(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ペルオキシα−ケトカルボン酸、該ペルオキシα−ケトカルボン酸の対応脱カルボキシル化カルボン酸、過酸化水素、α−ケトエステル、および該ペルオキシα−ケトカルボン酸に対応する少なくとも1のカルボン酸と該ペルオキシα−ケトカルボン酸に対応する該カルボン酸のアニオンの混合物を含む組成物であって、該ペルオキシα−ケトカルボン酸が、ペルオキシα−ケトピルビン酸、ペルオキシα−ケト酪酸、ペルオキシα−ケト吉草酸、及びそれらの混合物から選択される組成物。
請求項1に記載の組成物であって、クリーム、ジェル、液体、ローション、皮膚用パッチ剤、洗浄ジェル、スプレー、ドレッシング剤、フィルム、ビーズ、ディスク、織物、又は繊維としての配合物である組成物。
請求項7に記載の組成物であって、該微生物が、細菌胞子、マイコバクテリア、グラム陰性細菌、植物性グラム陽性細菌、ウイルス、またはその組み合わせを含む組成物。
請求項1に記載の組成物であって、水性または油性基剤、並びに、少なくとも1の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤を更に含んで、ローションとして配合された組成物。
請求項17に記載の組成物であって、該クロロフルオロカーボンが、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタンから選択される組成物。
支持体を組成物と接触させることによる、該支持体上の感染性植物性細菌の数の減少に用いるための該組成物であって、該組成物が請求項1〜6および10〜23のいずれか1項に記載の組成物の有効量を含む組成物。
支持体を組成物と接触させることによる、微生物に感染した該支持体と哺乳動物の接触から生じる哺乳動物における微生物関連疾患の防止および/または減少に用いるための該組成物であって、該組成物が請求項1〜6および10〜23のいずれか1項に記載の組成物の有効量を含む組成物。
被験体の創傷領域に組成物を局所投与することによる、該被験体における創傷の治療に用いるための該組成物であって、該組成物が請求項1〜6および10〜23いずれか1項に記載の組成物を含む組成物。
被験体の創傷領域に組成物を局所投与することによる、被験体おける創傷から生じる敗血症の防止に用いるための該組成物であって、該組成物が請求項1〜6および10〜23のいずれか1項に記載の組成物の有効量を含む組成物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
創傷治癒アンタゴニスト:感染
外傷性創傷感染
[0028]自然治癒中の開放創は、しばしば、皮膚フロラ、例えばコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(staphylococci)によって汚染される。フロラの分布および密度は、限定されるわけではないが、年齢、ならびに典型的には地理的領域とともに変化する環境要因、例えば温度および湿度を含む、多様な要因に依存する。外傷から生じる創傷は、しばしば、皮膚ミクロフロラ、および外傷が生じた表面上に存在する環境ミクロフロラで汚染される。普遍的ではないが、組織1グラムあたり≧10
5細菌の微生物負荷は、感染と見なされる。これらの微生物レベル未満では、用語「コロニー形成」を用いて、顕著な宿主免疫反応を開始しない創傷表面上の非複製性細菌の存在を記載するよう用いられる。
【0020】
[0029]創傷感染は、一般的に、組織傷害を生じ、そして宿主免疫反応を誘発する、創傷における微生物の侵入および増殖と定義される。いかなる理論によっても束縛されることなく、一般的には、創傷中の微生物集団が10
5を超えた際に、微生物の存在は、創傷治癒プロセスにおける強い炎症反応期の形で、顕著な宿主免疫反応を刺激すると考えられる。全体の感染が早期に治療されず、そして創傷内に多剤耐性生物(MDRO)が存在する場合、炎症性免疫反応の合併症、例えば敗血症、それに続く病的状態、続く切断を伴う慢性創傷が生じる可能性もあり、またはさらに死亡さえ生じうる。
【0021】
[0030]再び、いかなる理論によっても束縛されることなく、感染によって創傷治癒における合併症を導く要因のいくつかには、限定されるわけではないが、以前のまたは現在の抗生物質使用歴、感染した留置静脈内カテーテル、抗生物質耐性細菌感染の前歴、損なわれたまたは欠陥がある免疫系、および連続開放創が含まれる。現在、皮膚および軟組織感染に関与する最も蔓延した病原体は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌またはMRSA)、腸球菌属(Enterococcus)種、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌属種、大腸菌(Escherichia coli)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)であると考えられる。これらの細菌の大部分は、多剤耐性生物(MDRO)である。現在の療法治療に耐性である真菌胞子アスペルギルス属(Aspergillus)種は、火傷傷害後の敗血症および死亡の主因であると考えられる。黄色ブドウ球菌およびA群連鎖球菌(streptococcus)種は、病院環境外の皮膚の感染に最も関与する病原体であると見なされる。創傷感染は、しばしば、長期のケアを導き、患者、その家族、および医学的治療施設に対する顕著な費用を伴う。
【0022】
慢性創傷感染
[0031]デンマークおよび米国において人口の1〜2%が非治癒性の創傷を有すると概算されてきている。慢性創傷感染に関与する主な微生物には、多様な通性嫌気性菌、例えばブドウ球菌属、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、シュードモナス属、セラチア属(Serratia)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ならびに嫌気性菌プレボテラ属(Prevotella)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)およびポルフィロモナス属(Porphyromonas)が含まれる。いくつかの場合、微生物はバイオフィルム、すなわち細胞が表面上で互いに接着する、微生物の凝集物を形成する。主なバイオフィルム形成性感染性生物の2つは、黄色ブドウ球菌および緑膿菌である。バイオフィルム中に住む細菌は、抗生物質および他の抗菌剤に対して非常によく保護される。殺生物剤による根絶を回避することに加え、バイオフィルム形成性細菌、例えば緑膿菌は、例えば多形核好中球性白血球(PMN)などの宿主防御細胞を排除しうる分子の上方制御合成によって、体の防御機構を逃れることも可能である。
【0023】
[0032]バイオフィルム中に住む細菌は、抗生物質および他の抗菌剤に対して、非常によく保護されている。典型的には、創傷は、4週間後、領域中で20%〜40%の減少を示さない場合、慢性であると見なされる。慢性創傷を、3ヶ月間治癒しなかったものと定義することもある。創傷中の微生物バイオフィルム形成は、現在、よく立証されている。局所抗生物質治療を含む抗菌治療法に対する生存を増進させるため、保護性マトリックスおよび連続する成熟を伴う成熟バイオフィルムを産生するよう進歩した、多くの細菌がある(最多95種)。存在する創傷を有効でなく治療すると、サイズおよび重症度が増え続ける可能性もある、慢性創傷に進行する可能性もある。
【0024】
[0033]待機手術の入院延長(in−hospital delay)または術後の病院での長期のケアは、感染性合併症および死亡率の増加と関連づけられてきている。近年、病院における院内細菌感染の例が劇的に増加してきている。外科処置後のまたは偶発的な創傷後の院内感染は、年間、病院あたり5,000より多く生じると概算される。こうした院内感染の医療費は症例あたりほぼ$100,000.0であると概算され、そして増加し続けている。これらの感染は、主に、創傷患者が、他の汚染患者、汚染手術室表面、汚染医療機器、ならびに/あるいは医療従事者、患者および見舞客による手の保因に曝露されたことによると考えられる。
【0025】
[0034]上述の通り、医療施設において最も問題がある微生物は、抗生物質耐性細菌、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌属種(Enterococi)(VRE)、アシネトバクター・バウマンニ、および細菌胞子、例えばクロストリジウム・ディフィシルであると考えられる。クロストリジウム・ディフィシルは、病院環境において数ヶ月持続可能であり、そして植物型は、界面活性剤および次亜塩素酸塩などの特定の殺菌剤で胞子型に誘導されうると考えられる。これらの特定の微生物による院内感染は、20年間に渡って、患者コストをおよそ60%増加させ、そして死亡率を100万あたり5.7から100万あたり23.7に上昇させてきた。創傷患者、特に慢性創傷患者は、明らかに、抗生物質耐性生物の獲得、保因、および伝播に関するハイリスク群である。交差汚染リスク(院内感染)には、患者間曝露、汚染無生物物質の取り扱い、医療従事者による伝達または所持、抗生物質の長期使用(細菌耐性を生じる)、ならびに感染の可能性を増加させる病院または養護ホームにおける長期滞在が含まれる。実際、いくつかの研究は、待機手術のための入院延長から生じる感染は、1日後には6.68%、そして10日後には20.56%に増加することを示してきている。
【0026】
創傷殺菌治療
