(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定金型を保持する固定ダイプレート、移動金型を保持する移動ダイプレート、及び、前記移動ダイプレートを型開閉方向に移動させるダイプレート駆動装置を有した型開閉装置と、
スプレイヘッドに少なくとも離型剤及びエアのいずれか一方を供給する供給装置、及び、前記スプレイヘッドを前記固定金型と前記移動金型との間に進退させるヘッド駆動装置を有したスプレイ装置と、
少なくとも前記スプレイヘッドから前記離型剤を噴出するスプレイ工程及び前記スプレイヘッドからエアを噴出するエアブロー工程のいずれか一方の工程中に、前記スプレイ装置を制御するとともに、前記移動ダイプレートを型開閉方向に移動させるように前記型開閉装置を制御する制御装置と、
を有した成形装置。
前記制御装置は、前記スプレイ装置で前記スプレイヘッドから少なくとも前記離型剤及び前記エアのいずれか一方を噴出させながら、前記型開閉装置で前記移動ダイプレートを型開閉方向に移動させるように前記型開閉装置及び前記スプレイ装置を制御する
請求項1に記載の成形装置。
前記制御装置は、少なくとも前記スプレイ工程及び前記エアブロー工程のいずれか一方の工程中に、前記移動ダイプレートを型開閉方向に往復動させるように前記型開閉装置を制御する
請求項1又は2に記載の成形装置。
前記制御装置は、少なくとも前記スプレイ工程及び前記エアブロー工程のいずれか一方の工程中に、金型間に位置する前記スプレイヘッドを金型間への進退方向に移動させるように前記スプレイ装置を制御する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形装置。
前記制御装置は、前記スプレイ工程で前記スプレイヘッドから前記離型剤を噴出した後、前記エアブロー工程で前記スプレイヘッドからエアを噴出させるように前記スプレイ装置を制御する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形装置。
前記制御装置は、前記スプレイ工程の完了後、又は、前記エアブロー工程の完了後に、前記移動ダイプレートを型開限に後退させずに、前記移動ダイプレートを前進させて型閉じを行うように前記型開閉装置を制御する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形装置。
固定金型を保持する固定ダイプレート、移動金型を保持する移動ダイプレート、及び、前記移動ダイプレートを型開閉方向に移動させるダイプレート駆動装置を有した型開閉装置と、
スプレイヘッドに少なくとも離型剤及びエアのいずれか一方を供給する供給装置、及び、前記スプレイヘッドを前記固定金型と前記移動金型との間に進退させるヘッド駆動装置を有したスプレイ装置と、
前記スプレイヘッドから前記離型剤を噴出するスプレイ工程中、又は、前記スプレイヘッドからエアを噴出するエアブロー工程中における前記移動ダイプレートの型開閉方向の移動距離、移動速度及び移動パターンの少なくともいずれか一つの入力を受け付ける入力装置と、
を有した成形装置。
少なくとも固定金型と移動金型との間に位置するスプレイヘッドから離型剤を噴出するスプレイ工程及び前記スプレイヘッドからエアを噴出するエアブロー工程のいずれか一方の工程と、
前記スプレイ工程及び前記エアブロー工程のいずれか一方の工程中に、前記移動金型を保持している移動ダイプレートを型開閉方向に移動させる移動工程と、
を有した成形方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す模式図である。
図1において、紙面上方及び下方は、鉛直方向の上方及び下方に対応し、紙面左右方向は水平方向に対応している。
【0019】
ダイカストマシン1は、例えば、固定金型101及び移動金型103の型締めを行う型締装置3と、型締された固定金型101及び移動金型103により形成されたキャビティ105(
図5参照)内に溶湯(溶融状態の金属材料)を射出する射出装置5と、キャビティ105内の溶湯が凝固して形成されたダイカスト品(成形品)を移動金型103又は固定金型101から押し出す不図示の押出装置と、射出前の固定金型101及び移動金型103に離型剤をスプレイするためのスプレイ装置7と、これら各装置を制御するための制御装置9とを有している。
【0020】
型締装置3は、例えば、ベース11と、ベース11上に固定され、固定金型101を保持する固定ダイプレート13と、ベース11上において型開閉方向(紙面左右方向)において移動可能に設けられ、移動金型103を保持する移動ダイプレート15と、固定ダイプレート13及び移動ダイプレート15に架け渡される複数(一般に4本)のタイバー17とを有している。
【0021】
移動ダイプレート15が型開閉方向において移動することにより、固定金型101及び移動金型103は、型閉じ又は型開きがなされる。また、複数のタイバー17の一端側が固定ダイプレート13及び移動ダイプレート15の一方(本実施形態では移動ダイプレート15)に係合された状態で、複数のタイバー17の他端側が固定ダイプレート13及び移動ダイプレート15の他方(本実施形態では固定ダイプレート13)に対して引張られることにより、固定金型101及び移動金型103の型締めがなされる。
