(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290937
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】外科用鋸マウント及びブレード
(51)【国際特許分類】
A61B 17/14 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
A61B17/14
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-560771(P2015-560771)
(86)(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公表番号】特表2016-508806(P2016-508806A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】GB2014050646
(87)【国際公開番号】WO2014135868
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2016年11月29日
(31)【優先権主張番号】1304019.1
(32)【優先日】2013年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214659
【氏名又は名称】デ ステー メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100133983
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 均
(72)【発明者】
【氏名】デ ステー,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ブロック,クリス
【審査官】
沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0272468(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0312761(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0217729(US,A1)
【文献】
特表2009−501059(JP,A)
【文献】
特開2008−029848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードマウントであって、
当該ブレードマウントは、回転地点で運動平面を横断する当該ブレードマウントを通過する回転軸について、前記運動平面内で回転式に振動するように構成され、
当該ブレードマウントは、
2つの固定面を含む固定部分と、
ブレードを前記運動平面と平行な第1の方向において前記固定部分に向かって推進させるように構成される係止部材であって、それにより、前記ブレードを前記係止部材と前記固定面との間に固定する係止部材とを含み、
前記2つの固定面は、前記回転地点が交差地点と前記固定部分との間に横たわるように、前記固定面の平面が前記交差地点で互いに交差するように並びに前記運動平面と交差するように角度付けられる、
ブレードマウント。
【請求項2】
前記交差地点での前記固定面の2つの平面の間の運動平面内の角度は、20°よりも大きい且つ/或いは40°よりも小さい、請求項1に記載のブレードマウント。
【請求項3】
前記交差地点での前記固定面の2つの平面の間の運動平面内の角度は、25°よりも大きい且つ/或いは35°よりも小さい、請求項1又は2に記載のブレードマウント。
【請求項4】
前記交差地点での前記固定面の2つの平面の間の運動平面内の角度は、28°よりも大きい且つ/或いは32°よりも小さい、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のブレードマウント。
【請求項5】
ベース面を更に含み、前記固定面及び前記係止部材は前記ベース面から突出し、前記ベース面は前記運動平面と平行に走り、
前記ベース面と平行に走り且つ前記ベース面に面する上面を更に含み、前記係止部材は、前記ブレードを、前記運動平面に対してある角度にある第2の方向に沿って、前記ベース面から離れる方向に、前記上面に向かって推進させ、それにより、前記ブレードを前記係止部材と前記上面との間に固定するように更に構成される、
請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のブレードマウント。
【請求項6】
前記係止部材は、前記ブレードを前記第1及び第2の方向において推進させるように構成される第1の傾斜面を含む、請求項5に記載のブレードマウント。
【請求項7】
前記ブレードが前記係止部材によって固定される前に、前記ブレードが前記ベース面に沿って当該ブレードマウント内に挿入させられるのを可能にするために、前記係止部材がもはや前記ベース面を越えて突出しないように、前記係止部材は、当該ブレードマウントのベース内に引っ込むように構成される、請求項5又は6に記載のブレードマウント。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のブレードマウントを含む動力工具のハンドピースのための取り外し可能な付属部品。
【請求項9】
請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のブレードマウントを含む振動性動力工具。
【請求項10】
請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のブレードマウントと、
前記係止部材と前記ブレードマウントの前記固定面との間に固定されるように構成されるブレードとを含む、
サジタルソーアセンブリ。
【請求項11】
外科用ソーブレードであって、
当該外科用ソーブレードの平面内に横たわる長手軸を定める近位端と遠位端とを含む実質的に平面状の本体と、
切断縁を有する前記遠位端と、
当該外科用ソーブレードを請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載のブレードマウントに取り外し可能に連結するための連結部分の一部を形成する前記近位端とを含み、
前記連結部分は、当該外科用ソーブレードが当該外科用ソーブレードの前記平面に対して垂直に走り且つ回転地点で当該外科用ソーブレードの前記平面を横断する回転軸について回転式に振動するように駆動させられるように構成され、
前記連結部分は、
