【実施例】
【0144】
合成方法および実施例
スキーム 1
【0145】
【化19】
【0146】
本発明の式(III)で表される化合物は、スキーム1に記載の合成経路により製造することが可能である。スキーム1における反応により得られる反応生成物は、何れも従来技術により分離および精製してもよく、前記従来の技術は、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー分離等を含むが、これらに限定されない。合成に必要な開始原料は、自分で合成してもよく、または商業機関(商業的供給源)から購入して得られ、例えば、アルドリッチ(Adrich)、またはシグマ(Sigma)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの原料は、物理定数およびスペクトルデータなどの通常の手段により特徴付けられてもよい。本発明に記載の化合物は、合成方法により単一の異性体または異性体の混合物を得ることができる。
【0147】
開始原料1は、商業経路から直接購入し、または有機合成して得られる。例えば、水酸化ナトリウムなどの塩基を、エタノールと水の混合溶液において70℃で1時間反応させ、原料1を加水分解して中間体2を得る。中間体2を、直接塩化チオニル中で還流させて中間体3を得、次の合成反応に直接に用いる。塩基(例えば、NaH)の作用下で、マロノニトリルと中間体3とを、テトラヒドロフラン溶液において氷浴で反応させ、中間体4を得る。硫酸ジメチルでメチル化して中間体5を得る。ヒドラジン水和物と中間体5とを反応させて重要な中間体6を得、これが、本発明の式(III)で表される化合物を合成するための重要な入り口である。塩基(例えば、炭酸セシウムのDMF)の作用下で、p−トルエンスルホニルにより保護されたN−Bocピペリジノール(またはピリジノール)と中間体6とがSN
2反応を行って、中間体7を得る。中間体7を加水分解して(例えば、濃硫酸/塩基/過酸化水素水、またはDEPO)、比較的高い収率で中間体12を得ることができる。最後、トリフルオロ酢酸で脱保護し、塩化アクリロイルと反応させて最終生成物13を得る。
【0148】
必要な治療効果の投与量を得るために、好適には、静脈投与の場合、0.01〜3mg/kg(体重)、好ましくは0.1〜1mg/kg(体重)の本発明の化合物を、経口投与の場合、0.1〜8mg/kg(体重)、好ましくは0.5〜3mg/kg(体重)の本発明の化合物を、それぞれの状況下で一日あたり1〜3回投与する。本発明により製造される化合物は、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、直腸投与、点鼻投与、吸入投与、経皮投与または経口投与、エアロゾルによる投与が可能であり、特に吸入投与が好ましい。これらを、錠剤、腸溶性被覆錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤、液剤、定量エアゾール又は坐剤など通常の薬剤に製造することも可能である。適宜であれば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース、または硬化脂肪といった脂肪物質、またはこれらの混合物など、従来の不活性担体及び/又は希釈剤を1種類又は複数種類添加する。
【0149】
実施例1
(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(ビニルスルホニル)ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0150】
【化20】
【0151】
ステップA:4−フェノキシ安息香酸メチル
【0152】
【化21】
【0153】
常温で、200mLのDMFを仕込んだフラスコに4−ヨード安息香酸メチル(80g、1.0当量)およびフェノール(34.5g、1.2当量)を添加し、その後、反応混合物にK
2CO
3(84g、2.0当量)、ヨウ化銅(11.6g、20%)、およびN,N−ジメチルグリシン(12.6g、40%)を加えた。添加終了後、反応混合物を110℃で一晩攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して白色の固体産物(45g、65%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.99−8.01(m,2H),7.37−7.41(m,2H),7.17−7.21(m,1H),7.05−7.08(m,2H),6.97−7.00(m,2H),3.90(s,3H)。
【0154】
ステップB:4−フェノキシ安息香酸
【0155】
【化22】
【0156】
常温で、100mLのエタノール溶剤を仕込んだフラスコに4−フェノキシ安息香酸メチル(20g、1.0当量)を加えた後、水酸化ナトリウム(7g、2.0当量)の水溶液(50mL)を徐々に加えた。添加完了後、反応混合物を70℃で攪拌しながら15分間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、回転することでエタノール溶剤を蒸発させ、希塩酸でpHを2〜3に調整し、混合液を室温で5分間攪拌し、析出した白色の固体を回収して乾燥させて、産物(16g、85%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.06−8.09(m,2H),7.39−7.43(m,2H),7.19−7.23(m,1H),7.07−7.10(m,2H),7.00−7.03(m,2H)。
【0157】
ステップC:4−フェノキシベンゾイルクロリド
【0158】
【化23】
【0159】
