(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記耐火部材を保持部材を介して前記一対の枠体および前記方立の少なくとも一つに固定する工程と、前記カバー材を前記保持部材に係止させて前記耐火部材の室内側に固定する工程と、を有することを特徴とする請求項7に記載の窓部連結構造の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された窓部では、例えば、室外側に火災が発生すると、アルミ合金からなる一対の縦枠は熱で反って外側に伸びてしまう。すると、熱によって縦枠の外側部分が伸びると外側が拘束されていないため、縦枠が内側部分より外側に大きく開いてしまい、その隙間から炎(熱)が方立内に浸入してしまうため防火性能が低下する欠点があった。
【0006】
また、室内側に火災が発生すると、方立の室内側に設けたカバーや、ねじで固定されている押縁材が溶融し、更にねじで固定されている見込み片が溶融する等してねじ固定が緩んでしまい、見込み片が室内側にずれてしまう。そのため、方立本体の見付け片に固定したパッキンと縦枠との当接が緩んでしまいパッキンと縦枠との間隙から炎(熱)が浸入する等して防火性能が低下するという欠点があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、室外または室内側での火災等の際に、室内側または室外側への炎の浸入を防ぐことができる窓部連結構造の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る窓部連結構造の施工方法は、建物の開口部に左右方向に並んだ窓部を保持するための窓部連結構造の施工方法において、前記左右の窓部をそれぞれ支持する一対の枠体の間に方立を設ける工程と、前記一対の枠体における前記方立が配された側の端部近傍および前記方立の室内側に耐火部材を設ける工程と、
前記一対の枠体と前記方立との間に、前記枠体および前記方立を係止可能なアンカーをそれぞれ設ける工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明では、一対の枠体における方立が配された側の端部近傍および方立の室内側に耐火部材を設けることにより、枠体と方立との間の空間が耐火部材によって室内と区分される。このため、室内または室外で火災が発生した際に、枠材と方立の間の空間から室外側または室内側へ炎が浸入することを防止することができる。
【0010】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記一対の枠体と前記方立との間に、前記枠体および前記方立を係止可能なアンカーをそれぞれ設ける工程を有するこ
とにより、一対の枠体と方立とを確実に固定させることができるため、枠体がねじれたり反ったりすることを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記方立の少なくとも一部は鉄製であって、該方立の鉄製の部分と前記アンカーとを溶接する工程を有することが好ましい。
このようにすることにより、一対の枠体と方立とを更に確実に固定させることができる。
【0012】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記耐火部材の上端部および下端部を前記建物の躯体と接触させる工程を有することが好ましい。
このようにすることにより、枠体と方立との間の空間が耐火部材と躯体との隙間から室内と連通することを防止できるため、室内または室外で火災が発生した際に、枠材と方立の間の空間から室外側または室内側へ炎が浸入することを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記耐火部材を前記躯体に固定する工程を有することが好ましい。
このようにすることにより、耐火部材が位置ずれすることを防止することができる。
【0014】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記耐火部材の
室外側の面を前記一対の枠体の室内側の面よりも
室外側に配置させる工程を有することが好ましい。
