特許第6290906号(P6290906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6290906軟部組織を硬骨に固定するための固着システム及び軟部組織固着システムにおいて使用される挿入物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290906
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】軟部組織を硬骨に固定するための固着システム及び軟部組織固着システムにおいて使用される挿入物
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20180226BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20180226BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61F2/08
   A61L27/00
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-536971(P2015-536971)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公表番号】特表2015-533572(P2015-533572A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】US2013064706
(87)【国際公開番号】WO2014059378
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年10月3日
(31)【優先権主張番号】61/713,230
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509117883
【氏名又は名称】カイエン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベアード、ケビン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー、デレク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ネイスン、ケビン エス.
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0288566(US,A1)
【文献】 特表2007−533371(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0211543(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0149266(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0281325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56−17/92
A61F 2/08
A61F 2/28− 2/46
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟部組織を硬骨に固定するための固着システムであって、
硬骨への固定用の本体を有する埋植物と、
該埋植物の本体に取り付けられたナノファイバー材料を含んでなり、かつ、軟部組織と接触するための拡張表面を有している挿入物と、を含んでなり、
挿入物の拡張表面は、前記ナノファイバー材料で形成されたヘッドを含んでなり、該ナノファイバー材料は可撓性であって該ヘッドが展開されていない収縮配置状態から展開された拡張配置状態へと拡張可能であるようになっており、
挿入物は、埋植物の本体への固定のために前記ヘッドから先端側へと延びる部分をさらに含んでなり、
挿入物の先端側部分はチューブ状の材料を含んでなり、前記ヘッドは該チューブ状の材料の基端から延びる複数のストリップを含んでなる、固着システム。
【請求項2】
埋植物は、周囲の硬骨の内側に埋植物を固定するための外部表面形体をさらに含んでなる、請求項1に記載の固着システム。
【請求項3】
外部表面形体はねじ山を含んでなる、請求項2に記載の固着システム。
【請求項4】
挿入物の先端側部分は前記ナノファイバー材料を含んでなる、請求項に記載の固着システム。
【請求項5】
前記ナノファイバー材料は単相である、請求項1に記載の固着システム。
【請求項6】
軟部組織固着システムにおいて使用される挿入物であって、
固着されるべき軟部組織に係合するための拡張表面を有する拡張部分と、