[0035]創傷と関連する顕著な感染性合併症率と闘うため、いくつかの戦略が使用されてきている。しかし、現在まで、これらの戦略は、主に、外科的無菌化、外科的技術、ならびに周術期全身抗生物質投与および局所抗生物質洗浄法の措置の改善に限定されてきている。真空密封ドレッシング剤、透明フィルムドレッシング剤、抗菌剤での洗浄、ポートおよびキャップの使用、ジュウテロポルフィリンなどの新規剤の使用、ガンマ・インターフェロン(IFN−γ)、銀スルファジアゾン(sulfadiazone)水溶性ゲル、地磁気療法、ならびに自然療法、例えばミリアシン油(milliacynic oil)およびリゾチームを含む、新規アプローチが、常に病院において開発されている。不運なことに、感染および致死率に大きな影響を及ぼしてきたのは、これらの技術革新のわずかのみである。しかし、これらの有効なアプローチの少なくともいくつかはまた、細胞傷害性の問題を有することも示されてきている。実際、大部分の新規アプローチは、軟膏またはドレッシング剤の何らかの形の、多くの創傷病原体が耐性である抗菌化合物の送達を伴う。また、これらの治療は、耐性細菌、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌属種(VRE)およびアシネトバクター・バウマンニに対する将来の療法に、負に影響を及ぼすであろう、抗生物質耐性細菌の連続した産生に役立つであろう。A.バウマンニは、米国の集中治療室におけるグラム陰性菌感染の6%を占めると概算され、54%というほど高い死亡率が報告されてきている。MDRアシネトバクターの単離は、1993年の6.7%から2004年までに29.9%まで急増しており、より新しくそしてより優れた薬剤の必要性が強調される。試験した1,040の抗生物質のうち、わずか20(1.92%)が有意な抗菌活性を示し、そしてわずか5つの化合物が、より耐性であるBAA−1605 A バウマンニに対する活性を示した。現在、MRSAおよびC.ディフィシルは、世界の大部分の地域での院内感染の主因であると考えられる。2003年、黄色ブドウ球菌は、皮膚および柔組織感染と関連する主な病原体であった。ここ20年間、MRSAは、ほぼ排他的な院内感染病原体(HA−MRSA)から、地域感染型病原体、CA−MRSAへと変化してきた。
【0027】
[0036]創傷治癒および創傷の「優れた」ケアは、微生物混入の局所防止および管理と同義であった。今日の一次療法は、消毒剤(antiseptics)の局所適用、または抗生物質の全身性および局所使用のいずれかの使用を伴う。創傷への抗生物質の局所適用は、他の消毒法の使用に勝る利点を持たず、そして創傷内で耐性である傑出した細菌を生じることによって、創傷治癒のリスクが増加する可能性もあるというのが一般的な見方である。感染に対する療法のための銀に基づくドレッシング剤の使用は、慢性創傷および火傷療法において、広く用いられる。これらの商業的に入手可能なもの、例えばActicoatt
TM、Aquacels Ag(登録商標)、Contreet(登録商標)フォーム、PolyMem(登録商標)銀、Urgotul(登録商標)SSDがいくつかある。不運なことに、これらの銀含有ドレッシング剤は、胞子またはバイオフィルムを殺さず、そして患者自身の細胞に細胞傷害性を生じうる、長期の曝露時間を必要とする。細胞傷害性効果は、部分的に、特定の局所銀ドレッシング剤の使用後の、創傷治癒遅延または創傷上皮化の阻害の臨床的観察を説明するであろう。
【0028】
[0037]現在のFDA規制は、殺菌剤(disinfectant)/滅菌剤として格付けされるためには、化合物は、すべての細菌胞子を含む、すべての微生物を破壊可能である必要があると記載する。より短い曝露時間で、適用中に用いる場合、殺菌剤は、すべてのウイルス、植物性細菌、真菌、マイコバクテリア、およびすべてではないがある程度の細菌胞子を破壊しなければならない。さらに、殺菌剤は、創傷環境におけるもののように複雑なタンパク質マトリックス内のこれらの殺菌要件を満たすことが可能でなければならない。化合物が、これらの規準を満たさないならば、明記された細菌種の3対数を殺すことが可能である場合、消毒剤(antiseptic)として登録され、そしてこうしたものとして標識されることも可能である。本明細書において、用語「殺す」は、微生物の量またはレベルを減少させることを指す。典型的には、用語「殺す」は、少なくとも3対数、典型的には少なくとも4対数、しばしば少なくとも5対数、そしてよりしばしば少なくとも6対数の微生物を15分以内、典型的には10分以内、しばしば5分以内、そしてよりしばしば1分以内に減少させることを指す。本明細書において、用語「x対数」は、10
xを指す。例えば組成物が微生物の6対数を殺すといった場合、これは、治療後に存在する微生物の量が、元来(すなわち治療前または対照と比較して)の微生物量の1/10
6またはそれ未満の量であることを意味する。
【0029】
[0038]表面および皮膚上のMRSAおよび他の植物性細菌の99.9%ならびにある程度の胞子を殺すと主張する、多数の組成物が入手可能である(例えば手のサニタイザー)。しかし、汚染した表面は何百万もの細菌を含有する可能性もあり、このうちのある程度は、血液滴などの複雑なマトリックス内に含有され、したがってこれらを殺すことが困難になっている可能性もある。他のタイプの細菌、例えば枯草菌(Bacillus subtilis)は、内視鏡表面、および体に挿入されるための他の医療機器の表面上に、大部分の殺菌剤の抗細菌活性を有意に減少させるバイオフィルムを形成する。これらの殺菌剤は、しばしば、サニタイザーと称され、そして存在する細菌の99.9%を殺すと主張する。しかし、典型的には、これらのサニタイザーはいずれも、存在するすべての細菌を殺さず、特に細菌が密集して存在するか、複雑なマトリックス内に含有されるか、バイオフィルムとして存在するか、あるいは植物性または胞子型として存在する場合は、すべて殺すことはない。
【0030】
[0039]現在、市場には、創傷における細菌感染を治療するかまたは減少させるために用いられる、いくつかの局所消毒剤がある。これらには、ヨウ素、ポリヘキサニド(Prontosan(登録商標))、クロルヘキシジン、過酸化水素、ならびに他のものを含む、多様な化合物の混合物であるベタジンが含まれる。大部分の消毒剤は、開放創を連続治療するのに適してはおらず、これは、角化細胞および線維芽細胞に対する細胞傷害効果によって、これらが創傷治癒を妨害するためである。一般的に、現在の局所消毒剤は、限定された殺細菌効果(例えば30分間の曝露で、細菌のわずか3対数の減少)しか持たず、そしてほぼすべてが、濃度および適用時間が多様である、ある程度の細胞傷害性を有する。硝酸銀溶液は、消毒剤カテゴリー中にあり、そしてその細胞傷害性は周知である。
【0031】
[0040]今日、使用されている、主に5つの高レベルの殺菌剤/滅菌剤がある。これらには、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、次亜塩素酸塩、過酸化水素、および過酢酸が含まれる。アルデヒドは、一般的に、非常に毒性であり、そして胞子の≧99.9999%に影響を及ぼす(または6対数を殺す)には非常に長い時間を要する。今日用いられる最も成功した高レベル殺菌剤は、次亜塩素酸塩、過酸化水素および過酢酸などの酸化剤であるようである。酸化による殺菌に関する反応性の利点は、タンパク質、脂質、およびDNAを含む、微生物のすべての構成要素に対する、非特異的なフリーラジカル損傷であると考えられる。したがって、十分に高い溶液濃度での酸化に対する微生物耐性は、実質的に存在しない。過酸化水素の安全でそして非毒性である濃度は、密集した微生物を殺すことが不可能である。塩素イオンのミエロペルオキシダーゼが仲介する過酸化により、PMNによって形成される、次亜塩素酸は、細胞性一酸化窒素(NO)代謝の主要な最終産物である亜硝酸塩によって、生理学的pHで容易に中和され、それによって、次亜塩素酸の殺細菌効果は減少する。少なくとも部分的に、in situでのこの中和のため、次亜塩素酸が、一般的な局所創傷サニタイザーである銀スルファジアジンほどは有効ではないことが示されてきている。
【0032】
微生物感染一般
[0041]皮膚などの、体の正常の無菌または物理的なバリアである部分への微生物の侵入によって引き起こされる全身性疾病は、「敗血症」と称される。したがって、無菌または物理的バリアである体の部分のいかなる開放(すなわち創傷)も、組織完全性および機能を回復するために、迅速にそして効率的に修復しなければならない。非常にしばしば、適切な治癒は損なわれ、重度の病的状態、そしておそらく死亡につながりうる、敗血症などの壊滅的な結果が伴う。ある研究は、米国において、年間、人口1000人あたり3例の敗血症、または年間、約750,000例の敗血症発生があると示している。
【0033】
[0042]マラリアなどの寄生虫以外は、血流中で優先的に増殖する病原体は非常にわずかである。したがって、敗血症は、一般的に、物理的(例えば皮膚および損なわれていない解剖学的な系に対する損傷または支障(compromise))または免疫学的(免疫系が感染性微生物を有効に認識し、そして根絶することに失敗すること)のいずれかの、宿主バリア系の完全性の割れ目、ならびに敗血症状態を生じる病原体の血流内への直接の浸透から生じる。
【0034】
[0043]現在、全身炎症の非微生物性の原因から微生物性のものを区別する、迅速で、そして信頼可能な技術はなく、そして原因性生物(単数または複数)を容易に同定するための迅速な技術はない。創傷による全身炎症の原因を迅速に同定することが可能であるかどうかにかかわらず、広域性殺菌剤および創傷治癒は、感染性生物の即時のそして決定的な同定に関する必要性を伴わずに、創傷治癒を可能にするであろう。
