(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された車両用ワイパ装置では、一対のピボット軸をそれぞれ回転自在に支持する一対のピボットホルダが中空フレームによって連結されており、中空フレームには、ワイパモータが固定されている。また、ワイパモータの駆動力がリンク機構を介して一対のピボット軸に伝達されるようになっている。これにより、ピボットホルダと、ワイパモータと、リンク機構と、が一体的に組み付けられて、車両用ワイパ装置が所謂モジュール式ワイパ装置として構成されている。
【0003】
より具体的に説明すると、中空フレームは中空のパイプ材によって構成されており、中空フレームの長手方向中間部を断面略U字形状(断面コ字形状)に潰し加工して、ワイパモータを固定する固定部が形成されている。また、中空フレームの長手方向両端部が連結固定部とされており、この連結固定部にピボットホルダの連結部がカシメ加工によって固定されている。さらに、ワイパモータを車体内部下方に配置する場合には、中空フレームの固定部の長手方向両側部分にはそれぞれ複数の曲げ部が形成されている。
【0004】
また、近年車両のデザインが多様化しており、それに伴って車両用ワイパ装置による払拭パターンも様々となる。そのような払拭パターンを得るための車両用ワイパ装置の車両搭載性の観点から一対のピボット軸の軸間ピッチが短いものがあり、中空フレームのフレーム長さも短くなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記車両用ワイパ装置では、中空フレームに潰し加工や曲げ加工を施すための所定のフレーム長さを所定の長さが必要であり、例えば、ワイパモータの出力軸と一方のピボット軸との軸間距離が、車両への搭載条件等によって短くなる場合に対応することができないという問題があった。
【0007】
この問題を回避するため、上記特許文献2に記載された車両用ワイパ装置では、一方のピボットホルダとモータブラケットとを一体化した大型のピボットホルダを用いている。これにより、当該大型のピボットホルダと他方のピボットホルダとを中空フレームで連結し、ワイパモータの出力軸と一方のピボット軸との軸間距離を短くしている。しかしながら、この大型のピボットホルダは、車両用ワイパ装置における軽量化や小型化に対する妨げとなると共に、車両の搭載状態に応じた形状変更が必要となり、コストアップを招く要因となっていた。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、大型のピボットホルダを設けることなく、ピボット軸とワイパモータの出力軸との軸間距離を短くできる車両用ワイパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用ワイパ装置は、駆動力を出力する出力軸を有するワイパモータと、第1ワイパアームが固定される第1ピボット軸及び第2ワイパアームが固定される第2ピボット軸に前記出力軸から出力される駆動力を伝達するリンク機構と、長尺状の中空材で構成され、長手方向中間部に前記ワイパモータが固定される固定部が形成された中空フレームと、前記中空フレームの長手方向一方側の端部に固定され、前記第1ピボット軸を回転自在に支持する第1ピボットホルダと、前記中空フレームの長手方向他方側の端部に固定され、前記第2ピボット軸を回転自在に支持すると共に、当該端部から前記中空フレームの長手方向一方側へ延設された第2ピボットホルダと、を備えている。
【0010】
上記構成の車両用ワイパ装置によれば、第1ピボットホルダに第1ピボット軸が回転自在に支持されており、第1ピボット軸に第1ワイパアームが固定される。また、第2ピボットホルダに第2ピボット軸が回転自在に支持されており、第2ピボット軸に第2ワイパアームが固定される。そして、ワイパモータの出力軸から出力される駆動力がリンク機構を介して第1ピボット軸及び第2ピボット軸に伝達される。これにより、第1ピボット軸及び第2ピボット軸が自身の軸回りに回転して、第1ワイパアーム及び第2ワイパアームが回動される。
【0011】
また、車両用ワイパ装置は中空フレームを有しており、中空フレームは、長尺状の中空材で構成されている。そして、中空フレームの長手方向中間部に形成された固定部に、ワイパモータが固定されている。また、中空フレームの長手方向一方側の端部に第1ピボットホルダが固定されており、中空フレームの長手方向他方側の端部に第2ピボットホルダが固定されている。これにより、第1ピボットホルダと第2ピボットホルダとが中空フレームによって連結されている。