【0022】
型締装置3は、例えば、電動駆動によって型開閉を行うとともに液圧(油圧)駆動によって型締めを行う、いわゆる複合式型締装置によって構成されている。具体的には、例えば、以下のとおりである。
【0023】
型締装置(型開閉装置)3は、例えば、主として型開閉のために移動ダイプレート15を駆動するダイプレート駆動装置19を有している。また、型締装置3は、例えば、主として型締めのために、複数のタイバー17を駆動する複数の型締シリンダ21と、複数のタイバー17に係合する複数のハーフナット23とを有している。
【0024】
ダイプレート駆動装置19は、例えば、回転式の電動機25と、電動機25の回転を並進運動に変換するねじ機構27とを有している。ねじ機構27は、例えば、ベース11に支持され、型開閉方向に延びるねじ軸29と、ねじ軸29に螺合され、移動ダイプレート15に固定されたナット31とを有している。ねじ軸29は、軸方向の移動が規制され、ナット31は軸回りの回転が規制されている。
【0025】
電動機25の回転がねじ軸29に伝達されてねじ軸29が軸回りに回転されると、ナット31が型開閉方向に移動する。これにより、移動ダイプレート15が型開閉方向に移動する。移動ダイプレート15は、ダイプレート駆動装置19により、例えば、
図1に示す型開限と、固定金型101と移動金型103とが接触又は近接する型閉位置(
図5参照)との間で駆動される。
【0026】
型締シリンダ21は、例えば、固定ダイプレート13に設けられたシリンダ部33と、タイバー17の一端に固定され、シリンダ部33内に収容されたピストン35とを有している。ピストン35は、シリンダ部33内を固定ダイプレート13の前面側(移動ダイプレート15側)のシリンダ室とその反対側のシリンダ室とに区画している。2つのシリンダ室に選択的に作動液(例えば油)が供給されることにより、ピストン35は型開閉方向において移動する。
【0027】
ハーフナット23は、移動ダイプレート15に対して型開閉方向において移動不可能に移動ダイプレート15に支持されている。一方、タイバー17の移動ダイプレート15側の端部には、ハーフナット23と噛み合い可能な係合部17aが形成されている。
【0028】
ハーフナット23が係合部17aと噛み合った状態(
図5参照)で、ピストン35が固定ダイプレート13の背面側へ移動するように型締シリンダ21に作動液が供給されることにより、タイバー17は伸長される。これにより、固定金型101及び移動金型103の型締めがなされる。
【0029】
射出装置5は、例えば、キャビティ105に通じるスリーブ37と、スリーブ37内を摺動可能なプランジャ39と、プランジャ39を駆動可能な不図示のプランジャ駆動装置とを有している。スリーブ37に溶湯が供給された状態で、プランジャ39がキャビティ105側へ前進駆動されることにより、スリーブ37内の溶湯がキャビティ105へ射出・充填される。
【0030】
スプレイ装置7は、例えば、少なくとも霧状の離型剤及びエアのいずれか一方を噴出させるスプレイヘッド41と、スプレイヘッド41に少なくとも離型剤及びエアのいずれか一方を供給する供給装置43と、スプレイヘッド41を金型間に対して進入又は退避させるヘッド駆動装置45と、を有している。
【0031】
スプレイヘッド41は、例えば、ヘッド基部47と、ヘッド基部47に着脱されるホルダ49と、ホルダ49に取り付けられた複数のノズル51とを有している。
【0032】
ヘッド基部47は、ヘッド駆動装置45によって金型間への進退方向において駆動される。この進退方向は、例えば、型開閉方向に直交する方向であり、より具体的には、例えば、上下方向である。ヘッド基部47内には、離型剤の流路及びエアの流路が形成されており、これらの流路には、供給装置43から離型剤及びエアが供給される。
【0033】
ホルダ49は、ヘッド基部47に対して適宜な着脱機構によって着脱可能に構成されている。また、ホルダ49内には、ヘッド基部47内の離型剤の流路及びエアの流路に通じる、離型剤の流路及びエアの流路が形成されている。
【0034】
ノズル51は、例えば、塑性変形が可能なパイプ(例えば銅管)によって形成されており、ホルダ49に取り付けられている。この取り付け部分は、ノズル51をホルダ49に対して交換可能に構成されていてもよい。ノズル51は、ホルダ49内の離型剤の流路及びエアの流路に通じている。ノズル51は、曲げられることにより、その先端(吐出口)を適宜な位置及び向きにすることが可能である。
【0035】
供給装置43から離型剤及び圧縮エアがヘッド基部47に供給されると、これらはホルダ49及び/又はノズル51にて混合され、霧状の離型剤がノズル51から噴出される。なお、ホルダ49には、ノズル51毎に離型剤の量を調整するためのバルブが設けられていてもよい。また、供給装置43からエアのみが供給されたときは、ノズル51からはエアのみが噴出される。このエアは、離型剤の水分を除去することに利用される。
【0036】