該拡張部分を硬骨アンカーに固定するための第2の部分と、
を含んでなり、
挿入物の拡張部分はナノファイバー材料を含んでなり、
挿入物の拡張表面は前記ナノファイバー材料で形成されたヘッドを含んでなり、該ナノファイバー材料は可撓性であって該ヘッドが処置部位への挿入のために展開されていない収縮配置状態から展開された拡張配置状態へと拡張可能であるようになっており、
第2の部分は、硬骨アンカーの本体に固定するために前記ヘッドから先端方向へと延在し、
挿入物の先端側部分はチューブ状の材料を含んでなり、前記ヘッドは該チューブ状の材料の基端から延びる複数のストリップを含んでなる、挿入物。
【請求項7】
挿入物の第2の部分は前記ナノファイバー材料を含んでなる、請求項に記載の挿入物。
【請求項8】
前記ナノファイバー材料は単相である、請求項に記載の挿入物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器に関し、特に、ナノファイバー材料を使用して軟部組織を修復するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
回旋腱板の修復は肩部で実施される最も一般的な外科的修復であり、2006年の時点で米国では年間270,000例を超える修復が実施され、その数は高齢人口の増加と同じくして毎年増加すると予想される。回旋腱板修復手技の進歩は主に、オープン(観血)法による修復(open repair)から、ミニオープン法による修復(mini−open repair)への、さらに最近では完全に関節鏡下での修復への移行に集中してきた。さらに、ゼロ時点における機械的性質を改善するために、かつ、癒合率の向上を期待して、回旋腱板の生来の母床(footprint)付着部(insertion)をより良好に再建するための縫合パターン又は関節鏡下修復における進歩がなされてきた。
【0003】
外科手術手技の向上にもかかわらず、術後の超音波又はMRIから証明される癒合率は広く様々であり、小さな裂傷における91%の癒合率から、最も大きな裂傷におけるわずか10%の癒合率までの範囲にわたっている。癒合率は、生来の硬骨と腱との解剖学的接触面が不適切に再建されることに起因して低いと考えられている。
【0004】
接触面の癒合を改善するために、間葉系幹細胞、異種移植片、同種移植片、及び無細胞のナノファイバースカフォールドを含む、様々な技法が使用されてきた。ナノファイバー技術における進歩は、数多くの軟部組織損傷の硬骨と組織との接触面癒合の改善において見込みがあり、他の提案された方法に優るいくつかの利点を有している。調達、スケーラビリティ、使い易さ、及び目下実施される外科的修復方法との統合という論点は、ナノファイバースカフォールドを支持している。
【0005】
無細胞性増生デバイスの使用は動物モデルにおいて評価されており、動物に対する安全性及び軟部組織癒合の改善における有効性が実証されている。ヨコヤ(Yokoya)らの非特許文献1は、日本白色ウサギの棘下筋腱の回旋腱板修復物を増生するためにポリグリコール酸(PGA)シートを使用し、線維軟骨の層状化における組織学的改善及び対照の腱と比較した場合の抗張力における軽微な改善を示している。フナコシ(Funakoshi)らの非特許文献2は、合成の細胞外マトリックスが日本白色ウサギの回旋腱板の裂傷に外科的に適用されたときの線維芽細胞の存在の増加及びコラーゲンの形成を実証した。マクギリヴレイ(MacGillivray)らの非特許文献3は、ヤギでポリ乳酸のパッチを使用し、動物への安全性を示したが治療群と対照群との間の差は微小であった。ポリL‐ラクチド製織デバイスを使用する同様の実験は、イヌのモデルにおいてダーウィン(Derwin)らにより実施された(非特許文献4)。各々の棘下筋腱の一部分が回旋腱板から取り出され、次いで両肩部において修復がなされた。一方の肩部では、ポリL‐ラクチド製織デバイスが修復部を覆って配置された。他方の肩部では、修復部は増生されないままとなされた。増生された回旋腱板修復部は、反対側の未処理の回旋腱板修復部と比較して、腱退縮がより少なく、強度がより大きく、かつ剛性がより高いという結果を生じた。
【0006】
組織‐硬骨接触面の癒合を改善する試みでは、無細胞性ナノファイバースカフォールドが研究されてきた。ナノファイバースカフォールドは、典型的にはよく知られた生物学的性質を備えた材料から作製される。例えば、ポリ‐ラクチド‐コ‐グリコリド(PLGA)は吸収性の縫合糸及び医療用具において一般に使用される材料である。PLGAは電気紡糸によりナノファイバーシートへと形作られることが可能であり、該シートは次いで外科的組織修復の際に裂傷した腱とその下にある硬骨添着部位との間に間置されることが可能である。加えて、非吸収性の他のポリマーが同様にナノファイバースカフォールドとして使用されてきた。このようにして使用されるとき、ナノファイバーは張力を受ける構造用移植片として作用しているのではないことに注意がなされるべきである。間置されたファイバーは、宿主細胞の内部成長を支持するためのスカフォールドとして使用されるにすぎない。
