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液を分析した。その結果を表5に示す。
【0677】
[試験例b8]
試験例a3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.06mmol/mL、12.0mL、12.7mmol)、トルエン(5.0mL)および上記Ti化合物9のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、25.4mL、0.064mmol)を用いた以外は、試験例B1と同様の方法により、ろ液を得た。
【0678】
続いて、試験例B1と同様に、ろ液(30mL)を分析した。その結果を表5に示す。
【0679】
試験例b5〜b8では、担持されていない遷移金属化合物およびアルミニウムが観測された。即ち、固体状ポリアルミノキサン組成物から、主触媒成分および助触媒成分のリーチングが観測された。
【0680】
[試験例B13]
グローブボックス内で、試験例A3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、3.6mL、3.2mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(4.9mL)を加えた後、Bis(n−butylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.7mL、0.032mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0681】
続いて、得られたろ液(15mL)をICP−AESで分析した結果、ろ液中のZr濃度は定量限界以下(0.0074mmol/L未満)であった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物に担持されなかったZrは0.16μmol未満、即ち反応に使用したZrの0.5mol%未満だった。また、ろ液中のAl濃度は定量限界以下(0.13mmol/L未満)であった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物から溶出したAlは2.8μmol未満、即ち反応に使用したAlの0.1mol%未満だった。
【0682】
結果を表6に示す。
【0683】
[試験例B14]
試験例A3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、7.1mL、6.3mmol)およびトルエン(1.4mL)を用いた以外は、試験例B13と同様の方法により、ろ液を得た。
【0684】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液を分析した。その結果を表6に示す。
【0685】
[試験例B15]
試験例A3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.35mmol/mL、7.2mL、9.7mmol)、トルエン(1.4mL)およびBis(n−butylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、13.0mL、0.032mmol)を用いた以外は、試験例B13と同様の方法により、ろ液を得た。
【0686】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液を分析した。その結果を表6に示す。
【0687】
[試験例B16]
試験例A3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.35mmol/mL、72mL、97mmol)を反応容器に採取した。このスラリーから濃度調製のために上澄み(42mL)をデカンテーションで除去した後、Bis(n−butylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、13.0mL、0.032mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0688】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液(30mL)を分析した結果、ろ液中のZr濃度は定量限界以下(0.0037mmol/L未満)であった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物に担持されなかったZrは0.16μmol未満、即ち反応に使用したZrの0.5mol%未満だった。
【0689】
結果を表6に示す。
【0690】
[試験例B17]
試験例A4で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.31mmol/mL、5.0mL、6.6mmol)、トルエン(3.7mL)およびBis(n−butylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、13.1mL、0.033mmol)を用いた以外は、試験例B13と同様の方法により、ろ液を得た。
【0691】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液を分析した。その結果を表6に示す。
【0692】
[試験例B18]
試験例A5で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.28mmol/mL、5.0mL、6.4mmol)およびトルエン(3.5mL)を用いた以外は、試験例B13と同様の方法により、ろ液を得た。
【0693】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液(15mL)を分析した。その結果を表6に示す。
【0694】
[試験例b9]
試験例a3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.91mmol/mL、1.8mL、1.6mmol)およびトルエン(3.5mL)を用いた以外は、試験例B13と同様の方法により、ろ液を得た。