氷浴で、50mLの塩化チオニルを仕込んだフラスコに、4−フェノキシ安息香酸(8g、1.0当量)を徐々に加えた。添加完了後、反応混合物を70℃で3時間還流させた。反応終了後、室温まで冷却し、回転することで塩化チオニル溶剤を蒸発させ、トルエン溶液を添加して、再び回転して溶剤を蒸発させた。このように2回繰り返して油状の産物(8.65g、98%)を得、更なる精製の必要がなく、直接に次の反応に用いることができる。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ8.07−8.09(m,2H),7.41−7.45(m,2H),7.23−7.27(m,1H),7.08−7.11(m,2H),7.00−7.02(m,2H)。
【0160】
ステップD:2−(ヒドロキシ(4−フェノキシフェニル)メチレン)マロノニトリル
【0161】
【化24】
【0162】
氷浴で、マロノニトリル(2.7g、1.1当量)の乾燥したテトラヒドロフラン(250mL)溶液を仕込んだ三つ口フラスコに、水素化ナトリウム(1.64g、60%、1.1当量)を徐々に加えた。添加完了後、室温まで昇温して10分間撹拌し、その後0℃に冷却させた。反応混合物に、4−フェノキシベンゾイルクロリド(8.65g、1.0当量)のテトラヒドロフラン溶液を加えた。添加完了後、反応混合液を室温で一晩攪拌しながら反応させた。反応終了後、水を少し加えて反応をクエンチし、回転することでテトラヒドロフランを蒸発させ、酢酸エチルで抽出し、有機層を、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して灰色の固体産物(3.6g、37%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ7.60−7.64(m,2H),7.40−7.44(m,2H),7.16−7.20(m,1H),7.05−7.07(m,2H),6.92−6.96(m,2H)。
【0163】
ステップE:2−(メトキシ(4−フェノキシフェニル)メチレン)マロノニトリル
【0164】
【化25】
【0165】
室温で、ジオキサンと水を体積比率1:1で混合した溶液(50mL)に、2−(ヒドロキシ(4−フェノキシフェニル)メチレン)マロノニトリル(3.6g、1.0当量)を加えた後、硫酸ジメチル溶液(2.6g、1.5当量)を徐々に加えた。添加完了後、反応混合液を80℃まで昇温して、攪拌しながら3時間反応させた。反応終了後、回転することで反応液を除去し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して無色の油状産物(2.7g、72%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48−7.51(m,2H),7.41−7.45(m,2H),7.25−7.27(m,1H),7.07−7.11(m,4H),3.99(s,3H)。
【0166】
ステップF:5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−4−アセトニトリル
【0167】
【化26】
【0168】
室温で、50mLのエタノール溶剤に、2−(メトキシ(4−フェノキシフェニル)メチレン)マロノニトリル(1g、1.0当量)を加えた後、ヒドラジン水和物(0.5g、85%、2.0当量)を徐々に加えた。添加完了後、反応混合物を90℃まで昇温して4時間還流させた。反応終了後、室温まで冷却した。回転することで溶剤を蒸発させた。反応液に50mLの水を加え、室温で5分間攪拌した。析出した白色の固体を回収して乾燥させて、所要の産物(1.0g、99%)として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ7.78−7.81(m,2H),7.40−7.44(m,2H),7.16−7.20(m,1H),7.06−7.11(m,4H),6.26(brs,2H)。
【0169】
ステップG:(R)−3−(5−アミノ−4−シアノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0170】
【化27】
【0171】
(S)−3−(トシルオキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル:氷浴で、50mLのジクロルメタン溶液に、(S)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(3g、1.0当量)を加えた後、p−トルエンスルホニルクロリド(3.4g、1.2当量)、4−ジメチルアミノピリジン(0.1g、10%)、及びトリエチルアミン(3.0g、2.0当量)を徐々に加えた。添加完了後、反応混合液を室温まで昇温して一晩攪拌した。有機層を、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して白色固体の産物(4.9g、93%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.80(d,J=8.0Hz,2H),7.34(d,J=8.0Hz,2H),4.46(brs,1H),3.54−3.58(m,1H),3.31−3.40(m,3H),2.45(s,3H),1.80−1.88(m,1H),1.65−1.79(m,2H),1.47−1.52(m,1H),1.43(s,9H)。
【0172】
