特許第6291062号(P6291062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キム、チュン ドクの特許一覧

<>
  • 特許6291062-偏光レンズフィルムの製造装置 図000002
  • 特許6291062-偏光レンズフィルムの製造装置 図000003
  • 特許6291062-偏光レンズフィルムの製造装置 図000004
  • 特許6291062-偏光レンズフィルムの製造装置 図000005
  • 特許6291062-偏光レンズフィルムの製造装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291062
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】偏光レンズフィルムの製造装置
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20180305BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20180305BHJP
   B29C 51/30 20060101ALI20180305BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20180305BHJP
   G02C 7/12 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   G02C7/04
   B29C51/10
   B29C51/30
   G02B5/30
   G02C7/12
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-543126(P2016-543126)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-504070(P2017-504070A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】KR2014011048
(87)【国際公開番号】WO2015099291
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2016年7月12日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0164420
(32)【優先日】2013年12月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516189017
【氏名又は名称】キム、チュン ドク
【氏名又は名称原語表記】KIM,Choong Deuk
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュン ドク
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−501235(JP,A)
【文献】 特開2007−210845(JP,A)
【文献】 特開2004−351631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
B29C 51/10
B29C 51/30
G02B 5/30
G02C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側が窪んだ円板型の構造であり、その板型構造の中心から所定の距離離れた位置から円周位置まで弧形に切開されたオープン切開部が設けられた覆い部と、
前記覆い部の内側の中央部に設けられたヒーター部と、
内部に収容空間が設けられた円筒状の形状であり、前記覆い部が覆われた状態で、前記オープン切開部の下部に位置する空間である下部切開部が設けられた胴体部と、
前記胴体部の内側の中央に設けられて回転すると共に、真空ラインが連結されるセンター部と、
前記センター部の側面に前記センター部と連通されるように連結される多数の連結管部と、
前記連結管部のそれぞれの上部に多数に設けられる多数の皿状の成形フレームと、
前記皿状の成形フレームの中央で前記連結管部に連通される真空孔と、
前記オープン切開部と前記下部切開部の周りに沿って位置し、上下に分割されたフレキシブル隔壁を含む偏光レンズフィルムの製造装置。
【請求項2】
前記センター部は、
設定された角度に回転して、前記オープン切開部と前記下部切開部に異なる前記連結管部及び皿状の成形フレームが露出されるようにした後、設定された時間の間に停止することを繰り返して行うことを特徴とする、請求項1に記載の偏光レンズフィルムの製造装置。
【請求項3】
前記センター部は、
ステッピングモーターによって回転及び停止を繰り返すか、
モーターによって回転し、前記センター部を加圧する加圧シリンダーによって停止することを特徴とする、請求項2に記載の偏光レンズフィルムの製造装置。