【0035】
[0044]したがって、被験体における創傷から生じる敗血症の発生を減少させるため、広域性殺菌剤および/または創傷治癒活性を有する組成物に関する必要性がある。
本発明の組成物
[0045]本発明のいくつかの側面は、ペルオキシα−ケトカルボン酸(PKCA)が、創傷を治療するために使用可能であり、創傷治癒を促進し、そして抗菌特性を有する可能性があるという、本発明者らによる驚くべきそして予期せぬ発見に基づく。
【0036】
[0046]本発明に適切なPKCAの代表的な例は、共同所有される米国特許出願第12/618,605号、2009年11月13日出願、および第12/760,940号、2010年4月15日出願、ならびに共同所有される米国仮特許出願第61/444,111号、2011年2月17日出願に開示され、これらはすべて、その全体が本明細書に援用される。
【0037】
[0047]いくつかの態様において、本発明の組成物は、α−ケトエステルおよびPKCAの混合物を含む。α−ケトエステルは、分子のα位(すなわち2位またはエステル官能基の隣の位)がカルボニル基であるエステル化合物である。いくつかの例において、α−ケトエステルは、アルキルα−ケトエステルである。アルキルα−ケトエステルは、エステル官能基がアルキルエステルであるα−ケトエステルを指す。これらの例のいくつかの場合、アルキルα−ケトエステルは、エチルα−ケトエステルまたはピルビン酸アルキルである。1つの特定の例において、α−ケトエステルはピルビン酸エチルである。
【0038】
[0048]驚くべきことに、そして予期せぬことに、本発明者らは、α−ケトエステルがそれ自体、抗菌活性を有することを発見した。さらに、混合物中にα−ケトエステルが存在すると、PKCAの組織浸透が増進する。いくつかの場合、α−ケトエステルはまた、病原体に対する細胞の傷害性抗炎症反応も減少させる。さらに驚くべきことに、そして予期せぬことに、本発明者らは、α−ケトエステルおよびPKCAの組み合わせが、相乗的抗菌活性、ならびに創傷治療/治癒に対する相乗効果および組織の相乗的浸透を提供することを発見した。
【0039】
[0049]PKCAまたはPKCAおよびα−ケトエステルの混合物を含む本発明の組成物が、同時に、殺菌し、免疫細胞代謝を刺激し、細胞低酸素症を減少させ、そして初期創傷デブリードマンを促進する一方、DNA損傷に対して保護することが発見された。いくつかの態様において、本発明の組成物にはまた、過酸化水素および対応するPKCAのα−ケトカルボン酸のカルボン酸アニオンが含まれる。これらの化合物は、PKCAと平衡状態で存在すると考えられ、そしてしたがって、混合物内で、存在し、そして少なくとも何らかの活性を発揮して、その代謝能および細胞能力各々にしたがって、創傷を殺菌し、そして治癒させると期待される。いかなる理論にも束縛されることなく、α−ケトエステル(例えば用いるPKCAのα−ケトエステル)の存在は、死んだ細菌の副産物からしばしば生じる、細胞の炎症を減少させると考えられる。
【0040】
[0050]ピルビン酸PKCA化合物の殺菌能が試験されてきており、そして米国環境保護庁(EPA)によって定義されるような殺菌剤/滅菌剤であることが示されてきている。この試験は、ASTM−E2197法であり、これは10分またはそれ未満で、非常に高いタンパク質環境内で、ステンレススチール表面上、クロストリジウム・ディフィシル胞子の6対数を殺す証明を必要とする。いかなる理論によっても束縛されることなく、PKCAの抗菌特性は、過酸官能基によるものであり、そしてしたがって、PKCAは、微生物による耐性を発展させるいかなる可能性も除去するかまたは最小限にすると予期されると考えられる。本発明の組成物内に存在しうる他の化学的化合物(例えばα−ケトエステル、過酸化水素、および/またはカルボン酸など)は、創傷治癒特性を有する可能性もあるが、これらはそれ自体、抗菌特性も有する可能性もある。
【0041】
[0051]いくつかの態様において、本発明の組成物には、PKCAおよび場合によってPKCAの対応するα−ケト酸および/またはこうしたα−ケト酸のアニオンが含まれる。例えば、ペルオキシピルビン酸(すなわち式HOOC(=O)C(=O)CH
3の化合物)が組成物中のPKCAである場合、生じる組成物はまた、場合によって、ピルビン酸および/またはピルビン酸のアニオンも含んでもよい。この特定のPKCA組成物は、以後、過ピルビン酸またはPPAと称される。同様に、PKCAとしてペルオキシα−ケト酪酸を含む組成物は、ときに、本明細書において、単にPOKBAと称され、そしてペルオキシα−ケト吉草酸を含む組成物は、ときに、本明細書において、単にPOKVAと称される。
【0042】
[0052]本発明の他の側面において、本発明の組成物は、PKCA、α−ケトエステル、および場合によって、1またはそれより多い以下からなる:PKCAの親カルボン酸および/またはその塩、PKCAの脱カルボキシル化誘導体、および過酸化水素。用語「PKCAの親カルボン酸」は、ペルオキシ(−OOH)部分がヒドロキシル(−OH)部分によって置換されていることを除き、PKCAのものと同じ数および炭素原子連結を有するカルボン酸を指す。用語「PKCAの脱カルボキシル化誘導体」または「脱カルボキシル化PKCA」または他の類似の用語は、本明細書において交換可能に用いられ、そして末端ペルオキシカルボン酸部分が、例えば加水分解によって除去されている化合物を指す。例えば、ペルオキシピルビン酸(HOOC(=O)C(=O)CH
3)の脱カルボキシル化誘導体は、酢酸(HOC(=O)CH
3)を指す。
【0043】
α−ケト酸アニオン
[0053]研究によって、創傷の炎症期では、細胞傷害性酸化剤が放出されることが示されてきている。これらの酸化剤は、反応性酸素種(ROS)として知られており、そしてこれには一重項酸素、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、および一酸化窒素(NO)が含まれる。ROSの主な機能の1つは、混入した微生物を殺すことであると考えられる。被験体が創傷を患うと、多形核白血球(PMN)が創傷部位に集まり、そしてROSを放出する。ROS種は、創傷内の細菌を殺すことにのみ関与していると考えられていた。しかし、創傷がこれらのROSに長期間曝露されると(例えば感染による炎症のため)、健康な細胞に対するROSの傷害性のため、創傷治癒に遅延が起こる。
【0044】
[0054]典型的には、創傷における酸素要求は、傷害後、数日間、供給を超え(低酸素症)、そしてα−ケトピルベートは、低酸素症に対する保護特性を持つことが周知である。ピルベートが、多数の代謝経路において、適応反応および低酸素症に対する耐性を改善することが示されてきている。例えば、ピルベートは、死んだ細菌細胞膜からのリポ多糖(LPS)の放出によって引き起こされる酸化性ストレス(酸化性分子の過剰産生)(炎症)を減少させる。
【0045】
[0055]ピルベートは、低酸素症細胞のためのエネルギーの主な供給源の1つと考えられる。また、低酸素状態中、ピルベートはDNA損傷を減少させるとも考えられる。好気性解糖の最終産物であり、そしてピルベートの還元物であるラクテートは、細胞性、局所、および全身代謝において役割を果たしうる。低酸素症細胞におけるピルベートは、次いで、創傷治癒におけるコラーゲン沈着および血管新生のため、ラクテートシグナル伝達を通じた他の細胞機能の間接的な代謝寄与因子となる。さらに、ピルベートおよびラクテートはともに、創傷における低酸素症に対する血管新生反応のためのVEGFの上方制御において、役割を果たすことが示されてきている。
【0046】
過酸化水素
[0056]一重項酸素、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシルラジカル、一酸化窒素およびH
2O
2など、創傷におけるPMN細胞によって産生される細胞傷害性酸化剤すべてのうちで、H
2O
2のみが、細胞の培地中に集積するために十分に長い半減期を有することが示されてきている。H
2O
2が、特定の条件下で、創傷治癒プロセスに必須の化合物の刺激のための代謝開始因子となることもまた示されてきている。例えば、H
2O
2が、高レベルの血管内皮増殖因子(VEGF)を放出するようにヒトマクロファージを刺激することが立証されてきている。過酸化水素が、創傷の再上皮化、好中球の創傷凝固、ならびに細胞外マトリックスおよび内皮細胞に対する単球接着を刺激することもまた示されてきている。さらに、過酸化水素は、血小板由来増殖因子(PDGF)、組織増殖因子(TGF)、上皮増殖因子(EGF)、および血管内皮増殖因子(VEGF)などの創傷治癒に必要な増殖因子を刺激する際のメッセンジャーとしての役割を果たす。
【0047】
[0057]微生物感染を減少させるための高レベルのH
2O
2の外部からの付加は、細胞に対して毒性であることが知られ、そしてしたがって、連続使用には推奨されない。しかし、細胞自体が、非常に小さい細胞外H
2O
2濃度勾配を生じる。本発明のいくつかの態様において、本発明の組成物は、6対数(すなわち10
6)の細菌を殺すのに必要な、例えばマイクロモル濃度の十分量のH
2O
2を含み、これはまた、創傷治癒を刺激するのに十分な濃度でもある。
【0048】
α−ケトエステル