室温で、30mLの乾燥したDMF溶液に、(S)−3−(トシルオキシ)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.77g、1.2当量)、及び5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−4−アセトニトリル(0.5g、1.0当量)を加えた後、反応混合液に固体の炭酸セシウム(1.18g、2.0当量)を加えた。添加完了後、反応系を80℃まで昇温して5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して白色の固体産物7(0.25g、30%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.85−7.88(m,2H),7.33−7.37(m,2H),7.09−7.14(m,1H),7.03−7.06(m,4H),4.52(brs,2H),4.19−4.29(m,1H), 4.01−4.18(m,1H),3.80−3.89(m,1H),3.02−3.19(m,1H),2.81(t,J=12.8Hz,1H),2.20−2.31(m,1H),2.07−2.18(m,1H),1.83−1.92(m,1H),1.76−1.81(m,1H),1.44(s,9H)。
【0173】
ステップH:(R)−3−(5−アミノ−4−ホルムアミド−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0174】
【化28】
【0175】
室温で、5mLのDMSO溶液に、(R)−3−(5−アミノ−4−シアノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.2g、1.0当量)及び固体の炭酸カリウム(0.18g、3.0当量)を加えた。その後、反応系に過酸化水素(8mL、30%)を添加した。添加完了後、反応系を60℃まで昇温して5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却した。水を加え、ジクロルメタンで抽出した。有機層を、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して白色固体の産物(0.2g、97%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48−7.52(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.13−7.17(m,1H),7.04−7.08(m,4H),5.54(s,2H),5.19(brs,2H),4.19−4.28(m,1H),4.07−4.15(m,1H),3.81−3.90(m,1H),3.03−3.21(m,1H),2.75(t,J=11.6Hz,1H),2.09−2.29(m,2H),1.81−1.92(m,1H),1.51−1.68(m,1H),1.45(s,9H)。
【0176】
ステップI:(R)−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0177】
【化29】
【0178】
室温で、20mLのジクロルメタン溶液に、(R)−3−(5−アミノ−4−ホルムアミド−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.2g、1.0当量)を加えた。その後、トリフルオロ酢酸(1mL)を徐々に添加した。添加完了後、反応混合液を室温で攪拌しながら2時間反応させた。水を加え、ジクロルメタンで抽出し、有機層を、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して白色の固体産物(0.1g、63%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.26−7.34(m,4H),7.10−7.13(m,1H),6.93−7.01(m,4H),6.49(s,2H),5.25(brs,2H),4.65−4.72(m,1H),3.71−3.82(m,1H),3.42−3.51(m,1H),3.21−3.29(m,1H),2.80−2.91(m,1H),1.91−2.06(m,4H)。m/z=378[M+1]
+。
【0179】
ステップJ:(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(ビニルスルホニル)ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0180】
【化30】
【0181】
氷浴で、10mLのジクロルメタン溶液に、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エステル(0.85g、1.0当量)、及びトリエチルアミン(45mg、2.0当量)を加えた後、ビニルスルホニルクロリド(28mg、1.0当量)を徐々に加えた。添加終了後、反応混合液を氷浴で直接に5分間攪拌した。反応終了後、水を加え、ジクロルメタンで抽出し、有機層を、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して白色の固体産物(0.08g、85%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.49−7.52(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.18(m,1H),7.04−7.09(m,4H),6.58−6.62(m,1H),6.35(d,J=16.4Hz,1H),5.70−5.77(m,2.5H),5.48(s,0.5H),5.20(brs,2H),4.82(d,J=12.8Hz,0.5H),4.61−4.68(m,0.5H),4.11−4.19(m,0.5H),4.01(d,J=12.8Hz,0.5H),3.82−3.94(m,1H),3.55−3.68(m,0.5H),3.00−3.19(m,1H),2.64−2.78(m,0.5H),2.30−2.42(m,1H),2.14−2.22(m,1H),1.91−2.01(m,1H),1.60−1.69(m,1H)。m/z=468[M+1]
