特許第6291485号(P6291485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴの特許一覧

特許6291485ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法
<>
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000003
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000004
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000005
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000006
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000007
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000008
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000009
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000010
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000011
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000012
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000013
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000014
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000015
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000016
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000017
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000018
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000019
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000020
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000021
  • 特許6291485-ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291485
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】ラプラス力を伴う磁界のセンサ及び当該センサを用いる方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   G01R33/02 F
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-516639(P2015-516639)
(86)(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公表番号】特表2015-523564(P2015-523564A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】EP2013062432
(87)【国際公開番号】WO2013186383
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】1255597
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ロベール フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】エテルト ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ワルサー アルノー
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0248340(US,A1)
【文献】 特開2009−002953(JP,A)
【文献】 特開2010−060347(JP,A)
【文献】 特表2007−506112(JP,A)
【文献】 特開2000−028694(JP,A)
【文献】 特表2001−516887(JP,A)
【文献】 特開2003−043122(JP,A)
【文献】 米国特許第07642692(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0304325(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0192229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラプラス力を伴う磁界センサであって、
・基板平面と呼ばれる平面に内に実質的に延びた基板(6)と、
・ラプラス力を受けたとき変位方向において変位するのに適しており、前記基板の上に架けられた可動部品(18; 292)を含む、電流が流れるのに適した少なくとも1つの電気伝導体(8−13; 248−253; 292)と、
・この可動部品を前記基板に機械的に接続すると共に、前記可動部品を、前記基板上に配置された電流電源コンタクトブロックに電気的に接続する機械的リンク(20, 22; 296, 298)と、
・前記可動部品の変位振幅を表す物理量を測定するのに適し、少なくとも1つの第1の部品及び1つの第2の部品(80, 82)を含む少なくとも1つのゲージ(76, 102; 146, 148; 176; 202, 204; 264)と、
・前記可動部品の変位方向と直角にある回転軸(60; 150)に関して回転して変位することが可能な架けられたレバーであって、第1及び第2の異なる付着点(50; 81)を有し、前記第1の付着点(50)は前記可動部品に機械的に接続されることで、前記可動部品の変位に応じて前記レバーを前記回転軸に関して回転するように動かすように、前記可動部品の変位を前記レバーに伝達し、前記第2の付着点(81)は前記ゲージの前記第1の部品に直接機械的に接続される、レバー(52; 142; 172; 242; 312; 322; 348, 350)と、
を備え、
・前記センサは、前記レバーを前記基板に機械的に接続するヒンジ(66; 144; 174; 244)を更に備え、このヒンジは、前記可動部品の前記機械的リンクと前記第1及び第2の付着点とは異なり、かつ分離され、このヒンジはその回転軸に関して前記レバーの前記回転を可能とし、
・前記レバーはレバーアーム効果を可能とするように硬く、
・前記ゲージの前記第2の部品は前記基板に自由度を有さずに固定されている
ことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記第2の付着点(81)は、前記第1の付着点(50)よりも前記レバーの前記回転軸(60; 150)に近接し、この第2の付着点と前記回転軸との間の最短距離は、前記レバーの長さの10分の1未満である、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記ゲージ(76, 102;146, 148; 264)は架けられたひずみゲージであり、前記第1及び第2の部品に加えて、前記第1及び第2の部品の間に位置し、前記基板の上に架けられた第3の部品(86)を有する、
請求項1又は2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第3の部品(86)の厚さは、前記レバーの厚さの2分の1以下である、
請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記ゲージ(176)は、対向することでキャパシタを形成する2つのアーマチュア(184, 186)を有し、これらのアーマチュアのうちの一方は前記基板に固定される一方で、これらのアーマチュアのうちの他方は、前記レバーの変位に応じて前記他方のアーマチュアに対し変位するように、前記レバーの前記第2の付着点(81)に機械的に接続される、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
ゲージ(202, 204)は共鳴ゲージであって、・前記第2の付着点と前記基板との間に架けられる少なくとも1つのビーム(210)と、
・前記ビームを振動させるのに適した電極(218)と、
・前記ビームの振動周波数を測定する他の電極(226)又は同一の電極と、を有する、
請求項1又は2に記載のセンサ。
【請求項7】
前記センサは、それぞれが、前記レバーの、他方のゲージにより測定された変位と反対符号の変位を測定するように位置する少なくとも2つのゲージ(76, 102; 146, 148; 202, 204; 264)を有する、
請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記レバーの重さは、前記レバーの前記回転軸(60; 150)と前記レバーの重心との間の最短距離が前記レバーの長さの1%未満であるように、その回転軸の両側に分散される、
請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項9】
・前記センサは、前記少なくとも1つの電気伝導体の、少なくとも1つの第1のコピー及び1つの第2のコピー(8−13)を備え、
・前記レバーの前記回転軸(60)は、その長さ方向において、前記レバーの中央に位置し、
・前記第1の付着点(50)は、前記少なくとも1つの伝導体の前記第1のコピーと機械的に接続され、
・前記レバーは、前記少なくとも1つの電気伝導体の前記第2のコピー(248−253)に機械的に接続される第3の付着点(259)を有し、これらの第1及び第3の付着点は、前記回転軸に対して互いに対称である、
請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
・前記電気伝導体(292)は、前記ラプラス力の作用の下で変形しないように硬く、
・前記機械的リンク(296, 298)は、同一のラプラス力を受けるとき、前記電気伝導体が変位できるように蛇行して構成される、
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項11】
前記可動部品は、蛇行形状の機械的リンク(344, 356)を介して、前記レバーの前記第1の付着点(50)と機械的に接続され、前記機械的リンクは、前記可動部品の変位方向におけるその機械的リンクの剛性が、この変位方向の直交方向におけるその剛性より少なくとも5倍大きいように配置される、
請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項12】
前記センサは、互いに平行に位置する複数の電気伝導体(8−13; 248−253)を備える、
請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項13】
請求項1〜12のうちのいずれか1項に従ったセンサを用いる方法であって、
・前記電気伝導体に基本周波数fの交流電流を供給すること(330)、
・前記可動部品の前記変位振幅を表す信号を取得すること、
を備え、前記方法は更に、
・前記取得された信号のパワースペクトル密度の周波数fに集中した共鳴ピークの−3dBの幅内にある周波数を有する前記取得された測定信号の要素のみから、磁界の前記測定を決定すること(332)、
・前記周波数fの4分の1以下の周波数を有する同一の取得した測定信号の要素のみから、前記電気伝導体の変位方向における加速の測定を決定すること(334)
を備えることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラプラス力を伴う磁界センサ及びこのセンサを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラプラス力を伴う磁界センサは、地球の磁界の成分又は電気伝導体若しくは他の磁界源により発生する磁界の成分を測定するために用いることができる。
【0003】
「磁界の成分」という表現は、センサの測定軸上の磁界の正射影の振幅を指し示す。
【0004】
既知のセンサは、
・基板平面と呼ばれる平面内に実質的に延びた基板と、
・ラプラス力を受けたとき変位方向において変位するのに適しており、基板の上に架けられた可動部品を含む、電流が流れるのに適した少なくとも1つの電気伝導体と、
・この可動部品を基板に機械的に接続すると共に、可動部品を、基板上に配置された電流電源コンタクトブロックに電気的に接続する機械的リンクと、
・可動部品の変位振幅を表す物理量を測定するのに適し、少なくとも1つの第1の部品及び1つの第2の部品を含む少なくとも1つのゲージと、
・可動部品の変位方向と直角にある回転軸に関して回転して変位することが可能な架けられたレバーであって、第1及び第2の付着点を有し、第1の付着点は可動部品に機械的に接続されることで、可動部品の変位に応じてレバーを回転軸に関して回転するように動かし、第2の付着点はゲージの第1の部品に直接機械的に接続される、レバーと、
を備える。
【0005】
例えば、このようなセンサは、以下の論文A1及びA2に説明されている。
・A1: V. Beroulle et al., "Monolithic piezoresistive CMOS magnetic field sensors", Sensors and actuators A, vol 103, pages 23-32, 2003,
・A2: A.L. Herrera-May et al., "A resonant magnetic field microsensor with high quality factor at atmospheric pressure", J. Micromechanical Microengineering, 19 (2009) 015016.
【0006】
次の先行技術もまた知られている:
・ US7 642 692 B1, 及び
・ US 2006/076947.
