(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1方向で対向する一対のリンク部を各々有する複数のリンクを前記第1方向と直交する第2方向へ直列に配置した状態で回動可能に連結し、前記複数のリンクにおける前記第2方向で隣り合う2つのリンクが、直線状に配置される直線位置と、屈曲するように配置される屈曲位置との間で回動可能とされたケーブル類保護案内装置であって、
前記各リンクは、前記第2方向における一方側に係合部を有し、他方側に前記第2方向で隣り合う前記リンクの前記係合部をガイドするガイド部を有し、
前記ガイド部は、第1ガイド部及び第2ガイド部を有し、
前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間には、開口部が形成され、
前記2つのリンクが前記直線位置にあるときには前記2つのリンクのうちの一方の前記係合部が他方の前記第1ガイド部と前記第1方向で重なり、前記2つのリンクが前記屈曲位置にあるときには前記2つのリンクのうちの一方の前記係合部が他方の前記第2ガイド部と前記第1方向で重なり、前記2つのリンクが前記直線位置と前記屈曲位置との間の位置にあるときには前記2つのリンクのうちの一方の前記係合部が他方の前記開口部と前記第1方向で重なり、
前記各リンクは、前記第2方向における一方側に、前記係合部を第1係合部としたときの第2係合部をさらに有し、
前記2つのリンクが前記直線位置にあるときには、前記2つのリンクのうちの一方の前記第2係合部が他方の前記第2ガイド部と前記第1方向で重なることを特徴とするケーブル類保護案内装置。
前記複数のリンクの前記一対のリンク部同士における前記第1方向及び前記第2方向の双方と直交する第3方向の両側のうちの一方はアームによって連結され、他方には弾性変形可能な一対の延出部が前記第1方向に沿って内側に延出して対向するように設けられ、
前記一対の延出部間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のケーブル類保護案内装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなケーブル類保護案内装置では、前後に隣り合う2つのリンク部同士の回動範囲の全体にわたってこれらのガイド溝と突出部とが嵌合している。このため、2つのリンク部同士の連結を外れ難くすることができるものの、これら2つのリンク部同士の連結作業が困難になってしまい、ひいてはケーブル類保護案内装置の組み立て作業が困難になってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、組み立て作業を容易に行うことができるケーブル類保護案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するケーブル類保護案内装置は、第1方向で対向する一対のリンク部を各々有する複数のリンクを前記第1方向と直交する第2方向へ直列に配置した状態で回動可能に連結し、前記複数のリンクにおける前記第2方向で隣り合う2つのリンクが、直線状に配置される直線位置と、屈曲するように配置される屈曲位置との間で回動可能とされたケーブル類保護案内装置であって、前記各リンクは、前記第2方向における一方側に係合部を有し、他方側に前記第2方向で隣り合う前記リンクの前記係合部をガイドするガイド部を有し、前記ガイド部は、第1ガイド部及び第2ガイド部を有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間には、開口部が形成され、前記2つのリンクが前記直線位置にあるときには前記2つのリンクのうちの一方の前記係合部が他方の前記第1ガイド部と前記第1方向で重なり、前記2つのリンクが前記屈曲位置にあるときには前記2つのリンクのうちの一方の前記係合部が他方の前記第2ガイド部と前記第1方向で重なり、前記2つのリンクが前記直線位置と前記屈曲位置との間の位置にあるときには前記2つのリンクのうちの一方の前記係合部が他方の前記開口部と前記第1方向で重なる。
【0008】
この構成によれば、第2方向で隣り合う2つのリンクが直線位置と屈曲位置との間の位置に配置されるようにこれら2つのリンクを連結すると、これら2つのリンクのうちの一方の係合部が他方の開口部と対応するため、第2方向で隣り合う2つのリンクのうちの一方の係合部が他方のガイド部と係合しない。したがって、これら2つのリンク同士の連結作業が容易となり、ひいてはケーブル類保護案内装置の組み立て作業を容易に行うことができる。
【0009】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記各リンクは、前記第2方向における一方側に、前記係合部を第1係合部としたときの第2係合部をさらに有し、前記2つのリンクが前記直線位置にあるときには、前記2つのリンクのうちの一方の前記第2係合部が他方の前記第2ガイド部と前記第1方向で重なることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第2方向で隣り合う2つのリンクが直線位置にあるときに捩れるような外力が作用した場合には、これら2つのリンクのうちの一方の第1係合部及び第2係合部が他方の第1ガイド部及び第2ガイド部とそれぞれ第1方向において係合する。このため、これら2つのリンク同士の連結が外れることを効果的に抑制することができる。