【0007】
モファット(Moffat)らの非特許文献5は、整列型のナノファイバーシートが線維芽細胞の形成及び機械的性質の改善を促進する可能性について研究するためにin vivoモデルを使用した。モファットらが見出したのは、「整列型のナノファイバースカフォールドの機械的性質は、整列していないものよりも有意に高く、該スカフォールドはin vitroで分解するが生理学的に適切な機械的性質は維持されること。これらの観察は、機能的な回旋腱板修復のためのPLGAナノファイバー系スカフォールドシステムの可能性を実証していること。さらに、ナノファイバーの組織化は細胞の応答及びマトリックスの性質に大きな効果を有し、かつそれはスカフォールド設計の重大なパラメータであること」である。最良のナノファイバー構造:単相、二相、又は三相に関しては若干の論議が存在する。
【0008】
モファット、ダーウィン、マクギリヴレイ、フナコシ及びその他によって研究されたようなシート状材料の埋植は、オープン法での外科的処置を必要とする。回旋腱板修復のための現在の標準治療は関節鏡下での処置であり、1996年の全ての回旋腱板修復例の10パーセント未満から、2006年の全ての回旋腱板修復例のほぼ60パーセントまで、増加している。この傾向は過去6年間継続しており、現在の推定では回旋腱板修復例の85%超が関節鏡下で実施されていることが示唆される。モファットが述べたようなデバイス及び材料のうち少なくともいずれかによって潜在的に提示される、処置のさらなる改善は、広く受け入れられるためには関節鏡下での埋植方法と両立可能でなければならない。
【0009】
回旋腱板修復手術は、過去15年の間に主にオープン法での処置を用いた実施から関節鏡下での処置へと発展してきた。現在の最先端の関節鏡下での処置は一般に、以下の手法:
a)図1に示されるように、単列の縫合糸アンカー1が回旋腱板の腱2の真下にあり、縫合糸は腱を通して通過せしめられ、かつ、腱を硬骨3に固着するためにしっかり結紮される手法;
b)図2に示されるように、二列の縫合糸アンカー1が回旋腱板の腱2の真下にあり、縫合糸は腱を通して通過せしめられ、かつ、腱を硬骨に固着するためにしっかり結紮される手法;
c)図3に示されるように、単列の縫合糸アンカー1が回旋腱板の腱2の真下にあり、縫合糸は腱を通して通過せしめられ、しっかり結紮され、ノットからの縫合糸は腱の上に横方向に延び、かつ、腱の縁の外側にあるノットレスの縫合糸アンカー4を用いて硬骨3に固定される手法
のうちの1つを利用する。
【0010】
上記に列挙されかつ図1〜3に示された3つの処置群の間の転帰の差を示すような、前向き無作為化研究は発表されておらず、また、外科手技の進歩にもかかわらず、術後の超音波又はMRIから証明されるような失敗率(硬骨に癒合していない腱として定義される)は広く様々となっており、小さな裂傷における9%から、最も大きな裂傷における90%までの範囲にわたっている。癒合の失敗は、生来の硬骨と腱との解剖学的接触面の不適切な再建に起因すると考えられる。
【0011】
接触面の癒合を改善するために、間葉系幹細胞、異種移植片、同種移植片、及び無細胞のナノファイバースカフォールドを含む、様々な技法が使用されてきた。ナノファイバー技術における進歩は、数多くの軟部組織損傷の硬骨と組織との接触面癒合の改善において見込みがあり、他の提案された方法に優るいくつかの利点を有している。調達、スケーラビリティ、使い易さ、及び目下実施される外科的修復方法との統合という論点は、ナノファイバースカフォールドを支持している。
【0012】
現行の関節鏡下で配置される縫合糸アンカー埋植物をナノファイバースカフォールドと組み合わせる、本明細書中に開示かつ記載される生成物は、外科医が現行の関節鏡下の方法を使用して回旋腱板を修復することを可能にするであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ヨコタ(Yokoya)ら、「ウサギ回旋腱板損傷モデルにおけるポリグリコール酸シートを使用した腱‐硬骨付着部の修復及び再生(Tendon−Bone Insertion Repair and Regeneration Using Polyglycolic Acid Sheet in the Rabbit Rotator Cuff Injury Model)」、アメリカン・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(American Journal of Sports Medicine)、2008年、第36巻、第7号、p.1298−1309
