(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290970
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】回転式流体調整装置
(51)【国際特許分類】
F16K 3/26 20060101AFI20180226BHJP
F16K 11/085 20060101ALI20180226BHJP
F16K 31/54 20060101ALI20180226BHJP
F16K 31/52 20060101ALI20180226BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
F16K3/26 Z
F16K11/085 Z
F16K31/54
F16K31/52
F16K31/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-90825(P2016-90825)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-211737(P2016-211737A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】10 2015 106 672.6
(32)【優先日】2015年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゲッフェルト
(72)【発明者】
【氏名】フランク ブルム
【審査官】
鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/148126(WO,A1)
【文献】
特開平01−283489(JP,A)
【文献】
特開2014−194252(JP,A)
【文献】
特開昭54−014019(JP,A)
【文献】
特表2010−535432(JP,A)
【文献】
特開2016−211561(JP,A)
【文献】
特開2016−211738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00 − 3/36
F16K 1/00 − 1/54
F16K 11/00 − 11/24
F16K 31/00 − 31/05
F16K 31/44 − 31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの吸入開口(3、4)および少なくとも1つの排出開口(5)を備えたハウジング(2)と、前記ハウジング(2)内に回転可能に収容され、かつ流体ダクト(8)を形成するために中空の形態である弁要素(7、100)とを有する回転式流体調整装置(1、300)であって、駆動要素(19、301、401、501)が設けられ、前記駆動要素(19、301、401、501)を用いて前記弁要素(7、100)を回転させることができ、中空の形態の前記弁要素(7、100)を回転させることで、前記吸入開口(3、4)の少なくとも1つと、前記排出開口(5)の少なくとも1つとの間の流体接続を調整または遮断することができ、前記弁要素の動作に影響を及ぼすか、または前記弁要素の動作を止めるために制動要素が設けられ、
前記制動要素(21、305、414)は、磁気粘性制動要素であり、
前記磁気粘性制動要素(21、305、414)は、チャンバ内に移動可能な方法で収容された要素(421)を有し、前記チャンバ内には磁気粘性材料(422)が収容され、前記磁気粘性材料(422)は、磁化状態では、前記チャンバ内での前記移動可能な要素(421)の移動を抑制し、かつ非磁化状態では、前記移動可能な要素(421)の移動を実質的に抑制しないことを特徴とする、回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項2】
2つ以上の排出開口(5)が設けられて、流体流れを一方および/または他方の排出開口(5)に配送することができることを特徴とする、請求項1に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項3】
2つ以上の吸入開口(3、4)が設けられて、流体流れを一方および/または他方の吸入開口(3、4)から供給することができることを特徴とする、請求項1または2に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項4】