当該外科用ソーブレードの前記平面を通過する当該外科用ソーブレードの前記長手軸に対して垂直であり且つ当該外科用ソーブレードの前記近位端に向かって前記長手軸と平行に方向付けられる固定力を受けるように構成される係止面であって、当該外科用ソーブレードの前記平面を通じて延びる孔の境界の一部を形成する係止面と、
当該外科用ソーブレードの前記近位端から突出する2つの突起とを含み、各突起は内面を含み、該内面は、該内面の平面が前記回転軸と当該外科用ソーブレードの前記遠位端との間に配置される交差地点で互いに交差するように並びに当該外科用ソーブレードの前記平面と交差するように、当該外科用ソーブレードの前記長手軸に対して角度付けられ、
前記交差地点での前記内面の2つの平面の間の当該外科用ソーブレードの前記平面における角度は、40度よりも小さい、
外科用ソーブレード。
【請求項12】
前記交差地点での前記内面の2つの平面の間の当該外科用ソーブレードの前記平面内の角度は、20°よりも大きい、請求項11に記載の外科用ソーブレード。
【請求項13】
前記交差地点での前記内面の2つの平面の間の当該外科用ソーブレードの前記平面内の角度は、25°よりも大きい且つ/或いは35°よりも小さい、請求項11又は12に記載の外科用ソーブレード。
【請求項14】
前記交差地点での前記内面の2つの平面の間の当該外科用ソーブレードの前記平面内の角度は、28°よりも大きい且つ/或いは32°よりも小さい、請求項11乃至13のうちのいずれか1項に記載の外科用ソーブレード。
【請求項15】
前記固定力の一部が、当該外科用ソーブレードの前記平面と平行に且つ当該外科用ソーブレードの前記長手軸に対して垂直に互いに離れる方向に方向付けられる2つの反対の横方向の力に変換させられるように、当該外科用ソーブレードの前記内面は、前記固定力によってブレードマウントの1つ又はそれよりも多くの固定面に対して付勢されるように構成される、請求項11乃至14のうちのいずれか1項に記載の外科用ソーブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、一般的には、外科用ソー(鋸)及びブレード(刃)に関する。より具体的には、本発明の実施態様は、ソーブレード(鋸刃)を振動性動力工具に取り外し可能に連結するブレードマウント(刃取付台)に関する。本発明の更なる実施態様は、ブレードを対応するブレードマウント内に確実に取り付ける連結部分を備えるソーブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科医は外科処置中に骨及び他の硬い組織を切断することを定期的に求められる。これを達成するために、外科医はサジタルソー(sagittal saw)のような動力工具を使用するのが普通である。典型的な動力ソーは、ハンドピースと、サジタルブレードを固定し得るブレードマウントとを有する。ハンドピースは、電気的又は空圧的に駆動させられるモータを収容するのが普通である。モータはブレードマウントを駆動し、次いで、ブレードマウントはソーブレードを駆動する。ソーブレードを交換し得るように、ソーブレードはブレードマウントに取り外し可能に連結するのが普通である。外科処置中に用いられる如何なる工具をも殺菌する必要の故に、これは外科用ソーにとって特に重要である。しかしながら、ブレードが容易に滑動して出入りするのを可能にするようマウント内に追加的な空間をもたらす必要並びに部品の製造に起因する所要の製造許容差の故に、ブレードをブレードマウントに完全に適合させ得ない。これはマウントとブレードとの間の動きを引き起こし、反復的な使用を通じてマウントを摩滅させ得る。
【0003】
動力工具の2つの種類は、サジタルソー及びレシプロソーである。サジタルソーは、ブレードマウントを駆動して左右に回転させる。この振動性回転は、ブレードマウント内に固定されるブレードの一端について旋回するサジタルソーブレードをもたらす。ブレードの幅に亘って走る鋸歯状縁のような切断縁がブレードの遠位端に配置される。レシプロソーは駆動させられてブレードの長さに沿って振動する。切断縁がブレードの長さを進み下る側方縁の1つ又はそれよりも多くに配置される。
【0004】
典型的には、サジタルソーは一端で連結部分に固定されるソーブレードを用いる。サジタルソーブレードの連結部分は、ブレードをブレードマウントに固定するためにピンのような連結部材を受け入れ得るスロット又は開口を含むのが普通である。これらのピンに加えて、ブレードをブレードマウントのベースに対して締め付けて、ブレードを所定の場所に固定し得る。簡易着脱機構が利用可能であり、それはブレードが工具の助けを必要とせずにブレードマウントから容易に分離されるのを可能にする。
【0005】
サジタルソーの振動作用の本質の故に、特にブレードが方向を変えるときに、ブレードとマウントとの間の接触地点で適用される大量の力がある。ブレードマウント内の余分な空間の故に、ブレードはブレードマウントの表面を擦り或いは撃ち、ブレード及びマウントの両方を摩耗させ得る。表面が摩滅すると、ブレードは緩く作動し、従って、効率を欠くようになり、ブレードのための安定性を欠く支持をもたらす。マウント内のブレードの過剰な動きは振動を招き、正確性を欠くブレード切断をもたらし、外科医の気を散らし得る雑音を引き起こし得る。ソー及びソーブレードの正確性及び安定性の減少は、動作時間を増大させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、動作中の機械的な遊びを減少させ且つ反復的な使用を通じた摩耗に順応するブレードマウント及び対応するブレードの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの特徴によれば、ブレードマウントが提供され、ブレードマウントは、回転地点で運動平面を横断するブレードマウントを通過する回転軸について、運動平面内で回転式に振動するように構成される。ブレードマウントは、2つの固定面を含む固定部分と、ブレードを運動平面と平行な第1の方向において固定部分に向かって推進させるように構成される係止部材であって、それにより、ブレードを係止部材と固定面との間に固定する係止部材とを含む。2つの固定面は、回転地点が交差地点と固定部分との間に横たわるように、固定面の平面が交差地点で互いに並びに運動平面と交差するように角度付けられる。
【0008】
