(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)第1の沈殿ステップにおいて、Cohnプールにエタノールを20%〜30%(v/v)の最終濃度で5.0〜6.0のpHで添加することによって前記Cohnプールから免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)を共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成し、該第1の沈殿物には、少なくとも、Cohnプールに含有される免疫グロブリンの90%以上、Cohnプールに含有されるA1PIの80%以上が含まれるステップと、
(b)第1の上清を取除き、第1の沈殿物を回収するステップと、
(c)第1の沈殿物中の免疫グロブリンを可溶化して、免疫グロブリンを含む可溶性部分およびA1PIを含む不溶性部分を有する第1の懸濁液を形成するステップと、
(d)第1の懸濁液の可溶性部分を第1の懸濁液の不溶性部分から分離するステップと、
(e)第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップと
を含む、Cohnプールから濃縮免疫グロブリン組成物を製造するための方法であって、ステップ(a)の前にアルコール沈殿が行われない、前記方法。
(a)第1の沈殿ステップにおいて、5.3〜5.7のpHおよび−6℃〜−8℃の温度で24%〜26%のアルコールを用いてCohnプールから免疫グロブリンを沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成し、該第1の沈殿物には、少なくとも、Cohnプールに含有される免疫グロブリンの90%以上、Cohnプールに含有されるA1PIの80%以上が含まれるステップと、
(b)第1の上清を取除き、第1の沈殿物を回収するステップと、
(c1)第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、
(c2)第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素(SiO2)で処理するステップと、
(d)第1の懸濁液の可溶性画分を第1の懸濁液の不溶性画分から分離するステップと、
(e)第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップと
を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
前記濃縮免疫グロブリン組成物が、ステップ(a)で使用された前記Cohnプール中に存在する少なくとも1つの免疫グロブリンクラスの免疫グロブリン含有量の少なくとも95%を含有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
第2の沈殿ステップが、pH6.5〜7.5で、最終濃度22%〜28%のエタノールを実現するように、エタノールを第1の懸濁液の可溶性画分に添加することを含む、アルコール沈殿ステップである、請求項17に記載の方法。
前記濃縮免疫グロブリン組成物が、ステップ(a)で使用された前記Cohnプール中の免疫グロブリンG含有量の少なくとも95%を含有する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0070】
発明の詳細な説明
I.導入部
いくつかの態様の中でも特に、本発明は、貯蔵された血漿から治療用タンパク質を単離するためのより効率的な方法を提供する。貯蔵された血漿を分画するための本明細書に提供される方法は、免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)を含む複数の治療上重要な血漿由来血液タンパク質の、より高い収量を提供する。特に重要な態様において、本発明は、治療用IgG組成物の製造に使用される最新の方法と比較して、血漿から単離される免疫グロブリンG(IgG)の収量を著しく増加させる方法を提供する。1つの実施形態において、これらの増加した収量は、低pH、高アルコール条件下で、出発血漿試料(本明細書において「Cohnプール」と称される)から免疫グロブリンおよびAIP1を沈殿させることで、実現される。低pH、高アルコール沈殿ステップは、出発Cohnプールの免疫グロブリン組成物の大量捕捉(mass capture)をもたらす。最新の免疫グロブリン製造プロセスと比較して、本明細書に提供される方法は、血漿の上流分画の間、免疫グロブリンの損失量を著しく減少させる。
【0071】
本発明の方法は、ヒト血漿から治療的投与用の十分に高い純度でタンパク質を単離するのに必要とされるタンパク質沈殿ステップの数を減少させ、同時に免疫グロブリンG(IgG)等の治療上重要な血液タンパク質の回収量を増加させる。具体的には、本方法は、Cohn−Oncley、Kistler−Nitschmann、およびDeutsch分画スキームから派生した製造プロセスにおいて使用される、一般に画分I沈殿と称される初期の高pH、低アルコール沈殿ステップの必要性を排除する。代わりに、本明細書に提供される方法は、沈殿物中の血漿のIgG、IgA、IgM、およびα−1−アンチトリプシン(A1PI)含有量のバルクと、上清中のアルブミンのバルクとを分配する初期の低pH、高アルコール沈殿ステップ(本明細書において画分I−IV−1沈殿と称される)を用いる。IgGは次いで、様々な方法を通してIgA、IgM、およびA1PIから分離され、高収量のIgG組成物をもたらす。画分I沈殿ステップを用いる方法と比較して、初期画分I−IV−1沈殿ステップにおけるIgGの大量捕捉は、製造プロセスの最終収量を少なくとも10〜25%増加させる。
【0072】
E.J.Cohnは、1946年に、塩ではなく、エタノールを使用する血漿の分画方法を最初に確立した。これ以降、エタノール沈殿は、IgGおよびA1PI等の血漿由来生成物の大規模製造のために選択される方法となった。典型的には、これらの製造プロセスは、一連のエタノール分画ステップを用いて種々の血漿由来血液タンパク質の粗画分を提供し、それは種々の異なる下流の手法/技術によってさらに濃縮される。
【0073】
Cohn手法は、アルコールを用いた分画沈殿によって比較的高い(95%)純度でアルブミンを得るために、最初に開発された。しかしながら、すぐに、より高濃縮の免疫グロブリン組成物の精製のための出発材料として、Cohn法6番からの特定のタンパク質沈殿物(画分II+III)を使用し得るということが、Oncleyら、Deutschら、ならびにKistlerおよびNitschmannによって認められた。IgG組成物の静脈内投与に必要とされる、より高い純度および安全性を実現するために、IgG製造プロセスには、アルコール分画ステップ後に、いくつかの精製および仕上げステップ(例えば、一般的には吸着、または全ての異なるクロマトグラフ技術、直交流濾過等)が追加された。
【0074】
典型的には、IgG製造は、下流処理における出発材料としてのCohn法6画分II+III沈殿物またはKistler−Nitschmann沈殿物Aのいずれかに依存する。両方の画分が、2ステップのプロセスによって形成される:i.)フィブリノゲンおよび第XIII因子等のタンパク質が、高pH(7.2)および低エタノール濃度(8〜10%v/v)で実施される初期沈殿ステップ(画分I沈殿)によって除去される、ii.)IgGは、pH6.8で、20〜25%(v/v)のエタノール(画分II+III)によって、またはpH5.85で、19%(v/v)のエタノール(沈殿物A)によって、画分I上清から沈殿し、一方、アルブミンおよびA1PIのかなりの部分が上清中に残存する。しかしながら、IgG組成物の製造のために画分II+III沈殿物または沈殿物Aを出発材料として使用することは、上述のようにプロセス中のいくつかのステップでのIgGの損失をもたらす。
【0075】
これらの問題を克服するために、本発明者らは、免疫グロブリンおよびA1PIを共沈殿させて、原料血漿のIgGおよびA1PI含有量のほぼすべてを含有する出発材料を提供する一方で、アルブミンが上清中に残存する、初期精製ステップを開発した。この分画ステップは、Oncleyら(上記参照)によって記載される分画沈殿ステップI、II+III、およびIV−1を、本明細書において画分I+II+III+IV−1(または画分I−IV−1)沈殿と称される単一沈殿反応に本質的にまとめる。
【0076】
1つの態様において、本発明は、出発材料として画分I−IV−1沈殿物を使用する、静脈内、皮下、または筋肉内投与用の高収量免疫グロブリン組成物を製造するためのプロセスを提供する。種々の実施形態において、本方法は、画分I−IV−1沈殿物からの免疫グロブリンの抽出中に形成される懸濁液の不溶性画分への、α−1−アンチトリプシン(A1PI)の分離をさらに含む。分離された不溶性画分は次いで、血漿由来A1PI組成物の製造のための出発材料として使用され得る。
【0077】
1つの実施形態において、本発明は、貯蔵された血漿から単離されるタンパク質の治療用組成物を製造するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、これらの製造方法は、種々の血液タンパク質の回収を従来の方法と比較して増加させる、初期低pH、高アルコール(例えば、エタノール)沈殿ステップを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ヒト血液、血漿、またはそれらの派生物から単離された、免疫グロブリン(例えば、IgG)、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、ブチリルコリンエステラーゼ、H因子、またはインターαトリプシンインヒビター(IαI)タンパク質を含有する1つまたは複数の治療用組成物の製造に有用である。
【0078】
II.定義
本明細書に使用される場合、「IgG治療」という用語は、概して、免疫不全、炎症性疾患、および自己免疫疾患等のいくつかの状態を治療するために、患者にIgG免疫グロブリンの組成物を静脈内、皮下、または筋肉内投与する治療法を指す。IgG免疫グロブリンは、典型的には、血漿から貯蔵され、調製される。全長抗体または断片を使用することができる。IgG免疫グロブリンは、皮下投与用により高い濃度(例えば、10%超)に製剤化されてもよく、または筋肉内投与用に製剤化されてもよい。これは、特定の抗原(例えば、Rho D因子、百日咳毒素、破傷風毒素、ボツリヌス毒素、狂犬病等)に対して平均を上回る力価に調製される専門的なIgG調製において特に多く見られる。
【0079】
本明細書に使用される場合、「脱クリオ血漿」は、凍結に近い温度、例えば約10℃未満の温度で、好ましくは約6℃を超えない温度で血漿または貯蔵された血漿を解凍することによって形成される寒冷沈降物の除去後に生じる上清を指す。本発明の文脈において、血漿は、回収血漿(すなわち、エクスビボで全血から分離された血漿)または原料血漿(すなわち、プラスマフェレーシスを介して収集された血漿)を互換的に指し得る。寒冷沈降は一般的に、例えば、新鮮な血漿もまた使用され得るが、安全性および品質の考慮すべき事項について既にアッセイされている、前もって凍結された貯蔵された血漿を解凍することによって実施される。低温での凍結血漿の解凍完了後、液体上清からの固体寒冷沈降物の分離が、遠心分離または濾過によって冷却下(例えば、6℃以下)で実施される。
【0080】
本明細書に使用される場合、「Cohnプール」とは、血漿試料または血漿試料プールの分画のために使用される出発材料を指す。Cohnプールは、全血漿、脱クリオ血漿、および前処理ステップに供された脱クリオ血漿のうちの1つまたは複数を含み得る。ある特定の実施形態において、Cohnプールは脱クリオ血漿試料であり、そこから1種または複数種の血液因子が、前処理ステップにおいて、例えば、固相(例えば、水酸化アルミニウム、微粉化二酸化ケイ素等)への吸着、またはクロマトグラフィーステップ(例えば、イオン交換もしくはヘパリン親和性クロマトグラフィー)によって、除去されている。第8因子インヒビターバイパス活性(FEIBA)、第IX因子複合体、第VII因子、プロトロンビン複合体、および/またはアンチトロンビンIIIが挙げられるが、これらに限定されない種々の血液タンパク質は、分画の前に脱クリオ血漿試料から単離され得る。
【0081】
本明細書に使用される場合、「濃縮組成物」という用語は、タンパク質の純度が出発血漿試料におけるタンパク質の純度を上回る、血漿試料から単離されたタンパク質組成物を指す。1つの実施形態において、濃縮組成物中のタンパク質は、出発血漿試料におけるものよりも少なくとも25%超純粋である。他の実施形態において、濃縮組成物は、出発血漿試料よりも少なくとも50%、75%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれ以上純粋である。例えば、総タンパク質の70%がIgGである濃縮IgG組成物は、総タンパク質の10%がIgGである出発血漿試料と比較して7倍濃縮されている。
【0082】
本明細書に使用される場合、「拡散添加」という用語は、非局在化様式で物質を液系に添加する手段を指す。拡散添加は、例えば、液体(例えば、アルコール、pH調整剤、溶媒、洗浄剤、または他の液体)を液系(例えば、血漿画分)に噴霧するか、もしくは霧状にして吹き付ける、液体を系中に複数の場所で導入する、拡散ポートを使用して液体を系中に導入する、液体をインペラーもしくは他の分散要素に、またはその近位に導入する、あるいは固体状態で存在する化学物質を液系の広い領域にわたって分布させることによって、実現され得る。
【0083】
本明細書に使用される場合、「噴霧する」という用語は、例えば、画分I−IV−1沈殿ステップ等のアルコール沈殿ステップの間に、液体物質をその微細な液滴または霧の形態で系中に送達する手段を意味する。噴霧は、スプレーヘッドまたはノズルを有し、手動で、または自動で操作されて液体から微細な霧を発生させる容器(例えば、スプレーボトル)等の任意の加圧装置によって実現され得る。典型的には、噴霧は、系内で液体の急速かつ均等な分布を確実にするために、液体物質を受ける系が連続的に撹拌されるか、またはさもなければ混合されている間に、実施される。
【0084】
本明細書に使用される場合、「溶媒」という用語は、1種または複数種の他の物質を溶解させるか、または分散させることが可能な任意の液体物質を包含する。溶媒は、水等の自然界の無機物であってもよく、またはエタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、石油エーテル等の有機液体であってもよい。「溶媒洗浄剤処理(solvent detergent treatment)」という用語において使用される場合、溶媒は、溶液中の脂質エンベロープウイルスを不活性化するために使用される溶媒洗浄剤混合物の一部である有機溶媒(例えば、トリ−N−ブチルホスフェート)を意味する。
【0085】
本明細書に使用される場合、「洗浄剤」という用語は、本明細書において「界面活性剤(surfactant)」または「界面活性剤(surface acting agent)」という用語と互換的に使用される。界面活性剤は、典型的には、両親媒性である、すなわち、有機溶媒および水の両方において界面活性剤を可溶性にする疎水基(「尾部」)および親水基(「頭部」)の両方を含む、有機化合物である。界面活性剤は、その頭部における形式上の荷電基の存在において分類され得る。非イオン界面活性剤は、その頭部に荷電基を有さず、一方、イオン界面活性剤は、その頭部に正味荷電を担持する。双性イオン界面活性剤は、2つの逆荷電基を有する頭部を含む。一般的な界面活性剤のいくつかの例として、(硫酸、スルホン酸、またはカルボン酸陰イオンに基づく)陰イオン性では、パーフルオロオクタノエート(PFOAもしくはPFO)、パーフルオロオクタンスルホネート(PFOS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、および他のアルキル硫酸塩、ラウレス硫酸ナトリウム(ラウリルエーテル硫酸ナトリウムもしくはSLESとしても知られる)、アルキルベンゼンスルホネート;(第4級アンモニウム陽イオンに基づく)陽イオン性では、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、別名、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、および他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT);カプリレート、カプリル酸、ヘプタノエート(heptanoat)、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ナノ酸(nanoic acid)、デカン酸等を含む長鎖脂肪酸およびそれらの塩;双性イオン性(両性)では、ドデシルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシネート;非イオン性では、アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルフェノールポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)との共重合体(ポロキサマーまたはポロキサミンとして市場で知られている)、オクチルグルコシド、デシルマルトシドを含むアルキルポリグルコシド、脂肪アルコール(例えば、セチルアルコールおよびオレイルアルコール)、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート(Tween20、Tween80等)、トリトン洗浄剤、およびドデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
【0086】
「治療的に有効な量または投与量」または「十分な/有効な量または投与量」は、投与されて効果をもたらす投与量を意味する。正確な投与量は、治療目的に左右され、当業者により、既知の技術を利用して確認される(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1−3,1992)、Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Pickar,Dosage Calculations(1999)、およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams&Wilkinsを参照されたい)。
【0087】
本明細書に使用される場合、「初期低pH、高アルコール沈殿」および「画分I−IV−1沈殿」という用語は、互換的に、20%〜30%(v/v)の最終アルコール濃度(典型的にはエタノール)およびpH5.0〜6.0でのCohnプールからのタンパク質の沈殿を指す。概して、結果として得られる画分I−IV−1沈殿物は、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも90%、好ましくは、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%を含有する。ある好ましい実施形態において、免疫グロブリンは、IgG免疫グロブリンを含む。別の好ましい実施形態において、α−1−アンチトリプシン(A1PI)は、画分I−IV−1沈殿において免疫グロブリンと共沈殿する。
【0088】
III.血漿の分画
1つの態様において、本発明は、出発血漿の免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)含有量の大半が沈殿され、かつ出発血漿のアルブミン含有量の大半が上清中に保持される初期沈殿ステップを用いて、治療用タンパク質を貯蔵された血漿から分画するための方法を提供する。この初期沈殿ステップから開始することで、いくつかの治療上重要な血液タンパク質を高回収量で製造することができる。
【0089】
1つの実施形態において、本発明は血漿試料中の血液タンパク質を分画するための方法を提供し、本方法は低pH、高アルコール条件下で免疫グロブリンおよびA1PIを出発血漿から沈殿させることを含む。この低pH、高アルコール沈殿ステップは、沈殿物(本明細書において、画分I−IV−1沈殿物と称される)および上清(本明細書において、画分I−IV−1上清と称される)の形成をもたらす。
【0090】
画分I−IV−1上清は、出発血漿のアルブミン含有量の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を含有する。したがって、この上清は、薬学的アルブミン組成物を製造するための出発材料として使用され得る。
【0091】
画分I−IV−1沈殿物は、出発血漿の免疫グロブリン含有量の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%を含有する。ある具体的な実施形態において、画分I−IV−1沈殿物は、出発血漿のIgG含有量の少なくとも98%、好ましくは99%を含有する。したがって、この沈殿物は、薬学的免疫グロブリン組成物を製造するための出発材料として使用され得る。1つの実施形態において、画分I−IV−1沈殿物は、薬学的IgG組成物を製造するための出発材料として使用される。さらに別の実施形態において、画分I−IV−1沈殿物は、2つ以上の免疫グロブリンサブタイプを含有する薬学的免疫グロブリン組成物を製造するための出発材料として使用される。
【0092】
同様に、画分I−IV−1沈殿物は、出発血漿のA1PI含有量の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、最も好ましくは少なくとも98%を含有する。したがって、この沈殿物は、薬学的A1PI組成物を製造するための出発材料として使用され得る。
【0093】
画分I−IV−1沈殿物はまた、出発血漿のH因子含有量の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%を含有する。したがって、この沈殿物は、薬学的H因子組成物を製造するための出発材料として使用され得る。
【0094】
画分I−IV−1沈殿物はまた、出発血漿のインターαインヒビター(IaIp)含有量の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%を含有する。したがって、この沈殿物は、薬学的IaIp組成物を製造するための出発材料として使用され得る。
【0095】
1つの態様において、本発明は、免疫グロブリンを、画分I−IV−1沈殿物中に見出されるA1PIから分離するための方法を提供する。1つの実施形態において、本方法は、画分I−IV−1沈殿物の懸濁液の不溶性部分にA1PIを残したまま、懸濁液中の免疫グロブリンを可溶化し、次いで、例えば濾過または遠心分離によって可溶性部分と不溶性部分を分離することを含む。1つの実施形態において、分離は、可溶性部分と不溶性部分を分離する前に画分I−IV−1懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理することによって促進される。理論に束縛されるものではないが、二酸化ケイ素は、免疫グロブリンと共に可溶化されているA1PIに結合し得、懸濁液の不溶性部分に分配されたA1PIの量を増加させる。
【0096】
さらに、H因子およびIaIpは、ある特定の条件下で粒状二酸化ケイ素に結合することが知られている(国際公開公報第2011/011753号、国際出願PCT/US2011/45099号、および国際出願PCT/US2011/038247号(これらの開示は、あらゆる目的においてその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる)を参照されたい)。したがって、1つの実施形態において、本発明は、免疫グロブリンを、画分I−IV−1沈殿物中に見出されるA1PI、H因子、およびIaIpから分離するための方法を提供し、本方法は、画分I−IV−1沈殿物を、免疫グロブリンを可溶化するのに十分な水または低伝導率緩衝液中に懸濁することと、懸濁液を二酸化ケイ素で処理することと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離することとを含む。
【0097】
上で提供される方法の1つの実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された可溶性部分は、出発血漿試料のIgG含有量の少なくとも80%を含有する。ある好ましい実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された可溶性部分は、出発血漿試料のIgG含有量の少なくとも90%を含有する。より好ましい実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された可溶性部分は、出発血漿試料のIgG含有量の少なくとも95%を含有する。さらに他の実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の可溶性部分は、出発血漿試料のIgG含有量の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を含有する。
【0098】
上で提供される方法の1つの実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された不溶性部分は、出発血漿試料のA1PI含有量の少なくとも70%を含有する。ある好ましい実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された不溶性部分は、出発血漿試料のA1PI含有量の少なくとも80%を含有する。より好ましい実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された不溶性部分は、出発血漿試料のA1PI含有量の少なくとも90%を含有する。より好ましい実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された不溶性部分は、出発血漿試料のA1PI含有量の少なくとも95%を含有する。さらに他の実施形態において、画分I−IV−1懸濁液の分離された不溶性部分は、出発血漿試料のA1PI含有量の少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を含有する。