【請求項4】
前記皿状の成形フレームは、前記連結管部に分離可能に連結され、サイズまたは曲率が異なる成形フレームに交替され得ることを特徴とする、請求項1に記載の偏光レンズフィルムの製造装置。
【請求項5】
前記連結管部は前記センター部に分離可能に連結され、サイズまたは曲率が異なる成形フレームを同時に交替できることを特徴とする、請求項1に記載の偏光レンズフィルムの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光レンズフィルム製造装置に関し、より詳しくは、厚さが0.3〜1.5mmであるレンズ用フィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、眼鏡のレンズやコンテックトレンズなどの眼科用レンズ(ophthalmic lens)は、表面に機能化されたフィルムが積層される。この場合の積層方法は、転写、成形などの方法を使っている。
【0003】
このような眼科用レンズの表面にフィルムを形成する方法の例として、韓国特許登録第10−1283459号(2013年7月2日登録、光学レンズ上の平面フィルムの成形装置、この成形装置による光学レンズの機能化方法及び光学レンズ)がある。
【0004】
上記の登録特許の内容について簡略に説明すると、レンズの表面にフレキシブル平面フィルムを直接に接触させ、圧力を加えてレンズの曲率に符合するようにフレキシブル平面フィルムを変形させ、レンズの前面に取り付ける方法を使っている。
【0005】
このために、垂直並進運動をする機械式ピストンと、その機械式ピストンの上部に装着されたプレートを備えるモジュールと、前記モジュールにおいてプレートの高さを限定するアンチリターン装置と、前記プレートの上部で光学レンズを固定するレンズホルダーと、前記レンズホルダーの上部側でフィルムを固定するフィルムキャリアと、前記モジュールに垂直に置かれたスタンプと、前記スタンプを垂直及び水平運動させる機械式並進手段と、を備え、スタンプ及び機械式ピストンの相手運動によって前記平面フィルムをレンズに等角接触させるまでの圧力を加えて平面フィルムを一定の曲率のレンズの表面に取り付けるようになる。
【0006】
しかし、このような従来の方式は、フレキシブル平面フィルムを、曲率を有するレンズに直接に圧着して、曲率を有するフレキシブルフィルムに転換する過程において、圧力の条件やフィルムの状態によって全ての部分が同一の延伸率で延伸されて、曲率を有するフィルムに転換されるという保障がないため、製品の信頼性が低下されることがあり、収率が低下され得るという問題があった。
【0007】
さらに、上記のような従来の装置は、それぞれのレンズごとに直接にフレキシブル平面フィルムを接着しなければならないため、大量生産が困るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような問題点を勘案した本発明が解決しようとする技術的課題は、フレキシブル平面フィルムの均一な延伸率を確保することで光学性能を維持することができる偏光レンズフィルムの製造装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明が解決しようとする他の技術的課題は、多様なサイズ及び曲率を有するフィルムを同時に製造することができる偏光レンズフィルムの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するための本発明の偏光レンズフィルムの製造装置は、内側が上向に窪んだ原板型の構造であり、その原板型構造の中心で所定の距離から末端まで弧形に切開されたオープン切開部が設けられた覆い部と、前記覆い部の内側の中央部に設けられたヒーター部と、内部に収容空間が設けられた円筒状の形状であり、前記覆い部が覆われた状態で、前記オープン切開部の下部に位置する空間である下部切開部が設けられた胴体部と、前記胴体部の内側の中央に設けられて回転すると共に、真空ラインが連結されるセンター部と、前記センター部の側面に前記センター部と連通されるように連結される多数の連結管部と、前記連結管部のそれぞれの上部に多数に設けられる多数の皿状の成形フレームと、前記皿状の成形フレームの中央で前記連結管部に連通される真空孔と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の偏光レンズフィルムの製造装置は、サイズ及び曲率の異なる多数の皿状のフレームを使ってフィルムを前記皿状のフレームのサイズと曲率に合わせて大量生産することができる効果がある。
【0012】
また、フィルム全面に均一な延伸率で伸ばされるようにして、フィルムの全体の厚さを均一に製造することができ、カラーと偏光性などの光学特性を維持し、収率の低下を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好ましい実施例に係る偏光レンズフィルム製造装置の分離斜視図である。
