特許第6290908号(P6290908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290908
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】断面が変化するステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/86 20130101AFI20180226BHJP
   A61F 2/89 20130101ALI20180226BHJP
   A61F 2/88 20060101ALI20180226BHJP
   A61F 2/07 20130101ALI20180226BHJP
   A61F 2/82 20130101ALI20180226BHJP
【FI】
   A61F2/86
   A61F2/89
   A61F2/88
   A61F2/07
   A61F2/82
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-539625(P2015-539625)
(86)(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公表番号】特表2015-536182(P2015-536182A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】US2013063862
(87)【国際公開番号】WO2014066032
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】61/718,500
(32)【優先日】2012年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/047,599
(32)【優先日】2013年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント エル.ペルコ
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−501274(JP,A)
【文献】 特表2002−530146(JP,A)
【文献】 特開2010−269161(JP,A)
【文献】 特表2008−546452(JP,A)
【文献】 米国特許第03868956(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分に沿って楕円形断面と第2部分に沿って非楕円形断面とを持つワイヤを有するステントを備える埋植式器具であって、
前記ワイヤが1つ又は複数のコイルを形成し、各コイルは直線的区分によって相互接続された一連の頂点エリアを持つ波形パターンを有し、
記非楕円形断面が、ステントの隣接するコイルの一連の頂点エリアのいずれかの他の頂点エリアに当接していない一連の頂点エリアの各頂点エリアを持つ波形パターンの一連の頂点エリアの各頂点エリアに位置しており、
前記一連の頂点エリアは、1つ又は複数のコイルの少なくとも1周にわたって伸びており、そして
前記波形パターンの一連の頂点エリアの前記頂点エリアに隣接して位置しているワイヤの各直線的区分が、楕円形断面を含むことを特徴とする、埋植式器具。
【請求項2】
記楕円形断面が円形であることを特徴とする、請求項1に記載の埋植式器具。
【請求項3】
記非楕円形断面が長方形であることを特徴とする、請求項1に記載の埋植式器具。
【請求項4】
記非楕円形断面が第1部分の断面の平坦化形状であることを特徴とする、請求項1に記載の埋植式器具。
【請求項5】
前記第2部分がグラフト材料に取り付けられているか、あるいは、前記第1部分がグラフト材料に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の埋植式器具。
【請求項6】
前記第2部分が開口を有することを特徴とする、請求項1に記載の埋植式器具。
【請求項7】
さらに前記第2部分を有するコイルに隣接するコイルの第3部分を備え、前記第3部分が非楕円形断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の埋植式器具。
【請求項8】
埋植式器具が潰れ状態のとき、前記第3部分が前記第2部分と接触しているか、あるいは前記第3部分が前記第2部分に隣接し、かつこれに重なっていることを特徴とする、請求項7に記載の埋植式器具。
【請求項9】
グラフトを含み、前記ステント及びグラフトの少なくとも一方が生理活性剤でコーティングされていることを特徴とする、請求項1に記載の埋植式器具。