【0695】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液(15mL)を分析した。その結果を表6に示す。
【0696】
[試験例b10]
試験例b3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.91mmol/mL、3.5mL、3.2mmol)およびトルエン(5.0mL)を用いた以外は、試験例B13と同様の方法により、ろ液を得た。
【0697】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液(15mL)を分析した。その結果を表6に示す。
【0698】
[試験例b11]
試験例a3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.06mmol/mL、12.0mL、12.7mmol)、トルエン(5.0mL)およびBis(n−butylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、25.4mL、0.064mmol)を用いた以外は、試験例B13と同様の方法により、ろ液を得た。
【0699】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液(30mL)を分析した。その結果を表6に示す。
【0700】
[試験例b12]
グローブボックス内で、試験例a3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.97mmol/mL、19.5mL、19.0mmol)を反応容器に採取した。このスラリーから濃度調製のために上澄み(2.6mL)をデカンテーションで除去した後、トルエン(5.0mL)を加えた後、Bis(n−butylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、25.3mL、0.063mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0701】
続いて、試験例B13と同様に、ろ液(30mL)を分析した。その結果を表6に示す。
【0702】
試験例b9〜b12では、担持されていない遷移金属化合物およびアルミニウムが観測された。即ち、固体状ポリアルミノキサン組成物から、主触媒成分および助触媒成分のリーチングが観測された。
【0703】
[試験例B19]
グローブボックス内で、試験例A3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、7.1mL、6.3mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(1.4mL)を加えた後、Diphenylmethylidene(cyclopentadienyl)(9−fluorenyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.7mL、0.032mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0704】
得られたろ液(15mL)をICP−AESで分析した。その結果を表7に示す。
【0705】
[試験例B20]
グローブボックス内で、試験例A3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.89mmol/mL、7.1mL、6.3mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(1.4mL)を加えた後、Dimethylsilylenebis(cyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、12.7mL、0.032mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0706】
続いて、得られたろ液(15mL)をICP−AESで分析した。その結果を表7に示す。
【0707】
[試験例B21]
グローブボックス内で、試験例A3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.35mmol/mL、4.8mL、6.5mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(3.9mL)を加えた後、Bis(t−butylcyclopentadienyl)hafnium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、13.0mL、0.032mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0708】
続いて、得られたろ液(15mL)をICP−AESで分析した結果、ろ液中のHf濃度は定量限界以下(0.019mmol/L未満)であった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物に担持されなかったHfは0.41μmol未満、即ち反応に使用したHfの1.3mol%未満だった。また、ろ液中のAl濃度は定量限界以下(0.13mmol/L未満)であった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物から溶出したAlは2.8μmol未満、即ち反応に使用したAlの0.04mol%未満だった。
【0709】
結果を表8に示す。
【0710】
[試験例B22]