供給装置43は、例えば、離型剤を保持するタンク53と、タンク53にエアを送ってタンク53の離型剤を加圧して送出する離型剤用コンプレッサ55と、送出された離型剤のヘッド基部47への流れを許容又は禁止する離型剤用バルブ57とを有している。ノズル51からの離型剤の噴出及びその停止は、例えば、離型剤用バルブ57の開閉によって制御される。なお、離型剤用バルブ57は、ヘッド基部47に設けられてもよい。
【0037】
また、供給装置43は、例えば、エアを送出するエア用コンプレッサ59と、送出されたエアのヘッド基部47への流れを許容又は禁止するエア用バルブ61とを有している。ノズル51からのエアの噴出及びその停止は、例えば、エア用バルブ61の開閉によって制御される。なお、エア用バルブ61は、ヘッド基部47に設けられてもよい。
【0038】
ヘッド駆動装置45は、例えば、ヘッド基部47に固定された可動部63と、可動部63を上下方向に駆動する固定部65とを有している。可動部63は、例えば、ヘッド基部47の進退方向である上下方向に延びるように構成されている。固定部65は、例えば、不図示の回転式の電動機と、この電動機の回転を並進運動に変換する不図示のねじ機構とを有しており、可動部63を上下方向に移動させる。これにより、スプレイヘッド41が金型間に対して進入又は退避する。
【0039】
固定部65は、例えば、基本的に、固定的に設けられている。例えば、固定部65は、固定ダイプレート13に支持されている。従って、移動ダイプレート15が型開閉方向に移動すると、ヘッド駆動装置45に支持されているスプレイヘッド41と、移動ダイプレート15に保持されている移動金型103とは型開閉方向において相対移動する。
【0040】
なお、固定部65は、例えば、型開閉方向における位置を調整可能に、位置調整機構67によって支持されている。位置調整機構67は、手作業(人力)によって固定部65の位置を調整するものであってもよいし、電動機等の駆動源を含み、作業者の入力操作等に基づく制御装置9の制御によって固定部65の位置を調整するものであってもよい。
【0041】
スプレイ装置7において用いられる離型剤は、油性のものであってもよいし、水溶性のものであってもよい。
【0042】
制御装置9は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、を含んで構成されている。なお、
図1では、便宜上、制御装置9を1ブロックで示しているが、実際には、各種装置に設けられた制御装置が組み合わされて制御装置9が構成されていてもよい。制御装置9は、入力された各種の入力信号に基づいて、各部を制御するための制御信号を出力する。
【0043】
制御装置9に信号を入力するのは、例えば、作業者の入力操作を受け付ける入力装置69、電動機25の回転を検出するエンコーダ71、ヘッド駆動装置45に含まれる不図示の電動機の回転を検出する不図示のエンコーダである。制御装置9が信号を出力するのは、例えば、作業者に情報を表示する表示器73、電動機25、ヘッド駆動装置45に含まれる不図示の電動機である。
【0044】
制御装置9は、例えば、エンコーダ71からの検出値に基づいて、移動ダイプレート15の位置及び速度のフィードバック制御を行う。なお、
図1では、いわゆるセミ・クローズドループの制御が行われる場合を例示しているが、移動ダイプレート15の位置を直接に検出する位置センサを設け、(フル・)クローズドループの制御がなされてもよい。
【0045】
また、制御装置9は、例えば、ヘッド駆動装置45の不図示のエンコーダからの検出値に基づいて、スプレイヘッド41の位置及び速度のフィードバック制御を行う。なお、この制御についても、セミ・クローズドループの制御ではなく、(フル・)クローズドループの制御がなされてもよい。
【0046】
図2は、ダイカストマシン1の成形サイクルの一部の手順を示すフローチャートである。また、
図3〜
図5は、成形サイクルの各種の時点におけるダイカストマシン1の状態を示す
図1と同様の模式図である。
【0047】
ステップST1の開始前において、ダイカストマシン1は、
図1に示すような状態とされている。例えば、移動ダイプレート15は、型開限に位置している。スプレイヘッド41は、金型間から退避した位置に位置している。
【0048】
ステップST1では、制御装置9は、ヘッド駆動装置45を駆動して、スプレイヘッド41を金型間に進入させる。スプレイヘッド41が所定の位置まで下降すると、制御装置9は、ステップST2に進む。
【0049】
ステップST2では、制御装置9は、ダイプレート駆動装置19を駆動して、移動ダイプレート15を型閉方向へ移動(前進)させる。
【0050】
ステップST3では、制御装置9は、移動ダイプレート15が所定のスプレイ開始位置に到達したか否かを判定する。到達していないと判定した場合は、移動ダイプレート15の型閉方向への移動を継続し、到達したと判定した場合は、ステップST4及びST5に進む。
【0051】
上記のステップST1〜ST3により、