[0058]いくつかの側面において、本発明の組成物は、α−ケトエステルを含む。α−ケトエステルは、分子のα位(すなわち2位またはエステル官能基の隣の位)がカルボニル基であるエステル化合物である。いくつかの態様において、α−ケトエステルは、アルキルα−ケトエステルである。アルキルα−ケトエステルは、エステル官能基がアルキルエステルであるα−ケトエステルを指す。これらの態様のいくつかの例において、アルキルα−ケトエステルは、エチルα−ケトエステルである。1つの特定の例において、α−ケトエステルはピルビン酸エチルである。しかし、本発明の範囲は、いかなる特定のα−ケトエステルにも限定されないことを理解すべきである。本発明者らは、α−ケトエステルは、PKCAの不快な匂いを昇華させることを見出した。いかなる理論によっても束縛されることなく、ピルビン酸エチルなどのα−ケトエステルは、溶液内に存在する過酸化水素を安定させることによって、PKCA溶液を安定させるとも考えられる。
【0049】
[0059]本発明の組成物中のPKCAに対して存在するα−ケトエステルの量は、典型的には、0.1mol%〜約20mol%、しばしば約0.25mol%〜約15mol%、そしてさらにしばしば約1mol%〜約5mol%の範囲である。あるいは、本発明の組成物中に存在するα−ケトエステルの量は、PKCAの重量約1%〜重量約30%、典型的には重量約1.5%〜重量約15%、そしてしばしば重量約5%〜重量約12%の範囲である。
【0050】
有用性
[0060]慣用的に広く用いられる創傷消毒剤は、創傷治癒を促進するのに必要なほど、十分量の細菌または胞子を常に殺すわけではなく、そしてより長期の曝露でしばしば細胞傷害性である。いくつかの研究によって、抗生物質溶液で開放骨折創傷を洗浄しても、滅菌していない石鹸溶液の使用に勝る有意な利点は提供されず、そして実際、細胞傷害性が増加し、そして創傷治癒を阻害する可能性もあることが示されてきている。そして、局所および全身性抗生物質治療の使用は、ときに、多剤耐性生物を導く可能性もある。
【0051】
[0061]現在、有効な広域抗菌活性および有効な増進した治癒特性の両方を備えて、創傷を治療するために利用可能な十分に適切な組成物はない。細胞傷害性消毒剤または抗生物質に続く、またはこれらと組み合わせた、創傷治癒刺激剤を用いた治療がある。抗菌化合物、例えば抗菌ヌクレオチド、多糖、および/またはタンパク質(一般的に増殖因子と称される)などの抗菌化合物、および創傷治癒のための分子刺激剤として使用するための酸化防止剤を組み合わせることが可能でありうるが、抗菌化合物は、産生するのが比較的高価であり、そして酸化防止剤の存在下で安定化させることが困難である。
【0052】
[0062]本発明の組成物は、実質的に細胞傷害性でなく、そして創傷治癒を増進する、比較的低コストであり、そして安定な広域抗菌組成物である。さらに、本発明の組成物は、慢性創傷において形成されるものなどのバイオフィルムに対して有効である。本発明者らは、植物性細菌、胞子およびバイオフィルムの高レベル殺菌剤/滅菌剤として使用するためのPKCAファミリーを開発し、そしてこれらは、上に援用され、そして同一出願人による特許出願において記載される。以下の表Aは、1つの特定のPKCA化合物が、殺菌剤および滅菌剤と称されるのに許容されうる濃度または量で、植物性細菌および胞子を殺す(すなわち量またはレベルを減少させる)能力を例示する。
【0055】
*より低い濃度は未試験
最初の3つは抗生物質耐性細菌である。
A.バウマンニは大部分の抗生物質に対して非常に耐性であり、そして戦闘による創傷において蔓延している。
【0056】
C.アルビカンスは、ヒトにおいて口腔および性器感染を引き起こす真菌である。
C.ディフィシル胞子では、致死性でありうる病原性感染を引き起こす細菌胞子を殺すことが非常に困難である。
【0057】
枯草菌では、バイオフィルムを引き起こす細菌胞子を殺すことが非常に困難である。
インフルエンザウイルスは、一般的に、流感ウイルスとして知られる。
B.シュードマレイは、しばしば、文字通り抗生物質を「吐き出す」潜在的なバイオテロリズム生物と見なされる。
【0058】
アスペルギルス属胞子は、火傷創傷において、高い死亡率の原因となる真菌胞子であり、そして大部分の慣用的な消毒剤には、有意には反応しない。
[0063]大部分の他のペルオキシカルボキシ化合物とは異なり、PKCA化合物は、効率的に合成するために酸触媒を必要としないことが、本発明者らによって発見されてきている。合成のための毒性触媒の必要性がなく、または使用を伴わないため、本発明の組成物は、療法的有効量で用いた際、細胞傷害特性を実質的に持たない。いくつかの態様において、PKCA化合物は、対応するα−ケト酸、過酸化水素、および対応する脱カルボキシル化カルボン酸と平衡状態であることも可能であり、これらのうちいくつかは、創傷治癒に有益である。PKCAの親化合物(例えばピルビン酸)の多くは、ほぼすべての生存細胞内に存在し、そして必須細胞代謝において、重要な役割を果たす。例えば、ペルオキシピルビン酸の親化合物(すなわちピルビン酸)、ペルオキシオキサロ酢酸の親化合物(すなわちシュウ酸)、ペルオキシα−ケトグルタル酸の親化合物(すなわちα−ケトグルタル酸)は、細胞代謝のための主なエネルギー産生機構であるTCA(すなわちクレブス回路としても知られるトリカルボン酸回路)内の重要な化合物である。ペルオキシα−ケト酪酸の親化合物(すなわちα−ケト酪酸)は、やはりTCA回路で使用されるスクシニル−CoAの代謝産生に関与する。ペルオキシα−ケト吉草酸の親化合物であるα−ケト吉草酸は、タンパク質合成、ならびにロイシンおよびバリンなどのアミノ酸の生合成における重要な中間物質の1つである。α−ケト吉草酸はまた、細胞における糖新生にも関与する。ピルベートは、解糖を通じて、創傷治癒中に低酸素症細胞のためのエネルギー産生に関与する。ROSの潜在的に有害な効果は、α−ケト酸によって仲介されうる。さらに、ピルベートはまた、低酸素症中のDNA損傷に保護性の効果を有し、そして創傷治癒におけるコラーゲン沈着および血管新生の間接的な代謝寄与因子である。さらに、ピルビン酸は、創傷および火傷の両方において、死んだ皮膚のデブリードマンを加速する。
【0059】
[0064]局所消毒剤は、細菌に対して毒性でなければならないが、根底にある組織には毒性であってはならず、そして理想的には、これらはまた、感染に対する宿主防御を保持するかまたは増進しなければならない。本発明のいくつかの側面は、創傷、例えば外科的、外傷性、慢性および火傷創傷を治療するための方法を提供する。いくつかの態様において、本発明の方法には、治癒、ならびに限定されるわけではないが、ウイルス、植物性細菌、真菌、細菌(例えばマイコバクテリア)および胞子などの微生物の迅速な殺菌(すなわちそのレベルおよび/または量の減少、あるいはその完全な除去)が含まれる。今日入手可能な他の慣用的な消毒剤とは異なり、いくつかの態様において、本発明の組成物は、実質的にすべての微生物を除去し、そして創傷治癒プロセスを増進させる。各創傷タイプは、創傷治療の際に用いられるPKCAおよび/またはα−ケトエステルの最適要件においてユニークでありうることが認識されるべきである。本発明の組成物の療法使用のいくつかには、限定されるわけではないが、(i)外傷性または急性創傷の初期治療中の洗浄溶液としての使用;(ii)外科処置完了後の洗浄溶液としての使用;(iii)手術および急性創傷の治療後の院内感染の防止;(iv)バイオフィルムコロニー形成および/または抗生物質耐性感染が、緩慢治癒または慢性創傷を生じているか、または生じると予期される、創傷の治療;(v)化学的熱傷を含む火傷のデブリードマン、抗菌療法および/または治癒における使用;(vi)感染した褥瘡性潰瘍の治療;(vii)足部潰瘍の治療;(viii)静脈性潰瘍の治療;ならびに(ix)例えば瘢痕および皺の除去のためのレーザー治療から生じる任意のタイプの創傷の治療が含まれる。一般的に、限定されるわけではないが、日焼け、擦過、外科的創傷、穿刺創傷等を含む、いかなる種類の皮膚または組織損傷も、本発明の組成物で治療可能である。
【0060】
[0065]療法的有効量の本発明の組成物は、一般的に、創傷へのさらなる傷害を防止し、そして/または減少させ、そして/または創傷の治癒速度を増加させるのに十分な量である。創傷治療のための療法剤には、場合によって、代謝性増殖因子、抗生物質および/または抗真菌剤および刺激剤などの他の創傷治療化合物も含まれてもよい。キャリアー溶液を用いて、本発明の組成物を投与してもよい。例示的に適切なキャリアー溶液には、限定されるわけではないが、生理学的pH緩衝剤、等張性液および培地が含まれる。本発明の組成物はまた、クリーム、ジェル、軟膏、ローション、パッチ等として配合されてもよい。軟膏およびクリームは、例えば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤の添加とともに、水性または油性基剤を用いて配合可能である。ローションは、水性または油性基剤を用いて配合可能であり、そしてまた、一般的に、1またはそれより多い乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤も含有するであろう。
【0061】
[0066]本発明の組成物はまた、エアロゾル投与のために、特に投与スプレーとして配合可能である。組成物は、一般的に、5ミクロンまたはそれ未満の桁の小さい粒子サイズを有するであろう。こうした粒子サイズは、当該技術分野に知られる手段によって、例えば微粒子化によって、得られうる。適切な噴霧剤、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素あるいは他の適切なガスとともに、加圧パック中で、組成物を提供してもよい。エアロゾルはまた、好適に、レシチンなどの界面活性剤も含有してもよい。組成物の用量は、計測バルブによって、または単にスプレー時間の量によって調節可能である。
【0062】