グローブボックス内で、試験例A3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.35mmol/mL、5.0mL、6.8mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(4.0mL)を加えた後、国際公開第2001/55231号パンフレット記載のTi化合物1(ビス{N−(3−tert−ブチルサリチリデン)−2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリナト}チタニウム(IV)ジクロリド)のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、13.5mL、0.034mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0711】
続いて、得られたろ液(10mL)をICP−AESで分析した。その結果を表9に示す。
【0712】
[試験例b13]
グローブボックス内で、試験例a3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.06mmol/mL、12.0mL、12.7mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(5.0mL)を加えた後、Diphenylmethylidene(cyclopentadienyl)(9−fluorenyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、25.4mL、0.064mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0713】
続いて、得られたろ液(30mL)をICP−AESで分析した結果、ろ液中のZr濃度は0.030mmol/Lであった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物に担持されなかったZrは1.3μmol、即ち反応に使用したZrの2.0mol%だった。また、ろ液中のAl濃度は1.8mmol/Lであった。このことから固体状ポリアルミノキサン組成物から溶出したAlは78μmol、即ち反応に使用したAlの0.6mol%だった。
【0714】
結果を表7に示す。
【0715】
[試験例b14]
グローブボックス内で、試験例a3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.06mmol/mL、12.0mL、12.7mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(5.0mL)を加えた後、Dimethylsilylenebis(cyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、25.4mL、0.064mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0716】
続いて、得られたろ液(30mL)をICP−AESで分析した。その結果を表7に示す。
【0717】
[試験例b15]
グローブボックス内で、試験例a3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.97mmol/mL、13.0mL、12.6mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(3.9mL)を加えた後、Bis(t−butylcyclopentadienyl)hafnium(IV) Dichlorideトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、25.3mL、0.063mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0718】
続いて、得られたろ液(30mL)をICP−AESで分析した。その結果を表8に示す。
【0719】
[試験例b16]
グローブボックス内で、試験例a3と同様に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.97mmol/mL、13.0mL、12.6mmol)を反応容器に採取した。このスラリーに、トルエン(3.9mL)を加えた後、国際公開第2001/55231号パンフレット記載のTi化合物1(ビス{N−(3−tert−ブチルサリチリデン)−2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリナト}チタニウム(IV)ジクロリド)のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L、25.3mL、0.063mmol)を加え、遮光下、常温で3時間攪拌した。その後は、試験例B1と同様の操作により、オレフィン重合(多量化)触媒を得た。
【0720】
続いて、得られたろ液(30mL)をICP−AESで分析した。その結果を表9に示す。
【0721】
試験例b13〜b16では、固体状ポリアルミノキサン組成物から、担持されていない遷移金属化合物、即ち遷移金属化合物のリーチングが観測された。
【0722】
[試験例B23−1] 固体触媒成分の調整
充分に窒素置換した内容積200ミリリットルの反応器に、試験例A8で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=0.98mmol/mL、14.7mL、14.4mmol)とトルエン(31.3mL)を装入した。このスラリーに、Bis(1,3−n−butylmetylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度12.0mmol/L、4.0mL、0.048mmol)を加え、常温で1時間攪拌した。静置して固体成分を沈降させた後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、全量50ミリリットルの固体触媒成分スラリーを調製した。
【0723】
この時、得られた上澄み液(20mL)をICP−AESで分析した結果を表7に示す。
【0724】
[試験例B23−2] 予備重合触媒成分の調整