【0099】
初期大量沈殿ステップ(例えば、画分I−IV−1沈殿)を使用して分画された血液タンパク質は、好適な手法、例えば、沈殿(例えば、アルコール分画またはポリエチレングリコール分画)、クロマトグラフ法(イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー等)、濾過(限外濾過/透析濾過、ナノ濾過)、超遠心分離、電気泳動調製等によって、さらに濃縮され得る。
【0100】
A.脱クリオ血漿の調製
濃縮IgG組成物の調製に使用される出発材料は概して、回収血漿(すなわち、エクスビボで全血から分離された血漿)または原料血漿(すなわち、プラスマフェレーシスを介して収集された血漿)のいずれかから成る。精製プロセスは、典型的には、安全性および品質の考慮すべき事項について既にアッセイされている、前もって凍結された貯蔵された血漿を解凍することから始める。解凍は、典型的には6℃を上回らない温度で行われる。低温での凍結血漿の解凍完了後、冷却下(例えば、6℃以下)で遠心分離を実施し、固体寒冷沈降物を液体上清から分離する。代替として、分離ステップは、遠心分離ではなく濾過によって実施されてもよい。液体上清(寒冷不溶性タンパク質が新鮮な解凍血漿から遠心分離によって除去された後、「脱クリオ血漿」とも称される)は、次いで、次のステップにおいて処理される。種々の追加のステップが、第8因子インヒビターバイパス活性(FEIBA)、第IX因子複合体、第VII因子、アンチトロンビンIII、プロトロンビン複合体等の単離のためにこの時点で行われてもよい。
【0101】
B.第1の沈殿事象 − 画分I−IV−1沈殿
1つの実施形態において、本発明は、血漿試料中の血液タンパク質を分画するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいて、低pH、高アルコール条件下で免疫グロブリンおよびA1PIを出発血漿から沈殿させることを含む。この低pH、高アルコール沈殿ステップは、沈殿物(画分I−IV−1沈殿物)および上清(画分I−IV−1上清)の形成をもたらす。
【0102】
1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.0〜6.0のpHで20%〜30%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールを出発血漿プール(Cohnプール)と混合することによって実施される。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±2%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±1%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。同様に、1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.5のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.4のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.3のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.2のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.1のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5のpHで実施される。さらに他の実施形態において、第1の沈殿ステップの最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、バリエーション(Var.)1〜2166から選択される。
【0103】
(表1)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0104】
(表2)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0105】
(表3)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0106】
(表4)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0107】
(表5)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0108】
(表6)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0109】
(表7)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0110】
(表8)Cohnプールの低pH、高アルコール沈殿に有用な、pHおよび最終エタノール濃度の組み合わせ
【0111】
したがって、1つの実施形態において、本発明は血漿試料中の血液タンパク質を分画するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいて、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって免疫グロブリンおよびA1PIを沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップとを含み、第1の上清はCohnプールのアルブミン含有量の少なくとも75%を含有する。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。
【0112】
本明細書に提供される方法の1つの実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも90%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも95%が沈殿する。より好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも99%が沈殿する。ある特定の実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が沈殿する。より具体的な実施形態において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量は、出発CohnプールのIgG、IgA、およびIgM含有量を指す。1つの具体的な実施形態において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量は、出発CohnプールのIgG含有量を指す。
【0113】
本明細書に提供される方法の1つの実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールのα−1−アンチトリプシン(A1PI)含有量の少なくとも80%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも90%が沈殿する。より好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも95%が沈殿する。ある特定の実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が沈殿する。
【0114】
本明細書に提供される方法の1つの実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのH因子含有量の少なくとも70%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのH因子含有量の少なくとも80%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのH因子含有量の少なくとも90%が沈殿する。より好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのH因子含有量の少なくとも95%が沈殿する。ある特定の実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのH因子含有量の少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が沈殿する。
【0115】
本明細書に提供される方法の1つの実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールのインターαインヒビター(IaIp)含有量の少なくとも70%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのIaIp含有量の少なくとも80%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのIaIp含有量の少なくとも90%が沈殿する。より好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのIaIp含有量の少なくとも95%が沈殿する。ある特定の実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのIaIp含有量の少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が沈殿する。
【0116】
したがって、1つの実施形態において、本発明は、Cohnプール中の血液タンパク質を分画するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいて、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって免疫グロブリン、A1PI、H因子、およびIaIpを沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップとを含み、第1の沈殿物が、i.)出発CohnプールのIgG含有量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも99%、ii.)出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも97%、iii.)出発CohnプールのH因子含有量の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、ならびにiv.)出発CohnプールのIaIp含有量の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%を含有し、さらに、第1の上清が、Cohnプールのアルブミン含有量の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%を含有する。1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.0〜6.0のpHで22%〜28%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールを出発血漿プール(Cohnプール)と混合することによって実施される。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±2%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±1%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。同様に、1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.5のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.4のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.3のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.2のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.1のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5のpHで実施される。さらに他の実施形態において、第1の沈殿ステップの最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0117】
IV.免疫グロブリン組成物の調製
概して、本発明に従う免疫グロブリン調製物は、任意の好適な出発血漿材料、例えば、回収血漿または原料血漿から調製され得る。典型的な例において、血液または血漿は健常な提供者から収集される。通常、血液は、免疫グロブリン調製物を投与する対象と同じ種の動物から収集される(典型的には、「同種」免疫グロブリンと称される)。回収または原料血漿は、脱クリオ血漿を提供するために、寒冷沈降されてもよく、またはされなくてもよい。さらに、血漿または脱クリオ血漿はまた、吸着、イオン交換クロマトグラフィー、または他のクロマトグラフ法によって1種または複数種の血液因子を除去するように処理されてもよい。免疫グロブリンは次いで、「Cohnプール」と称される血漿または脱クリオ血漿出発材料から低pH、高アルコール条件下で沈殿され、画分I−IV−1沈殿物を形成する。
【0118】
免疫グロブリンは、好適な手法、例えば、沈殿(アルコール分画またはポリエチレングリコール分画)、クロマトグラフ法(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー等)、濾過(限外濾過/透析濾過、ナノ濾過)、超遠心分離、電気泳動調製等によって、画分I−IV−1沈殿物からさらに濃縮され得る。(例えば、Cohn et al.,J.Am.Chem.Soc.68:459−75(1946)、Oncley et al.,J.Am.Chem.Soc.71:541−50(1949)、Barundern et al.,Vox Sang.7:157−74(1962)、Koblet et al.,Vox Sang.13:93−102(1967)、米国特許第5,122,373号および同第5,177,194号、国際出願PCT/US2010/036470号、ならびに国際出願PCT/US2011/038247号(これらの開示は、あらゆる目的においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0119】
A.上流処理
いくつかの態様の中でも特に、本発明は、出発血漿の免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン含有量の大半を沈殿させる初期沈殿ステップを実施することによって、貯蔵された血漿中に存在するタンパク質を分画するための方法を提供する。初期沈殿ステップの沈殿物および上清中に見出される個々の血漿タンパク質(例えば、IgG、A1PI、H因子、IaIp等)の純度をさらに高めるために、これらの組成物は、分画(例えば、アルコール沈殿、PEG沈殿、塩析等によって)、クロマトグラフィー、濾過、または他の方法によって、さらに濃縮され得る。血漿由来タンパク質の濃縮のためにこれら種々の技術が任意の順序で使用され得るが、ある特別な実施形態において、第1の沈殿物および/または上清は、最初に分画され(例えば、エタノール沈殿によって)、次いで、クロマトグラフおよび/または濾過技術を使用して濃縮される。本発明の文脈において、初期沈殿反応およびその後の分画は、集合的に「上流処理」ステップと称され、クロマトグラフおよび濾過ステップは、集合的に「下流処理」と称される。
【0120】
1.大量免疫グロブリン沈殿
本明細書に記載のように、本発明者らは、免疫グロブリン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、H因子、インターαインヒビタータンパク質(IaIp)、アルブミン、フィブリノゲン等の治療上有益な血液タンパク質を精製するために、ヒト血漿を分画するための改良された方法を発見した。本方法は、出発Cohnプール(すなわち、血液、血漿、および/または前処理された血漿)の免疫グロブリン、A1PI、H因子、IaIp、およびフィブリノゲン含有量の大半が沈殿され、出発Cohnプールのアルブミン含有量の大半が上清中に残存する、最初の精製ステップを組み込む。有利には、本発明者らは、初期沈殿物から免疫グロブリンを抽出するが、他のタンパク質を抽出しないことによって、免疫グロブリンをA1PI、H因子、およびIaIpから分離する方法を開発した。具体的には、本発明者らは、初期沈殿物の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素(SiO
2)で処理することが、不溶性画分中のA1PI、H因子、およびIaIpの保持を改善することを発見した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、沈殿物から最初に抽出され得るA1PI、H因子、およびIaIpが、ある特定の条件下では、その後懸濁液の不溶性部分と共に除去される微粉化二酸化ケイ素に結合すると考えている。結果として得られる上清(すなわち、懸濁液の可溶性画分)の分離は、出発Cohn画分の免疫グロブリン含有量の大半を含む濃縮された溶液を提供する。
【0121】
1つの態様において、本発明はCohnプールから濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)をCohnプールから共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。概して、免疫グロブリンおよびA1PIの沈殿のための任意の化学的方法が使用されてもよく、(例えば、エタノールまたはメタノールを使用する)アルコール沈殿、水溶性ポリマー(例えば、PEGまたはデキストラン)を使用する沈殿、ならびに(例えば、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム等を使用する)塩析が挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態において、沈殿は、アルコール沈殿、好ましくはエタノール沈殿である。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0122】
1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.0〜6.0のpHで20%〜30%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合することによって実施される。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±2%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±1%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。同様に、1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.5のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.4のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.3のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.2のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.1のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5のpHで実施される。さらに他の実施形態において、第1の沈殿ステップの最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0123】
本明細書に提供される方法は、初期沈殿反応において出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の大半が沈殿するため、初期低アルコール沈殿ステップ(すなわち、画分I沈殿)に依存する最新の精製手法と比較して、最終濃縮生成物において免疫グロブリンのはるかに高い回収量を提供する。
【0124】
したがって、本明細書に提供される方法の1つの実施形態において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも90%が、初期沈殿反応において沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも95%が沈殿する。より好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも99%が沈殿する。ある特定の実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が沈殿する。1つの具体的な実施形態において、出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量は、出発CohnプールのIgG含有量を指す。
【0125】
本明細書に提供される実施例に示されるように、初期低pH、高アルコール沈殿ステップ(すなわち、画分I−IV−1沈殿)の使用は、出発CohnプールのIgG含有量の少なくとも99%の沈殿をもたらす。したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度となるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgG含有量の99%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、第1の沈殿物からIgGを回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。
【0126】
表15および表31に示されるデータからも明らかなように、Cohnプールのα−1−アンチトリプシン(A1PI)含有量の97%超がまた、初期低pH、高アルコール沈殿ステップによって沈殿される。したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0127】
さらに、初期低pH、高アルコール沈殿ステップによって、Cohnプールのアルブミン含有量の90%超が沈殿せず(表33)、ゆえに、上清から回収され得ることが分かった。したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0128】
2.免疫グロブリンの抽出および分離
Cohn画分II+III沈殿物またはKistler−Nitschmann沈殿物Aと比較して、本明細書に提供される方法によって形成された初期沈殿物は、A1PIおよびフィブリノゲンを含む、大幅に高いレベルの非免疫グロブリンタンパク質を含有する。例えば、表30に示されるように、初期低pH、高アルコール沈殿反応において、出発Cohnプールのフィブリノゲン含有量のほぼ100%が免疫グロブリンと共沈殿される。これは、初期低アルコール沈殿ステップ(画分I沈殿)において、フィブリノゲンのバルクが除去されるCohn−OncleyおよびKistler−Nitschmann精製スキームと対照的である。同様に、表15および表31に示されるように、初期低pH、高アルコール沈殿反応において、出発Cohnプールのα−1−アンチトリプシン(A1PI)含有量の97%超が免疫グロブリンと共沈殿される。対照的に、Cohn−OncleyおよびKistler−Nitschmann精製スキームでは、A1PIのバルクは免疫グロブリンと共沈殿されない。むしろ、A1PIは、画分II+III上清または上清A中に見出される。
【0129】
したがって、医薬品グレードの免疫グロブリン組成物を提供するために、初期沈殿物中に存在するA1PIおよびフィブリノゲン等の混入物を免疫グロブリン組成物から除去する必要がある。これは、例えば、第1の沈殿物のさらなる分画(例えば、アルコール、非イオン親水性ポリマーを使用する示差沈殿、または塩析による)、クロマトグラフィー手法、または濾過手法によって実現され得る。
【0130】
1つの実施形態において、第1の沈殿物は、免疫グロブリンを沈殿物から抽出するのに好適な注射用水(WFI)または低イオン強度緩衝液中に懸濁される。ある特定の実施形態において、懸濁液は次いで、微粉化二酸化ケイ素(SiO
2)で処理され、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分は、A1PIおよびフィブリノゲンのバルクを含有する懸濁液の不溶性部分から分離される。
【0131】
第1の沈殿物の抽出に好適な溶液は、概して、4.0〜5.5のpHを有する。ある特定の実施形態において、溶液は4.5〜5.0のpHを有し、他の実施形態において、抽出溶液は、約4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、または5.5のpHを有する。ある好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.7±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.8±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.9±0.1である。概して、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、第一リン酸塩、第二リン酸塩、それらの混合物等から選択される緩衝剤を使用してこれらのpH要件を満たすことができる。好適な緩衝液濃度は、典型的には、5〜100mM、または10〜50mM、または5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100mM緩衝剤の範囲である。
【0132】