[0067]創傷治療に用いられる組成物の量は、限定されるわけではないが、治療中の創傷のタイプまたは状態、創傷のサイズ、被験体の年齢、創傷中に存在する汚染物質の量、被験体の体重、投与の型ならびに選択した特定のPKCAおよびα−ケトエステル(存在する場合)等に応じて多様でありうる。一般的に、医師は、患者のための特定の創傷治療に最も適した本発明の組成物の量を容易に決定可能である。
【0063】
[0068]例えば、より高い濃度の本発明の組成物が、外傷性創傷よりも慢性創傷を治療するにはより適切でありうる。したがって、用いる組成物の量は、創傷要件に応じて多様であろう。いくつかの態様において、本発明の組成物中のPKCAの量は、0.01mM〜約1M、典型的には約1mM〜約0.5M、しばしば約10mM〜約250mMの範囲である。一般的に、創傷のすべてのタイプに関して、用いる本発明の組成物中のPKCAの量は、約0.1mM〜約200mMである。すべてのタイプの創傷を治療するための1つの特定の態様において、本発明の組成物中のPKCAの量は、約0.96mM〜約192mMの範囲である。
【0064】
[0069]慢性創傷治療のため、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、典型的には約0.1mM〜1M、しばしば約1mM〜約0.5M、そしてよりしばしば約10mM〜約250mMである。慢性創傷治療のための1つの特定の態様において、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、約115mM〜約154mMの範囲である。別の態様において、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、約82mM〜約96mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、約38mM〜約76mMの範囲である。
【0065】
[0070]非慢性創傷治療のため、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、典型的には約0.01mM〜約1M、しばしば約0.1mM〜約500mM、そしてよりしばしば約0.1mM〜約250mMの範囲である。非慢性創傷治療のための1つの特定の態様において、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、約38mM〜約77mMの範囲である。別の態様において、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、約19mM〜約38mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、約4.2mM〜約8.5mMの範囲である。さらに他の態様において、本発明の組成物中のPKCAの濃度は、約0.96mM〜約2.1mMの範囲である。
【0066】
[0071]上述のように、いくつかの態様において、PKCAの親α−ケト酸および/またはそのアニオンが、本発明の組成物中に存在してもよい。もし存在する場合、PKCAの親α−ケト酸および/またはそのアニオンの量は、典型的には平衡濃度量である。あるいは、もし存在する場合、本発明の組成物中に存在するPKCAの親α−ケト酸および/またはそのアニオンは、約0.01mM〜約10Mの範囲である。1つの特定の態様において、本発明の組成物中に存在するPKCAの親α−ケト酸および/またはそのアニオンの量は、約12.4mM〜約7,352mMの範囲である。別の態様において、本発明の組成物中に存在するPKCAの親α−ケト酸および/またはそのアニオンの量は、約2.5mM〜約6.2mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中に存在するPKCAの親α−ケト酸および/またはそのアニオンの量は、約0.62mM〜約1.2mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中に存在するPKCAの親α−ケト酸および/またはそのアニオンの量は、約0.062mM〜約0.31mMの範囲である。
【0067】
[0072]上述のように、いくつかの態様において、過酸化水素もまた、本発明の組成物中に存在してもよい。もし存在する場合、過酸化水素の量は、典型的には、平衡濃度量である。あるいは、もし存在する場合、本発明の組成物中の過酸化水素の量は、約0.01mM〜約10M、典型的には約0.1mM〜約5M、そしてしばしば約1mM〜約5Mの範囲である。1つの特定の態様において、本発明の組成物中に存在する過酸化水素の量は、4.9mM〜約2940mMの範囲である。別の態様において、本発明の組成物中に存在する過酸化水素の量は、586.4mM〜約785.3mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中に存在する過酸化水素の量は、約418.2mM〜約489.6mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中に存在する過酸化水素の量は、約193.8mM〜約387.6mMの範囲である。
【0068】
[0073]非慢性創傷を治療するため、1つの特定の態様において、本発明の組成物中に存在する過酸化水素の量は、約193.8mM〜約392.7mMの範囲である。別の態様において、本発明の組成物中に存在する過酸化水素の量は、約43.3mM〜約96.9mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中に存在する過酸化水素の量は、約4.9mM〜約21.4mMの範囲である。
【0069】
[0074]本発明のいくつかの側面は、PKCAに加えてα−ケトエステルを含む組成物を提供する。こうした組成物において、α−ケトエステルの量は、約0.01mM〜約1M、典型的には約0.1mM〜約0.5M、しばしば約0.5mM〜約250mMの範囲である。1つの特定の態様において、α−ケトエステルの量は、約0.72mM〜約172mMの範囲である。
【0070】
[0075]慢性創傷治療のため、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約0.1mM〜約500mM、典型的には約1mM〜約250mM、そしてしばしば約10mM〜約100mMの範囲である。1つの特定の態様において、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約34mM〜約46mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約23mM〜約28.6mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約11.5mM〜約17.2mMの範囲である。
【0071】
[0076]非慢性創傷治療のため、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約0.01mM〜約500mM、典型的には約0.05mM〜約250mM、しばしば約0.1mM〜約100mMの範囲である。1つの特定の態様において、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約10mM〜約11.5mMの範囲である。別の態様において、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約7.2mM〜約8.6mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約4.3mM〜約6.4mMの範囲である。さらに別の態様において、本発明の組成物中のα−ケトエステルの量は、約0.29mM〜約2.6mMの範囲である。
【0072】
[0077]いくつかの態様において、本発明の組成物は、微生物胞子およびバイオフィルム中の微生物を含めて、約5,000ppmまたはそれより少ない濃度で、10分以内に少なくとも10
5量の微生物を、しばしば約5,000ppmの濃度で、10分以内に少なくとも10
6の微生物を殺すことも可能である。本明細書において、用語「微生物」には、細菌、ウイルス、真菌、藻類、プリオン、および当業者に知られる他の病原性生物が含まれる。典型的には、用語、微生物は、細菌、ウイルス、および真菌を指す。
【0073】
[0078]他の態様において、本発明の組成物は、4,000ppmの濃度で、10分以内、典型的には5分以内、そしてしばしば1分以内に、少なくとも対数5の殺菌活性を有する。さらに他の態様において、本発明の組成物は、4,000ppmの濃度で、10分以内、典型的には5分以内、そしてしばしば1分以内に、少なくとも対数6の殺菌活性を有する。さらに他の態様において、本発明の組成物は、約4,000ppm、典型的には3,000ppm、しばしば1,000ppm、そしてさらにしばしば500ppmの濃度で、10分以内に、少なくとも対数6の殺菌活性を有する。
【0074】
[0079]驚くべきことに、そして予期せぬことに、本発明者らによって、本発明の組成物はまた、限定されるわけではないが、本明細書に開示するものを含めて、微生物胞子およびバイオフィルムを殺すことが可能であることが見出されてきている。例えば、上記表Aを参照されたい。慣用的な消毒剤/界面活性剤は、典型的には、有効な方式で、微生物胞子および/またはバイオフィルムを殺すことが不可能である。対照的に、本発明の組成物は、広域性活性を有し、そして約5,000ppmの濃度で、10分以内に、バイオフィルム中の細菌の少なくとも70%、典型的には少なくとも80%、しばしば少なくとも90%、よりしばしば少なくとも95%、そしてさらによりしばしば実質的にはすべてを有効に殺すことが可能である。
【0075】