試験例B23−1で得られた固体触媒成分スラリーを10℃まで冷却した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DiBAl−H)(2.0mmol)を加え、エチレン(流量0.9L/hr)の供給を開始した。系内の温度を35℃に昇温した後、33〜37℃に調整しながら、エチレンを3時間供給した。次いで、系内を窒素により置換し、静置して固体成分を沈降させた後、上澄み液を除去し、ヘキサンで3回洗浄することにより、全量を50ミリリットルとした。
【0725】
この時、得られた上澄み液(10mL)をICP−AESで分析した結果、上澄み液中のZr濃度は0.012mmol/Lであった。このことから固体触媒成分から溶出したZrは0.62μmol、即ち反応に使用したZrの1.3mol%だった。
【0726】
次に、系内の温度を35℃に昇温した後、ケミスタット2500(三洋化成工業株式会社製)のヘキサン溶液(濃度10g/L、4.0mL、40mg)を加え、33〜37℃に調整しながら2時間接触させた。静置して固体成分を沈降させた後、ヘキサンで3回洗浄することにより、予備重合触媒成分を調製した。
【0727】
結果を表7に示す。
【0728】
[試験例b17−1] 固体触媒成分の調整
試験例a3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(Al濃度=1.13mmol/mL、15.6mL、17.7mmol)とトルエン(29.5mL)およびBis(1,3−n−butylmetylcyclopentadienyl)zirconium(IV) Dichlorideのトルエン溶液(濃度12.0mmol/L、4.9mL、0.059mmol)を用いた以外は試験例B23−1と同様の条件にて、固体触媒成分スラリー(全量50mL)を調製した。
【0729】
この時、得られた上澄み液(20mL)をICP−AESで分析した結果を表7に示す。
【0730】
[試験例b17−2] 予備重合触媒成分の調製
試験例b17−1で得られた固体触媒成分スラリーを用いた以外は、実試験例B23−2と同様の条件にて予備重合触媒成分を調製した。
【0731】
この時、得られた上澄み液(10mL)をICP−AESで分析した結果、上澄み液中のZr濃度は0.24mmol/Lであった。このことから固体触媒成分から溶出したZrは12μmol、即ち反応に使用したZrの21.4mol%だった。
【0732】
試験例b17−1およびb17−2では、固体状ポリアルミノキサン組成物から、担持されていない遷移金属化合物、即ち遷移金属化合物のリーチングが観測された。
【0733】
結果を表7に示す。
【0734】
[試験例B24]
充分に窒素置換した100mLの3口フラスコに攪拌棒を装着し、これに試験例A10で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(11.2mL)を加えた。ここに室温で脱水トルエン18.8mLを加え、撹拌させながら35℃まで昇温した。一方、充分に窒素置換したシュレンク管にジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド40.2mgを秤量し、次いでトルエン8.7gを加えて撹拌させてメタロセン錯体溶液を調製した。先に調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリーにメタロセン錯体溶液を滴下し、滴下後1時間撹拌した。撹拌を止め静置し、固体を沈降させた後に無色透明な上澄み液20.34gを採取した。上澄み液に含まれる金属をICP−AESを用いて分析した結果、ジルコニウムが0.0467mg検出され、液中のジルコニウム濃度は2.3ppmであった。残ったスラリーを窒素雰囲気下でフィルター濾過し、フィルター上の紛体を脱水トルエン10mLで2回、次いで脱水ヘキサン10mLで1回洗浄した。洗浄後の紛体を2時間減圧乾燥して0.913gの担持触媒を得た。ICPによる担持触媒中のジルコニウム濃度は0.50wt%であった。得られた紛体にミネラルオイルを加え10.0wt%スラリーとした。
【0735】
[試験例b18]
試験例a3で調製した固体状ポリアルミノキサン組成物のトルエンスラリー(15.6mL)、メタロセン錯体を46.5mg用いた以外は、試験例B24と同様の方法で担持触媒を調製した。薄紫色の上澄み液19.88gからジルコニウムが0.242mg検出され、液中のジルコニウムの濃度は12.2ppmであった。また、1.125gの担持触媒が得られ、担持触媒中のジルコニウム濃度は0.45wt%であった。得られた紛体にミネラルオイルを加え10.0wt%スラリーとした。
【0736】
試験例B24では、担持触媒調製時の上澄み液から2.3ppmのジルコニウムが検出されたのに対し、試験例b18では上澄み液から12.2ppmのジルコニウムが検出された。よって、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物を用いることで高価な有機金属錯体を効率的に担持できる。
【0737】
[試験例B25−1] 固体触媒成分の調製
30℃下、充分に窒素置換した100mLの攪拌機を付けた三つ口フラスコ中に、窒素気流下で精製デカン32mL及び試験例A15で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物をアルミニウム換算で8.2mmol装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、予備実験5に記載の遷移金属化合物(8−オクタメチルフルオレン−12’−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド)27.9mg(0.033mmol)を3.2mmol/Lのトルエン溶液として撹拌しながら加えた。1時間後攪拌を止め、デカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄し、スラリー液とした(Zr担持率100%)。
【0738】
[試験例B25−2] 予備重合触媒成分の調製