抽出緩衝液は、好ましくは0.5mS/cm〜2.0mS/cmの伝導率を有する。例えば、ある特定の実施形態において、抽出緩衝液の伝導率は、0.5±0.1mS/cm、または0.6±0.1、0.7±0.1、0.8±0.1、0.9±0.1、1.0±0.1、1.1±0.1、1.2±0.1、1.3±0.1、1.4±0.1、1.5±0.1、1.6±0.1、1.7±0.1、1.8±0.1、1.9±0.1、もしくは2.0±0.1mS/cmである。当業者は、適切な伝導率を有する抽出緩衝液の生成方法を知っている。1つの特別な実施形態において、抽出緩衝液は、4.8±0.2のpHおよび0.7〜0.9mS/cmの伝導率で、5mM 第一リン酸ナトリウムおよび5mM 酢酸塩を含有する。
【0133】
1つの実施形態において、微粉化二酸化ケイ素は、濾過の前に画分I−IV−1懸濁液と混合される。1つの実施形態において、この前処理ステップは、微粉化二酸化シリカ粒子(例えば、ヒュームドシリカ;Aerosil(登録商標))の添加を含み、懸濁液が絶えず混合される40〜80分のインキュベーション期間が続く。ある特定の実施形態において、インキュベーション期間は、約50分〜約70分、または約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90分、もしくはそれ以上である。概して、処理は、0℃〜10℃で、または2℃〜8℃で実施される。ある特定の実施形態において、処理は、約0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃で実施され得る。ある特別な実施形態において、処理は、2℃〜10℃で実施される。ある好ましい実施形態において、処理は、5℃〜10℃で実施される。
【0134】
1つの実施形態において、ヒュームドシリカは、20g/kg画分I−IV−1沈殿物〜100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加される。別の実施形態において、ヒュームドシリカは、30g/kg画分I−IV−1沈殿物〜80g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加される。ある特定の実施形態において、ヒュームドシリカは、約20g/kg画分I−IV−1沈殿物、または約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加され得る。1つの具体的な実施形態において、ヒュームドシリカ(例えば、Aerosil380または同等物)は、40±20g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように画分I−IV−1懸濁液に添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように画分I−IV−1懸濁液に添加される。混合は、2℃〜8℃で少なくとも50〜70分間行われる。
【0135】
ある特定の実施形態において、SiO
2は、0.01g/g総タンパク質〜10g/g総タンパク質の濃度で免疫グロブリン組成物に添加される。別の実施形態において、SiO
2は、0.01g/g総タンパク質〜5g/g総タンパク質の濃度で免疫グロブリン組成物に添加される。別の実施形態において、SiO
2は、0.02g/g総タンパク質〜4g/g総タンパク質の濃度で免疫グロブリン組成物に添加される。1つの実施形態において、SiO
2は、総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.1gの最終濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.2gの濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.25gの濃度で添加される。他の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも1gの濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも2gの濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも2.5gの濃度で添加される。さらに他の具体的な実施形態において、微粉化二酸化ケイ素は、少なくとも0.01g/g総タンパク質、または総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.02g、0.03g、0.04g、0.05g、0.06g、0.07g、0.08g、0.09g、0.1g、0.2g、0.3g、0.4g、0.5g、0.6g、0.7g、0.8g、0.9g、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、3.0g、3.5g、4.0g、4.5g、5.0g、5.5g、6.0g、6.5g、7.0g、7.5g、8.0g、8.5g、9.0g、9.5g、10.0g、もしくはそれ以上の濃度で添加される。
【0136】
したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0137】
さらに、初期低pH、高アルコール沈殿ステップによって、Cohnプールのアルブミン含有量の90%超が沈殿せず(表33)、ゆえに、上清から回収され得ることが分かった。したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、懸濁液の可溶性部分に存在するIgGが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するA1PIが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するフィブリノゲンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するH因子が、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するIaIpが、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0138】
3.分画
1つの実施形態において、第1の懸濁液(I−IV−1糊状懸濁液)の可溶性部分から回収された免疫グロブリンは、分画によりさらに濃縮される。概して、分画の任意の方法(例えば、アルコールもしくはポリマー沈殿、塩析等)が使用され得る。ある好ましい実施形態において、免疫グロブリンは、エタノール沈殿によって第1の懸濁液の可溶性部分を分画することでさらに濃縮される。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、少なくとも1つの混入物を沈殿させずに、免疫グロブリンを沈殿させるのに適した最終濃度およびpHでエタノールを第1の懸濁液の可溶性部分に添加することで濃縮される。別の実施形態において、免疫グロブリンは、免疫グロブリンを沈殿させずに、少なくとも1つの混入物を沈殿させるのに適した最終濃度およびpHでエタノールを第1の懸濁液の可溶性部分に添加することで濃縮される。
【0139】
初期低pH、高アルコール沈殿ステップから回収された物質の追加の分画が、任意選択である。ある特定の実施形態において、初期低pH、高アルコール沈殿ステップから回収された免疫グロブリン組成物は、本明細書に記載の種々の下流処理ステップのうちの1つまたは複数を使用して、さらに濃縮されてもよい。他の実施形態において、初期低pH、高アルコール沈殿ステップから回収された組成物は、1つまたは複数の追加の沈殿ステップを用いてさらに処理されてもよい。ある特定の実施形態において、さらなる免疫グロブリン沈殿ステップを使用して、免疫グロブリン組成物を濃縮する、保管用免疫グロブリンを調製する、および/または運搬用免疫グロブリン組成物を調製することができる。
【0140】
1つの実施形態において、本発明はCohnプールから濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)をCohnプールから共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、懸濁液からA1PIを取り出すステップと、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0141】
一例となる実施形態において、第2の沈殿ステップは、エタノールを22%〜28%(v/v)の最終濃度で6.5〜7.5のpHで第2の懸濁液の可溶性部分(例えば、濾過または遠心分離後に形成された、懸濁液の濾液または上清)と混合することによって実施される。1つの実施形態において、エタノールは、25±3%(v/v)の最終濃度になるように混合される。別の実施形態において、エタノールは、25±2%(v/v)の最終濃度になるように混合される。別の実施形態において、エタノールは、25±1%(v/v)の最終濃度になるように混合される。別の実施形態において、エタノールは、25%(v/v)の最終濃度になるように混合される。同様に、1つの実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.5のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.4のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.3のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.2のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.1のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0のpHで実施される。ある特別な実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.3のpHで25±3%(v/v)の最終エタノール濃度を使用して実施される。
【0142】
ある好ましい実施形態において、第1の懸濁液またはその可溶性画分は、第2の沈殿ステップを実施する前に洗浄剤で処理される。1つの実施形態において、第1の懸濁液またはその可溶性画分は、第2の沈殿ステップを実施する前にクエン酸塩でさらに処理される。ある特別な実施形態において、ポリソルベート80が第1の懸濁液またはその可溶性画分に添加され、組成物は少なくとも30分間インキュベートされる。別の特別な実施形態において、クエン酸ナトリウム二水和物が第1の懸濁液またはその可溶性画分にさらに添加され、組成物は少なくともさらに30分間インキュベートされる。1つの実施形態において、ポリソルベート80が約0.2%(w/v)の最終濃度で添加される。1つの実施形態において、クエン酸ナトリウム二水和物が次いで、約8g/Lの最終濃度で溶液中に混合される。ある特別な実施形態において、連続的に撹拌しながら約2〜8℃の温度でインキュベーションが実施される。
【0143】
ある特別な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgG含有量の99%〜100%をCohnプール血漿から沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0144】
ある具体的な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgG含有量の99%〜100%をCohnプール血漿から沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0145】
1つの実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、懸濁液からA1PIを取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収するステップと、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0146】
ある具体的な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、懸濁液からA1PIを取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0147】
別の実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の99%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、第2の沈殿物から免疫グロブリンを回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の上清中に存在するアルブミンが、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある好ましい実施形態において、Cohnプールのアルブミン含有量の90%〜100%が、第1の上清中に存在する。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0148】
別の実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の99%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液の可溶性部分と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、第2の沈殿物から免疫グロブリンを回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の上清中に存在するアルブミンが、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある好ましい実施形態において、Cohnプールのアルブミン含有量の90%〜100%が、第1の上清中に存在する。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0149】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0150】
ある具体的な実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液の可溶性部分と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0151】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離するステップと、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、第2の沈殿物から免疫グロブリンを回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、懸濁液の可溶性部分に存在するIgGが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するA1PIが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するフィブリノゲンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するH因子が、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するIaIpが、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0152】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液の可溶性部分と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、第2の沈殿物から免疫グロブリンを回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、懸濁液の可溶性部分に存在するIgGが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するA1PIが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するフィブリノゲンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するH因子が、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するIaIpが、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0153】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、沈殿物を冷たい抽出緩衝液と懸濁することによって、第2の沈殿物から回収される。例えば、第2の沈殿物は、沈殿物1部 対 注射用水(WFI)または低伝導率緩衝液2〜15部の比率で懸濁される。ある好ましい実施形態において、第2の沈殿物は、沈殿物1部 対 WFI4〜5部、好ましくは3.5部の比率で懸濁された。1つの実施形態において、懸濁ステップは、0℃〜8℃の温度で実施される。1つの実施形態において、溶液の最終pHは、4.5〜5.6、好ましくは5.2±0.2に調整される。1つの実施形態において、このpH調整は、酢酸を用いて実施される。1つの実施形態において、免疫グロブリンの可溶性を高めるために、懸濁液の伝導率を2.5〜6.0mS/cmに増加させる。1つの実施形態において、塩化ナトリウムの添加によって伝導率を増加させる。
【0154】
第2の沈殿物の抽出に適した溶液には、WFIおよび低伝導率緩衝液が挙げられる。1つの実施形態において、低伝導率緩衝液は、約10mS/cm未満の伝導率を有する。他の実施形態において、低伝導率緩衝液は、約9、8、7、6、5、4、3、2、または1mS/cm未満の伝導率を有する。ある好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約6mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約4mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約2mS/cm未満の伝導率を有する。
【0155】
1つの実施形態において、免疫グロブリンを含む懸濁液の可溶性部分が、不溶性部分から分離される。1つの実施形態において、これは、懸濁液を0.1μm〜0.4μmの公称孔径を有するデプスフィルターで濾過することによって行われる。1つの実施形態において、デプスフィルターの公称孔径は、0.2μm(例えば、Cuno VR06フィルターまたは同等物)である。1つの実施形態では、さらなる免疫グロブリンを回収するために、濾過後にフィルターをWFIまたは好適な緩衝液で洗浄し、その後洗浄液を濾液に添加する。ある好ましい実施形態において、フィルターの後洗浄は、約2.5〜約6.0mS/cmの伝導率を有する塩化ナトリウム溶液を使用して実施される。別の実施形態において、第2の懸濁液は、可溶性部分を回収するために遠心分離される。
【0156】
B.下流処理
免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)を沈殿させるがアルブミンを沈殿させない初期沈殿ステップを使用する分画の後に得られた免疫グロブリン画分は、クロマトグラフィー(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAP)、タンパク質A親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等)、濾過(例えば、限外濾過および/または透析濾過)、ならびに1つまたは複数のウイルス低減ステップ(例えば、ナノ濾過、溶媒および洗浄剤処理、UV照射、熱処理、低pHインキュベーション等)が挙げられるが、これらに限定されない当該技術分野でよく知られた方法に従って、さらに濃縮され得る。
【0157】
1つの実施形態において、本発明はCohnプールから濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、初期低pH、高アルコール沈殿ステップならびに少なくとも1つの下流処理ステップ(例えば、クロマトグラフィー)を含む。ある特定の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの下流処理ステップの前に第2の沈殿ステップをさらに含む(例えば、PptG沈殿ステップ)。この第2の沈殿は、初期低pH、高アルコール沈殿物の懸濁液が下流精製に直接使用されてもよいため、任意選択である。
【0158】
1つの実施形態において、初期低pH、高アルコール沈殿ステップを使用して調製された血漿由来組成物中に存在する免疫グロブリンは、少なくとも1つのクロマトグラフィーステップを実施することによってさらに濃縮される。1つの実施形態において、クロマトグラフィーステップは、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAP)、タンパク質A親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィーから選択される。ある特別な実施形態において、免疫グロブリンは、陰イオン交換クロマトグラフィーを実施することによって濃縮される。別の実施形態において、免疫グロブリンは、陽イオン交換クロマトグラフィーを実施することによってさらに濃縮される。ある具体的な実施形態において、免疫グロブリンは、陽イオンおよび陰イオン交換クロマトグラフィーの両方を実施することによってさらに濃縮される。
【0159】
ある特別な実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、免疫グロブリンを陽イオン交換樹脂に結合させるステップと、免疫グロブリンを陽イオン交換から溶出し、陽イオン交換溶出液を形成するステップと、陽イオン交換溶出液を陰イオン交換樹脂と接触させるステップと、樹脂に結合しない免疫グロブリンを回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィーステップから回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。別の実施形態において、Cohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%、好ましくは90%〜100%は、第1の上清中に存在する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。ある好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも2つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。より好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも3つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0160】
ある特別な実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液の可溶性部分と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、免疫グロブリンを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、免疫グロブリンを第2の沈殿物から回収するステップと、免疫グロブリンを陽イオン交換樹脂に結合させるステップと、免疫グロブリンを陽イオン交換から溶出し、陽イオン交換溶出液を形成するステップと、陽イオン交換溶出液を陰イオン交換樹脂と接触させるステップと、樹脂に結合しない免疫グロブリンを回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィーステップから回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。別の実施形態において、Cohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%、好ましくは90%〜100%は、第1の上清中に存在する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。ある好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも2つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。より好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも3つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0161】
1つの特別な実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PIをCohnプールから沈殿させるステップと、沈殿した免疫グロブリンとA1PIを分離するステップと、陽イオン交換クロマトグラフィーを実施することによって、免疫グロブリン組成物を濃縮するステップと、陰イオン交換クロマトグラフィーを実施することによって、免疫グロブリン組成物をさらに濃縮するステップとを含む。1つの実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいて使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。ある好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも2つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。より好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも3つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0162】