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7642692号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/076947号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】V. Beroulle et al., "Monolithic piezoresistive CMOS magnetic field sensors", Sensors and actuators A, vol 103, pages 23-32, 2003
【非特許文献2】A.L. Herrera-May et al., "A resonant magnetic field microsensor with high quality factor at atmospheric pressure", J. Micromechanical Microengineering, 19 (2009) 015016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらのセンサを最適化する、特にこれらの感度を増大させる又はこれらの帯域幅をセットすることが望ましい。しかしながら、実際には、この課題は実行することがとりわけ難しいことが立証された。以下のいくつかの例により、このポイントを示す。
【0010】
論文A1又はA2に説明されたセンサの感度を増大させるためには、レバーの長さを増加させることにより、ラプラス力がかかっている電気伝導体をゲージから離すことが想定されうる。事実上、レバーの長さを増加することによって、ゲージにかかっている力を増大させ、従ってセンサの感度を増大させることが可能である。しかしながら、レバーの長さを増加させることは、レバーの共鳴周波数を変更することになる。そして、論文A1及びA2のセンサの電気伝導体には、レバーの機械的な共鳴周波数と等しいように選択された周波数を有する交流電流により電力が供給されなくてはならない。その結果として、レバーの長さを増加させることで、動作している周波数が、望ましい動作周波数範囲の外におかれうる。例えば、動作周波数が低下するに従い、センサが機械的な振動に対してより敏感になる。さらに、論文A1及びA2の場合では、ゲージはレバーに集積されている。これらの状況では、ゲージがひずみ振動を測定できるようにするために、レバーを変形可能にしなくてはいけない。実際には、レバーが変形可能でなくても、ゲージはいかなる信号も測定しない。結果として、レバーが変形可能であるため、レバーの長さを増加させることによって直接得られる機械的なレバーアームの効果はない。この効果を得るためには、レバーを硬くしなくてはいけない。
【0011】
既知のセンサでは、センサにとって所定の帯域幅が要求されているとしても、レバーの長さ及び/又は機械的リンクの剛性を調整することも必要になる。上述の事項と同様に、これらの変更で、必然的に、望まれないセンサの感度の変更が生じる。
【0012】
最終的に、既知のセンサでは、機械的リンクの剛性を削減することによって、電気伝導体の可動部品の変位振幅が増加すると予想することは、また可能である。しかしながら、もう一度いうと、このような変更は、センサの共鳴周波数といった、センサの動作の他の側面を変更することなしに行うことはできない。
【0013】
本発明は、従って、最適化しやすい構造を有する、ラプラス力を伴う磁界センサを提案することを目的とする。この主題は、従って、請求項1に係るセンサである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述のセンサでは、レバーを基板に接続するヒンジが、伝導体の機械的及び電気的なリンクと異なるという事実のおかげで、伝導体及びレバーの機械的性質を別々に最適化することを可能にする。例えば、上述のセンサでは、機械的な共鳴周波数が、レバー、ヒンジ及びゲージの機械的性質により実質的に決定される。更に、重要なレバーアーム効果を得ることが可能となる。なぜなら:
・レバーは硬く、
・ゲージは、その一端が硬いレバーに、他端が固定された埋め込みに固定されており、最適化された感度を有することが可能である。
【0015】
ここでの「硬い」レバーは、第1の付着点において、可動部品の変位方向での曲げ剛性が、ゲージの圧縮モード剛性より大きく、好ましくは、少なくとも10又は100倍大きいレバーであることを指し示す。レバーの曲げモード剛性は、ヒンジが無限剛性の固定により置き換えられ、いかなる自由度も可能としないときに、測定又は算出されるものである。ゲージの圧縮モード剛性は、このゲージがピエゾ抵抗ビームを有するとき、ピエゾ抵抗ビームの圧縮モード剛性である。
【0016】
逆に、伝導体の機械的な特性を最適化することで、レバー及びヒンジの特性を変更することなしに、磁界に応じてその変位振幅を増加させることもできる。
【0017】
レバー及び伝導体の機械的な特性の独立性は、従って、センサの異なる構成要素の最適化及びディメンジョニングを簡単にする。特に、センサをより感度よく開発することができる。
【0018】
このセンサの実施形態は、従属請求項の特徴の1つ又は複数を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
これらの実施形態は、また、以下の利点を提供する:
・第2の付着点を第1の付着点よりもレバーの回転軸の近くに設置することで、伝導体によってかけられる力を増幅することを可能にする;
・ゲージがビーム上に位置しているときは、測定されるひずみの一部がビームに入るが、架けられたひずみゲージを用いることで、測定される全ての機械的なひずみがゲージ内に集中するため、センサの感度を増大させる;
