(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る農業機械の監視システムについて、適宜図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、農業機械の監視システムの全体図である。
農業機械の監視システム1では、トラクタ、コンバイン、田植機等の農業機械2を監視するシステムである。農業機械2の監視を行うにあたっては、農作業に関する様々なデータを用いる。
【0012】
農業機械の監視システム1では、通信装置3と、携帯端末4と、サーバ5とを備えている。
通信装置3は、農業機械2に搭載され、外部の機器と通信可能な装置である。通信装置3は、第1取得部30を備えている。この第1取得部30は、農業機械2の稼動情報、即ち、農業機械2で行った農作業に関する情報(農業実績)が取得可能である。
【0013】
まず、トラクタを例にとり、農業実績の収集、携帯端末4及びサーバ5について説明する。
図11に示すように、トラクタ2は、走行車両(走行車体)11と、エンジン12と、変速装置13と、運転席14と、制御装置15とを備えている。また、走行車両11の後部には、様々な作業装置が着脱自在に連結可能である。詳しくは、走行車両11の後部には、3点リンク機構16が昇降可能に設けられると共に、エンジン12からの動力を伝達するPTO軸が設けられている。3点リンク機構16には、作業装置17として、例えば、肥料散布装置、耕耘装置、農薬散布装置、播種散布装置、収穫装置が装着可能である。なお、
図11は、肥料散布装置を3点リンク機構16に取り付けた例を示している。
【0014】
制御装置15は、トラクタ2の走行系制御や作業系制御等を行う装置である。制御装置15は、例えば、走行系制御として、エンジン12の動作を制御する。また、制御装置15は、作業系制御として、運転席14の周囲に設けられた操作レバーや操作スイッチなどの操作具からの入力を受けると、入力値に従って3点リンク機構16の昇降、PTO軸の出力(回転数)などの動作を制御する。なお、制御装置15による走行系制御や作業系制御は、上述した内容に限定されない。走行系制御及び作業系制御を行う際の制御信号、トラクタ2に搭載された様々な機器が検出した検出信号は、車載ネットワークに出力される。
【0015】
通信装置3(第1取得部30)は、車載ネットワーク等を介して制御装置15に接続されている。この第1取得部30は、トラクタ2等が動作時した場合、車載ネットワークに出力された制御信号や検出信号を取得する。例えば、トラクタ2の後部に連結したロータリ耕耘装置を作動させた場合(耕耘を行った場合)は、第1取得部30は、ロータリーの回転数、ロータリーの負荷、エンジン回転数、車速、耕深などのデータを車載ネットワークを通じて取得する。即ち、第1取得部30は、農作業として耕耘を行った場合での農業実績であるロータリーの回転数、ロータリーの負荷、エンジン回転数、車速、耕深を取得する。
【0016】
また、トラクタ2の後部に連結した施肥装置を作動させた場合(施肥を行った場合)は、車速、エンジン回転数、施肥量などのデータを、車載ネットワークを通じて取得する。即ち、第1取得部30は、農作業として施肥を行った場合での農業実績である車速、エンジン回転数、施肥量を取得する。
或いは、トラクタ2の後部に連結した農薬散布装置を作動させた場合(農薬散布を行った場合)は、車速、エンジン回転数、農薬散布量などのデータを、車載ネットワークを通じて取得する。即ち、第1取得部30は、農作業として農薬散布を行った場合での農業実績である車速、エンジン回転数、農薬散布量を取得する。
【0017】
つまり、農業機械2がトラクタ2である場合、第1取得部30は、トラクタ2に連結した装置で行った農作業の農業実績を収集する。
図1に示すように、通信装置3は、第1記憶部31と、第1通信部32とを備えている。第1記憶部31は、農業実績を含むデータを一次記憶する。第1通信部32は、近距離、或いは、長距離の通信を行う装置で構成され、外部の機器と接続可能である。例えば、第1通信部32は、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)等により無線通信を行う装置である。なお、第1通信部32は、携帯電話通信網により無線通信を行う装置であっても、データ通信網により無線通信を行う装置であってもよい。したがって、通信装置3の第1取得部30で収集した農業実績は、外部の機器へ送信することができる。