【0011】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記各リンクは、単一の部品であることが好ましい。
この構成によれば、部品点数の低減に寄与できる。
【0012】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記複数のリンクの前記一対のリンク部同士における前記第1方向及び前記第2方向の双方と直交する第3方向の両側のうちの一方はアームによって連結され、他方には弾性変形可能な一対の延出部が前記第1方向に沿って内側に延出して対向するように設けられ、前記一対の延出部間には、隙間が形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、一対の延出部間の隙間をケーブル類の外径よりも小さくすると、ケーブル類を外部から一対の延出部間の隙間を通して複数のリンク内の収容空間へ押し込むことで、一対の延出部が弾性変形してこれらの間の隙間がケーブル類の外径よりも大きくなってケーブル類が収容空間に収容される。そして、ケーブル類が収容空間に収容された後には、一対の延出部が自らの弾性復元力によって元の形状に戻るので、一対の延出部間の隙間も元の大きさに戻る。このため、ケーブル類を外部から収容空間に容易に収容することができるとともに、収容空間に収容されたケーブル類が一対の延出部間の隙間から外部へ出ることを抑制できる。
【0014】
上記ケーブル類保護案内装置において、前記第2方向における前記延出部の幅は、前記第2方向における前記アームの幅よりも狭いことが好ましい。
この構成によれば、一対の延出部を弾性変形し易くすることができるので、ケーブル類を外部から一対の延出部間の隙間を通して複数のリンク内の収容空間に容易に収容することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、組み立て作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ケーブル類保護案内装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ケーブル類保護案内装置11は、第1方向である幅方向Yにおいて対向する一対のリンク部12を各々有する複数のリンク13を備えている。複数のリンク13は、幅方向Yと直交する第2方向である直列方向Xへ直列に配置した状態で回動可能に連結されている。
【0018】
複数のリンク13の各対のリンク部12同士は、幅方向Y及び直列方向Xの双方と直交する第3方向であるケーブル類保護案内装置11の厚さ方向Zの両側のうち、一方は略矩形板状のアーム14によって連結され、他方には弾性変形可能な略矩形板状の一対の延出部15が幅方向Yに沿って内側に延出して対向するように設けられている。この場合、各リンク13において、アーム14と一対の延出部15とは、厚さ方向Zにおいて互いに対向している。
【0019】
直列方向Xにおける各延出部15の幅は、直列方向Xにおけるアーム14の幅よりも狭くなっている。幅方向Yにおける一対の延出部15間には隙間Sが形成されており、幅方向Yにおける隙間Sの幅は後述するケーブル類TKの外径よりも若干狭くなるように設定されている。
【0020】
そして、複数のリンク13におけるアーム14と一対の延出部15とは、厚さ方向Zにおいてそれぞれ互いに対向している。なお、各リンク13は、一対のリンク部12、アーム14、及び一対の延出部15を合成樹脂材料によって一体に成形することによって単一の部品として形成されている。
【0021】
複数のリンク13のうち、直列方向Xの一端部に位置するリンク13には直列方向Xに往復移動する移動体(図示略)に連結するための移動端ブラケット16が連結され、直列方向Xの他端部に位置するリンク13には固定部(図示略)に固定するための固定端ブラケット17が連結されている。
【0022】
複数のリンク13における一対のリンク部12と、アーム14と、一対の延出部15とで囲まれて直列方向Xへ延びるように形成される収容空間SKには、フレキシブルに曲げることが可能な長尺状のケーブル類TKが収容される。そして、ケーブル類保護案内装置11は、収容空間SKに収容されたケーブル類TKを、移動端ブラケット16に連結された移動体(図示略)の往復移動に合わせて保護しながら案内する。
【0023】
この場合、長尺状のケーブル類保護案内装置11は中間部に湾曲部分Wが形成されるように配置され、湾曲部分Wは移動端ブラケット16に連結された移動体(図示略)の直列方向Xへの往復移動に合わせて直列方向Xへ移動する。
【0024】
また、ケーブル類TKとしては、例えば、移動体(図示略)に給電や信号伝送を行う電気ケーブルや光ファイバーケーブル、移動体(図示略)に気体(例えば、空気など)や液体(例えば、水や油など)などを供給するホース、フレキシブルに屈曲可能な長尺状の多関節部材などが挙げられる。
【0025】
次に、リンク13における一対のリンク部12の構成について詳述する。
図2及び
図3に示すように、リンク13における一対のリンク部12は、直列方向Xの両端部が丸みを帯びた略矩形板状をなしている。各リンク部12には、直列方向Xの一方側の外側面である第1外側面21が他方側の外側面である第2外側面22よりも幅方向Yの内側に位置するように略円弧状をなす外側段差面23が形成されている。さらに、各リンク部12には、直列方向Xの一方側の内側面である第1内側面24が他方側の内側面である第2内側面25よりも幅方向Yの内側に位置するように内側段差面26が形成されている。
