(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記防振保持部材は、上記取付金具を上部取付金具と下部取付金具に上下2分割して形成され、上記防振ゴムを上下2分割して上記上部取付金具の外周に上部防振ゴムを取付けるとともに、上記下部取付金具の外周に下部防振ゴムを取付け、上記上部取付金具と下部取付金具の内周面に保持リングを設けて、該保持リングの外周面に上記上部取付金具と下部取付金具の内周面を圧入し、上記上部取付金具と下部取付金具を一体的に固定した請求項2に記載の自動車用の燃料タンクの取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、組付けが容易で、遮音効果と断熱効果の高い自動車用の燃料タンクの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの取付構造において、
燃料タンクの側部に燃料タンクをフロアパネルに取付けるタンク取付フランジを複数個形成し、タンク取付フランジには、タンク取付孔を形成し、
燃料タンクの側面と底面は断熱部材で覆い、断熱部材は、燃料タンクの側面を覆う部分の先端のタンク取付フランジと対応する位置に断熱部材取付部を形成し、断熱部材取付部に断熱部材取付孔を形成し、
タンク取付フランジのタンク取付孔には、防振保持部材を嵌合し、防振保持部材の中心には中心貫通孔を形成し、
断熱部材取付孔と中心貫通孔に取付部材を挿入して、防振保持部材を介してタンク取付フランジをフロアパネルに取付部材で取付け、断熱部材は、取付部材で断熱部材取付部を
フロアパネルに取付け、フロアパネルと燃料タンクとの間に隙間を設け
断熱部材は、外面に断熱部材プロテクタが取付けられて、断熱部材プロテクタに断熱部材取付部として断熱部材プロテクタ取付部が形成され、断熱部材取付孔として断熱部材プロテクタ取付孔が形成され、断熱部材プロテクタ取付孔に、防振保持部材に係止される断熱部材プロテクタ爪部が形成されたことを特徴とする自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0009】
請求項1の本発明では、燃料タンクの側部に燃料タンクをフロアパネルに取付けるタンク取付フランジを複数個形成し、タンク取付フランジには、タンク取付孔を形成している。このため、取付けバンド等で、フロアパネルに密着させることなく、タンク取付フランジにより燃料タンクを直接フロアパネルの取付部に取付けることができ、燃料タンクとフロアパネルの間に隙間を形成することができ、燃料タンクの内部の流動音が車室内に進入することを防止できる。
【0010】
燃料タンクの側面と底面は断熱部材で覆い、断熱部材は、燃料タンクの側面を覆う部分の先端のタンク取付フランジと対応する位置に断熱部材取付部を形成し、断熱部材取付部に断熱部材取付孔を形成した。このため、燃料タンクを取付けるときに、断熱部材取付孔とタンク取付孔を重ねて取付けることにより、フロアパネルの取付部に断熱部材も合わせて取付けることができ、組付工程を減らすことができる。また、燃料タンクと断熱部材の間に隙間を形成することができ、断熱効果を向上させることができる。
【0011】
タンク取付フランジのタンク取付孔には、防振保持部材を嵌合し、防振保持部材の中心には中心貫通孔を形成した。このため、燃料タンクをフロアパネルに取付けると、燃料タンクの振動を抑えることができる。また、防振保持部材の中心貫通孔に取付部材を挿入することにより、防振保持部材を燃料タンクのタンク取付フランジに取付けて、燃料タンクを防振保持部材を介してフロアパネルに取付けることができる。
【0012】
断熱部材取付孔と中心貫通孔に取付部材を挿入して、防振保持部材を介してタンク取付フランジをフロアパネルに取付部材で取付け、断熱部材は、取付部材で断熱部材取付部を
フロアパネルに取付けた。このため、断熱部材取付孔と中心貫通孔に1個の取付部材を挿入して一緒に取付けることができ、組付工程が少なく、容易である。また、フロアパネルと燃料タンクとの間に隙間を設けたため、燃料タンクの断熱効果も向上させることができる。
断熱部材は、外面に断熱部材プロテクタが取付けられたため、断熱部材を断熱部材プロテクタで保護して、走行中に飛び石等による断熱部材の損傷を防止することができる。
断熱部材プロテクタに断熱部材取付部として断熱部材プロテクタ取付部が形成され、断熱部材取付孔として断熱部材プロテクタ取付孔が形成された。このため、断熱部材プロテクタ取付孔と中心貫通孔に1個の取付部材を挿入して、断熱部材と断熱部材プロテクタを燃料タンクと一緒に取付けることができ、組付工程が少なく、容易である。