+。
【0182】
実施例2
(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(ビニルスルホニル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0183】
【化31】
【0184】
実施例2の合成は、(S)−3−(トシルオキシ)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48(d,J=8.4Hz,2H),7.39(t,J=7.6Hz,2H),7.18(t,J=7.6Hz,1H),7.06−7.09(m,4H),6.51(dd,J=16.8,10.0Hz,1H),6.25(d,J=16.4Hz,1H),5.89(d,J=10.0Hz,1H),5.52(s,2H),5.10−5.30(brs,2H),4.67−4.71(m,1H),3.73−3.82(m,2H),3.51−3.60(m,2H),2.50−2.58(m,1H),2.37−2.44(m,1H).m/z=454[M+1]
+。
【0185】
実施例3
(R、E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−ジメチルアミノ−2−ブテノイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0186】
【化32】
【0187】
実施例3の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ7.47−7.50(m,2H),7.37(t,J=7.6Hz,2H),7.15(t,J=7.6Hz,1H),7.04−7.08(m,4H),6.88−6.97(m,1H),6.27(dd,J=17.2,11.6Hz,1H),5.55(s,1H),5.51(s,1H),5.15−5.35(brs,2H),4.63−4.71(m,1H),3.90−4.06(m,3H),3.57−3.75(m,1H),3.07−3.10(m,2H),2.68−2.77(m,0.5H),2.53−2.58(m,0.5H),2.28−2.45(m,1H),2.26(s,3H),2.24(s,3H).m/z=475[M+1]
+。
【0188】
実施例4
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−モルホリノ―2−ブテノイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0189】
【化33】
【0190】
実施例4の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.47−7.50(m,2H),7.37(t,J=8.4Hz,2H),7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.05−7.09(m,4H),6.88−6.95(m,1H),6.27−6.36(m, 1H),5.52(s,1H),5.47(s,1H),5.13−5.37(brs,2H),4.57−4.77(m,1H),3.89−4.09(m,3H),3.61−3.76(m,5H),3.13−3.18(m,2H),2.69−2.79(m,0.5H),2.36−2.60(m,5.5H).m/z=517[M+1]
+。
【0191】
実施例5
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−ピペリジン−2−ブテノイル) ピロリジン)−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0192】
【化34】
【0193】
実施例5の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.45−7.48(m,2H),7.35(t,J=7.6Hz,2H),7.14(t,J=7.6Hz,1H),7.03−7.06(m,4H),6.84−6.92(m,1H),6.41−6.52(m,1H),5.54(s,1H),5.51(s,1H),5.12−5.30(brs,2H),4.62−4.74(m,1H),3.85−4.14(m,3H),3.69−3.78(m,0.5H),3.59−3.66(m,0.5H),3.24−3.36(m,2H),2.55−2.79(m,5H),2.28−2.44(m,1H),1.66−1.79(m,4H),1.44−1.57(m,2H).m/z=515[M+1]
+。
【0194】
実施例6
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−ピロリジニル−2−ブテノイル) ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0195】
【化35】
【0196】
実施例6の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.47−7.50(m,2H),7.37(t,J=7.6Hz,2H),7.15(t,J=7.6Hz,1H),7.04−7.08(m,4H),6.86−6.97(m,1H),6.46(d,J=15.2Hz,1H),5.71(s,1H),5.58(s,1H),5.12−5.37(brs,2H),4.60−4.85(m,1H),3.86−4.14(m,3H),3.60−3.78(m,1H),3.35−3.54(m,2H),2.69−2.86(m,4.5H),2.51−2.64(m,0.5H),2.25−2.46(m,1H),1.81−1.96(m,4H).m/z=501[M+1]