【0026】
そして、各リンク部12において、第1外側面21には円形の凸部27が形成され、第2外側面22には直列方向Xで隣り合う他のリンク部12の凸部27が相対的に回動可能に挿嵌される円形の孔28が第2内側面25まで貫通するように形成されている。各リンク部12の凸部27の先端面における直列方向Xの外側半分には、直列方向Xの外側に向かって第1外側面21からの距離が徐々に短くなる凸部側傾斜面27aが形成されている。
【0027】
各リンク部12の第2内側面25における直列方向Xの端部には、直列方向Xで隣り合う他のリンク部12の凸部27の凸部側傾斜面27aと対応するように傾斜した案内斜面29が切り欠くように形成されている。各リンク部12における直列方向Xの凸部27側の先端面12aにおける厚さ方向Zのアーム14側の端部には第1係合部(係合部)の一例としての第1ストッパー31が形成され、第1ストッパー31は各リンク部12の厚さよりも薄い板状をなしている。
【0028】
一方、各リンク部12の先端面12aにおける厚さ方向Zの延出部15側の端部には、第2係合部の一例としての第2ストッパー32が形成され、第2ストッパー32は各リンク部12の厚さよりも薄い板状をなしている。
【0029】
本実施形態では、第1ストッパー31及び第2ストッパー32の厚さが、リンク部12の半分程度になっている。また、第2ストッパー32は、先端面12aからの最大高さが第1ストッパー31よりも低くなっている。本実施形態では、第2ストッパー32は、先端面12aからの最大高さが第1ストッパー31の半分程度になっている。
【0030】
各リンク部12の内側段差面26における厚さ方向Zのアーム14側の端部における幅方向Yの内側の端部にはガイド部を構成する第1ガイド部35が形成され、第1ガイド部35は各リンク部12の厚さよりも薄い板状をなしている。一方、各リンク部12の内側段差面26における厚さ方向Zの延出部15側の端部における幅方向Yの内側の端部にはガイド部を構成する第2ガイド部36が形成され、第2ガイド部36は各リンク部12の厚さよりも薄い板状をなしている。
【0031】
第1ガイド部35は直列方向Xで隣り合う他のリンク部12の第1ストッパー31をガイドし、第2ガイド部36は直列方向Xで隣り合う他のリンク部12の第1ストッパー31または第2ストッパー32をガイドする。各リンク部12の厚さ方向Zにおける第1ガイド部35と第2ガイド部36との間には、開口部Kが形成されている。すなわち、各リンク部12の厚さ方向Zにおける第1ガイド部35と第2ガイド部36との間は、何もない空間になっている。
【0032】
各リンク部12における第1ガイド部35と第2内側面25との間には、厚さ方向Zと垂直な第1当接面37が内側段差面26と連続するように形成されている。一方、各リンク部12における第2ガイド部36と第2内側面25との間には、厚さ方向Zと垂直な第2当接面38が内側段差面26と連続するように形成されている。
【0033】
そして、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13の一対のリンク部12同士の一方の孔28に他方の凸部27をそれぞれ挿嵌した状態では、これら2つのリンク13が、直線状に配置される直線位置(
図4に示す位置)と、屈曲するように配置される屈曲位置(
図6に示す位置)との間で回動可能になっている。
【0034】
本実施形態では、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置にあるときのこれら2つのリンク13のなす角度が0度となるとともに、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が屈曲位置にあるときのこれら2つのリンク13のなす角度が60度となるように設定されている。
【0035】
図4及び
図6に示すように、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置にあるときには一方のリンク13の第1ストッパー31が他方のリンク13の第1当接面37に当接し、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が屈曲位置にあるときには一方のリンク13の第1ストッパー31が他方のリンク13の第2当接面38に当接する。
【0036】
つまり、第1ストッパー31が第1当接面37及び第2当接面38にそれぞれ当接することで、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13(リンク部12)同士の回動範囲が本実施形態では0〜60度の角度範囲に規制される。
【0037】
また、
図4に示すように、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置にあるときには、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31及び第2ストッパー32が他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36とそれぞれ幅方向Yで重なる。