【0012】
ここで、第2ピボットホルダは、中空フレームの長手方向他方側の端部から中空フレームの長手方向一方側(すなわち、中空フレームの長手方向内側)へ延設されている。このため、第2ピボットホルダに支持された第2ピボット軸が、中空フレームの長手方向他方側の端部に対してワイパモータ側へ接近するため、第2ピボット軸と、ワイパモータの出力軸と、を中空フレームの長手方向において近接配置することができる。
【0013】
また、中空フレームの長手方向他方側の端部が、第2ピボット軸に対して中空フレームの長手方向他方側(すなわち、中空フレームの長手方向外側)に配置されるため、中空フレームにおいて固定部を形成するためのフレーム長さを確保することができる。以上により、従来技術のような大型のピボットホルダを設けることなく、ワイパモータの出力軸と第2ピボット軸との軸間距離を短くすることができる。
【0014】
また、本発明の車両用ワイパ装置は、上記構成に加えて、前記中空フレームの長手方向他方側の部分には、前記第2ワイパアーム側へ屈曲されたフレーム側屈曲部が形成され、前記第2ピボット軸が前記フレーム側屈曲部に対して前記中空フレームの長手方向一方側に配置されている。
【0015】
上記構成の車両用ワイパ装置によれば、中空フレームの長手方向他方側の部分にフレーム側屈曲部が形成されており、フレーム側屈曲部は第2ワイパアーム側へ屈曲されている。そして、フレーム側屈曲部に対して中空フレームの長手方向一方側に第2ピボット軸が配置されている。すなわち、第2ピボット軸に対して中空フレームの長手方向外側にフレーム側屈曲部が配置されている。このため、例えば車両用ワイパ装置のワイパモータを車体内部下方に配置するために中空フレームにフレーム側屈曲部を形成した場合でも、当該フレーム側屈曲部を形成するための中空フレームのフレーム長さを確保することができる。
【0016】
また、本発明の車両用ワイパ装置は、上記構成に加えて、前記第2ピボットホルダは、前記第2ピボット軸を回転自在に支持するスリーブと、前記スリーブから前記中空フレームの長手方向他方側へ延出され、前記中空フレームの長手方向他方側の端部に固定される連結部と、を含んで構成され、前記連結部には、前記中空フレーム側へ屈曲されたホルダ側屈曲部が形成されている。
【0017】
上記構成の車両用ワイパ装置によれば、第2ピボットホルダはスリーブを有しており、スリーブによって第2ピボット軸が回転自在に支持されている。さらに、第2ピボットホルダは連結部を有している。この連結部は、スリーブから中空フレームの長手方向他方側(すなわち、中空フレームの長手方向外側)へ延出されており、連結部には、中空フレーム側へ屈曲されたホルダ側屈曲部が形成されている。つまり、連結部が、スリーブから中空フレームの長手方向外側へ延出されて、ホルダ側屈曲部において中空フレームへ向けて屈曲されている。そして、連結部が、中空フレームの長手方向他方側の端部に固定されている。これにより、スリーブと中空フレームとの間に空隙が形成されるため、当該空隙を利用して、第2ピボット軸に駆動連結されるリンク機構の動作を妨げないように、当該空隙内にリンク機構を配置することができる。
【0018】
また、本発明の車両用ワイパ装置は、上記構成に加えて、前記連結部には、前記第2ピボットホルダを車体に固定するための固定脚部が設けられている。
【0019】
上記構成の車両用ワイパ装置によれば、スリーブから中空フレームの長手方向他方側(すなわち、中空フレームの長手方向外側)へ延出された連結部に、固定脚部が設けられているため、例えば固定脚部とリンク機構との干渉によってワイパモータの駆動を妨げてしまうことを防止できる。
【0020】
また、本発明の車両用ワイパ装置は、上記構成に加えて、前記固定脚部が、前記連結部から前記中空フレームの長手方向他方側へ延出されている。
【0021】
上記構成の車両用ワイパ装置によれば、固定脚部が連結部から中空フレームの長手方向他方側へ延出されているため、固定脚部とリンク機構との干渉によってワイパモータの駆動を妨げてしまうことを一層防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、本発明の実施の形態に係る車両用ワイパ装置10の全体構成が正面図にて示されており、
図2には、車両用ワイパ装置10の主要部が斜視図にて示されている。これらの図に示されるように、車両用ワイパ装置10は、中空フレーム12と、第1ピボットホルダ20と、第2ピボットホルダ40と、ワイパモータ60(
図1参照)と、リンク機構70(
図1参照)と、を含んで構成されている。以下、上記各構成部品について説明する。
