(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スタッカ開閉検出部によって前記スタッカの扉を開けるための鍵操作を検出すると、操作者を撮影して第1操作者画像を取得し、前記スタッカ開閉検出部によって前記スタッカの扉が閉まった状態を検出すると、前記操作者を撮影して第2操作者画像を取得する画像取得部、
を備え、
前記送信部は、前記画像取得部によって取得された前記第1操作者画像及び前記第2操作者画像を前記ホストコンピュータに送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【背景技術】
【0002】
従来、自動取引装置は、利用者による操作に応じて、その利用者が要求する入金取引や出金取引等の各種取引を処理する。
【0003】
このような自動取引装置は、紙幣を処理する紙幣ユニットと、硬貨を処理する硬貨ユニットを備えている。
【0004】
紙幣ユニットは、紙幣入出金機構、紙幣鑑別機構および紙幣収納機構を備える。紙幣入出金機構は、利用者が入出金口から挿入した紙幣の入金や入出金口から利用者へ紙幣を出金する機構である。紙幣鑑別機構は、入金または出金された紙幣の真贋や金種を鑑別する機構である。
【0005】
紙幣収納機構は、紙幣スタッカ、紙幣カセット、紙幣リジェクトカセット等を含む。紙幣スタッカは、紙幣収納機構に固定された収納部であり、入出金のための紙幣を一時的に収納する。紙幣カセットは、紙幣スタッカに紙幣を補充したり、紙幣スタッカの紙幣を回収したりするカセットである。紙幣リジェクトカセットは、再度流通させるのに適さない紙幣を収納するカセットである。
【0006】
硬貨ユニットも、紙幣ユニットと同様、硬貨入出金機構、硬貨鑑別機構および硬貨収納機構を備える。また、硬貨収納機構も、紙幣収納機構と同様、硬貨スタッカ、硬貨カセット、硬貨リジェクトカセット等を含む。
【0007】
このような自動取引装置において、例えば紙幣は、紙幣カセットから紙幣スタッカへの移動、紙幣スタッカから紙幣カセットへの移動、入出金口から紙幣スタッカへの移動、紙幣スタッカから入出金口への移動が通常である。そのため、紙幣スタッカが、直接開閉されることはほとんどない。硬貨スタッカについても同様である。
【0008】
また、現金運用センタからの貨幣補充命令を受けると、補充カセットから入出金ホッパスタッカに貨幣を繰り出し搬送するよう制御する自動取引装置の貨幣管理システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカ内の異物等の除去を行う場合等は、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカの開閉の前後で、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカ内の金額の相違が発生する可能性がある。
【0011】
図1は、従来の操作者処理の流れを示すフローチャートである。
ATM等の自動取引装置が運用中(S101)において、例えば、紙幣スタッカ内の異物等の除去を行う場合、専門の係員である操作者は、ATMを手動で休止させる(S102)。
【0012】
その後、ATMの背面の扉を開け、紙幣ユニットをATMから引き出し(S103)、紙幣スタッカの扉をスタッカ鍵で開ける(S104)。通常、紙幣スタッカや硬貨スタッカの扉を開閉するためのスタッカ鍵は、例えば、金融機関の支店単位で管理している。操作者は、管理者承認の上、そのスタッカ鍵を借用するようになっており、運用でセキュリティを保持している程度である。
【0013】
この時、何らかの原因で紙幣スタッカ内の紙幣が紛失する可能性がある(S105)。
そして、操作者は、紙幣スタッカ内の異物等を除去した後、紙幣スタッカをスタッカ鍵で閉め(S106)、紙幣ユニットをATMにセットし(S107)、ATMのリセットボタンを押下してATMをリセットする(S108)。
【0014】
これにより、ATMの運用が再開する(S109)。
その後の現物確認で金額の相違が発覚することにより、例えば、紙幣の紛失が判明すると、紛失した紙幣は出納で回収処理される(S110)。
【0015】