断熱部材プロテクタ取付孔に、防振保持部材に係止される断熱部材プロテクタ爪部が形成されたため、断熱部材プロテクタと断熱部材を取付部材でタンク取付フランジに取付けるときに、防振保持部材に断熱部材プロテクタ爪部を係止して、断熱部材プロテクタが外れないようにすることができる。また、防振保持部材と断熱部材プロテクタ取付部の中心軸を合わせて、断熱部材プロテクタを防振保持部材に容易に取付け安くすることができる。
【0017】
請求項2の本発明は、防振保持部材は、内部に取付金具を有し、取付金具の外周に防振ゴムを取付け、防振ゴムの外周にタンク取付フランジのタンク取付孔が取付けられた自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0018】
請求項2の本発明では、防振保持部材は、内部に取付金具を有し、取付金具の外周に防振ゴムを取付け、防振ゴムの外周にタンク取付フランジのタンク取付孔が取付けられた。このため、取付金具で防振保持部材をフロアパネルと強固に取付けることができるとともに、防振ゴムを介してタンク取付フランジをフロアパネルに取付けることができ、燃料タンクの振動を防止できる。
【0019】
請求項3の本発明は、防振保持部材は、取付金具を上部取付金具と下部取付金具に上下2分割して形成され、防振ゴムを上下2分割して上記上部取付金具の外周に上部防振ゴムを取付けるとともに、下部取付金具の外周に下部防振ゴムを取付け、上部取付金具と下部取付金具の内周面に保持リングを設けて、保持リングの外周面に上部取付金具と下部取付金具の内周面を圧入し、上部取付金具と下部取付金具を一体的に固定した自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0020】
請求項3の本発明では、防振保持部材は、取付金具を上部取付金具と下部取付金具に上下2分割して形成され、防振ゴムを上下2分割して上記上部取付金具の外周に上部防振ゴムを取付け、下部取付金具の外周に下部防振ゴムを取付ける。このため、防振保持部材をタンク取付フランジのタンク取付孔に取付けるときに、タンク取付孔を上下から挟持するように取付けることができ、製造が容易であるとともに、取付が容易である。
【0021】
上部取付金具と下部取付金具の内周面に保持リングを設けて、保持リングの外周面に上部取付金具と下部取付金具の内周面を圧入し、上部取付金具と下部取付金具を一体的に固定した。このため、防振保持部材をタンク取付フランジのタンク取付孔に取付けるときに、保持リングの外周面と上部取付金具と下部取付金具の内周面が金属同士の圧入により、強固に保持されるとともに、上部取付金具の下端と下部取付金具の上端が上下に接合して、取付部材の締め付けによって、フロアパネルのタンク取付部へ防振保持部材を強固に取付けることができる。
【0022】
請求項4の本発明は、断熱部材取付部の断熱部材取付孔に、断熱部材取付孔の周囲に嵌合される金属製または硬質樹脂製の取付カラー部材を取付けた自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0023】
請求項4の本発明では、断熱部材取付部の断熱部材取付孔に、断熱部材取付孔の周囲に嵌合される金属製または硬質樹脂製の取付カラー部材を取付けた。このため、断熱部材取付部の断熱部材取付孔の周囲を取付カラー部材で補強することができ、断熱部材を強固に取付けることができる。
【0024】
請求項5の本発明は、断熱部材取付部の断熱部材取付孔に、断熱部材取付孔の下面に断熱部材取付けプレートを設け、断熱部材取付プレートとタンク取付フランジで断熱部材取付部を挟持した自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0025】
請求項5の本発明では、断熱部材取付部の断熱部材取付孔の下面に断熱部材取付プレートを設け、断熱部材取付プレートとタンク取付フランジで断熱部材取付部を挟持した。このため、断熱部材取付部を断熱部材取付プレートとタンク取付フランジとで強く挟持することができ、断熱部材取付孔を補強しなくても確実に断熱部材取付部を取付けることができる。
【0026】
請求項6の本発明は、燃料タンクと断熱部材の間には隙間が設けられた自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0027】