【0018】
通信装置3で取得した農業実績は、例えば、携帯端末4を介してサーバ5に送信することが可能である。
携帯端末4は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等で構成されている。携帯端末4は、第2通信部21と、第2取得部22と、第2記憶部23、表示部24とを備えている。
【0019】
第2通信部21は、通信装置3やサーバ5と無線通信を行う装置で構成されている。第2通信部21は、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)等により無線通信を行う装置である。また、第2通信部21は、例えば、携帯電話通信網やデータ通信網や携帯電話通信網などにより無線通信を行う装置である。
【0020】
第2取得部22は、第2通信部21によって携帯端末4を通信装置3に接続した場合、通信装置3に対して農業実績の要求を行い、当該通信装置3から農業実績を取得する。また、第2取得部22は、第2通信部21によって携帯端末4をサーバ5に接続した場合、当該サーバ5から農業の予定である(作業計画)を取得する。第2記憶部23は、通信装置3から送信された農業実績等のデータを記憶したり、サーバ5から送信された作業計画等のデータを記憶する。
【0021】
なお、携帯端末4は、農業実績を取得する場合に、農業実績を取得した農業機械2の機械識別情報と、農業実績とを対応付けて取得する。これにより、機械識別情報を用いて、農業実績を抽出することが可能である。
また、携帯端末4は、位置検出部25を有していてもよい。位置検出部25は、測位衛星(例えば、GPS衛星)から送信された信号(GPS衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて自分の位置(例えば、緯度、経度)を検出する装置である。例えば、農作業者がトラクタ2に乗車して農作業を行えば、農作業時の農作業者の位置、即ち、農作業時の場所を検出することができる。
【0022】
次に、サーバ5について詳しく説明する。
サーバ5は、作業計画を作成する作業計画作成部40と、作業計画を記憶する作業計画記憶部41とを有している。作業計画作成部40は、サーバ5に格納されたプログラム等から構成されている。作業計画は、農作業の予定であって、所定の場所(圃場)と、農作業と、農作業を行う時間(農作業時間)と、農作業を行う農作業者と、農作業の詳細等の計画である。
【0023】
農作業とは、例えば、床土作り、畦塗り、耕耘、播種、田植え、代掻き、溝切り、除草、追肥、収穫等である。農作業時間とは、農作業を行う時間帯であって、例えば、9時〜17時といった具合に、農作業を開始する開始時刻から農作業を終了する終了時刻で表すことができる。農作業の詳細とは、農作業が施肥である場合には、肥料名、施肥量であり、農作業が農薬散布である場合には、農薬名、農薬散布量である。農作業を行うために使用する機械に関する情報を、農作業の詳細としてもよい。
【0024】
例えば、サーバ5に接続可能な機器(接続機器という)6をサーバ5にログインすることにより、作業計画を作成可能である。接続機器6は、管理者が操作可能なコンピュータ等であって、例えば、パーソナルコンピュータである。なお、サーバ5にログインするためには予めサーバ5にパスワード等の登録をすることが好ましい。
接続機器6がサーバ5にログイン後、接続機器6からサーバ5に対して作業計画作成の要求があると、この要求に応じて作業計画作成部40は、作業計画を立てるための作業計画設定画面を接続機器6に表示する。作業計画作成部40は、例えば、農作物名、圃場、農作業、農作業時間、農作業者及び農作業の詳細等を入力する作業計画設定画面を表示する。また、作業計画作成部40は、作業計画設定画面に入力された事項(農作物名、圃場、農作業、農作業時間、農作業者、農作業の詳細)を、作業計画として、作業計画記憶部41に記憶させる。
【0025】
したがって、接続機器6をサーバ5に接続することにより、作業計画を簡単に作成することができ、作成した作業計画を作業計画記憶部41に記憶することができる。