また、従来の自動取引装置は、自動取引装置内の現金情報をホストコンピュータ上で在高管理している。そして、通常は、例えば月一回程度、自動取引装置内の現金とホストコンピュータでの管理上の在高との突合を実施しているだけである。よって、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカ内の現金の紛失が発生した場合は、不明金として処理されているに過ぎない。
【0016】
すなわち、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカの扉が開閉された場合、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカ内の現金の額が不明確であるにも関わらず、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカ内の現金の再鑑別を実施し、在高確定する処理を実行していない。そのため、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカ内の現金の紛失が発生しても、紛失したことを検出することが困難である、という問題点があった。
【0017】
本発明は、上述のような実状に鑑みたものであり、自動取引装置から紙幣スタッカ又は硬貨スタッカの扉が開けられた際に、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカから現金が紛失したことを検出することが可能な自動取引装置、自動取引装置の在高管理方法及び自動取引システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の自動取引装置は、ホストコンピュータと通信可能な自動取引装置であって、前記自動取引装置の筐体内部に固定され、入出金するための紙幣又は硬貨を一時的に収納するスタッカと、前記スタッカに収納されている紙幣又は硬貨の枚数情報を格納するメモリと、前記スタッカの扉を開閉するための鍵が操作されたことを検出するスタッカ開閉検出部と、前記スタッカ開閉検出部によって前記スタッカの扉を閉めるための鍵操作を検出すると、前記スタッカに収納されている紙幣又は硬貨の枚数を計数する計数部と、前記メモリに格納された紙幣又は硬貨の枚数情報と前記計数部によって計数された紙幣又は硬貨の枚数を比較して一致するか否かを判断する比較判断部と、前記比較判断部によって一致しないと判断された場合、前記比較判断部によって判断された判断結果を前記ホストコンピュータに送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の自動取引装置は、前記スタッカ開閉検出部によって前記スタッカの扉を開けるための鍵操作を検出すると、操作者を撮影して第1操作者画像を取得し、前記スタッカ開閉検出部によって前記スタッカの扉を閉めるための鍵操作を検出すると、前記操作者を撮影して第2操作者画像を取得する画像取得部を備え、前記送信部が、前記画像取得部によって取得された前記第1操作者画像及び前記第2操作者画像を前記ホストコンピュータに送信することが望ましい。
【0020】
また、本発明の自動取引装置は、前記計数部が、計数した紙幣又は硬貨の枚数を前記メモリに格納することが望ましい。
【0021】
また、本発明の一態様によれば、本発明の自動取引装置の在高管理方法は、ホストコンピュータと通信可能な自動取引装置において実行される在高管理方法であって、前記自動取引装置が、前記自動取引装置の筐体内部に固定され、入出金するための紙幣又は硬貨を一時的に収納するスタッカと、前記スタッカに収納されている紙幣又は硬貨の枚数情報を格納するメモリと、制御部とを備え、前記制御部が、前記スタッカの扉を開閉するための鍵が操作されたことを検出し、前記スタッカの扉を閉めるための鍵操作を検出すると、前記スタッカに収納されている紙幣又は硬貨の枚数を計数し、前記メモリに格納された紙幣又は硬貨の枚数情報と前記計数部によって計数された紙幣又は硬貨の枚数を比較して一致するか否かを判断し、一致しないと判断された場合、判断結果を前記ホストコンピュータに送信することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