前記駆動要素(19、301、401、501)は、電動駆動要素の形態であり、および前記弁要素(7、100)を回転駆動するために、前記弁要素(7、100)に連結された出力要素を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項5】
前記駆動要素(19、301、401、501)は、油圧式または空気式駆動要素の形態であり、および前記弁要素(7、100)を回転駆動するために、前記弁要素(7、100)に連結された出力要素(20、302、403)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項6】
前記機構は、歯付きラック機構または歯車機構であることを特徴とする、請求項4または5に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項7】
前記移動可能な要素(421)は、長手方向に移動可能な方法で前記チャンバ内に収容されたある種のピストンまたはスライダであることを特徴とする、請求項1に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項8】
前記移動可能な要素は、回転移動可能な方法で前記チャンバ内に収容されたある種の回転ピストンまたは回転スライダであることを特徴とする、請求項1に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【請求項9】
ばねなどの力蓄積要素が設けられ、前記力蓄積要素は、前記弁要素(7、100)の所定の位置の方向に作用する力を発生させるために、前記機構、前記駆動要素、または前記弁要素(7、100)に作用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回転式流体調整装置(1、300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式流体調整装置、特に、自動車内の流体流れを制御する回転式流体調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転式流体調整装置は先行技術から公知である。例えば、(特許文献1)では、前記のタイプの回転式流体調整装置を開示している。この回転式流体調整装置では、開口を有する回転ディスクがハウジング内に回転可能な方法で収容される。流体流れは、開口を通って回転ディスクの平面に垂直に案内される。それにより、ハウジング内で180°にわたる流体の方向転換が行われる。これは圧力降下に悪影響を及ぼす。
【0003】
(特許文献2)では、偏心弁の形態の回転式流体調整装置を開示している。この回転式流体調整装置は、弁座に接触して配置することができる少なくとも1つの旋回可能なディスクを有する。この場合、ディスクは、排出開口を通る流体流れを制御するために、弁座で旋回する。弁の開放時のディスク位置に起因して、圧力降下がそれでもなお非常に大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2011 120 798A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第100 53 850A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、単純な構成からなり、それにもかかわらず、小さい圧力降下で、流体流れの良好な調節または調整を可能にする回転式流体調整装置を提供することである。この場合、信頼性が高く、それにもかかわらず省エネルギーな中間位置の位置合わせも可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0007】
本発明の例示的な実施形態は、少なくとも1つの吸入開口および少なくとも1つの排出開口を備えたハウジングと、ハウジング内に回転可能に収容され、かつ流体ダクトを形成するために中空の形態である弁要素とを有する回転式流体調整装置であって、駆動要素が設けられ、この駆動要素を用いて弁要素を回転させることができ、中空の形態の弁要素を回転させることで、吸入開口の少なくとも1つと、排出開口の少なくとも1つとの間の流体接続を調整または遮断することができ、弁要素の動作に影響を及ぼすか、または弁要素の動作を止めるために制動要素が設けられる、回転式流体調整装置に関する。この方法では、弁要素の位置または位置合わせは、駆動要素の制御と制動要素の制御との間の相互作用によって制御される。
【0008】