【非特許文献2】フナコシ(Funakoshi)ら、「無細胞性マトリックスとしてキチン製織物を使用する回旋腱板の再生(Rotator Cuff Regeneration Using Chitin Fabric as an Acellular Matrix)」、ジャーナル・オブ・ショルダー・アンド・エルボー・サージェリー(Journal of Shoulder and Elbow Surgery)、2006年、第15巻、第1号、p.112−118
【非特許文献3】マクギリヴレイ(MacGillivray)ら、「ヤギにおいて生体吸収性スカフォールドを用いて増生された回旋腱板欠損モデルの生体力学的評価(Biomechanical Evaluation of a Rotator Cuff Defect Model Augmented with a Bioresorbable Scaffold in Goats)」、ジャーナル・オブ・ショルダー・アンド・エルボー・サージェリー(Journal of Shoulder and Elbow Surgery)、2006年、第15巻、第5号、p.639−644
【非特許文献4】ダーウィン(Derwin)ら、「ポリL‐ラクチド製織デバイスの使用を伴うイヌモデルにおける回旋腱板修復増生(Rotator Cuff Repair Augmentation in a Canine Model with Use of a Woven Poly−L−Lactide Device)」、ジャーナル・オブ・ボーン・アンド・ジョイント・サージェリーA(Journal of Bone and Joint Surgery A)、2009年、第91巻、第5号、p.1159−1171
【非特許文献5】モファット(Moffat)ら、「回旋腱板の修復及び増生のための新規なナノファイバー系スカフォールド(Novel Nanofiber−Based Scaffold for Rotator Cuff Repair and Augmentation)」、ティシュー・エンジニアリング・パートA(Tissue Eng Part A)、2008年、第14巻、p.1−12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記した問題を解決することができる修復システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
上述したように、本発明は、ナノファイバースカフォールド材料と関節鏡下で展開配置可能な縫合糸アンカーとの組み合わせであり、軟部組織‐硬骨間の修復を改善するように意図されている。縫合糸アンカーは一般的な関節鏡下の外科手技を使用して骨トンネルの中に展開配置される。ナノファイバー材料は、展開配置されると、骨トンネル内の位置から、該埋植物の基端の外に出て、該材料の硬骨表面より外側の部分へと延在する。埋植物はさらに、あらかじめ装着された縫合糸を備えているか、又は、縫合糸を受け取って該埋植物に繋止する能力を有している。縫合糸があらかじめ装着された埋植物については、該埋植物は硬骨内に配置され、材料は硬骨の表面上でアンカーより上方に展開配置され、縫合糸は軟部組織を通過せしめられ、硬骨と組織との間に該材料を挟置しつつ硬骨に対して組織を固定するためにノットが施される。ナノファイバー材料を備えた縫合糸アンカーは、少なくとも次の点:
a)本発明のシステムにおける該材料が、骨髄から軟部組織‐硬骨接触面への細胞の通路を提供して、癒合応答を加速及び促進するという点;
b)本発明のシステムが、細胞が容易に接着する生体模倣構造を提供するという点;
及び
c)本発明のシステムが、縫合糸アンカーのみを用いるよりも大きな癒合母床を作出するという点
において現行の修復を改善する。
【0016】
より具体的には、軟部組織を硬骨に固定するための固着システムであって、硬骨への固定用の本体を有する埋植物と、該埋植物の本体に取り付けられたナノファイバー材料を含んでなり、かつ、軟部組織と接触するための拡張表面を有している挿入物とを含んでなる、システムが開示される。埋植物は、周囲の硬骨の内側に埋植物を固定するための、外部表面形体(例示の実施形態ではねじ山)をさらに含んでなる。挿入物の拡張表面は、ナノファイバー材料で形成されたヘッドを含んでなり、該ナノファイバー材料は可撓性であって該ヘッドが展開されていない収縮配置状態から展開された拡張配置状態へと拡張可能であるようになっている。
【0017】