一態様によれば、本発明の自動取引システムは、通信可能に接続されたホストコンピュータと自動取引装置を有する自動取引システムであって、前記自動取引装置が、前記自動取引装置の筐体内部に固定され、入出金するための紙幣又は硬貨を一時的に収納するスタッカと、前記スタッカに収納されている紙幣又は硬貨の枚数情報を格納するメモリと、前記スタッカの扉を開閉するための鍵が操作されたことを検出するスタッカ開閉検出部と、前記スタッカ開閉検出部によって前記スタッカの扉を閉めるための鍵操作を検出すると、前記スタッカに収納されている紙幣又は硬貨の枚数を計数する計数部と、前記メモリに格納された紙幣又は硬貨の枚数情報と前記計数部によって計数された紙幣又は硬貨の枚数を比較して一致するか否かを判断する比較判断部と、前記比較判断部によって一致しないと判断された場合、前記比較判断部によって判断された判断結果を前記ホストコンピュータに送信する送信部を備え、前記ホストコンピュータが、前記自動取引装置から送信された判断結果を受信する受信部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、自動取引装置から紙幣スタッカ又は硬貨スタッカの扉を開閉するための鍵操作がされた際に、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカから現金が紛失したことを自動的に検出することが可能となる、という効果を奏する。また、これにより、自動取引装置の精査業務を無人化するとともに精査時間を大幅に短縮できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本実施の形態の自動取引システムの適用環境を示す図である。
【0026】
図2において、自動取引システムは、例えば、銀行等の金融機関の店舗又はコンビニエンスストア等の店舗等に設置された現金自動預金支払機等の自動取引装置1と、金融機関の管理するホストコンピュータ2とを備える。自動取引装置1は、ネットワーク3を介してホストコンピュータ2に通信可能に接続されている。ネットワーク3は、インターネット、イントラネット又は自動取引システムのための専用の通信網である。
【0027】
図3は、本実施の形態の自動取引装置の表側の外観を示す図である。
図3において、自動取引装置1は、通帳挿入部10、カード挿入部11、硬貨入出金部12、紙幣入出金部13及び表示入力部14を備えている。
【0028】
通帳挿入部10は、通帳を受け付け、たとえば通帳の側面に添付されている磁気ストライブ部などに記憶されているデータの読み込み、通帳記入など一定の処理を行った後に通帳を返却する。
【0029】
カード挿入部11は、キャッシュカードを受け付け、キャッシュカードの磁気ストライブ部に記憶されているデータを読み込むなど一定の処理を行った後にキャッシュカードを返却する。また、カード挿入部11は、振込カードの発行の際には、作成された振込カードを排出し、振込カードの利用の際には、振込カードを受け付け、振込カード内に記憶されているデータを読み込むなど一定の処理を行った後に振込カードを返却する。
【0030】
硬貨入出金部12は、硬貨の入金および出金を行う。また、紙幣入出金部13は、紙幣の入金および紙幣の出金を行う。
【0031】
表示入力部14は、取引内容メニューや取引結果の案内等を表示したり、処理要求などを受け付けたりする。
【0032】
図4は、本実施の形態の自動取引装置の裏側の外観を示す図である。
図4において、自動取引装置1は、外扉31及び内扉32が開放された状態が示されている。自動取引装置1の内部は、上段と下段の2段に仕切られている。
【0033】
自動取引装置1の上段には、管理操作パネル33、ジャーナルプリンタ34、カード読取装置35、通帳発行機36及び通帳プリンタ37が設置されている。
【0034】
管理操作パネル33は、紙幣、硬貨、伝票類の補充、交換、機器の修理、故障時の点検などのために専門の操作者によって操作することができる。また、運用状態をモニタする機能があり、残量が紙幣の万円券、5千円券、千円券毎に表示される。また、硬貨の残量も硬貨毎に、その残量が表示され、適宜、必要な紙幣や硬貨を必要量補充する目的で使用される。また、管理操作パネル33は、保守モードと運用モードに切り換える機能を有しており、操作者は、この管理操作パネル33を使用して切り換える。