・ひずみゲージの断面が減少することで、センサの感度を増大させることを可能にする;
・レバーの両側に位置する2つのゲージを用いることで、さらにロバストな差動測定を実行することを可能にする;
・レバーの重量を分散することで、その重心がその回転軸に近づくことにより、衝撃及び振動に対するセンサの非感受性を上げる;
・レバーの回転軸に関して対称な第1及び第3の付着点を有することにより、衝撃及び振動に対するセンサの非感受性を上げる;
・変位するラプラス力の効果の下で可動部品が変形しなくてよいため、硬い可動部品を有することで、伝導体の形状の最適化を簡単にする
・蛇行形状において、機械的リンクを介して、可動部品をレバーの第1の付着点に接続することで、伝導体の望ましくない変形がレバーに伝達されることを制限する;
・平行な複数の伝導体を使用することで、センサの感度が増大される。
【0020】
本発明の他の主題は、請求項13に従った、上述のセンサを使用する方法である。
【0021】
図面を参照しながら、限定されない一例として単に与えられた以下の説明を読むことで、本発明はより良く理解されるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、ラプラス力を伴う磁界センサの第1実施形態の略図である。
図2図2は、図1のセンサ製造における異なるステップの略図である。
図3図3は、図1のセンサ製造における異なるステップの略図である。
図4図4は、図1のセンサ製造における異なるステップの略図である。
図5図5は、図1のセンサ製造における異なるステップの略図である。
図6図6は、図1のセンサ製造における異なるステップの略図である。
図7図7は、図1のセンサ製造における異なるステップの略図である。
図8図8は、図1のセンサ製造における異なるステップの略図である。
図9図9は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図10図10は、図9のセンサの実施形態において用いられるひずみゲージの鉛直断面図を示す。
図11図11は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図12図12は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図13図13は、図12の実施形態において用いられる共鳴ゲージの略図である。
図14図14は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図15図15は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図16図16は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図17図17は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図18図18は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
図19図19は、図18の実施形態のセンサの動作方法のフロー図である。
図20図20は、ラプラス力を伴うセンサの、他の可能な異なる実施形態の平面図の略図である。
【0023】
これらの図面では、同じ構成要素を指し示すために、同じ参照符号が用いられる。以下の説明では、当業者にとって良く知られている特徴及び機能は、詳しくは説明しない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ラプラス力が伴う磁界センサ2を示す。より具体的には、このセンサ2は、磁界の成分Bの振幅を測定するのに適している。成分Bは、円内にあるバツ印により示されている。成分Bは、シートの平面に対して直角であり、直交基準座標系X、Y、ZのZ軸に平行である。X及びY軸は水平である。
【0025】
センサ2は、X及びZ方向に平行な鉛直面4に関して対称である。そのため、この平面4の上面に位置するセンサ2の構成要素のみを詳細に説明する。
【0026】
センサ2は、「基板平面」と呼ばれる水平面内に実質的に延びた基板6を有する。典型的には、この基板6の寸法は1mm未満である。例えば、この長さは1mm又は500μm未満であり、この幅は500μm又は300μm未満である。
【0027】
基板6は、マイクロエレクトロニクスの技術、即ち、トランジスタのような電子部品を製造するのに用いるのと同じ技術により機械で製造することが可能な素材で生産される。例えば、基板6はシリコンといった半導体基板である。
【0028】
センサ2は、電気伝導体8から13を有する。ここで、これらの伝導体8から13のそれぞれは直線状であり、方向Xに平行に延びている。この実施形態では、伝導体8から13は互いに同一であり、伝導体8のみをさらに詳細に説明する。
【0029】
伝導体8は、2つの機械的リンク20及び22の間に位置する可動部品18を有する。機械的リンク20及び22は、機械的に伝導体8を基板6に接続する。
【0030】
可動部品18は、基板の上に架けられている。ここで、「架けられている」とは、方向Zにおいて、真空が形成される又は気体で満たされた空間により、基板から機械的に分離された構成要素を指し示す。この構成要素は、従って、基板に対して変位するのに適している。
【0031】
可動部品18は、要素Bがある際に可動部品18を通る電流iがあるときに現れるラプラス力の効果の下で、方向Yに平行な変位方向に沿って変位することを目的とする。典型的には、可動部品18にかけられるラプラス力は、以下の関係により与えられる:
【数1】
ここで、
・Fは、可動部品18にかけられるラプラス力であり、
・iは、伝導体8に流れる電流の強度であり、
・dlは、伝導体8の長さであり、
・Bは、測定される磁界の要素であり、そして