試験例B25−1で調製したスラリー液に、水素(1.5L/h)と窒素(15L/h)の混合気体を流通して内部を置換した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を2.3mL、さらに3−メチル−1−ペンテンを2.2mL装入した。1時間後攪拌を止め、デカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。予備重合触媒成分はデカンスラリー(5g/L、0.31mmol−Zr/L)とした。
【0739】
[試験例b19−1] 固体触媒成分の調製
30℃下、充分に窒素置換した100mLの攪拌機を付けた三つ口フラスコ中に、窒素気流下で精製デカン32mL及び試験例a3で得られた固体状ポリアルミノキサン組成物をアルミニウム換算で7.5mmol装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、予備実験5に記載の遷移金属化合物25.5mg(0.030mmol)を4.3mmol/Lのトルエン溶液として撹拌しながら加えた。1時間後、攪拌を止め、デカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄し、スラリー液とした(Zr担持率97%)。
【0740】
[試験例b19−2] 予備重合触媒成分の調製
試験例b19−1で調製したスラリー液、およびジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を2.1mLを使用した以外は、試験例B25−2と同様に予備重合触媒成分のデカンスラリー(5g/L、0.33mmol−Zr/L)を調製した。
【0741】
[試験例B26]
充分に窒素置換した内容積30mLの反応器に、試験例A21で調製したスラリー液(スラリー濃度=105mg/mL、4.6mL、482mg)とヘプタン(17.6mL)を装入した。このスラリーに、ジ−p−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウム(IV)ジメチルのヘプタン溶液(濃度6.9mg/mL、2.6mL、18mg)を加え、常温で1時間攪拌した。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)のデカン溶液(濃度1.0mmol/mL、0.25mL、0.25mmol)を加え、常温で2時間攪拌することにより、固体触媒成分スラリーを調製した。
【0742】
この時、得られた上澄み液(10mL)をICP−AESで分析した結果、上澄み液中のZr濃度は定量下限以下(0.001mg/mL未満)であった。
【0743】
結果を表10に示す。
【0744】
[試験例B27]
充分に窒素置換した内容積100mLの反応器に、試験例A14で調製したスラリー液(スラリー濃度=139mg/mL、1.74mL、243mg)とトルエン(19.9mL)を装入した。このスラリーに、Organometallics誌1994年13巻954−963頁に記載のジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウム(IV)ジクロリドのトルエン溶液(濃度2.2mg/mL、3.4mL、7.5mg)を加え、常温で1時間攪拌することにより、固体触媒成分スラリーを調製した。得られた上澄み液を、試験例B26と同様にして分析した
【0745】
結果を表10に示す。
【0746】
[試験例B28]
充分に窒素置換した内容積100mLの反応器に、試験例A14で調整したスラリー液(スラリー濃度=139mg/mL、1.72mL、240mg)とトルエン(19.7mL)を装入した。このスラリーに、特開2000−239312号公報に記載の化合物17(ビス{N−(5−アダマンチル−3−メチルサリチリデン)−2−メチルシクロヘキシルアミナト}ジルコニウム(IV)ジクロリド)のトルエン溶液(濃度2.9mg/mL、3.6mL、10.5mg)を加え、常温で1時間攪拌することにより、固体触媒成分スラリーを調製した。得られた上澄み液を、試験例B26と同様にして分析した。その結果を表10に示す。
【0747】
[試験例B29]
充分に窒素置換した内容積30mLの反応器に、試験例A14で調整したスラリー液(スラリー濃度=139mg/mL、1.73mL、241mg)とトルエン(19.7mL)を装入した。このスラリーに、ビス{N−(3−tert−ブチルサリチリデン)−2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリナト}チタニウム(IV)ジクロリドのトルエン溶液(濃度2.7mg/mL、3.6mL、9.5mg)を加え、常温で1時間攪拌することにより、固体触媒成分スラリーを調製した。
【0748】
この時、得られた上澄み液(10mL)をICP−AESで分析した結果、上澄み液中のTi濃度は定量限界以下(0.001mg/mL未満)であった。
【0749】
結果を表10に示す。
【0750】
[試験例B30]
充分に窒素置換した内容積30mLの反応器に、試験例A14で調整したスラリー液(スラリー濃度=139mg/mL、1.70mL、237mg)とトルエン(18.6mL)を装入した。このスラリーに、国際公開第2007/136496号パンフレット記載のZr化合物(ビス((2−オキソイル−3−(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−(5−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−(4−(1,1−ジメチルエチル)−2−フェノキシ)−プロパン−1,3−ジイルジルコニウム(IV)ジクロライド)のトルエン溶液(濃度2.9mg/mL、4.7mL、13.7mg)を加え、常温で1時間攪拌することにより、固体触媒成分スラリーを調製した。得られた上澄み液を、試験例B26と同様にして分析した。その結果を表10に示す。
【0751】
[試験例b20]