【0035】
更に、管理操作パネル33には、カメラ40が、例えば、管理操作パネル33の正面に設けられている。カメラ40は、例えばデジタルカメラであり、管理操作パネル33を操作する操作者の画像、例えば顔画像を撮影する。そして、取得した画像を撮像日時とともに所定のメモリに格納する。
【0036】
ジャーナルプリンタ34は、ジャーナル用紙に取引内容や発生日時などを印刷する。
カード読取装置35は、カード挿入部11から挿入されたキャッシュカードの磁気ストライプから、顧客の暗証番号、口座番号、口座人氏名などの口座情報を読み取る。
【0037】
通帳発行機36は、通帳の繰越し時に新規の通帳を発行する。
通帳プリンタ37は、通帳挿入部10から挿入された顧客の通帳に取引日時や取引内容などを記帳する。
【0038】
自動取引装置1の下段には、紙幣を処理する紙幣ユニット38及び硬貨を処理する硬貨ユニット39が設置されている。
【0039】
紙幣ユニット38は、紙幣入出金機構、紙幣識別機構および紙幣収納機構を備える。紙幣収納機構は、紙幣スタッカ、紙幣カセット、紙幣リジェクトカセット等を含む。また、硬貨ユニット39は、硬貨入出金機構、硬貨識別機構および硬貨収納機構を備える。硬貨収納機構は、硬貨スタッカ、硬貨カセット、硬貨リジェクトカセット等を含む。
【0040】
このように、紙幣ユニット38と硬貨ユニット39は、同様の構成である。よって、以下の説明においては、紙幣ユニット38の説明を硬貨ユニット39に適用可能である。また、紙幣スタッカ又は硬貨スタッカを単にスタッカと記載し、紙幣カセット又は硬貨カセットを単にカセットと記載し、紙幣リジェクトカセット又は硬貨リジェクトカセットを単にリジェクトカセットと記載して説明する。
【0041】
図5は、本実施の形態の紙幣ユニットの構成例を示すブロック図である。
図5において、紙幣ユニット38は、入出金部51、一時保留部52、鑑別部53、カセット54、リジェクト部55、スタッカ56、計数用スタッカ57及び搬送部58を備える。
【0042】
入出金部51は、入金対象とする紙幣の投入及び出金対象とする紙幣の排出に用いられる。入出金部51には、不図示のシャッタが配置されており、シャッタは、入金時及び出金時に、開かれる。
【0043】
一時保留部52は、鑑別部53による鑑別の結果、正常券と確認された紙幣を一時的に収納する。
【0044】
鑑別部53は、紙幣が正常券であるか不明券であるか等を鑑別すると共に、正常券の場合には紙幣の金種を特定する。また、鑑別部53には、金種別のカウンタが設けられており、例えば、カセット54からスタッカ56へ紙幣を補充する際に、特定した金種に対応するカウンタをインクリメントすることで、金種ごとにスタッカ56へ補充した枚数をカウントする。また、例えば、カセット54内の紙幣の在高を確定する際に、特定した金種に対応するカウンタをインクリメントすることで、金種ごとの在高を確定する。
【0045】
カセット54は、スタッカ56へ紙幣を外部から補充し、スタッカ56から紙幣を回収したり補充したりする。カセット54の内部には、カセット54内の紙幣が空(エンプティ)になったこと検出する不図示のセンサが設置されている。
【0046】
リジェクト部55は、カセット54内部に設けられており、補充又は回収時に鑑別部53により不明券とされた紙幣を収納する。
スタッカ56は、金種別に紙幣を収納する。
【0047】
計数用スタッカ57は、カセット54又はスタッカ56の在高を確定するための計数処理を行う際に使用される。例えば、スタッカ56内の在高を確定する際には、スタッカ56から紙幣が一枚ずつ繰出され、鑑別部53へ搬送され、鑑別部53において鑑別処理と紙幣のカウントが行われた後、紙幣は計数用スタッカ57へ一時的に収容される。そして、スタッカ56内の全ての紙幣の処理が終わった後に、紙幣は計数用スタッカ57からスタッカ56へと再び搬送される。なお、計数用スタッカ57の内部には、計数用スタッカ57内の紙幣が空になったこと検出する不図示のセンサが設置されている。
【0048】