このようにすることにより、耐火部材が一対の枠体間にも配置されるため、一対の枠体と方立との間から熱が浸入することを確実に防止することができる。また、耐火部材を一対の枠体の室内側のみに配置する場合と比べて、一対の枠体の室内側の面から室内側へ突出する耐火部材の寸法を小さくすることができ、意匠性を高めることができる。
【0015】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記耐火部材を前記一対の枠体および前記方立の少なくとも一つに固定する工程を有することが好ましい。
このようにすることにより、耐火部材を所望の位置に確実に固定することができる。
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記耐火部材の
室内に面する面をカバー材によって被覆する工程を有することが好ましい。
【0016】
このようにすることにより、耐火部材が室内側に露出することがないため、意匠性を高めることができるとともに、人や物との接触による耐火部材の損傷を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記耐火部材を前記一対の枠体および前記方立の少なくとも一つに固定する工程を有することが好ましい。
【0018】
このようにすることにより、耐火部材を所望の位置に確実に固定することができる。
【0019】
また、本発明に係る窓部連結構造の施工方法では、前記耐火部材を保持部材を介して前記一対の枠体および前記方立の少なくとも一つに固定する工程と、前記カバー材を前記保持部材に係止させて前記耐火部材の室内側に固定する工程と、を有することが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、カバー材が確実に耐火部材を被覆することができる。また、保持部材が耐火部材を保持するだけでなく、カバー材を係止することもできるため、カバー材を容易に施工することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、室内または室外で火災が発生した際に、枠材と方立の間の空間から室外側または室内側へ炎が浸入することを防止することができ、窓部連結構造の防火性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による窓部連結構造(窓部連結構造の施工方法)について、
図1乃至
図4に基づいて説明する。
図1および
図2に示すように、第1実施形態による窓部連結構造1Aでは、建物11の開口部12に左右方向に2つの窓部2,2が方立3を介して配列されていて、方立3の室内13側に耐火部材4が設けられている。
【0024】
図1および
図3に示すように、窓部2は矩形状に枠組みされた枠体21と、枠体21内にはめ込まれた窓ガラス22と、を備えている。ここで、枠体21のうち、窓ガラス22の左右方向の両端部22aに沿って設けられた部材を縦枠23として以下説明する。
【0025】
縦枠23は、水平断面において、見込み方向(室内外方向、図中の矢印Bの方向)に延びる見込み片24と、この見込み片24の窓ガラス22側に設けられて窓ガラス22を保持する窓ガラス保持部25と、見込み片24の室外14側の端部から連続して見付け方向(左右方向、図中の矢印Cの方向)に延びる室外側見付け片26と,見込み片24の室内13側の端部から連続して見付け方向Cに延びる室内側見付け片27と、室外側見付け片26の方立3側の端部から連続して室内13側に延びる室外側折り返し片28と,室内側見付け片27の方立3側の端部から連続して室外14側に延びる室内側折り返し片29と、を備えている。
これらの見込み片24、窓ガラス保持部25,一対の見付け片26,27および一対の折り返し片28,29は、例えば、アルミ合金などで一体に成型されている。
【0026】
方立3は、室内13側に設けられた室内側方立部材31と、室外14側に設けられた室外側方立部材32と、を備えていて、これらの室内側方立部材31および室外側方立部材32は、ともに開口部12の高さ方向全長にわたって上下方向(
図2の矢印Dの方向)に延在する部材に形成されている。
【0027】
室内側方立部材31は、上下方向Dに延在する中空角型のスチールパイプで構成されており、上端部および下端部が建物11の躯体15に固定されている。本実施形態では、室内側方立部材31は、上端部および下端部が躯体15に固定された鉄筋16a(
図2参照)に溶接されている。