また、サーバ5は、作業指示部42を備えている。作業指示部42は、サーバ5に格納されたプログラム等から構成されている。作業指示部42は、作業者が使用可能なコンピュータ、例えば、携帯端末4に作業計画を送信する。
【0026】
農作業者に割り当てられた携帯端末4がサーバ5にログインをして、当該携帯端末4から作業計画の送信の要求があると、この要求に応じて作業指示部42は、携帯端末4に割り当てられた作業者が含まれる作業計画を作業計画記憶部41から抽出して、当該作業計画を携帯端末4に送信する。
したがって、携帯端末4をサーバ5に接続することにより、作業計画を取得することができる。これにより、農作業者は、受信した作業計画を見ながら農作業を行うことができる。
【0027】
次に、携帯端末4について、詳しく説明する。
図2に示すように、携帯端末4の表示部24は、メイン画面(第1画面)Q1が表示可能である。このメイン画面Q1には、通知ボタン50と、収集ボタン51とが表示される。通知ボタン50及び収集ボタン51は選択可能である。
通知ボタン50を選択すると、携帯端末4とサーバ5との間でログイン処理が実行される。ログイン後、携帯端末4の第2取得部22はサーバ5に作業計画の送信の要求を行う。サーバ5は、携帯端末4に対応する作業計画を当該携帯端末4に送信する。サーバ5は、携帯端末4に、例えば、作物名、耕耘の場所、耕耘日、施肥の場所、施肥日、肥料名、施肥量、農薬散布の場所、農薬散布日、農薬名、農薬散布量、収穫の場所、作業者名、農業機械2等を含む作業計画を送信する。
【0028】
収集ボタン51を選択すると、携帯端末4は、通信装置3に接続し、通信装置3で収集した農業実績等を取得する。携帯端末4は、取得した農業実績等をサーバ5に送信する。携帯端末4は、例えば、ロータリーの回転数、ロータリーの負荷、エンジン回転数、車速、耕深、施肥量、農薬散布量、収穫量等をサーバ5に送信する。なお、通知ボタン50と収集ボタン51とが別々になっているが、これら通知ボタン50と収集ボタン51とを兼用化してもよい。
【0029】
さて、サーバ5から送信された作業計画は、
図3に示すように、携帯端末4の作業計画画面Q2に表示される。また、携帯端末4には、作業計画の他に、農作業の完了を示す完了ボタン52が表示可能である。完了ボタン52を選択すると、携帯端末4は、作業計画画面Q2に示された作業計画を農業実績に変換する。具体的には、携帯端末4は、完了ボタン52を選択した際、作業計画に示された項目のうち、通信装置3で得ることができない項目を農業実績として変換する。例えば、作業計画が「作物名、耕耘の場所、耕耘日、施肥の場所、施肥日、肥料名、施肥量、農薬散布の場所、農薬散布日、農薬名、農薬散布量、作業者名、農作業時間、農業機械」である場合、施肥量、農薬散布量、収穫量を除く項目が農業実績に変換される。なお、作業計画を農業実績に変換する際に、所定の項目は、携帯端末4の操作によって修正可能である。携帯端末4は、変換後の農業実績をサーバ5に送信する。
【0030】
つまり、携帯端末4は、農業実績(耕耘の場所、耕耘日、施肥の場所、施肥日、肥料名、施肥量、農薬散布の場所、農薬散布日、農薬名、農薬散布量、作業者名、農作業時間、農業機械)をサーバ5に送信する。携帯端末4から送信された農業実績は、サーバ5に設けられた情報記憶部43に記憶される。
したがって、携帯端末4は、通信装置3で収集した農業実績等を含むデータを取得することができると共に、サーバ5から農作業時間を含む作業計画を取得することができる。
【0031】
さて、通信装置3は、信号変更部(情報付加部)33を有している。この信号変更部33は、第1取得部30の農業実績のうち、農業機械2の状態を示す情報(ステータス情報)をビーコンに付加する。ここで、ビーコンとは、携帯端末4と通信装置3との無線通信で用いられるブロードキャストの信号であって、サービスセット識別子(SSID)などを含む信号である。
【0032】
信号変更部33は、SSIDにステータス情報を付加する。以下、説明の便宜上、予め定められたSSIDのことを「設定SSID」、ステータス情報が付加されたSSIDのことを「変更SSID」ということがある。
図4は、SSIDの推移を示した図である。