挿入物は、アンカー本体への固定のためにヘッドから先端側へと延びる部分をさらに含んでなる。この挿入物の先端側部分はチューブ状の材料を含んでなり、ヘッドは該チューブ状の材料の基端から延びる複数のストリップを含んでなる。挿入物の先端側部分はナノファイバー材料を含んでなり、該材料は1つの実施形態では単相である。
【0018】
本発明の別の態様では、軟部組織固着システムにおいて使用される挿入物が開示される。該挿入物は、固着されるべき軟部組織に係合するための拡張表面を有する拡張部分と、該拡張部分を硬骨アンカーに固定するための第2の部分とを含んでなる。挿入物の拡張部分はナノファイバー材料を含んでなる。挿入物の拡張表面はナノファイバー材料で形成されたヘッドを含んでなり、該ナノファイバー材料は可撓性であって該ヘッドが処置部位への挿入のために展開されていない収縮配置状態から展開された拡張配置状態へと拡張可能であるようになっている。第2の部分は、硬骨アンカーの本体に固定するためにヘッドから先端方向へと延在する。挿入物の先端側部分はチューブ状の材料を含んでなり、ヘッドは該チューブ状の材料の基端から延びる複数のストリップを含んでなる。挿入物の第2の部分はナノファイバー材料を含んでなり、1つの実施形態では、該ナノファイバー材料は単相である。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、硬骨に軟部組織を固定する方法であって、本体を有する埋植可能なアンカーを所望の硬骨部位へ挿入するステップ、該アンカーに固定されたナノファイバー挿入物の一部を拡張形態へ展開するステップ、及び軟部組織がナノファイバー挿入物の拡張部分に係合するように軟部組織を硬骨へと接近させるステップ、を含んでなる方法が開示される。
【0020】
挿入するステップは、埋植可能なアンカーの本体を骨トンネル内に配置することと、アンカー本体上の外部形体を隣接した硬骨と係合せしめることにより適所に該本体を固定することとを含んでなる。接近させるステップは、アンカー本体から軟部組織を通って延びる縫合糸を、軟部組織を硬骨の極めて近くへと引き寄せるために牽引することと、次いで縫合糸の自由端にノットを施すこととを含んでなる。展開するステップは、ナノファイバー挿入物の部分を拘束するシースを除去して該部分がその拡張形態へと拡がるようにすることを含んでなる。
【0021】
本発明は、その追加の特徴及び利点と共に、以下の説明を添付の実例となる図面と併せて参照することにより最も良く理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】回旋腱板を修復するための第1の先行技術の手法の概略図。
図2】回旋腱板を修復するための第2の先行技術の手法の概略図。
図3】回旋腱板を修復するための第3の先行技術の手法の概略図。
図4】本発明の原理に従って軟部組織を修復するためのシステム及び方法についての概略平面図。
図5図4に示されたシステムの等角図。
図6A】本発明によるナノファイバーデバイスの1つの実施形態の等角図。
図6B図6Aのデバイスの平面図。
図6C図6A及び6Bのデバイスの上面図。
図7A】本発明によるナノファイバーデバイスの別の実施形態の等角図。
図7B図7Aのデバイスの平面図。
図7C図7A及び7Bのデバイスの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好ましい実施形態の説明
ここで図4〜7Bをより具体的に参照すると、本発明のシステム及び方法は、縫合糸アンカーに組み込まれて標準的な関節鏡下外科手技を使用して硬骨内に展開配置されるナノファイバー材料を利用する。展開配置されると、該材料は軟部組織と硬骨との間に位置する。
【0024】
図4及び5は、本発明による軟部組織固着システム10の実装を例証している。図示されているのは、固着システム10を使用して硬骨14の一部に取り付けられることになる軟部組織12の一部である。軟部組織12は、図1〜3と共に上記に議論されるように、上腕骨に固定されることになる回旋腱板腱を含んでいてもよい。或いは、本発明は、硬骨への軟部組織の取り付けが望まれる任意の他の部位に等しく適用可能である。骨トンネル16が硬骨14に作出されて、縫合糸アンカー18は、図のように、一般的な外科手技を使用して骨トンネル16の内側に配置されるが、該外科手技は関節鏡下であってもそうでなくてもよい。図中の縫合糸アンカー18は、トンネル16の内側でアンカー18を適所に止着するために該トンネルの壁を形成している隣接した硬骨と係合するためのねじ山20又はその他の適当な構造を有する、中空のアンカー本体を含んでなる。この種のコルクスクリュー型縫合糸アンカーは当分野において良く知られている。他の適当な種類の縫合糸アンカーも使用されうる。縫合糸アンカーはさらに、該アンカーに縫合糸24を固定するためのアイレット22又はその他の適当な構造も有し、縫合糸は軟部組織12を貫通してノット26又はその他の適当な手段によって軟部組織に固定される。よって、軟部組織12は、縫合糸24の自由端を軟部組織12に対して貫通させて、骨トンネル16の内側にアンカー18を固定し、軟部組織12が隣接した骨14に接近せしめられるまで縫合糸24を牽引し、次いで軟部組織を適所に固定するために縫合糸のノット26を作出することにより、隣接した硬骨14に固定される。この基本的手技は当分野において良く知られている。