請求項6の本発明では、燃料タンクと断熱部材の間には隙間が設けられたため、燃料タンク内部の流動音や燃料タンクとフロアパネルの摩擦音が車室内に伝導されることを確実に防止することができる。また、外部からの熱伝導を防止することができ、断熱効果が優れている。
【0028】
請求項7の本発明は、断熱部材は、合成樹脂発泡体又は繊維断熱材である自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0029】
請求項7の本発明では、断熱部材が合成樹脂発泡体である場合は、断熱部材の重量を軽減することができ、自動車の軽量化に貢献することができる。燃料タンクの側面と底面の形状に合わせて合成樹脂発泡体を成形することができるとともに、上面が開いているため、一度の成形で断熱部材の全体を成形することができ、製造が容易である。
【0030】
断熱部材が繊維断熱材である場合は、柔軟性に富んで、燃料タンクの形状に合わせて繊維材を加工して形状を作ることができ、燃料タンクに装着することが容易である。また、繊維材を圧縮したり、樹脂等を含浸させたりして、強度も大きくすることができ、燃料タンクを衝撃から保護することもできる。
【0031】
請求項8の本発明は、断熱部材の端部とフロアパネルの下面の間にシール部材が取付けられた自動車用の燃料タンクの取付構造である。
【0032】
請求項8の本発明では、断熱部材の端部とフロアパネルの下面の間にシール部材が取付けられたため、フロアパネルの凹凸に応じてシール部材が撓んで、フロアパネルに当接することができ、フロアパネルと断熱部材の間の隙間を塞ぐことができ、断熱効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0033】
タンク取付フランジのタンク取付孔には、防振保持部材を嵌合し、防振保持部材の中心には中心貫通孔を形成したため、燃料タンクをフロアパネルに取付けると、燃料タンクの振動を抑えることができる。また、防振保持部材と燃料タンクのタンク取付フランジに取付けて、燃料タンクを、防振保持部材を介してフロアパネルに取付けることができる
断熱部材取付孔と中心貫通孔に取付部材を挿入して、防振保持部材を介してタンク取付フランジと断熱部材取付部をフロアパネルに取付部材で一緒に取付けたため、断熱部材取付孔と中心貫通孔に取付部材を挿入して一緒に取付けることができ、組付工程が少なく、容易である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態である自動車用の燃料タンク10と断熱部材20の取付構造について、
図1〜
図8に基づき説明する。
本発明の実施の形態に使用する燃料タンク10は、
図7に示すように、その燃料タンク10に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット取付孔16が上面に形成されて、ポンプユニット取付孔16を塞ぎ、燃料ポンプを燃料タンク10内に取付けるポンプユニット取付蓋17が取付けられている。
【0036】
さらに、燃料タンク10には車体に設けられた給油口(図示せず)から燃料を燃料タンク10内に注入するインレットパイプ(図示せず)と接続するインレットパイプ接続部18が取付けられている。また、上記燃料ポンプからエンジンに燃料を送付する燃料パイプ19も取付けられている。さらに、燃料ポンプを駆動する電気コードや燃料タンク10内の蒸発燃料を調整する各種のパイプが取付けられている。
【0037】
燃料タンク10の側部には、複数個のタンク取付フランジ11が設けられている。タンク取付フランジ11は、燃料タンク10のアッパー部とロアー部の境界部分に分散して形成され、タンク取付フランジ11の中心にはタンク取付孔12が形成されている。タンク取付フランジ11は、後述するように車体のフロアパネル1のタンク取付部2に固定される。
【0038】
燃料タンク10は、金属製や合成樹脂製のものがあるが、本件発明においては、いずれの燃料タンク10も使用することができる。合成樹脂製の燃料タンク10は、ブロー成形又は射出成形により成形することができる。
金属製の燃料タンク10の場合には、スチール又はステンレススチール等を使用することができる。
【0039】