図3に示すように、スプレイヘッド41は、金型間に位置し、また、移動金型103に対して適宜な距離で位置決めされる。なお、スプレイヘッド41の固定金型101に対する距離は、位置調整機構67によるスプレイヘッド41の型開閉方向の位置調整によって適宜な大きさとされている。
【0052】
ステップST4では、制御装置9は、離型剤用バルブ57及びエア用バルブ61を開き、ノズル51から霧状の離型剤を噴出させる(スプレイ工程)。これにより、離型剤が固定金型101及び移動金型103の内面に塗布される。
【0053】
ステップST4と並行して、ステップST5では、制御装置9は、ダイプレート駆動装置19を駆動して、移動ダイプレート15を型開方向及び/又は型閉方向に移動させる(移動工程)。従って、移動金型103に対する離型剤の吹き付けは、ノズル51と移動金型103との距離を変化させながら行われる。なお、この移動は、例えば、移動ダイプレート15の可動範囲(型開限〜型閉位置)に対して比較的狭い範囲内において行われる。例えば、この移動の距離は、移動金型103の内面の凹凸差以下である。
【0054】
次に、ステップST6では、制御装置9は、離型剤用バルブ57を閉じ、ノズル51からエアを噴出させる(エアブロー工程)。これにより、離型剤の水分が吹き飛ばされたり蒸発されたりして除去される。
【0055】
ステップST6と並行して、ステップST7では、制御装置9は、ダイプレート駆動装置19を駆動して、移動ダイプレート15を型開方向及び/又は型閉方向に移動させる(移動工程)。従って、移動金型103に対するエアの吹き付けは、ノズル51と移動金型103との距離を変化させながら行われる。なお、この移動も、ステップST5と同様に、移動ダイプレート15の可動範囲に対して比較的狭い範囲でなされ、一例として、移動金型103の内面の凹凸差以下の範囲でなされる。
【0056】
制御装置9は、例えば、ステップST5及びステップST7を通して、移動ダイプレート15の可動範囲に対して比較的狭い範囲において移動ダイプレート15を移動させている。従って、ステップST7の完了時において、ダイカストマシン1の状態は、ステップST5の開始前の
図3の状態と概略同様である。すなわち、移動ダイプレート15は、型開限よりも型閉方向側に位置している。
【0057】
次に、ステップST8では、制御装置9は、ヘッド駆動装置45を駆動して、スプレイヘッド41を金型間から退避させる。
【0058】
ステップST8が完了すると、
図4に示すように、スプレイヘッド41は、金型間から退避される。また、既に述べたように、移動金型103は、型開限よりも型閉方向へ位置している。
【0059】
次に、ステップST9では、制御装置9は、ダイプレート駆動装置19を駆動して、移動ダイプレート15を型閉方向へ移動させる。このとき、制御装置9は、移動ダイプレート15を型開限に後退させることはせず、例えば、ステップST7の完了時の位置から、移動ダイプレート15を型閉方向へ移動させる。
【0060】
その後、例えば、移動金型103が固定金型101に接触して型閉じが完了すると、制御装置9は、型締シリンダ21を駆動して係合部17a及びハーフナット23の噛み合い位置を調整し、次に、ハーフナット23を閉じて係合部17a及びハーフナット23を噛み合わせる。
図5は、そのハーフナット23が閉じられた状態を示している。
【0061】
そして、特に図示しないが、制御装置9は、型締シリンダ21を駆動して型締を行い、型締完了後、射出装置5を駆動してキャビティ105に溶湯を射出・充填する。溶湯が凝固すると、制御装置9は、型締シリンダ21の圧抜きを行って型締めを終了し、ハーフナット23を開いて係合部17a及びハーフナット23の噛み合いを解除し、ダイプレート駆動装置19を駆動して移動ダイプレート15を型開限(
図1)まで後退させる。その後、不図示の押出装置によってキャビティ105内のダイカスト品が取り出される。そして、ステップST1に戻る。
【0062】
図6(a)は、スプレイ工程中におけるノズル51と移動金型103との相対移動(ステップST5)の例を示す模式図である。なお、この図において、紙面左右方向は、型開閉方向である。
【0063】
移動金型103のキャビティ105を構成する面は、例えば、凹凸を有しており、ひいては、型開閉方向に沿うような面103sを有している。このような面103sは、面103s内の位置によってノズル51の先端との距離や向きが異なることから、面103sの全面に亘って均等に離型剤を塗布することが困難である。例えば、
図6(a)において実線で示す状態では、面103sの奥側(紙面左側)は、面103sの手前側(紙面右側)に比較して離型剤が届きにくく、奥側において離型剤が不足したり、手前側において離型剤が過剰になったりする。
【0064】
しかし、矢印y1及び想像線(2点鎖線)で示すように、スプレイ工程中に移動ダイプレート15を型開閉方向において移動させると(ステップST4及びST5)、ノズル51の先端が移動金型103の凹部(別の観点では凸部の根元)に対して、接近・離反、又は、進入・退避する。従って、ノズル51の先端を面103sの手前側の位置だけでなく、面103sの奥側の位置に近付けることができる。その結果、面103sに対して均等に離型剤を塗布することが容易化される。