図4に示すように、時点P1において、農業機械2のイグニッションスイッチ(IG−SW)がオフ(OFF)からオン(ON)に変化した場合、第1取得部30は、イグニッションスイッチがオンしたことを示すステータス情報であるキーオン情報を取得する。第1取得部30がキーオン情報を取得すると、信号変更部33は、設定SSIDである「KUBOTA」に、キーオン情報を付加することにより、変更SSIDを「KUBOTA−010」に変更する。即ち、信号変更部33は、イグニッションスイッチがオンしたことを示す「010」を、設定SSIDの末尾に加える。なお、設定SSIDである「KUBOTA」と、「010」との間に示される記号「−」は、設定SSIDと、新たに加えられたキーオン情報との区切りを示している。
【0033】
また、時点P2において、イグニッションスイッチ(IG−SW)がオン(ON)からオフ(OFF)に変化した場合、第1取得部30は、イグニッションスイッチがオフになったことを示すステータス情報であるキーオフ情報を取得する。第1取得部30がキーオフ情報を取得すると、信号変更部33は、変更SSID(KUBOTA−010)を設定SSID(KUBOTA)に戻す処理を行う。したがって、信号変更部33では、イグニッションスイッチのオン、オフを示すステータス情報に基づいてSSIDを変更する。上述した実施形態では、イグニッションスイッチのオン又はオフにおけるステータス情報について説明したが、当然の如く、これに限定されない。
【0034】
本発明においては、信号変更部33は、農業機械2の動き(駆動)を確認できるステータス情報に基づいてSSIDを変更することが好ましい。
図5に示すように、信号変更部33は、例えば、農業機械2のエンジン駆動の有無、作業装置の駆動の有無等を示すステータス情報に基づいて、SSIDを変更する。なお、エンジン駆動の有無は、上述したようにエンジン回転数によって検出できる。また、作業装置の駆動の有無は、PTO軸の回転によって検出できる。農業機械2の駆動の有無として、走行の有無を車速等により検出し、走行の有無に基づいてSSIDを変更してもよい。
【0035】
したがって、信号変更部33によれば、農業機械2の駆動の変化を認識することができるステータス情報を、設定SSIDに付加することができる。
なお、信号変更部33は、変更SSIDを作成するに際して、設定SSIDの末尾にステータス情報を示す文字等(例えば、010、011)を加えていたが、ステータス情報を示す文字等は、設定SSIDのどこの位置に加えてもよい。また、信号変更部33は、所定のステータス情報に基づき、設定SSIDを予め定められた計算式等で変化させてもよい。また、第1取得部30が取得したステータス情報と、ステータス情報を示す文字との関係は、予め通信装置3に記憶されており、信号変更部33は、この関係を用いて変更SSIDを作成する。
【0036】
さて、
図1に示すように、農業機械2の保管場所P或いは保管場所Pの周囲には、携帯端末4を収容する収容箱8が設けられている。保管場所は、例えば、農家の納屋、車庫、倉庫である。
収容箱8内には、電力を供給するコンセント等が納められていて、当該コンセントに携帯端末4が接続することが可能である。また、収容箱8には、施錠装置が設けられている。
【0037】
図1に示すように、圃場における農作業が終了すると、作業者は、農業機械2を保管場所Pに入れて、農業機械2の走行や駆動を停止する。また、作業者は、携帯端末4を収容箱8に収容して、施錠装置で施錠を行う。
携帯端末4は、監視部26を有している。監視部26は、電子回路やプログラム等から構成され、農業機械2を監視する。具体的には、監視部26は、監視中(監視開始後)において、農業機械2の状態が変化すると、外部に警報を出力する。例えば、監視部26は、農業機械2のエンジンが停止した状態から始動したり、農業機械2が停止している状態から移動を検知すると、外部に警報を出力する。ここで、「農業機械2のエンジンが停止した状態から始動した」こと、「農業機械2が停止している状態から移動した」ことなどは、上述したように、通信装置3から所定間隔毎に外部に出力されるブロードキャスト信号、即ち、SSIDを含むビーコンによって、把握することができる。
【0038】