【請求項10】
ステントを形成する方法であって、
円形断面を有するワイヤを供給するステップと、
楕円形断面を形成するように前記ワイヤの第1部分を変化させるステップと、
前記ワイヤを直線的区分によって相互接続された一連の頂点エリアを持つ波形パターンを含む1つ又は複数のコイルに形成させることによって、前記ワイヤを管状形ステントに形成するステップと、を含み、
ここで、前記非楕円形断面が、管状形ステントの隣接するコイルのいずれかの他の頂点エリアに当接していない頂点エリアを持つ波形パターンの一連の頂点エリアの各頂点エリアに位置しており、
一連の頂点エリアのそれぞれが、前記管状形ステントの隣接するコイルの一連の頂点エリアのいずれかの他の頂点エリアと末端間で当接しておらず、
前記一連の頂点エリアは、1つ又は複数のコイルの少なくとも1周にわたって伸びており、そして
前記波形パターンの一連の頂点エリアの前記頂点エリアに隣接して配置されたワイヤの各直線的区分が、楕円形断面を含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
記楕円形断面が円形であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
記非楕円形断面が長方形であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
記非楕円形断面が第1部分の断面の平坦化形状であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
さらにグラフト材料を前記非楕円形断面に取り付けるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
さらに前記非楕円形断面に開口を形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略的には腔内器具に関し、明確に言うと断面が変化する構成部品を有するステントなどの腔内器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ステント、グラフト、フィルタ、弁、アンカー、オクルダー及びその他の埋植式器具などの腔内器具は、人間の患者の脈管を治療するためにしばしば使用される。この種の器具は、しばしばステントを備えるフレームを含み、ステントは単独で又はグラフト又はフィルタ材料など他の材料に関連して使用できる。ステントは、異なる運動方向において変化する柔軟度及び/又はその長さに沿った様々な点においてより小さいプロフィルを持つことが望ましい。従って、このような特徴を与えるステントが必要とされる。
【0003】
添付図面は、開示をより良く理解するために提示され、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本開示の実施形態を例示し、説明と一緒に本開示の原則を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】螺旋ステントの斜視図である。
図1B】複数のリングから成るステントの斜視図である。
図2】様々な楕円形断面形状を示す。
図3】様々な非楕円形断面形状を示す。
図4A】ステントの頂点エリアの拡大図及びその断面図である。
図4B】断面形状が図4Aの断面形状から変化した後のステントの頂点エリアの拡大図及びその断面図である。
図5】ステントの直線的区分の斜視図である。
図6】ステントの2つの重なる頂点エリアの拡大図及びその断面図である。
図7】重なり頂点エリアを持つステントの曲げの断面図である。
図8】実質的に連続的側面及び対向する実質的に非連続的側面を有するステントを形成するためのワイヤの部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者は、本開示の様々な形態が、意図される機能を果たすように構成された任意の数の方法及びシステムによって実現できることが、分かるだろう。言い換えると、他の方法及びシステムを、意図される機能を果たすために本出願に組み込める。また、本出願において参照する添付図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な形態を図解するために誇張する場合があり、この点に関して、図面は、限定的であると見なすべきではない。最後に、本開示は様々な原則及び考えに関連して説明できるが、本開示は、理論によって拘束されるべきではない。
【0006】