上記の場合に、2つ以上の排出開口が設けられて、流体流れを一方および/または他方の排出開口に配送できることが特に有利である。したがって、流体流れは、回転式流体調整装置の設定に従って制御された方法で回転式流体調整装置によって分配されることが可能である。
【0009】
2つ以上の吸入開口が設けられて、流体流れを一方および/または他方の吸入開口から供給できることも有利である。この方法では、回転式流体調整装置により、吸入側で様々な流体流れを混合して、例えば、混合した流体を目標温度にすることもできる。
【0010】
駆動要素が、電動駆動要素の形態、特に、電気モータの形態であり、および弁要素を回転駆動するために、特に、機構によって弁要素に連結された出力要素を有することも有利である。この方法では、弁要素を簡単に回転させるか、または位置合わせすることができる。電気モータは、したがって、例えば効果的な方法で駆動することができ、制御要素に直接、または機構を介して作用することができる。この場合、使用される機構は、電気モータの回転速度を減速させる減速機構である。そのため、弁要素が減速された回転速度で回転することが特に有利である。
【0011】
駆動要素が、油圧式または空気式駆動要素の形態、特に、油圧シリンダまたは真空カプセルの形態であり、および弁要素を回転駆動するために、特に、機構によって弁要素に連結された出力要素を有することも有利である。この方法でも、弁要素の回転を単純な方法で実現することができる。
【0012】
上記の場合に、機構が、歯付きラック機構、レバー機構、または歯車機構であることが特に有利である。この方法では、駆動要素から始めて、駆動要素の駆動動作が弁要素の動作に対応して変換されるように、弁要素を複雑でない方法で駆動することが可能である。
【0013】
制動要素が磁気粘性制動要素であることも有利である。制動要素は、有利には、制動要素の制動作用を引き出すために、電子的に制御可能な方法で磁界を印加できるという点で電子的に駆動することができる。
【0014】
1つの例示的な実施形態において、磁気粘性制動要素が、チャンバ内に移動可能な方法で収容された要素を有し、チャンバ内には磁気粘性材料が収容され、磁気粘性材料は、磁化状態では、チャンバ内での移動可能な要素の移動を抑制し、かつ非磁化状態では、移動可能な要素の移動を実質的に抑制しないことが有利であり。この場合に、磁化状態とは、外部から磁界が印加された状況における状態である。この磁化状態では、磁気粘性材料の成分は、少なくとも部分的に相互に結合し、高い粘度を示す。
【0015】
移動可能な要素が、長手方向に移動可能な方法でチャンバ内に収容されたある種のピストンまたはスライダであることも有利である。この方法では、弁要素に影響を及ぼすために、磁気粘性材料の粘度の目標とする変化を利用することが可能である。
【0016】
また、別の例示的な実施形態において、移動可能な要素が、回転移動可能な方法でチャンバ内に収容されたある種の回転ピストンまたは回転スライダであることが有利である。
【0017】
ばねなどの力蓄積要素が設けられ、この力蓄積要素は、非駆動状態において、力が弁要素の所定の位置の方向に作用して、弁要素が前記端位置に移動するようにするために、駆動要素、機構、または弁要素に作用することが特に有利である。この方法では、非駆動状況で、特定の機能が得られるように弁要素が所定の位置に移動することが可能になる。そのような位置は、例えば、特定の端位置とすることができる。
【0018】
以下に、本発明が、例示的な実施形態に基づき、および図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】回転式流体調整装置の部分断面斜視図を示す。
【
図7】回転式流体調整装置のハウジングの細部を示す。
【
図15】駆動要素および制動要素を含むハウジングカバーの分解図である。
【
図17】回転式流体調整装置のさらなる例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図18】制動要素を有する駆動要素の断面図を示す。
【
図19】制動要素を有する駆動要素の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および
図2は、回転式流体調整装置1の例示的な実施形態を、異なる視点から見たそれぞれの分解図で示している。
【0021】
回転式流体調整装置1は、少なくとも1つの吸入開口3、4が形成され、少なくとも1つの排出開口5が設けられたハウジング2を有する。
図1および
図2の例示的な実施形態では、2つの吸入開口3、4および1つの排出開口5が設けられている。この場合に、吸入開口3、4は、ハウジング2の外周に配置されている。排出開口5は、ハウジング2の面壁に配置されている。