本発明では、携帯端末4の第2取得部22が取得した作業計画に基づいて監視の開始を実行する。具体的には、監視部26は、作業計画に含まれる農作業時間を抽出し、現在の時刻が農作業時間で示された農作業の終了時刻が過ぎると、監視を開始する。例えば、作業計画の農作業時間が9時〜17時である場合では、現在の時刻が、農業終了時刻である17時を過ぎると、監視部26は監視を開始する。
【0039】
さらに詳しくは、監視部26は、農業機械2の走行や駆動が停止している状況下で、農作業の終了時刻が過ぎると、監視を開始する。農業機械2の走行や駆動が停止しているか否かは、携帯端末4がビーコンに含まれるSSIDによって判断することができる。例えば、
図5に示すように、携帯端末4が設定SSIDを受信した場合は、監視部26は、農業機械2は駆動停止していると判断することができる。なお、現在の時刻は、予め携帯端末4に設けられたタイマにより検出することができる。また、現在の時刻は、携帯端末4が位置検出部25を有している場合は、測位衛星から得られた時刻を用いてもよい。
【0040】
監視部26が監視の開始を実行する場合に、携帯端末4が通信装置3からSSIDを受信できない場合がある。その場合には、
図6に示すように、農業機械2が保管場所に到達しておらず、保管場所外に位置していると考えられる。この場合は、監視部26は、保管場所に農業機械2が戻っていないことを示す警報を外部に出力する。
図7は、農業機械2の監視のフローをまとめた図である。
図7に示すように、通信装置3は、監視部26の開始、終了に関わらず、ブロードキャスト信号であるビーコンは、常に外部に送信している(S1)。携帯端末4は、第2取得部22によりサーバ5から作業計画を取得する(S2)。携帯端末4の監視部26は、作業計画に含まれる農作業時間において、農業終了時刻を過ぎると、監視の開始の処理に入る(S3)。監視の開始の処理において、監視部26は、携帯端末4がビーコンを受信できない場合は、警報を外部に送信する(S3−1)。例えば、予め定められた通報先に電子メール等で警報を送信する。
【0041】
一方、監視部26は、携帯端末4がビーコンを受信でき、さらに、ビーコンに含まれるSSID(設定SSID、変更SSID)に基づいて農業機械2が駆動や走行をしていないと判断できる場合、監視を開始する(S3−2)。
監視部26が監視を行っている状況下において、農業機械2のイグニッションスイッチがオンした場合、通信装置3は、「イグニッションスイッチがオンになっている」ことを示すステータス情報を含む変更SSIDである「KUBOTA−010」を送信する(S4)。携帯端末4が「KUBOTA−010」であるSSIDを受信すると(S5)、監視部26は、監視中に、イグニッションスイッチがオフからオンになったこと、即ち、農業機械2の状態が変化したことを検知する(S6)。そして、監視部26は、予め定められた通報先に警報を送信する(S7)。例えば、監視部26は、通報先に電子メール等で警報を送信する。なお、警報の伝達は、どのような方式であってもよく、音で警報を知らせても、光で警報を知らせてもよい。
【0042】
なお、監視部26は、ビーコンに含まれるステータス情報に基づいて、警報を外部に出力していた。これに代え、監視中において、携帯端末4がビーコンを受信している状況からビーコンを受信できなくなった場合、即ち、携帯端末4がSSIDを受信している状況からSSIDを受信できなくなった場合に、監視部26が警報を外部に出力してもよい。
例えば、
図8に示すように、監視中において、農業機械2が保管場所Pから移動することにより、通信装置3が保管場所Pから外れた場合、携帯端末4は、通信装置3から送信されたSSIDが受信できなくなる。監視部26は、監視中において、SSIDが受信できなくなったことを受けて、外部に警報を送信する。このようにすれば、農業機械2を駆動させずに、即ち、エンジン始動等をせずに盗難を試みた場合であっても、農業機械2が保管場所Pから離れたことを検出することができるため、農業機械2の盗難防止を行うことができる。
【0043】
