特許第6290873号(P6290873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290873
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】野菜および果物のホルメシス誘導装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   A01G7/00 601C
   A01G7/00 603
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-514931(P2015-514931)
(86)(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公表番号】特表2015-521046(P2015-521046A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】KR2013004889
(87)【国際公開番号】WO2013183897
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年3月28日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0059760
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ス,デ ウォン
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/014102(WO,A1)
【文献】 特開2005−192448(JP,A)
【文献】 特開2005−151850(JP,A)
【文献】 特開2007−068512(JP,A)
【文献】 特開2004−016182(JP,A)
【文献】 特開2003−079254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫された、または生長中の野菜および果物の生体情報によってホルメシスを誘導するための刺激の強さを決定し、決定された前記刺激の強さに基づいて、ホルメシスを誘導するための光の種類、光量、光照射時間、光の波長及び温度のうち1種以上を制御する制御部と、
前記決定された刺激の強さに基づいて前記野菜および果物に光を照射するかまたは温度を調節して適用する刺激生成部と、
前記収穫された、または生長中の野菜および果物の生体情報を獲得する生体情報獲得部と、を含み、
前記制御部は、前記獲得された生体情報と目標生体情報の差を算出し、算出された前記差に基づいて前記刺激の強さを決定することを特徴とする野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項2】
前記生体情報は、前記野菜および果物の種類、温度、野菜および果物表面または内部の微生物の種類と量、水分含量、栄養成分、新鮮度、色度または機能性物質に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項3】
前記ホルメシス誘導装置は、前記生体情報及び前記刺激の強さを出力する出力部と、前記生体情報及び前記刺激の強さを外部機器に伝送するインターフェース部と、ネットワーク接続のための通信部と、メモリと、ユーザ入力部及び生体情報測定部のうち少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項4】
前記ホルメシス誘導装置は、生長中の野菜および果物が植栽された温室の上部天井ないし側面部に位置し、
前記刺激生成部は、前記温室内部及び野菜および果物に向けて互いに異なる波長の光を選択的に照射できる光源部を含むことを特徴とする請求項1に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項5】
前記ホルメシス誘導装置は、収穫された野菜および果物が収納される収納部が形成された保管ケースをさらに含み、
前記刺激生成部は、前記保管ケースの内に配置され、前記収納部に向けて互いに異なる波長の光を選択的に照射できる光源部を含むことを特徴とする請求項1に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項6】
前記保管ケースは、内部に収納部が形成され、少なくとも一面が開放された内部ケースと、
前記内部ケースの外周面を離隔して取り囲む外部ケースと、
前記内部ケース及び前記外部ケースの間の離隔によって形成された空間部と、をさらに含み、
前記光源部は、前記空間部に配置され、前記収納部の内部に光を照射することを特徴とする請求項5に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項7】
前記内部ケースは、透光性であることを特徴とする請求項6に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項8】
前記光源部は、紫外線発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項9】
前記光源部は、第1波長帯域の光を発光する第1発光ダイオードグループ、第2波長帯域の光を発光する第2発光ダイオードグループ、第3波長帯域の光を発光する第3発光ダイオードグループ及び第4波長帯域の光を発光する第4発光ダイオードグループのうち1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項10】