【0025】
本発明のシステムは、ナノファイバー材料で構成されている部材又は挿入物28を含んでなる。より具体的には、ナノファイバー材料は、1つの実施形態では、本願の背景の部分で議論された先行技術の参照文献に記載されるような当分野で知られた単相のナノファイバースカフォールドである。別例として、参照により全体が本明細書に明確に組み込まれるルー(Lu)らの米国特許出願公開第2010/0292791号明細書に開示及び記載されるような、多相のナノファイバースカフォールドが使用されてもよい。ナノファイバースカフォールド部材28はアンカー18の中空の中心部を通って骨トンネル16の中へ延びて、組織と硬骨との間の表面積の接触を最大限にするように硬骨表面において外側に向かって拡がる。
【0026】
材料の形態及び展開配置
本発明のナノファイバー部材28がとりうる数多くの形態が存在する。2つのそのような代替例が、図6A〜6C及び図7A〜7Cにそれぞれ例証されている。各形態は展開配置された状態の材料を示している。硬骨内へのアンカーの展開配置に先立って、該材料は埋植物挿入具シャフトの周囲に円筒状に丸められ、チューブ状のシースによって適所に保持(及び保護)される。これにより、従来の関節鏡下外科手技の使用で硬骨内に埋植物を配置することが可能になる。埋植物が硬骨内に配置されてしまえば、シースは引き戻され、ナノファイバー材料は組織と硬骨との間の表面積の接触を最大限にするために拡開せしめられる。
【0027】
材料の配向
ナノファイバー材料は、ファイバーがランダムな配向に組織化されるか(非整列型)又は一方向に整列されて(整列型)、製造可能である。縫合糸アンカーと結合されるときにファイバーの整列が重要である、3つの主要な理由が存在する:
a)モファット(Moffat)により示されるように、整列したファイバーはより速い細胞の増殖及び移動のための経路を提供する。現在好ましい1つの形態は、骨髄から硬骨表面への細胞の移動の方向にアンカー内で軸方向に整列したファイバーを備えたスカフォールドを有する。
【0028】
b)ファイバーの配向は修復されている組織を模倣するように制御可能である。例えば、回旋腱板(棘上筋)は直線的に配向した線維を有する。棘上筋に触れるスカフォールド材料は、組織と同じ方向に整列したファイバーを有することにより、より速くより完全な組織の内部成長を促進することができる。挿入具又はアンカーに印を付けることにより、組織に対する材料の適正な整列を容易にすることができる。
【0029】
c)ファイバーの配向は、スカフォールド材料の機械的強さを決定する。整列した材料は、ファイバーの方向に高い抗張力を有し、かつ、ファイバーに垂直な方向に弱い抗張力を有する。非整列型の材料は、垂直な2方向に引っ張られた整列型の材料の抗張力の中間の抗張力を示す。材料は、必要に応じて強さを高めるような方法でアンカー内において構築及び配向されることが可能である。
【0030】
材料の取り付け
材料を埋植物に取り付けることのできるいくつかの方法がある。縫合糸があらかじめ装着された埋植物については、材料は縫合糸と同じアイレットに巻き付けられてもよいし、第2のアイレットの周りに通されてもよい。取り付けのための別の方法は、滑り止め、スクリュー又は柱状部(post)を使用して材料をアンカーに機械的に締結することである。材料は埋植物の左右半分の間に挟持されてもよい。材料はノット又は接着剤を使用して埋植物の一部分に取り付けられてもよい。材料は溶剤を使用して埋植物に接合されてもよい。
【0031】
上記に言及されたように、本発明のシステムの2つの典型的な実施形態はそれぞれ図6A〜6C及び7A〜7Cに例証されている。各実施形態において、ナノファイバー挿入物28は、挿入物28をアンカー18に取り付けるための先端側部分又はシャフト30と、基端側ヘッド32とを含んでなる。図4及び5に示されるように、挿入物28は、縫合糸アンカーが展開配置されたとき、図のように、先端側部分30が縫合糸アンカー18を通って延びるように配置される。先端側部分30の基端は、アンカー本体の基端よりも基端側へと延び、ヘッド32は、図のように挿入物の先端側部分の基端に配置される。
【0032】