【0065】
図6(b)は、スプレイ工程中のノズル51と移動金型103との相対移動(ステップST5)の他の例を示す模式図である。
【0066】
この例では、矢印y2〜y4及び想像線(2点鎖線)で示すように、スプレイ工程中において、移動ダイプレート15の型開閉方向の移動だけでなく、ノズル51の進退方向(上下方向)の移動も行われている。具体的には、例えば、矢印y2で示す移動金型103の移動、矢印y3で示すノズル51の移動、矢印y4で示す移動金型103の移動が順次行われる。このように、ノズル51の進退方向の移動も組み合わせることにより、より複雑な金型形状に対しても好適に離型剤を塗布することが可能となる。
【0067】
スプレイ工程中のノズル51と移動金型103との相対移動について述べたが、エアブロー工程中の相対移動(ステップST7)についても、
図6(a)及び
図6(b)と同様になされてよい。これにより、金型形状に起因してエアが届きにくい位置にもエアを行き渡らせることが容易化される。
【0068】
なお、スプレイ工程中の移動金型103とスプレイヘッド41との相対移動と、エアブロー工程中の移動金型103とスプレイヘッド41との相対移動とは、その経路及び/又は速度等が同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
また、ステップST5及びステップST7において、移動金型103とスプレイヘッド41との相対移動は、所定の経路に対して往復されてよい。例えば、移動ダイプレート15は往復動されてよく、また、移動ダイプレート15の往復動に連動して、スプレイヘッド41も往復動されてよい。
【0070】
図7(a)は、スプレイ工程中(ステップST4)のスプレイ及び移動金型103の移動のタイミングの例を示す模式図である。
【0071】
この図において、横軸は時間である。「スプレイ」において、「ON」は、ノズル51から霧状の離型剤を噴出させている状態を示し、「OFF」は、ノズル51から霧状の離型剤を噴出させていない状態(離型剤、又は、離型剤及びエアを噴出させていない状態)を示している。「移動」において、「停止」、「前進」及び「後退」は、移動ダイプレート15の停止、型閉方向への移動及び型開方向への移動を示している。
【0072】
この図の例では、ノズル51から霧状の離型剤が噴出される期間、及び、移動ダイプレート15が駆動される期間は、一方の期間の一部又は全部と、他方の期間の一部又は全部とが重複している。すなわち、ダイカストマシン1は、ノズル51から霧状の離型剤を噴出させながら、移動ダイプレート15を型開閉方向に移動させている。
【0073】
なお、より具体的には、この例では、両期間の全部同士が重複している。また、ノズル51から霧状の離型剤が噴出されている期間において、移動ダイプレート15は1以上の回数で往復動されている。
【0074】
図7(b)は、スプレイ工程中(ステップST4)のスプレイ及び移動金型103の移動のタイミングの他の例を示す、
図7(a)と同様の模式図である。
【0075】
この例では、ノズル51から霧状の離型剤が噴出される期間、及び、移動ダイプレート15が駆動される期間は、互いに重複していない。すなわち、スプレイ工程において、ノズル51からの霧状の離型剤の噴出は間欠的に行われ、その噴出の合間に移動ダイプレート15の型開閉方向への移動が行われている。別の観点では、移動ダイプレート15は、複数位置に位置決めされ、その位置決めがなされる度に、霧状の離型剤の噴出が行われている。
【0076】
このような動作によっても、移動金型103とスプレイヘッド41との一の相対位置においてのみ、霧状の離型剤が噴出される場合(例えば、ステップST5を行わず、ステップST3の位置のみで霧状の離型剤が噴出される場合)に比較して、均等に離型剤を塗布することができる。
【0077】
なお、
図7(b)の例から理解されるように、本実施形態において、スプレイ工程は、各成形サイクルにおいて、離型剤の噴出を開始してから離型剤の噴出を完了するまでをいうものとする。従って、スプレイ工程中に移動ダイプレート15を移動させると言う場合には、
図7(a)の例のように離型剤を噴出させながら移動ダイプレート15を移動させる態様だけでなく、
図7(b)の例のように離型剤の噴出の合間に移動ダイプレート15を移動させる態様を含むものとする。
【0078】
逆に、スプレイ工程中の移動ダイプレート15の移動には、各成形サイクルにおける最初の離型剤の噴出の前における移動、及び、各成形サイクルにおける最後の離型剤の噴出の後における移動は含まれないものとする。
【0079】
例えば、ステップST2の移動は、スプレイのための移動ではあるが、スプレイ工程中の移動には含まれない。また、例えば、特許文献2では、離型剤を噴射後、移動ダイプレートを型開限へ移動させ、その後、型閉工程を開始しているが、この移動ダイプレートの型開限への移動は、スプレイ工程中の移動に含まれない。また、
図7(b)の例において、スプレイ工程直後の「後退」は、金型間から退避されるスプレイヘッド41が移動金型103に接触することを防止するためのものであり、離型剤の噴射に起因する移動であるが、本実施形態では、スプレイ工程中の移動には含まれない。