前記第1発光ダイオードグループは、320nm〜400nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、前記第2発光ダイオードグループは、290nm〜320nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、前記第3発光ダイオードグループは、200nm〜290nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、前記第4発光ダイオードグループは、595nm〜600nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含むことを特徴とする請求項9に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項11】
前記制御部は
前記第1発光ダイオードグループ、前記第2発光ダイオードグループ、前記第3発光ダイオードグループまたは前記第4発光ダイオードグループに流される電流のオン/オフを並列的に制御する光選択制御部と、
前記第1発光ダイオードグループ、前記第2発光ダイオードグループ、前記第3発光ダイオードグループまたは前記第4発光ダイオードグループに印加される電流の量を並列的に制御する光量制御部と、
前記電流の流れる時間を制御する時間制御部と、を含むことを特徴とする請求項9に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項12】
前記ホルメシス誘導装置は、
前記温室内の温度情報を収集する温度センサー部と、
前記温室内の温度を下げるクーラーと、
前記温室内の温度を上げるヒーターと、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項13】
前記保管ケースは、
前記収納部内の温度情報を収集する温度センサー部と、
前記収納部内の温度を下げるクーラーと、
前記収納部内の温度を上げるヒーターと、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項14】
前記ホルメシス誘導装置は、前記温室内部の設定温度情報を入力する温度情報入力部と、
前記温度情報入力部によって入力された温度情報と前記温度センサー部によって収集された温度情報を比較し、前記ヒーター及びクーラーのうちいずれか1つの作動を制御する温度制御部と、をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【請求項15】
前記ホルメシス誘導装置は、前記収納部内の設定温度情報を入力する温度情報入力部と、
前記温度情報入力部によって入力された温度情報と前記温度センサー部によって収集された温度情報を比較し、前記ヒーター及びクーラーのうちいずれか1つの作動を制御する温度制御部と、をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の野菜および果物のホルメシス誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果菜類のホルメシス誘導装置に関し、より具体的には、紫外線発光ダイオードを利用した収穫または生長中の野菜及び果物のホルメシス誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物体は、微量の外部ストレスに対して自らを防御する刺激反応メカニズムを持っている。刺激反応メカニズムは、生物体が特定の外部ストレスに露出したとき、特異的に作動し、一般的に、生物体が外部ストレスに対して耐性を有するようにする固有の生体防御物質を生産する。このように、適正量の外部ストレスが生物体にとって生物体の生存を脅威にさらすよりは、むしろ生物体の刺激反応メカニズムを活性化させて、外部ストレスに対する耐性を向上させる肯定的な現象をホルメシス(hormesis)と言う。
【0003】
最近、このようなホルメシス現象によって生物体が生成する固有の生体防御物質のうち、人間の健康にも有用な物質が多数存在することが明らかにされた。これにより、生物体自体のメカニズムを利用した健康機能性物質の生産に関する研究が活発に進められており、特に紫外線ランプを利用して植物に紫外線を照射することによって、健康機能性物質の含有量を向上させたという研究結果は、その効率性の側面で学界の注目を集めている。このような研究は、紫外線によるホルメシス現象を野菜及び果物に適用し、収穫または生長中の野菜及び果物の健康機能性及び効用性をさらに向上させることができることを示唆する。
【0004】
しかし、その研究で利用された紫外線ランプの場合、ランプで発生する熱に起因して、密閉された空間に収納された野菜及び果物に適用することに問題がある。すなわち、紫外線ランプは、発光に伴って多量の熱が発生し、密閉された空間内に放出された熱は、外部に抜け出させず、閉じこめられる。このように閉じこめられた熱は、収穫されて収納された野菜及び果物、またはビニルハウスのような温室で生長中の果菜類に他の外部ストレスとして作用し、目的とする健康機能性物質の生産効率を低下させるか、または予想しない第3の物質を生産させる問題がある。また、密閉された空間内で持続的に蓄積された熱に起因して、野菜及び果物中のタンパク質をはじめとして熱に弱い栄養素が変性及び破壊され、野菜及び果物の鮮度や食感が劣化する問題がある。また、紫外線ランプの場合、発光される紫外線の波長幅が広く、野菜及び果物に照射されても、ホルメシスの誘導効率が低下する問題がある。
【0005】