別の特別な実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PIをCohnプールから沈殿させるステップと、沈殿した免疫グロブリンとA1PIを分離するステップと、第2の沈殿ステップにおいて、分離された免疫グロブリンを沈殿させるステップと、陽イオン交換クロマトグラフィーを実施することによって、免疫グロブリン組成物を濃縮するステップと、陰イオン交換クロマトグラフィーを実施することによって、免疫グロブリン組成物をさらに濃縮するステップとを含む。1つの実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいて使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、本方法は、少なくとも1つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。ある好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも2つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。より好ましい実施形態において、本方法は、少なくとも3つのウイルス低減/不活性化ステップをさらに含む。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0163】
別の特別な実施形態において、本発明は、濃縮免疫グロブリン組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PIをCohnプールから沈殿させるステップと、沈殿した免疫グロブリンとA1PIを分離するステップと、第2の沈殿ステップにおいて、分離された免疫グロブリンを沈殿させるステップと、免疫グロブリン組成物を溶媒および洗浄剤で処理して、ウイルスを不活性化するステップと、陽イオン交換クロマトグラフィーを実施することによって、免疫グロブリン組成物を濃縮するステップと、陰イオン交換クロマトグラフィーを実施することによって、免疫グロブリン組成物をさらに濃縮するステップと、免疫グロブリン組成物をナノ濾過し、ウイルスを除去するステップとを含む。1つの実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいて使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。1つの実施形態において、本方法は、5g/L〜25g/Lの最終タンパク質濃度になるように限外濾過/透析濾過によって、免疫グロブリン組成物を濃縮することをさらに含む。ある特別な実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物の最終濃度は、5±1%(w/v)である。別の特別な実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物の最終濃度は、10±1%(w/v)である。別の特別な実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物の最終濃度は、15±1%(w/v)である。別の特別な実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物の最終濃度は、20±2%(w/v)である。別の特別な実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物の最終濃度は、25±2%(w/v)である。1つの実施形態において、濃縮免疫グロブリン組成物は、IgG組成物である。
【0164】
C.画分I−IV−1沈殿物からのIgGの例示的濃縮
1.画分I−IV−1沈殿物の抽出
画分I−IV−1沈殿物のIgG含有物を可溶化するために、冷たい抽出緩衝液を使用して、沈殿物1部 対 抽出緩衝液15部の典型的な比率で分画II+III沈殿物を再懸濁する。他の好適な再懸濁液比率、例えば、1:8〜1:30、または1:10〜1:20、または1:12〜1:18、または1:13〜1:17、または1:14〜1:16が用いられてもよい。ある特定の実施形態において、再懸濁液比率は、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、1:30、またはそれよりも高くてもよい。
【0165】
第1の沈殿物の抽出に好適な溶液は、概して、4.0〜5.5のpHを有する。ある特定の実施形態において、溶液は4.5〜5.0のpHを有し、他の実施形態において、抽出溶液は、約4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、または5.5のpHを有する。ある好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.7±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.8±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.9±0.1である。概して、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、第一リン酸塩、第二リン酸塩、それらの混合物等から選択される緩衝剤を使用してこれらのpH要件を満たすことができる。好適な緩衝液濃度は、典型的には、5〜100mM、または10〜50mM、または5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100mM緩衝剤の範囲である。
【0166】
抽出緩衝液は、好ましくは0.5mS/cm〜2.0mS/cmの伝導率を有する。例えば、ある特定の実施形態において、抽出緩衝液の伝導率は、0.5±0.1mS/cm、または約0.6±0.1、0.7±0.1、0.8±0.1、0.9±0.1、1.0±0.1、1.1±0.1、1.2±0.1、1.3±0.1、1.4±0.1、1.5±0.1、1.6±0.1、1.7±0.1、1.8±0.1、1.9±0.1、もしくは2.0±0.1mS/cmである。当業者は、適切な伝導率を有する抽出緩衝液の生成方法を知っている。
【0167】
一例となる実施形態において、画分I−IV−1沈殿物は、5mM 第一リン酸ナトリウムおよび5mM 酢酸塩を含有しpHが酢酸で4.8±0.2に調整されている抽出緩衝液を使用して、1:15のペースト 対 緩衝液の比率で抽出される。1つの実施形態において、溶液のpHは、抽出プロセスの持続時間にわたって4.8±0.3のpHに維持される。ある具体的な実施形態において、溶液のpHは、抽出プロセスの持続時間にわたって4.8±0.2のpHに維持される。
【0168】
概して、抽出は、0℃〜10℃で、または2℃〜8℃の温度で実施される。ある特定の実施形態において、抽出は、0±1℃、1±1℃、2±1℃、3±1℃、4±1℃、5±1℃、6±1℃、7±1℃、8±1℃、9±1℃、または10±1℃で実施され得る。ある特別な実施形態において、抽出は、2℃〜10℃で実施される。典型的に、抽出プロセスは、懸濁液を連続的に撹拌しながら、60〜300分間、または120〜240分間、または150〜210分間続けて行われる。ある特定の実施形態において、抽出プロセスは、約60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300分間、またはそれ以上続けて行われる。ある好ましい実施形態において、抽出プロセスは、連続的撹拌を伴って少なくとも160分間続けて行われる。
【0169】
2.二酸化ケイ素(SiO
2)処理
Cohn−OncleyおよびKistler−Nitschmann精製と比較して、本明細書に提供される方法によって形成された初期免疫グロブリン含有沈殿物は、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含む、大幅に高いレベルの非免疫グロブリンタンパク質を含有する。H因子およびIaIpは、微粉化二酸化ケイ素に結合し、続いて溶出され得ることが知られている(国際公開公報第2011/011753号および国際出願PCT/US2011/045099号(これらの開示はあらゆる目的においてその全体が参照により両方明示的に組み込まれる)を参照されたい)。有利には、画分I−IV−1沈殿物の抽出後および画分I−IV−1懸濁液の濾過前にSiO
2処理ステップを含めることは、画分I−IV−1懸濁液の濾過中に形成されるA1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpの、不溶性濾過ケークへの分離を補助することが分かった。
【0170】
したがって、1つの実施形態において、微粉化二酸化ケイ素は、濾過前に画分I−IV−1懸濁液と混合される。1つの実施形態において、この前処理ステップは、微粉化二酸化シリカ粒子(例えば、ヒュームドシリカ;Aerosil(登録商標)の添加を含み、懸濁液が絶えず混合される、40〜80分のインキュベーション期間が続く。ある特定の実施形態において、インキュベーション期間は、約50分〜約70分、または約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90分、もしくはそれ以上である。概して、処理は、0℃〜10℃で、または2℃〜8℃で実施される。ある特定の実施形態において、処理は、約0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃で実施され得る。ある特別な実施形態において、処理は、2℃〜10℃で実施される。ある好ましい実施形態において、処理は、5℃〜10℃で実施される。
【0171】
ある特定の実施形態において、ヒュームドシリカは、20g/kg画分I−IV−1沈殿物〜100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加される。ある特定の実施形態において、ヒュームドシリカは、約20g/kg画分I−IV−1沈殿物、または約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加され得る。1つの具体的な実施形態において、ヒュームドシリカ(例えば、Aerosil380または同等物)は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように画分I−IV−1懸濁液に添加される。混合は、2℃〜8℃で少なくとも50〜70分間行われる。
【0172】
ある特定の実施形態において、SiO
2は、0.01g/g総タンパク質〜10g/g総タンパク質の濃度でIgG組成物に添加される。別の実施形態において、SiO
2は、0.01g/g総タンパク質〜5g/g総タンパク質の濃度でIgG組成物に添加される。別の実施形態において、SiO
2は、0.02g/g総タンパク質〜4g/g総タンパク質の濃度でIgG組成物に添加される。1つの実施形態において、SiO
2は、総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.1gの最終濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.2gの濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.25gの濃度で添加される。他の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも1gの濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも2gの濃度で添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、総タンパク質1グラム当たり少なくとも2.5gの濃度で添加される。さらに他の具体的な実施形態において、微粉化二酸化ケイ素は、少なくとも0.01g/g総タンパク質、または総タンパク質1グラム当たり少なくとも0.02g、0.03g、0.04g、0.05g、0.06g、0.07g、0.08g、0.09g、0.1g、0.2g、0.3g、0.4g、0.5g、0.6g、0.7g、0.8g、0.9g、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、3.0g、3.5g、4.0g、4.5g、5.0g、5.5g、6.0g、6.5g、7.0g、7.5g、8.0g、8.5g、9.0g、9.5g、10.0g、もしくはそれ以上の濃度で添加される。
【0173】
3.画分I−IV−1懸濁液の濾過
免疫グロブリンを含有する画分I−IV−1懸濁液の可溶性部分をフィブリノゲン、A1PI、H因子、およびIaIpを含有する不溶性部分から分離するために、懸濁液は典型的にはデプス濾過を使用して濾過される。本明細書に提供される方法において用いられ得るデプスフィルターには、金属製、ガラス製、セラミック製、有機(ケイ藻土等)デプスフィルター等が挙げられる。好適なフィルターの例には、限定することなく、Cuno 50SA、Cuno 90SA、およびCuno VR06フィルター(3M)が挙げられる。代替として、分離ステップは、濾過ではなく遠心分離によって実施されてもよい。
【0174】
ある特定の実施形態において、濾過助剤、例えば、Celpure C300(Advanced Minerals)またはHyflo−Super−Cel(World Minerals)が、二酸化シリカ処理後、デプス濾過を促進するために懸濁液に添加される。濾過助剤は、0.1kg/kg画分I−IV−1沈殿物〜1.0kg/kg画分I−IV−1沈殿物、または0.2kg/kg画分I−IV−1沈殿物〜0.8kg/kg画分I−IV−1沈殿物、または0.3kg/kg画分I−IV−1沈殿物〜0.7kg/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度で添加される。他の実施形態において、濾過助剤は、0.1kg/kg画分I−IV−1沈殿物〜0.7kg/kg画分I−IV−1沈殿物、または0.2kg/kg画分I−IV−1沈殿物〜0.6kg/kg画分I−IV−1沈殿物、または約0.3kg/kg画分I−IV−1沈殿物〜約0.05kg/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度で添加され得る。ある特定の実施形態において、濾過助剤は、約0.01kg/kg画分I−IV−1沈殿物、または約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0kg/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度で添加される。
【0175】
濾過中の免疫グロブリンの損失を最小化するために、形成された濾過ケークは、濾過ケーク中に存在する非免疫グロブリンタンパク質を可溶化するには十分でない懸濁緩衝液またはそれと同様の緩衝液の少なくとも1デッドボリューム、好ましくは少なくとも2デッドボリューム、より好ましくは少なくとも3デッドボリュームで洗浄されるべきである。1つの実施形態において、フィルターおよび濾過ケークは、緩衝液の少なくとも3.0デッドボリュームで後洗浄される。別の実施形態において、フィルターおよび濾過ケークは、緩衝液の少なくとも3.6デッドボリュームで後洗浄される。別の実施形態において、フィルターおよび濾過ケークは、好適な緩衝液を使用して、濾過された懸濁液体積の少なくとも50%で後洗浄される。別の実施形態において、フィルターおよび濾過ケークは、好適な緩衝液を使用して、濾過された懸濁液体積の少なくとも75%で後洗浄される。別の実施形態において、フィルターおよび濾過ケークは、好適な緩衝液を使用して、濾過された懸濁液体積の少なくとも100%で後洗浄される。典型的には、濾過された懸濁液体積の200%以下が、フィルターおよび濾過ケークを洗浄するために使用されるべきである。
【0176】
ある具体的な実施形態において、洗浄緩衝液は、1000L当たり90〜150mLの氷酢酸を含有する溶解緩衝液である。1つの実施形態において、後洗浄抽出緩衝液のpHは、約4.6〜約5.3である。ある好ましい実施形態において、後洗浄緩衝液のpHは、約4.7〜約5.2である。別の好ましい実施形態において、後洗浄緩衝液のpHは、約4.8〜約5.1である。さらに別の好ましい実施形態において、後洗浄緩衝液のpHは、約4.9〜約5.0である。
【0177】
4.洗浄剤処理
さらなる混入物を画分I−IV−1濾液から除去するために、試料は次いで洗浄剤処理に供される。血漿に由来する画分の洗浄剤処理の方法は、当該技術分野においてよく知られている。概して、任意の標準非イオン洗浄剤処理が、本明細書に提供される方法と組み合わせて使用され得る。例えば、洗浄剤処理のための一例となるプロトコルが、以下に提供される。
【0178】
ポリソルベート80を撹拌しながら約0.2%(w/v)の最終濃度で画分I−IV−1濾液に添加し、試料を約2〜8℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする。次いで、クエン酸ナトリウム二水和物を約8g/Lの最終濃度で溶液中に混合し、連続的に撹拌しながら約2〜8℃の温度で試料をさらに30分間インキュベートする。
【0179】
ある特定の実施形態において、任意の好適な非イオン洗浄剤が使用され得る。好適な非イオン洗浄剤の例には、限定することなく、オクチルグルコシド、ジギトニン、C12E8、ルブロール、トリトンX−100、ノニデットP−40、Tween20(すなわち、ポリソルベート20)、Tween80(すなわち、ポリソルベート80)、アルキルポリ(エチレンオキシド)、Brij洗浄剤、アルキルフェノールポリ(エチレンオキシド)、ポロキサマー、オクチルグルコシド、デシルマルトシド等が挙げられる。
【0180】
1つの実施形態において、プロセスの改善は、拡散添加で洗浄剤試薬(例えば、ポリソルベート80およびクエン酸ナトリウム二水和物)を添加することによって実現される。これら試薬の拡散添加は、アルコール濃度およびpHの局所変動を単一のエントリーポイントでの添加と比較して最小化する。1つの実施形態において、拡散添加は、流動的添加ではなく噴霧を含む。別の実施形態において、拡散添加は、複数のポートからの試薬の添加を含む。1つの実施形態において、拡散添加は、拡散ポートからの試薬の添加を含む。ある特定の実施形態において、試薬を系中に導入するために使用される少なくとも1つのポートは、インペラーまたは他の分散要素に、またはその近くに位置している。他の実施形態において、洗浄剤試薬は、試料が添加物の急速な分布を確実にするように混合されている間に、改変画分II+III濾液に固体として添加され得る。ある特定の実施形態において、流動的添加で生じるような局所的な一極集中が生じないように、濾液の非局在化表面積にわたって固体を振りかけることによって固形試薬を添加することが好ましい。
【0181】
5.第2の沈殿事象 − 沈殿G
残留不純物を除去するために、第2の沈殿は、25%のアルコールを使用して6.5〜7.5のpHで実施される。簡潔に言うと、画分I−IV−1抽出は、好適なpH調整溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは酢酸)で6.5〜7.5、好ましくは6.8〜7.2、より好ましくは6.9〜7.1、最も好ましくは7.0のpHに調整される。次いで、約25%(v/v)の最終濃度になるように冷たいアルコールを溶液に添加し、混合物を撹拌しながら約−6℃〜約−10℃で少なくとも1時間インキュベートし、第2の沈殿物(すなわち、沈殿物G)を形成する。1つの実施形態において、混合物は、少なくとも2時間、または少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、もしくはそれ以上インキュベートされる。ある好ましい実施形態において、混合物は、少なくとも2時間インキュベートされる。より好ましい実施形態において、混合物は、少なくとも4時間インキュベートされる。さらにより一層好ましい実施形態において、混合物は、少なくとも8時間インキュベートされる。
【0182】
ある特定の実施形態において、より高いパーセンテージのIgGが、沈殿反応へのアルコールの添加中、および/または添加後、溶液のpHを調整することによってI−IV−1抽出から沈殿され得る。同様に、沈殿プロセス中に溶液のpHが変動するため、反応混合物のpHは、インキュベーション全体を通して、監視および/または調整され得る。別の実施形態において、IgGの収量の改善は、沈殿用アルコールおよび/または混合物のpHを調整するために使用される溶液を、アルコールまたはpH調整剤の拡散添加によって添加することによって実現される。これら試薬の拡散添加は、アルコール濃度およびpHの局所変動を単一のエントリーポイントでの添加と比較して最小化する。1つの実施形態において、拡散添加は、流動的添加ではなく噴霧を含む。別の実施形態において、拡散添加は、複数のポートからの試薬の添加を含む。1つの実施形態において、拡散添加は、拡散ポートからの試薬の添加を含む。ある特定の実施形態において、試薬を系中に導入するために使用される少なくとも1つのポートは、インペラーまたは他の分散要素に、またはその近くに位置している。
【0183】
6.沈殿物G(Ppt G)の懸濁および濾過
沈殿物GのIgG含有量を可溶化するために、冷たい抽出緩衝液を使用して、PptGを再懸濁する。簡潔に言うと、沈殿物Gは、沈殿物1部 対 注射用水(WFI)または低伝導率緩衝液2〜5部の比率で溶解される。ある好ましい実施形態において、沈殿物Gは、沈殿物1部 対 WFI1〜15部、好ましくは3.5部の比率で溶解される。懸濁ステップは、典型的には、40〜95のAU
280−320値を実現するために、0℃〜8℃の温度で行われる。少なくとも2時間撹拌される溶液の最終pHは、次いで、4.5〜5.6に、好ましくは5.2±0.2に調整される。1つの実施形態において、このpH調整は、酢酸を用いて実施される。IgGの可溶性を高めるために、懸濁液の伝導率を2.5〜6.0mS/cmに増加させる。1つの実施形態において、塩化ナトリウムの添加によって伝導率を増加させる。
【0184】
沈殿物Gの抽出に適した溶液には、WFIおよび低伝導率緩衝液が挙げられる。1つの実施形態において、低伝導率緩衝液は、約10mS/cm未満の伝導率を有する。他の実施形態において、低伝導率緩衝液は、約9、8、7、6、5、4、3、2、または1mS/cm未満の伝導率を有する。ある好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約6mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約4mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約2mS/cm未満の伝導率を有する。
【0185】
懸濁PptG溶液は、次いで、任意の非溶解粒子を除去するために、0.1μm〜0.4μmの公称孔径を有する好適なデプスフィルターで濾過される。1つの実施形態において、デプスフィルターの公称孔径は、約0.2μm(例えば、Cuno VR06フィルターまたは同等物)である。別の実施形態において、懸濁PptG溶液は、清澄化上清を回収するために遠心分離される。さらなるIgGを回収するために、濾過後にフィルターをWFIまたは好適な緩衝液で洗浄し、その後洗浄を濾液に添加する。ある好ましい実施形態において、フィルターの後洗浄は、約2.5〜約6.0mS/cmの伝導率を有する塩化ナトリウム溶液を使用して実施される。
【0186】
7.溶媒および洗浄剤(S/D)処理
血漿由来生成物中に存在する種々のウイルス混入物を不活性化するために、清澄化PptG濾液は次に、溶媒洗浄剤(S/D)処理に供される。血漿由来の画分の洗浄剤処理方法は、当該技術分野においてよく知られている(概説については、Pelletier JP et al., Best Pract Res Clin Haematol.2006;19(1):205−42を参照されたい)。概して、任意の標準S/D処理が、本明細書に提供される方法と組み合わせて使用され得る。例えば、S/D処理のための一例となるプロトコルが、以下に提供される。
【0187】
トリトン X−100、Tween20、およびトリ(n−ブチル)ホスフェート(TNBP)が、それぞれ約1.0%、0.3%、および0.3%の最終濃度で清澄化PptG濾液に添加される。混合物は、次いで、18℃〜25℃の温度で少なくとも1時間撹拌される。
【0188】
1つの実施形態において、S/D試薬(例えば、トリトンX−100、Tween20、およびTNBP)は、拡散添加によって添加される。ある具体的な実施形態において、S/D試薬は、流動的添加ではなく噴霧によって添加される。別の実施形態において、洗浄剤試薬は、固体として清澄化PptG濾液にて添加され、S/D成分の急速な分布を確実にするように混合される。ある特定の実施形態において、流動的添加で生じるような局所的な一極集中が生じないように、濾液の非局在化表面積にわたって固体を振りかけることによって固形試薬を添加することが好ましい。
【0189】
8.イオン交換クロマトグラフィー
IgGをさらに精製し、濃縮するために、陽イオン交換および/または陰イオン交換クロマトグラフィーを用いることができる。イオン交換クロマトグラフィーを使用してIgGを精製し、濃縮する方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、米国特許第5,886,154号は、画分II+III沈殿物を低pH(約3.8〜4.5)で抽出した後に、カプリル酸を使用してIgGを沈殿させて、最終的に2つの陰イオン交換クロマトグラフィーステップを実施する方法を記載している。米国特許第6,069,236号は、アルコール沈殿に全く依存しないクロマトグラフィーのIgG精製スキームを記載している。国際出願PCT国際公開公報第2005/073252号は、画分II+III沈殿物の抽出、カプリル酸処理、PEG処理、および単一の陰イオン交換クロマトグラフィーステップを含むIgG精製方法を記載している。米国特許第7,186,410号は、画分I+II+IIIまたは画分II沈殿物の抽出、続いてアルカリ性pHで単一の陰イオン交換ステップが実施されるIgG精製方法を記載している。米国特許第7,553,938号は、画分I+II+IIIまたは画分II+III沈殿物の抽出、カプリレート処理、および1回または2回いずれかの陰イオン交換クロマトグラフィーステップを含む方法を記載している。米国特許第6,093,324号は、約6.0〜約6.6のpHで操作されるマクロ多孔性陰イオン交換樹脂の使用を含む精製方法を記載している。米国特許第6,835,379号は、アルコール分画を用いずに、陽イオン交換クロマトグラフィーに依存する精製方法を記載している。上記公報の開示は、参照によりあらゆる目的においてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0190】