図2図1において、覆い部の内側平面図である。
図3図1において、胴体部の平面図である。
図4図3において、A−A断面構成図である。
図5】前記連結管部及び皿状の成形フレームの断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施のための最善の形態は、内側が上向に窪んだ原板型の構造であり、その原板型構造の中心で所定の距離から末端まで弧形に切開されたオープン切開部が設けられた覆い部と、前記覆い部の内側の中央部に設けられたヒーター部と、内部に収容空間が設けられた円筒状の形状であり、前記覆い部が覆われた状態で、前記オープン切開部の下部に位置する空間である下部切開部が設けられた胴体部と、前記胴体部の内側の中央に設けられて回転すると共に、真空ラインが連結されるセンター部と、前記センター部の側面に前記センター部と連通されるように連結される多数の連結管部と、前記連結管部のそれぞれの上部に多数に設けられる多数の皿状の成形フレームと、前記皿状の成形フレームの中央で前記連結管部に連通される真空孔と、前記オープン切開部と前記下部切開部の周りに沿って位置し、上下に分割されたフレキシブル隔壁を含む偏光レンズフィルムの製造装置である。
【0015】
以下、本発明の偏光レンズフィルムの製造装置について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明の好ましい実施例に係る偏光レンズフィルム製造装置の分離斜視図であり、図2は、図1において、覆い部の内側平面図であり、図3は、図1において、胴体部の平面図であり、図4は、図3において、A−A断面構成図である。
【0017】
図1から図4をそれぞれ参照すれば、本発明の好ましい実施例に係る偏光レンズフィルム製造装置は、内側が上向に窪んだ原板型の構造であり、その原板型構造の中心で所定の距離から末端まで弧形に切開されたオープン切開部110が設けられた覆い部100と、前記覆い部100の内側の中央部に円状に設けられたヒーター部120と、内部に収容空間が設けられた円筒状の形状であり、前記覆い部100が覆われた状態で、前記オープン切開部110の下部に位置する下部切開部240を備える胴体部200と、前記胴体部200の内側の中央に設けられて回転すると共に、真空ライン400が連結されるセンター部210と、前記センター部210の側面にそのセンター部210と連通されるように連結される多数の連結管部220と、前記連結管部220のそれぞれの上部に多数に設けられる多数の皿状の成形フレーム230と、前記成形フレーム230の中央で前記連結管部220に連通される真空孔231と、を含んで構成される。
【0018】
前記オープン切開部110と前記下部切開部240の周縁にはフレキシブル隔壁250が設けられている。
【0019】
前記センター部210の下部側にはセンター部210を回転させるモーター300が備えられ、前記センター部210の回転中心には真空ポンプの真空ライン400が結合され、前記皿状の成形フレーム230の真空孔231に負圧が発生するように構成される。
【0020】
以下、上記のように構成される本発明の好ましい実施例に係る偏光レンズフィルム製造装置の構成と作用について、より詳しく説明する。
【0021】
まず、覆い部100と胴体部200には、それぞれ上下に位置するオープン切開部110と下部切開部240が位置し、作業者はオープン切開部110及び下部切開部240を通じて作業状態を人目で確認することができる。
【0022】
前記オープン切開部110及び下部切開部240の周縁領域には、前記覆い部100と胴体部200が成す空間内部の温度の維持のためにフレキシブル隔壁250が設けられている。
【0023】
前記フレキシブル隔壁250は上下に区分され、前記胴体部200のセンター部210が回転する際に、前記連結管部220が通過できるようにし、フレキシブル隔壁250を左右に多数分割することでフレキシブル隔壁250の抵抗干渉を最小化することができる。
【0024】
前記覆い部100は、胴体部200とヒンジ結合され、一側で覆い部100を持ち上げた状態で、前記皿状の成形フレーム230のそれぞれに平面フィルムをあげておく。この際、フィルムは曲率を有する完製品のサイズに符合するように切り取られたものとする。
【0025】
多数の前記皿状の成形フレーム230は、それぞれが曲率とサイズが異なるものでもあるが、必要に応じて何れも同じ曲率とサイズを有するものに交替可能である。すなわち、前記皿状の成形フレーム230は、必要に応じて交替が可能であり、同一な製品を大量生産することができ、それぞれ異なる製品を相対的に少量生産することも可能である。
【0026】
図5は、前記連結管部及び皿状の成形フレームの断面構成図である。
【0027】
図5を参照すれば、前記皿状の成形フレーム230は、連結管部220の上部側で挟み結合され、負圧が維持されるように皿状の成形フレーム230と連結管部220との間にはOリング221が設けられている。このような結合の例は、皿状の成形フレーム230を連結管部220に挟み込む構造であり、これを回転結合が可能な構造に変更することもできる。