これより、収穫または生長中の果菜類に紫外線を照射してホルメシスを誘導するに際して、特定波長の紫外線を照射しながらも、熱による影響を最小化することによって、ホルメシス誘導効率を極大化することができる果菜類のホルメシス誘導装置の開発が必要なものと予想される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紫外線を利用して野菜及び果物のホルメシス現象を誘導することによって、野菜及び果物中の健康機能性物質の含有量を向上させることができる野菜及び果物ホルメシス誘導装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明の一態様は、収穫または生長中の果菜類の生体情報によって刺激の強さを決定し、決定された前記刺激の強さに基づいて光の種類、光量、光照射時間、光の波長及び温度のうち1種以上を制御する制御部と、前記決定された刺激の強さに基づいて前記果菜類に光を照射するかまたは温度を調節して適用する刺激生成部とを含む、果菜類のホルメシス誘導装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の果菜類のホルメシス誘導装置は、野菜及び果物に紫外線ストレスを加えてホルメシスを誘導することによって、野菜及び果物中の健康機能性物質の含有量を向上させる効果がある。さらに、本発明の野菜及び果物ホルメシス誘導装置は、照射光の種類、光量、照射時間または温度を外部で適切に制御することができるので、多様な種類の野菜及び果物に対して個別に最適化されたホルメシス誘導条件を提供することができる効果がある。
【0009】
但し、本発明の技術的効果は、以上で言及したものに制限されず、言及されない他の技術的効果は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1の切断線I−I’に沿って切り取られた断面図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置を示す斜視図である。
図4図4は、図3の切断線II−II’に沿って切り取られた断面図である。
図5図5は、本発明の果菜類のホルメシス誘導装置を示す概念ブロック図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置を具備したビニルハウスの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される技術的用語は、ただ特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではないことを留意しなければならない。
【0012】
また、本明細書で図面において、層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されたものである。
【0013】
また、本明細書で使用される単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、“構成される”または“含む”などの用語は、明細書上に記載された様々な構成要素、または様々な段階を必ずすべて含むものと解釈されてはならないし、そのうち一部の構成要素または一部の段階は含まれなくてもよく、または追加的な構成要素または段階をさらに含むことができるものと解釈されなければならない。
【0014】
また、本明細書で使用される構成要素に対する接尾辞“モジュール”及び“部”は、明細書作成の容易性だけが考慮されて付与されるかまたは混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味または役目を有するものではない。
【0015】
また、本明細書で使用される第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用され得るが、構成要素は、用語によって限定されない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることができ、同様に、第2構成要素は、第1構成要素と命名され得る。
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明による好ましい実施形態を詳しく説明するが、参照番号に関係なく、同一または類似の構成要素は、同一の参照番号を付与し、これに対する重複される説明を省略する。
【0017】
図5は、本明細書に開示された一実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置を示す概念ブロック図である。
【0018】
果菜類のホルメシス誘導装置は、制御部と、刺激生成部とを含む。また、生体情報獲得部をさらに含むことができる。その他、通信部、生体情報測定部、ユーザ入力部、出力部、メモリ及びインターフェース部のうち少なくとも1つをさらに含むことができるが、これに限定されるものではない。図5に示された構成要素は、例示的なものであって、それより多くの構成要素を有するか、またはそれより少ない構成要素を有する果菜類のホルメシス誘導装置が具現されてもよい。
【0019】
通信部は、果菜類のホルメシス誘導装置と通信システムとの間、果菜類のホルメシス誘導装置と生体情報測定部との間のネットワーク通信を可能にする1つ以上のモジュールを含むことができる。
【0020】
通信部は、果菜類のホルメシス誘導装置がネットワークに接続するようにするための機能を含むものであって、果菜類のホルメシス誘導装置と通信システム、果菜類のホルメシス誘導装置と出力デバイス、または果菜類のホルメシス誘導装置と生体情報測定部間の通信を可能にする1つ以上のモジュールを含むことができる。
【0021】
例えば、前記果菜類のホルメシス誘導装置は、通信部によって出力デバイス、または生体情報測定器のような別途の装置と接続することができる。また、通信部は、インターネットモジュール、近距離通信モジュール、その他通信手段などを含むことができる。
【0022】
インターネットモジュールは、インターネット接続のためのモジュールを言い、果菜類のホルメシス誘導装置に内蔵されるかまたは外装され得る。
【0023】
近距離通信モジュールは、近距離通信のためのモジュールを言う。
【0024】
生体情報測定部は、例えば、果菜類の種類、温度、果菜類の表面または内部の微生物の種類と量、水分含量、栄養成分、新鮮度、色度または機能性物質に関する情報のような生体情報を測定することができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