【0022】
2つの吸入開口3、4は、2つの吸入開口3、4への接続を可能にするコネクタ要素6を装備している。前記コネクタ要素は、吸入開口に入り、例えば、供給パイプ装置またはホース装置を接続する、かつ/または封止するように機能する。
【0023】
回転可能に収容される弁要素7は、ハウジング2内に配置されている。この弁要素は、中空の形態であり、流体ダクト8を形成している。この場合に、流体ダクト8は、軸端9から円周面10に設けられた開口11まで延びている。弁要素7は、一方および/または他方の吸入開口3、4を排出開口5に接続するように、ハウジング2内に回転可能に配置される。この場合に、流体ダクト8は弁要素7内に形成される。流体ダクト8により、開口11を吸入開口の一方に重ねることで前記吸入開口を排出開口5に接続する。
【0024】
弁要素7は、ハウジング2内の収容部に回転可能に配置されている。弁要素7とハウジング2の円周壁との半径方向の間には、ハウジング2に対接して弁要素7を封止する封止要素12が設けられる。この方法では、吸入開口3、4の封止は、開口11がそれぞれの吸入開口3、4と整列していないときに実現することができる。
【0025】
封止要素12は、2つの開口13を有する浅く湾曲した弾性要素の形態である。両側で封止ビード14、15が開口13の周りに設けられている(
図8および
図9を参照のこと)。この場合に、封止ビード14は、入り口開口3、4に入る。封止ビード15は、弁要素7に対して封止を行う。
【0026】
ハウジング2は、ハウジング2を閉鎖する役割を果たし、弁要素7の駆動連結器17が配置されたハウジングカバー16を有する。この場合に、ハウジングカバー16内には、一方の側で弁要素7に連結することができ、他方の側で駆動要素19に連結することができるシャフト18が設けられている。この場合に、駆動要素19の動作を弁要素7の動作に変換する機構が設けられる。
【0027】
図1および
図2の例示的な実施形態では、駆動要素19は、出力要素としてプランジャ20を有する真空カプセルの形態である。この場合に、長手方向に移動可能なプランジャ20は、ハウジングカバー16の収容部に入り、そこで機構に、ひいては弁要素7に連結される。
【0028】
さらに、
図1および
図2の例示的な実施形態では、磁気粘性制動要素21の形態である制動要素21が、ハウジングカバー16に組み込まれている。制動要素21は、弁要素7の動作に制御された方法で影響を及ぼすか、または弁要素7の動作を制御された方法で止めるのを可能にするために設けられている。
【0029】
図3は、弁要素100を様々な図で示している。前記弁要素は、流体ダクト103の開口102が配置された円周壁101を有する。この場合に、流体ダクト103は、アーチ形の形態であり、軸方向に設けられた開口104から、円周壁に設けられた開口102まで延びている。弁要素100は、開口104を囲むシャンク105を有する。このシャンク105は、回転式流体調整装置のハウジングへの弁要素100の取り付けに寄与する。この場合に、ベアリングがシャンク105の周りで係合して、弁要素100の取り付けに寄与することができる。弁要素100は、反対側に受け入れ要素106を有する。弁要素を駆動するか、または回転させることができるようにするために、受け入れ要素106を用いて、シャフトを弁要素に連結することができる。受け入れ要素は、トルクを伝達することができるようにするために、横凹部(ここに横ウェブを有するシャフトが係合され得る)を有する凹面の形態である。
【0030】
図8および
図9にも示すように、弁要素100の半径方向外側に、封止要素110が示されている。
【0031】
図4〜6は、様々な視点から見た回転式流体調整装置1のアセンブリを示している。ハウジング2をハウジングカバー16および駆動要素19に連結するコンパクトな構造形態が見える。駆動要素19の出力要素は、外部の影響から保護されるように、ハウジングカバー16内の開口またはチャネルに入り込む。駆動要素19がハウジングカバー16に連結される。次に、ハウジングカバー16がハウジング2に連結される。こうして、コンパクトなユニットが形成される。
【0032】
排出側には、排出開口を囲んでリング形状のフランジが形成される。このリング形状のフランジには、回転式流体調整装置を収容部に配置できるようにするために、封止リング120が収容されている。例えば、ねじ連結によって、回転式流体調整装置1をアセンブリに固定するための固定用開口122を有する固定用アーム121が、フランジの横に隣接して配置されている。