合成樹脂製の燃料タンク10の場合は、高密度ポリエチレン(HDPE)や、高密度ポリエチレン(HDPE)の一層で形成されたものや、表皮層、バリヤ層と本体層の多層構造で形成されたものを使用することができる。多層構造の場合は、表皮層、本体層は、耐衝撃性が大きく、燃料油に対しても剛性が維持される熱可塑性合成樹脂から形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されることが好ましい。バリヤ層を構成する熱可塑性合成樹脂は、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を使用することが好ましい。
【0040】
次に、燃料タンク10を包んで断熱する断熱部材20について、
図8に基づき説明する。断熱部材20は、燃料タンク10の外形に合わせて形成され、燃料タンク10の側面の全周を覆う断熱部材側部27と燃料タンク10の底面の全面を覆う断熱部材底部28から一体的に形成されている。燃料タンク10の上面に対応する部分では断熱部材20は形成されていなく、断熱部材側部27の先端である断熱部材端部24は、燃料タンク10が取付けられるフロアパネル1の形状に合わせて凹凸状に形成されている。断熱部材端部24に取付けるシール部材50については後述する。
【0041】
燃料タンク10の側面を覆う断熱部材側部27の先端である断熱部材端部24のタンク取付フランジ11と対応する位置に断熱部材取付部21を形成し、断熱部材取付部21の中心に断熱部材取付孔22を形成している。このため、燃料タンク10を取付けるときに、断熱部材取付孔22とタンク取付孔12を重ねて取付けることにより、フロアパネル1のタンク取付部2に燃料タンク10と断熱部材20も合わせて取付けることができ、組付工程を減らすことができる。
【0042】
断熱部材20は、上記のような形状に形成されているため、燃料タンク10の側部と底部を完全に覆うことができ、断熱効果に優れている。さらに、上部を形成する部分がなく、断熱部材側部27と断熱部材底部28を一体的に形成する場合は、断熱部材側部27と断熱部材底部28とを1回の成形で同時に形成することができ、製造が容易である。そして、断熱部材側部27と断熱部材底部28の間に隙間がなく、断熱部材側部27と断熱部材底部28の間から空気が侵入することがなく、良好な断熱効果を奏することができる。
【0043】
断熱部材20には、燃料タンク10に取付けられたインレットパイプ接続部18や、燃料パイプ及び他のチューブ類やケーブル類を通す孔として、インレット孔29aやパイプ孔29bや他の孔が設けられている。これによって、燃料タンク10の外面に取付けられた部材を、断熱部材20を貫通させて容易に取付けることができる。
【0044】
断熱部材20は、合成樹脂発泡体や繊維断熱材で形成することができる。
合成樹脂発泡体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂等の独立気泡を有する発泡体を使用することができる。
繊維断熱材としては、ガラスファイバー、ポリエステルやナイロンの不織布、セルローファイバー等を使用することができる。
【0045】
断熱部材20が合成樹脂発泡体である場合は比重を軽くすることができ、断熱部材20の重量を軽減することができ、自動車の軽量化に貢献することができる。さらに、燃料タンク10の形状に合わせて合成樹脂発泡体を金型で1回の成形により形成することができ、製造が容易である。
【0046】
断熱部材20が繊維断熱材である場合は、繊維断熱材が柔軟性に富んでいるため、燃料タンク10の形状に合わせて予め成形して、そのまま燃料タンク10に嵌め込むことができ、装着が容易である。また、繊維を圧縮して樹脂等を部分的に含浸させて補強した場合には、強度も大きくすることができ、燃料タンク10を衝撃から保護することもできる。
【0047】
断熱部材20の外面に、
図6に示すように、保護部材である断熱部材プロテクタ60を取付けることができる。断熱部材プロテクタ60は合成樹脂等で断熱部材20の形状に合わせて形成することができる。断熱部材プロテクタ60を取付けた場合には、車外からの埃や雨水の浸透を防止することができるとともに、飛び石や衝撃から断熱部材20と燃料タンク10を保護することができる。また、断熱部材20の断熱効果をさらに向上させることができる。断熱部材プロテクタ60の取付構造については後述する。
【0048】
次に、
図1〜
図3に基づき防振保持部材30について説明する。まず、
図1に基づき第1の実施の形態について説明し、その後、
図2に基づき第2の実施の形態について、