【0080】
スプレイ工程中の移動金型103の移動について述べたが、同様に、スプレイ工程中のスプレイヘッド41の移動も、離型剤がまさに噴出されている最中の移動と、各成形サイクルにおいて2回以上離型剤が噴出される場合におけるその噴出の合間の移動との双方を含むものとする。
【0081】
また、スプレイ工程中の移動について述べたが、同様に、エアブロー工程中の移動ダイプレート15又はスプレイヘッド41の移動も、エアがまさに噴出されている最中の移動と、各成形サイクルにおいて2回以上エアが噴出される場合におけるその噴出の合間の移動との双方を含むものとする。
【0082】
以上に説明した動作を規定する情報は、ダイカストマシン1の製造者又は作業者によって適宜に設定されてよい。
【0083】
例えば、ステップST3における移動ダイプレート15のスプレイ開始位置について、ダイカストマシン1は、入力装置69を介して、作業者による移動ダイプレート15の位置の入力を受け付けてもよい。また、例えば、ダイカストマシン1は、入力装置69を介して、作業者によるスプレイ距離の入力を受け付け、予め入力された金型の厚さやスプレイヘッド41の型開閉方向の位置に基づいて、移動ダイプレート15のスプレイ開始位置を決定してもよい。また、例えば、スプレイ開始位置は、最大型厚でもスプレイヘッド41が金型に接触しない位置に製造者によって設定されていてもよい。
【0084】
また、例えば、ステップST5又はST7における移動ダイプレート15の動作を規定するパラメータとしては、例えば、移動ダイプレート15の移動距離、移動速度及び動作パターンが挙げられる。例えば、制御装置9は、基準となる位置(例えばステップST3の位置)から、設定された移動距離及び移動速度で移動ダイプレート15を型閉方向へ移動させる。さらに、動作パターンとして往復動及びその回数が設定されていれば、設定された移動距離及び移動速度で移動ダイプレート15を往復動させる。制御装置9は、例えば、移動距離、移動速度及び動作パターンの少なくともいずれか一つに関して、入力装置69を介して、作業者の情報入力を受け付けてよい。
【0085】
なお、移動ダイプレート15の移動前後の2点の位置の入力は、移動距離の入力と等価である。また、移動距離及び移動時間の入力は、移動速度の入力と等価である。動作パターンの入力は、製造者が用意した複数の動作パターンからの選択であってもよいし、複数の位置を移動ダイプレート15の通過順に入力するようなものであってもよい。
【0086】
スプレイ工程中及びエアブロー工程中の移動ダイプレート15の移動を規定する情報について述べたが、スプレイ工程中及びエアブロー工程中のスプレイヘッド41の移動を規定する情報についても同様に、移動距離、移動速度及び動作パターン等が入力装置69を介して入力されてよい。
【0087】
以上のとおり、本実施形態のダイカストマシン1は、型締装置3と、スプレイ装置7と、スプレイヘッド41から霧状の離型剤を噴出するスプレイ工程中(ステップST4)に移動ダイプレート15を型開閉方向において移動させる(ステップST5)ように型締装置3及びスプレイ装置7を制御する制御装置9と、を有している。
【0088】
別の観点では、本実施形態のダイカストマシン1は、型締装置3と、スプレイ装置7と、ノズル51から霧状の離型剤を噴出するスプレイ工程中(ステップST4)における移動ダイプレート15の型開閉方向における移動距離、移動速度及び移動パターンの少なくともいずれか一つの入力を受け付ける入力装置(69)と、を有している。
【0089】
さらに別の観点では、本実施形態の成形方法は、固定金型101と移動金型103との間に位置するスプレイヘッド41から霧状の離型剤を噴出するスプレイ工程(ステップST4)と、スプレイ工程中に、移動金型103を保持している移動ダイプレート15を型開閉方向において移動させる移動工程(ステップST5)と、を有している。
【0090】
従って、
図6を参照して説明したように、スプレイ工程中にスプレイヘッド41と移動金型103との距離を変化させ、移動金型103の金型形状(凹凸)に対して適切な距離及び/又は向きで離型剤を塗布することができる。且つ、そのスプレイヘッド41と移動金型103との相対移動には、型開閉のためのダイプレート駆動装置19が利用されることから、多自由度のロボットアーム等を設置する必要はなく、ダイカストマシン1の構成を簡素にすることができる。別の観点では、公知のダイカストマシンにおいて、制御装置内に組み込まれた制御システム(制御方法)(必要に応じて入力装置を含む)を新たに設計し直す又は新たに設計するだけで、離型剤を好適に塗布することができ、既設のダイカストマシンに対する適用も容易である。
【0091】
さらに、そのように過不足なく離型剤を塗布することが容易化される結果、離型剤の噴出量を低減できることが期待される。その結果、離型剤が環境に及ぼす影響が低減されることが期待される。また、離型剤の噴出時間が短くなることも期待される。その結果、サイクル時間が短縮されることが期待される。