1つの実施形態において、S/D処理されたPptG濾液は、陽イオン交換クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーの両方に供され得る。例えば1つの実施形態において、S/D処理されたPptG濾液は、IgGがその樹脂に結合するのに適した条件下で陽イオン交換樹脂に接触され得る。次いで、そのS/D試薬は、吸着されたIgGから洗い流され、続いてIgGは、好適な溶出緩衝液で樹脂から溶出される。この様式で、陽イオン交換クロマトグラフィーステップを使用して、S/D試薬を調製物から除去する、IgGを含有する溶液を濃縮する、および/または不純物を組成物から除去することができる。
【0191】
1つの実施形態において、IgGは、約8.0〜9.0のpHを有する溶出緩衝液を使用して陽イオン交換樹脂から溶出される。ある特定の実施形態において、pH溶出緩衝液は、約8.2〜約8.8、または約8.4〜約8.6のpH、または約8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、もしくは9.0のpHを有し得る。ある好ましい実施形態において、溶出緩衝液のpHは、約8.5±0.1である。
【0192】
同様に、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用してIgG組成物中の不純物を減少させることができる。1つの実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィーは、1種または複数種の不純物が陰イオン交換樹脂に結合されるがIgGは結合されない溶液条件下で実施される。ある具体的な実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィーは、弱酸性条件、すなわち、5.0〜7.0、好ましくは5.5〜6.5のpHで、陰イオン交換樹脂への混入物の結合には適しているがIgGの結合には適していない低イオン強度で実施される。
【0193】
ある具体的な実施形態において、陽イオン交換カラムからの溶出液は低pH、例えば約5.5〜約6.5に調整され、溶液の伝導率が低下するように適切な緩衝液で希釈され得る。ある特定の実施形態において、陽イオン交換溶出液のpHは、約5.7〜約6.7、または約5.9〜約6.5のpH、または約5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、もしくは6.7のpHに調整され得る。ある好ましい実施形態において、溶出液のpHは、約6.4±0.1のpHに調整される。溶出液は次いで、調製物中に見出されるいくつかの混入物を結合させる陰イオン交換カラムに負荷される。カラムの負荷および洗浄中に、IgG画分を含有するカラム通過画分は収集される。ある特定の実施形態において、本発明のイオン交換クロマトグラフィーステップは、カラム法、バッチ法、またはその2つの組み合わせにおいて、実施され得る。1つの実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィーの前にIgG組成物のpHを調整するために使用される溶液は、拡散添加により添加される。ある具体的な実施形態において、溶液は、流動的添加ではなく噴霧によって添加される。
【0194】
9.ナノ濾過
本明細書に提供されるIgG組成物のウイルス負荷を減少させるために、好適なナノ濾過装置を使用して、組成物はナノ濾過され得る。ある特定の実施形態において、ナノ濾過装置は、約15nm〜約200nmの平均孔径を有する。この使用に適したナノフィルターの例としては、限定することなく、DVD、DV50、DV20(Pall)、Viresolve NFP、Viresolve NFR(Millipore)、Planova 15N、20N、35N、および75N(Planova)が挙げられる。ある具体的な実施形態において、ナノフィルターは、約15nm〜約72nm、または約19nm〜約35nm、または約15nm、19nm、35nm、もしくは72nmの平均孔径を有し得る。ある好ましい実施形態において、ナノフィルターは、Asahi PLANOVA 35Nフィルターまたはその同等物等の約35nmの平均孔径を有する。ある特別な実施形態において、陰イオン交換ステップから回収されたIgG組成物は、30nm〜40nm、好ましくは35±2nmの孔径を有するナノフィルターを使用してナノ濾過される。別の好ましい実施形態において、ナノフィルターは、Asahi PLANOVA 20Nフィルター(19±2nm)またはその同等物等の約19または20nmの平均孔径を有する。ある特別な実施形態において、陰イオン交換ステップから回収されたIgG組成物は、15nm〜25nm、好ましくは19±2nmの孔径を有するナノフィルターを使用してナノ濾過される。
【0195】
10.限外/透析濾過(UF/DF)
精製プロセス中の任意のステップにおいて、限外濾過/透析濾過を実施してIgG組成物を濃縮することができる。1つの実施形態において、ナノ濾液は、UF/DFによって濃縮される。1つの実施形態において、ナノ濾液は、限外濾過によって約2%〜約10%(w/v)のタンパク質濃度に濃縮され得る。ある特定の実施形態において、限外濾過は、オープンチャネルスクリーンを有するカセット内で行われ、限外濾過膜は、約100kDa未満、または約90、80、70、60、50、40、30kDa未満、またはそれより小さいkDaの公称分画分子量(NMWCO)を有する。ある好ましい実施形態において、限外濾過膜は、50kDa以下のNMWCOを有する。
【0196】
1つの実施形態において、オープンチャネル膜が、収量と保存安定性に影響を与えずに、結果として得られるIgG組成物を最新のIVIG(例えば、GAMMAGARD(登録商標)液体、10%IgG)と比べてタンパク質濃度(200mg/mL)の高さをほぼ2倍にするために、生成プロセスの終了付近で、特別に設計された後洗浄剤および製剤と共に使用される。大抵の市販の限外濾過膜では、主要タンパク質を損なわずに、200mg/mLのIgG濃度に達することができない。これらの膜は早期に詰まり、ゆえに、適切な後洗浄を達成するのは難しい。したがって、オープンチャネル膜構成を用いなければならない。オープンチャネル膜を用いても、タンパク質を著しく損なうことなく(損失が2%未満)、要求される濃度を得るために、特別に設計された後洗浄手法が利用されなければならない。さらに意外なこととして、200mg/mLの高いタンパク質濃度によって、低pH保存ステップのウイルス不活性化能力が低下することはない。
【0197】
限外濾過ステップが完了した後、静脈または筋肉内投与に適した溶液に対する透析濾過により、濃縮液をさらに濃縮してもよい。ある特定の実施形態では、透析濾過溶液は、安定剤および/または緩衝剤を含んでもよい。ある好ましい実施形態において、安定剤および緩衝剤は、適切な濃度、例えば、約0.20M〜0.30M、または約0.22M〜約0.28M、または約0.24M〜約0.26Mの、または0.20±0.01M、0.21±0.01M、0.22±0.01M、0.23±0.01M、0.24±0.01M、0.25±0.01M、0.26±0.01M、0.27±0.01M、0.28±0.01M、0.29±0.01M、もしくは0.3±0.01Mの濃度のグリシンである。ある好ましい実施形態では、透析濾過緩衝液は、0.25±0.01Mのグリシンを含む。
【0198】
典型的には、透析濾過に対する最小交換体積は、当初の濃縮液の体積の少なくとも約3倍、または、当初の濃縮液の体積の少なくとも約4、5、6、7、8、9倍またはそれ以上である。IgG溶液は、約5%〜約25%(w/v)、または約6%〜約18%(w/v)、または約7%〜約16%(w/v)、または約8%〜約14%(w/v)、または約9%〜約12%の最終タンパク質濃度に、あるいは約5%、または6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、もしくはそれよりも高い最終濃度に濃縮され得る。1つの実施形態において、少なくとも約23%の最終タンパク質濃度は、後洗浄画分を濃縮溶液に添加することなく、実現される。別の実施形態において、少なくとも約24%の最終タンパク質濃度は、後洗浄画分を濃縮溶液に添加することなく、実現される。別の実施形態において、少なくとも約24%の最終タンパク質濃度は、後洗浄画分を濃縮溶液に添加することなく、実現される。1つの実施形態において、溶液のpHは、透析濾過後、4.6〜5.1である。
【0199】
一例となる実施形態において、IgG組成物のpHは、限外濾過の前に約4.5に調整される。溶液は、限外濾過を通して5±2%w/vのタンパク質濃度に濃縮される。UF膜は、50,000ダルトン以下の公称分画分子量(NMWCO)を有する(例えば、Millipore Pellicon Polyetherスルホン膜)。10体積のpH4.5±0.2の0.25Mグリシン溶液に対して濃縮液を透析濾過する。限外−透析濾過操作を通して、溶液を約2℃〜約8℃の温度に維持する。透析濾過後、溶液は、少なくとも11%(w/v)のタンパク質濃度に濃縮される。
【0200】
11.製剤
透析濾過ステップが完了した後、溶液のタンパク質濃度は、透析濾過緩衝液で、約5%〜約20%(w/v)、または約6%〜約18%(w/v)、または約7%〜約16%(w/v)、または約8%〜約14%(w/v)、または約9%〜約12%の最終濃度に、あるいは約5%、または6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、もしくは25%の最終濃度に調整される。1つの実施形態において、溶液の最終タンパク質濃度は、約9%〜約11%、より好ましくは約10%である。
【0201】
製剤化されたバルク溶液は、絶対孔径が約0.22ミクロン以下、例えば約0.2ミクロンの膜フィルターを通して濾過することにより、さらに殺菌される。次いで、溶液は、適切に密封するための最終容器内に無菌で分注され、検査用の試料が採取される。
【0202】
1つの実施形態において、IgG組成物は、透析濾過緩衝液で、10.2±0.2%(w/v)の濃度にさらに調整される。別の実施形態において、IgG組成物は、15±1%(w/v)の濃度に調整される。別の実施形態において、IgG組成物は、20±1%(w/v)の濃度に調整される。別の実施形態において、IgG組成物は、25±1%(w/v)の濃度に調整される。pHは、必要に応じて、約4.4〜約4.9に調整される。最終的に、溶液は滅菌濾過され、3週間、30℃またはほぼその温度でインキュベートされる。
【0203】
D.免疫グロブリンG(IgG)
1つの態様において、本発明は、濃縮免疫グロブリンG(IgG)組成物をCohnプールから調製するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)をCohnプールから共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、IgGを含有する第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。概して、免疫グロブリンおよびA1PIの沈殿のための任意の化学的方法が使用されてもよく、(例えば、エタノールまたはメタノールを使用する)アルコール沈殿、水溶性ポリマー(例えば、PEGまたはデキストラン)を使用する沈殿、ならびに(例えば、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム等を使用する)塩析が挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態において、沈殿は、アルコール沈殿、好ましくはエタノール沈殿である。
【0204】
1つの実施形態において、本発明は、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいてIgGを脱クリオ血漿から沈殿させることによって、濃縮免疫グロブリンG(IgG)組成物を調製するための方法を提供する。ある具体的な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールを脱クリオ血漿に添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGを脱クリオ血漿から沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、IgGを第1の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。
【0205】
1つの実施形態において、本方法は、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される最終濃度およびpHになるようにエタノールを脱クリオ血漿に添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGを脱クリオ血漿から沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、IgGを第1の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。
【0206】
1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.0〜6.0のpHで20%〜30%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合することによって実施される。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±2%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±1%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。同様に、1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.5のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.4のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.3のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.2のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.1のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5のpHで実施される。さらに他の実施形態において、第1の沈殿ステップの最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0207】
本明細書に提供される方法は、初期沈殿反応において出発Cohnプールの免疫グロブリン含有量の大半が沈殿するため、初期低アルコール沈殿ステップ(すなわち、画分I沈殿)に依存する最新の精製手法と比較して、最終濃縮生成物においてはるかに高いIgG回収量を提供する。
【0208】
したがって、本明細書に提供される方法の1つの実施形態では、初期沈殿反応において出発CohnプールのIgG含有量の少なくとも90%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において出発CohnプールのIgG含有量の少なくとも95%が沈殿する。より好ましい実施形態では、初期沈殿反応において出発CohnプールのIgG含有量の少なくとも99%が沈殿する。ある特定の実施形態では、初期沈殿反応において出発CohnプールのIgG含有量の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が沈殿する。
【0209】
本明細書に提供される実施例に示されるように、初期低pH、高アルコール沈殿ステップ(すなわち、画分I−IV−1沈殿)の使用は、出発CohnプールのIgG含有量の少なくとも99%の沈殿をもたらす。したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgG含有量の99%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、IgGを第1の沈殿物から回収し、それにより濃縮免疫グロブリン組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0210】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。
【0211】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0212】
医薬品グレードのIgG組成物を提供するために、初期沈殿物中に存在するA1PIおよびフィブリノゲン等の混入物を免疫グロブリン組成物から除去する必要がある。これは、例えば、第1の沈殿物のさらなる分画(例えば、アルコール、非イオン親水性ポリマーを使用する示差沈殿、または塩析による)、クロマトグラフィー手法、または濾過手法によって実現され得る。
【0213】
1つの実施形態において、第1の沈殿物は、IgGを沈殿物から抽出するのに好適な注射用水(WFI)または低イオン強度緩衝液中に懸濁され、懸濁液は次いで、微粉化二酸化ケイ素(SiO
2)で処理され、IgGを含有する懸濁液の可溶性部分は、A1PIおよびフィブリノゲンのバルクを含有する懸濁液の不溶性部分から分離される。
【0214】
第1の沈殿物の抽出に好適な溶液は、概して、4.0〜5.5のpHを有する。ある特定の実施形態において、溶液は4.5〜5.0のpHを有し、他の実施形態において、抽出溶液は、約4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、または5.5のpHを有する。ある好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.7±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.8±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.9±0.1である。概して、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、第一リン酸塩、第二リン酸塩、それらの混合物等から選択される緩衝剤を使用してこれらのpH要件を満たすことができる。好適な緩衝液濃度は、典型的には、5〜100mM、または10〜50mM、または5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100mM緩衝剤の範囲である。
【0215】
抽出緩衝液は、好ましくは0.5mS/cm〜2.0mS/cmの伝導率を有する。例えば、ある特定の実施形態において、抽出緩衝液の伝導率は、0.5±0.1mS/cm、または0.6±0.1、0.7±0.1、0.8±0.1、0.9±0.1、1.0±0.1、1.1±0.1、1.2±0.1、1.3±0.1、1.4±0.1、1.5±0.1、1.6±0.1、1.7±0.1、1.8±0.1、1.9±0.1、もしくは2.0±0.1mS/cmである。当業者は、適切な伝導率を有する抽出緩衝液の生成方法を知っている。1つの特別な実施形態において、抽出緩衝液は、4.8±0.2のpHおよび0.7〜0.9mS/cmの伝導率で、5mM 第一リン酸ナトリウムおよび5mM 酢酸塩を含有する。
【0216】
1つの実施形態において、ヒュームドシリカは、分離(例えば、濾過または遠心分離)の前に、20g/kg画分I−IV−1沈殿物〜100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加される。別の実施形態において、ヒュームドシリカは、30g/kg画分I−IV−1沈殿物〜80g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加される。ある特定の実施形態において、ヒュームドシリカは、約20g/kg画分I−IV−1沈殿物、または約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加され得る。1つの具体的な実施形態において、ヒュームドシリカ(例えば、Aerosil380または同等物)は、40±20g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように画分I−IV−1懸濁液に添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように画分I−IV−1懸濁液に添加される。混合は、2℃〜8℃で少なくとも50〜70分間行われる。
【0217】
したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、IgGを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0218】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、IgGを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、懸濁液の可溶性部分に存在するIgGが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するA1PIが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するフィブリノゲンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するH因子が、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するIaIpが、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0219】
1つの実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分から回収されたIgGは、分画によりさらに濃縮される。概して、分画の任意の方法(例えば、アルコールもしくはポリマー沈殿、塩析等)が使用され得る。ある好ましい実施形態において、IgGは、第1の懸濁液の可溶性部分をエタノール沈殿により分画することによって、さらに濃縮される。1つの実施形態において、IgGは、IgGを沈殿させるのに適しているが、少なくとも1つの混入物を沈殿させない最終濃度およびpHでエタノールを第1の懸濁液の可溶性部分に添加することによって濃縮される。別の実施形態において、IgGは、少なくとも1つの混入物を沈殿させるのに適しているが、IgGを沈殿させない最終濃度およびpHでエタノールを第1の懸濁液の可溶性部分に添加することによって濃縮される。
【0220】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物をCohnプールから調製するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)をCohnプールから共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、懸濁液からA1PIを取り出すステップと、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0221】
一例となる実施形態において、第2の沈殿ステップは、エタノールを22%〜28%(v/v)の最終濃度で6.5〜7.5のpHで第2の懸濁液の可溶性部分(例えば、濾過または遠心分離後に形成された、懸濁液の濾液または上清)と混合することによって実施される。1つの実施形態において、エタノールは、25±3%(v/v)の最終濃度になるように混合される。別の実施形態において、エタノールは、25±2%(v/v)の最終濃度になるように混合される。別の実施形態において、エタノールは、25±1%(v/v)の最終濃度になるように混合される。別の実施形態において、エタノールは、25%(v/v)の最終濃度になるように混合される。同様に、1つの実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.5のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.4のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.3のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.2のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.1のpHで実施される。別の実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0のpHで実施される。ある特別な実施形態において、第2の沈殿ステップは、7.0±0.3のpHで25±3%(v/v)の最終エタノール濃度を使用して実施される。
【0222】
ある特別な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgG含有量の99%〜100%をCohnプール血漿から沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0223】
ある具体的な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgG含有量の99%〜100%をCohnプール血漿から沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0224】