運動平面に沿ってブレードを推進させることによりブレードを固定することによって、ブレードマウントはより効果的にブレードを固定し且つ駆動させ得る。これは互いに対して角度付けられる固定面によって強化され、その結果、係止部材によって加えられる力は運動平面に沿って方向付けられる横方向の力に移転される。ブレードが駆動させられるときのブレードに対する応力の大部分は、運動平面にある可能性が高い。係止部材は、ブレードを固定面に対して押し付けて戻すことによって、ブレードマウント内のブレードの如何なる過剰な動作をも許容し得る。更に、ブレードマウント及び/又はブレードの表面での如何なる摩耗も緊密さを欠く嵌りをもたらし、従って、ブレードマウント内の望ましくないブレード移動を招き得る。これはブレードをより不安定に駆動させ、より素早く摩耗させ、ブレードマウント内でガタガタ動くブレードの故に過剰な雑音も引き起こし得る。ブレードを固定面に対して押し付けることによって、係止部材は、確実な嵌りを維持するために、如何なる摩耗又は過剰なブレード移動にも順応し得る。
【0009】
固定部材は互いに対して角度付けられて楔構成を形成し、係止部材によってブレードを楔構成に対して押し付け得る。ブレードがブレードマウント内に固定されるとき、固体部材はブレードを駆動させるのに役立つ。ブレードを回転させる力の大きな割合が固定面で適用される。各固定部材は平面を定める。固定部材の2つの平面は交差地点で運動平面内で交差する。この交差地点が固定部材に対する回転軸の遠い側に配置されるように固定部材を角度付けることによって、各固定面は、ブレードをブレードマウント内に更に押し込む成分を有する駆動力を適用し得る。これはブレードのためのより確実な駆動をもたらし、相対的な移動及びブレードマウントとブレードとの間の摩耗を減少させる。駆動力が運動平面と平行であるように、固定面が運動平面に対して垂直であるのが有益である。
【0010】
固定面によって定められる2つの平面の間の角度が小さ過ぎるならば、ブレードは潜在的にはブレードマウント内で詰まって動かなくなり得る。逆に、その角度が大き過ぎるならば、固定面はブレードを効果的に駆動させ/固定するのに十分な大きさの横方向の力をもたらし得ない。交差地点での固定面の2つの平面の間の運動平面内の角度が20°よりも大きいのが有利である。更に、この角度は40°未満であるのが有利である。この角度は25°よりも大きいのが有益である。加えて、この角度は35°未満であるのが有益である。この角度は28°よりも大きいのが好ましい。この角度は32°未満であるのも好ましい。発明者は、固定面の2つの平面の間の30°の角度が、ブレードをブレードマウント内で詰まって動かなくなるという危険も晒さない、ブレードを回転させると同時に確実な嵌りを維持することの間の良好な妥協であることを見出した。
【0011】
ブレードを効果的に固定するのを助けるために、ブレードマウントはブレードがその上に横たわり得るベースを更に含み得る。ベースは運動平面と平行に走るベース面を有し得る。係止部材及び固定部材は、ベースから外に突出し得る。加えて、ブレードマウントは、ベース面と平行に走る上面を更に含み得る。上面はベース面に面し、そして、ベース面から変位させられて、ブレードがベース面と上面との間で滑動させられるのを可能にし得る。上面及びベース面は、ブレードを固定するのに役立ち、運動平面から出るブレード移動を防止するのに役立つ。
【0012】
固定面に向かってブレードを推進させることに加えて、係止部材はブレードをブレードマウントの上面に対しても押し付け得る。これはブレードを固定して運動平面から出る移動を防止するのに役立つ。第2の方向においてブレードマウントのベースから出させられるように係止部材を構成し得る。第2の方向は運動平面に対して垂直であり得る。係止部材は、ブレードを係止部材の第1の傾斜面で推進させることによって、ブレードを第1の方向に沿って固定面に向かって推進させ、そして、第2の方向に沿って上面に向かって推進させ得る。係止部材の傾斜面は、第1及び第2の方向に対して傾き得る。ブレードを固定面及び上面に対して押し付けることに加えて、傾斜面は係止部材又はブレードにおける摩耗を許容し得る。ブレード又はブレードマウントのいずれかが摩滅するならば、傾斜面がブレードマウント内のブレードと接触して固定するまで、係止部材をブレードマウントのベースから外に更に推進させ得る。
【0013】
ブレードがブレードマウント内に挿入させられるのを可能にするために、係止部材がブレードの経路から出てブレードマウントのベース内に引っ込み得るのが有益であり得る。係止部材がベース面からもはや突出しないように、ベース内に引っ込められるように係止部材を構成し得る。ブレードが係止部材を少なくとも越えて挿入されるや否や、ブレードを上述のように固定するために、係止部材をブレードの面又は縁に押し付け得る。係止部材は、第1及び第2の方向に対して傾けられる第2の傾斜面を含み得る。ブレードマウント内に挿入させられるブレードが第2の傾斜面と接触して、ブレードをブレードマウントのベース内に押し込み得る。
【0014】
外科用鋼又は任意の他の強力な耐久性材料のような金属でブレードマウントを作製し得る。ブレードマウントはサジタルソーブレードを固定するのに適する。ブレードマウントは振動性動力工具の一部を形成し得るし、動力工具に取り付けられるのに適した付属部品の一部を形成し得る。振動性動力工具内に配置し得るモータによってブレードマウントの回転式振動を生じさせ得る。ブレードマウントが付属部品の一部を形成する場合、付属部品は、動力工具によってもたらされる回転式の駆動を、ブレードマウントにもたらされる回転式の振動に変換する機構を含み得る。ブレードマウントを含む動力工具又は付属部品は、ブレードマウントからブレードを解放する機構を含み得る。解放機構がブレードマウントと共に回転しないように、解放機構をブレードマウントから隔離し得る。これは駆動させられるべき質量を減少させ、従って、より効率的で安定的な駆動をもたらす。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、外科用ソーブレードが提供され、ブレードは、ブレードの平面内に横たわる長手軸を定める近位端と遠位端とを含む、実質的に平面状の本体を含む。遠位端は切断縁を有し、近位端はブレードを振動性動力工具に取り外し可能に連結する連結部分の一部を形成する。連結部分は、ブレードがブレードの平面に対して垂直に走り且つ回転地点でブレードの平面を横断する回転軸について回転式に振動するように駆動させられるように構成される。連結部分はブレードの長手軸に対して垂直であり且つブレードの平面を通過する係止面を含み、係止面は孔の境界の一部を形成し、孔はブレードの平面を通じて延びる。連結部分はブレードの近位端から突出する2つの突起を含む。各突起は内面を含む。内面の平面が回転軸とブレードの遠位端との間に配置される交差地点で互いに並びにブレードの平面と交差するように、内面はブレードの長手軸に対して角度付けられる。
【0016】