[0080]本発明のさらなる目的、利点、および新規特徴は、限定されることを意図しない、以下の実施例を精査した際に、当業者には明らかになるであろう。実施例において、前向きに実施が推測される(reduced)方法は、現在時制で記載され、そして実験室で行われたことがある方法は、過去時制で示される。
【実施例】
【0076】
実施例1
医療機器上の胞子の殺菌
[0081]本実施例は、ASTM E−2197法に記載される方法を用いた、乾燥した高タンパク質環境におけるPKCA化合物の殺胞子有効性を示す。
図1は、ペルオキシα−ケトピルビン酸(PPA)、ペルオキシα−ケト吉草酸(POKVA)、およびペルオキシα−ケト酪酸(POKBA)の殺胞子活性を例示する。これらの溶液各々が、高タンパク質環境において、10分で6対数のC.ディフィシル胞子を殺すか試した。必要な濃度は、PPAおよびPOKVAに関しては1000ppm(8.5mM)、そしてPOKBAに関しては500ppm(4.2mM)であった。さらに、3対数のC.ディフィシル胞子が、750ppm(6.3mM)の濃度のPPAおよびPOKVAで、そして250ppm(2.1mM)のPOKBAで殺された。PKCAのこれらの濃度は、12.4mM(1000ppm)、9.3mM(750ppm)、および3.1mM(250ppm)のα−ケト酸濃度に同等である。
【0077】
実施例2
医療機器上のバイオフィルムの殺菌
[0082]AOAC 966.04法によって、表面バイオフィルム形成に対するPKCAの有効性を試験した。この方法は、バイオフィルムを形成可能なセラミック・ペニシリンダー(penicylinders)上で乾燥した枯草菌胞子に対して、候補殺菌剤を試験する。簡潔には、1〜4x10
7CFU/mLに同等の最終濃度で、滅菌蒸留水中の胞子懸濁物の希釈を調製する。滅菌フックを用いて、滅菌ペニシリンダーを調製した希釈物中に入れ、そしてよく混合し、そして次いで、10〜15分間インキュベーションした。その後、シリンダーを取り除き、滅菌ペトリ皿中の滅菌スクリーン上に置き、そして次いで少なくとも12〜24時間または使用時まで、デシケーター中に入れる。殺菌剤試験のため、汚染したペニシリンダーおよび汚染していない対照シリンダーをPKCA混合物を含有するバイアル内に入れ、そして10分間静置した。その後、嫌気性ブルセラブロス10mL内に単一のシリンダーを入れ、超音波処理し、そして予期される計数に基づいて、寒天プレート上で適切な希釈(典型的には、1:1000希釈のスパイラルプレート50μL)を作製することによって、胞子の数を数える。シリンダーは、10
6cfu/シリンダーを含有するはずであり、そして続いて起こる、PKCA混合物に対する曝露による数の喪失は、対数殺胞子を反映する。結果は、169mM(2000ppm)のPPA、POKBA、およびPOKVA濃度を含有する3つのPKCA溶液各々が、15分間の乾燥したセラミックシリンダー上の枯草菌の≧5.0対数を殺すことが可能であることを示した。
【0078】
実施例3
材料および方法
株および増殖条件
[0083]緑膿菌PAO1(ATCC番号:BAA−47)、フェカリス菌V853(ATCC番号:700802)、および黄色ブドウ球菌(ATCC番号:700699)を、トリプティックソイブロス(TSB、Sigma Chemical Co.、米国ミズーリ州セントルイス)培地中で、振盪しながら37℃で16時間増殖させた。
【0079】
バイオフィルム形成に対する化学物質処理
[0084]ボルトンブロス(Oxoid Ltd、英国ハンプシャー州ベジンストーク)およびウシ血漿(Biomeda、米国カリフォルニア州フォスターシティ)を多種バイオフィルム形成のために用いた。TSB寒天プレート上で増殖させた緑膿菌PAO1、フェカリス菌V583、および黄色ブドウ球菌をTSBブロス内に接種し、そして振盪装置中で37℃で16時間増殖させた。各個々の細菌タイプに関して、一連の希釈で、アリコットをTSBブロス中で希釈した。希釈細菌をプレーティングして、コロニー形成単位(CFU)を計数した。これらをさらに、1x10
6cfu/mLに希釈し、そして接種物として等しく混合した。50%血漿を含むボルトンブロスをバイオフィルム形成培地のために用いた。キャップ付きのガラス16x150mm試験管をオートクレーブし、そして7mlバイオフィルム形成培地を各試験管中で無菌的に分配した。3つの細菌の規準化培養を混合し、そして合わせて、そして規準化した培養1x10
6CFU/mLの10μlをガラス試験管内に接種した。ピペットチップを試験管内に駆出することによって、これを行った。ピペットチップはバイオフィルム形成のための表面として働く。この試験管にPPA/PPA−EPを0ppm、400ppmおよび4000ppmで添加し、そして振盪装置中、37℃、150rpmで24時間増殖させた。バイオフィルム形成を主観的に観察し、そしてバイオフィルムを収集した。バイオフィルムを含む試験管セットを80℃のオーブンに48時間入れて、乾燥重量を得た。バイオマス乾燥重量を、総重量から、使用前に測定した空の試験管重量を減じた相違として測定した。各治療群に関して3つ組で試験を行った。3つ組の試験管の別個のセットを、以下に記載するように、DNA抽出および定量的PCR分析に用いた。
【0080】
形成されたバイオフィルムとのPPAおよびPPA−EPのインキュベーション
[0085]形成されたバイオフィルムを3回洗浄し、そして次いで8000ppmおよび16000ppmのPPAおよびピルビン酸エチル(EP)を伴うPPAで処理し、振盪(150rpm)しながら37℃で1時間インキュベーションした。細菌プレート計数を用いて、形成したバイオフィルムに対するPPAおよびPPA−EPインキュベーションの効果もまた評価した。バイオフィルムを洗浄し、10分間超音波処理し、そしてボルテックスした。プロセスをもう一度反復した。次いで、上清を細菌プレート計数のため、連続希釈した。
【0081】
3つの細菌に関する特異的プライマーの設計
[0086]緑膿菌PAO1(GenBank番号:AE004091)、フェカリス菌V583(GenBank番号:AE016830)、および黄色ブドウ球菌(GenBank番号:BA000017)のゲノム配列をNCBIウェブサイトからダウンロードした。Wnd−BLASTを用いることによって、個々のゲノム配列を用いて、公表された微生物ゲノム配列全体に対してBLASTを行った。ノーヒット遺伝子を用いて、特異的プライマーを設計した。
【0082】
リアルタイムPCR分析
[0087]Qiagen TissueLyser(QIAGEN、米国カリフォルニア州サンタクララ)を用いることによって、バイオフィルム試料をホモジナイズした。滅菌5mmスチールビーズおよび500μL 0.1mmガラスビーズを、500μL TE緩衝剤を含む試験管に添加し、そして30Hzで5分間処理した。次いで、QIAamp DNAミニキット(QIAGEN)を用いることによって、バイオフィルム試料由来の細菌DNAを抽出した。Nanodrop分光光度計(Nyxor Biotech、フランス・パリ)を用いて、DNA試料を定量化し、そして20ng/μlに希釈した。3つの個々の細菌由来のDNAもまた、陽性対照として、20ng/μlに希釈した。定量的リアルタイムPCRを用いて、バイオフィルム試料中の3つの細菌の比に相当する、各細菌に関する特異的遺伝子レベルをアッセイした。LightCycler480(Roche、ドイツ・マンハイム)を用いることによって、遺伝子レベルを検出した。20μlリアルタイムPCR反応のため、LightCycler480 SYBRグリーンIマスターキット(Roche)を用いた。各試料を3回アッセイした。各試料の相対的遺伝子レベルを計算し、そして分析した。簡潔には、定量的リアルタイムPCR反応後に、異なる試料中のターゲット遺伝子の閾値周期(Ct値)を得た。規準化DNA Ct値を関心対象の遺伝子のCt(ターゲット遺伝子)から減じて、試料のdCt値を生じた。標準物質(最高のdCt値を持つ試料)のdCt値をすべての他の試料から減じて、ddCt値を生じた。相対遺伝子レベルとして、すべての試料に関して、2の−ddCt乗(2
−ddCt)を取った。各細菌の遺伝子発現レベルは、所定のDNA抽出試料内の各細菌の相対比に相当する。
【0083】
結果
[0088]バイオフィルム形成に対するさらなる多数の化学物質処理に関して正しい濃度を試験するために、まず、400ppm、1000ppm、4000ppm、8000ppm、および12000ppmのPPAおよびPPA−EP濃度を用いた(
図2および3)。PPAおよびPPA−EPは、バイオフィルム形成に対して明らかでそして有意な阻害効果を示した。したがって、400ppmおよび4000ppmをアッセイのための最終濃度として用いた。バイオフィルム形成の主観的観察を行い、そしてバイオフィルムバイオマス乾燥重量もまた測定して、より客観的な測定値を提供した。処理のすべては、乾燥重量に基づくと、対照バイオフィルムよりもより低いバイオマス形成を示し、そしてバイオマスの減少は、バイオフィルム形成の視覚的減少と相関した(表1)。400ppmのPPAおよびPPA−EPを添加すると、バイオフィルムバイオマス乾燥重量は42.2%および52.8%減少した。4000ppmのPPAおよびPPA−EPを添加すると、バイオフィルム成長はまったく観察されなかった。細菌プレート計数によって、4000ppm PPAおよびPPA−EPは、細菌増殖を完全に阻害することがさらに確認された。
【0084】
[0089]多種バイオフィルム内の個々の細菌集団に対する化学物質の影響をさらに性質決定するため、リアルタイムPCRアッセイを開発した。この試験を用いて、PPAおよびPPA−EP処理マトリックスに対して、未処理対照を比較した。結果によって、PPAおよびPPA−EPは、400ppmで3つの細菌の増殖を完全には阻害しないが、4,000ppmで3つの細菌の増殖を完全に阻害することが示された。表1を参照されたい。