また、室内側方立部材31は、室内13側の面31aが縦枠23の室内側見付け片27の室内13側の面27aと見込み方向Bの位置が同じ位置となるように(略一面となるように)設置されている。
【0028】
室外側方立部材32は、水平断面において、室外14側に位置し見付け方向Cに延びる第1見付け片33と、第1見付け片33と連続し第1見付け片33の見付け方向C中央部から室内13側に延びる第1見込み片34と、第1見込み片34と連続し見付け方向Cに延びる第2見付け片35と、第2見付け片35と連続し第2見付け片35の見付け方向Cの両端部から室内13側に延びる一対の第2見込み片36,36と、を備えている。
室外側方立部材32は、例えば、アルミ合金などで形成されている。
【0029】
室外側方立部材32の第1見付け片33は、見付け方向Cの両端部33a,33a近傍が縦枠23の室外側見付け片26,26と見込み方向Bに重なる位置に設置され、室外側見付け片26,26との間に上下方向D全長にわたってパッキンなどの止水材37が介在されている。
また、第2見付け片35の室内13側で、一対の第2見込み片36,36の間には、室内側方立部材31の室外14側が嵌合するように構成されている。そして、一対の第2見込み片36,36は、室内側方立部材31にねじ止めされ、室内側方立部材31と室外側方立部材32とが連結されている。
【0030】
一対の縦枠23,23と方立3との間には、縦枠23と方立3とを固定する鉄製のアンカー5がそれぞれ設けられている。
【0031】
図4(a)、(b)に示すように、アンカー5は、その面が見付け方向Cを向くように配された板状の板部51と、板部51の一方の面51aの見込み方向Bの両端に板部51と連続して形成された一対の第1係止部52,52と、板部51の他方の面51bの中央近傍に板部51と連続して形成された第2係止部53とを有している。
【0032】
第1係止部52は、水平断面においてが略L字状に形成され、その屈曲部が斜めに形成されている。
そして、室外14側の第1係止部52と板部51との間には、縦枠23の室外側折り返し片28が嵌合し、第1係止部52が板部51とともに縦枠23の室外側折り返し片28を係止している。また、室内13側の第1係止部52と板部51との間には、縦枠23の室内側折り返し片29が嵌合し、第1係止部52が板部51とともに縦枠23の室内側折り返し片29を係止している。
【0033】
図4(c)に示すように、第2係止部53は、面が上下を向くように配された板状の部材で、方立3の室内側方立部材31と近接する位置に形成されている。そして、第2係止部53と室内側方立部材31との間には断面が略L字状のスチール製のアングル材54が配され、アングル材54の一方の片54aと第2係止部53とが溶接され、他方の片54bと室内側方立部材31とが溶接されている。
【0034】
このように、アンカー5は、縦枠23を係止するとともに方立3と溶接され、縦枠23と方立3とを固定している。
なお、アンカー5を設置する高さや個数は適宜設定されてよい。
【0035】
また、本実施形態では、
図1に示すように、建物11の躯体15側に配された縦枠23と躯体15との間にもアンカー5が設けられていて、縦枠23がアンカー5に係止されるとともに、躯体15に固定された鉄筋16bと第2係止部53とが溶接されている。
【0036】
次に、耐火部材4は、
図3に示すように、例えば、ケイ酸カルシウムを主成分とした板状の耐火被覆材(繊維混入ケイ酸カルシウム板)、巻きつけ型または吹付型のロックウールなどで構成され、その面が見込み方向Bを向くように設置されている。なお、本実施形態では、耐火部材4に繊維混入ケイ酸カルシウム板を使用している。
耐火部材4は、幅寸法(見付け方向Cの寸法)が方立3を挟んだ一対の縦枠23,23間の寸法よりも大きく、高さ寸法は開口部12の高さ寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0037】
また、耐火部材4の厚さ寸法(見込み方向Bの寸法)は、必要とする耐火性能(炎の浸入を防ぐ性能)に対応して設定されることが好ましい。
例えば、耐火部材4が繊維混入ケイ酸カルシウム板の場合は、耐火時間30分以上の性能とするのであれば、耐火部材4の厚さ寸法を20mm以上とし、耐火時間1時間以上の性能とするのであれば耐火部材4の厚さ寸法を35mm以上とする。また、耐火部材4が吹付ロックウールの場合は、耐火時間30分以上の性能とするのであれば、耐火部材4の厚さ寸法を20mm以上とし、耐火時間1時間以上の性能とするのであれば30mm以上とする。