図6A〜6Cは、挿入物の先端側部分30がチューブ状の材料を含んでなる実施形態であって、該チューブ状の材料は、該材料が展開配置されて図のように放射状に拡開せしめられて、基端側ヘッド32を形成して組織と硬骨との間の表面の接触を増大するのを可能にするために、基端部に切り込まれたストリップ34を備えている、実施形態を例証している。該チューブは、埋植物に固定される先端側部分30を含んでなる。図7A〜7Cは、挿入物28が展開配置状態において型打ち加工されたシート材料を含んでなる代替実施形態を例証している。細長い部分は、硬骨内に展開配置される埋植物の内側に配置される先端側部分30を形成する。
【0033】
追加の実施形態及び適用
本発明の追加の実施形態は、先述のような埋植物であって、ナノファイバー材料が基端部のみに止着されたものである(基端側は埋植物の軟部組織に隣接する端部として定義され、先端側は埋植物の硬骨中にある最も遠い端部として定義される)。ナノファイバー材料は、埋植物の基端部の表面積だけをカバーするか、又は場合により、さらに基端側に、及び埋植物の中心軸から離れて放射方向に、のうち少なくともいずれか一方に延びる。
【0034】
本発明の別の追加の実施形態は、先述のような埋植物であって、ナノファイバー材料が、接着剤を用いて、又は溶剤接合によって、機械的に止着されたものである。
本発明のさらに別の追加の実施形態は、先述のような埋植物であって、埋植物に材料を取り付ける方法が埋植物及び材料に取り付けられた縫合糸テザーの使用によるものである。材料は止着されてもよいし、可動式であってもよい。材料が配置状態へ移動せしめられることを可能にするためには、該縫合糸は、外科医が縫合糸の自由端を引き寄せると該縫合糸が材料を埋植物の近くに移動させることにより、外科医が材料を所望の場所に位置決めすることが可能になるように、構成される。埋植物に対する材料の配置状態は、硬骨内への埋植物の挿入に先立って、又は埋植物が硬骨内に展開配置された後で、確定される。材料が配置状態になれば、該材料はその場に繋止されるか、又は可逆的に移動可能である。これは、2以上の埋植物に組み込まれて、該材料が2以上の埋植物の間の硬骨上の、外科医によって決定された調整可能な位置に配置されることを可能にすることもできる。
【0035】
本発明のさらに別の追加の実施形態は、先述のような埋植物であって、ナノファイバー材料が埋植物の中心軸に沿って埋植物内部に包含されるものである。該材料は、埋植物の先端側チップ又はその近くに、及び基端部、その近く、又は基端部を越えて、延在する。
【0036】
本発明の別の追加の実施形態は、先述のような埋植物であって、材料が埋植物の外部又は外部チャネルの内側にも含まれうるものである。
本発明のさらに別の追加の実施形態は、先述のような2以上の埋植物であって各埋植物の間に張られたナノファイバー材料の架橋部を備えたものである。この形態は、埋植物の内側に、又は埋植物の外側に沿ってナノファイバー材料が組み込まれた、各埋植物に固着されたナノファイバー材料のブランケットとして最もよく説明される。
【0037】
本発明の他の適用には、限定するものではないが、軟部組織が例えば膝、肩、足、足首、肘、手首、手、脊椎、及び腰のような位置の硬骨に外科手術又は関節鏡下にて再添着される場合の適用が挙げられる。本発明を利用することが考えられる外科専門分野には、スポーツ医学、外傷、脊椎、足及び足首、手、腰、並びに四肢が含まれる。
【0038】
モファット(Moffat)他は、ナノファイバースカフォールドの使用が整列型及び非整列型のいずれの配向においても細胞の接着及び増殖を促進することを示している。本発明は、標準的な関節鏡下での処置を使用して埋植可能な現在の最先端の縫合糸アンカーにナノファイバースカフォールドをあらかじめ取り付けることにより、外科医にとっての該スカフォールドの使い易さを向上させる。
【0039】
関節鏡外科医は自身の外科手術処置を複雑にすることを望まない。モファット(Moffat)により提案されるようなシート型のナノファイバースカフォールドの価値は、外科医が関節鏡下での処置に対してオープンでの外科的処置を必要とする製品を使用したがらないであろうという事実から、実質的に損なわれることになろう。本発明は、ナノファイバースカフォールドの関節鏡下での使用を容易にし、該スカフォールドの価値を数倍高める可能性がある。
【0040】
従って、本発明の典型的な実施形態について示しかつ説明してきたが、当然ながら、本明細書中で使用されたすべての用語は限定ではなく説明のためであり、かつ、数多くの変更形態、改変形態、及び代替形態が、添付の特許請求の範囲に従ってのみ限定されるべき本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって作製されうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C