・記号「∧」は、数学的なベクトル積の演算である。
【0032】
ここで、伝導体8は、正方形又は長方形の鉛直断面を有する直線状のバーである。このバーの断面は、バーがラプラス力を受ける間、方向Y又は反対方向に弾性的に変形するようになっている。更に具体的には、ここでは、このバーは水平面においてカーブしている。
【0033】
可動部品18の変位の最大振幅は、リンク20及び22の間の中間の距離、即ち中間点24で生じる。
【0034】
この実施形態では、バーは積層により形成され、最下部から最上部まで次のように実施される:
・半導体材料のビーム26(図8)、
・電気絶縁材の層28(図8)、
・電気伝導材の層30(図8)。
【0035】
ここで、「電気伝導材」は、20℃において、電気伝導率が10又は10S.m−1よりも大きい材料を指し示す。
【0036】
導電層30は、リンク20及び22まで延びることで、電気伝導体8を電力供給コンタクトブロック32及び34に電気的に接続する。これらのコンタクトブロック32及び34も、電気伝導材で生成される。そのため、リンク20及び22は、伝導体のコンタクトブロック32及び34への電気的な接続を確実にする。
【0037】
これらのコンタクトブロック32及び34は、基板6上に自由度を有さずに固定されている。それらは、絶縁層36により、基板6から電気的に絶縁されている(図1及び図8)。
【0038】
コンタクトブロック32及び34は、ワイヤリンク、それぞれ38及び40を介して、電流源42と電気的に接続されている。ここで、この電源42は、交流電流源である。
【0039】
各伝導体8から13の中間点24は、機械的リンク54を介して、剛性レバー52の全く同一の付着点50に機械的に接続されている。ここで、リンク54は、それが付着点50に達する前に、方向Yに平行に延びると共に、各伝導体8から13の各中間点24を通る直線状の小ビーム55である。小ビーム55は、各中間点24及び付着点50において、変位軸において自由度を有さずに固定されている。例えば、小ビーム55は、電気伝導体8から13のビーム26及びレバー52が付随した単一のブロック材の一部を形成する。
【0040】
そのため、リンク54は、方向Yに平行な中間点24の任意の変位を、付着点50の同振幅及び同方向の変位に変換する。
【0041】
この目的を達成するために、小ビーム55は、基板の上に架けられている。小ビーム55は、片側では中間点24に、反対側では付着点50により、架けられたままの状態にある。小ビーム55は、方向Yに沿った移動のみにより変位する。
【0042】
小ビーム55及びレバー52は、電気伝導体が位置する位置に絶縁材料の層28があることで、伝導体8から13と電気的に絶縁されている。
【0043】
レバー52は、レバーアーム効果により伝導体8から13にかけられるラプラス力を増幅することを可能にする。この目的のために、レバー52は、自由度がなく基板6に固定されている垂直軸60に関して回転して変位することが可能に取付けられている。図1に表されているレバー52の安静位において、その最大の長さは、近位端62と遠位端64との間で、方向Xに平行に延びる。軸60は、近位端62に位置する。レバー52は、ここで、対称面4において延びる。
【0044】
レバー52は直線状である。レバー52は、近位端62においてヒンジ66により、遠位端64においてリンク54により、基板6の上に架けられている。
【0045】
この実施形態では、レバー52は、ラプラス力がかけられ得るいかなる電気伝導体も支持しない。典型的には、レバー52の長さは、2mm又は500μmよりも短く、また一般的には、50μm又は100μmよりも長い。
【0046】
レバー52は硬い。ここで、「硬い」とは、付着点50における、測定されるラプラス力の作用方向のその曲げモード剛性が、架けられていて、このレバーの基板6への取付けも行うピエゾ抵抗ビームの圧縮モード剛性よりも大きく、好ましくは少なくとも10又は100倍大きいように、レバー52が生成された際にその断面及び材料が選択されたという事実を指し示す。これらのピエゾ抵抗ビームは後に説明する。曲げモード剛性は、例えば、ヒンジが無限剛性の固定により置き換えられて測定又は算出され、いかなる自由度も有さないものである。レバー52にとっては、ラプラス力の作用方向は方向Yに平行である。
【0047】
ヒンジ66は、軸60に関してレバー52の回転を原則的に可能とする。例えば、ヒンジ66は、平面4に対して互いに対称な2つの垂直板68及び70で形成される。これら2つの板は軸60で接し、X方向において軸60から離れる距離が増加するに伴い、互いに離れる。
【0048】
センサ2は、軸60に関するレバー52の角度移動を測定するのに用いられるひずみゲージ76を有する。ここで、このゲージ76は、ピエゾ抵抗ビーム又はワイヤ78を有することにより、レバー52の変位角を測定可能な抵抗変化に変換する。このビーム78は、
・付着点81において、レバー52中で、自由度を有さないように固定されている部品80、
・基板6上の突起84に対し、自由度を有さないように固定されている部品82、及び
・基板6に架けられた部品86
を有する。
【0049】
センサ2の感度を増大させる減少した表面積内で、レバー52によってかけられるひずみを集中させるために、ビーム78の厚さは、有利には、レバー52の厚さの2分の1、5分の1又は10分の1以下である。更に好ましくは、ビーム78の断面がレバー52のそれの何分の1であることで、その引張圧縮の剛性を減少させることができる。
【0050】
例えば、ビーム78は、シリコン又はSiGe、シリコン及びゲルマニウムの合金で生成される。また、これは、金属でも生成される。更に一般的には、これは、比率(dR/R)/(dl/l)で表されるピエゾ抵抗感度が、以前に言及した金属の感度と等しいか、当該感度よりも大きい任意の金属で生成される。ここで、