そして、耐火部材4は、室外14側の面4aが、室内側方立部材31の室内13側の面31aと、一対の縦枠23,23の室内側見付け片27,27の室内13側の面27aと当接している。
【0038】
また、
図2に示すように、耐火部材4は、室外14側の面4aにおける上端部4d近傍および下端部4e近傍、および上端面4f並びに下端面4gが建物11の躯体15と当接(接触)し、板状の取り付け材17を用いて躯体15に固定されている。
なお、本実施形態では、耐火部材4の上端面4fおよび下端面4gが、躯体15のコンクリート部分15aと当接し、室外14側の面4aにおける上端部4d近傍および下端部4e近傍が躯体15の表面に配されたモルタル部分15bと当接している。
【0039】
また、
図3に示すように、耐火部材4は、室内13側の面4bと見付け方向Cの両端面4c,4cとがカバー材6に覆われている。ここで、耐火部材4は保持部材7を用いて方立3および一対の縦枠23,23にねじ止めされていて、カバー材6は保持部材7に係止されるように取り付けられている。
カバー材6は、耐火部材4の高さ寸法と略同じ寸法に例えば、樹脂やアルミ合金などで長尺に形成され、水平断面において室外14側に開口する略C字状の本体部61と、本体部61と一体に形成され保持部材7に係止される一対の係止部62,62とを備えている。
【0040】
本体部61は、内部に耐火部材4が配置可能な大きさに構成され、水平断面において見付け方向Cに延びる見付け片63と、見付け片63の両端部からそれぞれ室外14側に延びる一対の見込み片64,64とを備えている。この見付け片63は耐火部材4の室内13側の面4bと対向し、見込み片64,64は耐火部材4の見付け方向Cの両端面4h,4hとそれぞれ対向している。
一対の係止部62,62は、見付け方向Cに互いに所定の間隔をあけて配されていて、本体部61の見付け片63から耐火部材4側(室外14側)に突出し、突出した先端部に互いに近づく方向に突出する係止爪部65,65がそれぞれ形成されている。
【0041】
保持部材7は、一方の面が耐火部材4と当接する板部71と、板部71の他方の面から室内13側に突出する一対の係止部72,72とを備えている。
板部71は、幅寸法(見付け方向Cの寸法)が耐火部材4の幅寸法と略同じ寸法に形成されている。
一対の係止部72,72は、カバー材6一対の係止部62,62の間隔よりやや小さい間隔をあけて配されていて、先端部には互いに離れる方向に突出する係止爪部73,73がそれぞれ形成されている。
【0042】
このような、保持部材7は、板部71の一方の面が耐火部材4と当接した状態で、ねじなどで耐火部材4とともに縦枠23の室内側見付け片27および方立3の室内側方立部材31に固定されている。
そして、カバー材6の一対の係止部62,62の間に保持部材7の一対の係止部72,72入り込むようにカバー材6を保持部材7に装着すると、カバー材6の一対の係止爪部65,65と保持部材7の一対の係止爪部73,73とが互いに係合し、カバー材6が保持部材7によって耐火部材4を覆った状態に保持されるように構成されている。
なお、保持部材7を設置する高さや個数は適宜設定されてよい。
【0043】
次に、上述した窓部連結構造(窓部連結構造の施工方法)の作用・効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による窓部連結構造1A(窓部連結構造の施工方法)によれば、一対の縦枠23,23および方立3の室内13側に耐火部材4が設けられていることにより、縦枠23と方立3との間の空間は耐火部材4によって室内13と区分されている。このため、室内13または室外14で火災が発生した際に、縦枠23と方立3の間の空間から室外14側または室内13側へ炎が浸入することを防止することができ、窓部連結構造の防火性能を向上させることができる。
【0044】
また、一対の縦枠23,23と方立3との間(連結部)にはアンカー5がそれぞれ設けられていることにより、一対の縦枠23,23と方立3とを確実に固定させることができるため、縦枠23がねじれたり反ったりすることを防止することができる。