ステント、グラフト、フィルタ、弁、アンカー、オクルダー及びその他の埋植式器具などの腔内又は埋植式器具は、人間の患者の脈管を治療するためにしばしば使用される。このような治療又は処置は、一般に腔内又は脈管内処置と呼ばれる。ステント及びステントグラフトを含めて腔内器具は、局部的な血流狭窄、脈管壁の弱体化、動脈瘤などを防止又はこれらに対処するために脈管に挿入されて脈管を開放及び/又は維持するルーメンを形成する概ね管状の構造体である。
【0007】
例えば、いくつかの実施形態において、図1A又は1Bに図示するようなステント100は、1本又はそれ以上のワイヤ102を含み、ワイヤは、単独で、又は既知の又は未知の各種グラフト又はフィルタ材料103に関連して使用できる。例えば、この種のグラフト又はフィルタ材料103は、例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFR)、ポリエステル、ポリウレタン、パーフルオロエラストマーなどのフッ素重合体、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維及びこれらの組合せなど任意の数の生体適合性材料を含むことができる。
【0008】
様々な実施形態において、ステント100は、「螺旋」形のワイヤ102を備えることができ、概ね直線的区分116によって相互接続された角頂点エリア106を持つ波形パターン(図1A)など、長さに沿って別の各種のパターンを含むことができる。別の実施形態において、ステント100は、1つ又はそれ以上の1つ又はそれ以上のワイヤリング102を備えることができる(図1B)。様々な実施形態において、ステント100は、所望の脈管治療のために適切な寸法を有し、腔内器具及び/又は脈管の可撓性の壁のための構造的支持を与えるのに充分な強度を有する。
【0009】
簡潔に言うと、本出願において使用する場合、「ワイヤ」(例えば、ワイヤ102)は、金属又は重合体などの押出成形ストランド(下に記す)など、1つの線に沿った向きにしたときその断面の幅に比べて比較的長い長さを有しかつ特定のパターン又は形状に巻くことができる部材又はストランドを意味する。また、「ワイヤ」は、材料のチューブ又は平面シートなど、より大きい材料のピースから切断された部材又はストランドを意味することもできる。様々な実施形態において、ワイヤは、中空であるか又はその長さの一部または全体に沿ってその中に様々な空洞を含むことができる。
【0010】
更に、本出願において使用する場合、ワイヤの「断面」は、第1場所、第2場所、第3場所など特定の場所において(または特定の場所に近接するワイヤの部分に沿って)ワイヤの軸に直角にワイヤを貫通する平面によって形成されたワイヤの断面を意味する。従って、1つのワイヤは、様々な場所において又はその長さに沿った様々な部分に沿って多数の別個の断面(同じ又は異なる形状を持つことができる)を持つことができる。
【0011】
様々な実施形態において、他の形態の中で、ワイヤ102は、特に螺旋形とすることができ、任意に、図1Aに示すように概ね直線的区分116によって相互接続された角頂点エリアを持つ波形パターンなどの正弦波形又はジグザグパターンを持つことができる。他の実施形態において、ワイヤ102は、螺旋形とすることができるが、線形とするか(波形を持たない)図1Bに示すように個々のリングで構成できる。様々な実施形態において、ステント100は、押出成形ワイヤなど(但し、これに限定されない)など所定の長さのワイヤから形成するか、又はチューブから切り取ることができる。いずれにしても、巻くにしても切断するにしても、その結果得られたステント100は、脈管治療に適する任意のサイズ、形状又はパターンを持つことができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、ステント100は、ニチノールなど(但し、これに限定されない)の形状記憶材料で構成される。但し、他の実施形態において、ステントは、各種の金属(例えば、ステンレス鋼)、合金又は重合体など自己拡張又は他の拡張式の他の材料で構成できる。
【0013】
いくつかの実施形態において、本開示に従ったステント、グラフト、フィルタ、弁、アンカー、オクルダー及び他の埋植式器具の材料及び構成部品は、1つ又はそれ以上の生理活性剤を含むことができる。例えば、材料又は構成部品は、例えば、ヘパリン、シロリムス、パクリタキセル、エベロリムス、ABT−578、ミコフェノール酸、タクロリムス、エストラジオール、酸素フリーラジカルスカベンジャー、バイオリムスA9、抗CD34抗体、PDGF受容体ブロッカ、MMP−1受容体ブロッカ、VEGF、G−CSF、HMG−CoAリダクターゼ抑制剤、iNOS及びeNOS刺激剤、ACE抑制剤、ARB、ドキシサイクリン、サリドマイド及びその他などの治療薬によってコーティングできる。