ブレードの突起の内面は、ブレードが従来的な外科用ブレードよりも確実に駆動させられるのを可能にする。従来的な外科用ブレードは、ブレードの平行な縁から駆動させられるか、或いはブレードの孔を通じて挿入されるピンによって駆動させられる。角度付けられた内面を備えるブレードに突起を設けることによって、駆動を行っているブレードマウントの部材に対して、ブレードがブレードマウント内に押し込まれて戻るように、ブレードを駆動させ得る。突起は、ブレードマウント内に詰め込まれてブレードを固定するのを助け得る楔形状を形成し得る。各突起の内面は、対向する突起に最も近い突起の面である。突起の内面は、それらの面によって定められる平面がブレードの遠位端と回転地点との間に配置される地点で交差するように角度付けられる。これは内面の1つに適用される駆動力の成分がブレードをブレードマウント内に更に押し込むように方向付けられ、より確実な駆動作用をもたらすことを意味する。
【0017】
係止面と2つの内面との組み合わせの故に、ブレードをブレードの平面内で固定し得る。ブレードの長手軸に対して垂直に走る係止面は、ブレードが長手軸に沿って推進させられるのを可能にし、それらの内面をブレードマウントの1つ又はそれよりも多くの固定面に押し付ける。突起の内面が長手軸に対して角度付けられるので、これは係止面でもたらされる長手方向の力をそれらの内面で横方向の力に変換し得ることを意味する。有利には、突起は長手軸について対称的であってよく、その結果、ブレードが静止的であるときに、等しく反対の横方向の力をもたらす。ブレードがその平面内の力によって固定されるのを可能にすることによって、ブレードとブレードマウントとの間の相対的な移動が減少させられ、ブレードがより安定的に駆動させられるのを可能にし、摩耗を減少させる。更に、ブレードの角度付けられた内面によってブレードとブレードマウントとの間の摩耗を許容し得る。内面で適用される駆動力がブレードの平面に沿って方向付けられるのを保証するために、突起の内面はブレードの平面に対して垂直であり得る。
【0018】
内面によって定められる2つの平面の間の角度が小さ過ぎるならば、駆動力はブレードマウント内で詰まって動かなくなるブレードを招き得る。逆に、その角度が大き過ぎるならば、内面はブレードを効果的に駆動させ且つ固定し得る横方向の力を受けるに適さないであろう。交差地点での内面の2つの平面の間のブレードの平面内の角度は20°よりも大きいのが有利である。更に、この角度は40°未満であるのが有利である。この角度は25°よりも大きいのが有益である。加えて、この角度は35°未満であるのが有益である。この角度は28°よりも大きいのが好ましい。この角度は32°未満であるのも好ましい。発明者は、内面の2つの平面の間の30°の角度が、ブレードをブレードマウント内で詰まって動かなくなるという危険に晒さない、回転式の駆動力を受け得ると同時に確実な嵌りを維持することの間の良好な妥協であることを見出した。
【0019】
ブレードは上述のブレードマウントとの使用に適している。ブレードはサジタルソーブレードであり得る。外科用鋼又は任意の他の十分に硬く耐久性のある材料のような金属でブレードを作製し得る。
【0020】
以下、図面を参照して、ほんの一例として本発明の実施態様を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施態様に従ったサジタルソーを示す図である。
【
図2】動力工具のための電池式ハンドピース20を示す図である。
【
図3】本発明の実施態様に従った動力工具のためのサジタルソー付属部品200を示す図である。
【
図4】本発明の実施態様に従った外科用ソーブレード100を示す図である。
【
図5】本発明の実施態様に従ったブレード100及び付属部品200を示す図である。
【
図6a】本発明の実施態様に従ったブレードマウント204を示す側断面図である。
【
図6b】本発明の実施態様に従ったブレード100を固定するブレードマウント204を示す側断面図である。
【
図7】本発明の実施態様に従ったブレードマウント204内に取り付けられるブレード100の連結部分110を示す図である。
【
図8】本発明の実施態様に従った付属部品200のための内蔵ドライブ及び解放機構を示す図である。
【
図9】本発明の実施態様に従った付属部品200を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施態様に従ったサジタルソーを示している。サジタルソーは、ソーブレード100と、ハンドピース20と、付属部品200とを含む。ハンドピース20は、ハンドル40と、付属部品200を受け入れるソケット60とを含む。付属部品200は、ソーブレード100を付属部品200に固定するブレードマウント204を含む。ソーブレード100は、ソーブレード100の遠位端104に配置される切断縁106を有する。遠位端104は、ブレードマウント204内に固定される近位端102から見て反対のソーブレード100の端にある。
【0023】
ハンドピース20は、付属部品200に回転駆動をもたらすモータを収容する。付属部品200は回転駆動を用いてブレードマウント204を駆動させて、ブレードマウント204を回転式に振動させる。ブレード100がブレードマウント204内に固定されるとき、ブレードマウント204はブレード100を駆動させる。これはブレード100を運動の平面内で回転式に振動させる。取り外し可能な付属部品200を記載するが、付属部品200及びハンドピース20の機能を単一の工具に統合し得ることを記さなければならない。
【0024】
図2は、動力工具のための電池式ハンドピース20を示している。ハンドピース20は、ハンドル40と、様々な付属部品を接続するためのソケット60とを含む。電池及びモータがハンドピース20内に配置される。電池はモータに動力供給し、モータはソケット60内に固定される如何なる付属部品にも回転駆動をもたらす。描写する具体的な実施態様は電池式であるが、本発明の更なる実施態様は空圧式に動力供給されてもよく、外部電源によって動力供給されてもよい。
【0025】
図3は、本発明の実施態様に従った動力工具のためサジタルソー付属部品200を示している。付属部品200は、付属部品200をハンドピース20のソケット60に接続するために付属部品200の近位端にあるコネクタ202と、ブレード100を固定し且つ駆動させるために付属部品200の遠位端にあるブレードマウント204と、固定されるブレード100をマウント204から解放するための解放ノブ206とを含む。付属部品200の長手軸が付属部品200の近位端から付属部品200の遠位端に走る。付属部品200はハンドピース20のソケット60から回転駆動を受け取るように構成される。この駆動は付属部品200の本体内で振動運動に変換される。振動運動はマウント204を駆動させて、マウント204を回転軸についての運動の平面内で回転式に振動させる。
【0026】