【0092】
また、本実施形態では、制御装置9は、スプレイヘッド41から霧状の離型剤を噴出させながら移動ダイプレート15を型開閉方向に移動させるように型締装置3及びスプレイ装置7を制御する(
図7(a))。
【0093】
この場合、例えば、離型剤を塗布するときのスプレイヘッド41と移動金型103との相対位置を連続的に変化させることになるから、均等に離型剤を塗布することが容易化される。また、例えば、離型剤の塗布と、スプレイヘッド41と移動金型103との相対移動とが同時に行われることになるから、スプレイ時間が短縮される。
【0094】
また、本実施形態では、制御装置9は、スプレイ工程中に移動ダイプレート15を型開閉方向において往復動させるように型締装置3及びスプレイ装置7を制御する(
図6(a)、
図7(a)等)。
【0095】
この場合、例えば、ノズル51の先端を移動金型103の凹部に対して進入させ、次に、ノズル51の先端を凹部から退避させてノズル51の金型間からの退避(ノズル51の上昇)の準備をする一連の動作の際に、離型剤を移動金型103の凹部の手前側と奥側とに塗布することができ効率的である。また、往路及び復路の双方に亘って、及び/又は、複数回の往復において離型剤を塗布することにより、離型剤の塗布の偏りが低減されたり、離型剤が少量ずつ塗布されることによって離型剤の水分が蒸発しやすくなることが期待される。
【0096】
また、本実施形態では、制御装置9は、スプレイ工程中に金型間に位置するスプレイヘッド41を金型間への進退方向(上下方向)において移動させるように型締装置3及びスプレイ装置7を制御する。
【0097】
従って、例えば、
図6(b)を参照して説明したように、より複雑な金型形状に対しても、離型剤を均等に塗布することが容易化される。また、一のノズル51で金型の上下方向の複数位置に対応することができることから、ノズル51の本数の削減も容易化される。
【0098】
また、本実施形態では、制御装置9は、スプレイヘッド41からエアを噴出させるエアブロー工程中(ステップST6)に移動ダイプレート15を移動させる(ステップST7)ように型締装置3及びスプレイ装置7を制御する。
【0099】
従って、例えば、エアが届きにくい位置にエアを行き渡らせやすくなる。その結果、例えば、離型剤の水分が移動金型103に残ることを低減でき、ひいては、不良品が生じる頻度を低減できる。また、別の観点では、効率的に離型剤の水分を除去できる。
【0100】
また、本実施形態では、制御装置9は、エアブロー工程中についても、スプレイ工程中と同様に、スプレイヘッド41からエアを噴出させながら移動ダイプレート15を移動させたり、エアブロー工程中に移動ダイプレート15を型開閉方向において往復動させたり、エアブロー工程中にスプレイヘッド41を金型間に対する進退方向(上下方向)において移動させたりするように、型締装置3及びスプレイ装置7を制御する。従って、効率的な水分の除去、ノズル51の本数低減等の効果が奏される。
【0101】
また、本実施形態では、制御装置9は、スプレイ工程(ステップST4)の完了後、移動ダイプレート15を型開限に後退させずに、移動ダイプレート15を前進させて型閉じを行う(ステップST9)ように型締装置3及びスプレイ装置7を制御する。
【0102】
従って、移動金型103をスプレイヘッド41に近づけるための移動(例えばステップST2の移動)によって、移動金型103が固定金型101に近づいた状態から、型閉工程が開始されることになる。その結果、型閉工程における移動ダイプレート15の移動距離が短くなり、ひいては、成形サイクルが短縮される。
【0103】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0104】
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、縦型締横射出、横型締縦射出であってもよい。
【0105】
成形機の構成は、スプレイ工程中又はエアブロー工程中に移動ダイプレート及びスプレイヘッドを移動させる制御に係る部分を除いて、すなわち、制御装置(必要に応じて入力装置)を除いて、概略、公知の成形機と同様の構成とすることが可能である。このことから明らかなように、成形機の構成は、実施形態において例示したものに限定されず、公知の種々の構成とされてよい。
【0106】
例えば、型締装置は、電動式と液圧式とを組み合わせた複合式型締装置に限定されず、全電動式型締装置であってもよいし、全液圧式型締装置であってもよい。ただし、スプレイ工程及び/又はエアブロー工程において高精度に移動ダイプレートを駆動する観点からは、型締装置は、電動機を含む(複合式型締装置又は全電動式型締装置である)ことが好ましい。
【0107】
型締装置が電動機を含む場合において、電動機は、回転式に限定されず、リニアモータであってもよい。また、回転式の電動機の回転を並進運動に変換する機構は、ねじ機構に限定されず、例えば、ラック・ピニオン機構やリンク機構であってもよい。
【0108】