図3に基づき第3の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、防振保持部材30は、取付金具を上部取付金具31と下部取付金具32に上下2分割して形成されている。上部取付金具31は、断面がT字形のリング状に形成され、上面は平面状に形成される。内周側と外周側は、凹部が形成されている。上部取付金具31の外周側の凹部には、上部防振ゴム33がリング状に一体的に形成されている。
【0049】
下部取付金具32も上部取付金具31とは上下対称的に形成されて、下面は平面状に形成され、外周側の凹部には、下部防振ゴム34がリング状に一体的に形成されている。
上部取付金具31と下部取付金具32を組付けるには、燃料タンク10のタンク取付フランジ11に設けたタンク取付孔12に円筒状の保持リング35を置き、保持リング35の外周に上部取付金具31と下部取付金具32をタンク取付孔12の上下から挟むように圧入する。上部取付金具31と下部取付金具32は、当接して、上部取付金具31と下部取付金具32の内周部は、取付金具内周溝38を形成し、取付金具内周溝38に保持リング35が保持される。
【0050】
このため、防振保持部材30をタンク取付フランジ11のタンク取付孔12に取付けるときに、保持リング35の外周面と上部取付金具31と下部取付金具32の内周面が金属同士の圧入により、強固に保持されるとともに、上部取付金具31と下部取付金具32が上下に重なって防振保持部材30をフロアパネル1に強固に取付けることができる。
このとき、防振保持部材30の中心には、中心貫通孔36が形成される。中心貫通孔36は、上部取付金具31の中心孔から、保持リング35の中心孔を通り、下部取付金具32の中心孔まで連通して形成される。
【0051】
上部取付金具31と下部取付金具32の外周部は、上部防振ゴム33と下部防振ゴム34が当接して、当接部分の外周側には、上部防振ゴム33と下部防振ゴム34は、凹部が形成されているため、上部防振ゴム33と下部防振ゴム34の外周は、防振ゴム外周溝37を形成する。防振ゴム外周溝37にタンク取付孔12の周囲である端部が保持されて、タンク取付フランジ11が防振保持部材30に保持される。
【0052】
防振保持部材30は、上部取付金具31と下部取付金具32を有し、上部取付金具31と下部取付金具32の外周に上部防振ゴム33と下部防振ゴム34を取付けて、上部防振ゴム33と下部防振ゴム34によりタンク取付フランジ11を保持している。このため、上部取付金具31と下部取付金具32で防振保持部材30をフロアパネル1と強固に取付けることができるとともに、上部防振ゴム33と下部防振ゴム34でタンク取付フランジ11を保持して、燃料タンク10の振動をフロアパネル1に伝達することがなく、同様にフロアパネル1の振動を燃料タンク10に伝達することがない。
【0053】
断熱部材取付部21の断熱部材取付孔22に、防振保持部材30を取付けるときに、断熱部材取付孔22の周囲に金属製または硬質樹脂製の断面略コ字状のリング状の断熱部材取付カラー部材25を取付けることができる。この場合には、断熱部材取付孔22の周囲を断熱部材取付カラー部材25で補強することができ、断熱部材取付カラー部材25を取付部材40で締め付けることができ、断熱部材20を強固に取付けることができる。
【0054】
燃料タンク10と断熱部材20をフロアパネル1に取付けるには、
図5に示すように、フロアパネル1に形成されたタンク取付部2に、タンク取付フランジ11と断熱部材取付部21を一緒に取付ける。これにより、後述するように、燃料タンク10とフロアパネル1の間に上部隙間14を有したまま、燃料タンク10を取付けることができる。また、断熱部材20と燃料タンク10との間にも底部隙間15を設けることができ、断熱効果を向上させることができる。
【0055】
即ち、
図1に示すように、タンク取付部2に形成された取付孔3と防振保持部材30の中心貫通孔36と、断熱部材20の断熱部材取付孔22を一致させて、取付部材40の取付ボルト41を挿入し、取付ナット42でタンク取付部2とともに締め付ける。このとき、断熱部材取付カラー部材25と取付ボルト41の頭部との間にワッシャー43を取付けることができる。
【0056】
このため、燃料タンク10と断熱部材20は、1個の取付部材40を挿入して一緒に取付けることができ、組付工程が少なく、容易である。
このとき、金属等の硬質材料である断熱部材取付カラー部材25と、上部取付金具31と下部取付金具32は、直接当接しており、取付部材40である取付ボルト41と取付ナット42でタンク取付部2に強固に取付けられることができる。
【0057】
次に、
