(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受光部は、前記受光領域のうち遠距離に存在する前記物体の検出用として、前記大きさの異なる複数の単位受光領域のうち小さい単位受光領域で前記受光領域を水平方向に分割して前記反射光を受信した信号を出力し、前記受光領域のうち近距離に存在する前記物体の検出用として、前記大きさの異なる複数の単位受光領域のうち大きい単位受光領域で前記受光領域を水平方向に分割して前記反射光を受信した信号を出力する
請求項3記載の物体検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、前方領域の分解能を上げることで前方領域の検出感度を高くしているが、照射光は均一であるため、前方領域に照射される照射光の光量が足りず、物体を感度良く検出できない場合がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、照射光の総光量を増加させることなく、物体を感度良く検出することができる物体検出装置及び距離測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の物体検出装置は、照射光を出射する光源と、前記光源から出射された照射光を、物体の存在領域から遠ざかるに従って徐々に光量が低下するような照射光分布に従って変換し、変換した照射光を前記物体に照射する波面変換器と、前記照射光が照射された物体からの反射光を受光する受光領域を、大きさの異なる複数の単位受光領域で前記照射光分布に応じて分割して前記反射光を受光する受光部と、前記受光部からの出力信号に基づいて前記物体を検出する検出部と、を備え
、前記受光領域が、前記大きさの異なる複数の単位受光領域で二次元状に分割され、前記受光領域のうち、遠距離の前記物体が存在する上側領域に含まれる前記単位受光領域が、前記受光領域のうち、近距離の前記物体が存在する下側領域に含まれる前記単位受光領域よりも小さい。
【0008】
なお、請求項2に記載したように、前記受光部は、受光面積が異なる複数の受光素子を備え、前記受光面積が異なる複数の受光素子が、前記大きさの異なる複数の単位受光領域の各々に対応付けられた構成としてもよい。
【0009】
また、請求項3に記載したように、前記受光部は、受光面積が同一の複数の受光素子を備え、異なる数の前記受光素子が、前記大きさの異なる複数の単位受光領域の各々に対応付けられた構成としてもよい。
【0012】
また、請求項
4に記載したように、前記受光部は、前記受光領域のうち遠距離に存在する前記物体の検出用として、前記大きさの異なる複数の単位受光領域のうち小さい単位受光領域で前記受光領域を水平方向に分割して前記反射光を受信した信号を出力し、前記受光領域のうち近距離に存在する前記物体の検出用として、前記大きさの異なる複数の単位受光領域のうち大きい単位受光領域で前記受光領域を水平方向に分割して前記反射光を受信した信号を出力するようにしてもよい。
【0013】
また、請求項
5に記載したように、前記照射光分布が、予め定めた指数関数で表される勾配に従って前記照射光の光量が低下する分布である構成としてもよい。
【0014】
請求項
6記載の距離測定装置は、請求項1〜
5の何れか1項に記載の物体検出装置と、前記物体検出装置の光照射部から照射光が照射されてから、前記照射光が照射された物体からの反射光が前記受光部で検出されるまでの時間に基づいて、前記物体までの距離を算出する距離算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照射光の総光量を増加させることなく、物体を感度良く検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、第1実施形態に係る距離測定装置10について説明する。
図1は、本実施形態に係る距離測定装置10の構成図である。
図1に示すように、距離測定装置10は、物体検出装置12及び制御部14を備えている。
【0019】
距離測定装置10は、物体Fを検出し、検出した物体Fまでの距離を測定する。なお、本実施形態では、距離測定装置10は、一例として車両のルームミラー付近に搭載され、前方に存在する物体Fは、一例として距離測定装置10が搭載された車両の前方を走行する前方車両である場合について説明する。
【0020】
物体検出装置12は、光照射部16及び受光部18を備えている。光照射部16は、制御部14からの指示により、予め定めた領域に照射光L1を出射する。受光部18は、物体Fから反射された反射光L2を受光する。
【0021】
図2は、物体検出装置12の構成図である。
図2に示すように、光照射部16は、レーザ光源20及び波面変換器22を備えている。
【0022】
レーザ光源20は、例えば半導体レーザ等を含んで構成され、制御部14からの指示によりレーザ光を物体Fへの照射光として出射する。
【0023】
波面変換器22は、レーザ光源20から出射された照射光を予め定めた照射光分布に従って変換し、変換した照射光を照射光L1として物体Fに照射する。波面変換器22は、例えばマイクロレンズアレイ又は回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)等を用いることができる。なお、照射光分布については後述する。