【0033】
図7は、ハウジングカバー16が取り付けられる側から見たハウジング2の図を示している。ハウジングカバー16を封止して取り付けることができる包囲縁部133を有する円形開口130が見える。ハウジングカバー16を連結するために、連結穴を有する固定用アーム131が設けられている。したがって、例えば、ハウジングカバー16をハウジング2にねじ留めすることが可能である。
【0034】
図10〜12はそれぞれ、前の図と同様の回転式流体調整装置1の断面図を示している。これらの図では、弁要素7がそれぞれ異なる設定位置で示されている。
【0035】
図10では、弁要素7は、流体ダクト8が1つの吸入開口3と連通するように、ハウジング2内で位置合わせされている。この方法では、吸入開口3に接続された流体ダクトからの流体流れは、回転式流体調整装置1に流れ込むことができる。
【0036】
図11では、弁要素7は、流体ダクト8が2つの吸入開口3、4のいずれとも連通しないように、ハウジング2内で位置合わせされている。この方法では、吸入開口3に接続された流体ダクトまたは吸入開口4に接続された流体ダクトからの流体流れは、回転式流体調整装置1に流れ込むことができない。
【0037】
図12では、弁要素7は、流体ダクト8が1つの吸入開口4と連通するように、ハウジング2内で位置合わせされている。この方法では、吸入開口4に接続された流体ダクトからの流体流れは、回転式流体調整装置1に流れ込むことができる。
【0038】
流体ダクト8が、一方の吸入開口3と部分的に連通し、他方の吸入開口4と部分的に連通するように、弁要素7がハウジング2内で位置合わせされる中間位置設定も考えられる。この方法では、吸入開口3に接続された流体ダクトおよび吸入開口4に接続された流体ダクトからの流体流れは、相応して回転式流体調整装置1に流れ込むことができる。
【0039】
図13〜15は、ハウジングカバー16と、ハウジングカバー16に連結された駆動要素19とを示している。制動要素21も同様にハウジングカバー16に連結されている。
【0040】
制動要素21は、略円筒形の形態であり、制動要素21を貫通するシャフト200を有する。シャフト200の一端は、確実にロックして弁要素7に連結される。それに対して、シャフト200の他端は、機構としてのレバー202によって、駆動要素19のプランジャ201に連結されている。
【0041】
シャフト200の弁要素への確実なロック連結は、横ウェブ203によって実現される。この横ウェブ203は、シャフト200に連結され、有利には、シャフトを貫通した穴に導入される。
【0042】
上記の場合に、ハウジングカバー16は、プランジャ201とシャフト200との間の連結部を覆う。
【0043】
さらに、封止リング210が設けられる。制動要素211は、シャフト200の領域で封止リング210によって封止される。
【0044】
図16は、回転式流体調整装置1の長手方向の回転式流体調整装置1の断面を示している。
図16は、弁要素7が吸入開口3を遮断する設定の回転式流体調整装置1を示している。駆動側では、弁要素7は、シャフト200およびレバー202によって、駆動要素19のプランジャ201に連結されている。この場合に、シャフト200は制動要素21を貫通している。
【0045】
図17は、前の図の回転式流体調整装置1と実質的に同じ形態である回転式流体調整装置300のさらなる例示的な実施形態を示している。駆動要素301は、プランジャとして歯付きラック302を有する真空カプセルの形態である。この歯付きラックは、弁要素のシャフト304に連結された歯車303に作用する。制動要素305は真空カプセルに組み込まれている。
【0046】
図18は、基本的に、
図17と同様の回転式流体調整装置用に使用できる駆動要素401のさらなる例示的な実施形態の断面図を示している。駆動要素401は、プランジャ403が移動可能な方法で案内されるハウジング402を有する。プランジャ403は、ハウジング402から突出している。ハウジング402は、有利には、少なくとも2つの部分で形成される。ハウジング402の少なくとも2つの要素404、405は、封止されて互いに連結され、実質的に閉じたカプセルを形成している。この場合に、少なくとも2つの要素404、405は、例えば、溶接または接着などによって封止して互いに連結することができる。封止材は間に配置されている。
【0047】