【0085】
表1. バイオフィルム防止に対する化学物質処理のデータ要約(N/A=計数なし)
【0086】
【表2】
【0087】
[0090]形成されたバイオフィルムを除去する際のPPA/PPA−EPの効果を評価するため、24時間形成されたバイオフィルムを8000ppmおよび16000ppmのPPA/PPA−EPで60分間処理した。主観的観察によって、PPA/PPA−EPは、形成されたバイオフィルムを除去する効果を示す(
図4)。処理のすべては、乾燥重量に基づくと、対照バイオフィルムよりもより多いバイオマス分解を示し、そしてバイオマスの減少は、バイオフィルムの視覚的減少と相関した(表2)。8000ppmのPPAおよびPPA−EPを添加すると、バイオフィルムバイオマス乾燥重量は62.4%および60.8%減少した。16000ppmのPPAおよびPPA−EPを添加すると、バイオフィルムバイオマス乾燥重量は49.6%および64.2%減少した。細菌プレート計数によって、8000ppm、16000ppm PPAおよびPPA−EPは、細菌増殖を完全に除去することがさらに確認された。多種バイオフィルム内の個々の細菌集団に対する化学物質の影響をさらに性質決定するため、リアルタイムPCRアッセイを開発した。この試験を用いて、PPAおよびPPA−EP処理マトリックスに対して、未処理対照を比較した。結果によって、PPAおよびPPA−EPが、これらの3つの細菌を選択的に除去するのではないことが示された(表2)。
【0088】
表2.形成されたバイオフィルムでのPPAおよびPPA−EP処理のデータ要約
【0089】
【表3】
【0090】
結論
[0091]PPAおよびPPA−EPは、広範囲に細菌増殖を阻害する。8,000ppmでは、PPAおよびPPA−EPは、60分以内に、形成されたバイオフィルムを除去する。400ppm〜4,000ppmなどの、より低い濃度では、PPAおよびPPA−EPは、バイオフィルム形成に対して抑制効果を有する。
【0091】
実施例4
[0092]本実施例は、PKCA溶液がシミュレーションされた創傷溶液環境において細菌を殺すことを立証する。PPAを含有するPKCA溶液を、50mMリン酸緩衝液中、6.0のほぼ生理学的pHにして、そして10%ウシ胎児血清(FBS)の存在下でメチリシン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を殺す能力に関して試験した。100ppm(0.85mM)のPPAを含有するPKCA溶液は、FBS溶液内で、1分間に6対数のMRSAを殺すことが示された。
【0092】
[0093]標準浸漬試験によって、植物性細菌に対する、すべての他のPKCA有効性研究を行った。この方法は、0.5マクファーランド標準(1〜2x10
8CFU/mL)に適合する無菌希釈物中で、試験生物の懸濁物を産生することを伴う。1:100の比と見積もられるように、懸濁物のアリコットをPKCA混合物内にピペッティングし(例えば3mLの殺菌剤混合物内に、30μLの懸濁物)、そして完全に混合した。アリコットを望ましい曝露間隔でPKCA混合物から取り除き、そして中和ブロス中で、1:10の比に希釈し(例えば0.4mLを3.6mL内に)、そして次いで、計数のため、スパイラルプレーティングした。この方法は、CFU/mLで6対数の減少の理論的な定量化を提供する。
【0093】
実施例5
[0094]タンパク質環境におけるPKCA混合物の性能を決定するため、高タンパク質環境における性能に関して、そして創傷環境の単純なシミュレーションに関して、PPA混合物をMRSAに対する殺菌有効性に関して試験した。10%ウシ胎児血清(FBS)中に懸濁されたMRSAに対して、上述のような浸漬試験によってPPA混合物を試験した。PPA混合物は、10%FBS中で200ppmのPPAに曝露された際、15秒以内で、6対数のMRSAを殺した(表5)。これは、15秒間に、水中に懸濁されたMRSAを殺すのに必要なPPA濃度の倍であった。したがって、高タンパク質環境においては、濃度の増加が必要であるが、高タンパク質環境において、密集したMDROを殺すための活性は、なお迅速で、そして有効であった。
【0094】
実施例6
[0095]リン酸緩衝液中に懸濁されたMRSAに対してもまた、PPA混合物を試験して、異なるpHのPKCA混合物の緩衝溶液が、創傷治癒プロセスの異なる期で使用可能であるかどうかを決定した。この試験の結果は、PPAが50ppm60秒間で、そして100ppm15秒間で、pH6.0のリン酸緩衝液中、6対数のMRSAを殺すであろうことを立証した(
図6)。
【0095】
実施例7
[0096]リン酸緩衝液中に懸濁されたアシネトバクター・バウマンニに対してもまた、PPA混合物を試験して、異なるpHのPKCA混合物の緩衝溶液が、創傷治癒プロセスの異なる期に使用可能であるかどうかを決定した。この試験の結果は、PPAが50ppmでは60秒間で、そして100ppmではわずか15秒間で、6対数のアシネトバクター・バウマンニを殺すであろうことを立証した(
図7)。
【0096】
実施例8
[0097]クエン酸緩衝液、pH6.8中の20%卵黄中に懸濁された緑膿菌に対して、PPAの殺生物有効性に関する実験を行った。結果は、PPAが緩衝高タンパク質環境において、500ppmでは1分で緑膿菌を殺すが、その濃度の半分では6対数を殺すのに60分かかることが立証された(
図8)。
【0097】
[0098]現在の感染性創傷治癒における実際の曝露には、カンジダ属およびアスペルギルス属の真菌およびカビが含まれる。火傷創傷中のアスペルギルス属胞子は、深い火傷創傷を持つ高齢患者では、75%の死亡率を導いている。PPAは、溶液中でこれらの胞子を殺すことが示されてきている。上の表2は、PPAがこれらの真菌を10分未満で殺し、そしてしたがって、これらの感染が全身性になる前に、火傷創傷中の感染を殺菌可能であることを示す。
【0098】
[0099]これらの研究は、高タンパク質および異なるpH値の緩衝溶液におけるPKCA混合物の殺生物有効性を立証した。さらに、これらは、シミュレーションされた慢性創傷のin vitroでの防止および破壊を立証する。委託研究施設は、数百の化合物を試験した後、次亜塩素酸以外には、PKCA溶液が完全に広域殺細菌スペクトルを有し、そしてバイオフィルムを防止し、そして溶解した、唯一の化合物であると言及した。これらの例および化学の理論的理解のすべてによって、PKCA化合物を最適pHにしたがって配合して、創傷治癒を増進し、そしてなお創傷を殺菌することが可能であることが立証される。近年、治療化合物を添加するためにpHをあつらえることが、創傷治癒時間を減少させるのに有効な方法であることが提唱されてきている。
【0099】
[0100]要約すると、これらの例は、PKCA溶液がバイオフィルム中および高タンパク質環境中で、高レベルの細菌および胞子を殺すことが可能であることを立証する。多くの例において、PKCA溶液にはまた、親α−ケトカルボン酸も含まれる。α−ケトエステルは、創傷治療溶液に、組織浸透および抗炎症能を提供する。したがって、本発明の組成物は、創傷を殺菌し、そして同時に治癒を増進するであろう、現存する唯一の単純な有機化学的構造である。
【0100】
実施例9
[0101]本実施例は、乾燥した高タンパク質環境における、α−ケト過酸(すなわちペルオキシα−ケトカルボン酸)化合物の殺生物有効性を示す。ASTM E−2197法に記載される方法にしたがって、実験を行った。
図1は、各々、ペルオキシα−ケトピルビン酸(PPA)、ペルオキシα−ケト吉草酸(POKVA)、またはペルオキシα−ケト酪酸(POKBA)のいずれかを含有する3つのα−ケト過酸溶液の結果を示す。これらの溶液が、高タンパク質環境内で、10分間で6対数のC.ディフィシル胞子を殺すか試した。必要な濃度は、PPAおよびPOKVAに関しては1000ppm(8.5mM)、そしてPOKBAに関しては500ppm(4.2mM)であった。さらに、3対数のC.ディフィシル胞子は、750ppm(6.3mM)の濃度のPPAおよびPOKVAで、そして250ppm(2.1mM)のPOKBAで殺された。α−ケト過酸のこれらの濃度は、12.4mM(1000ppm)、9.3mM(750ppm)、および3.1mM(250ppm)のα−ケト酸濃度に同等である。
【0101】
実施例10
[0102]本実施例は、α−ケト過酸溶液がバイオフィルムを殺すことが可能であることを示す。AOAC966.04法に記載される方法を用いて、バイオフィルムに対するα−ケト過酸化合物の殺生物有効性試験を決定した。結果によって、169mM(2000ppm)の濃度のPPA、POKBA、およびPOKVAを含有する3つのα−ケト過酸溶液は、各々、乾燥したセラミックシリンダー上の枯草菌を、15分で≧5.0対数殺すことが可能であった。
【0102】
実施例11
[0103]本実施例は、α−ケト過酸溶液がシミュレーションされた創傷溶液環境において、細菌を殺すことが可能であることを示す。PPAを含有するα−ケト過酸溶液を、50mMリン酸緩衝液中、6.0のほぼ生理学的pHにして、そして10%ウシ胎児血清(FBS)の存在下でメチリシン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を殺す能力に関して試験した。100ppm(0.85mM)のPPAを含有するα−ケト過酸溶液は、FBS溶液内で、1分間に6対数のMRSAを殺すことが示された。
【0103】
