特許第6290911号(P6290911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6290911二重反転ファン付きターボジェットエンジンにより推進する航空機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290911
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】二重反転ファン付きターボジェットエンジンにより推進する航空機
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/00 20060101AFI20180226BHJP
   F02K 3/02 20060101ALI20180226BHJP
   F02K 3/072 20060101ALI20180226BHJP
   F02C 3/067 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   B64D27/00
   F02K3/02
   F02K3/072
   F02C3/067
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-541209(P2015-541209)
(86)(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公表番号】特表2016-505434(P2016-505434A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】FR2013052583
(87)【国際公開番号】WO2014072615
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】1260597
(32)【優先日】2012年11月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ギャレ
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03194516(US,A)
【文献】 特開昭63−025324(JP,A)
【文献】 米国特許第03576300(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第00954365(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 27/08
B64D 27/14
B64D 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重反転するファンを有するターボジェット(10)によって推進される航空機(1)において、
前記ターボジェットは、
航空機の胴体(2)の後部に沿って組み込まれると共に、単一のワーキングタービン(14)に動力供給する2つのガスジェネレータ(12a、12b)と、
前記2つのガスジェネレータのそれぞれに動力供給する別個の空気取入口(18a、18b)とを有し、
前記ワーキングタービンは、前記2つのガスジェネレータの下流側に位置する2つのファン(20a、20b)を駆動する2つの二重反転タービンロータ(14a、14b)を備え、前記空気取入口は航空機の胴体周囲に形成される境界層の少なくとも一部分を取り込むように前記航空機の胴体に接続されており、
前記2つのガスジェネレータは、2つの一次流路(16a、16b)の間においてV字形状を形成する2つの一次流路(16a、16b)内に配置されることを特徴とする航空機。
【請求項2】
前記2つのファンの外径(D)は航空機の胴体の最大径(E)に実質上一致することを特徴とする請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記2つの一次流路の夫々は、航空機の胴体の長手軸線(X−X)に対し80°〜120°の角度を成すことを特徴とする請求項1又は2に記載の航空機。
【請求項4】
前記ワーキングタービンとファンは航空機の胴体の長手軸線(X−X)に中心合わせされていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の航空機。
【請求項5】
前記2つのファンのダクトは航空機の垂直尾翼(4)に固定されたナセル(26)によって形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な航空機分野に関し、特に部分的に航空機の胴体に組み込まれるバイパスターボジェットによって推進される民間航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
民間航空機には通常、翼の下や胴体の後方位置に据え付けられたターボジェットが装備されており、ターボジェットはパイロンによって翼に固定されている。
【0003】
来るべき数年の間に予想される燃料価格の上昇により、各エンジンメーカーは民間航空機の燃費を削減しようと努力をしている。これを実行するにあたって想定される方法の一つに、パイロンやエンジンのフェアリングを削除するために航空機の胴体の内側にエンジンを少なくとも部分的に埋め込むことで、推進装置の重量を削減してその抵抗を減らすことがある。又、それによって航空機からの騒音障害も低減される。
【0004】
加えて、飛行中においては境界層が航空機の胴体の周りにでき、空力抵抗を生じる。過去においては、ファンに高いレベルの歪やエンジンのシャフトに高レベルの振動が生じるのを回避する観点からエンジンはこの境界層を取り込むべきではないと考えられていたが、現在ではエンジン内にこの境界層の一部を取り込むことで航空機の空力抵抗を減少させてエンジンに入る空気の速度を減じることができ、これにより推進効率を格段に改善することができると考えられている。
【0005】
このため、航空機の胴体に部分的に埋め込むことで境界層の一部分を取り込だナセルを備えたエンジンを有する航空機構造がある特許文献に記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/049610号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに本発明の目的は、境界層を取り込むことで空力抵抗を抑え、以て航空機の騒音障害と燃費を低減することができる別の航空機構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、二重反転するファンを有するターボジェットによって推進される航空機であって、前記ターボジェットは、航空機の胴体の後部に沿って組み込まれると共に、ワーキングタービンに動力供給する2つのガスジェネレータと、夫々のガスジェネレータに動力供給する別個の空気取入口とを有し、前記ワーキングタービンは前記ガスジェネレータの下流側に位置する2つのファンを駆動する2つの二重反転タービンロータを備え、前記空気取入口は航空機の胴体周囲に形成される境界層の少なくとも一部分を取り込むように航空機胴体に接続されるような上記航空機によって達成される。