【0014】
本開示によれば、ワイヤ102は、断面104を備える。断面104は、楕円形又は非楕円形など(これらに限定されない)、任意の形状を持つことができる。この点に関して、本出願において使用する場合、「楕円形」は、2本の線、曲線又は表面が集束して角度を形成する点を持たない任意の形状を意味する。例えば、図2を参照すると、「楕円形」は、円形202及び楕円形204などの伝統的ユークリッド幾何学形状並びに他の無角度(角度を持たない)形状206(ユークリッド幾何学においては一般名称を持たないとしても)を包含する。
【0015】
本出願において使用する場合、「非楕円形」は、2本の線、曲線又は表面が集束して角度を形成する少なくとも1つの点を含む任意の形状を意味する。例えば、図3を参照すると、「非楕円形」は、三角形302、長方形304、正方形306、六角形308、台形310などの伝統的ユークリッド幾何学形状、並びにユークリッド幾何学において一般名称を持たないとしても少なくとも1つの角度314を有するその他の形状を包含する。例えば、2本の多項曲線(polynomial curve)によって接続された2本の平行線316によって形成されながら全体として「円滑な」外観を持つ変則的形状は、4つの角度を有するので、非楕円形である。
【0016】
いくつかの実施形態において、ステント100は、例えばステント100の伸縮のために及び/又はその軸の周りにおけるステントの所望の曲げを容易にするために、様々な運動方向において及びその長さに沿った様々な点で変化する柔軟度を有することが望ましい可能性がある。この点について、本出願において使用する場合、「柔軟度」は、材料を不当に損傷又は疲労させることなく曲げられる材料の能力の物理的特性を意味する。
【0017】
「柔軟度」に対して、本出願において使用する場合、物理特性「剛直度」は、概ね逆の意味を有する。即ち、「剛直度」は、曲げに対する抵抗特性又はより剛性である特性を意味する。従って、柔軟度の増大は、材料を損傷することなく曲げられる能力の増大を意味し、剛直性の増大は、材料を損傷することなく曲げに抵抗する力の増大を意味する。
【0018】
この点に関して、ステント100などの腔内器具を用いる多くの腔内及び脈管内処置は、手術より利点があるので、腔内又は脈管内治療が1つの選択肢である場合、この治療がしばしばより要望される選択である。このような要望は、この種の処置が手術より侵襲性の小さい治療方法である傾向があると言う事実に起因する。侵襲性が非常に小さい処置の利点は、より迅速な処置、より短い入院、より速い回復、及びより低い感染症の危険を含む。
【0019】
但し、腔内又は脈管内で実施できる処置の数を拡大するために、離れた場所典型的には体外の場所から腔内器具を送達及び展開する可能性を改良することが有利である。例えば、送達を改良するために、送達プロフィル即ち挿入される腔内器具の直径がより小さいことは、治療部位へ接近するために不規則な形状の、蛇行する、多くの分岐を持つ又は狭い管腔又は脈管を進行するのを助けるために望ましい。これらの及びその他の理由により、様々な方向及び腔内器具の様々な点において改良された柔軟度を持つ腔内器具が望ましい。
【0020】
従って、ステント100の様々な部分(例えば、第1部分、第2部分、第3部分など)は、これらの部分に沿ってステント100のプロフィルを小さくするかつ/又は柔軟度を変化させるように変動、変化又はその他の変更される形状を持つことができる。例えば、1つの実施形態において、1つの断面104’を有する部分に沿った特定の方向におけるステントの柔軟性は、異なる形状の断面104を有する同じステント100の別の部分に沿った同じ方向における柔軟性とは異なるように影響を受ける可能性がある。下で更に詳細に述べるように、このような形状の変化は、1つの柔軟度を示す1つの形状から別の柔軟度を示す別の形状へ断面104’の形状を変化させることを含む。例えば1つの実施形状において、本開示に従った断面104’の形状の変化は、概ね楕円形から概ね非楕円形への断面104’の変化を含む。1つの実施形態において、より詳細に説明するように、この種の変化は、特定の場所に近接する断面104’の平坦化を含むことができる。様々な実施形態において、断面104’の形状を変えることができるが、断面104’の面積は概ね名目上でのみ変化する。なぜなら、この種の実施形態において、材料は必ずしも除去されず、むしろ再分配されるためである。
【0021】