生体情報測定の対象となる果菜類は、収穫または生長中のものであってもよく、収穫された果菜類は、別途の保管ケースに収納した状態で生体情報が測定されてもよく、生長中の果菜類は、ビニルハウスなどの温室に植栽された状態で生体情報が測定されてもよい。例えば、前記生体情報測定部は、各種センサーで具現されてもよい。
【0026】
ユーザ入力部は、ユーザが入力した生体情報データ、または果菜類のホルメシス誘導装置の動作制御のための入力データを発生させる。ユーザ入力部は、キーパッド(key pad)、ドームスイッチ(dome switch)、タッチパッド(静圧/静電)、ジョグホイール、ジョグスイッチなどで構成されてもよい。
【0027】
生体情報獲得部は、生体情報測定部で測定された生体情報またはユーザが入力した収穫または生長中の果菜類の生体情報を取得することができる。
【0028】
生体情報は、対象果菜類に関する情報であって、例えば、果菜類の種類、温度、果菜類表面または内部の微生物の種類と量、水分含量、栄養成分、新鮮度、色度または機能性物質に関する情報を含むことができる。
【0029】
生体情報測定部は、ホルメシス誘導装置内に具備されてもよく、ホルメシス誘導装置と別に具備されてもよい。生体情報測定部は、ホルメシス誘導装置内に具備された場合は、生体情報獲得部は、生体情報測定部で測定された生体情報を直接取得することができるが、ホルメシス誘導装置と別に具備された場合は、生体情報測定器のような生体情報測定部で測定された生体情報をインターネットモジュール、近距離通信モジュール、その他通信手段を利用して受信してもよい。
【0030】
出力部は、果菜類のホルメシス誘導装置で処理される情報の出力(表示)を発生させるためのものであって、例えば、ホルメシス誘導装置が取得した生体情報または刺激の強さを出力(表示)することができる。出力部は、ホルメシス誘導装置内に具備されてもよく、出力部がホルメシス誘導装置と別に具備されてもよい。
【0031】
出力部は、液晶ディスプレイ(liqui dcrystal display、LCD)、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(thin film transistor−liquid crystal display、TFTLCD)、有機発光ダイオード(organic light−emitting diode、OLED)、フレキシブルディスプレイ(flexible display)、3次元ディスプレイ(3D display)、電子インクディスプレイ(e−ink display)のうち少なくとも1つによって具現されてもよい。
【0032】
メモリは、制御部の動作のためのプログラム(例えば、獲得された生体情報と目標生体情報の差を算出する方法、刺激の強さを決定する方法)を格納することができ、入出力されるデータ(例えば、獲得された生体情報、目標または設定生体情報、刺激の強さ情報など)を臨時で格納してもよい。メモリは、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、SDまたはXDメモリなど)、RAM(random access memory)、SRAM(static random access memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read−only memory)、PROM(programmable read−only memory)、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの格納媒体を含むことができる。
【0033】
インターフェース部は、ホルメシス誘導装置に連結される外部機器との通路の役目をすることができる。インターフェース部は、外部機器からデータを伝送されるか、または電源を供給されてホルメシス誘導装置内部の各構成要素に伝達するか、またはホルメシス誘導装置内部のデータ(例えば、生体情報及び刺激の強さ)が外部機器に伝送されるようにする。
【0034】
制御部は、通常、ホルメシス誘導装置の全般的な動作を制御する。そのうち、特に、制御部は、取得された生体情報とホルメシスを誘導するために好ましいと設定した目標生体情報の差を算出し、これに基づいて刺激の強さを決定することができる。これにより、照射する光の種類、光量、光照射時間、光の波長及び温度のうち1つ以上を制御することができる。制御部は、光照射制御部、温度制御部を含むことができる。
【0035】
刺激生成部は、制御部で決定された刺激の強さに基づいて果菜類に光を照射するか、または温度を調節して適用する。
【0036】
刺激生成部は、詳細には、光源を制御して発生させる光源部と、温度を高めるヒーター、温度を低めるクーラーなどを含むことができる。光源部がホルメシス誘導装置に装備される形態は多様であるが、紫外線発光ダイオードを含むことができ、多様な波長帯の光を発光する発光ダイオードグループを1種または2種以上組み合わせて含んでもよく、これら発光ダイオードグループがモジュール形態で設置されてもよい。
【0037】
例えば、光源部は、第1波長帯域の光を発光する第1発光ダイオードグループ、第2波長帯域の光を発光する第2発光ダイオードグループ、第3波長帯域の光を発光する第3発光ダイオードグループ及び第4波長帯域の光を発光する第4発光ダイオードグループのうち1種または2種以上を含むことができる。
【0038】
第1〜第3発光ダイオードグループは、果菜類のホルメシスを誘導するに適した波長帯で構成されており、第4発光ダイオードグループは、果菜類に存在する微生物を殺菌する機能を行うことができる。
【0039】