さらに、方立3およびアンカー5はスチール製であって、方立3とアンカー5とは溶接されていることにより、一対の縦枠23,23と方立3とを更に確実に固定させることができる。
また、窓部2を建物11の躯体15に固定する際にもアンカー5と躯体15の鉄筋16bとを溶接するとともに、方立3を躯体15に固定する際にも室内側方立部材31と躯体15の鉄筋16aとを溶接する。つまり、これらの溶接作業とともにアンカー5と方立3の溶接作業を行うことができるため、アンカー5と方立3との固定に特別な作業が必要なく作業性が良い。
【0045】
また、室内側方立部材31は、上下方向Dに延在する中空角型のスチールパイプで構成されているとともに、上端部および下端部が建物11の躯体15に溶接されているため、火災が発生し、アルミ合金で形成された室外側方立部材32が溶融しても自立していることができる。そして、耐火部材4が室内側方立部材31に直接固定されているとともに、縦枠23,23を介して室内側方立部材31に固定されているため、火災が発生した場合にも耐火部材4の脱落や反りを防止することができる。
【0046】
また、耐火部材4の上端部4dおよび下端部4eと躯体15との間に隙間があると、この隙間を介して一対の縦枠23,23と方立3との間の空間と室内13とが連通してしまうが、本実施形態では、耐火部材4の上端部4dおよび下端部4eと躯体15とは隙間なく当接しているため、一対の縦枠23,23と方立3との間の空間と、室内13とが連通しないように構成されている。このため、室内13または室外14で火災が発生した際に、縦枠23と方立3の間の空間から室外14側または室内13側へ炎が浸入することを防止することができる。
さらに、耐火部材4は、躯体15に固定されていることにより、耐火部材4が位置ずれすることを防止することができる。
【0047】
また、耐火部材4は、室内13に面する面がカバー材6によって被覆されていることにより、意匠性を高めることができるとともに、人や物との接触による耐火部材4の損傷を防止することができる。
また、耐火部材4は、一対の縦枠23,23および方立3に固定されていることにより、耐火部材4を所望の位置に確実に固定することができる。
【0048】
また、耐火部材4は保持部材7を介して一対の枠体23,23および方立3に固定され、カバー材6は保持部材7に係止されて耐火部材4の室内側に固定されていることにより、カバー材6が耐火部材4から外れることが防止されて耐火部材4を確実に被覆することができる。また、保持部材7が、耐火部材4を保持するだけでなく、カバー材6を係止することもできるため、施工が容易になる。
また、耐火部材4は保持部材7とともにねじ止めされていることにより、ねじの頭部が保持部材7の板部71と当接し耐火部材4と当接することがないため、耐火部材4にねじの頭部がめり込むことを防止することができる。
【0049】
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0050】
(第2実施形態)
図5(a)に示すように、第2実施形態による窓部連結構造1B(窓部連結構造の施工方法)では、方立3Bの室外側方立部材32Bは、第1実施形態における見付け片33および見込み片34からなり、見込み片34が室内側方立部材31Bと連続して一体形成されている。
また、室内側方立部材31Bは、上下方向Dに延びる中空角型のパイプで構成されており、室内13側の面31aが縦枠23の室内側見付け片27の室内13側の面27aよりも室外14側に位置している。そして、室内側方立部材31Bの室内13側には、室内側方立部材31Bと連続して耐火部材4およびアンカー5を固定するための固定部材81が一体形成されている。
これらの室内側方立部材31B、室外側方立部材32Bおよび固定部材81は、例えば、アルミ合金などで一体に成型されている。
【0051】
固定部材81は、水平断面において室内側方立部材31Bの室内13側の面31aの見付け方向Cの中央部から見込み方向Bに延びるアンカー固定部82と、アンカー固定部82と連続し見付け方向Cの一方側に開口した略C字状の耐火部材固定部83とを備えている。耐火部材固定部83には、室内13側の端部に見付け方向Cに延びて室内13側の面84aが縦枠23の室内側見付け片27の室内13側の面27aと同じ位置(略一面)に配される固定片84が形成されている。
【0052】
図5(b)に示すように、アンカー固定部82は、鉛直断面が略L字状のスチール製の一対のアングル材85を介してアンカー5と固定されている。