搬送部58は、一時保留部52、カセット54、リジェクト部55、スタッカ56又は計数用スタッカ57等から紙幣を一枚ずつ繰出すための複数の繰出ローラ、紙幣を搬送するための複数の搬送ベルト、搬送ベルトを動かす複数の搬送ローラ、繰出ローラと搬送ローラを駆動させるための駆動モータなどで構成される。例えば、紙幣補充時において、カセット54から一枚ずつ繰出された紙幣は、鑑別部53に搬送され、鑑別の結果、紙幣が正常券とされた場合には、紙幣の金種に対応するスタッカ56へ搬送され、収納される。鑑別の結果、紙幣が不明券とされた場合には、リジェクト部55へ搬送され、収納される。
【0049】
図6は、本実施の形態の操作者処理の流れを示すフローチャートである。
図7は、一致情報として送信する精査結果の例を示す図である。
図8は、不一致情報として送信する精査結果の例を示す図である。
【0050】
ATM等の自動取引装置1が運用中(S601)において、例えば、紙幣スタッカ(スタッカ56)内の異物等の除去を行う場合、専門の係員である操作者は、自動取引装置1を手動で休止させる(S602)。
【0051】
その後、自動取引装置1の背面の扉(外扉31及び内扉32)を開け、紙幣ユニット38を自動取引装置1から引き出し(S603)、紙幣スタッカをスタッカ鍵で開ける(S604)。
【0052】
紙幣スタッカを開けるための鍵操作を検出すると、自動取引装置1内に配設されたカメラ40が操作者を撮像し、その画像データをメモリ内に格納する(S605)。
【0053】
この時、紙幣スタッカは開けられた状態であるので、何らかの原因で紙幣スタッカ内の紙幣が紛失する可能性がある(S606)。
【0054】
そして、操作者は、紙幣スタッカ内の異物等を除去した後、紙幣スタッカをスタッカ鍵で閉める(S607)。
【0055】
紙幣スタッカを閉めるための鍵操作を検出すると、自動取引装置1内に配設されたカメラ40が操作者を撮像し、その画像データをメモリ内に格納する(S608)。
【0056】
スタッカ鍵で紙幣スタッカを閉めた操作者は、紙幣ユニット38を自動取引装置1にセットする(S609)。
【0057】
そして、紙幣スタッカを開閉するための鍵が操作されたか否か、すなわち、紙幣スタッカは開けられた痕跡があるか否かを判断する(S610)。例えば、紙幣ユニット38内のメモリに開閉履歴が残っているか否かを判断する。
【0058】
操作されていない場合は、自動取引装置1の運用を再開する(S611)。
操作されていた場合は、メモリに格納されている紙幣スタッカ内の紙幣の枚数情報を、システムメモリの所定領域に一時的に格納(退避)する(S612)。
【0059】
次に、紙幣スタッカ内の現在の紙幣の枚数を計数し(S613)、計数した枚数をシステムメモリの所定領域に一時的に格納する(S614)。
【0060】
そして、S612で格納した枚数情報とS613で計数した枚数をシステムメモリから読出し、両枚数が一致するか否かを判断する(S615)。
【0061】
一致する場合は、
図7に例示するような一致情報としての精査結果をホストコンピュータに送信する(S616)。一致情報は、例えば、
図7に例示するように、少なくとも、「精査結果」が一致していることを示す情報「”一致”」、紙幣スタッカ内の紙幣枚数である「装置内紙幣枚数」の「スタッカ枚数情報」を示す「XXX」等を含む。
そして、自動取引装置1の運用が再開する(S617)。
【0062】
両枚数が一致しない場合は、
図8に例示するような不一致情報としての精査結果をホストコンピュータに送信する(S618)。不一致情報は、例えば、
図8に例示するように、少なくとも、「精査結果」が不一致であることを示す情報「”不一致”」、計数前後及びその差額それぞれの紙幣スタッカ内の紙幣枚数である「装置内紙幣枚数」の「スタッカ枚数情報」を示す「XXX」、「差額(金額)」を示す「”XXX”」等を含む。また、不一致情報は、S605で撮像した「スタッカ開」時の「カメラ撮像画像」及びその撮像「日時」、S608で撮像した「スタッカ閉」時の「カメラ撮像画像」及びその撮像「日時」を含む。そして、操作者は何もせず、自動取引装置1の運用を休止のままにしておく(S619)。
【0063】
図9は、本実施の形態の自動取引装置の機能ブロックを示す図である。