・dRは、ビーム78の抵抗変化であり、
・Rは、安静なとき、つまりひずみがないときのビーム78の抵抗であり、
・dlは、測定するひずみを受けているときのビーム78の長さの変化であり、
・lは、安静なときのビーム78の長さである。
【0051】
ここで、ビーム78は、方向Yに平行に延びている。
【0052】
付着点81が軸60に可能な限り近接することで、レバー52により引き起こされるラプラス力増幅効果から得られる利益を最大にすることができる。この目的を達成するために、付着点81と軸60との間の最短距離は、方向Xにおけるレバー52の長さの10分の1又は50分の1未満である。例えば、この距離は、5又は10μm未満である。しかしながら、付着点81は、増幅効果が存在するように、軸60上には位置しない。
【0053】
ゲージ76は、また、2つの電気コンタクトブロック90及び92と、オームメータ94とを有する。ここで、オームメータは、直接的又は間接的に、抵抗変化を測定することが可能な任意の装置を意味すると理解されるべきである。実際には、ホイートストンブリッジを使った電圧測定を用いることが、例えば可能であろう。コンタクトブロック90及び92は、それぞれ、ビーム78の部品82及び80に、直接電気的に接続されている。ここで、「直接」とは、ビーム78又はオームメータ94を介して接続が通っていないという事実を指し示す。
【0054】
コンタクトブロック92は、板68及び70と近位端62とを介して、部品80に電気的に接続されている。この目的のために、板68、70及び近位端62は、電気伝導材で覆われている。
【0055】
オームメータ94は、ワイヤリンク、それぞれ96及び98を介して、コンタクトブロック90及び92と電気的に接続される。このオームメータ94は、レバー52によってそれにかけられるひずみに関してビーム78の抵抗変化を測定すると共に、測定された抵抗を表す測定信号を生成する。
【0056】
センサ2は、また、平面4に対してビーム78に対称なピエゾ抵抗ビームを有するもう1つのひずみゲージ102を有する。ゲージ102は、ゲージ76と同様の振幅の、しかし反対方向の変位を測定する。
【0057】
ゲージ76及び102は、電子的処理ユニット106に接続されている。ユニット106は、ゲージ76及び102から伝達される測定信号の関数として、要素Bの振幅を計算するようプログラムされている。
【0058】
センサ2の共鳴周波数fは、原則としてレバー52とヒンジ66とビーム78とにより設定される。ここで、レバー52及びヒンジ66の寸法は、周波数fが1kHz、好ましくは10kHzよりも大きいように選択される。センサ2の構造によって、この周波数fを設定するために電気伝導体8から13を修正する必要はない。
【0059】
センサ2の動作は次の通りである。電源42は、周波数fの交流電流を生成する。有利には、周波数fは、共鳴周波数fに等しい。ラプラス力は、時には方向Yに、時には反対の方向に、伝導体8から13にかかっている。これは、この周波数fにてセンサ2を励起する。このとき、レバー52は、軸60に関して振動する。この振動の角度振幅は、かけられているラプラス力、従って要素Bの振幅を表す。ゲージ76及び102は、レバー52の角度移動の振幅を表す測定信号を生成し、ユニット106にその信号を送信する。ユニット106は、この信号から、磁界の要素Bの振幅を計算する。
【0060】
図2から8は、センサ2の製造の異なる一連のステップを表す。図2から8は、センサ2の異なる構成要素の鉛直断面図である。センサ2において、互いに平行にではないにも関わらず、これらの異なる構成要素は、これらの図において並置されている。そのため、これらの図は、断面平面に沿ったセンサ2の断面に対応しておらず、センサ2において、それらの互いに対する配置を考慮せずに、異なる構成要素の製造を単に図示しているだけである。
【0061】
製造は、SOI(silicon-on-insulator)基板を供給するところから始まる。この基板は、基板6、酸化シリコンのような電気絶縁材の層120(図2)、シリコンの層122(図2)を有する。例えば、層120及び122は、それぞれ1μm及び0.3μmに等しい厚さを有する。
【0062】
次に、層122が、穴124及び2つの穴126(図2)を形成するように、フォトリソグラフィーによってエッチングされる。穴124は、基板6に電気コンタクトブロックを生成するために用いられる。2つの穴126は、ゲージ76のピエゾ抵抗ビーム78を生成するために用いられる。
【0063】
次に、酸化層128(図3)を層122の上に配置する。例えば、層128の厚さは0.3μmである。
【0064】
層128は、2つの穴126を満たして覆う層128の一部のみを残すように、フォトリソグラフィック法を用いてエッチングされる。これらのエッチングステップの最中、穴124の底における酸化層も除去されることで、基板6が外部にさらされる状態にする。
【0065】
次に、シリコンの層130(図4)を層128の上に配置する。例えば、層130は、エピタキシャル成長によって、層122の上及び層128の残りの上に配置される。層130のみが表れるように、この層130は、層122と全く同一の層のみを形成する。層130の厚さは略20μmである。
【0066】
電気絶縁材の層132(図5)は、その後、層130の上に配置される。この層132は、その後、層130と直接電気的に接触する構造が必要な場所において、フォトリソグラフィーによってエッチングされる。例えば、層132は、0.1μmの厚さを有する窒化ケイ素の層である。
【0067】
電気伝導材の層134(図6)は、その後、層132の上に配置される。例えば、層134は金属層である。この層134は、その後、センサ2の異なる電気コンタクトブロック及びトラックを形成するために、エッチングされる。