【0024】
また、
図2に示すように、受光部18は、レンズ24及び受光素子アレイ26を備えている。
【0025】
レンズ24は、照射光L1に対する物体Fからの反射光L2を、受光素子アレイ26上に結像させる。
【0026】
制御部14は、CPU、ROM、RAM、入出力部(I/O)を備えたコンピュータとして構成されている。制御部14は、光照射部16及び受光部18を制御して、照射光L1を予め定めた領域に向けて照射させると共に反射光L2を受光させ、照射光L1を受光してから反射光L2を受光部18が受光するまでの遅延時間に基づいて、物体Fまでの距離を算出する。
【0027】
次に、受光素子アレイ26の構成について説明する。受光素子アレイ26全体の受光領域のうち、前方車両が存在する存在領域の位置及びサイズは、距離測定装置10の設置場所の高さ及び距離測定装置10から前方車両までの距離によって異なる。
【0028】
図3には、距離測定装置10が、車両のルームミラー付近の高さH1に設置された場合における前方車両の存在領域A1〜A3を示した。
【0029】
図3に示すように、自車両が走行する車線30の車線幅Wは、自車両から遠ざかるに従って狭くなる。これに応じて、受光素子アレイ26の受光領域に対する前方車両の存在領域のサイズは、自車両から遠ざかるに従ってA1〜A3の順に小さくなると共に、存在領域の位置は、自車両から遠ざかるに従ってA1〜A3の順に上方に移動する。
【0030】
前方車両を検出する場合、例えば
図4に示すように前方車両32の後部に設けられたリフレクタ34からの反射光は、前方車両32の他の部分からの反射光に比べて非常に強く、容易にS/N比の高い信号を得ることができる。
【0031】
しかしながら、リフレクタ34は、通常は車両全体には設けられておらず、面積が小さい。このため、前方車両32が近距離に存在する場合にリフレクタ34からの反射光を確実に捉えるためには、非常に広い画角が必要となる。
【0032】
ここで、受光視野の立体角をAとした場合、検出対象の物体の立体角が受光視野の立体角Aよりも大きい場合のS/N比は次式で表される。
【0034】
上記(1)式より、検出対象の物体が大きい場合は、受光視野の立体角Aが大きいほどS/N比が大きい信号が得られる。
【0035】
一方、検出対象の物体の立体角が受光視野の立体角Aよりも小さい場合のS/N比は次式で表される。
【0037】
上記(2)式より、検出対象の物体が小さい場合は、受光視野の立体角Aが小さいほどS/N比が大きい信号が得られる。
【0038】
最もS/N比が高い信号が得られるのは、受光視野と物体の存在領域が一致する場合である。また、物体の存在領域に対して受光視野が大きくなるほど余分なノイズ成分が多くなるため、S/N比が高い信号が得られず、逆に物体の存在領域に対して受光視野が小さいと物体の一部から反射した光しか受光できない。
【0039】
従って、
図4に示すように、例えば面積が異なる受光領域B1〜B3のうち、リフレクタ34からの反射光について最も高いS/N比の信号が得られるのは、最も面積が小さい受光領域B1であり、車両のボディに対して最も高いS/N比の信号が得られるのは、最も面積が大きい受光領域B3となる。
【0040】
そこで、本実施形態では、受光素子アレイ26を、
図5に示すように、受光面積の異なる複数の受光素子26A、26Bを備えた構成とし、受光領域を二次元状に分割している。具体的には、比較的遠距離に存在する前方車両、例えば
図3において境界線Kより上側に存在する前方車両に対してはリフレクタ34からの反射光を用いて前方車両を検出するため、受光素子アレイ26全体の受光領域のうち上側領域については、比較的面積が小さい複数の受光素子26Aを水平方向に並べて配置する。
【0041】
一方、比較的近距離に存在する前方車両、例えば
図3において境界線Kより下側に存在する前方車両に対してはボディからの反射光を用いて前方車両を検出するため、受光素子アレイ26全体の受光領域のうち下側領域については、比較的面積が大きい複数の受光素子26Bを水平方向に並べて配置する。
【0042】
このように、受光素子アレイ26全体の受光領域のうち上側領域については、比較的面積が小さい受光素子26Aの受光領域を単位受光領域として分割し、下側領域については、比較的面積が大きい受光素子26Bの受光領域を単位受光領域として分割する。これにより、受光領域の上側領域は比較的細かく分割され、下側領域は粗く分割される。
【0043】
これにより、遠距離に存在する前方車両及び近距離に存在する前方車両の何れからの反射光に対してもS/N比の高い信号を得ることできるため、感度良く前方車両を検出することができる。
【0044】
次に、波面変換器22の照射光分布について説明する。
【0045】
前述したように、受光素子アレイ26の受光領域に対する前方車両の存在領域のサイズは自車両から遠ざかるに従って小さくなり、前方車両の存在領域の位置は、自車両から遠ざかるに従って上方に移動するため、受光領域の上側領域については、中央部分に集中して光を照射し、両サイドの部分に照射する光の光量は少なくて良い。
【0046】
そこで、本実施形態では、照射光L1の照射光分布(光量分布)が
図6に示すような照射光分布となるような波面変換器22を用いる。また、
図7には、
図6の照射光分布を矢印X方向から見た照射光分布を示した。