+。
【0197】
実施例7
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(2−ブテノイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0198】
【化36】
【0199】
実施例7の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.47−7.50(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.18(m,1H),7.05−7.09(m,4H),6.92−6.98(m,1H),6.11(dd,J=14.0,24.4Hz,1H),5.55(s,1H),5.51(s,1H),5.22(brs,2H),4.62−4.70(m,1H), 3.88−4.04(m,3H),3.64−3.70(m,1H),2.30−2.87(m,2H),1.86−1.90(m,3H).m/z=432[M+1]
+。
【0200】
実施例8
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−メチル−2−ペンテノイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0201】
【化37】
【0202】
実施例8の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1HNMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48−7.51(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.17(m,1H),7.04−7.09(m,4H),6.92(dd,J=6.4,14.8Hz,1H),6.02(dd,J=15.2,24.8Hz,1H),5.52(s,1H),5.48(s,1H),5.20(brs,2H),4.60−4.70(m,1H),3.90−4.04(m,3H),3.60−3.74(m,1H),2.30−2.88(m,3H),1.04−1.07(m,6H).m/z=460[M+1]
+。
【0203】
実施例9
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−メトキシブタ−2−エノイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0204】
【化38】
【0205】
実施例9の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.47−7.50(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.13−7.17(m,1H),7.05−7.09(m,4H),6.94(dd,J=4.0,14.8Hz,1H),6.36(dd,J=7.2,23.2Hz,1H),5.55(s,1H),5.52(s,1H),5.23(brs,2H),4.62−4.74(m,1H),3.97−4.11(m,5H),3.60−3.78(m,1H),3.41&3.38(s,3H),2.30−2.78(m,2H).m/z=462[M+1]
+。
【0206】
実施例10
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−カルボキシル−3−ブテニル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0207】
【化39】
【0208】
実施例10の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピぺリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.44(d,J=8.0Hz,2H),7.34(t,J=8.0Hz,2H),7.10−7.20(m,3H),7.10−7.04(m,4H),6.87−6.94(m,1H),5.92(d,J=14.8Hz,1H),5.40−5.56(brs,2H),4.97−5.04(m,1H),3.46−3.58(m,1H),3.16−3.38(m,2H),2.95−3.10(m,1H),2.35−2.55(m,2H),2.19−2.33(m,2H).m/z= 448[M+1]
+。
【0209】
実施例11
(R,Z)−5−アミノ−1−(1−(4−カルボキシブタ−2−エノイル)ピロリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0210】
【化40】
【0211】
実施例11の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.46(d,J=8.4Hz,2H),7.38(t,J=8.0Hz,2H),7.16(t,J=7.2Hz,1H),7.05−7.08(m,4H),6.37−6.55(m,1H),5.40−5.60(brs,2H),5.12−5.30(brs,2H),4.73−4.83(m,1H),3.99−4.23(m,3H),3.70−3.85(m,1H),2.67−2.77(m,0.5H),2.43−2.62(m,1.5H).m/z=462[M+1]