[0104]これらの実施例は、α−ケト過酸溶液が、バイオフィルム中および高タンパク質環境中で、高レベルの細菌および胞子を殺すことが可能であることを立証する。いくつかの例において、本発明の組成物は、α−ケト過酸および親アルファケトカルボン酸の両方を含む。アルファケトカルボン酸は、ほぼすべての生存細胞内に見いだされ、そして潜在的に改善された創傷治癒において、関連づけられてきている天然化合物である。α−ケト酸およびこれらのアルファケト酸のペルオキシ型の両方を提供することによって、本発明のいくつかの化合物は、細胞に相乗的利益を提供する。
【0104】
実施例12
[0105]上に開示される同一出願人による米国特許出願および仮特許出願に開示されるPKCA化合物。これらのPKCA化合物は、とりわけ、植物性細菌、胞子およびバイオフィルムの高レベル殺菌剤/滅菌剤として使用するために開発されてきている。本発明者らは、PKCA化合物が滅菌剤/殺菌剤と呼ばれるために許容されうるレベルで、植物性細菌および胞子を殺す際に有効であることを示した。
【0105】
[0106]本研究において、ピルビン酸エチル(EP)をPKCA溶液に添加して、EPの添加によって殺生物有効性が影響を受けるかどうかを決定した。EPを2%濃度でPKCA化合物を含む溶液に添加した。用いたEPの量は、PKCAの匂いを実質的に除去するのに有効であった。対照として、PKCA−EP混合物と同じ方式で、抗菌特性に関して、水中の2%EPを試験した。驚くべきことに、そして予期せぬことに、2%EP対照もまた細菌を殺すことが発見された。これらの試験の例を以下に示す。
【0106】
[0107]0.5マクファーランド標準(1〜2x10
6CFU/mL)に匹敵する無菌希釈物中の懸濁物として、MRSAを調製した。1:100の比で、MRSA懸濁物のアリコットをPKCA−EP混合物およびEP対照溶液に添加し(例えば3mLの試験溶液内に、30μLの懸濁物)、そしてボルテックスによって完全に混合した。10分後、各試験試料のアリコットを、中和Letheenブロス中で、1:10の比で希釈した(例えば0.4mLを3.6mL内に)。この方法は、cfu/mLで4対数単位の減少の理論的な定量化および5対数単位の減少の検出を提供した。PKCA−EPおよびEP対照溶液を、適用可能であるように、適切な寒天上に50μLの各試験試料とともにスパイラルプレーティングして、計数可能な希釈を得た。さらに、試験試料の中和試験管および寒天プレートを各々、適切な大気および温度中で一晩インキュベーションした。細菌計数を決定した後、細菌をEPに曝露した試験試料試験管をさらに24時間インキュベーションした。これらの試験管中で細菌懸濁物が観察されなかった場合、完全汚染除去が起きたことを示す。プレート計数結果を以下の表に例示する。
【0107】
【表4】
【0108】
[0108]上記の表中のデータが示すようにPKCA溶液中の2%の濃度のピルビン酸エチルは、PKCA化合物の殺生物有効性を阻害しなかった。驚くべき、そして予期されぬ結果は、ピルビン酸エチルがまた、それ自身、4.9対数単位のMRSAも殺すことであった。
【0109】
[0109]バークホルデリア・シュードマレイ(B.シュードマレイ)およびバークホルデリア・マレイ(B.マレイ)は、それぞれ、類鼻疽および鼻疽の原因病原体である。これらはグラム陰性病原体であり、そしてMRSA(グラム陽性細菌)とは異なり、世界の多くの部分で固有である。いかなる理論によって束縛されることもなく、これらの細菌は、大部分ではないとしても多くの抗生物質に耐性であると考えられ、これはこれらが、能動輸送系を用いてその細胞から抗生物質を汲み出す(すなわち除去する)ことが可能であるためである。これらの病原体の天然獲得は、大多数の国では稀であるが、これらの細菌は、バイオテロリズム病原体として潜在能力を有するため、近年、多くの関心を集めている。
【0110】
[0110]別の研究において、ピルビン酸エチルを試験して、B.シュードマレイに対する2%ピルビン酸エチルの影響を決定した。この研究のため、B.シュードマレイ1026bを3mLのLetheenブロス内に接種し、そして37℃で一晩インキュベーションした。翌日、一晩培養物の20μLを、0.1%チオ硫酸ナトリウムを含む2mLのLetheenブロスに添加して〜10
7cfu/mLを達成した。その後、この溶液を〜10
4cfu/mLの実験溶液に希釈した。5mLの2%ピルビン酸エチルを含む2つの試験管を用意し、そして5mLの滅菌水を含む2つの試験管を対照として用意した。100μLのB.シュードマレイ1026bの〜10
4cfu/mLストック溶液を、5mLの滅菌水を含有する1つの陽性対照試験管に直接添加し、そして100μLのB.シュードマレイ1026bの〜10
4cfu/mLストック溶液を、5mLの2%ピルビン酸エチルを含有する1つの試験管に直接添加した。これらの試験管を37℃で20〜24時間インキュベーションし、そして次いで、増殖(+)または増殖なし(−)に関して観察した。24時間インキュベーションした後、B.シュードマレイ1026bを接種したピルビン酸エチル試験管では注目されうる増殖はなく、そして陰性対照では、有意な増殖があった。これは、ピルビン酸エチルが、広域抗生物質に対して非常に耐性である細菌に対してさえ、抗細菌活性を有することを示す。
【0111】
[0111]可能性は低いが、潜在的な加水分解産物であるエタノールが、ピルビン酸エチルの抗菌活性のありうる供給源と見なされた。エタノールが抗菌活性の供給源であるかどうかを決定するため、分析実験を行って、加水分解が長期にわたって起こり、エタノールを産生するかどうかを決定した。
【0112】
[0112]室温で1時間、16時間および60日間インキュベーションした、50%過酸化水素溶液中の30%ピルビン酸エチルのフーリエ変換赤外(すなわちFTIR)スキャンを得た。これらのFTIRスキャンの研究は、60日後であっても、過酸化水素溶液中のインキュベーション中に、エタノールはまったく産生されないことを示した。この結果によって、ピルビン酸エチルはPKCA溶液中で安定であることが示され、これはこれらの溶液中の過酸化水素の濃度が、50%過酸化水素溶液のもののほぼ半分しかなかったためである。
【0113】
[0113]7日間室温でインキュベーションしたピルビン酸エチルおよび過酸化水素の等量の混合物を、FTIRによって、そしてガスクロマトグラフィによって、分析した。混合物中にエタノールは見いだされなかった。この結果によって、過酸化水素の存在下での、ピルビン酸エチルの安定性が示された。
【0114】
[0114]典型的には、70%エタノール溶液を殺菌剤として用いる。したがって、2%エタノールの濃度(すべてのピルビン酸エチルが加水分解された場合)は、10分間の期間中、細菌を殺す可能性は非常に低い。いかなる理論によっても束縛されることなく、細菌中のエステラーゼ酵素が、ピルビン酸エチルを加水分解して、in situでエタノールを産生し、観察される抗細菌活性を生じる可能性もある。別の可能性は、抗菌効果が、ピルビン酸の放出によるpHの減少のためであるというものである。
【0115】
実施例13
[0115]本実施例において、湿気が存在する場合、活性組成物が放出されるように、本発明の組成物を、包帯材料中に、または溶解可能フィルムとして(
図9)、配合した。包帯およびフィルムを持続放出のために配合し、それによって、本発明の組成物を長期にわたって創傷に提供した。異なる包帯材料を用いてもよく、例えばこれらは、空気通過性または実質的に非空気浸透性であっても、また密封されていてもよい。さらに、本発明の組成物を含む包帯およびフィルムを他の慣用的な包帯材料とともに製造し、そして次いで、使用のため、例えば戦場用に、避難およびレベル2〜4輸送中、乾燥型で保存することも可能である。本発明の組成物のための他のありうる配合物には、限定されるわけではないが、ジェル、ローション、クリーム、または創傷に直接適用可能な他の適切な配合物が含まれる。いくつかの態様において、本発明の組成物の配合物は、有効な時間放出を可能にする。典型的には、こうした配合物は軽量であり、そして創傷に直接適用可能な創傷ドレッシング材料の安定な形である。いくつかの態様において、本発明の組成物を、創傷に曝露された際に放出されるように配合する。しばしば、こうした配合物は、長期にわたって溶解し、本発明の組成物を放出する。こうした配合物は、軍人および民間人の両方に広い適用を有する。例えば、軍事使用のためのこうした配合物には、限定されるわけではないが、創傷治癒プロセスの全経過を通じた、最初のトリアージの際の即時フィールド適用が含まれる。
【0116】
[0116]
図10は溶解可能フィルム中に取り込まれたPPAを含む本発明の組成物(
図9を参照されたい)とともに、血液寒天プレート上でMRSAを処理した結果を示す。結果が示すように、本発明の組成物を含む溶解可能フィルムが、PPA濃度に対して相対的に、MRSAを殺す一方、対照フィルムディスクでは完全に増殖した。
【0117】
[0117]本発明の前述の考察は、例示および説明の目的のために提示されてきている。前述の記述は、本発明を、本明細書開示の単数または複数の型に限定することを意図しない。本発明の説明は、1またはそれより多い態様ならびに特定の変形および修飾の説明を含むが、例えば、本開示を理解した後に、当業者の技術および知識の範囲内にありうるような、他の変形および修飾が本発明の範囲内にある。許容される度合いまで、請求されるものに対する代替、交換可能および/または同等の構造、機能、範囲または工程を含む代替態様を含む権利を得ることを意図し、これは、こうした代替、交換可能および/または同等の構造、機能、範囲または工程が本明細書に開示されるかどうかにかかわらず、そしていかなる特許可能主題を公的に捧げることを意図することもない。