図2に基づき第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、断熱部材取付カラー部材25の代わりに、断熱部材取付プレート26を使用し、他の部分は第1の実施の形態と同様であるため、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
第2の実施の形態における断熱部材取付プレート26は、断熱部材取付孔22に嵌合されるのではなく、断熱部材取付部21の下面に取付けられる。
【0058】
断熱部材取付プレート26は、円盤状に形成され、中心に断熱部材取付プレート孔26aを有するとともに、その周囲外縁は上方に屈曲形成され、断熱部材取付プレート周縁部26bを形成し、その先端は屈曲して階段状に形成されている。
断熱部材取付プレート周縁部26bは、断熱部材取付部21の下面で、断熱部材取付孔22の周囲に当接して取付けられている。
【0059】
燃料タンク10と断熱部材20を取付けるときに、タンク取付部2に形成された取付孔3と防振保持部材30の中心貫通孔36と、タンク取付フランジ11のタンク取付孔12及び断熱部材20の断熱部材取付孔22を一致させて、断熱部材取付プレート孔26aから取付部材40の取付ボルト41を挿入し、取付ナット42でタンク取付部2とともに締め付ける。このとき、断熱部材取付プレート26は、取付ボルト41により締め付けられて、断熱部材取付プレート周縁部26bは、断熱部材20の断熱部材取付部21をタンク取付フランジ11とともに挟持して、断熱部材20を取付けることができる。
【0060】
図4に示すように、断熱部材20の断熱部材側部27の先端、即ち、断熱部材側部27のフロアパネル1と当接する部分である断熱部材端部24にシール部材50を取り付けることができる。
断熱部材端部24は、先端が外方向に屈曲して、フロアパネル1に対して平面状の部分が形成され、その平面状の部分にシール部材50が取付けられている。
【0061】
シール部材50は、スポンジ材、両面接着テープ又は粘着剤で形成されることが好ましい。
シール部材50がスポンジ材の場合は、断熱部材側部27の先端をフロアパネル1に押圧すると、フロアパネル1の凹凸に応じてスポンジ材のシール部材50が柔軟に撓んでフロアパネル1に当接することができ、フロアパネル1と断熱部材20の間の隙間を塞ぐことができ、断熱効果を向上させることができる。
【0062】
シール部材50が両面接着テープの場合は、断熱部材20の断熱部材側部27の先端をフロアパネル1に押圧するのみで、両面接着テープが接着して、容易に断熱部材側部27の断熱部材端部24をフロアパネル1に接着することができ、取付が容易であるとともに、断熱部材側部27の断熱部材端部24とフロアパネル1の間を密着させて、断熱効果を向上させることができる。さらに、両面接着テープがスポンジ材で厚肉に形成されている場合には、フロアパネル1と断熱部材20の間の隙間を塞ぐことができ、断熱効果を向上させることができる。
【0063】
シール部材50が粘着剤の場合は、断熱部材20の断熱部材側部27の先端の粘着剤をフロアパネル1に押圧することのみで、断熱部材側部27とフロアパネル1を粘着させることができる。このため、断熱部材側部27の先端とフロアパネル1の間を密着させて、断熱効果を向上させることができる。
【0064】
次に、
図3に基づき、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、防振保持部材30の形状と断熱部材20を保護する断熱部材プロテクタ60を使用する点が異なり、他の部分は第1の実施の形態と同様であるため、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0065】
第3の実施の形態に使用する防振保持部材30は、防振保持部材30は、取付金具を上部取付金具31と下部取付金具32に上下2分割して形成されている。上部取付金具31は、断面がL字形のリング状に形成され、上面は平面状に形成される。上部取付金具31の断面がL字形の外周側の凹部には、上部防振ゴム33がリング状に一体的に形成されている。
【0066】
下部取付金具32も断面がL字形のリング状に形成され、下部取付金具32の断面がL字形の外周側の凹部には、下部防振ゴム34がリング状に一体的に形成されている。
上部取付金具31と下部取付金具32を組付けるには、燃料タンク10のタンク取付フランジ11に設けたタンク取付孔12に上部取付金具31と下部取付金具32をタンク取付孔12の上下から挟むように圧入する。