【0024】
中空フレーム12は、長尺状を成す中空のパイプ材により製作されて、車両用ワイパ装置10の骨格を成している。この中空フレーム12は、車両用ワイパ装置10を搭載する車両のウィンドシールドガラス(図示省略)の下端部に対して車両下側の車体内部に配置されると共に、車両の車幅方向を長手方向(
図1及び
図2の矢印A方向及び矢印B方向)として配置されている。また、中空フレーム12の長手方向両側の部分には、一対のフレーム側屈曲部14A,14Bが形成されており、フレーム側屈曲部14A,14Bは中空フレーム12の長手方向に対して略直交する方向(詳しくは車体外側(車両上方側)であり、
図1及び
図2の矢印C方向)へ屈曲されている。これにより、中空フレーム12が、正面視で略U字形状に形成されて、中空フレーム12の長手方向中間部が、車両のフード(図示省略)等から車体内側下方へ離間するようになっている。そして、中空フレーム12の長手方向両端部が、後述する第1ピボットホルダ20及び第2ピボットホルダ40をそれぞれ固定するためのホルダ固定部16A,16Bとされている。
【0025】
中空フレーム12の長手方向中間部には、後述するワイパモータ60を固定するための「固定部」としてのモータ固定部18が形成されており、モータ固定部18は、中空フレーム12の長手方向から見て非中空の断面略U字形状に形成されている。なお、モータ固定部18は、中空フレーム12の長手方向中間部を潰し加工することで形成されている。そして、モータ固定部18の底壁18Aには、一対の締結孔18B(
図2参照)が貫通形成されている。
【0026】
第1ピボットホルダ20は、中空フレーム12の長手方向一方側(
図1及び
図2の矢印A方向側)のホルダ固定部16Aに設けられている。第1ピボットホルダ20は、アルミニウム合金によるダイカスト成形等で製作されている。また、第1ピボットホルダ20は、後述する第1ピボット軸30を回転自在に支持する円筒状のスリーブ22を有している。このスリーブ22は、中空フレーム12のホルダ固定部16Aに対して中空フレーム12の長手方向一方側で且つ車体外側(
図1及び
図2の矢印C方向側)に配置されており、スリーブ22の軸線がホルダ固定部16Aの軸線と略平行となるように設定されている。
【0027】
また、スリーブ22の外周部には、連結部24が一体に設けられている。この連結部24は、中実に形成されると共に、スリーブ22から中空フレーム12の長手方向他方側(
図1及び
図2の矢印B方向側)へ延出されている。また、連結部24の長手方向中間部には、車体内側下方(中空フレーム12側)へ屈曲されたホルダ側屈曲部24Aが形成されており、連結部24の先端部が、中空フレーム12のホルダ固定部16Aと同軸上に配置されている。そして、連結部24の先端部が、ホルダ固定部16A内に嵌入されて、カシメ加工によってホルダ固定部16Aに固定されている。
【0028】
さらに、スリーブ22の外周部には、固定脚部26が一体に設けられている。この固定脚部26は、略矩形板状に形成されて、スリーブ22の軸方向を板厚方向として配置されると共に、スリーブ22の外周部からスリーブ22の径方向外側へ延出されている。詳しくは、正面視で固定脚部26の先端部がスリーブ22に対して中空フレーム12の長手方向一方側へ配置されるように、固定脚部26がスリーブ22から延出されている。また、固定脚部26の先端部には、スリーブ22の軸方向から見て略C字形状の取付部26Aが形成されており、この取付部26A内には、略円筒形状のゴムグロメット(図示省略)が取付けられている。そして、ゴムグロメット内に取付ボルト(図示省略)が挿入されて、該取付ボルトによって第1ピボットホルダ20(車両用ワイパ装置10)が車体に固定されるようになっている。
【0029】
また、
図1に示されるように、スリーブ22内には、略円柱状を成す第1ピボット軸30が同軸上に挿入されており、第1ピボット軸30がスリーブ22に回転自在に支持されている。この第1ピボット軸30の先端部(車体外側の端部)には、第1ワイパアーム32が固定されており、第1ワイパアーム32には、図示しないワイパブレードが連結されている。一方、第1ピボット軸30の基端部には、第1ピボットレバー34が固定されており、第1ピボットレバー34は第1ピボット軸30の基端部からスリーブ22の径方向外側へ延出されている。そして、第1ピボットレバー34が第1ピボット軸30の軸回りに回動することで、第1ピボット軸30と共に第1ワイパアーム32が第1ピボット軸30の軸回りに回動して、第1ワイパアーム32に連結されたワイパブレードがウィンドシールドガラスを払拭するようになっている。