図9において、自動取引装置1は、カメラ40、スタッカ56、メモリ91及び制御部92を備える。制御部92は、スタッカ開閉検出部93、計数部94、比較判断部95、送信部96及び画像取得部97を備える。自動取引装置1は、後述する在高管理処理を実行するための在高管理プログラムを搭載したコンピューターシステムである。自動取引装置1は、利用者の操作に応じてホストコンピュータ2と通信し、取引を実行する。
【0064】
ホストコンピュータ2は、受信部98を備える。そして、自動取引装置1及びホストコンピュータ2は、自動取引システムを構成する。
【0065】
スタッカ56は、自動取引装置1の筐体内部に固定され、入出金するための紙幣又は硬貨を一時的に収納する。スタッカ56は、紙幣を収納する紙幣スタッカ、又は硬貨を収納する硬貨スタッカに対応する。
【0066】
メモリ91は、スタッカ56に収納されている紙幣又は硬貨の枚数情報を格納する。また、メモリ91は、カメラ40が撮像した画像データを撮像日時とともに格納する。また、メモリ91は、スタッカ56が操作されたことを示す情報、例えばスタッカ鍵でスタッカの扉が開閉操作されたことを示すフラグを格納する。
【0067】
スタッカ開閉検出部93は、スタッカ56の扉が開閉操作されたことを検出する。例えば、スタッカ鍵でスタッカの扉が開閉操作された際、開閉操作されたことを示す信号をスタッカ56から受信するようにしても良いし、メモリ91に格納されたフラグを参照してしても良い。
【0068】
計数部94は、スタッカ開閉検出部93によってスタッカ56の扉を閉めるための鍵操作を検出すると、スタッカ56に収納されている紙幣又は硬貨の枚数を計数する。例えば、スタッカ56から紙幣が一枚ずつ繰出され、搬送部58で鑑別部53へ搬送され、鑑別部53において鑑別処理と紙幣のカウントが行われた後、紙幣は計数用スタッカ57へ一時的に収容される。そして、スタッカ56内の全ての紙幣の処理が終わった後に、紙幣は計数用スタッカ57からスタッカ56へと再び搬送部58で搬送される。また、計数部94は、計数した紙幣又は硬貨の枚数をメモリ91に格納する。
【0069】
比較判断部95は、メモリ91に格納された紙幣又は硬貨の枚数情報と、計数部94によって計数された紙幣又は硬貨の枚数を比較する。そして、両者が一致するか否かを判断する。
【0070】
送信部96は、比較判断部95によって判断された判断結果をホストコンピュータ2に送信する。例えば、比較判断部95によって一致しないと判断された場合は、一致しないことを示す判断結果を送信する。また、送信部96は、比較判断部95によって一致すると判断された場合は、一致することを示す判断結果を送信する。
【0071】
画像取得部97は、スタッカ開閉検出部93によってスタッカの扉を開けるための鍵操作を検出すると、カメラ40を制御して操作者を撮影し、第1操作者画像を取得する。また、画像取得部97は、スタッカ開閉検出部93によってスタッカの扉を閉めるための鍵操作を検出すると、操作者を撮影して第2操作者画像を取得する。この場合、送信部96は、画像取得部97によって取得された第1操作者画像及び第2操作者画像をホストコンピュータ2に送信する。
受信部98は、自動取引装置1の送信部96から送信された判断結果を受信する。
【0072】
次に、自動取引装置1が実行する「在高管理処理」について説明する。
図10は、本実施の形態の在高管理処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
まず、ステップS1001において、スタッカ開閉検出部93は、スタッカ56の扉を開けるための鍵操作を検出したか否かを判断する。例えば、スタッカ鍵でスタッカ56の扉が開いたことを示す信号を受信したか否かを判断する。スタッカ56の扉が開いたことを検知しない場合(ステップS1001:NO)、自動取引装置1は、スタッカ56の扉を開けるための鍵操作を検出するまで待機する。
【0074】
他方、スタッカ56の扉が開いたことを検知すると(ステップS1001:YES)、ステップS1002において、画像取得部97は、カメラ40を制御して操作者を撮影し、第1操作者画像を取得する。
【0075】