【0038】
また、
図6示すように、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が屈曲位置にあるときには、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の第2ガイド部36と幅方向Yで重なる。このとき、これら2つのリンク13のうちの一方の第2ストッパー32は、他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36の両方と幅方向Yで重ならない。
【0039】
また、
図5に示すように、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置と屈曲位置との間の位置である連結位置(
図5に示す位置)にあるときには、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の開口部Kと幅方向Yで重なる。このとき、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31及び第2ストッパー32は、他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36の両方と幅方向Yで重ならない。なお、本実施形態では、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が連結位置にあるときのこれら2つのリンク13のなす角度が30度となるように設定されている。
【0040】
次に、ケーブル類保護案内装置11を使用する際の作用について説明する。
さて、ケーブル類保護案内装置11を使用する場合には、まず、ケーブル類TKを外部から一対の延出部15間の隙間Sを通して複数のリンク13内の収容空間SKへ押し込む。すると、一対の延出部15が弾性変形してこれらの間の隙間Sがケーブル類TKの外径よりも大きくなってケーブル類TKが収容空間SKに収容される。
【0041】
ケーブル類TKが収容空間SKに収容された後には、一対の延出部15が自らの弾性復元力によって元の形状に戻るので、一対の延出部15間の隙間Sも元の大きさに戻る。このため、収容空間SKに収容されたケーブル類TKが一対の延出部15間の隙間Sから外部へ出ることが抑制される。このようにして、ケーブル類保護案内装置11内にケーブル類TKがセットされる。
【0042】
そして、移動体(図示略)が直列方向Xに往復移動すると、ケーブル類保護案内装置11はその湾曲部分Wが移動体(図示略)に追従して変位するように直列方向Xに往復移動する。すると、ケーブル類保護案内装置11により、収容空間SKに収容されたケーブル類TKが移動体(図示略)の移動に合わせて保護されながら案内される。
【0043】
このとき、ケーブル類保護案内装置11は、湾曲部分Wの往復移動に伴って直列方向Xで隣り合う2つのリンク13同士が直線位置と屈曲位置との間で繰り返し回動されるため、一方のリンク13の第1ストッパー31が他方のリンク13の第1当接面37及び第2当接面38に対して順次に繰り返し当接する。
【0044】
この場合、各リンク13は、第1ストッパー31の厚さがリンク部12の厚さよりも薄くなっているため、第1ストッパー31の厚さがリンク部12の厚さと同じである場合に比べて、第1ストッパー31の第1当接面37及び第2当接面38に対する接触面積が低く抑えられる。このため、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方のリンク13の第1当接面37及び第2当接面38に当接するときに発生する音(騒音)が低く抑えられる。
【0045】
また、ケーブル類保護案内装置11の使用時には、ケーブル類保護案内装置11に対して捩れるような外力が作用することがある。このような外力がケーブル類保護案内装置11に対して作用すると、特に各リンク13のリンク部12同士は延出部15側で連結されていないため、隣り合うリンク13同士が捩れるように大きく撓む。
【0046】
すると、ケーブル類保護案内装置11には、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13のうちの一方のリンク13の凸部27を他方のリンク13の孔28から抜け出させようとする力、すなわち幅方向Yの力も作用する。このため、リンク13同士の連結が外れてしまうおそれがある。
【0047】
この点、本実施形態のケーブル類保護案内装置11では、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13同士が直線位置にあるときには、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31及び第2ストッパー32が他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36とそれぞれ幅方向Yで重なる。
【0048】
このため、ケーブル類保護案内装置11に幅方向Yの力が作用しても、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31及び第2ストッパー32が他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36とそれぞれ係合するため、一方のリンク13の凸部27が他方のリンク13の孔28から抜け出すことが効果的に抑制される。