+。
【0212】
実施例12
(R,E)−5−アミノ−1−(1−(4―ブロモブタ−2−エノイル)ピロリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0213】
【化41】
【0214】
実施例12の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48−7.50(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.18(m,1H),7.69−7.09(m,5H),6.34(dd,J=10.8,22.0Hz,1H),5.2−5.6(brs,4H),4.61−4.73(m,1H),3.90−4.12(m,5H),3.62−3.76(m,1H),2.30−2.78(m,2H).m/z=510[M+1]
+。
【0215】
実施例13
(R,E)−4−(3−(5−アミノ−4−カルバモイル−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピロリジン−1−イル)−4−オキソブタ−2―エン−1−ホルミルアセタート
【0216】
【化42】
【0217】
実施例13の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.47−7.50(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.18(m,1H),7.05−7.09(m,4H),6.88−6.93(m,1H),6.32(dd,J=14.8,22.8Hz,1H),5.52(s,1H),5.48(s,1H),5.21(brs,2H),4.61−4.75(m,3H),3.93−4.07(m,3H),3.61−3.76(m,1H),2.30−2.80(m,2H),2.10(s,3H).m/z=490[M+1]
+。
【0218】
実施例14
(R,E)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(4−(メタンスルホニルアミノ)ブタ−2−エノイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0219】
【化43】
【0220】
実施例14の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48−7.52(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.18(m,1H),7.05−7.08(m,4H),6.85−6.93(m,1H),6.38(dd,J=14.8,21.2Hz,1H),5.55(s,1H),5.50(s,1H),5.21(brs,2H),4.60−4.74(m,2H),3.92−4.07(m,5H),3.61−3.78(m,1H),2.98&2.97(s,3H),2.30−2.86(m,2H).m/z=525[M+1]
+。
【0221】
実施例15
(R,E)−5−アミノ−1−(1−(4−ヒドロキシブタ−2−エノイル)ピロリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0222】
【化44】
【0223】
実施例15の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.45−7.48(m,2H),7.35(t,J=8.0Hz,2H),7.14(t,J=7.6Hz,1H),7.03−7.06(m,4H),6.97−7.01(m,1H),6.33−6.43(m,1H),5.56(s,1H),5.48(s,1H),5.20−5.41(brs,2H),4.62−4.72(m,1H), 4.33−4.36(m,2H),3.89−4.11(m,3H),3.60−3.74(m,1H),2.67−2.77(m,0.5H),2.49−2.62(m,0.5H),2.26−2.44(m,1H).m/z=448[M+1]
+。
【0224】
実施例16
(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−ブタ−2−イナミドピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0225】
【化45】
【0226】
実施例16の合成は、(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48−7.51(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.17(m,1H),7.05−7.08(m,4H),5.65(s,1H),5.62(s,1H),5.30(brs,2H),4.70−4.73(m,1H),3.95−4.15(m,2H),3.78−3.87(m,1.5H),3.58−3.61(m,0.5H),2.57−2.65(m,1H),2.34−2.39(m,1H),2.00&1.97(s,3H).m/z=430[M+1]
+。
【0227】
実施例17
(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(1−(プロピオロイル)ピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0228】
【化46】
【0229】