【0030】
さらに、第1ピボットホルダ20のスリーブ22には、図示しない水受け用の受皿が取付けられている。この受皿は、樹脂製の別部品として構成され、スリーブ22の径方向外側に配置されており、スリーブ22に形成された係合部28(
図2参照)に係止されている。なお、当該受皿をスリーブ22に一体に形成するように構成してもよい。
【0031】
図1及び
図2に示されるように、第2ピボットホルダ40は、中空フレーム12の長手方向他方側(
図1及び
図2の矢印B方向側)のホルダ固定部16Bに設けられている。これにより、第1ピボットホルダ20と第2ピボットホルダ40とが中空フレーム12によって連結されている。第2ピボットホルダ40は、第1ピボットホルダ20と同様にアルミニウム合金によるダイカスト成形等で製作されると共に、第1ピボットホルダ20と略同様に構成されている。すなわち、第2ピボットホルダ40は円筒状のスリーブ42を有している。そして、スリーブ42の軸線が第1ピボットホルダ20のスリーブ22の軸線と略平行に設定されて、スリーブ42が、中空フレーム12のホルダ固定部16Bに対して中空フレーム12の長手方向一方側で且つ車体外側(車両上方側)に配置されている。すなわち、スリーブ42が、ホルダ固定部16Bに対して中空フレーム12の長手方向内側に配置されて、中空フレーム12の長手方向中間部とスリーブ42と間に空隙が形成されている。
【0032】
また、スリーブ42の外周部には、中実の連結部44が一体に設けられている。この連結部44は、スリーブ42から中空フレーム12の長手方向他方側へ延出されている。また、連結部44の長手方向中間部には、車体内側(中空フレーム12側)へ屈曲されたホルダ側屈曲部44Aが形成されており、連結部44の先端部が、中空フレーム12のホルダ固定部16Bと同軸上に配置されている。そして、連結部44の先端部が、ホルダ固定部16B内に嵌入されて、カシメ加工によってホルダ固定部16Bに固定されている。これにより、第2ピボットホルダ40が中空フレーム12に固定された状態では、第2ピボットホルダ40が、中空フレーム12のホルダ固定部16B(長手方向他方側の端部)から中空フレーム12の長手方向一方側へ延設されている。つまり、本発明における「中空フレームの長手方向他方側の端部から中空フレームの長手方向一方側へ延設された」とは、第2ピボットホルダ40が、中空フレーム12のホルダ固定部16Bから車体外側(中空フレーム12の長手方向に対して直交する方向側)へ延びた後に中空フレーム12の長手方向一方側へ延びる場合も含んでいる。
【0033】
さらに、第2ピボットホルダ40では、連結部44における先端側の外周部に固定脚部46が設けられており、固定脚部46は、連結部44の外周部から連結部44の径方向外側へ延出されている。具体的には、正面視で固定脚部46の先端部が連結部44に対して中空フレーム12の長手方向他方側に配置されるように、固定脚部46が連結部44から延出されている。また、固定脚部46の先端部には、固定脚部26と同様に、スリーブ42の軸方向から見て略C字形状の取付部46Aが形成されており、この取付部46A内には、略円筒形状のゴムグロメット(図示省略)が取付けられている。そして、当該ゴムグロメット内に取付ボルト(図示省略)が挿入されて、該取付ボルトによって第2ピボットホルダ40(車両用ワイパ装置10)が車体に固定されるようになっている。
【0034】
また、
図1に示されるように、スリーブ42内には、略円柱状を成す第2ピボット軸50が同軸上に挿入されており、第2ピボット軸50がスリーブ42に回転自在に支持されている。この第2ピボット軸50の先端部には、第2ワイパアーム52が固定されており、第2ワイパアーム52には、図示しないワイパブレードが連結されている。一方、第2ピボット軸50の基端部には、第2ピボットレバー54が固定されており、第2ピボットレバー54は第2ピボット軸50からスリーブ22の径方向外側へ延出されている。そして、第2ピボットレバー54が第2ピボット軸50の軸回りに回動することで、第2ピボット軸50と共に第2ワイパアーム52が第2ピボット軸50の軸回りに回動して、第2ワイパアーム52に連結されたワイパブレードがウィンドシールドガラスを払拭するようになっている。
【0035】
さらに、第2ピボットホルダ40のスリーブ42には、第1ピボットホルダ20と同様に、図示しない水受け用の受皿が取付けられている。この受皿は、樹脂製の別部品として構成され、スリーブ42の径方向外側に配置されており、スリーブ42に形成された係合部48(