具体的に、第1発光ダイオードグループは、320nm〜400nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、第2発光ダイオードグループは、290nm〜320nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、第3発光ダイオードグループは、200nm〜290nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、第4発光ダイオードグループは、595nm〜600nm波長帯域内で選択される互いに異なる波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含むことができる。
【0040】
また、制御部のうち光照射制御部は、第1発光ダイオードグループ、第2発光ダイオードグループ、第3発光ダイオードグループまたは第4発光ダイオードグループに流される電流のオン/オフを並列的に制御する光選択制御部と、第1発光ダイオードグループ、第2発光ダイオードグループ、第3発光ダイオードグループまたは第4発光ダイオードグループに印加される電流の量を並列的に制御する光量制御部と、電流の印加時間を制御する時間制御部と、を含むことができる。
【0041】
また、制御部のうち温度制御部は、果菜類周辺の温度を制御することができる。
(発明の実施のための形態)
【0042】
以下、実施形態を通じて本発明を詳しく説明する。但し、下記実施形態は、本発明をさらに詳しく説明するための例に過ぎず、本発明の権利範囲を制限しない。
【0043】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態による収穫された果菜類のホルメシス誘導装置を示す斜視図である。図2は、図1の切断線I−I’に沿って切り取られた断面図である。
【0044】
図1及び図2を参照すれば、本発明の果菜類のホルメシス誘導装置は、保管ケース100、光源部200及び光照射制御部300を含む。図1及び図2に示されたように、保管ケース100には、野菜及び果物が収納される収納部130が形成される。光源部200は、保管ケース100内に配置され、収納部130の内部、すなわち収納部130内の野菜及び果物に向けて互いに異なる波長の光を選択的に照射する。光照射制御部300は、収納部130に収納された果菜類の生体情報によって光源部200を制御し、光源部200から保管ケース100の収納部130に向けて照射される光の種類、量及び照射時間を制御する。すなわち、果菜類のホルメシス誘導装置は、収納部130に収納される野菜及び果物の生体情報によって、光照射制御部300が光源部200で照射される光の種類、量または照射時間を制御することによって、保管ケース100の収納部130に収納される野菜及び果物でホルメシス誘導させる。
【0045】
保管ケース100は、野菜及び果物を収納し、収納された野菜及び果物に光が照射され得る空間を提供するものであって、内部ケース110、外部ケース120、収納部130及び空間部140を含む。
【0046】
内部ケース110は、少なくとも一面が開放されることによって、内部に収納部130が形成される。したがって、収納部130には、野菜及び果物が収納及び保管され得る。内部ケース110は、光源部200から由来した光が収納部130内の野菜及び果物を向けて照射され得るように、透光性物質で構成されることが好ましい。また、内部ケース110は、収納部130に保管される野菜及び果物が外部の物理的衝撃によって損傷されないように、柔軟性物質で構成され得る。
【0047】
外部ケース120は、内部ケース110の外周面を離隔して取り囲むように形成される。また、外部ケース120は、その一部が内部ケース110と連結され、内部ケース110を物理的に支持する。このような2つのケース110、120の離隔配置及び一部連結によって、2つのケース110、120の間には、密閉された空間部140が形成される。
【0048】
内部ケース110の開放された一面は、蓋体900によって覆われることによって、保管ケース100の内部は密閉されてもよい。蓋体900は、内部に空間部910が形成される。蓋体900は、プラスチックなど多様な物質で構成されてもよい。但し、保管ケース100の収納部130に対向する蓋体900の一面(蓋体の下部面)920は、光源部200の透光性物質で構成されることが好ましい。
【0049】
光源部200は、保管ケース100及び蓋体900内に配置され、収納部130に向けて光を照射することによって、収納部130内に収納された野菜及び果物でホルメシスを誘導させる役目をする。したがって、光源部200の位置は、収納部130に向けて光を照射することができる所なら、特に限定されない。本発明の第1実施形態において、光源部200は、保管ケース100の空間部140及び蓋体900の空間部146に位置し、前記光源部200で発生した光が透光性の内部ケース120及び蓋体900の透光性である一面を透過し、収納部130の野菜及び果物に照射される。
【0050】
光源部200で発生する光は、収納部130内の野菜及び果物に照射され、ホルメシスを誘導する。したがって、光源部200は、収納部130に収納される野菜及び果物の生体情報によって野菜及び果物に適した波長の光を選択的に照射できるように具備される。すなわち、本発明の光源部200で照射された光は、収納部130内の野菜及び果物に外部ストレスとして作用してホルメシスを誘導する。このようなホルメシスによって野菜及び果物は健康機能性物質の含有量が適切に増加する。
【0051】
特に、光源部200は、紫外線発光ダイオードを含むことが好ましい。紫外線発光ダイオードは、紫外線ランプとは異なって、発熱が顕著に少ないため、熱によって発生される健康機能性物質の生産効率低下や熱に弱い栄養素の変性及び破壊を防止することができる。また、紫外線発光ダイオードは、紫外線ランプのように波長幅が広い紫外線を照射するものではなく、半値幅が狭い特定波長の紫外線を野菜及び果物に照射することによって、ホルメシス誘導効率を向上させることができる。