一対のアングル材85,85のうち一方のアングル材85は、一方の片85aがアンカー固定部82の一方の面82aと当接し、他方のアングル材85は、一方の片85aがアンカー固定部82の他方の面82bに当接している。そして、一対のアングル材85,85は、他方の片85bの面が上下を向くように設置されている。
これにより、アンカー固定部82は、一対のアングル材85,85の一方の片85a,85aに挟まれた状態となり、この状態でねじによって固定されている。
そして、一対のアングル材85,85の他方の片85b,85bは、アンカー5の第2係止部53と溶接されている。これにより、方立3と縦枠23とが固定されている。
【0053】
また、耐火部材4は、一対の縦枠23,23の室内側見付け片27,27にねじで固定されているとともに、固定部材82の固定片84にねじで固定されている。
【0054】
第2実施形態による窓部連結構造1B(窓部連結構造の施工方法)では、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、方立3を全てアルミ合金で形成することができるため、方立3の少なくとも一部をスチールで形成する場合と比べて製造コストを抑えることができる。
【0055】
(第3実施形態)
図6に示すように、第3実施形態による窓部連結構造1C(窓部連結構造の施工方法)では、方立3Cを介した一対の縦枠23,23の間隔が他の実施形態よりも小さく設定されている。
方立3Cの室内側方立部材31Cおよび室外側方立部材32Cは、第2実施形態の室内側方立部材31Bおよび室外側方立部材32Bと同様に形成され、これらの見付け方向Cの寸法が第2実施形態と比べて小さくなっている。室内側方立部材31Cおよび室外側方立部材32Cは、例えば、アルミ合金などで一体に形成されている。
【0056】
また、室内側方立部材31Cには、アンカー固定部材86が固定されている。
アンカー固定部材86は、水平断面において室外14側に開口した略C字状のスチール製のチャンネル材87と、チャンネル材87の室内13側に溶接され室内13側に延びる鉄筋88とを備えている。この鉄筋88は、アンカー5Cの第2係止部53と溶接されている。
チャンネル材87は、その溝(内側空間)に室内側方立部材31Cが嵌合し、室内側方立部材31Cにねじ止めされている。
【0057】
また、第3実施形態では、アンカー5Cの板部51に縦枠23側に陥んだ凹部55が形成されている。凹部55は、見込み方向Bの寸法が室内側方立部材31およびチャンネル材87の見込み方向Bの寸法よりも大きく形成されている。そして、アンカー5Cに凹部55が形成されていることにより、他の実施形態と比べてアンカー5Cを室内側方立部材3Cに近接して配置させることができる。
また、第3実施形態では、耐火部材4および保持部材7は、方立3Cには固定されず一対の縦枠23にねじで固定されている。
【0058】
第3実施形態による窓部連結構造1C(窓部連結構造の施工方法)によれば、他の実施形態と比べて方立3Cの見付け方向Cの寸法を小さく形成することができるとともに、他の実施形態と比べてアンカー5Cを室内側方立部材31Cに近接して配置させることができることにより、方立3を介して隣り合う一対の縦枠23,23の間隔を小さくすることができ、意匠性を高めることができる。
【0059】
(第4実施形態)
図7に示すように、第4実施形態による窓部連結構造1D(窓部連結構造の施工方法)では、一対の縦枠23,23に、室内側見付け片27,27と連続し室内13側に延びるアングル20,20がそれぞれ形成されている。通常、アングル20,20には額縁が固定されるが、本実施形態では、隣り合う一対のアングル20,20の間に耐火部材4が設けられている。そして、耐火部材4は、見込み方向Bの端面4h,4hがそれぞれアングル20,20と対向している。
そして、保持部材7Dは、水平断面において見込み方向Bに延びる一対の見込み片74,74からなり、これらの見込み片74,74はそれぞれアングル20,20の耐火部材4の端面4h,4hと対向する面と反対側の面に沿って設けられている。
【0060】
見込み片74,74は、室外14側の端部近傍に互いに離れる方向に突出する係止爪部75,75がそれぞれ形成されている。見込み片74,74は、それぞれアングル20,20にねじ止めされている。