例えば、図4Aを参照すると、図1Aの頂点エリア106の拡大図は、ニチノールワイヤを螺旋巻きの波形に巻くことによって形成された螺旋巻きの波形ステント100の1つの頂点108のワイヤ102を示す。又は、他の実施形態において、ステント10は、ニチノールチューブから切断できる。いずれの事例においても、図4Aの拡大図は、断面104の形状が変化する前の頂点エリア106を示す。この点について、断面A−Aを参照すると、楕円形を示す。この図示する実施形態において、楕円形断面104は円形であるが、他の実施形態において、ワイヤ102は、上記の変化前に上に定義したように他の概ね楕円形を持つことができる。図4Aにおいて、変化前に、この楕円形は頂点エリア106を通過して概ね連続的である。
【0022】
これに対して、図4Bを参照すると、図1Aの同じ頂点エリア106の拡大図は、断面104の形状が変化した後の頂点108のワイヤ102を示す。図4Bの断面B−Bは非楕円形を示す。この図示する実施形態において、非楕円形断面104は、以前の概ね楕円形から概ね長方形へ平坦化されているが、他の実施形態において、ワイヤ102は、上に定義したように他の概ね非楕円形を持つことができる。
【0023】
断面104の形状を概ね楕円形から概ね非楕円形へ変化させることによって、柔軟度は断面104の軸に沿って変化する。言い換えると、断面104の剛直性は、断面の反対の軸に沿って変化する。柔軟性(又は剛直性)の変化は、断面104の「平面積の慣性モーメント(moment of inertia of plane area)」又は「二次面積モーメント(second area moment)」として知られるものの変化に起因すると考えられる。平面積の慣性モーメントは、ワイヤ102の軸112周りでの曲げに対するワイヤ102の抵抗を測定するために使用できる断面104の特性である。例えば、この種の測定は、有限要素法又は同様の数学的計算によって実施できる。
【0024】
従って、図4A及び4Bに示すような実施形態によると、断面A−Aは、図4Aの概ね楕円形から図4Bの断面B−Bの概ね非楕円形へ平坦化され、それによって、頂点エリア106におけるワイヤ102の柔軟性が変化する。明確に言うと、平坦化した(非楕円形)ワイヤ102の断面B−Bのx軸の周りにおいて、ワイヤ102は、非平坦化(楕円形)ワイヤ102の断面A−Aのx軸の周りにおいて示すより小さい柔軟性を示す。言い換えると、平坦化(非楕円形)ワイヤ102の断面B−Bのx軸の周りにおいて、ワイヤ102は、非平坦化(楕円形)ワイヤ102の断面A−Aのx軸の周りにおけるより大きい剛直性を示す。
【0025】
逆に、引き続き図4A及び4B及び断面A−A及びB−Bを参照すると、平坦化(非楕円形)ワイヤ102の断面B−Bのy軸の周りにおいて、ワイヤ102は、非平坦化(楕円形)ワイヤ102の断面A−Aのy軸の周りにおけるより大きい柔軟性を示す。言い換えると、平坦化(非楕円形)ワイヤ102の断面B−Bのy軸の周りにおいて、ワイヤ102は、非平坦化(楕円形)ワイヤ102の断面A−Aのy軸の周りにおけるより小さい剛直性を示す。
【0026】
従って、例えば頂点エリア106においてワイヤ102の断面104を変化させることによって、柔軟度/剛直度を変化又は最適化することができる。柔軟性又は剛直性の変化の利点は、脈管への挿入及び進行時の曲げ又は腔内器具の装着及び展開時のステント100の伸縮によるワイヤ102における応力及びひずみの減少を含む。他の利点は、ステント100に沿った応力及びひずみの標準化を含むことができる。これによって、ステント100のプロフィルを小さくし、ステント100の疲労寿命を増大できる。
【0027】
様々な実施形態において、概ね楕円形から概ね非楕円形への断面104の形状の変化は、様々な作業で実施できる。例えば、いくつかの実施形態において、この平坦化は、様々なプレス、鍛造機、クランプ又はその類似品を用いてワイヤ102の所望の場所を「圧印加工(coining)」することによって実施できる。同様に、平削り、切断(機械、プラズマ、レーザー又はその類似品)など、他の機械作業を使用でき、更に、様々な鋳造、塑造又は押出成形法を用いて、ワイヤ102の断面104を変化させることができる。例えば、ステント100がマンドレル上に形成される実施形態において、プレス又はクランプが、ワイヤ102の所望の場所を圧縮して平坦化できる。又は、ステント100をマンドレルから巻きを解いて/外して、この時点で所望の場所に平坦化作業を加えることができる。
【0028】
本出願において説明するような実施形態において、ワイヤ102のプロフィルは、例えば図8に示すように実質的に連続的側面107(又は「平坦な側面」)及び実質的に非連続的側面109(又は「パターン化側面」)を有利に持つことができる。更に、いくつかの実施形態において、ワイヤ102の様々な部分の平坦化は、その部分において中空ワイヤを使用することによって容易にできる。