また、例えば、型締装置は、2プラテン式のものに限定されず、トグル機構を含むものであってもよい。また、例えば、型締装置は、型開閉用の駆動装置と型締用の駆動装置とが別個に設けられているものに限定されず、一の駆動装置が型開閉と型締めとに利用されるものであってもよい。また、型開閉用の駆動装置と型締用の駆動装置とが別個に設けられている場合において、スプレイ工程中に移動ダイプレートを駆動するダイプレート駆動装置は、型締用の駆動装置であってもよい。
【0109】
また、例えば、スプレイヘッドは、比較的長いパイプ状のノズルを有するものに限定されない。例えば、スプレイヘッドは、金型間に進入したときに金型の内面に対向するプレートと、当該プレートに適宜な向きで取り付けられた比較的短いノズルとを有するものであってもよい。スプレイヘッドにおける着脱機構も公知の種々のものが採用されてよい。
【0110】
また、例えば、ヘッド駆動装置は、電動式に限定されない。例えば、ヘッド駆動装置は、液圧式であってもよい。ただし、スプレイ工程及び/又はエアブロー工程において、金型間への進退方向において高精度にスプレイヘッドを駆動する観点からは、ヘッド駆動装置は、電動機を含むことが好ましい。ヘッド駆動装置が電動機を含む場合において、電動機が回転式に限定されないこと、回転を並進運動に変換する機構がねじ軸に限定されないことは、型締装置と同様である。また、本発明は、多自由度のロボットアームを不要とするが、ヘッド駆動装置は、そのようなロボットアームとされてもよい。
【0111】
実施形態では、スプレイヘッド及びヘッド駆動装置は、固定ダイプレートに支持されることにより、固定的に設けられた。ただし、スプレイヘッド及びヘッド駆動装置は、移動ダイプレートに支持されるなど、移動ダイプレートと共に移動するように設けられてもよい。この場合、移動ダイプレートの移動によって、スプレイヘッドと固定金型との距離を調整できる。また、固定ダイプレートに支持されて移動金型に向けて離型剤を噴出するスプレイヘッド及びヘッド駆動装置と、移動ダイプレートに支持されて固定金型に向けて離型剤を噴出するスプレイヘッド及びヘッド駆動装置とが設けられてもよい。
【0112】
エアブロー工程は、行われなくてもよい。エアブロー工程を不要とするような離型剤は公知である。
【0113】
スプレイ工程及び/又はエアブロー工程において、スプレイヘッドの駆動は行われなくてもよい。従って、ヘッド駆動装置は、単に、金型間から退避した位置と金型間に進入した位置との間(前進限と後退限との間)でスプレイヘッドを駆動するだけの構成(前進限と後退限との間の任意の位置にスプレイヘッドを位置決めできない構成)であってもよい。
【0114】
実施形態では、スプレイヘッドを金型間に進入させた後、移動金型の型閉方向への移動を開始した(ステップST1、ST2)。しかし、スプレイヘッドを金型間に進入させる期間、及び、移動ダイプレートを前進させる期間は、スプレイヘッドが金型に接触しない限り、一方の期間の一部又は全部が他方の期間の一部又は全部に重複してもよく、また、いずれが先に開始及び/又は完了されてもよい。スプレイヘッドを金型間から退避させる期間、及び、型閉工程のために移動ダイプレートを前進させる期間についても同様である。
【0115】
実施形態では、型開限からスプレイ開始位置への移動ダイプレートの移動(ステップST2)と、スプレイ工程中の移動ダイプレートの移動(ステップST5)とを別個に説明した。しかし、型開限から型閉方向への移動ダイプレートの移動中に離型剤の噴出(スプレイ工程)が開始されるなど、移動ダイプレートの移動だけに着目したときに両移動の区別は明確でなくてもよい。エアブロー工程中(エアブローが行われない場合はスプレイ工程中)の移動ダイプレートの移動と、型閉工程の移動ダイプレートの移動(ステップST9)についても同様である。
【0116】
また、スプレイヘッドの金型間への進入に係る移動と、スプレイ工程中のスプレイヘッドの移動とについても同様に、金型間からの退避位置から進入方向へのスプレイヘッドの移動中に離型剤の噴出が開始されるなど、スプレイヘッドの移動だけに着目したときに両移動の区別は明確でなくてもよい。エアブロー工程中(エアブローが行われない場合はスプレイ工程中)のスプレイヘッドの移動と、スプレイヘッドの退避に係る移動とについても同様である。
【0117】
実施形態では、移動ダイプレートが型開限よりも型閉方向へ移動した(ステップST2)後に、離型剤の噴出(スプレイ工程、ステップST4)が開始され、また、スプレイ工程中(及びエアブロー工程中)の移動ダイプレートの移動によっても、移動ダイプレートは型開限まで後退しなかった。ただし、移動ダイプレートが型開限に位置するときに離型剤の噴出が開始され、その後、離型剤の噴出継続中に移動ダイプレートが前進するなど、移動ダイプレートは、スプレイ工程中(又はエアブロー工程中)に型開限に位置してもよい。
【0118】
また、実施形態では、エアブロー工程の完了後、移動ダイプレートは、型開限よりも前の位置から型閉方向への移動(型閉工程)を開始したが、エアブロー工程の完了後(エアブローが行われない場合はスプレイ工程の完了後)、型開限に戻ってから型閉方向への移動を開始してもよい。