カバー材6Dは、本体部61のみで構成され、第1実施形態の一対の係止部62,62の係止爪部65,65の代わりに、本体部61の一対の見込み片64,64の室外側の先端部に、互いに近づく方向に突出する係止爪部66,66が形成されている。
【0061】
そして、カバー材6Dをその内部に耐火部材4が入り込むように設置し、カバー材6Dの係止爪部66,66と保持部材7の係止爪部75,75とを互いに係止させると、カバー材6Dが耐火部材4を覆った状態に保持されるように構成されている。
また、保持部材7Dの見込み片74,74をアングル20,20に固定するねじは、先端部側が耐火部材4に螺合している。これにより、耐火部材4が一対のアングル20,20に固定されている。なお、第4実施形態では、耐火部材4は、方立3の室内側方立部材31にねじ止めされている。
【0062】
第4実施形態による窓部連結構造1D(窓部連結構造の施工方法)によれば、アングル20が形成された縦枠23に対応することができるとともに、保持部材7Dがアングル20,20に固定されて他の実施形態のように耐火部材4の室内13側に保持部材7やカバー材6の係止部61,61が設置されないため、他の実施形態と比べてカバー材6Dの見付け片63を耐火部材4に近接させることができるため、見込み方向Bの寸法を抑えることができ、意匠性を高めることができる。
【0063】
(第5実施形態)
図8に示すように、第5実施形態による窓部連結構造1E(窓部連結構造の施工方法)は、第4実施形態と同様に縦枠23,23にアングル20,20が形成されているとともに、耐火部材4Eに巻きつけ型のロックウールが使用されている。
また、方立3Eの室内側方立部材31Eがその室内13側の面31aが縦枠23の室内側見付け片27の室内13側の面27aよりも室外14側に位置するように設置されている。そして、耐火部材4Eは、室外14側の面4aが室内側方立部材31Eの室内13側の面31aと当接し、一対の縦枠23、23の室内13側の面27aよりも室外14側に配されている。これにより、本実施形態の耐火部材4Eは、他の実施形態の耐火部材4と比べて、見込み方向Bの位置が室外14側となるように配置されている。
【0064】
また、第5実施形態では、カバー材6Eは、本体部61のみで構成され、本体部61の見付け片63が耐火部材4Eの室内13側の面4bと当接または近接し、見込み片64,64がアングル20,20と耐火部材4との間に配されている。そして、カバー材6Eの見込み片64,64とアングル20,20とはねじ止めされ、このねじの先端部側が耐火部材4Eに螺合している。これにより、耐火部材4Eおよびカバー材6Eが一対のアングル20,20に固定されている。つまり、第5実施形態では、保持部材7を使用せずにカバー材6Eを固定している。
また、耐火部材4Eは、室内13側から方立3の室内側方立部材31Eに座金を介してねじ止めされている。
【0065】
第5実施形態による窓部連結構造1E(窓部連結構造の施工方法)によれば、耐火部材4Eが他の実施形態の耐火部材4と比べて見込み方向Bの位置が室外14側となるように配置されているとともに、他の実施形態に設けられている保持部材7を省略することができるため、縦枠23からの室内13側への突出寸法を抑えることができて意匠性を高めることができる。
【0066】
(第6実施形態)
図9に示すように、第6実施形態による窓部連結構造1F(窓部連結構造の施工方法)は、保持部材7Fが、耐火部材4の高さ方向全長にわたって延びる長尺の部材となっている。保持部材7Fは、水平断面において、耐火部材4の室内13側の面4bに沿って見付け方向Cに延びる見付け片76と、見付け片76の両端部から室外14側に延びる一対の見込み片77,77と、見付け片76から室内13側に突出した一対の係止部78,78とを備えている。一対の係止部78,78の先端部には、互いに離れる方向に突出する係止爪部79,79がそれぞれ形成されている。
【0067】
カバー材6Fは、第1実施形態のカバー材6と比べて、見込み片64,64の見込み方向Bの長さ寸法が小さく形成され、見込み片64,64の室外14側の先端部が保持部材7Fの見付け片76の見付け方向C両端部と当接している。
そして、カバー材6Fは、一対の係止部62,62の間に保持部材7Fの一対の係止部78,78が入り込むように設置され、カバー材6Fの係止爪部65,65と保持部材7Fの係止爪部79,79とを係合させることにより保持部材7Fに固定されている。