【0009】
本発明によるターボジェットは、胴体の後部に沿う形で、パイロンに頼ることなく胴体後部に組み込まれる。その結果として、ターボジェットによって生じる空力抵抗が減少する。更に、ターボジェットは空気取入口を介して、航空機の胴体の周囲に形成される境界層の一部分を取り込むが、その際境界層の残りの部分はファンによって取り込まれる。境界層の速度は低いため、エンジンを通過するガス流の吸入速度、ひいては射出速度も低い。これにより高い推進速度と騒音障害の低水準化が達成される。
【0010】
更に、ワーキングタービンは2つのガスジェネレータによって動力供給される。従って、ガスジェネレータの一方が故障した場合でも、他方のガスジェネレータによりこの機能を継続して達成することができる。同様に各ファンは連続して配置されているために、それらの一方に故障が生じても、他方のファンによってその機能を引き継ぐことができる。
【0011】
好ましくは、ファンの外径は航空機の胴体の最大径に実質上一致することで、より良い推進効率のための高いバイパス比を獲得することが可能になる。加えて、航空機の胴体はどちらかと言えばファンの空気取入口を覆うことにもなり、これによりファンが異物を吸い込むのを回避でき、ファンから放射される騒音も低く抑えることができる。
【0012】
更に好ましくは、ガスジェネレータは、それらの間でV字形状を形成する一次流路内に配置される。これにより、仮にガスジェネレータの一方のディスクが破裂した場合でも、その破片が他方のガスジェネレータとファンを損傷することはない。
【0013】
前記一次流路の各々は、航空機の胴体の長手軸線に対して80°〜120°の角度を成してもよい。ワーキングタービンとファンは航空機の胴体の長手軸線に中心合わせされることが好ましい。
【0014】
更に好ましくは、前記ファンのダクトは航空機の垂直尾翼に固定されたナセルによって形成される。
【0015】
本発明のその他の特徴並びに利点は、限定キャラクタを持たない実施形態を示す添付図面を引用してなされる以下の説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による民間航空機の斜視図である。
図2図1に示す航空機の線II−II線に沿ったターボジェット縦断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は民間、軍用を問わず任意の航空機に関し、例えば図1に示したタイプの無人航空機や民間航空機に関する。
【0018】
従って図1は本発明による民間航空機1を示している。航空機は航空機胴体2に沿ってその後部に組み込まれたターボジェット10を有する。
【0019】
図2から明らかなように、ターボジェット10は航空機胴体2の長手軸線X−Xを中心としている。ターボジェットは特に、ガス流れ方向上流から下流にかけて、平行に配置されかつ単一のワーキングタービン14に動力供給する2つの異なるガスジェネレータ12a、12bを有する。
【0020】
周知の通り、夫々のガスジェネレータ12a、12bは、低圧コンプレッサ、高圧コンプレッサ、燃焼室、低圧タービン及び高圧タービン(図示せず)を有する。
【0021】
更に、各ガスジェネレータ12a、12bは夫々の一次流路16a、16b内に収容される。これら2つの一次流路16a、16bは、これらの間において、上流方向に開口しかつ長手軸線X−Xに収斂するV字形を形成することが好ましい。
【0022】
また、好ましくは、ガスジェネレータを収容する一次流路16a、16bの夫々は、航空機の胴体の長手軸線に対して80°〜120°の範囲内の角度を成して配置される。
【0023】
混合器(図示せず)は、2つの一次流路16a、16bの収束域に位置する。この混合器の機能は2つのガスジェネレータからくるガス流を混合して、ワーキングタービン14に動力供給することになる単一の均一なガス流を生成することにある。
【0024】
各ガスジェネレータに動力供給するための別個の空気取入口18a、18bも又、設けられる。これらの空気取入口は航空機胴体の周囲に形成された境界層の少なくとも一部分を取り込むように、航空機の胴体2に接続されている。より詳しくは、これらの内壁が航空機胴体に直接組み込まれている。
【0025】
2つのガスジェネレータによって動力供給されるワーキングタービン14は、ターボジェットの後方に位置して二次流路22内に連続して配置された2つのファン20a、20bの反対回転を駆動する2つの二重反転タービンロータ14a、14bを備える。これらのタービンロータは長手軸線X−Xに同軸状に中心合わせされている。ワーキングタービン14は胴体内部に位置する構造体(図示せず)の内側に収容され。胴体はまた長手軸線X−Xを中心に置く環状中心体24を支持する。
【0026】
2つのファン20a、20bのダクトは航空機の垂直尾翼4に直接固定されたナセル26によって形成されている。これらのファンは航空機胴体2の最大径Eに実質的に相当する外径Dを有する。
【0027】
このため、各ファンとそれらの外径の後方位置により、ガスジェネレータに取り込まれなかった境界層の部分によって、ファンに空気を供給することが可能になる。
【0028】
結果として、境界層の流速は比較的低いため、ファンの回転速度も又、比較的低いままとなることでターボジェットの推進効率を増加し、その音響放射を減じることが可能になる。
【0029】
更に、境界層が(ガスジェネレータとターボジェットファンにより)吸引されることと、航空機のフロント断面積が小さいこと(ターボジェットが航空機の胴体後方に隠れる)により、航空機の空力抵抗が抑えられる。
【0030】
当然ながら、ターボジェットに関連する備品(図示せず)は利用可能空間があるガスジェネレータ周囲に配置しても良い。
【0031】
また、ターボジェットの主要問題も回避できることも注目すべきである。特に、1つのガスジェネレータが故障した場合でも、他方のガスジェネレータは引き続きワーキングタービンに動力供給することが可能であり、必要な推進力を生むことが可能である。同様に、ガスジェネレータのディスクが破裂する場合でも、V型のガスジェネレータ配置構造によって、その破片が他方のガスジェネレータや一方のファンに激突するのを回避することができる。
図1
図2