【0068】
次に、層132がフォトリソグラフィーによってエッチングされる(図7)。層130も、同じ樹脂製マスクとストップ層としての酸化層120及び128とを用いることでエッチングされる。例えば、層130は、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)エッチング法を用いてエッチングされる。
【0069】
最後に、酸化層120及び128が取り除かれることで(図8)、センサ2の異なる可動部品を解放する。
【0070】
図9は、測定される磁界の要素Bのセンサ140を表す。ここで要素Bは方向Yに平行である。このセンサ140は、センサ2と、
・レバー52がレバー142に置き換えられ、
・ヒンジ66がヒンジ144に置き換えられ、
・ゲージ76及び102がゲージ146及び148に置き換えられる
ことを除いて同一である。
【0071】
この図とそれに続く図を簡単にするため、処理ユニット106は表示されない。
【0072】
レバー142は、方向Yに平行な水平回転軸150に関して回転して変位することだけが可能である以外は、レバー52と同一である。更に、レバー142はカウンター・ウェイト152を有する。カウンター・ウェイト152は、レバー142の残りが付随した単一のブロック材の一部を形成する。結果的に、このカウンター・ウェイト152は、軸150に関して回転して変位する。
【0073】
カウンター・ウェイト152の重さ及び寸法は、レバー142の重心が回転軸150から距離にあるように選択される。ここで、距離は、レバー142の方向Xにおける長さの1%又は0.5%未満である。例えば、この寸法は、レバー142の重心が軸150上にある、即ち距離がレバー142の長さの0.1%又は0.05%未満であるようなものである。このような回転軸150に対する重心の位置決めにより、方向Zにおける機械的な加速及び振動へのセンサ140の非感受性を上げることができる。
【0074】
ヒンジ144は、
・軸150に関するレバー142の回転変位のみ、及び
・レバー142を基板6上に架けられたままにすること
を可能にする。
【0075】
例えば、ヒンジ144は、軸150に沿って延びた第1の架けられたビームにより形成され、その両端は自由度を有さずに、片側はレバー142に直接、反対側は基板6に、固定されている。このビームの断面は、軸150に関するねじりによって変形されることが可能なものである。ここで、ヒンジ144は、平面4に対して第1のビームに対称であると共にこの平面4の反対側に位置する第2のビームを、また有する。
【0076】
ゲージ146は、ピエゾ抵抗ビーム78がピエゾ抵抗ビーム156に置き換えられることを除いて同一である。ビーム156は、軸150に関するレバー142の移動角を測定するために、方向Xに平行に延びていることを除けば、ビーム78と同一である。
【0077】
ゲージ148は、そのビーム156が、ゲージ146によって測定されるものと同じ振幅で、しかし逆符号である角度移動を測定するために設置されている以外は、ゲージ146と同一である。
【0078】
図10は、ゲージ148のビーム156の断面図である。ビーム156の厚さは、レバー142の厚さの2分の1、5分の1又は10分の1である。ひずみがさらに小さな断面に集中するため、これにより、センサ140の感度を増大させることができる。
【0079】
センサ140及び以下のセンサの動作は、センサ2の場合に説明された動作から推論される。
【0080】
図11は、磁界の要素Bのセンサ170を表す。センサ170は、
・レバー52がレバー172と置き換えられ、
・ヒンジ66がヒンジ174と置き換えられ、
・ひずみゲージ76及び102が容量ゲージ176と置き換えられる
ことを除いて、センサ2と同一である。
【0081】
レバー172は、重心が回転軸60から距離にあるようなカウンター・ウェイト180をさらに有する以外は、レバー52と同一である。センサ140に関して、カウンター・ウェイト180の重さ及び寸法は、距離が、方向Xのレバー172の長さの1%又は0.5%未満であり、好ましくは、0.1%又は0.05%未満であるように選択される。
【0082】
ヒンジ174は、図1のヒンジ66の位置に関する垂直軸に関して90°ターンされた以外は、ヒンジ66と同一である。更に、この実施形態では、ヒンジ174は、ゲージ176が位置しているレバー172の端よりも付着点50に近く位置している。そのため、この実施形態では、レバー172は、ラプラス力によって引き起こされる角度移動を増幅するために用いられる。これは、センサ170の感度を増大させることを可能にする。
【0083】
ゲージ176は、可動アーマチュア184及び固定アーマチュア186を有する。アーマチュア184は、付着点50から可能な限り離れたレバー172の端に、自由度を有さずに固定されている。ここで、アーマチュア184は、点50が位置する片側に対して、軸60の反対側に位置する。
【0084】
アーマチュア186は、キャパシタを形成するようにアーマチュア184に面しており、基板6に自由度を有さずに固定されている。ここで、アーマチュア184及び186は、対向するこれらのアーマチュアの面の表面積が増大するように、インターデジタルである。
【0085】
アーマチュア184及び186は、電気コンタクトブロック、それぞれ188及び190に電気的に接続されている。コンタクトブロック188及び190は、容量メータ192の各端子に電気的に接続されている。容量メータ192は、レバー172の角度移動の振幅を表す測定信号を生成し、この信号を処理ユニット106に伝送する。
【0086】
ラプラス力がレバー172を回転変位させるときに、これはアーマチュア184と186との間の容量を変える。この容量の変化は、容量メータ192によって測定され、処理ユニット106に伝送される。その後、ユニット106は、この測定信号から、要素Bの振幅を計算する。