【0052】
また、光源部200は、多様な種類(または波長)の紫外線を発光できる紫外線発光ダイオードを含むことが好ましい。植物の種類及び照射される紫外線の種類によって刺激反応メカニズムにより植物で生成される生体防御物質の種類が互いに異なる。したがって、収納部130に収納される野菜または果物の種類及び野菜または果物で目的とする増加対象の健康機能性物質の種類によって紫外線の種類を選択的に照射する必要がある。したがって、光源部200は、第1波長帯域の光を発光する第1発光ダイオードグループ210、第2波長帯域の光を発光する第2発光ダイオードグループ220及び第3波長帯域の光を発光する第3発光ダイオードグループ230を含み、多様な波長の紫外線が選択的に野菜及び果物に照射され得る。特に、本発明の第1実施形態では、光源部200は、第1発光ダイオードグループ210は、320nm〜400nm波長帯域内で選択される互いに異なる特定波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、第2発光ダイオードグループ220は、290nm〜320nm波長帯域内で選択される互いに異なる特定波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含み、第3発光ダイオードグループ230は、200nm〜290nm波長帯域内で選択される互いに異なる特定波長の光を発光する発光ダイオードを1つ以上含むが、これに限定されない。
【0053】
紫外線の種類以外に、照射される紫外線の光量(または強さ)及び照射時間によっても植物の刺激反応メカニズムにより生成される生体防御物質の種類が変わる。したがって、光源部200によって照射される紫外線の種類をはじめとして、収納される野菜及び果物の種類によって光量(または強さ)及び照射時間が適切に調節される必要がある。したがって、本発明の野菜及び果物ホルメシス誘導装置は、収納された野菜及び果物の情報によって照射される光を制御する光照射制御部300を含むことができる。
【0054】
光照射制御部300は、収納部130に収納された野菜及び果物の情報によって、光源部200で発生する光の種類、量または照射時間を制御する。したがって、光照射制御部300は、光選択制御部310、光量制御部320及び時間制御部330を含むことができる。光選択制御部310は、収納部130に収納された野菜及び果物の種類に関する情報によって、第1発光ダイオードグループ、第2発光ダイオードグループまたは第3発光ダイオードグループに流される電流のオン/オフをそれぞれ独立的に制御する。光量制御部320は、収納部130に収納された野菜及び果物の量に関する情報によって、第1発光ダイオードグループ、第2発光ダイオードグループまたは第3発光ダイオードグループに流される電流の量をそれぞれ独立的に制御する。また、時間制御部330は、収納部130に収納された野菜及び果物の種類及び量に関する情報によって、電流を流す時間を制御する。
【0055】
野菜及び果物ホルメシス誘導装置は、収納部130内に収納される野菜及び果物の種類または量などの情報を入力する野菜及び果物情報入力部400をさらに含むことができ、野菜及び果物情報入力部400によって入力された野菜及び果物生体情報と目標生体情報の差を算出し、これに基づいて刺激の強さが決定されれば、光照射制御部300は、それによって光の種類、量及び照射時間を制御する。
【0056】
果菜類のホルメシス誘導装置は、野菜及び果物情報入力部400によって入力された野菜及び果物の種類または量などに関する情報を表示する野菜及び果物情報表示部500をさらに含むことができる。野菜及び果物情報表示部500は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、発光ダイオード(Light Emitting Diode:発光ダイオード)またはレーザーダイオード(Laser Diode)、タッチスクリーン(Touch Screen)であってもよい。但し、前記野菜及び果物情報表示部500は、実施の形態によって省略されてもよい。
【0057】
第2実施形態
紫外線に対する生物体、特に植物の刺激反応メカニズムは、常温より低い温度のコールド(cold)ストレスの下でさらに効果的に作動することが知られている。したがって、野菜及び果物が収納された空間内の温度が常温より高くなることを防止し、収納された野菜及び果物の種類によって適切なコールドストレスを加えて、植物の生体防御物質の生産効率を向上させることができる。
【0058】
図3は、本発明の第2実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置を示す斜視図である。図4は、図3の切断線II−II’に沿って取られた断面図である。
【0059】
第2実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置は、紫外線ストレスを加える第1実施形態の果菜類のホルメシス誘導装置にコールドストレスを加えることができる構成をさらに具備する。図3を参照すれば、本発明の果菜類のホルメシス誘導装置は、第1実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置に温度センサー部600、クーラー810、ヒーター860、温度情報入力部450、温度情報表示部550及び温度制御部700をさらに含むことができる。
【0060】
温度センサー部600は、保管ケース100内に位置し、保管ケース100の収納部130の内部温度情報を収集する。したがって、温度センサー部600の位置は、収納部130内の温度を測定することができる所なら、特に限定されない。本発明の第2実施形態で、温度センサー部600は、保管ケース100の下部面側の空間部140に位置し、収納部130内の温度情報を収集する。
【0061】