ブレードマウント204は、ベース210と、ベース210の縁から垂直に突出する2つの側壁212とを備える、ハウジングを含む。ベース210は、運動の平面と平行に位置するベース面を有する。ブレードマウント204の長手軸が運動の平面と平行に走り、ブレードマウント204が中立位置にあるときに、即ち、ブレードマウント204が回転させられていないときに、付属部品200の長手軸と整列する。ブレードマウント204は、運動の平面に対して垂直であり且つブレードマウント204の長手軸に沿って横たわる、対称の平面について対称的である。ブレードマウント204が中立位置にあるとき、側壁212は、コネクタ202から最も遠いブレードマウント204の端、即ち、ブレードマウント204の遠位端から、付属部品200のコネクタ202に最も近いブレードマウント204の端、即ち、ブレードマウント204の近位端に向かって、ブレードマウント204の長手軸と平行に走る。頂壁216が各々の側壁212から反対側の側壁212に向かって垂直に突出する。頂壁216及び側壁212の各々は、ベース210と共に、ブレードマウント204の遠位端からブレードマウント204の近位端に向かって走る溝214を形成する。溝214は、ブレードマウント204の遠位端でブレード100を受け入れる開口を形成する。加えて、各溝214は、上面によって境界付けられる。上面は、ベース210に最も近い頂壁216の面である。上面は、ベース面と平行に走る。各頂壁216が対応する側壁212から突出する距離は、側壁212の長さの大部分に亘って均一である。しかしながら、その距離はマウント204の近位端に向かって増大する。2つの安定化部材220がマウント204の近位端でマウント204のベース210から突出する。各安定化部材220は頂壁216の一方と繋がって2つの空洞218を形成する。各空洞218は溝214の一方に対して開放する。各空洞218は、外面で側壁212の内向きに面する面によって境界付けられ、内面で安定化部材220の固定面222によって境界付けられる。空洞218がブレードマウント204の近位端に向かって狭まるように、各固定面222はブレードマウント204の長手軸に対して角度付けられる。
【0027】
係止部材230が、マウント204のベース210から垂直に突出する。係止部材230は、ベース面と平行に走る頂面と、側壁212と平行に走る2つの側面と、固定面222が配置されるマウント204の近位端から離れる方向に傾く第1の傾斜面232と、溝214がブレード100を受け入れる開口を形成するマウント204の遠位端から離れる方向に傾く第2の傾斜面234とを有する。第1の傾斜面232は、固定面222に対してブレード100をブレードマウント204内に押し込む付勢面である。第2の傾斜面234は、ブレードマウント204内への挿入後に、ブレード100が係止部材230をブレードマウント204のベース210内に押し込むのを可能にし、ブレード100が通るのを可能にする。係止部材230をマウント204のベース210内に引っ込め得る。1つ又はそれよりも多くのバネが係止部材230をベース210からその突出位置に押し出す。
【0028】
一対の加圧プレート236がベース210から突出し、係止部材230の側壁の各々に沿って走る。加圧プレート236は、マウント204の底面と平行に走る頂面を有する。係止部材230が引っ込むときに加圧プレート236が引っ込むように、加圧プレート236は係止部材230の下で互いに接続される。しかしながら、係止部材230がその突出位置になるや否や、一対の加圧プレート236は独立して移動可能になり、1つ又はそれよりも多くのバネによってベースから上向きに押し出される。
【0029】
解放ノブ206は、マウント204の底面に対して垂直な方向において、マウント204に対する付属部品200の反対側に配置される。解放ノブ206が回転させられるとき、係止部材230及び加圧プレート236はマウント204のベース210内に引っ込められ、マウント204内に前もって固定される如何なるブレード100をも解放する。解放ノブ206はマウント204にもたらされる回転運動によって駆動させられないように構成される。これはソーが動作しているときに生成される振動及び雑音の量と共にハンドピース20のモータに対する歪みを減少させる。
【0030】
図4は、本発明の実施態様に従った外科用ソーブレード100を示している。ブレードの本体は実質的に平面状であり、ブレードの平面を定める。ブレードの本体は、ブレードの両端にそれぞれ配置される近位端102及び遠位端104を含む。中心軸が近位端と遠位端との間を走り、ブレードの平面を横断してブレードを二等分する。遠位端104は切断縁106を有する。切断縁106は鋸歯状であり、ブレードの平面と平行な平面において遠位端104から突出する一組の三角形の歯を含む。ブレード100の本体に穴108を切り込み得る。これらの穴108はブレード100の重量を減少させ、従って、ブレード100を駆動させるのに必要とされる力を減少させる。穴108の分布は中心長手軸について対称的であり得る。ブレード100形状は中心長手軸について対称的であるのが普通である。
【0031】
近位端102は、ブレード100を
図1に示すような振動性工具に取り外し可能に連結するためのブレード100の連結部分110の一部を形成する。連結部分110は、
図3に示すようなブレードマウント204内に固定し得る取付けハブである。連結部分110は、ブレード100の本体を通じて延びる孔を定める孔縁120を含む。孔はブレード100の平面と平行に走るブレード100の両方の面に開口を形成する。孔はブレード100の平面に対して垂直な軸に沿ってブレード100の本体を通じて延びる。孔縁120は係止面122を定める。係止面122は、ブレード100の平面に対して垂直に走る1つの軸及びブレード100の平面と平行なブレード100の中心長手軸に対して垂直に走る第2の軸によって定められる。係止面122に対する反対面は、ブレード100の平面内で湾曲する。孔縁120によって形成される孔は中心長手軸について対称的であり、ブレード100がどちらかの方向を上にしてブレードマウント204内に挿入されることを可能にする。
【0032】
中央近位縁112がブレード100の近位端102の中央に配置される。中央近位縁112はブレードの中心長手軸について対称的である。更に、中央近位縁112は係止面122よりも僅かに長く、係止面122と平行に走る。中央近位縁112のどちらかの側で、2つの突起114(prongs)がブレード100の近位端102から突出する。突起114はブレード100の平面と平行な平面内に突出する。突起114の外側縁は連結部分110の本体の幅を越えて延びない。更に、一対の突起114はブレードの中心長手軸について対称的である。各突起114は、内面116、即ち、中央近位縁112に最も近い突起の面を有する。各内面116は、ブレード100の平面に対して垂直であり、中心長手軸に対して角度付けられる。2つの突起114の内面116の間の横方向距離がそれらのベースでよりも突起114の先端でより大きいように、内面116はブレード100の長手軸に対して等しい反対の角度で互いから離れる方向に傾く。2つの内面116の間の角度は30°である。ブレード100の長手軸と各々の内面116との間の角度は15°である。特定の角度を開示するが、以下に記載する幾何によって詳述するように、ある範囲の角度が所望の結果を達成することが理解されるであろう。
