特許第6291259号(P6291259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6291259-地盤改良工 図000002
  • 特許6291259-地盤改良工 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291259
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】地盤改良工
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   E02D3/12 102
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-3169(P2014-3169)
(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公開番号】特開2015-132071(P2015-132071A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年11月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/20131108_01.html(平成25年11月8日)、http://irid.or.jp/cw/?lang=ja(平成25年11月15日)に発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】山内 崇寛
(72)【発明者】
【氏名】川西 敦士
(72)【発明者】
【氏名】坂藤 勇太
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−218759(JP,A)
【文献】 特開2013−167116(JP,A)
【文献】 特開2008−063787(JP,A)
【文献】 特開2003−096762(JP,A)
【文献】 米国特許第05890446(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線発信手段からの信号を無線受信手段で受信し、その受信信号に基づいて駆動・作動制御手段を駆動・作動させ、走行、姿勢制御及び掘削などを行うよう構成された無人遠隔制御式のボーリングマシンを用い、
前記ボーリングマシンの削孔ロッドにより対象地盤に削孔を行った後、
前記削孔ロッドに硬化材液が高圧で供給されるホースを接続し、
前記ホースを介し前記削孔ロッドから前記削孔部に前記硬化材液を高圧噴射して、前記削孔ロッドの回転速度、前記硬化材液の噴射量・噴射圧力、及び施工深度を遠隔監視しながら略円柱状の地盤改良杭を造成する地盤改良工であって、
前記略円柱状の地盤改良杭を連続させて、止水壁を構築することを特徴とする地盤改良工。
【請求項2】
無線発信手段からの信号を無線受信手段で受信し、その受信信号に基づいて駆動・作動制御手段を駆動・作動させ、走行、姿勢制御及び掘削などを行うよう構成された無人遠隔制御式のボーリングマシンを用い、
前記ボーリングマシンの削孔ロッドにより対象地盤に削孔を行った後、
前記削孔ロッドに薬液が供給されるホースを接続し、
前記ホースを介し前記削孔ロッドから前記薬液を前記削孔部に注入して、前記削孔ロッドの回転速度、前記薬液の注入量・注入圧力、及び施工深度を遠隔監視しながら略球状の地盤改良塊を造成する地盤改良工であって、
前記略球状の地盤改良塊を連続させて、止水壁を構築することを特徴とする地盤改良工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所に好適な地盤改良工に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高線量条件により施工時間の制約を受ける箇所での止水改良等の地盤改良工では、施工の無人化や省力化による作業員の安全確保が求められる。
なお、特許文献1において、クローラ等の自走体、あるいはスキッドベース等に搭載された無人遠隔制御式のボーリングマシンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−93489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように高線量条件により施工時間の制約を受ける箇所であって、工事対象箇所が建物周辺などの狭隘条件である場合、特許文献1のような無人遠隔制御式による地盤改良工が求められる。
【0005】
本発明の課題は、特に高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所等において、無人化・省力化による安全な地盤改良工を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
無線発信手段からの信号を無線受信手段で受信し、その受信信号に基づいて駆動・作動制御手段を駆動・作動させ、走行、姿勢制御及び掘削などを行うよう構成された無人遠隔制御式のボーリングマシンを用い、
前記ボーリングマシンの削孔ロッドにより対象地盤に削孔を行った後、
前記削孔ロッドに硬化材液が高圧で供給されるホースを接続し、
前記ホースを介し前記削孔ロッドから前記削孔部に前記硬化材液を高圧噴射して、前記削孔ロッドの回転速度、前記硬化材液の噴射量・噴射圧力、及び施工深度を遠隔監視しながら略円柱状の地盤改良杭を造成する地盤改良工であって、
前記略円柱状の地盤改良杭を連続させて、止水壁を構築することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
無線発信手段からの信号を無線受信手段で受信し、その受信信号に基づいて駆動・作動制御手段を駆動・作動させ、走行、姿勢制御及び掘削などを行うよう構成された無人遠隔制御式のボーリングマシンを用い、
前記ボーリングマシンの削孔ロッドにより対象地盤に削孔を行った後、