【0068】
第6実施形態による窓部連結構造1F(窓部連結構造の施工方法)によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0069】
(第7実施形態)
図10に示すように、第7実施形態による窓部連結構造1G(窓部連結構造の施工方法)は、耐火部材4Gに吹付型のロックウールが使用されている。
また、保持部材7Gは、耐火部材4Gの高さ方向全長にわたって延びる長尺の部材で、水平断面において室内13側に開口した略C字状に形成されている。そして、保持部材7の溝(内側空間)には、耐火部材(ロックウール)4Gが吹付されている。
保持部材7Gは、見付け方向Cに延びる見付け片91と、見付け片91の両端部から室内13側に延びる一対の見込み片92,92とを備えている。一対の見込み片92,92の見付け片91側の端部には、互いに離れる方向に突出する係止爪部93,93がそれぞれ形成されている。
そして、見付け片91は、室外14側の面91aが、室内側方立部材31の室内13側の面31aと、一対の縦枠23,23の室内側見付け片27,27の室内13側の面27aと当接し、室内側方立部材31および一対の縦枠23,23の室内側見付け片27,27にねじ止めされている。
【0070】
カバー材6Gは、第4実施形態のように、本体部61のみで構成され、本体部61の一対の見込み片64,64の室外側の先端部に、互いに近づく方向に突出する係止爪部66,66が形成されている。
そして、カバー材6Gをその内部に耐火部材4および保持部材7Gが入り込むように設置し、カバー材6Gの係止爪部66,66と保持部材7Gの係止爪部93,93とを互いに係止させると、カバー材6Gが耐火部材4Gを覆った状態に保持されるように構成されている。
【0071】
第7実施形態による窓部連結構造1G(窓部連結構造の施工方法)によれば、耐火部材4Gに吹付型のロックウールを使用することができるとともに、第5実施形態以外の他の実施形態のように耐火部材4の室内13側に保持部材7の係止部72,72やカバー材6の係止部61,61が設置されないため、他の実施形態と比べてカバー材6Gの見付け片63を耐火部材4に近接させることができて、見込み方向Bの寸法を抑えることができ、意匠性を高めることができる。
【0072】
以上、本発明による窓部連結構造(窓部連結構造の施工方法)の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、建物の開口部に左右方向に2つの窓部2,2が並んで設置されているが、2つ以上の窓部2が並んで設置されていてもよい。
また、上記の実施形態では、耐火部材4にケイ酸カルシウムを主成分とした板状の耐火被覆材やロックウールを採用しているが、その他の耐火材料を採用してもよい。例えば、火災時に発泡して面外方向に膨張するシート状の耐火部材(加熱発泡剤)などを採用してもよい。このような耐火部材を採用することにより、耐火部材の厚さ(見込み方向Bの寸法を抑えることができる。
また、上記の実施形態では、一対の縦枠23,23と方立3との間には、アンカー5がそれぞれ用いられているが、一対の縦枠23,23と方立3とはアンカー5以外の連結具を用いて連結されていてもよい。
また、上記の実施形態では、耐火部材4は、上端部4dおよび下端部4eが建物11の躯体15と接触し、躯体15に固定されているが、上端部4dおよび下端部4eが建物11の躯体15と接触していなくてもよく、躯体15に固定されていなくてもよい。また、耐火部材4は、取り付け板17以外の固定具によって躯体15に固定されていてもよい。
また、上記の実施形態では、耐火部材4の室内3に面する面4b,4h,4hを被覆するカバー材6が設けられているが、カバー材6が設けられていない構成としてもよい。
また、上記の実施形態では、耐火部材4は、一対の枠体23,23および方立3、または、一対の枠体23,23に固定されているが、方立3のみに固定されて一対の枠体23,23には固定されない形態としてもよく、また、方立3および一対の枠体23,23のいずれにも固定されず、例えば建物11の躯体15のみに固定される形態としてもよい。つまり、耐火部材4は、一対の枠体23,23における方立3が配された側の端部近傍および方立3の室内13側に設けられていれば、どのように固定されていてもよい。