【0033】
ブレード100は、突起114の内面116で加えられる力によって回転軸について回転式に振動するように駆動させられるように構成される。ブレード100は、ブレード100の平面と平行な運動の平面内で回転するように構成される。回転軸はブレード100の平面に対して垂直であり、孔縁120によって定められる孔を通過する。回転軸はブレード100の中心長手軸を通過する。ブレード100の内面116は、内面116の突起(projections)が駆動角交差点(drive angle intersection)で互いに交差し且つブレード100の平面と交差するように位置付けられ且つ角度付けられる。駆動角交差点はブレード100の中心長手軸上に位置する。内面116は駆動角交差点が回転軸とブレード100の遠位端106との間に配置されるように角度付けられる。即ち、駆動角交差点と近位端102との間の距離は、回転軸と近位端102との間の距離よりも大きい。後述のように、この幾何は内面116で加えられる駆動力がブレード100をブレードマウント204内に更に押し込み、より確実な取付け構成をもたらすことを意味する。
【0034】
係止面122と突起114の角度付けられた内面116との組み合わせは、ブレード100がブレード100の平面内で加えられる力によって固定させられ且つ駆動させられることを可能にする。ブレード100が駆動させられてブレード100の平面と平行な運動の平面内で回転式に振動すると、それはブレード100の平面内の運動の故により大きい力を受ける。ブレード100の平面内で加えられる力を介してブレード100を固定することによって、運動中の機械的な遊び及び接触面での摩擦は減少させられ且つ考慮される。更に、角度付けられた内面116は、ブレード100がブレードマウント204内に挿入されるときにブレード100を正しい位置に確実に配置するのに役立つ。
【0035】
図5は、本発明の実施態様に従ったブレード100及び付属部品200を示している。ブレード100はブレードマウント204内に固定されている。ブレード100は、ブレードマウント204の頂壁216、側壁212、及びベース210によって定められる、溝214の内側に位置付けられる。ブレード100の突起114は、マウント204の側壁212、頂壁216、ベース210、及び安定化部材220によって定められる、空洞218内に嵌入する。突起114の内面116は、ブレードマウント204の安定化部材220の固定面222に沿って横たわる。係止部材230は、ブレード100の孔120内に受け入れられる。
【0036】
ブレード100の完全挿入後、ブレード100の中央近位縁112と安定化部材220との間に間隙が残される。この間隙はブレード100及びブレードマウント204システムが摩耗及び製造許容差に順応するのを可能にする。ブレード100及び/又はブレードマウント204の面が摩滅すると、間隙はブレード100が係止部材230によってブレードマウント204内に更に押し込まれることを可能にし、各固定面222は突起114のベースにより近い地点で対応する突起114の内面116と接触する。
【0037】
ブレードマウント204は回転軸について回転するように構成される。回転軸はブレードマウント204のベース210に対して垂直であり、係止部材230を通過する。ブレードマウント204の固定面222は2つの固定面222が駆動角交差点で互いに並びに運動の平面と交差するように角度付けられる。回転軸とブレードマウント204の近位端との間の距離は、駆動角交差点とブレードマウント204の近位端との間の距離よりも短い。有利には、内面の2つの突起の間の角度は30°である。しかしながら、ある範囲の異なる角度を本発明の実施態様に従って利用し得ることが認識されよう。
【0038】
図6aは、本発明の実施態様に従ったブレードマウント204の側断面図を示している。係止部材230は、バネによってブレードマウント204のベース210から外に押し出されている。係止部材230はブレードマウント204のベース面に対して垂直な方向において押し付けられる。係止部材230は、固定面222が配置されるブレードマウント204の近位端から離れる方向に傾く第1の傾斜面232を有する。第1の傾斜面232からブレードマウント204の近位端までの長手方向の距離は、ブレードマウント204のベース210からの垂直方向の距離が増大するに応じて増大する。第1の傾斜面232に対する係止部材230の反対側には、溝214はブレードがブレードマウント204内に挿入されるのを可能にする開口を形成するブレードマウント204の遠位端から離れる方向に傾く第2の傾斜面234がある。第1の傾斜面232からブレードマウント204の遠位端までの長手方向の距離は、ブレードマウント204のベース210からの垂直方向の距離が増大するに応じて増大する。加圧プレート236は、係止部材230の一部の下に延びる部分を含む。加圧プレート236は、ベース面に対して垂直な距離において、ブレードマウント204のベース210から押し出される。ブレードマウント204が空であるとき、加圧プレート236は係止部材230の下面に対して押し付けられる。
【0039】
図6bは、本発明の実施態様に従ったブレード100を固定するブレードマウント204の側断面図を示している。ブレード100が溝214に沿ってブレードマウント204内に挿入されると、ブレード100の中央近位縁112は係止部材230の第2の傾斜面234と接触する。ブレード100がブレードマウント204内に移動すると、中央近位縁112は第2の傾斜面234に沿って滑動し、係止部材230をブレードマウント204のベース210内に押し込み、それにより、係止部材230をブレード100の経路から外に移動させる。係止部材230が押し下げられるとき、係止部材230の下面は加圧プレート236をブレードマウント204のベース210内に押し込む。この機構はブレード100が係止部材230及び加圧プレート236を越えて挿入されるのを可能にする。
【0040】