【0049】
また、本実施形態のケーブル類保護案内装置11において、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が屈曲位置にあるときには、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の第2ガイド部36と幅方向Yで重なる。このため、ケーブル類保護案内装置11に幅方向Yの力が作用しても、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の第2ガイド部36と係合するため、一方のリンク13の凸部27が他方のリンク13の孔28から抜け出すことが抑制される。
【0050】
このように、本実施形態のケーブル類保護案内装置11では、使用時に捩れるような外力が作用した場合、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13同士が直線位置にあっても屈曲位置にあっても、一方のリンク13の凸部27が他方のリンク13の孔28から抜け出すことが抑制される。このため、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13同士の連結が外れることが抑制される。
【0051】
次に、ケーブル類保護案内装置11の組み立て方法について説明する。
さて、ケーブル類保護案内装置11を組み立てる場合には、まず、複数のリンク13を直列に連結する必要がある。そして、2つのリンク13を連結する場合には、まず、一方のリンク13の凸部27の凸部側傾斜面27aを他方のリンク13の案内斜面29にあてがう。このとき、一方のリンク13を他方のリンク13に対して30度の角度だけ傾ける。すなわち、直列方向Xにおいて一方のリンク13の第1ストッパー31を他方のリンク13の第1ガイド部35と第2ガイド部36との間の開口部Kと対応させる。
【0052】
続いて、一方のリンク13の凸部27が他方のリンク13の孔28と幅方向Yで重なるように、一方のリンク13と他方のリンク13とを撓ませながら相対移動させる。そして、一方のリンク13の凸部27が他方のリンク13の孔28と幅方向Yで重なると、撓んでいた一方のリンク13及び他方のリンク13が自らの弾性復元力によって元の形状に戻ることで、一方のリンク13の凸部27が他方のリンク13の孔28に対して回動可能に挿嵌される。
【0053】
このとき、一方のリンク13の第1ストッパー31が他方のリンク13の開口部Kを通過する。すなわち、一方のリンク13の第1ストッパー31が他方のリンク13の開口部Kに一時的に逃げるようになる。このため、一方のリンク13と他方のリンク13とが障害なく円滑に連結される。そして、上記と同様にして複数のリンク13を直列に順次連結した後、両端に位置するリンク13にそれぞれ移動端ブラケット16及び固定端ブラケット17を連結することで、ケーブル類保護案内装置11が完成する。
【0054】
このように、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置と屈曲位置との間の連結位置に配置されるようにこれら2つのリンク13を連結すると、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の開口部Kと対応する。このため、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36と係合しない。したがって、これら2つのリンク13同士の連結作業が容易となり、ひいてはケーブル類保護案内装置11の組み立て作業が容易となる。
【0055】
因みに、各リンク13において第1ガイド部35と第2ガイド部36との間に、第1ガイド部35や第2ガイド部36と同様の第3ガイド部が隙間なく形成されていると、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13を連結する際に、一方のリンク13の第1ストッパー31を他方のリンク13において逃がす場所がなくなる。この結果、これら2つのリンク13同士の連結作業が困難となり、ひいてはケーブル類保護案内装置11の組み立て作業が困難になってしまう。
【0056】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)ケーブル類保護案内装置11において、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置と屈曲位置との間の位置である連結位置にあるときには、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の開口部Kと幅方向Yで重なる。このため、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が連結位置に配置されるようにこれら2つのリンク13を連結すると、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の開口部Kと対応するため、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31が他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36と係合しない。したがって、これら2つのリンク13同士の連結作業を容易に行うことができ、ひいてはケーブル類保護案内装置11の組み立て作業を容易に行うことができる。