【0047】
図6、7に示すように、波面変換器22による照射光L1の照射光分布のうち、受光素子アレイ26の受光領域の上側領域に対応する上側領域C1については、中央部分C1Aの光量が最も高く、そこから放射状に外側に向かうに従って徐々に光量が低下するような分布となっている。また、受光素子アレイ26の受光領域の下側領域に対応する下側領域C2については、
図6において上側部分C2Aの光量が最も高く、そこから下側に向かうに従って徐々に光量が低下する分布となっており、左右方向については均一な光量となっている。
【0048】
また、
図6、7に示す照射光分布は、予め定めた指数関数で表される勾配に従って光量が低下する分布となっている。
【0049】
このように、レーザ光源20から出射されたレーザ光を波面変換器22で不均一な照射光分布の照射光L1に変換して照射することにより、均一な照射光を照射する場合と比較して、総光量を減らすことができる。例えば
図6、7に示す照射光分布の場合、照射光が均一の場合と比較して総光量を1/5以下に抑えることができる。
【0050】
制御部14は、受光素子アレイ26を構成する受光素子26A、26Bからの出力信号に基づいて前方車両の有無を検出し、前方車両が検出された場合には、照射光L1を受光してから反射光L2を受光素子アレイ26が受光するまでの遅延時間に基づいて、前方車両までの距離を算出する。
【0051】
なお、
図5に示すように、受光素子アレイ26を面積の異なる複数の受光素子26A、26Bで構成するのではなく、例えば
図8に示すように、比較的面積が小さい同一サイズの複数の受光素子26Cを上下2段に備えた構成としてもよい。この場合は、例えば上側領域の受光素子26Cを2個で1組として信号を合算し、下側領域の受光素子26Cを10個で1組として信号を合算して信号処理することにより、
図5と同様の構成とすることができる。なお、この場合は、上側領域については2個の受光素子26Cの受光領域を合わせた領域が単位受光領域であり、下側領域については10個の受光素子26Cを合わせた領域が単位受光領域である。
【0052】
受光素子アレイ26を面積の異なる複数の受光素子26A、26Bで構成した場合、
図5に示すように下側領域の右側の2つの受光素子26Bに跨って物体Fが存在した場合、物体Fからの反射光が2つの受光素子26Bに2分割して受光されてしまうため、1個の受光素子当たりの光量が小さくなってしまう。
【0053】
これに対し、
図8の構成では、例えば下側領域の左端から右端にかけて1素子分ずらしながら、受光素子26Cを10個で1組として信号を合算していくことにより、物体の左右方向の位置に関係なく、S/N比の高い信号を得ることができる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
第2実施形態では、距離測定装置10を比較的低い位置、例えば車両のフロントグリル付近に設置する場合における受光素子アレイ26の構成について説明する。
【0057】
図9に示すように、距離測定装置10を車両のフロントグリル付近の高さH2に設置された場合、比較的遠距離に存在する前方車両の存在領域A2、A3と比較的近距離に存在する前方車両の存在領域A1とが、受光素子アレイ26の受光領域内において重なるため、受光領域を鉛直方向で単純に分割することができない。
【0058】
そこで、本実施形態では、
図10に示すように、受光素子アレイ26を、受光面積が同一の受光素子26Cを水平方向に1段で並べて配置した構成とする。そして、受光部18は、例えば受光素子26Cを2個で1組として信号を合算した信号と、受光素子26Cを10個で1組として信号を合算した信号の2種類の信号を出力する。
【0059】
すなわち、受光部18は、受光素子アレイ26の受光領域を、2個の受光素子26Cの受光領域を合わせた領域を単位受光領域として分割した場合と、10個の受光素子26Bの受光領域を合わせた領域を単位受光領域として分割した場合と、のそれぞれについて信号を出力する。
【0060】
これにより、遠距離の前方車両及び近距離の前方車両の双方に対してS/N比の高い信号を得ることができる。
【0061】
また、波面変換器22については、照射光L1の照射光分布が、受光領域の中央部分、すなわち
図9における存在領域A3の光量が高く、当該中央部分から放射状に外側に向かうに従って徐々に光量が低下する分布となるような波面変換器を用いる。これにより、照射光L1を均一に照射する場合と比較して、総光量を減らすことができる。または、総光量を、照射光L1を均一に照射する場合の総光量と同一にした場合には、更に遠距離の前方車両を検出することが可能となる。すなわち、前方車両の最大検出距離を伸ばすことができる。
【0062】
なお、
図10の例では、受光素子26Cを水平方向に1段で並べて配置しているが、上下方向に2段で配置するようにしてもよい。すなわち二次元状に受光素子26Cを配置するようにしてもよい。このように受光素子26Cを二次元状に配置することにより、より様々な距離の前方車両に対してS/N比の高い信号を得ることができ、総光量をより効果的に減らすことができる。
【0063】
なお、上記各実施の形態で説明した物体検出装置及び距離測定装置の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。