【0067】
すなわち、上部取付金具31の断面がL字形の下辺部を下部取付金具32も断面がL字形の縦辺部の外周側に圧入すると、上部取付金具31と下部取付金具32は、当接するとともに、上部防振ゴム33が下部防振ゴム34の先端に当接して、外周側に防振ゴム外周溝37が形成される。
防振ゴム外周溝37にタンク取付孔12の周囲である端部が保持されて、タンク取付フランジ11が防振保持部材30に保持される。
【0068】
上部取付金具31と下部取付金具32の内周面が金属同士の圧入により、強固に保持されるとともに、上部取付金具31と下部取付金具32が防振保持部材30をフロアパネル1に強固に取付けることができる。
このとき、防振保持部材30の中心には、中心貫通孔36が形成される。中心貫通孔36は、上部取付金具31の中心孔から、下部取付金具32の中心孔まで連通して形成される。
【0069】
中心貫通孔36には、取付部材40が挿入され、断熱部材20と断熱部材プロテクタ60がフロアパネル1に取付けられる。すなわち、取付部材40の取付ボルト41を下部取付金具32の中心孔から挿入し、上部取付金具31の中心孔とフロアパネル1の取付孔3を通過させて、取付ナット42を締め付けて取付ける。そのとき、下部取付金具32の底面に断熱部材取付カラー部材25を当接させて、断熱部材取付カラー部材25をワッシャー43で挟持する。
【0070】
本発明の第3の実施の形態では、断熱部材20の外面には、断熱部材プロテクタ60が取付けられている。断熱部材プロテクタ60は、断熱部材20を保護して、走行中に飛び石等による断熱部材20の損傷を防止することができる。
断熱部材プロテクタ60の先端には、断熱部材取付部21として断熱部材プロテクタ取付部62が形成されている。断熱部材プロテクタ取付部62には、断熱部材取付孔22として断熱部材プロテクタ取付孔63が形成されている。断熱部材プロテクタ取付孔63に断熱部材取付カラー部材25が嵌め込まれる。
【0071】
図3に示すように、断熱部材プロテクタ取付孔63に、防振保持部材30の下部取付金具32の先端部である下部防振金具先端部32aに係止される断熱部材プロテクタ爪部61が形成されている。断熱部材プロテクタ60と断熱部材20を取付部材40でタンク取付フランジ11に取付けるときに、防振保持部材30の下部防振金具先端部32aに断熱部材プロテクタ爪部61を係止して、断熱部材プロテクタ60と断熱部材20が外れないようにすることができる。
【0072】
また、上述のように、防振保持部材30と断熱部材プロテクタ取付部62の中心軸を合わせて、断熱部材プロテクタ取付孔63と中心貫通孔36に1個の取付部材40を挿入して、断熱部材20と断熱部材プロテクタ60を燃料タンク10と一緒に取付けることができ、組付工程が少なく、容易である。
【0073】
次に、
図4〜
図6に基づき、燃料タンク10と断熱部材20をフロアパネル1に取付けた状態について説明する。
まず、第1と第2の実施の形態では、
図4と
図5に示すように、燃料タンク10に断熱部材20を嵌め込んで、燃料タンク10は、断熱部材20とともに、そのタンク取付フランジ11と断熱部材取付部21でフロアパネル1の下面に取付けられる。このため、フロアパネル1、燃料タンク10及び断熱部材20は当接する必要がない。
【0074】
このとき、第1と第2の実施の形態では、燃料タンク10のタンク底面13と断熱部材20の断熱部材底部28は複数個所でクリップ23により取付けられる場合や、取付部材40により両端が取付けられる場合があるが、燃料タンク10の側面の全周とタンク底面13の全面を覆う断熱部材20との間には底部隙間15が設けられる。また、燃料タンク10の上面とフロアパネル1の間にも上部隙間14が設けられる。
【0075】
第3の実施の形態では、
図6に示すように、断熱部材20を断熱部材プロテクタ60に取付けて、断熱部材プロテクタ60をフロアパネル1に取付部材40で取付ける。第1と第2の実施の形態と同様に、燃料タンク10の上面とフロアパネル1の間にも上部隙間14が設けられ、燃料タンク10の底面と断熱部材20の間にも底部隙間15が設けられる。
【0076】
このため、燃料タンク10内部の流動音や燃料タンク10とフロアパネル1の摩擦音が車室内に伝導されることを確実に防止することができる。断熱部材20と燃料タンク10のタンク底面13とが振動により断続的に接触することがない。
また、断熱部材20が安定してフロアパネル1に保持されて、断熱効果が高い。