実施例17の合成は、プロピオール酸、及び(R)−5−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミドを用い、HOBtとEDCIを介してDMF中で縮合することで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.48−7.50(m,2H),7.35−7.39(m,2H),7.14−7.17(m,1H),7.05−7.08(m,4H),5.63(s,1H),5.61(s,1H),5.30(brs,2H),4.72−4.75(m,1H),3.82−4.14(m,3.5H),3.61−3.64(m,0.5H),3.08&3.04(s,1H),2.58−2.66(m,1H),2.35−2.41(m,1H).m/z=416[M+1]
+。
【0230】
実施例18
(R)−5−アミノ−1−((1s,4s)−4−ブタ−2−イナミドシクロヘキシル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾール−4−ホルムアミド
【0231】
【化47】
【0232】
実施例18の合成は、実施例1に記載のステップと類似したステップで完成させた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.50−7.52(m,2H),7.36−7.40(m,2H),7.14−7.18(m,1H),7.04−7.10(m,4H),6.09(d,J=8.0Hz,1H),5.44(s,2H),5.22(brs,2H),4.22−4.25(m,1H),3.86−3.88(m,1H),1.61−2.13(m,8H),1.94(s,3H).m/z=458[M+1]
+。
【0233】
生物学的活性試験
化合物の生物学的活性
BTKの体外(インビトロ)阻害活性(IC
50値の測定)
本明細書に係る化合物のBTKの半数阻害濃度(IC
50値)は、酵素活性試験および細胞機能試験の何れにおいても測定した。酵素活性試験では、当該化合物のBTK活性に対する阻害能力を測定すると共に、細胞機能試験では、化合物の細胞におけるBCR誘発性カルシウム流に対する阻害作用を測定した。
【0234】
均一系時間分解蛍光技術(HTRF:Homogeneous Time−Resolved Fluorescence)方法によりBTKのキナーゼ活性の検出用プラットフォームを確立し、化合物の活性を測定した。化合物を、1mMから始めて100%のDMSOを用いて3倍の段階稀釈(合計11個の濃度)を行い、各濃度で4μLを取って反応緩衝液(50mM HEPES、pH7.4、10mM MgCl
2、1mM EGTA、0.01% Tween−20、0.005% BAS、2mM DTT)96μLに加え、その後、混合液2.5μLを取って384ウェルプレート(OptiPlate−384、PerkinElmerから購入)に加え、その後、BTK(Millipore社から購入)5μLを加えた。遠心分離し、均一混合した。さらにATP(最終濃度がK
m値である)と、TK petide(HTRF(登録商標) KinEASE(商標)−TK、Cisbio社から購入)との混合物2.5μLを加え、反応を開始させる(全反応体積は10μLである)。384ウェルプレートをインキュベーターに入れて23℃で120分間培養し、その後、それぞれ、Eu3+クリプタートで標識した抗リン酸化チロシン抗体(Cisbio社から購入)5μL、ストレプトアビジン(Streptavidin)−XL−665(HTRF(登録商標) KinEASE(商標)−TK、Cisbio社から購入)5μLを入れて反応を停止させた。インキュベーターで1時間インキュベートした後、Envision(PerkinElmer社から購入)にて蛍光値を読み取った(励起波長320nmとし、615nmおよび665nmで検出した。酵素活性は、665nmおよび615nmにおいての蛍光値の割合によって決定された)。各化合物に対して、酵素活性は、11個の濃度の条件下で測定し、IC
50値は、GraFit6.0ソフトウェア(Erithacus Software)によって得た。
【0235】
カルシウム流蛍光法試験(Calcium flux fluorescence−based assays)は、Fluo−4 Direct(商標) Calcium Assay Kits(Invitrogen社から購入)を用い、FlexStation III(Molecular Devices社から購入)で、製造元の指示に従って完成した。具体的なステップは、以下の通りである。10%のウシ胎仔血清(Hyclone社から購入)を添加したRPMI−1640媒質(medium)(Invitrogen社から購入)でRamos細胞を培養して、遠心分離による洗浄を行った後、再度低血清培地で96ウェルプレート(Corning社から購入)に敷き(1X10
5細胞/45μL/ウェル)、その後、45μLの蛍光着色料(Invitrogen社から購入)を加えて37℃で1時間インキュベートした。被検化合物は、DMSOで3倍の段階稀釈を行い、その後低血清培地で100倍に希釈した。その後、当該希釈後の混合物10μLを取って上記96ウェルプレート(Corning社から購入)に加え(DMSOの最終濃度は0.1%)、且つインキュベーター(37℃、5%のCO
2)に入れ、30分間インキュベートした。化合物処理された細胞を、ヤギ抗ヒトIgM抗体(10μg/mL、SouthernBiotech社から購入)で刺激し、且つFlexStation IIIで蛍光値(494nmで励起、516nmで90秒検出したもの)を読み取った。各化合物のデータに対して、GraphPad Prism 5(GraphPad Software)を用いてフィッティング処理して、それぞれのIC
50値を計算した。
【0236】
選択された一部の化合物の生物学的データ
本明細書に記載の生物学的方法により、上記に調製された一部の化合物に対して分析した。その結果を次の表1に示す。