プランジャ403は、細長いロッドの形態である。プランジャ403の一端406はハウジング402内に配置されている。それに対して、プランジャ403の他端407は、ハウジング402から導出されている。回転可能な要素をプランジャ403の前記端部407に関節式に連結することができる。この回転可能な要素は、駆動要素401によって駆動することができる。このために、駆動要素401は、プランジャ403の端部407に歯408を有する。あるいは、例えば、レバーなどが関節式に連結されるのを可能にするために、何らかの他の形態の受け部が設けられてもよい。
【0048】
ハウジング402内には、ハウジング402に連結され、例えば、プレートによってプランジャ403に連結されたダイアフラム409が配置されている。ダイアフラム409は、ハウジング402内で、ハウジング402と共に気密性圧力チャンバ410を形成している。圧力チャンバ410に圧力または負圧を加えるために、圧力媒体ポート411がハウジング402に設けられている。前記圧力媒体ポート411は、外部圧力媒体供給源または負圧供給源によって、圧力チャンバ410に圧力または負圧を加えることができるように、圧力チャンバ410と連通している。
【0049】
ばねをハウジング402内に配置することもできる(ただし、これは図示されていない)。この場合に、ばねは、ハウジング402と、ダイアフラム409またはプランジャ403との間で支持されて、プランジャに力を作用させることができる。プランジャが、圧力のかかっていない状態で前もって決められた位置を取ることができるようにするために、ばねに予圧をかけることもできる。ハウジング402にセンサを設けることもできる。このセンサはプランジャ403の位置を検出する。
【0050】
さらに、プランジャ403に制動作用を及ぼす制動要素414が設けられている。前記制動作用は、プランジャ403に作用する制動力を発生させることによって生じる。制動要素414により、プランジャ403に制動力を作用させる。制動要素414は、磁気粘性制動要素の形態である。制動要素414は、プランジャ403が貫通する制動ハウジング415を有する。このために、制動ハウジング415は、互いに対向して配置され、プランジャ403が貫通して案内される2つの開口416、417を有する。制動ハウジング415は、有利には、2つの部分で形成される。2つの副ハウジング418、419は互いに連結されている。この場合に、一方の副ハウジング419は、ポット状の形態であることができる。他方の副ハウジング418は、カバー状またはプラグ状の形態であることができる。各2つの開口416、417には封止材420が配置されている。プランジャ403は、この封止材420によって封止されて、開口416、417を通して案内される。
【0051】
制動ハウジング415の副ハウジング419は、例えば、射出成形によって、ハウジング402と一体で形成されることが分かる。
【0052】
プランジャ403は、制動ハウジング415内に、フランジ状の形態であるピストン状要素421を有する。この場合に、ピストン状要素421は、プランジャ403から半径方向に突出し、ハウジング415内に収容された磁気粘性材料422中を案内されるフランジの形態である。制動ハウジング415の周りに電磁石423またはコイルが配置されている。この電磁石423を用いて、磁気粘性材料422の領域に磁界を発生させることができる。プランジャ403が、長手方向でもある軸方向に移動すると、フランジまたはピストン状要素421は、磁気粘性材料422中を移動する。磁界が印加されていない場合、磁気粘性材料422は、ピストン状要素421内を流れて通過することができる。このため、プランジャ403は、大きな摩擦なしに、ひいては、大きな抵抗なしに移動することができる。対照的に、磁界が印加されている場合、磁気粘性材料422の成分は相互結合し、前記材料は堅くなるか、または粘着性になる。粘度が高くなる。この方法では、磁気粘性材料422中を通るプランジャ403およびピストン状要素421の移動は、印加された磁界に応じて抑制されるか、制動されるか、または止められさえする。
【0053】
アクチュエータのすべての実施形態で同様に、磁気粘性材料422は、磁気粘性粉末、すなわち、乾燥材料とすることができ、または代替案として、磁気粘性流体とすることもできる。磁気粘性流体は、磁性成分または磁化可能な成分が埋め込まれたオイルまたは何らかの他の流体を基本にすることができる。両方のタイプの磁気粘性材料422は、流動性であり、非磁化状態では粘度が低いが、磁界が印加された場合の磁化状態では粘度が高いという特徴を有する。その理由は、例えば、磁気粘性材料422の成分が相互結合し、そのために粘度が高くなるからである。
【0054】