そして、ステップS1003において、スタッカ開閉検出部93は、スタッカ56の扉を閉めるための鍵操作を検出したか否かを判断する。例えば、スタッカ鍵でスタッカ56の扉が閉まったことを示す信号を受信したか否かを判断する。スタッカ56の扉が閉まったことを検知しない場合(ステップS1003:NO)、自動取引装置1は、スタッカ56の扉を閉めるための鍵操作を検出するまで待機する。
【0076】
他方、スタッカ56の扉が閉まったことを検知すると(ステップS1003:YES)、ステップS1004において、画像取得部97は、カメラ40を制御して操作者を撮影し、第2操作者画像を取得する。
【0077】
次に、ステップS1005において、比較判断部95は、メモリ91に格納された紙幣又は硬貨の枚数情報を読み出し、システムメモリの所定領域に一時的に格納する。
【0078】
ステップS1006において、計数部94は、スタッカ56に収納されている紙幣又は硬貨の枚数を計数し、計数した枚数をシステムメモリの所定領域に一時的に格納するとともにメモリ91に格納する。
【0079】
そして、ステップS1007において、比較判断部95は、ステップS1005で読み出された枚数情報とステップS1006で計数された枚数を比較し、両者が一致するか否かを判断する。
【0080】
一致すると判断された場合(ステップS1007:YES)、ステップS1008において、送信部96は、
図7に例示するような一致することを示す判断結果を送信して、在高管理処理を終了する。
【0081】
他方、一致しないと判断された場合(ステップS1007:NO)、ステップS1009において、送信部96は、
図8に例示するような一致しないことを示す判断結果を送信して、在高管理処理を終了する。
【0082】
なお、ステップS1002及びS1004の撮像を省略することもできる。この場合、ステップS1009では、「カメラ撮像画像」及びその撮像「日時」を除く判断結果を送信する。
【0083】
上述したように、自動取引装置1からホストコンピュータに判断結果が送信されることで、現金が紛失したことを検出することが可能となる。更に、判断結果に撮像画像が付加されている場合には、紙幣等が紛失した状況を特定することが可能となる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用される自動取引装置は、上述の実施の形態に限定されない。
【0085】
また、上述してきた本発明の実施の形態は、自動取引装置の一機能としてハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)ボードやCPUボードでのファームウェアもしくはソフトウェアにより実現することができる。
【0086】
また、本発明が適用される自動取引装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0087】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムを記録したハードディスクやROM及びRAM等のメモリ、外部記録装置、可搬記録媒体を、自動取引装置に供給し、その自動取引装置のコンピュータがプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0088】
この場合、可搬記録媒体等から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した可搬記録媒体等は本発明を構成することになる。
【0089】
プログラムを供給するための可搬記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0090】
また、コンピュータ(情報処理装置)がメモリ上に読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0091】
さらに、可搬型記録媒体から読み出されたプログラムやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0092】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成又は形状を取ることができる。