ブレード100がその最終固定位置に向かって挿入されると、ブレード100の孔120は係止部材230と整列する。整列されるや否や、係止部材230はブレード100の孔120内に押し込まれる。係止部材230が孔120内に押し込まれるや否や、係止部材230の第1の傾斜面232はブレード100の係止面122に圧力を加える。第1の傾斜面232は、固定面222に対してブレード100をブレードマウント204内に更に押し込む。この作用はブレード100を所定の場所に固定し、ブレード100を固定面222に対して付勢する。第1の傾斜面232はブレード100をブレードマウント204の頂壁216に対しても押し付ける。この作用はブレード100を所定の場所に締め付けるのに役立つ。
【0041】
係止部材230がベース100から外に出て孔120内に移動すると、加圧プレート236も上向きに押される。係止部材230は孔120内に移動し得るが、加圧プレート236は孔120内に移動し得ないので、加圧プレート236は係止部材230まで延びない。従って、係止部材230の下面と加圧プレート236との間には間隙があり、それは加圧プレート236がブレード100を溝214の上面に対して付勢する追加的な力を加えることを可能にし、係止部材230がブレード100を所定の位置において締め付けるのを助ける。一対の加圧プレートを記載しているが、単一の加圧プレートも同じ目的を達成し得ることを記さなければならない。
【0042】
ブレード100の正しい挿入は、ブレード100を所定の位置に押し込む係止部材230並びにブレード100が滑動して正しい整列に至るのを助ける安定化部材の角度付けられた固定面222によって助けられる。ブレードの正しい挿入は、付勢力を受ける孔縁120の係止面122及びブレード100がマウント204の側壁212にある空洞218内に滑動するのを可能にするブレード100の突起114の角度付けられた内面116によって更に支持される。
【0043】
図7は本発明の実施態様に従ったブレードマウント204を示している。ブレードマウント204は、ブレードマウント204のベース面に対して垂直な回転軸について回転するように駆動される。回転軸はブレードマウント204の係止部材を通過する。固定面222は(
図4に示すように)ブレード100を駆動するように構成され、ブレード100の突起114の内面116でブレードを押す。ブレード100は、ブレードの平面に対して垂直な回転軸について回転するように構成される。加えて、回転軸はブレード100の孔縁120によって定められる孔を通過する。固定面222、相応して、ブレード100の内面116は、固定面222の突起及び内面116の突起が回転軸に対して遠位に配置される駆動角交差点で交わるように、ブレードマウント204の長手軸から15°に角度付けられる。回転軸が固定面222又はブレード100の内面116から更に遠くに配置される場合、駆動角交差点は、固定面222又は内面116から更に遠くに配置される必要があり得る。従って、前記面と長手軸との間の角度はより鋭角であることが理解されるであろう。
【0044】
駆動角交差点が固定面222及び内面116から回転軸の遠い側に配置されるような角度で駆動することによって、ブレード100はブレードマウント204内に更に押し込まれ、より安定的な駆動をもたらす。各々の固定面222が駆動しているとき、各固定面222は、固定面222及び内面116の法線と平行に、力F
nを加える。システムが回転軸について推進されると、内面116に沿う各地点は、回転の方向に沿って方向付けられる、駆動力F
dを受ける。駆動力F
dは、その特定の地点での回転の方向に沿う、全体的な力F
nの投射(projection)である。回転の方向は、回転軸を駆動力F
dが加えられる地点に結び付ける半径に対して垂直である。駆動力F
dは、回転軸について回転するように駆動されるブレード100をもたらす。固定面222及び内面116は回転の半径に沿って位置しないので、固定面222によって加えられる全体的な力F
nは回転の方向に沿って方向付けられない。固定面222によって内面116に対して加えられる全体的な力F
dと回転させられるブレード100をもたらす駆動力F
dとの間の差は、第3の力F
Δによって許容される。即ち、
F
n=F
d+F
Δ
【0045】
第3の力F
Δは、ブレード100とブレードマウント204との間の摩擦によって相殺される。内面116/固定面222は回転軸が駆動角交差点とブレード100/ブレードマウント204の近位端との間に位置付けられるように角度付けられるので、第3の力F
dはブレード100を更にブレードマウント204内に押し込むように方向付けられる。これはブレード100をブレードマウント204に対して付勢し、より確実な駆動をもたらす。駆動角交差点が回転軸とブレード100/ブレードマウント204の近位端との間に配置されるならば、第3の力F
dはブレードマウント204から外れて方向付けられ、従って、ブレード100をブレードマウント204から外に固定面222から離れる方向に推進するであろう。
【0046】
各ブレード100は、ブレード100の孔を通過する回転軸を有するように設計される。内面116の突起がブレード100の遠位端104と回転軸との間に配置される地点で交わるようにブレード100の突起114の内面116を角度付けることによって、上述のようなシステムによってブレード100を駆動させ得る。従って、そのようなブレード100は、ブレードが駆動させられるときに減少させられた遊びを伴うより確実な取付けシステムからの利益を享受し得る。この構成において、ブレード100の近位端102と駆動角交差点との間の距離は、ブレード100の近位端102と回転軸との間の距離よりも大きい。
【0047】
係止部材230及び固定面222の組み合わせは、ブレード100のための強力な支持をもたらし、ブレード100が駆動させられるときの遊びを減少させる。係止部材230はブレード100をブレードマウント204の長手軸に沿って固定面222に向かって押す固定力をもたらす。固定力はブレード100の突起114の内面116をブレードマウント204の固定面222に対して押す。固定面222はこの長手方向の力を横方向の力に変換し、ブレード100が駆動させられる平面内の追加的な安定性をもたらす。ブレード100が駆動させられる間にブレード100が受ける最大の力はブレード100の平面内にあるので、これは特に重要である。
【0048】