クーラー810及びヒーター860は、収納部130内に適当な温度のコールドストレスを加える。すなわち、クーラー810は、収納部130内の温度を下げる役目をし、ヒーター860は、収納部130内の温度を上げる役目をする。したがって、クーラー810及びヒーター860の位置は、収納部130内の温度を調節することができる所なら、特に限定されない。本発明の第2実施形態で、クーラー810及びヒーター860は、保管ケース100の側面側の空間部140に位置する。
【0062】
このように、保管ケース100内に収納部130内の温度を調節することができる構成(温度センサー部600、クーラー810及びヒーター860)が追加される場合、本発明の第2実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置は、温度情報入力部450、温度情報表示部550及び温度制御部700を含むことができる。
【0063】
温度情報入力部450は、収納される野菜及び果物の情報によって収納部130内の設定温度に関する情報を入力する手段である。
【0064】
温度制御部700は、温度情報入力部450によって入力された温度情報と温度センサー部600によって収集された温度情報を比較し、ヒーター及びクーラーのうちいずれか1つの作動を制御する。すなわち、温度センサー部600によって収集された収納部130内の温度が温度情報入力部450によって入力された温度より高ければ、クーラー810を作動させ、温度センサー部600によって収集された収納部130内の温度が前記温度情報入力部450によって入力された温度より低ければ、ヒーター860を作動させる。したがって、クーラー810とヒーター860は、ホルメシス誘導対象野菜及び果物の種類によって相互排他的に作動し、収納部130内の温度を適切に維持する。
【0065】
果菜類のホルメシス誘導装置は、温度情報入力部450によって入力された収納部130内の設定温度に関する情報を表示する温度情報表示部550をさらに含むことができる。温度情報表示部550は、野菜及び果物情報表示部500と同様に、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、発光ダイオード(Light Emitting Diode:発光ダイオード)またはレーザーダイオード(Laser Diode)、タッチスクリーン(Touch Screen)であってもよい。但し、温度情報表示部550は、実施の形態によって省略されてもよい。
【0066】
第3実施形態
本発明の果菜類のホルメシス誘導装置は、土壌に植栽された状態の生長中の果菜類にも適用されてもよい。
【0067】
図6は、本発明の第3実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置が装備されたビニルハウスの断面図である。
【0068】
第3実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置は、紫外線ストレスを加える第2実施形態の果菜類のホルメシス誘導装置の構成を生長中の果菜類に適用したものである。図6を参照すれば、本発明の果菜類のホルメシス誘導装置は、光源部200及び光照射制御部300、温度センサー部600、クーラー810、ヒーター860、温度情報入力部450、温度情報表示部550及び温度制御部700を含むことができる。
【0069】
光源部200、温度センサー部600、クーラー810、ヒーター860は、ビニルハウスの上部天井ないし側面部に位置することができる。光源部200は、ビニルハウス内に配置され、ビニルハウスの内部、すなわちビニルハウス内の生長中の果菜類に向けて互いに異なる波長の光を選択的に照射する。光照射制御部300は、ビニルハウスで生長中の果菜類の生体情報によって光源部200を制御し、光源部200でビニルハウス内部及び果菜類に向けて照射される光の種類、量及び照射時間を制御する。すなわち、果菜類のホルメシス誘導装置は、ビニルハウス内の果菜類の生体情報に基づいて、光照射制御部300が光源部200で照射される光の種類、量または照射時間を制御することによって、ビニルハウスで生長中の野菜及び果物でホルメシス誘導させる。
【0070】
光源部200は、第1波長帯域の光を発光する第1発光ダイオードグループ210、第2波長帯域の光を発光する第2発光ダイオードグループ220及び第3波長帯域の光を発光する第3発光ダイオードグループ230を含み、多様な波長の紫外線が選択的に野菜及び果物に照射されてもよい。また、第4波長帯域の光を発光する第4発光ダイオードグループをさらに含むことができる。
【0071】
温度センサー部600は、ビニル内の温度情報を収集する。したがって、温度センサー部600の位置は、ビニルハウス内の温度を測定できる所なら、特に限定されない。
【0072】
クーラー810及びヒーター860は、ビニルハウス内に適当な温度のコールドストレスを加える。すなわち、クーラー810は、ビニルハウス内の温度を下げる役目をし、ヒーター860は、ビニルハウス内の温度を上げる役目をする。したがって、クーラー810及びヒーター860の位置は、ビニルハウス内の温度を調節できる所なら、特に限定されない。本発明の第3実施形態で、クーラー810及びヒーター860は、ビニルハウスの上部天井ないし側面部に位置する。
【0073】
このように、ビニルハウス内の温度を調節できる構成(温度センサー部600、クーラー810及びヒーター860)が具備された場合、本発明の第3実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置は、温度情報入力部450、温度情報表示部550及び温度制御部700を含むことができる。
【0074】
温度情報入力部450は、果菜類の生体情報によってビニルハウス内の設定温度に関する情報を入力する手段である。
【0075】