【0028】
このように皿状の成形フレーム230を個別的に交替する方式以外に、前記皿状の成形フレーム230が多数に連結された連結管部220自体を交替することができる。
【0029】
これは連結管部220とセンター部210との間に締結管222を置いて、その締結管222によって連結管部220とセンター部210が互いにネジ結合されており、その連結管部220を異なるサイズまたは曲率を有する皿状の成形フレーム230が結合された連結管部に交替可能になる。
【0030】
前記皿状の成形フレーム230にフィルムを乗せた状態で前記覆い部100を覆って、前記覆い部100の内側に設けられたヒーター部120に電源を供給して前記フィルムを成形するのに適当な温度で予熱する。
【0031】
前記フィルムはトリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、ポリイミード(PI)フィルムを使うことができ、予熱温度は80℃〜110℃の温度が適当である。
【0032】
前記予熱過程において、前記モーター300によってセンター部210が回転し、前記フィルムが乗せられた皿状の成形フレーム230も回転するようになる。このようにフィルムを回転させて熱が均一に伝達されるようにすることができる。
【0033】
このように予熱を2〜3分間持続した後、前記真空ポンプ(図示せず)を使って真空ライン400を通じて前記センター部210の内部圧力を低めれば、その圧力の変化の影響によって、前記皿状の成形フレーム230の中央に設けられた真空孔231に負圧が発生するようになる。この際、真空ライン400は回転体であるセンター部210に連結のために別途のジョイント410を通じて連結され、よれることが防止される。
【0034】
この負圧の影響によって、前記皿状の成形フレーム230に乗せられたフィルムが皿状の成形フレーム230に密着される。この際の真空圧力は600〜700mmHgで、この真空圧力の最小値の未満の場合、成形されたフィルムの中央が前記真空孔231の内部に吸い込まれて突起が形成されることがあり、真空圧力の最大値の以上の場合、フィルムが皿状の成形フレームに均一に密着されないこともある。
【0035】
その後、使用者が前記覆い部100に設けられたオープン切開部110と、胴体部200に設けられた下部切開部240の位置に移動された皿状の成形フレーム230にフィルムが密着されているかを確認し、密着が確認された状態から2〜4分間、前記ヒーター部120の加熱状態を維持して、そのフィルムが皿状の成形フレーム230に密着された状態で成形されるようにする。この際、同様に前記ヒーター部120によって維持される覆い部100と胴体部200内の温度は80〜110℃にする。
【0036】
上記のように、オープン切開部110と下部切開部240を通じて外気に露出された皿状の成形フレーム230に密着されたフィルムの成形状態を確認することができ、この際、その状態の確認をより正確に行うために、前記センター部210は所定の角度に回転した後、しばらく停止した状態になるように制御することができる。
【0037】
例えば、センター部210を15度回転させ、3秒間停止した後、また15度回転させる方式を使うことができる。このような動作のために、前記モーター300をステッピングモーターを使うか、前記センター部210を加圧して回転を停止させる空圧シリンダーを使って回転するセンター部210を一定の角度に回転した後、停止させることができる。
【0038】
このような動作によって、オープン切開部110と下部切開部240によって作業者が皿状の成形フレーム230にフィルムが密着された状態を正確に確認することができる。この際、オープン切開部110と下部切開部240によって露出される連結管部220の数は一つまたは二つにし、各連結管部220に3個〜5個の皿状の成形フレーム230が位置すると仮定すれば、作業者が確認すべきフィルムは最小3個から最大10個になることができる。
【0039】
前記成形が完了すれば、ヒーター部120の運転を停止させ、前記真空孔231に負圧が発生しないように真空ポンプの運転を停止させ、モーター300の運転を停止させる。
【0040】
前記成形されたフィルムは完製品であり、それ以後にレンズの表面に接着して使うようになる。
【0041】
本発明は、前記実施例に限定されておらず、本発明の技術的要旨を超えない範囲内で多様に修正及び変形して実施できるということは、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者にとって自明なことである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、厚さが0.3〜1.5mmである偏光レンズ用フィルムの製造装置に関し、偏光レンズが使われるサングラスやレンズなどに適用が可能な産業上の利用可能性の高い発明である。
図1
図2
図3
図4
図5