図18の例示的な実施形態では、制動ハウジング415は、プランジャ403の長手方向に見て、ハウジング402に隣接して配置されている。
【0055】
ピストン状要素421が磁気粘性材料422中を容易にスライドできるようにするために、ピストン状要素421に、磁気粘性材料422が通過して流れることができる少なくとも1つまたは複数の凹部が設けられることが有利である。代替案として、またはそれに加えて、半径方向外側で、ピストン状要素421と制動ハウジング415の壁との間にギャップを設けることができる。プランジャ403が移動するときに、磁気粘性材料422がそのギャップを通過して流れることも可能である。
【0056】
図19および
図20は、駆動要素401と同様の構造である駆動要素501のさらなる例示的な実施形態を示している。ただし、制動ハウジング515は、射出成形によってではなく、保持プレート550によってハウジング502に連結されている。前記保持プレートは、ハウジング502に連結されるように形成される。制動ハウジング515および磁界発生要素523は共に、保持プレート550にねじ留めされている。このために、第1のねじ551が、制動ハウジング515を保持プレート550にねじ連結するために設けられている。また、第2のねじ552が、磁界発生要素523を保持プレート550にねじ連結するために設けられている。
【0057】
真空カプセルを有する図示した例示的な実施形態に対する代替案として、駆動要素が、電動駆動要素の形態、特に、電気モータの形態であることも可能である。駆動要素は、弁要素を回転駆動するために、特に、機構によって弁要素に連結することができる出力要素を有する。
【0058】
しかし、駆動要素が、油圧式または空気式駆動要素の形態、特に、油圧シリンダまたは真空カプセルの形態であることも基本的に可能である。この油圧式または空気式駆動要素は、弁要素を回転駆動するために、特に、機構によって弁要素に連結された出力要素を有する。
【0059】
機構は、レバー装置の形態、またはその他に歯付きラック機構の形態もしくは歯車機構の形態であることができる。
【0060】
制動要素は、磁気粘性制動要素として、磁気粘性材料中を移動する移動可能な要素を有する。前記移動可能な要素は、長手方向に移動可能な方法で制動要素のチャンバ内に収容されたある種のピストンまたはスライダの形態であることができる(これに関しては、
図18〜20を参照のこと)。
【0061】
移動可能な要素を、回転移動可能な方法でチャンバ内に収容されたある種の回転ピストンまたは回転スライダとして形成することも可能である。前記タイプの移動可能な要素は、
図1〜16の制動要素に設けられている。
【0062】
さらなる概念によれば、弁要素の所定の位置の方向に作用する力を発生させるために、機構、駆動要素、および/または弁要素に作用する、ばねなどの力蓄積要素を設けることも有利であり得る。したがって、フェイルセーフ機能を実現することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 回転式流体調整装置
2 ハウジング
3 吸入開口
4 吸入開口
5 排出開口
6 コネクタ要素
7 弁要素
8 流体ダクト
9 端部
10 円周面
11 開口
12 封止要素
13 開口
14 封止ビード
15 封止ビード
16 ハウジングカバー
17 駆動連結器
18 シャフト
19 駆動要素
20 プランジャ
21 制動要素
100 弁要素
101 円周壁
102 開口
103 流体ダクト
104 開口
105 シャンク
106 受け入れ要素
110 封止要素
120 封止リング
121 固定用アーム
122 固定用開口
130 開口
131 固定用アーム
133 縁部
200 シャフト
201 プランジャ
202 レバー
203 横ウェブ
210 封止リング
211 制動ハウジング
300 回転式流体調整装置
301 駆動要素
302 歯付きラック
303 歯車
304 シャフト
305 制動要素
401 駆動要素
402 ハウジング
403 プランジャ
404 要素
405 要素
406 端部
407 端部
408 歯
409 ダイアフラム
410 圧力チャンバ
411 圧力媒体ポート
414 制動要素
415 制動ハウジング
416 開口
417 開口
418 副ハウジング
419 副ハウジング
420 封止材
421 ピストン状要素
422 磁気粘性材料
423 電磁石、コイル
501 駆動要素
502 ハウジング
515 制動ハウジング
523 磁界発生要素
550 保持プレート
551 ねじ
552 ねじ