1つの実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、懸濁液からA1PIを取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収するステップと、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。
【0225】
ある具体的な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、懸濁液からA1PIを取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性画分を回収するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。
【0226】
別の実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の99%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の上清中に存在するアルブミンが、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある好ましい実施形態において、Cohnプールのアルブミン含有量の90%〜100%が、第1の上清中に存在する。
【0227】
別の実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の99%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、A1PIを懸濁液から取り出すステップと、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液の可溶性部分と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。1つの実施形態において、第1の懸濁液から分離されたA1PIは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の上清中に存在するアルブミンが、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある好ましい実施形態において、Cohnプールのアルブミン含有量の90%〜100%が、第1の上清中に存在する。
【0228】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、IgGを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0229】
ある具体的な実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、IgGを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離し、第1の懸濁液の可溶性部分を回収するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液の可溶性部分と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0230】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、IgGを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離するステップと、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するA1PIが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するフィブリノゲンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するH因子が、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するIaIpが、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0231】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮IgG組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてIgGおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、IgGを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離するステップと、エタノールを25±3%(v/v)の最終濃度で7.0±0.3のpHで第1の懸濁液の可溶性部分と混合することによって、第2の沈殿ステップにおいてIgGを第1の懸濁液の可溶性部分から沈殿させて、IgGを含む第2の沈殿物および少なくとも1つの混入物を含む第2の上清を形成するステップと、IgGを第2の沈殿物から回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮IgG組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第2の沈殿物から回収されたIgGは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するA1PIが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するフィブリノゲンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するH因子が、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するIaIpが、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、CohnプールのIgG含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、第1の沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0232】
1つの実施形態において、IgGは、沈殿物を冷たい抽出緩衝液で懸濁することによって、第2の沈殿物から回収される。例えば、第2の沈殿物は、沈殿物1部 対 注射用水(WFI)または低伝導率緩衝液2〜5部の比率で懸濁される。ある好ましい実施形態において、第2の沈殿物は、沈殿物1部 対 WFI4〜5部、好ましくは3.5部の比率で懸濁された。1つの実施形態において、懸濁ステップは、0℃〜8℃の温度で実施される。1つの実施形態において、溶液の最終pHは、4.8〜5.6、好ましくは5.2±0.2に調整される。1つの実施形態において、このpH調整は、酢酸を用いて実施される。1つの実施形態において、IgGの可溶性を高めるために、懸濁液の伝導率を2.5〜6.0mS/cmに増加させる。1つの実施形態において、塩化ナトリウムの添加によって伝導率を増加させる。
【0233】
第2の沈殿物の抽出に適した溶液には、WFIおよび低伝導率緩衝液が挙げられる。1つの実施形態において、低伝導率緩衝液は、約10mS/cm未満の伝導率を有する。他の実施形態において、低伝導率緩衝液は、約9、8、7、6、5、4、3、2、または1mS/cm未満の伝導率を有する。ある好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約6mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約4mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約2mS/cm未満の伝導率を有する。
【0234】
1つの実施形態において、IgGを含む第1の懸濁液の可溶性部分が、不溶性部分から分離される。1つの実施形態において、これは、懸濁液を0.1μm〜0.4μmの公称孔径を有するデプスフィルターで濾過することによって行われる。1つの実施形態において、デプスフィルターの公称孔径は、0.2μm(例えば、Cuno VR06フィルターまたは同等物)である。1つの実施形態において、さらなるIgGを回収するために、濾過後にフィルターをWFIまたは好適な緩衝液で洗浄し、その後洗浄液を濾液に添加する。ある好ましい実施形態において、フィルターの後洗浄は、約2.5〜約6.0mS/cmの伝導率を有する塩化ナトリウム溶液を使用して実施される。別の実施形態において、第2の懸濁液は、可溶性部分を回収するために遠心分離される。
【0235】
本発明の1つの態様において、濃縮IgG組成物を調製するために提供される方法は、少なくとも1つのさらなる血液因子を同じCohnプールから精製することをさらに含む。1つの実施形態において、本方法は、少なくとも2つのさらなる血液タンパク質を同じCohnプールから精製することをさらに含む。別の実施形態において、本方法は、少なくとも3つのさらなる血液タンパク質を同じCohnプールから精製することをさらに含む。さらに他の実施形態において、本方法は、少なくとも4、5、6、またそれ以上のさらなる血液タンパク質を同じCohnプールから精製することをさらに含む。IgGと同じCohnプールから共精製され得る例となる血液タンパク質には、限定することなく、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、H因子、インターαインヒビタータンパク質(IaIp)、プロトロンビン複合体、第VII因子(FVII)、第VIII因子(FVIII)、アンチトロンビンIII(ATIII)、フィブリノゲン、ブチリルコリンエステラーゼ等が挙げられる。
【0236】
1つの実施形態では、α−1−アンチトリプシン(A1PI)が、IgGと同じCohnプールからさらに精製される。ある具体的な実施形態では、A1PIが、第1の懸濁液の不溶性画分から精製される。
【0237】
別の実施形態では、フィブリノゲンが、IgGと同じCohnプールからさらに精製される。ある具体的な実施形態では、フィブリノゲンが、第1の懸濁液の不溶性画分から精製される。別の具体的な実施形態では、A1PIおよびフィブリノゲンの両方が、第1の懸濁液の不溶性画分から精製される。
【0238】
別の実施形態では、H因子が、IgGと同じCohnプールからさらに精製される。ある具体的な実施形態では、H因子が、第1の懸濁液の不溶性画分から精製される。別の具体的な実施形態では、A1PIおよびH因子の両方が、第1の懸濁液の不溶性画分から精製される。
【0239】
別の実施形態では、インターαインヒビタータンパク質(IaIp)が、IgGと同じCohnプールからさらに精製される。ある具体的な実施形態では、IaIpが、第1の懸濁液の不溶性画分から精製される。別の具体的な実施形態では、A1PIおよびIaIpの両方が、第1の懸濁液の不溶性画分から精製される。
【0240】
別の実施形態では、アルブミンが、IgGと同じCohnプールからさらに精製される。ある具体的な実施形態では、アルブミンは、形成された第1の上清から精製される。ある具体的な実施形態において、形成された第1の上清からアルブミンが精製され、一方、形成された第1の懸濁液の不溶性部分から、少なくとも1つのさらなる血液因子が精製される。
【0241】
1つの実施形態において、初期低pH、高アルコール沈殿ステップから回収された免疫グロブリンは、下流のKistler−NitschmannまたはDeutschらの分画に従ってさらに濃縮される。例えば、回収された免疫グロブリン組成物は、Kistler−Nitschmann B沈殿またはDeutschらのβグロブリン沈殿と類似したステップに供され得る。これらのステップで用いられる条件は、免疫グロブリンGが上清中に残存する一方で、αおよびβグロブリンの沈殿をもたらす。
【0242】
したがって、1つの態様において、本発明は、(i)初期低pH、高アルコール沈殿において免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)をCohnプールから共沈殿させるステップと、(ii)沈殿物から免疫グロブリンを回収するステップと、(iii)少なくとも1つの非γグロブリンタンパク質を、第1の沈殿物から回収された免疫グロブリン組成物から沈殿させるステップと、(iv)第2の沈殿ステップから上清を回収するステップとを含む、濃縮免疫グロブリンG(IgG)組成物を調製するための方法を提供する。ある特定の実施形態において、これらの方法は、追加の沈殿ステップ(例えば、沈殿物G沈殿)、陰イオンおよび/または陽イオン交換ステップ、1つまたは複数の限外濾過/透析濾過ステップ、ならびに1つまたは複数のウイルス低減または不活性化ステップ(例えば、S/D処理、ナノ濾過、低pHでのインキュベーション等)をさらに含み得る。
【0243】
V.α−1−アンチトリプシン(A1PI)組成物の調製
供給された血漿から血液タンパク質を製造するための現代の方法は、1940年代および1950年代に行われた初期研究から派生している。この研究が主としてアルブミンおよびγ免疫グロブリン(IgG)の精製に着目していたため、開発された分画スキームは、治療上より重要となっているさらなる血液タンパク質の回収には最適化されていなかった。例えば、血漿の初期高pH、低アルコール沈殿(例えば、画分I沈殿)の使用は、画分I沈殿物中のH因子、IaIp、およびある程度の免疫グロブリンの一部の損失をもたらす。さらに、その後続く沈殿ステップ(例えば、画分II+III沈殿または沈殿A)によって実現される免疫グロブリンおよびA1PIの分離は不完全であり、不完全な沈殿による上清中の免疫グロブリンの損失ならびに部分沈殿による沈殿物中のA1PIの損失を伴う。したがって、複数の血液タンパク質のより高い収量を提供する最新の分画方法が必要とされる。
【0244】
本発明は、初期沈殿物中の免疫グロブリン、A1PI、および他の血液タンパク質ならびに初期上清中のアルブミンを分画する初期沈殿ステップの使用を通して、これらの要件を満たす方法を提供する。ある好ましい実施形態において、この初期沈殿は、低pH、高アルコール条件下で実施される。
【0245】
1つの態様において、本発明は、Cohnプールの免疫グロブリンおよびA1PI含有量のバルクを沈殿させる初期ステップを使用して、α−1−アンチトリプシン(A1PI)を、貯蔵された血漿から製造するための方法を提供する。ある特別な実施形態において、この初期ステップは、低pH、高アルコール沈殿ステップである。本明細書に提供される実施例に示されるように、出発CohnプールのA1PI含有量の95%超がこれらの条件下で沈殿する。さらに、本発明は、この初期沈殿においてA1PIおよび免疫グロブリンを効率的に分離するための方法を提供する。
【0246】
1つの態様において、本発明は、濃縮α−1−アンチトリプシン(A1PI)組成物をCohnプールから調製するための方法を提供し、本方法は、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PIをCohnプールから共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物中に存在する免疫グロブリンを可溶化して、免疫グロブリンを含む可溶性部分およびA1PIを含む不溶性部分を有する第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分を分離するステップと、A1PIを第1の懸濁液の不溶性部分から回収し、それにより濃縮A1PI組成物を形成するステップとを含む。概して、免疫グロブリンおよびA1PIの沈殿のための任意の化学的方法が使用されてもよく、(例えば、エタノールまたはメタノールを使用する)アルコール沈殿、水溶性ポリマー(例えば、PEGまたはデキストラン)を使用する沈殿、ならびに(例えば、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム等を使用する)塩析が挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態において、沈殿は、アルコール沈殿、好ましくはエタノール沈殿である。
【0247】
1つの実施形態において、本発明は、低pH、高アルコール沈殿ステップにおいてA1PIを脱クリオ血漿から沈殿させることによって、濃縮A1PI組成物を調製するための方法を提供する。ある具体的な実施形態において、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールを脱クリオ血漿に添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてA1PIを脱クリオ血漿から沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、A1PIを第1の沈殿物から回収し、それにより濃縮A1PI組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたA1PIは、さらに濃縮される。
【0248】
1つの実施形態において、本方法は、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される最終濃度およびpHになるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてA1PIをCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、A1PIを第1の沈殿物から回収し、それにより濃縮A1PI組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたA1PIは、さらに濃縮される。
【0249】
1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.0〜6.0のpHで22%〜28%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合することによって実施される。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±2%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25±1%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。別の実施形態において、25%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。同様に、1つの実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.5のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.4のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.3のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.2のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5±0.1のpHで実施される。別の実施形態において、第1の沈殿ステップは、5.5のpHで実施される。さらに他の実施形態において、第1の沈殿ステップの最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0250】
本明細書に提供される方法は、初期沈殿反応において出発CohnプールのA1PI含有量の大半が沈殿するため、初期低アルコール沈殿ステップ(すなわち、画分I沈殿)に依存する最新の精製手法と比較して、最終濃縮生成物においてはるかに高いA1PI回収量を提供する。
【0251】
したがって、本明細書に提供される方法の1つの実施形態では、初期沈殿反応において、出発Cohnプールのα−1−アンチトリプシン(A1PI)含有量の少なくとも80%が沈殿する。ある好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも90%が沈殿する。より好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも95%が沈殿する。最も好ましい実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも97%が沈殿する。ある特定の実施形態では、初期沈殿反応において、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が沈殿する。
【0252】
本明細書に提供される実施例に示されるように、初期低pH、高アルコール沈殿ステップ(すなわち、画分I−IV−1沈殿)の使用は、出発CohnプールのA1PI含有量の少なくとも95%の沈殿をもたらす。したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮A1PI組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいてA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を第1の上清から分離するステップと、A1PIを第1の沈殿物から回収し、それにより濃縮A1PI組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の沈殿物から回収されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0253】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮A1PI組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物中に存在する免疫グロブリンを可溶化して、免疫グロブリンを含む可溶性部分およびA1PIを含む不溶性部分を有する第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分を分離するステップと、A1PIを第1の懸濁液の不溶性部分から回収し、それにより濃縮A1PI組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分から回収された免疫グロブリンは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の懸濁液の不溶性画分から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、Cohnプールの免疫グロブリン含有量の99%〜100%が沈殿する。
【0254】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮A1PI組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物中に存在する免疫グロブリンを可溶化して、免疫グロブリンを含む可溶性部分およびA1PIを含む不溶性部分を有する第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分を分離するステップと、A1PIを第1の懸濁液の不溶性部分から回収し、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在しており、それにより濃縮A1PI組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分から回収された免疫グロブリンは、さらに濃縮される。別の実施形態において、第1の懸濁液の不溶性部分から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、Cohnプールの免疫グロブリン含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。
【0255】
1つの実施形態において、第1の沈殿物は、沈殿物から免疫グロブリンを抽出するのに適した注射用水(WFI)または低イオン強度緩衝液中に懸濁され、懸濁液は次いで、微粉化二酸化ケイ素(SiO
2)で処理され、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分は、A1PI含有量のバルクを含有する懸濁液の不溶性部分から分離される。
【0256】
第1の沈殿物からの免疫グロブリンの抽出に好適な溶液は、概して、4.0〜5.5のpHを有する。ある特定の実施形態において、溶液は4.5〜5.0のpHを有し、他の実施形態において、抽出溶液は、約4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、または5.5のpHを有する。ある好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.7±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.8±0.1である。別の好ましい実施形態において、抽出緩衝液のpHは、4.9±0.1である。概して、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、第一リン酸塩、第二リン酸塩、それらの混合物等から選択される緩衝剤を使用してこれらのpH要件を満たすことができる。好適な緩衝液濃度は、典型的には、5〜100mM、または10〜50mM、または5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100mM緩衝剤の範囲である。
【0257】
抽出緩衝液は、好ましくは0.5mS/cm〜2.0mS/cmの伝導率を有する。例えば、ある特定の実施形態において、抽出緩衝液の伝導率は、0.5±0.1mS/cm、または0.6±0.1、0.7±0.1、0.8±0.1、0.9±0.1、1.0±0.1、1.1±0.1、1.2±0.1、1.3±0.1、1.4±0.1、1.5±0.1、1.6±0.1、1.7±0.1、1.8±0.1、1.9±0.1、もしくは2.0±0.1mS/cmである。当業者は、適切な伝導率を有する抽出緩衝液の生成方法を知っている。1つの特別な実施形態において、抽出緩衝液は、4.8±0.2のpHおよび0.7〜0.9mS/cmの伝導率で、5mM 第一リン酸ナトリウムおよび5mM 酢酸塩を含有する。