上記構成の追加的な利点は、それが製造許容差並びに反復的な使用を通じた摩擦を許容することである。ブレードマウント204の付勢面232及び固定面222並びにブレード100の内面116及び係止面122は、使用中に大量の応力を受ける可能性が高く、互いに擦れ合い得る。従って、反復的な使用を通じてこれらの面が摩滅する危険性がある。この摩耗は係止部材230からの付勢によって調節される。ブレードマウント204の付勢面232及び/又はブレード100の係止面122が摩滅すると、調節するために係止部材230をブレードマウント204のベース210から更に押し出し得る。更に、ブレードマウント204の安定化面222及び/又はブレード100の内面116が摩滅すると、係止部材230によってブレード100をホルダ内に更に押し込み得る。従って、安定化面222は、ブレード100の突起114の内面116の更に下に位置する。従って、係止部材230によってもたらされるブレードの平面内の長手方向の力は、ブレード100及びブレードマウント204の面の間の摩擦の原因となる。係止面122がブレード100の長手軸に対して垂直に走るので、係止面122は長手方向の力がブレード100に加えられるのを可能にする。この構成はより確実な嵌りをもたらし、運転中のブレード100の遊びを減少させ、切断効率を増大させると同時に摩耗も減少させる。
【0049】
図8は、本発明の実施態様に従った付属部品200のための内部駆動及び解放機構を示している。その機構は回転式の駆動を回転式の振動に変換するのに適している。加えて、その機構はブレードマウント204が解放機構252から隔離されるのを可能にし、駆動させられる必要のある質量を減少させる。
【0050】
その機構はハンドピース20によってもたらされ得る回転式の運動を回転式の振動に変換する。回転式の駆動は偏心スピンドル240にもたらされる。偏心スピンドル240が回転すると、それはフォーク244内を走る駆動ブッシュ242を駆動する。偏心スピンドル240の回転毎に、フォーク244は係止シャフト246上に中心を置く回転軸について左右に振動する。係止シャフト246の長手軸は回転軸と平行であり、回転軸に沿って横たわる。係止シャフト246はフォーク244によって回転するように駆動させられる。
【0051】
係止シャフト246は係止部材230から解放機構252に向かって走る。係止シャフト246及び係止部材230は、係止シャフト246の一部を取り巻く第1のバネ248によってブレードマウント204のベース210から外に押される。2つの加圧プレート236が係止シャフト246の両側に位置付けられる。加圧プレート236は係止部材230の下で接続される。加圧プレート236は、係止シャフト246に繋がる係止部材230の側で、係止部材230の下に延びる部分を含む。加圧プレート236のこの部分は、係止部材230が押し下げられるときに、係止部材230によって加圧プレート236を押し下げ得ることを意味する。係止シャフト246の一部を取り巻く第2のバネ250によって、加圧プレート236はブレードマウント204のベース210から外に押し出される。
【0052】
フォーク244は、係止シャフト246、係止部材230、加圧プレート236、2つのバネ248,250、及びブレードマウント204を駆動して、係止シャフト246上で中心に置かれる回転軸について振動させる。回転軸はブレードマウント204のベース面に対して垂直な平面に沿って横たわる。
【0053】
解放機構252によって係止シャフト246及び係止部材230をブレードマウント204のベース210内に引っ込めさせ得る。解放機構252がフォーク244によって駆動させられないように、解放機構252は係止シャフト246から分離される。これは駆動させられなければならない質量を減少させ、可動部品の数を減少させ、それはより効率的なシステムをもたらし、それは使用中により少ない振動及び雑音を引き起こす。解放ノブ206はカムガイド254に接続される。カムガイド254はトーラス状(toroidal)であり、外側解放リング256を取り囲む。外側解放リング256はトーラス状であり、係止シャフト246を取り囲む。カムガイド254及び外側解放リング256は、係止部材230に対する係止シャフト246の反対端に配置される。カムガイド254及び外側解放リング256は互いに並びに円筒形の係止シャフト230の長手軸と同心である。
【0054】
カムガイド254は螺旋状の通路258を有し、螺旋状の通路258内にはピン260が位置する。ピン252は外側解放リング256の外面から径方向に外向きに突出する部材である。解放ノブ206が回転させられると、カムは、螺旋状の通路258の長手軸に沿ってブレードマウント204から離れる方向に押され、外側解放リング256を係止シャフト246の長手軸と平行な方向においてブレードマウント204から離れる方向に移動させる。外側解放リング256は係止シャフト246をブレードマウント204から離れる方向に推進させ、それにより、係止部材230をブレードマウント204のベース210内に引っ込める。
【0055】
図9は、本発明の実施態様に従った付属部品200の断面図を示している。偏心スピンドル240は、付属部品200の長手軸と平行に、付属部品200の中心を通過している。係止シャフト246は、ブレードマウント204と解放ノブ206との間で、ブレードマウント204のベース210に対して垂直に走っている。
【0056】
内側解放リング262が係止部材230に対するシャフトの反対側で係止シャフト246に接続される。内側解放リング262はトーラス状であり、外側解放リング256内に位置付けられる。解放機構252が係止位置にあるとき、2つの構成部品が接触しないように外側解放リング256は内側解放リング262から隔離される。内側解放リング262は、外側解放リング256に向かって突出する内側解放部材264を含む。内側解放部材264は、係止シャフト246の長手軸及び回転軸から離れる方向に、内側解放リング262から径方向に突出する。外側解放リング256は、内側解放リング262に向かって突出する外側解放部材266を有する。外側解放部材266は、係止シャフト246の長手軸及び回転軸に向かって、外側解放リング262から径方向に突出する。係止部材230は、内側解放部材244よりも外側解放部材266により近接する。これは、外側解放リング262が係止部材230から離れる方向に移動させられるときに、外側解放部材266が内側解放部材264と接触して、内側解放リング262及び係止シャフト246をブレードマウント204から離れる方向に推進させることを意味する。これは係止部材230をブレードマウント204のベース210内に移動させる。従って、ブレード100がブレードマウント204内に固定されるとき、この作用はブレード100を解放し、ブレード100が取り外されるのを可能にする。
【0057】
特定の実施態様を上述したが、それらの実施態様はほんの一例として提示されており、保護の範囲を限定することを意図しない。本発明は特定の特徴及び上述の実施態様に限定されないこと、並びに様々な変更、追加、及び削除が後続の請求項によって定められるような本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。