充分に窒素置換した内容積30mLの反応器に、試験例a3で調整したスラリー液(スラリー濃度=64mg/mL、7.5mL、482mg)とヘプタン(14.6mL)を装入した。このスラリーに、ジ−p−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウム(IV)ジメチルのヘプタン溶液(濃度6.9mg/mL、2.6mL、18mg)を加え、常温で1時間攪拌した。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)のデカン溶液(濃度1.0mmol/mL、0.25mL、0.25mmol)を加え、常温で2時間攪拌することにより、固体触媒成分スラリーを調製した。得られた上澄み液を、試験例B26と同様にして分析した。その結果を表10に示す。
【0752】
【表4】
【0753】
【表5】
【0754】
【表6】
【0755】
【表7】
【0756】
【表8】
【0757】
【表9】
【0758】
【表10】
[オレフィン多量体の製造]
[試験例C1]
ファウリング評価用のテストピースを装着した内容積500mLのオートクレーブを充分に窒素置換した後、トリイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.075mmol加えたn−ヘプタン150mLを入れ、攪拌した。次いでアデカプルロニックL−71(ADEKA社製)のトルエン溶液(濃度6g/L)を1mL添加した。試験例B1で調整したオレフィン多量化用触媒(3.0μmol)をトルエン3mLで希釈したトルエンスラリーを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.5MPa−G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45−52℃で60分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、反応液の上澄み成分をガスクロマトグラフィーで分析した。その後、反応液全量を減圧濾過することで、ポリエチレン粒子を回収した。テストピースに付着したポリエチレン粒子は別途回収した。回収したポリエチレン粒子は、それぞれ80℃で1時間減圧乾燥した後、重量を測定して生成量を求めた。その結果、生成物のうち1−ヘキセンの選択率は82%、デセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は6%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は22kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった。また、ファウリング率は1%未満であった。
【0759】
結果を表11に示す。
【0760】
[試験例C2]
試験例B3で調製したオレフィン多量化用触媒を用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。
【0761】
副生ポリエチレンの粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は231μm、均一性は0.178であった。
【0762】
[試験例C3]
試験例B4で調製したオレフィン多量化用触媒を用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。
【0763】
[試験例C4]
試験例B6で調製したオレフィン多量化用触媒(2.0μmol)を用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。
【0764】
[試験例C5]
試験例B9で調製したオレフィン多量化用触媒(2.0μmol)を用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。
【0765】
[試験例c1]
試験例b1で調製したオレフィン多量化用触媒のトルエンスラリーを用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。その結果、生成物のうち1−ヘキセンの選択率は81%、デセン類の選択率は11%、ポリエチレンの選択率は8%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は10kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった。また、ファウリング率は7%であった。副生ポリエチレンの粒度分布測定をした。検出限界(1408μm)より大きいポリエチレンが含まれていたため、均一性を求められなかった。
【0766】
結果を表11に示す。
【0767】
[試験例c2]
試験例b2で調製したオレフィン多量化用触媒のトルエンスラリーを用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。副生ポリエチレンの粒度分布測定をした。検出限界(1408μm)より大きいポリエチレンが含まれていたため、均一性を求められなかった。
【0768】
[試験例c3]
試験例b3で調製したオレフィン多量化用触媒のトルエンスラリーを用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。副生ポリエチレンの粒度分布測定をした。検出限界(1408μm)より大きいポリエチレンが含まれていたため、均一性を求められなかった。
【0769】
[試験例c4]
試験例b5で調整したオレフィン多量化用触媒(2.0μmol)を用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。
【0770】
[試験例c5]
試験例b7で調整したオレフィン多量化用触媒(2.0μmol)を用いた以外は試験例C1と同様に多量化反応を行った。結果を表11に示す。副生ポリエチレンの粒度分布測定をした。検出限界(1408μm)より大きいポリエチレンが含まれていたため、均一性を求められなかった。
【0771】
試験例c1〜c5では、生成したポリエチレンのファウリングが観測された。また粒子径が制御されていない巨大なポリエチレンの生成が確認された。
【0772】
【表11】
[オレフィン重合体の製造]
[試験例C6]