以上、本発明によれば、携帯端末4と、農業機械2に搭載した通信装置3とを用いるだけで、農業機械2の監視を行うことができる。例えば、農業機械2を保管場所に格納して農業機械2の駆動を停止し、且つ、携帯端末4を保管場所或いは保管場所の周囲に設置するだけで、農業機械2の見守りを行うことができる。特に、携帯端末4では、第2取得部22によって農作業の予定を取得し、監視部26では、第2取得部22で取得した農作業の予定に基づいて農業機械2の監視を行うため、農業機械2で農作業を行っていない間に、当該農業機械2の監視を確実に行うことができる。
【0044】
また、第2取得部22は、農作業の予定として農作業時間を取得し、監視部26は、第2取得部22が取得した農作業時間外であるときに、農業機械2の監視を行っているため、農作業時間と連係して監視を行うことができる。言い換えれば、農業機械2の監視のために、農作業時間を携帯端末4に入れる必要はなく、携帯端末4が自動的に農作業時間を取得しつつ農作業時間を用いて監視も開始するため、作業者は、通常通り農作業をして農業機械2を保管場所に入れるだけで監視を行うことができる。
【0045】
また、通信装置3は農業機械2で行った農業実績を収集する一方で、収集した農業実績を携帯端末4に送信することができる装置であり、携帯端末4は、通信装置3から送信された農業実績をサーバ5に送信することができる装置である。つまり、通信装置3及び携帯端末4は、農業実績を収集する装置でありながら、農業機械2の監視を行うことができる。それゆえ、農業機械2を監視するための装置を、農業実績を収集する装置とは別に用意しなくてもよく、農業実績を収集する装置と農業機械2を監視する装置とを兼用化することができる。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態における農業機械2の監視システムを示している。この農業機械2の監視システムは、携帯端末4が所定の場所に設置された場合に、農業機械2の監視を行う。以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通する構成は説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、携帯端末4は、検知部27を有している。検知部27は、電子回路やプログラム等から構成されている。検知部27は、携帯端末4が所定の場所、即ち、農業機械2を保管する保管場所、或いは、保管場所の周囲に設置されたか否かを検知するものである。具体的には、検知部27は、収容箱8のコンセントに接続されることで当該携帯端末4に電力が供給され、且つ通信装置3からのビーコンを受信し、さらに、ビーコンを受信した継続時間が所定時間以上である場合に、携帯端末4が保管場所或いは保管場所の周囲に設置されたと判断する。即ち、検知部27は、携帯端末4が収容箱8に収容されたことを検知する。なお、所定時間とは、例えば、数分(2,3分)である。当然の如く、この数値は限定されないが、10分を超えないことが望ましい。
【0047】
検知部27によって、携帯端末4が保管場所或いは保管場所の周囲に設置されたと判断すると、監視部26は監視を開始する。監視部26が監視を開始後の処理は、上述した第1実施形態と同じである。
以上、本発明によれば、検知部27によって携帯端末4がどこに設置されたかを検知するだけで、簡単に農業機械2の監視を行うことができる。特に、検知部27で保管場所或いは保管場所の周囲に設置された収容箱8に、携帯端末4が収容されたことを検知しているため、確実に農業機械2の監視を行うことができる。
【0048】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、
特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態では、農業機械2の状態が予め定められた状態になった場合(例えば、イグニッションスイッチがオンになる)にSSIDを変更していたが、農業機械2の状態が変化した場合に、SSIDを変更してもよい。例えば、
図10に示すように、エンジンの駆動に関して、エンジンが駆動停止している状態から駆動開始に変化した場合(ステータス情報がエンジン駆動の無しから駆動有りに変化した場合)に、変更SSIDに示すようにSSIDを変更してもよい。同様に、作業装置に関して、作業装置が駆動停止している状態から駆動開始に変化した場合に、変更SSIDに示すようにSSIDを変更してもよい。