温度制御部700は、温度情報入力部450によって入力された目標温度または設定温度情報と温度センサー部600によって収集された温度情報を比較し、ヒーター及びクーラーのうちいずれか1つの作動を制御する。すなわち、温度センサー部600によって収集されたビニルハウス内の温度が温度情報入力部450によって入力された目標温度または設定温度より高ければ、クーラー810を作動させ、温度センサー部600によって収集されたビニルハウス内の温度が温度情報入力部450によって入力された温度より低ければ、ヒーター860を作動させる。したがって、クーラー810とヒーター860は、ホルメシス誘導対象野菜及び果物の種類によって相互排他的に作動し、ビニルハウス内の温度を適切に維持する。
【0076】
果菜類のホルメシス誘導装置は、生長中の野菜及び果物の種類または量などの情報を入力する野菜及び果物情報入力部400をさらに含むことができ、野菜及び果物情報入力部400によって入力された野菜及び果物生体情報と目標生体情報の差を算出し、これに基づいて刺激の強さが決定されれば、光照射制御部300は、それによって光の種類、量及び照射時間を制御する。
【0077】
果菜類のホルメシス誘導装置は、野菜及び果物情報入力部400によって入力された野菜及び果物の種類または量などに関する情報を表示する野菜及び果物情報表示部500をさらに含むことができる。また、温度情報入力部450によって入力されたビニルハウス内の設定温度に関する情報を表示する温度情報表示部550をさらに含むことができる。野菜及び果物情報表示部500及び温度情報表示部550は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、発光ダイオード(Light Emitting Diode:発光ダイオード)またはレーザーダイオード(Laser Diode)、タッチスクリーン(Touch Screen)であることができる。但し、野菜及び果物情報表示部500は、実施の形態によって省略されてもよい。
【0078】
温度センサー部600で測定された生体情報は、インターフェースを通じて遠隔で外部機器に送信されてもよく、これに基づいて光照射制御部300及び温度制御部700は、遠隔でビニルハウス内に設置された光源部200、クーラー810、ヒーター860を制御することができる。
【0079】
第3実施形態では、野菜及び果物情報入力部400、野菜及び果物情報表示部500、光照射制御部300、温度情報入力部450、温度情報表示部550及び温度制御部700は、ビニルハウスの外部に位置することができ、入出力データを遠隔で伝送し受信し、温室内部の温度及び光照射量の条件を調節することができる。
【0080】
実施例
以上説明したように、本発明の第1、第2及び第3実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置は、野菜及び果物の種類によって紫外線の照射条件及び収納部または温室内の温度条件を適切に調節し、ホルメシスを誘導することによって、各野菜及び果物固有の生体防御物質(健康機能性物質)の含有量を向上させることができる。
【0081】
本発明の第1、第2及び第3実施形態による果菜類のホルメシス誘導装置を利用してブドウでホルメシスを誘導する場合、254nmの紫外線を1780μW/cm〜2300μW/cmの光量で、常温で30分間照射する。その後、0℃で10日間保管し、15℃で5日間保管する。このような紫外線を処理してホルメシスを誘導させれば、ブドウ内のレスベラトール(resveratrol)の含有量が約3倍程度向上する。レスベラトールは、抗癌及び抗酸化効能に優れた物質なので、本発明の果菜類のホルメシス誘導装置で紫外線及びコールドストレスによってホルメシスが誘導されたブドウは、健康機能性野菜及び果物として効用性が向上する。
【0082】
また、よもぎの場合、4.2kJ/mdの紫外線を14日間処理した結果、カロテノイド増加率は44.4〜55.5%、抗酸化酵素活性増加率は325%、アルテミシニン(artemisinin)増加率は1.75倍であり、フラボノイド(flavonoid)の増加が観察された。
【0083】
トマトの場合は、254nmの紫外線を13.7kJ/mで21日間照射した結果、リコピン増加率が1.4〜1.8倍に至った。
【0084】
その他、いちごの場合、抗酸化活性が増加したものが現われ、きのこのビタミンDの向上が認められ、スイートバジルとペパーミントの場合は、エッセンシャルオイル含有量の増加が認められ、きゅうりの場合、フェノール含有量及び抗酸化活性が増加したものが現われ、チェリーの場合、アントシアニンの増加が観察された。
【0085】
例示したブドウをはじめとした果菜類は、本発明の果菜類のホルメシス誘導装置を利用する一例に過ぎず、他の野菜及び果物に対して光照射条件及び温度条件を適切に調節することによって、多様な種類の健康機能性物質の含有量を向上させることができる。
【0086】
以上、本発明を好ましい実施形態及び実施例をあげて詳細に説明したが、本発明は、実施形態及び実施例に限定されず、本発明の技術的思想及び範囲内で当該分野における通常の知識を有する者によってさまざまな変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
100 保管ケース
110 内部ケース
120 外部ケース
130 収納部
140 空間部
200 光源部
210 第1発光ダイオードグループ
220 第2発光ダイオードグループ
230 第3発光ダイオードグループ
300 光照射制御部
310 光選択制御部
320 光量制御部
330 時間制御部
400 野菜及び果物情報入力部
450 温度情報入力部
500 野菜及び果物情報表示部
550 温度情報表示部
600 温度センサー部
700 温度制御部
810 クーラー
860 ヒーター
900 蓋体
910 蓋体内の空間部
920 蓋体の下部面
図1
図2
図3
図4
図5
図6