【0237】
【表1-A】
【表1-B】
【表1-C】
【表1-D】
【表1-E】
【0238】
マウス皮下腫瘍異種移植モデルにおける有効性の測定
SPF級のCB−17SCIDマウス(雌、4〜5週齢)を用いた。各マウスの左右両側の腋下部に、無血清培地で懸濁させたOCI−LY−10細胞懸濁液0.1ml(5.0×10
6cells含有、30%Matrigel)を皮下注射した。腫瘍の平均体積が100mm
3を超えたら、通し番号によって各マウスに番号をつけ、それらの腫瘍の大きさ及び体重をそれぞれ測定した。腫瘍の体積によって、小から大というようにランダムに群わけ、各群の動物の平均体重を同じレベルとなるように調整した。群わけの当日に経口投与を開始し、期間中、週に2回、腫瘍の体積及び体重を測定した。相対腫瘍増殖率(T/C)及び腫瘍増殖抑制率(TGI)を主な検出指標とした。
【0239】
腫瘍体積は、次式により計算される。
V=0.5×a×b
2
ここで、Vは腫瘍体積であり、aとbはそれぞれ腫瘍の長さと幅である。腫瘍体積によって相対腫瘍体積(relative tumor volume,RTV)を計算する。その計算式は、RTV=V
t/V
0であり、ここで、V
0は、群分けて投与時に測定した腫瘍体積であり、V
tは、毎回測定時の腫瘍体積である。
【0240】
相対腫瘍増殖率は、次式により計算される。
T/C(%)=T
RTV/C
RTV*100%
(T
RTV:治療群RTV;C
RTV:陰性対照群RTV)
【0241】
腫瘍増殖抑制率は、次式により計算される。
TGI(%)=(1−(治療群腫瘍体積−治療群の群わけ時の腫瘍体積)/(対照群腫瘍体積−対照群の群わけ時の腫瘍体積))*100%
【0242】
結果は、表2に示すとおりである。
【0243】
【表2】
【0244】
マウスの毒性試験
CD−1(ICR)マウス 20匹(雄)(北京維通利華実験動物技術有限会社から購入、約5週齢、体重の範囲が18〜24g)を4群に分け、1群あたり5匹とした。溶媒(20%のスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン溶液)、実施例9の懸濁液(1000mg/kg)、及び実施例16の懸濁液(1000mg/kg)をそれぞれ経口胃ゾンデで、1日1回、7日間連続投与した。毎日体重を測り、動物の健康状況を観察した。プロセス全体において、全ての動物に絶食させない。
【0245】
7日連続で投与した後、すべての動物には健康異常はみられなかった。次の表3には、マウスの平均体重のデータを示している。表3から、動物の体重は何れも増加し、それらの変化も類似したことが分かる。表4には、溶媒対照群の体重に対する投与群マウスの平均体重の変化の百分率を示しており、これにより、実施例9と実施例16の投与群は溶媒対照群と近い結果(相違は2%未満)を示し、毒性を示しない。
【0246】
【表3】
【0247】
キナーゼ選択性の検出
BTKについての方法と類似した方法でITKへの体外(インビトロ)阻害活性を測定した。
【0248】
実施例9の化合物のBTKへの阻害活性は非常に高く、IC
50の値が1.9nMであり、その阻害活性が、臨床的に承認された薬物である文献中の記載化合物Ibrutinib/PCI−32765と同じレベルにある。同様の方法により、ITK(BTKのホモログであるTecキナーゼであり、主にT細胞で発現される)の酵素学的検出用プラットフォームを確立して、実施例9の化合物のITKに対する阻害能力を検出した。その結果、ITKに対する阻害活性を示すIC
50値は1000nMより大きかった。BTK及びITKに対する阻害能力の選択性を計算し、治療濃度域(therapeutic window)が1000倍も大きかった。文献中の記載化合物であるPCI−32765の選択性は100倍程度であり、即ち、実施例9の化合物の選択性は、PCI−32765よりはるかに高かった。具体的な結果は、次の表5に示す。
【0249】
【表4】
【0250】
関節炎マウスモデルにおける薬力学効果の検出
方法:II型コラーゲン誘発性マウス関節炎モデルの確立
DBA/1マウス(雄、6〜8週齢)を1週間適応的に飼育した後、各マウスの尾根部に、ウシII型コラーゲン及びフロイント完全アジュバントの乳化液(ウシII型コラーゲン100μg及び不活化結核菌200μg含有)0.1mLを皮下注射し、約4週間後、マウスの関節炎の発症が開始したら群わけ、各マウスの関節炎評価得点によってランダムに群わけた直後に投与した。4週間連続で投与して、期間中、1日おき、各マウスに対して関節炎評価を行い、且つ体重を測定した。関節炎の評価基準は、以下の通りである。
0点:正常;
1点:足首関節に紅斑や軽度の腫脹あり;
2点:足首関節から足指関節または掌関節にかけて、紅斑や軽度の腫脹あり;
3点:足首関節から中足骨関節または掌関節にかけて、紅斑や中程度の腫脹あり;
4点:足首関節から足趾関節を含めて足全体に腫脹紅斑や重度の腫脹または関節強直である。
【0251】
上述した基準によって各足に対して採点を行い、最多得点は16点である。
【0252】
具体的な結果は、
図1に示すとおりである。その結果は、II型コラーゲン誘発性関節炎マウスモデルにおいて、実施例9の化合物を投与した後、マウスの炎症が顕著に緩解されたことを示した。統計結果により、関節炎の緩解程度は薬物の投与量に顕著に依存しており、且つ、投与量が極めて低い(0.3mg/kg)場合でも、実施例9の化合物はマウスの関節炎に対する良好な治療効果を有し、炎症が顕著に緩解された。並行に比較した結果から、0.3mg/kgの実施例9の化合物による治療効果は、3mg/kgのPCI−32765による治療効果に相当し、実施例9の化合物はかなり高い治療濃度域を有することが分かる。