【0258】
1つの実施形態において、ヒュームドシリカは、分離(例えば、濾過または遠心分離)の前に、20g/kg画分I−IV−1沈殿物〜100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加される。別の実施形態において、ヒュームドシリカは、30g/kg画分I−IV−1沈殿物〜80g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加される。ある特定の実施形態において、ヒュームドシリカは、約20g/kg画分I−IV−1沈殿物、または約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100g/kg画分I−IV−1沈殿物の濃度で添加され得る。1つの具体的な実施形態において、ヒュームドシリカ(例えば、Aerosil380または同等物)は、40±20g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように画分I−IV−1懸濁液に添加される。別の具体的な実施形態において、ヒュームドシリカは、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように画分I−IV−1懸濁液に添加される。混合は、2℃〜8℃で少なくとも50〜70分間行われる。
【0259】
したがって、1つの実施形態において、本発明は、濃縮A1PI組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PIを含有する懸濁液の不溶性部分から分離するステップと、A1PIを第1の懸濁液の不溶性部分から回収し、それにより濃縮A1PI組成物を形成するステップとを含む。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態では、第1の沈殿物から回収された免疫グロブリンは、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液から取り出されたA1PIは、さらに濃縮される。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、Cohnプールの免疫グロブリン含有量の99%〜100%が沈殿する。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0260】
1つの実施形態において、本発明は、濃縮A1PI組成物を調製するための方法を提供し、本方法は、5.0〜6.0のpHで20%〜30%の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールに添加することによって、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびA1PI含有量の95%〜100%をCohnプールから沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液を微粉化二酸化ケイ素で処理するステップと、免疫グロブリンを含有する懸濁液の可溶性部分を、A1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含有する懸濁液の不溶性部分から分離するステップとを含み、ここでCohnプールのアルブミン含有量の80%〜100%は第1の上清中に存在している。1つの実施形態において、25±3%(v/v)の最終濃度になるようにエタノールをCohnプールと混合する。1つの実施形態では、懸濁液の可溶性部分に存在する免疫グロブリンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するA1PIが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するフィブリノゲンが、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するH因子が、さらに濃縮される。別の実施形態では、懸濁液の不溶性部分に存在するIaIpが、さらに濃縮される。さらに別の実施形態では、第1の上清中に見出されるアルブミンが、さらに濃縮される。ある好ましい実施形態では、第1の沈殿ステップにおいて、Cohnプールの免疫グロブリン含有量の99%〜100%が沈殿する。ある特定の実施形態において、低pH、高アルコール沈殿ステップで使用される最終エタノール濃度およびpHは、表1、表2、表3、表4、表5、表6、および表7に記載されるように、Var.1〜2166から選択される。ある具体的な実施形態において、第1の懸濁液の可溶性部分と不溶性部分は、濾過によって分離される。1つの実施形態において、SiO
2は、40±10g/kg画分I−IV−1沈殿物の最終濃度になるように添加される。
【0261】
1つの実施形態において、IgGを含有する第1の懸濁液の可溶性部分は、懸濁液を0.1μm〜0.4μmの公称孔径を有するデプスフィルターで濾過することによって、A1PIを含有する不溶性部分から分離される。1つの実施形態において、デプスフィルターの公称孔径は、0.2μm(例えば、Cuno VR06フィルターまたは同等物)である。1つの実施形態において、さらなるIgGを回収するために、濾過後にフィルターをWFIまたは好適な緩衝液で洗浄し、その後洗浄液を濾液に添加する。別の実施形態において、第1の懸濁液は、可溶性部分と不溶性部分を分離するために遠心分離される。
【0262】
1つの実施形態において、A1PIは、A1PI抽出緩衝液中の不溶性部分を懸濁することによって分離された不溶性部分から回収される。例えば、1つの実施形態において、分離された不溶性部分は、不溶性物質1部 対 注射用水(WFI)または低伝導率緩衝液2〜15部の比率で懸濁されて、第2の懸濁液を形成する。別の実施形態では、分離された不溶性部分は、不溶性物質1部 対 注射用水(WFI)または低伝導率緩衝液2〜10部の比率で懸濁される。別の実施形態では、分離された不溶性部分は、不溶性物質1部 対 注射用水(WFI)または低伝導率緩衝液3〜7部の比率で懸濁される。さらに他の実施形態では、分離された不溶性部分は、不溶性物質1部 対 注射用水(WFI)または低伝導率緩衝液2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20部、またはそれ以上の比率で懸濁される。1つの実施形態において、抽出は、少なくとも2時間撹拌される。別の実施形態では、抽出は、少なくとも4時間撹拌される。別の実施形態では、抽出は、少なくとも8時間撹拌される。別の実施形態では、抽出は、6〜12時間撹拌される。1つの実施形態では、抽出は、10℃〜25℃で実施される。別の実施形態では、抽出は、17±5℃で実施される。別の実施形態では、抽出は、17±4℃で実施される。別の実施形態では、抽出は、17±3℃で実施される。別の実施形態では、抽出は、17±2℃で実施される。別の実施形態では、抽出は、17±1℃で実施される。1つの実施形態において、A1PIを含有する可溶性部分は、濾過、例えば、デプス濾過によって不溶性部分から分離される。別の実施形態において、A1PIを含有する可溶性部分は、遠心分離によって不溶性部分から分離される。
【0263】
A1PIの抽出に適した溶液には、WFIおよび低伝導率緩衝液が挙げられる。1つの実施形態において、低伝導率緩衝液は、約10mS/cm未満の伝導率を有する。他の実施形態において、低伝導率緩衝液は、約9、8、7、6、5、4、3、2、または1mS/cm未満の伝導率を有する。ある好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約6mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約4mS/cm未満の伝導率を有する。別の好ましい実施形態において、低伝導率緩衝液は、約2mS/cm未満の伝導率を有する。1つの実施形態では、WFIまたは低伝導率緩衝液は、8.0〜9.5のpHを有する。ある特別な実施形態では、A1PI抽出緩衝液のpHは、8.8±0.5である。ある具体的な実施形態では、A1PI抽出緩衝液のpHは、8.8±0.4である。ある具体的な実施形態では、A1PI抽出緩衝液のpHは、8.8±0.3である。ある具体的な実施形態では、A1PI抽出緩衝液のpHは、8.8±0.2である。ある具体的な実施形態では、A1PI抽出緩衝液のpHは、8.8±0.1である。さらに他の実施形態において、A1PI抽出緩衝液のpHは、8.0±0.2、8.1±0.2、8.2±0.2、8.3±0.2、8.4±0.2、8.5±0.2、8.6±0.2、8.7±0.2、8.8±0.2、8.9±0.2、9.0±0.2、9.1±0.2、9.2±0.2、9.3±0.2、9.4±0.2、または9.5±0.2である。
【0264】
1つの実施形態において、第1の懸濁液の分離された不溶性部分は、A1PI緩衝液を使用する抽出の前に、A1PIを抽出するのに適していないWFIまたは低イオン強度緩衝液中に懸濁されて、中間懸濁液を形成する。この実施形態において、本方法は、7.0を超えないpHでWFIまたは低イオン強度緩衝液中に不溶性部分を懸濁することと、中間懸濁液の可溶性部分と不溶性部分を分離することと、中間懸濁液の不溶性部分中のA1PIを回収することとを含む。1つの実施形態では、中間懸濁液は、不溶性物質1部 対 WFIまたは緩衝液2〜15部の比率で不溶性物質を懸濁することによって形成される。1つの実施形態において、WFIまたは低イオン強度緩衝液は、4.5〜6.5のpHを有する。別の実施形態において、低イオン強度緩衝液は、5.5±0.4のpHを有する。別の実施形態において、低イオン強度緩衝液は、5.5±0.3のpHを有する。別の実施形態において、低イオン強度緩衝液は、5.5±0.2のpHを有する。別の実施形態において、低イオン強度緩衝液は、5.5±0.1のpHを有する。さらに他の実施形態において、低イオン強度緩衝液は、4.5±0.2、4.6±0.2、4.7±0.2、4.8±0.2、4.9±0.2、5.0±0.2、5.1±0.2、5.2±0.2、5.3±0.2、5.4±0.2、5.5±0.2、5.6±0.2、5.7±0.2、5.8±0.2、5.9±0.2、6.0±0.2、6.1±0.2、6.2±0.2、6.3±0.2、6.4±0.2、または6.5±0.2のpHを有する。1つの実施形態において、可溶性部分は、濾過、例えば、デプス濾過によって、A1PIを含有する不溶性部分から分離される。別の実施形態において、可溶性部分は、A1PIを含有する不溶性部分から遠心分離によって分離される。
【0265】
1つの実施形態では、第1の懸濁液の不溶性部分から抽出されたA1PIは、限定されないが、クロマトグラフィー(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAP)、タンパク質A親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等)、濾過(例えば、限外濾過および/または透析濾過)、ならびに1つまたは複数のウイルス低減ステップ(例えば、ナノ濾過、溶媒および洗浄剤処理、UV照射、熱処理、低pHインキュベーション等)が挙げられる、当該技術分野においてよく知られた方法に従って、さらに濃縮される。
【0266】
1つの実施形態において、第1の懸濁液の不溶性部分から抽出されたA1PIは、分画によってさらに濃縮される。概して、分画の任意の方法(例えば、アルコールもしくはポリマー沈殿、塩析等)が使用され得る。ある好ましい実施形態において、組成物は、二価カチオン、好ましくは亜鉛を用いてA1PIを清澄化抽出溶液から沈殿させることによってさらに濃縮される。1つの実施形態において 、塩化亜鉛は、1mM〜15mMの最終濃度で溶液に添加される。ある具体的な実施形態において、塩化亜鉛は、1mM〜4mMの最終濃度で溶液に添加される。より具体的な実施形態において、塩化亜鉛は、2.0mM〜3.0mMの最終濃度で溶液に添加される。
【0267】
ある特定の実施形態において、A1PIは、当該技術分野で知られている精製方法、例えば、国際公開公報第1995/35306号、国際公開公報第1998/00154号、ならびに米国特許第5,981,715号、同第7,807,435号、および同第7,879,800号(これらの開示は、参照によりあらゆる目的においてその全体が明示的に本明細書に組み込まれる)に従って、さらに濃縮される。
【0268】
VI.薬学的組成物
1つの態様において、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って調製される血漿由来タンパク質の組成物を提供する。ある特定の実施形態において、これらの組成物は、薬学的投与用に製剤化される(すなわち、薬学的組成物)。
【0269】
1つの実施形態において、本発明は、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)をCohnプールから共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液から免疫グロブリンを可溶化して、免疫グロブリンを含む懸濁液の可溶性部分ならびにA1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含む懸濁液の不溶性部分を形成するステップと、懸濁液の可溶性部分を懸濁液の不溶性部分から分離するステップとを含む方法によって調製される血漿由来タンパク質組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本組成物は、免疫グロブリン(Ig)、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、ブチリルコリンエステラーゼ、H因子、補体系のタンパク質、ならびにインターαトリプシンインヒビター(IαI)タンパク質から選択される、血漿由来タンパク質を含む。
【0270】
概して、免疫グロブリンおよびA1PIの沈殿のための任意の化学的方法が使用されてもよく、(例えば、エタノールまたはメタノールを使用する)アルコール沈殿、水溶性ポリマー(例えば、PEGまたはデキストラン)を使用する沈殿、ならびに(例えば、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム等を使用する)塩析が挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態において、沈殿は、アルコール沈殿、好ましくはエタノール沈殿である。
【0271】
1つの実施形態において、組成物は、薬学的投与用に製剤化される。ある具体的な実施形態において、組成物は、静脈内投与用に製剤化される。別の具体的な実施形態において、組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。別の実施形態において、組成物は、皮下投与用に製剤化される。さらに別の実施形態において、組成物は、眼内投与用に製剤化される。
【0272】
1つの実施形態において、本明細書に提供される薬学的組成物は、本明細書に提供される方法を用いて単離された血漿由来タンパク質組成物を製剤化することによって調製される。概して、製剤化された組成物は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは少なくとも3つのウイルス不活性化または除去ステップに供されることになる。本明細書に提供される方法と共に用いられるウイルス不活性化または除去ステップの非限定的な例としては、溶媒洗浄剤処理(Horowitz et al.,Blood Coagul fibrinogenolysis 1994(5 Suppl 3):S21−S28およびKreil et al.,Transfusion 2003(43):1023−1028、この両方が、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる)、ナノ濾過(Hamamoto et al.,Vox Sang 1989(56)230−236およびYuasa et al.,J Gen Virol.1991(72(pt8)):2021−2024、この両方が、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる)、ならびに高温での低pHインキュベーション(Kempf et al.,Transfusion 1991(31)423−427およびLouie et al.,Biologicals 1994(22):13−19)が挙げられる。ある特定の実施形態において、本組成物は、免疫グロブリン(Ig)、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、ブチリルコリンエステラーゼ、H因子、補体系のタンパク質、ならびにインターαトリプシンインヒビター(IαI)タンパク質から選択される、血漿由来タンパク質を含む。
【0273】
1つの実施形態において、本明細書に提供される薬学的組成物は、静脈内、皮下、筋肉内、および/または眼内投与に適した1種または複数種の緩衝剤またはpH安定剤を含む。本明細書に提供される血漿由来タンパク質組成物を製剤化するのに適した緩衝剤の非限定的な例には、グリシン、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、グルタミン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、ヒスチジンもしくは他のアミノ酸、グルコン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、炭酸塩、または適切なpHに調整されているそれらの任意の組み合わせが挙げられる。概して、緩衝剤は、製剤中で好適なpHを長期間維持するのに十分である。ある好ましい実施形態において、緩衝剤はグリシンである。ある特定の実施形態において、本組成物は、免疫グロブリン(Ig)、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、ブチリルコリンエステラーゼ、H因子、補体系のタンパク質、ならびにインターαトリプシンインヒビター(IαI)タンパク質から選択される、血漿由来タンパク質を含む。
【0274】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される薬学的組成物は、任意で、組成物のモル浸透圧濃度を調整するための薬剤をさらに含み得る。モル浸透圧濃度調整剤(osmolarity agent)の非限定的な例には、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、スクロース、グルコース、右旋糖、レブロース、フルクトース、ラクトース、ポリエチレングリコール、ホスフェート、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グルコノグルコヘプトン酸カルシウム、ジメチルスルホン等が挙げられる。
【0275】
典型的には、本明細書に提供される製剤は、生理的モル浸透圧濃度、約285〜295mOsmol/kgに相当するモル浸透圧濃度を有する(Lacy et al.,Drug Information Handbook−Lexi−Comp 1999:1254。ある特定の実施形態において、製剤のモル浸透圧濃度は、約200mOsmol/kg〜約350mOsmol/kg、好ましくは約240〜約300mOsmol/kgである。ある特別な実施形態において、製剤のモル浸透圧濃度は、約200mOsmol/kg、または210mOsmol/kg、220mOsmol/kg、230mOsmol/kg、240mOsmol/kg、245mOsmol/kg、250mOsmol/kg、255mOsmol/kg、260mOsmol/kg、265mOsmol/kg、270mOsmol/kg、275mOsmol/kg、280mOsmol/kg、285mOsmol/kg、290mOsmol/kg、295mOsmol/kg、300mOsmol/kg、310mOsmol/kg、320mOsmol/kg、330mOsmol/kg、340mOsmol/kg、340mOsmol/kg、もしくは350mOsmol/kgである。
【0276】
本明細書に提供される血漿由来製剤は、概して、液体形態で長期間安定している。ある特定の実施形態において、製剤は、室温で少なくとも約3カ月、または室温で少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24カ月安定している。製剤はまた、概して、冷蔵条件下(典型的には約2℃〜約8℃)で6もしくは少なくとも約18カ月、または冷蔵条件下で少なくとも約21、24、27、30、33、36、39、42、もしくは45カ月安定している。
【0277】
VII.治療方法
1つの態様において、本発明は、本明細書に提供される方法に従って調製される血漿由来タンパク質の治療的に有効な投与量を投与することによる、血液タンパク質欠損または機能障害に関連する疾患または障害の治療を必要とする対象における前記疾患または障害を治療するための方法を提供する。ある特定の実施形態において、本組成物は、免疫グロブリン(Ig)、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、ブチリルコリンエステラーゼ、H因子、補体系のタンパク質、ならびにインターαトリプシンインヒビター(IαI)タンパク質から選択される、血漿由来タンパク質を含む。
【0278】
1つの態様において、本発明は、血液タンパク質欠損または機能障害に関連する状態の治療において使用するための医薬を製造するための、本明細書に提供される方法に従って調製される血漿由来タンパク質組成物の使用を提供する。ある特定の実施形態において、血漿由来タンパク質は、免疫グロブリン(Ig)、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、ブチリルコリンエステラーゼ、H因子、補体系のタンパク質、ならびにインターαトリプシンインヒビター(IαI)タンパク質から選択される。
【0279】
1つの実施形態において、血漿由来タンパク質組成物は、第1の沈殿ステップにおいて免疫グロブリンおよびα−1−アンチトリプシン(A1PI)をCohnプールから共沈殿させて、第1の沈殿物および第1の上清を形成するステップと、第1の沈殿物を懸濁して、第1の懸濁液を形成するステップと、第1の懸濁液から免疫グロブリンを可溶化して、免疫グロブリンを含む懸濁液の可溶性部分ならびにA1PI、フィブリノゲン、H因子、およびIaIpを含む懸濁液の不溶性部分を形成するステップと、懸濁液の可溶性部分を懸濁液の不溶性部分から分離するステップとを含む方法によって、調製される。ある特定の実施形態において、本組成物は、免疫グロブリン(Ig)、アルブミン、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、ブチリルコリンエステラーゼ、H因子、補体系のタンパク質、ならびにインターαトリプシンインヒビター(IαI)タンパク質から選択される、血漿由来タンパク質を含む。
【実施例】
【0280】
VIII.実施例
実施例1 − NG2 C91
免疫グロブリンG(IgG)組成物は、一連の沈殿反応を通して血漿を分画することによって、商業用に製造される。一般的な方法論では、不純物を、第1のアルコール沈殿ステップにおいて免疫グロブリン含有脱クリオ血漿から沈殿させる。次いで、結果として得られた上清からIgG免疫グロブリンを沈殿させて、続いてさらに濃縮する。アルコール分画の間にヒト血漿から回収されるIgGの収量を増加するために、IgG沈殿反応において5.5〜7.0のpH値および20%〜25%のエタノール濃度を試験した。
【0281】
簡潔に言うと、エタノールを8%(v/v)の最終濃度で脱クリオ血漿に7.2±0.2のpHで混合し、その混合物を0℃でインキュベートし、形成された沈殿物(画分I)をその上清(画分I上清)から分離することによって、血漿由来免疫グロブリンG(IgG)、α−1−アンチトリプシン(A1PI)、およびアルブミン生成物の商業的製造において使用される中間体である、画分I上清を形成した。次いで、結果として得られた画分I上清を600gの試料に分注した。表9に示されるように、個々の試料のpHを5.5〜7.0に調整し、エタノールを20%〜25%の最終濃度になるように混合した。
【0282】
表9に示されるように、GAMMAGARD LIQUID(登録商標)(Baxter International;Deerfield,IL)の製造において使用される従来のCohn画分II+III沈殿物(25%のエタノール;pH6.8)および改変画分II+III沈殿物を調製するために用いられるものと同様の条件は、不完全な沈殿によって上清中の総IgGの2.9%および6.7%の損失をもたらした。しかしながら、反応のpHを6.0以下に低下させ、少なくとも22.5%の最終エタノール濃度を使用することによって、IgG損失は著しく減少することが分かった。例えば、pH5.5における22.5%のアルコールの使用は、上清中の総IgGのたった0.4%の損失しかもたらさなかった。同様に、pH6.0または5.5における25%のアルコールの使用は、上清中の総IgGのたった0.5%および0.1%の損失しかもたらさなかった。表10に示されるように、これは、従来のおよび改変画分II+III沈殿物と比較して、それぞれ、沈殿物におけるIgG 300mg/L血漿およびIgG 125mg/L血漿よりも多い増加と同じである。
【0283】
(表9)出発材料(画分I上清)のタンパク質含有量に対するパーセントとして示される、沈殿上清中のタンパク質の収率
【0284】
(表10)g/L血漿として示される、沈殿上清中のタンパク質の収量
【0285】
実施例2 − NG2 C96
実施例1に述べたような低pH(5.5)、高エタノール(25%)沈殿を使用して、初期8%エタノール沈殿を伴っておよび伴わずに実施されるIgG精製スキームの実験比較を行い、IgGの回収においてさらなる増加が得られるかどうかを判定した。
【0286】