図2参照)に係止されている。なお、スリーブ42に取付けられた受皿をスリーブ42に一体に形成するように構成してもよい。
【0036】
ワイパモータ60は、車両用ワイパ装置10の駆動源とされている。このワイパモータ60は、モータ本体62と、モータ本体62の回転を減速する減速機構(図示省略)を収容するハウジング64と、を有している。そして、中空フレーム12におけるモータ固定部18の開口側とは反対側にワイパモータ60が配置されており、モータ固定部18の締結孔18B内に挿入されたボルトBによってハウジング64がモータ固定部18に直接締結固定されている。これにより、ワイパモータ60が車両のフード等から車体内側下方へ離間して配置されるようになっている。
【0037】
また、ワイパモータ60は、モータ本体62の駆動力を出力するための円柱状の出力軸66を有している。この出力軸66は、第1ピボット軸30及び第2ピボット軸50と略平行に配置されており、出力軸66の先端部がハウジング64から車体外側へ突出されている。さらに、出力軸66の先端部には、クランクアーム68が固定されている。クランクアーム68は、車体外側へクランク状に形成されて、出力軸66から出力軸66の径方向外側へ延出されている。
【0038】
リンク機構70は、ワイパモータ60の駆動力を第1ピボット軸30及び第2ピボット軸50へ伝達するための機構とされている。このリンク機構70は第1リンクロッド72を有しており、第1リンクロッド72は、略長尺状のパイプ材によって製作されている。そして、第1リンクロッド72の長手方向一端部が、ボールジョイント80によってクランクアーム68の他端部に駆動連結されており、第1リンクロッド72の長手方向他端部がボールジョイント82によって第1ピボットレバー34の先端部に駆動連結されている。これにより、ワイパモータ60と第1ピボット軸30とが第1リンクロッド72によって連結されて、ワイパモータ60の駆動力が第1リンクロッド72によって第1ピボット軸30へ伝達されるようになっている。
【0039】
また、リンク機構70は第2リンクロッド74を有しており、第2リンクロッド74も第1リンクロッド72と同様に略長尺状のパイプ材によって製作されている。そして、第2リンクロッド74の長手方向一端部が、ボールジョイント84によって第2ピボットレバー54の先端部に駆動連結されており、第2リンクロッド74の長手方向他端部がボールジョイント86によって第1ピボットレバー34の先端部に駆動連結されている。これにより、第1ピボットレバー34と第2ピボットレバー54とが第2リンクロッド74によって連結されて、第1ピボットレバー34に伝達されたワイパモータ60の駆動力が第2リンクロッド74によって第2ピボット軸50へ伝達され連動するようになっている。
【0040】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0041】
上記のように構成された車両用ワイパ装置10では、ワイパモータ60が駆動すると、ワイパモータ60の駆動力が出力軸66から出力される。そして、出力軸66から出力されたワイパモータ60の駆動力が、クランクアーム68及び第1リンクロッド72を介して第1ピボットレバー34に伝達される。これにより、第1ピボットレバー34が第1ピボット軸30の軸回りに回動して、第1ピボット軸30に固定された第1ワイパアーム32が第1ピボット軸30の軸回りに回動する。これにより、第1ワイパアーム32に連結されたワイパブレードによってウィンドシールドガラスが払拭される。
【0042】
さらに、第1ピボットレバー34には、第2リンクロッド74を介して第2ピボットレバー54が連結されているため、第1ピボットレバー34に伝達されたワイパモータ60の駆動力が第2リンクロッド74によって第2ピボットレバー54に伝達される。これにより、第2ピボットレバー54が第2ピボット軸50の軸回りに回動して、第2ピボット軸50に固定された第2ワイパアーム52が第2ピボット軸50の軸回りに回動する。これにより、第2ワイパアーム52に連結されたワイパブレードによってウィンドシールドガラスが払拭される。
【0043】
ここで、中空フレーム12の長手方向他方側のホルダ固定部16Bに第2ピボットホルダ40が連結されており、第2ピボットホルダ40は、ホルダ固定部16Bから中空フレーム12の長手方向一方側へ延設されている。このため、第2ピボットホルダ40のスリーブ42に支持された第2ピボット軸50が、ホルダ固定部16Bに対して中空フレーム12の長手方向内側(すなわちワイパモータ60側)へ接近するため、第2ピボット軸50と、ワイパモータ60の出力軸66と、を中空フレーム12の長手方向において近接配置することができる。これにより、中空フレーム12の長手方向における第2ピボット軸50と出力軸66との軸間距離D(