充分に窒素置換した内容積1リットルのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン(500mL)を装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン(20mL)、トリイソブチルアルミニウム(0.375mmol)および試験例B23−2で得られた予備重合触媒成分(Zr=0.42μmol)を加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン・1−ヘキセン共重合体111.7gを得た。得られた重合体のメルトフローレート(MFR)は0.14g/10分、密度は927kg/m3、嵩密度は410kg/m3であった。
【0773】
[試験例c6]
試験例b17−2で得られた予備重合触媒固体成分(Zr=0.55μmol)を用いた以外は、試験例C6と同様の条件にて重合反応を行い、エチレン・1−ヘキセン共重合体115.7gを得た。得られた重合体のメルトフローレート(MFR)は0.14g/10分、密度は927kg/m3、嵩密度は340kg/m3であった。
【0774】
試験例c6では試験例C6に対し嵩密度が低下した。
【0775】
[試験例C7]
充分に窒素置換した50mLの枝付きフラスコに磁気攪拌子を入れ、これに試験例B24で調製した10.0wt%担持触媒スラリー(0.163g)を入れた。続いて、ここにトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(アルミニウム濃度1.0mol/L、1.5mL)および脱水ヘキサン5.0mLを加え、得られた混合物を全量、充分に窒素置換した内容量3,400mLのSUS製オートクレーブに導入した。その後、液体プロピレン750g、水素0.10NLを装入し、70℃で40分間重合を行った後、オートクレーブを冷却およびプロピレンをパージして重合を停止した。重合器内部の様子を確認した結果、重合器の撹拌軸や重合器内部に付着物は観察されなかった。得られたパウダー状のポリマーは80℃で10時間、減圧乾燥を行った。ポリマーの収量は141.8g、パウダーの嵩密度は0.44g/mLであった。またパウダーを目開き2mmの篩に通し、篩上の残留物の重さを測定した結果、5.32gであった。MFRは3.0g/10min、DSCで測定した融点は146℃で、1時間当たりの重合活性は13,050g/g−catであった。
【0776】
結果を表12に示す。
【0777】
[試験例C8]
試験例B24で調製した10.0wt%担持触媒スラリーを0.143g、水素の装入量を0.20NLに変更したこと以外は、試験例C7と同様の方法で重合とポリマーの乾燥を行った。重合器の撹拌軸や重合器内部に付着物は観察されず、パウダー状のポリマーが243.5g得られた。パウダーの嵩密度は0.45g/mL、目開き2mmの篩上の残留物の重さは2.48gであった。
【0778】
結果を表12に示す。
【0779】
[試験例c7]
試験例b18で調製した10.0wt%担持触媒スラリーを0.201g使用したこと以外は、試験例C7と同様の方法で重合とポリマーの乾燥を行った。重合器の撹拌軸周りにパウダーが凝集し、大塊状物のポリマーが186.7g得られた。ポリマーの嵩密度、および目開き2mmの篩上の残留物の重さは、塊状ポリマーのため測定できなかった。
【0780】
結果を表12に示す。
【0781】
[試験例c8]
試験例b18で調製した10.0wt%担持触媒スラリーを0.146g、水素の装入量を0.20NLに変更したこと以外は、試験例C7と同様の方法で重合とポリマーの乾燥を行った。重合器の撹拌軸周りにパウダーが凝集し、大塊状物のポリマーが177.3g得られた。ポリマーの嵩密度、および目開き2mmの篩上の残留物の重さは、塊状ポリマーのため測定できなかった。
【0782】
結果を表12に示す。
【0783】
試験例C7、C8では重合器に目立った付着物が無く、ポリマーが良好な形状のパウダーとして得られたのに対し、試験例c7、c8では撹拌軸周りにパウダーが凝集し、大塊状のポリマーが生成した。よって、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物を用いると重合活性が高い条件下でも重合時のパウダー性状を良好に保持でき、また嵩密度が高いポリオレフィンが得られるため生産性も高い。以上の結果は、本発明の固体状ポリアルミノキサン組成物がオレフィンポリマーを工業的に効率良く生産する上で非常に有益であることを示している。
【0784】
【表12】
[試験例C9]
室温、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、精製デカン425mL、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を0.3mL装入した。次いで、試験例B25−2で調製した予備重合触媒成分のデカンスラリーをジルコニウム原子換算で0.0005mmol加え、水素を50mL装入した。次いで、4−メチル−1−ペンテン250mLと1−デセン3.3mLの混合液を2時間かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。装入開始時点を重合開始とした。重合開始から30分かけて45℃へ昇温した後、45℃で4時間保持した。重合開始から1時間後に水素を50mL、また2時間経過後に40mLをそれぞれ装入した。重合開始から4.5時間経過後、室温まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液を濾過して固体状重合体を得た。減圧下、80℃で8時間乾燥し、収量127gの重合体を得た。また、重合器内壁への付着はなかった。濾液は120℃で減圧乾燥して溶媒可溶部を得た。
【0785】
この重合体は極限粘度[η]が1.76dL/g、Tmが232.8℃、嵩密度が0.437g/mLであり、溶媒可溶部量(SP)は0.13重量%であった。
【0786】
結果を表13に示す。
【0787】
[試験例C10]