【0057】
(2)ケーブル類保護案内装置11において、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置にあるときには、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31及び第2ストッパー32が他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36とそれぞれ幅方向Yで重なる。このため、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が直線位置にあるときに捩れるような外力が作用した場合には、これら2つのリンク13のうちの一方の第1ストッパー31及び第2ストッパー32が他方の第1ガイド部35及び第2ガイド部36とそれぞれ幅方向Yで係合する。このため、これら2つのリンク13のうちの一方のリンク13の凸部27が他方のリンク13の孔28から抜け出すことが効果的に抑制されるので、これら2つのリンク13同士の連結が外れることを効果的に抑制することができる。
【0058】
(3)ケーブル類保護案内装置11において、各リンク13は単一の部品として構成されている。このため、ケーブル類保護案内装置11を構成する部品点数の低減に寄与できる。
【0059】
(4)ケーブル類保護案内装置11において、複数のリンク13の一対のリンク部12同士における厚さ方向Zの両側のうちの一方はアーム14によって連結され、他方には弾性変形可能な一対の延出部15が幅方向Yに沿って内側に延出して対向するように設けられ、一対の延出部15間には隙間Sが形成されている。このため、一対の延出部15間の隙間Sをケーブル類TKの外径よりも若干小さくすると、ケーブル類TKを外部から一対の延出部15間の隙間Sを通して複数のリンク13内の収容空間SKへ押し込むことで、一対の延出部15が弾性変形してこれらの間の隙間Sがケーブル類TKの外径よりも大きくなってケーブル類TKが収容空間SKに収容される。そして、ケーブル類TKが収容空間SKに収容された後には、一対の延出部15が自らの弾性復元力によって元の形状に戻るので、一対の延出部15間の隙間Sも元の大きさに戻る。このため、ケーブル類TKを外部から収容空間SKに容易に収容することができるとともに、収容空間SKに収容されたケーブル類TKが一対の延出部15間の隙間Sから外部へ出ることを抑制できる。
【0060】
(5)ケーブル類保護案内装置11において、直列方向Xにおける延出部15の幅は、直列方向Xにおけるアーム14の幅よりも狭くなっている。このため、直列方向Xにおける延出部15の幅を直列方向Xにおけるアーム14の幅以上にした場合に比べて一対の延出部15を弾性変形し易くすることができるので、ケーブル類TKを外部から一対の延出部15間の隙間Sを通して複数のリンク13内の収容空間SKにより一層容易に収容することができる。
【0061】
(変更例)
なお、上記実施形態は次のように変更してもよい。
・直列方向Xにおける延出部15の幅は、必ずしも直列方向Xにおけるアーム14の幅よりも狭くする必要はない。すなわち、直列方向Xにおける延出部15の幅は、直列方向Xにおけるアーム14の幅と同じかそれ以上であってもよい。
【0062】
・各リンク13において、一対の延出部15の代わりに、一対のリンク部12を連結する開閉式のアームを採用してもよい。
・各リンク13は、必ずしも単一の部品である必要はない。すなわち、各リンク13は、複数の部品を組み立てて構成するようにしてもよい。
【0063】
・各リンク13において、第2ストッパー32は省略してもよい。
・ケーブル類保護案内装置11において、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が屈曲位置にあるときのこれら2つのリンク13のなす角度は、必ずしも60度となるように設定する必要はない。この場合、例えば、屈曲位置にあるときのこれら2つのリンク13のなす角度を、45度に設定してもよいし、70度に設定してもよい。
【0064】
・ケーブル類保護案内装置11において、直列方向Xで隣り合う2つのリンク13が連結位置にあるときのこれら2つのリンク13のなす角度は、必ずしも30度となるように設定する必要はない。この場合、例えば、連結位置にあるときのこれら2つのリンク13のなす角度を、15度に設定してもよいし、40度に設定してもよい。
【0065】
・各リンク13において、一対の延出部15間の隙間Sの大きさは、収容空間SKに収容するケーブル類TKの外径に応じて適宜変更してもよい。
・各リンク13には、複数対の延出部15を設けるようにしてもよい。
【0066】
・各リンク13において、アーム14と一対の延出部15とは、必ずしも厚さ方向Zにおいて互いに対向するように配置する必要はない。
・各リンク13は、金属製であってもよいし、木製であってもよい。
【0067】
・各リンク13において、凸部27の先端面を構成する凸部側傾斜面27aは、直列方向X及び幅方向Yに沿う平面に変更してもよい。
・各リンク13において、案内斜面29は省略してもよい。