図1参照)を短くすることができる。
【0044】
また、中空フレーム12の長手方向他方側の端部(すなわちホルダ固定部16B)が、第2ピボット軸50に対して中空フレーム12の長手方向他方側(すなわち、中空フレーム12の長手方向外側)に配置されるため、中空フレーム12においてモータ固定部18を形成するためのフレーム長さを確保することができる。したがって、潰し加工によってモータ固定部18を中空フレーム12に形成する場合でも、第2ピボット軸50をワイパモータ60側へ接近させることができる。以上により、本発明の車両用ワイパ装置10によれば、従来技術のような大型のピボットホルダを設けることなく、第2ピボット軸50と出力軸66との軸間距離を短くすることができる。
【0045】
さらに、中空フレーム12の長手方向両側の部分には、フレーム側屈曲部14A,14Bが形成されており、フレーム側屈曲部14A,14Bは車体外側(車両上方側)へ屈曲されている。そして、フレーム側屈曲部14Bに対して中空フレーム12の長手方向一方側に第2ピボット軸50が配置されている。換言すると、第2ピボット軸50に対して中空フレーム12の長手方向外側にフレーム側屈曲部14Bが配置されている。このため、車両用ワイパ装置10のワイパモータ60を車体内部下方に配置するために(詳しくは、ワイパモータ60を車両のフードから離間させるために)中空フレーム12にフレーム側屈曲部14Bを形成した場合でも、当該フレーム側屈曲部14Bを形成するための中空フレーム12の長さを確保することができる。
【0046】
また、第2ピボットホルダ40の連結部44は、スリーブ42から中空フレーム12の長手方向他方側(すなわち、中空フレーム12の長手方向外側)へ延出されており、連結部44には、中空フレーム12側へ屈曲されたホルダ側屈曲部44Aが形成されている。そして、連結部44の先端部が、中空フレーム12の長手方向他方側のホルダ固定部16Bに固定されている。このため、スリーブ42と中空フレーム12との間に空隙が形成される。これにより、当該空隙を利用して、第2ピボット軸50に駆動連結されるリンク機構70の動作を妨げないように、当該空隙内にリンク機構70を配置することができる。
【0047】
また、スリーブ42から中空フレーム12の長手方向他方側(すなわち、中空フレーム12の長手方向外側)に延出された連結部44に、固定脚部46が設けられている。このため、例えば固定脚部46とリンク機構70との干渉によってワイパモータ60の駆動を妨げてしまうことを防止できる。
【0048】
さらに、固定脚部46が、連結部44から中空フレーム12の長手方向他方側へ延出されている。このため、固定脚部46とリンク機構70との干渉によってワイパモータ60の駆動を妨げてしまうことを一層防止できる。
【0049】
なお、本実施の形態では、車両用ワイパ装置10が、第1ワイパアーム32及び第2ワイパアーム52を有しており、車両用ワイパ装置10が2本のワイパアームを含んで構成されている。これに代えて、車両用ワイパ装置10を3本以上のワイパアームを有するように構成してもよい。例えば、中空フレーム12を長手方向一方側へ延ばして、ホルダ固定部16Aとホルダ固定部16Bとの間に、第3のピボットホルダを固定するホルダ固定部を中空フレーム12に別途設けるように構成してもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、第2ピボットホルダ40の固定脚部46が連結部44に一体に設けられているが、固定脚部46をスリーブ42に一体に設けるように構成してもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、中空フレーム12の長手方向における第2ピボットホルダ40のスリーブ42の位置は、車両用ワイパ装置10が搭載される車両の搭載条件に応じて適宜設定することができる。すなわち、第2ピボットホルダ40のスリーブ42から延出される連結部44の延出長さを適宜変更して、中空フレーム12の長手方向におけるホルダ固定部16Bと第2ピボット軸50との距離を適宜設定してもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、モータ固定部18を潰し加工して取付座面を形成して、直接、ワイパモータ60を締結固定したが、モータ固定部18に鋼板等からなるブラケットを別途固定して、間接的にワイパモータ60を固定したものとしても良い。