前記削孔ロッドに薬液が供給されるホースを接続し、
前記ホースを介し前記削孔ロッドから前記薬液を前記削孔部に注入して、前記削孔ロッドの回転速度、前記薬液の注入量・注入圧力、及び施工深度を遠隔監視しながら略球状の地盤改良塊を造成する地盤改良工であって、
前記略球状の地盤改良塊を連続させて、止水壁を構築することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無人化・省力化による安全な地盤改良工を提供することができるため、高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用した地盤改良工の一実施形態の構成を示すもので、高圧噴射工法を示した概略正面図である。
図2】第2実施形態の薬液注入工法を示した概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明を適用した地盤改良工の一実施形態の構成として高圧噴射工法を示すもので、図示のように、ボーリングマシン1は、クローラ式走行装置2を備える機体3の上にドリルヘッド4、図示しない各種アクチュエータ、大型バッテリー及び無線送受信機を搭載し、ドリルヘッド4には単管または複管による削孔ロッド5が昇降可能・回転可能に備えられている。
【0012】
この無人遠隔制御式のボーリングマシン1は、無線発信手段からの信号を無線受信手段で受信し、その受信信号に基づいて駆動・作動制御手段を駆動・作動させ、クローラ式走行装置2による走行、機体3の姿勢制御及びドリルヘッド4による掘削などを行うよう構成されている。
【0013】
以上の無人遠隔制御式のボーリングマシン1は、以下a〜dの特長を具備する。
a.バッテリー駆動により連続運転稼働が可能。
b.ロッドチェンジャー機能による削孔ロッドの自動接続・切り離しで削孔の無人施工が可能。
c.CCDカメラ、制御装置、無線LANにより遠隔操作で制御できる。
d.小型のマシンサイズで狭隘地での施工が可能。
【0014】
以上の特長a〜dを具備する無人遠隔制御式のボーリングマシン1を用いて、図1に示すように、高圧噴射工法による次の地盤改良工を行う。
【0015】
1.高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所の対象地盤において、無人遠隔制御式のボーリングマシン1のドリルヘッド4を駆動して削孔ロッド5の回転・下降により無水削孔を行う。
【0016】
2.図示しない硬化材液供給源から硬化材液が高圧で供給されるホースHを作業員が削孔ロッド5の頭部に接続する。
【0017】
3.硬化材液供給源からホースHを介し、図1に示すように、削孔ロッド5内を通しその下端部より無水削孔部に硬化材液を高圧噴射して、削孔土砂を硬化材液とともに攪拌することで、略円柱状の地盤改良杭11を造成する。
このとき、削孔ロッド5の回転速度、硬化材液の噴射量・噴射圧力、及び施工深度を遠隔監視しながら略円柱状の地盤改良杭11を造成する。
【0018】
ここで、地盤改良杭11は、例えば、改良径:1.0〜2.0m(円柱状)、強度:q
u=500〜4500kN/m である。
【0019】
4.以上の略円柱状の地盤改良杭11を横方向に連続させて、所望の止水壁を構築する。
【0020】
以上、実施形態の高圧噴射工法による地盤改良工によれば、無人遠隔制御式のボーリングマシン1を用いて、略円柱状の地盤改良杭11を造成し、その略円柱状の地盤改良杭11を連続させて、止水壁を構築できるため、特に高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所に好適である。
【0021】
(実施形態2)
図2は第2実施形態の薬液注入工法を示すもので、図示のように、前述した実施形態1と同様、無人遠隔制御式のボーリングマシン1を用いて、薬液注入工法による次の地盤改良工を行う。
【0022】
1.高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所の対象地盤において、無人遠隔制御式のボーリングマシン1のドリルヘッド4を駆動して削孔ロッド5の回転・下降により無水削孔を行う。
【0023】
2.図示しない薬液供給源から薬液が供給されるホースHを作業員が削孔ロッド5の頭部に接続する。
【0024】
3.薬液供給源からホースHを介し、図2に示すように、削孔ロッド5の下端部より無水削孔部に薬液を注入して、略球状の地盤改良塊12を造成する。
このとき、削孔ロッド5の回転速度、薬液の注入量・注入圧力、及び施工深度を遠隔監視しながら略球状の地盤改良塊12を造成する。
【0025】
ここで、地盤改良塊12は、例えば、改良径:1.0〜3.0m(球状)、強度:qu=50〜200kN/m である。
【0026】
4.以上の略球状の地盤改良塊12を上下方向及び横方向に連続させて、所望の止水壁を構築する。
【0027】
以上、実施形態の薬液注入工法による地盤改良工によれば、無人遠隔制御式のボーリングマシン1を用いて、略球状の地盤改良塊12を造成し、その略球状の地盤改良塊12を連続させて、止水壁を構築できるため、特に高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所に好適である。
【0028】
(変形例)
以上の実施形態においては、高線量区域などの施工時間の制約を受ける狭隘箇所における地盤改良工としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、対象地盤は制約を受けない箇所であってもよい。
また、実施形態では、無水削孔としたが、注水削孔であってもよい。
さらに、ボーリングマシンの構成や改良径等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 無人遠隔制御式のボーリングマシン
2 クローラ式走行装置
3 機体
4 ドリルヘッド
5 削孔ロッド
11 略円柱状の地盤改良杭
12 略球状の地盤改良塊
H ホース
図1
図2