【0029】
例えば図4B及び断面B−Bを参照すると、いくつかの実施形態において、ワイヤ102の様々な断面104を非楕円形に平坦化することによって、平坦化領域110が生成され、この領域は、x軸に沿ってより長い幅(w)を与え、従って平坦化領域110に近接して拡張表面積を与えることができる。x軸に沿った平坦化領域110のこの拡張表面積は、グラフト材料、フィルタまたはその類似品など(これに限定されない)他の材料のための取付け点の増大などの付加的利点を与えることができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、平坦化領域110が生成されたとき、その場所においてy軸に沿った表面積の高さ(h)の減少が生じる。y軸に沿った平坦化領域110の高さの減少は、高さプロフィルの減少などの付加的利点を与えることができる。これは、脈管内処置において腔内器具を挿入する際に有用になり得る。
【0031】
さらに、例えば図5を参照すると、いくつかの実施形態において、平坦化領域110(又は、概ね非楕円形断面を持つ部分)は、ワイヤ102において直線区分116(頂点エリア106の代わりに又は頂点エリアに加えて)に沿ったワイヤ102の他の部分に形成して、上述の利点と同様の利点を示すことができる。更に、ステント100の所望の柔軟度などの特性に応じて、直線区分116と頂点エリア106の様々な組合せを平坦化する(非楕円形)又は非平坦化のまま残す(楕円形)ことができる。例えば、1つの実施形態において、1つおきに直線区分116及び/又は頂点エリア1066を平坦化することが望ましい可能性がある。又は、直線区分116又は頂点エリア106の一方又は他方のみを平坦化することが望ましい可能性がある。更に、ステント100のワイヤ102の平坦化部分の任意の数の他の組合せが本開示の範囲内にある。
【0032】
様々な実施形態において、例えば平坦化領域110又は頂点108などのワイヤ102の様々な平坦化領域は、更に、1つ又は複数の開口114を備えることができる。開口114は、平坦化領域を貫通する任意のタイプの孔を含むことができ、例えば縫合、接着材、リベットまたはその他の取付け機構によってグラフト及びフィルタなどの材料の取付けを容易にできる。更に、いくつかの実施形態において、開口114は、例えば、平坦化領域の場所及び腔内器具自体などの視覚的指標として機能できる。この点に関して、開口114を取り囲むワイヤ102の材料は、放射線不透過とすることができるが、開口114において放射線不透過材料が不在であることは、腔内器具の配置及び位置付けを支援するためにX線及びその類似物によって見ることができるマーカーを与える。
【0033】
上述のように、いくつかの実施形態において、腔内器具は、例えば脈管治療部位への送達を容易にするために潰すことができる。また上述のように、潰された腔内器具の柔軟度を変化させることは、腔内器具が脈管を進行するのを支援するために望ましい可能性がある。従って、いくつかの実施形態において、腔内器具が潰れ状態のとき、ワイヤ102の複数の平坦化領域110が相互に近接することが望ましい可能性がある。例えば、図6は、ワイヤ102の2つの頂点エリア106の平坦化領域110、110’の拡大図を示す。断面C−Cは、平坦化領域110’の上方の平坦化領域110を示す。図示するように、平坦化領域110は、平坦化領域110’に隣接し、かつこれに重なる。これによって、図7を参照すると、脈管を通過して治療部位まで進行する際に潰れた管腔な器具が曲がるとき必要に応じて平坦化領域110、110’が相互に滑動するのを容易にできる。
【0034】
本開示の主旨又は範囲から逸脱することなく、本開示に様々な修正及び変更を加えることができることが当業者には明白だろう。従って、本開示は、請求項の範囲及びその同等物に属することを条件として本開示の修正及び変更をカバーする。
【0035】
同様に、器具及び/又は方法の構造及び機能の詳細と一緒に様々の代替策を含めて、以上の説明において多数の特徴及び利点を示した。本開示は、単なる例示であり、網羅的であることを意図しない。請求項を表現する用語の広義の一般的意味によって指定される範囲の限りにおいて、本開示の原則内の組合せを含めて特に構造、材料、要素、構成部品、形状、サイズ及び部品の配列に関して様々な修正を加えることができることが、当業者には明白であろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8