簡潔に言うと、pH7.4および0℃で8%(v/v)の最終濃度のエタノールを使用して実施される初期沈殿ステップ(画分I)を用いて(NG2C96/1)、または用いずに(NG2C96/2)、100kgの脱クリオ血漿を処理した。脱クリオ血漿(NG2C96/1)または画分I上清(NG2C96/2)のpHをpH5.5±0.1に調整し、エタノールを25%(v/v)の最終濃度になるように混合した。次いで、タンパク質沈殿が可能となるようにその混合物を−5±2℃で5時間インキュベートした。結果として得られた沈殿物(沈殿物(I)+II+III)および上清(上清(I)+II+III)を遠心分離によって分離した。沈殿反応の規模のために、各反応物に対し2回の遠心分離が必要であった。各遠心分離から結果として得られた沈殿物を別々に処理した。
【0287】
緩衝液15部当たり沈殿物1部の割合で、5mMの一ナトリウムリン酸塩、5mMの酢酸ナトリウム、および600mg/Lの氷酢酸を含有する緩衝液中に沈殿物を懸濁し、pHを4.8±0.2に調整し、4℃〜8℃で2時間撹拌してタンパク質を抽出した。抽出インキュベーション後、ヒュームドシリカ(SiO
2)40g/(沈殿物(I)+II+III)kgを反応物中に混合し、4℃〜8℃で50分間撹拌した。次いで、Cellpure濾過助剤400g/(沈殿物(I)+II+III)kgを混合し、Cuno50SA膜を通してその反応物を濾過することで不溶性物質を除去し、(I)+II+III濾液および濾過ケークを形成した。濾過ケークを5mMの一ナトリウムリン酸塩、5mMの酢酸ナトリウム、および150mg/Lの氷酢酸を含有する緩衝液で洗浄し、その濾液を、(I)+II+III濾液に添加した。
【0288】
ポリソルベート80を0.2%(w/w)の最終濃度までその濾液に添加し、溶液を30分間インキュベートした。次いで、クエン酸ナトリウム二水和物を0.8%(w/w)の最終濃度まで溶液に添加し、溶液をさらに30分間インキュベートした。第2のインキュベーション後、水酸化ナトリウムを使用して溶液のpHを7.0に調整し、25%の最終濃度になるようにエタノールを混合した。沈殿を可能にするために、温度は0℃〜−10℃に下げられた。沈殿物(PptG)および上清(PptG上清)を遠心分離によって分離した。
【0289】
精製反応の各サブステップのIgG、IgA、およびIgM免疫グロブリン含有量を判定した。表11に示されるように、初期画分I沈殿ステップの排除は、最終組成物におけるIgGの著しく大きい収量をもたらした(溶解されたPptGのNG2C96/2(画分I沈殿を用いない)を、NG2C96/1(画分I沈殿を用いる)と比較する。同様に、溶解PptG画分のIgA(表12)およびIgM(表13)含有量は、初期画分I沈殿ステップを用いずに形成された。
【0290】
特に、画分I沈殿ステップは、一部には免疫グロブリン含有組成物からフィブリノゲンを除去するために使用される。初期画分I沈殿ステップを用いずに形成された溶解PptG画分の最終フィブリノゲン含有量は、初期画分I沈殿ステップを用いて形成されたPptG画分の含有量よりもおよそ6倍多いが、分画スキームによって、脱クリオ血漿出発材料中に存在するフィブリノゲン含有量の99%超が除去されている(表14)。
【0291】
(表11)初期8%エタノール画分I沈殿ステップを用いて、および用いずに、低pH、高アルコール沈殿反応を使用して血漿を分画したときに形成された種々の画分の、g/L出発血漿として示されるIgG含有量
【0292】
(表12)初期8%エタノール画分I沈殿ステップを用いて、および用いずに、低pH、高アルコール沈殿反応を使用して血漿を分画したときに形成された種々の画分の、g/L出発血漿として示されるIgA含有量
【0293】
(表13)初期8%エタノール画分I沈殿ステップを用いて、および用いずに、低pH、高アルコール沈殿反応を使用して血漿を分画したときに形成された種々の画分の、g/L出発血漿として示されるIgM含有量
【0294】
(表14)初期8%エタノール画分I沈殿ステップを用いて、および用いずに、低pH、高アルコール沈殿反応を使用して血漿を分画したときに形成された種々の画分の、g/L出発血漿として示されるフィブリノゲン含有量
【0295】
実施例3 − NG2 C99
従来の上流Cohn−OncleyおよびKistler−Nitschmannアルコール分画ステップ(すなわち、Cohn画分IおよびII;Cohn画分IおよびII+III;またはKistler Nitschmann8〜10%エタノール、沈殿Aおよび沈殿B)に代わる低pH、高アルコール沈殿の使用をさらに調査するために、NG2C96/2およびNG2C96/2B PptG沈殿物を組み合わせ、IgG免疫グロブリンについてさらに濃縮した。
【0296】
簡単に言うと、組み合わせたNG2C96/2およびNG2C96/2B PptG沈殿物を、酢酸でpH4.75±0.75に、および塩化ナトリウムで4.5±1.5mS/cmの伝導率に調整された注射用水(WFI)に懸濁した。濾過助剤を添加し、懸濁液をCuno VR06膜を通して濾過し、清澄化PptG濾液(VR06)を形成した。次いで、清澄化濾液を標準的な手法に従って溶媒および洗浄剤(S/D処理)で処理した。
【0297】
S/D処理された濾液を、10mMの酢酸ナトリウムを含有する緩衝液(pH5.0)で平衡化されたCMセファロースカラムに負荷し、その通過画分(CM D/N)を収集した。次いで、そのカラムを10mMの酢酸ナトリウムを含有する緩衝液(pH5.5)で洗浄し、その洗浄液(CM W)を収集した。55mMの一ナトリウムリン酸塩および10mMのTRISを含有する溶出緩衝液(pH8.5)を使用して、免疫グロブリンをカラムから溶出した。その溶出液を3つの画分に収集した:100mAU未満のOD
280を有する溶出液の第1の部分を含む、画分1(CM E−VL);溶出ピークの前端(leading edge)で100mAUを超えるOD
280と、溶出ピークの後端(lagging edge)で400mAUを超えるOD280とを有する溶出液のピークを含む、画分2(CM E);ならびに400mAU未満のOD280を有するピークの後側の溶出液の部分を含む、画分3(CM E−NL)。
【0298】
それぞれ氷酢酸および注射用水(WFI)を使用して、画分2溶出液のpHを6.4に、および伝導率を2.3mS/cmに調整した。次いで、画分2溶出液を15mMの一ナトリウムリン酸塩を含有する緩衝液(pH6.4)で平衡化されたANXセファロース高速流陰イオン交換樹脂に、100mgタンパク質/mL樹脂の負荷濃度で負荷した。IgGの大半を含む陰イオン交換通過画分を収集した(ANX D/N)。2Mの塩化ナトリウムを含む溶液(ANX 2M NaCl)を使用して、陰イオン交換樹脂に結合しているタンパク質をカラムから溶出した。
【0299】
グリシンを陰イオン交換通過画分に添加し、5%のタンパク質濃度が実現されるまで0.25Mのグリシンを含む溶液(pH5.2)に対して、Pellicon(登録商標)2Mini(Millipore)を使用して、その試料を限外および透析濾過した(UF/DF)。免疫グロブリン溶液を10%の最終タンパク質濃度までさらに濃縮し、pHを4.5に調整した(透析濃縮物(dia−concentrate))。次いで、その10%の免疫グロブリン溶液をMillipak 20(Millipore)を使用して滅菌濾過し、最終免疫グロブリン組成物を形成した(最終容器)。
【0300】
精製反応の各サブステップについて生化学的プロファイルを判定した(表15および表16)。データに示されるように、最終組成物は、薬学的投与に対して許容されるパラメータ内のごく低レベルの非IgGタンパク質を含んだ。
【0301】
(表15)初期8%エタノール画分I沈殿ステップを用いずに低pH、高アルコール沈殿反応を使用して血漿を分画したときに形成された種々の画分の、生物化学的特性評価
【0302】
(表16)初期8%エタノール画分I沈殿ステップを用いずに低pH、高アルコール沈殿反応を使用して血漿を分画したときに形成された種々の画分の、さらなる生物化学的特性評価
【0303】
実施例4 − NG2 C100
フィブリノゲンを除去するための初期低アルコール沈殿ステップを用いない低pH、高アルコール沈殿の使用を検証するため、実施例2および3において試料NG2C96/2に関して記載されたように、その処理に対していくつかの変更を伴って、200kgの脱クリオ血漿を分画および濃縮した。まず、低pH、高アルコール沈殿ステップ(I−IV1沈殿)をpH5.5ではなく5.1で25%のエタノールを用いて実施した。第2に、懸濁I−IV1沈殿物を、SiO
2 40g/kg沈殿物ではなく、ヒュームドシリカ(SiO
2)33g/kg沈殿物I−IV1で処理した。第3に、CM陽イオン交換溶出液を、100mgタンパク質/mL ANX樹脂ではなく、150mgタンパク質/mL ANX樹脂の濃度でANX陰イオン交換樹脂に負荷した。最後に、Cuno VR06で濾過した陰イオン交換通過画分をPLANOVA(登録商標)35N(Asahi Kasei Medical Co.,Ltd.;Tokyo,Japan)に通し、限外/透析濾過の前にナノ濾過ステップを実施した。
【0304】
精製の各ステップのIgG含有量を判定し、その結果を表17に提供する。GAMMAGARD LIQUID(登録商標)製造プロセス(IgG 3.7g/L原料血漿)に対する平均IgG収量と比較して、本実施例において使用された精製方法は、IgG 4.4g/L原料血漿という著しく高い収量をもたらす。これは、IgG収量のほぼ20%の増加を表す。最終IgG組成物の生物化学的特性評価が、表10に報告される。表中に見られるように、最終IgG組成物は、99%を超える純度を有し、IgG単量体/二量体含有量は99.8%を超える。最終容器はごく微量の不純物を含有し、そのレベルは規制基準内である。
【0305】
(表17)初期低pH、高アルコール沈殿ステップを用いて脱クリオ血漿から濃縮したときに形成された画分の、IgG含有量
【0306】
(表18)初期低pH、高アルコール沈殿ステップを用いて200Lの脱クリオ血漿から濃縮された最終IgG組成物の、生物化学的特性評価
【0307】
実施例5 − P02910NG2
100gタンパク質/mL ANX樹脂および150gタンパク質/mL ANX樹脂の負荷濃度でのCM陽イオン交換溶出液のANX陰イオン交換カラムの通過の効果を比較するために、200Lの脱クリオ血漿を初期低pH(5.4)、高アルコール(25%)沈殿ステップを介して分画し、実施例2および3において試料NG2C96/2に関して記載されたように処理してPptG沈殿物を形成した。形成された上流画分のIgG、IgA、およびIgM含有量を判定し、それぞれ表19、表20、および表21に報告する。
【0308】
結果として得られたPptG沈殿物を2つの1.8kgの試料に分け、それを、一方の試料が100mgタンパク質/mL ANX樹脂の負荷濃度でANX陰イオン交換樹脂を通過し(P03010NG2)、他方が150mgタンパク質/mL ANX樹脂の負荷濃度でANX陰イオン交換樹脂を通過した(P03110NG2)ことを除いて、実施例2および3において試料NG2C96/2に関して記載されたように、最終容器に濃縮した。
【0309】
精製の各下流濃縮ステップのIgG含有量を判定し、その結果を表22および表23に提供する。GAMMAGARD LIQUID(登録商標)製造プロセス(IgG 3.7g/L原料血漿)に対する平均IgG収量と比較して、本実施例において使用された精製方法は、IgG 4.3g/L原料血漿という著しく高い収量をもたらす。これは、IgG収量の16%の増加を表す。最終IgG組成物の生物化学的特性評価が、表16および表17に報告される。表中に見られるように、最終IgG組成物は、99%を超える純度を有し、IgG単量体/二量体含有量は99.8%を超える。最終容器はごく微量の不純物を含有し、そのレベルは規制基準内である。
【0310】
(表19)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応を用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgG含有量
【0311】
(表20)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応を用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgA含有量
【0312】
(表21)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応を用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgM含有量
【0313】
(表22)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応およびANX陰イオン交換負荷濃度100mg/mL ANX樹脂(P03010NG2)を使用して血漿を分画したときに形成された下流画分の、IgG含有量
【0314】
(表23)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応およびANX陰イオン交換負荷濃度150mg/mL ANX樹脂(P03110NG2)を使用して血漿を分画したときに形成された下流画分の、IgG含有量
【0315】
(表24)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応およびANX陰イオン交換負荷濃度100mg/mL ANX樹脂(P03010NG2)を使用して脱クリオ血漿から濃縮された最終IgG組成物の、生物化学的特性評価
【0316】
(表25)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応およびANX陰イオン交換負荷濃度150mg/mL ANX樹脂(P03110NG2)を使用して脱クリオ血漿から濃縮された最終IgG組成物の、生物化学的特性評価
【0317】
実施例6 − NG2C107B
IgG免疫グロブリンの製造において使用される低pH、高アルコール沈殿物の不溶性部分からのα−1−アンチトリプシン(A1PI)の抽出の可能性を精査した。簡潔に言うと、抽出された画分I−IV−1沈殿物の濾過中に形成された不溶性濾過ケークの2つの500kgの試料(1番および3番)を、まず7±2℃で2.8部の水(w/w)に懸濁し、試料のpHを5.5±0.1に調整した。懸濁液をCUNO 10CP膜を通して濾過し、濾液(1.濾液(Filtrat))および第2の濾過ケークを形成した。次いで、第2の濾過ケークを5部の水(w/w)に懸濁し、懸濁液の温度を17±2℃に調整し、試料のpHを8.8±0.2に調整し、次いで温度およびpHを維持しながらその試料を8時間撹拌し、不溶性物質からA1PIを抽出した。
【0318】
インキュベーション後、懸濁液1kg当たり10mmolのTrisおよび150mmolの塩化ナトリウムを試料に添加し、pHを8.0±0.1に調整した。懸濁液1kg当たり176gのPEG3350を試料に添加し、それを17±2℃で1時間インキュベートした。次いで、懸濁液を濾過し、不溶性物質を、抽出されたA1PIを含有する上清(2.濾液(Filtrat))から除去した。
【0319】
次いで、0.35g塩化亜鉛/kg濾液(2.5mM ZnCl;試料番号1)または0.54g/kgの塩化亜鉛/kg濾液(4.0mM ZnCl;試料番号3)のいずれかの添加によって粗A1PIを第2の濾液から沈殿させて、pHを7.5±0.2に調整し、試料を7±2℃で3時間インキュベートした。塩化亜鉛沈殿物を遠心分離(ZnCl
2遠心分離)によって回収した。A1PIを50mMのEDTAナトリウムを用いて塩化亜鉛沈殿物から抽出した(Zn−EDTA−濃縮物(conz))。
【0320】
濃縮プロセスの各ステップに対するA1PI(a1A)含有量および活性を判定し、表26に示す。EDTA抽出ステップにおいて、活性A1PI約400mg/L原料血漿を回収した。特に、A1PIを38±2℃および約9.2のpHで抽出した際、活性A1PI約600mg/L原料血漿を回収した。
【0321】
(表26)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%のエタノール)沈殿反応および亜鉛沈殿を用いて血漿を分画したときに形成された下流画分の、α−1−アンチトリプシン含有量
【0322】
実施例7 − P03410NG2AおよびB
脱クリオ血漿の低pH、高アルコール沈殿からのIgGの回収におけるpHの効果を精査した。簡潔に言うと、吸着によって第IX因子、第VII因子、およびアンチトロンビンIII(ATIII)を除去するように処理された100Lの脱クリオ血漿を、5.4(試料A;P03410NG2A)または5.6(試料B;P03410NG2B)のいずれかのpHで25%のエタノールを用いる沈殿によって分画した。次いで、試料を処理し、SiO
2 40g/kg沈殿物ではなくSiO
2 50g/kg沈殿物I−IV−1を沈殿I−IV−1懸濁液と混合したことを除いて、実施例2に記載のように沈殿G沈殿物(PptG沈殿物)および上清(PptG上清)を形成した。
【0323】
形成された画分のIgG、IgA、およびIgM含有量を判定し、それぞれ表27、表28、および表29に報告する。特に、初期沈殿がpH5.4(93.8%)またはpH5.6(88.8%)で実施されるとき、画分I−IV−1 CUNO濾液において原料血漿のIgG含有量の約90%が回収される。同様に、画分I−IV−1懸濁液において原料血漿のIgAおよびIgM含有量のほぼすべてが回収される。
【0324】
(表27)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgG含有量
【0325】
(表28)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgA含有量
【0326】
(表29)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgM含有量
【0327】
分画スキームをさらに特徴付けるため、フィブリノゲン(表30)、A1PI(表31)、α−2−マクログロブリン(表32)、アルブミン(表33)、トランスフェリン(表34)、およびC3(表35)の含有量を種々の上流画分に対して判定した。
【0328】
(表30)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、フィブリノゲン含有量
【0329】
(表31)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、α−1−アンチトリプシン含有量
【0330】
(表32)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、α−2−マクログロブリン含有量
【0331】
(表33)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、アルブミン含有量
【0332】
(表34)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、トランスフェリン含有量
【0333】
(表35)低pH(A=5.4;B=5.6)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップを用いて血漿を分画したときに形成された上流画分の、補体成分3(C3)含有量
【0334】
実施例8 − P03510NG2およびP03610NG2
初期低pH、高アルコール沈殿ステップを用いて形成されたPptG沈殿物の下流処理の間における、100gタンパク質/mL ANX樹脂および150gタンパク質/mL ANX樹脂の負荷濃度でのCM陽イオン交換溶出液のANX陰イオン交換カラムの通過の効果をさらに精査した。簡潔に言うと、2kgのP03410NG2A PptG沈殿物を、第1の試料(P03510NG2)は157mgタンパク質/mL ANX樹脂の濃度でANX陰イオン交換樹脂に負荷して、および第2の試料(P03610NG2)は106mgタンパク質/mL ANX樹脂の濃度でANX陰イオン交換樹脂に負荷して、実施例4に記載のように処理した。
【0335】
精製の各下流ステップのIgG含有量を判定し、その結果を表22および表23に提供する。GAMMAGARD LIQUID(登録商標)製造プロセス(IgG 3.7g/L原料血漿)に対する平均IgG収量と比較して、本実施例において使用された精製方法は、原料血漿1L当たり4.72gのIgGおよび4.67gのIgGという著しく高い収量をもたらす。これは、IgG収量の25%を超える増加を表す。最終IgG組成物の生物化学的特性評価が、表38および表39に報告される。表中に見られるように、最終IgG組成物は、99%を超える純度を有し、IgG単量体/二量体含有量は99.8%を超える。最終容器はごく微量の不純物を含有し、そのレベルは規制基準内である。
【0336】
(表36)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップおよび陰イオン交換負荷濃度157mg/mL ANX樹脂(P03510NG2)を使用して血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgG含有量
【0337】
(表37)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップおよび陰イオン交換負荷濃度106mg/mL ANX樹脂(P03610NG2)を使用して血漿を分画したときに形成された上流画分の、IgG含有量
【0338】
(表38)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップおよび陰イオン交換負荷濃度157mg/mL ANX樹脂(P03510NG2)を使用して脱クリオ血漿から濃縮された最終IgG組成物の、生物化学的特性評価
【0339】
(表39)初期低pH(5.4)、高アルコール(25%)初期沈殿ステップおよび陰イオン交換負荷濃度106mg/mL ANX樹脂(P03610NG2)を使用して脱クリオ血漿から濃縮された最終IgG組成物の、生物化学的特性評価
【0340】
実施例9 − 分画生成物のさらなる特性評価
初期低pH、高アルコール沈殿を含む精製方法を使用して実現される免疫グロブリンG収量および純度を、従来のCohn沈殿Iおよび沈殿II+III中間体を使用して実現されるものと比較した。
【0341】
初期低pH、高アルコール沈殿を用いる3つの大規模IgG精製の収量および純度(実施例5(「P03010NG2」)に記載のロット3010、実施例8(「P03610NG2」)に記載のロット3610、ならびにロット3010および3610と同様に調製された第3のロット1111)を、2010年に単一の製造工場において調製されたGAMMAGARD LIQUID(10%免疫グロブリン輸液(ヒト)、Baxter International)の平均収量と比較した。GAMMAGARD LIQUID精製プロセスは、初期低pH、高アルコール沈殿物ではなくCohn画分IおよびCohn画分II+III中間体を通して行われたことを除いて、ロット3010、3610、および1111を調製するために用いられるプロセスと実質的に同様である。実験用ロットの調製中に形成された沈殿物G生成物、ならびにGAMMAGARD LIQUIDについて平均化された沈殿物G生成物の特性評価が、表40に示される。
【0342】
(表40)初期低pH、高アルコール沈殿ステップを経て実験用IgGロット3010、3610、および1111を調製したときに形成された沈殿物G(PptG)中間体、ならびにCohn画分IおよびII+III沈殿ステップを経た2010年の単一の製造工場調製物としてのGAMMAGARD LIQUID調製物について平均化された沈殿物G(PptG)中間体の、生物化学的特性評価
【0343】
表40に見られるように、初期低pH、高アルコール沈殿ステップの使用は、Cohn画分IおよびII+III沈殿ステップを経るGAMMAGARD LIQUID精製方法と比較して、沈殿物G中間ステップにおけるIgG回収の著しい増加をもたらした(初期高アルコール、低pH沈殿ステップの88.9〜96.6%のIgG回収対Cohn画分IおよびII+III沈殿ステップの82.9%)。
【0344】
補体成分3(C3)およびフィブリノゲンのより高いレベルからも明らかなように、実験用ロット3010、3610、および1111において形成されたIgG沈殿物G中間体は、平均GAMMAGARD LIQUID沈殿物G中間体が有するものよりも若干低い純度を有するが、これらの中間体のフィブリノゲン含有量は、それでもなおGAMMAGARD LIQUID製造においてみられる値の範囲内である。しかしながら、実験用ロットが上述のようにさらに処理された場合、最終IgG生成物は、表41に示されるように、試験されたすべての製造規格を満たした。
【0345】
(表41)初期低pH、高アルコール沈殿ステップを経た実験用ロット3010、3610、および1111における最終貯蔵ヒトIgG組成物の生物化学的特性評価
【0346】
実施例10 − アルブミン組成物の特性評価
本明細書に記載の新たな免疫グロブリンG製造プロセス(例えば、初期低pH、高アルコール沈殿ステップを経るもの)が血漿タンパク質副産物の製造を支持し得るかをさらに検証するために、低pH、高アルコール上清からアルブミンを精製した。
【0347】
アルブミンをCohn画分IV−1およびIV−4上清から精製するための方法は、当該技術分野でよく知られている。典型的には、Cohn画分IV−1およびIV−4上清は、Cohn画分IおよびCohn画分II+III沈殿等の中間アルコール沈殿ステップを経るプロセスにおいて形成される。本実施例において、初期低pH、高アルコール沈殿からの上清を画分IV−1上清の代わりに使用したことを除いて、標準的な方法に従ってアルブミンを調製した。表42に見られるように、低pH、高アルコール上清からの精製は、試験されたすべての品質管理要件を満たすアルブミン(18.92g/L血漿)の高収量をもたらした。
【0348】
(表42)上述の大規模低pH、高アルコール沈殿上清から調製されたアルブミン組成物の生物化学的特性評価
【0349】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、単に説明目的のためのものであり、それらに照らし合わせて様々な修正または変更が、当業者に示唆されることになり、本出願の趣旨および権限ならびに添付の請求項の範囲内に含まれるべきであると理解される。本明細書で引用されるすべての公報、特許、および特許出願は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。