室温、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、デカン425mL、4−メチル−1−ペンテン42mL、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を0.3mL装入した。次いで、試験例B25−2で調製した予備重合触媒成分のデカンスラリーをジルコニウム原子換算で0.00025mmol加え、水素を80mL装入した。次いで、4−メチル−1−ペンテン208mLと1−デセン8.5mLの混合液を重合開始から2時間かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。装入開始時点を重合開始とした。重合開始から30分かけて45℃へ昇温した後、45℃で4時間保持した。重合開始から1時間後に水素を30mL、また2時間経過後に30mLをそれぞれ装入した。重合開始から4.5時間経過後、室温まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む懸濁液を濾過して固体状重合体を得た。減圧下、80℃で8時間乾燥し、収量97.5gの重合体を得た。また、重合器内壁への付着はなかった。濾液は120℃で減圧乾燥して溶媒可溶部を得た。
【0788】
結果を表13に示す。
【0789】
[試験例c9]
試験例b19−2で調製した予備重合触媒成分を用いた以外は、試験例C9と同様の条件で重合反応を行い、収量150.2gの重合体を得た。
【0790】
結果を表13に示す。
【0791】
[試験例c10]
試験例b19−2で調製した予備重合触媒成分を用いた以外は、試験例C10と同様の条件で重合反応を行い、収量137.4gの重合体を得た。
【0792】
結果を表13に示す。
【0793】
試験例c9およびc10では、試験例C9およびC10と比べてオレフィン重合体の嵩密度が低下した。
【0794】
【表13】
[試験例C11]
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン(500mL)を装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)のデカン溶液(濃度1.0mmol/mL、0.25mL、0.25mmol)、L−71のヘプタン溶液(濃度4.0mg/mL、0.63mL、2.5mg)およびB26で得られた固体触媒成分(固体分16mg)を加え、系内の温度を75℃に昇温した。次いで、水素濃度1.25%のエチレン水素混合ガスを連続的に導入することにより全圧0.65MPaG、75℃の条件で60分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体51.3gを得た。得られた重合体の嵩密度は0.36g/mLであった。
【0795】
[試験例C12]
B26で得られた固体触媒成分の代わりに、B27で得られた固体触媒成分(固体分15mg)を加えた以外は試験例C11と同様にして調製し、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、水素濃度0.2%のエチレン水素混合ガスを連続的に導入することにより全圧0.80MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体58.1gを得た。得られた重合体の嵩密度は0.40g/mLであった。
【0796】
[試験例C13]
B26で得られた固体触媒成分の代わりに、B28で得られた固体触媒成分(固体分5mg)を加えた以外は試験例C11と同様にして調製し、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、水素濃度0.2%のエチレン水素混合ガスを連続的に導入することにより全圧0.80MPaG、80℃の条件で120分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体26.1gを得た。得られた重合体の嵩密度は0.33g/mLであった。
【0797】
[試験例c11]
B26で得られた固体触媒成分の代わりに、b20で得られた固体触媒成分(固体分16mg)を加えた以外は試験例C11と同様にして調製し、系内の温度を75℃に昇温した。次いで、水素濃度1.25%のエチレン水素混合ガスを連続的に導入することにより全圧0.65MPaG、75℃の条件で60分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体59.0gを得た。得られた重合体の嵩密度は0.17g/mLであった。
【0798】
試験例c11では、試験例C11〜C13と比べてオレフィン重合体の嵩密度が低下した。
【0799】
[オレフィン重合(多量化)]
試験例B8によって得られたオレフィン多量化触媒を用いて、エチレンの多量化評価を行った。
【0800】
充分に窒素置換した内容積500mLのオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.05mmol加えたn−ヘプタン150mLを入れ、攪拌した。次いでアデカプルロニックL−71(ADEKA社製)のトルエン溶液(濃度6g/L)を1mL添加した。試験例B8によって得られた多量化用触媒(Ti=0.5μmol)をトルエン4mLで希釈したトルエンスラリーを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.5MPa−G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45−52℃で60分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。
【0801】
生成した副生ポリエチレンは微粒子状で、オートクレーブへの付着が全くないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0802】
本発明は、特に、オレフィン多量体およびオレフィン重合体の製造分野において有用であり、工業的に極めて価値が高い。
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