【0087】
図12は、ゲージ76及び102がそれぞれ共鳴ゲージ202及び204と置き換えられること以外は、センサ2と同一のセンサ200を表す。ゲージ202及び204は、他方のゲージによって測定されるものと同じ振幅の、しかし逆符号のひずみをそれぞれ測定する以外は、互いに同一である。
【0088】
ゲージ202は、基板6上に架けられたビーム210を有する。このビームの部品212は、ビームの軸において自由度を有さずに、付着点81においてレバー52に固定されている。このビームのもう1つの部品214は、自由度を有さずに基板に固定されている。このビームの可動部品216は、部品212と214との間に位置している。この可動部品216は、振動可能となるように、基板6上に架けられている。典型的には、ビーム210は、半導体又は導電材料で生成される。ここで、ビーム210はシリコンで生成される。
【0089】
ゲージ202は、また、方向Xにおいて引き付け、及び、代わりに反発する静電力を可動部品216にかけるため、この可動部品に近接して位置する作動電極218を有する。中央部を振動させるため、電極218は、電気コンタクトブロック220を介して、交流電圧源222の端子に電気的に接続されている。交流電圧は、周波数fで生成される。電源222のもう1つの端子は、電気コンタクトブロック224を介して、ビーム210の部品214に直接接続される。そのため、ひずみがない場合に、ビーム210は周波数fで振動する。
【0090】
ゲージ202は、可動部品216の変位の関数として変化する容量を有するキャパシタを、可動部品とともに形成するために、可動部品216に向かい合って位置する測定電極226をさらに有する。電極226は、電気コンタクトブロック230を介して、容量メータ228の端子に電気的に接続されている。容量メータ228のもう1つの端子は、コンタクトブロック224に接続されている。そのため、容量メータ228は、可動部品216の振動周波数fを測定することを可能にする。周波数fは、ビーム210上のレバー52によりかけられるひずみの関数として変化する。周波数fの振動は、レバー52の角度移動の振幅と、それにより磁界の要素Bの振幅とを測定することを可能にする。
【0091】
図14は、レバーの回転軸60に対して対称にセンサの異なる可動部品が位置する以外は、センサ2と同一のセンサ240を表す。これにより、方向Yにおける機械的な加速及び振動へのセンサの感度を下げることができる。この目的のために、レバー52はレバー242に置き換えられ、ヒンジ66はヒンジ244に置き換えられる。
【0092】
レバー242は、回転軸60に対して対称に位置する以外は、レバー52と同一である。
【0093】
ヒンジ244は、図1のヒンジ66の位置に対して、基板の平面において90°ターンさせた以外は、ヒンジ66と同一である。
【0094】
伝導体8から13及びコンタクトブロック32から34を含むモータ部に対して、平面4に対して対称であるモータ部は、しかし、今回は、回転軸60に対して対称に位置するモータ部に置き換えられる。回転軸60に対して、伝導体8から13に対称な電気伝導体は、ここでは、それぞれ参照符号248から253を有する。コンタクトブロック32から34に対称な電気コンタクトブロックは、それぞれ参照符号256から258を有する。付着点50に対称な付着点は、参照符号259を有する。
【0095】
伝導体8から13において一方向に、伝導体248から253において逆方向に電流iが流れることを確実にするために、コンタクトブロック34及び256は電気的リンク260を介して互いに直接電気的に接続されており、コンタクトブロック32及び258は、交流電流源262の各端子にそれぞれ電気的に接続されている。
【0096】
ゲージ102は、ゲージ264に置き換えられる。ゲージ264は、そのビーム78が、軸60を通り方向Xに直角な垂直面に対してゲージ76のビーム78と対称に位置することを除けば、ゲージ102と同一である。
【0097】
図15は、コイル272を形成するように、伝導体8から13及び248から253が互いに電気的に接続されていることを除けば、センサ240と同一のセンサ270を表す。
【0098】
ここで、コイル272の説明を簡単にするため、後段では、伝導体8、9、248及び249のみが存在する場合を説明する。
【0099】
伝導体248の右側末端は、電気コンタクトブロック274に直接電気的に接続されている。この伝導体248の左側末端は、電気トラック276を介して、伝導体8の左側末端に電気的に接続されている。伝導体8の右側末端は、電気トラック277を介して、伝導体249の右側末端に電気的に接続されている。伝導体249の左側末端は、電気トラック278を介して、伝導体9の左側末端に電気的に接続されている。伝導体9の右側末端は、電気コンタクトブロック280に直接接続されている。そのため、コイル272は2つの巻きを有し、そのうちの第2の巻きは部分的に完成されている。コンタクトブロック274及び280とトラック276から278とは、基板に自由度を有さずに固定されている。
【0100】
電流源262は、伝導体8及び9、248及び249に電流iが流れることを引き起こすように、コンタクトブロック274と280との間に接続されている。
【0101】
図16は、伝導体8から13が電気伝導体292に置き換えられることを除いてセンサ2と同一であるセンサ290を表す。
【0102】
伝導体292は硬い、即ち、磁界の要素Bを測定するためにセンサ290が用いられているときに、伝導体292は方向Yにおいて変形しない。電気伝導体292の両端は、機械的リンク、それぞれ296及び298を介して、基板6に接続される。これらのリンク296及び298は、また、電気伝導体292をコンタクトブロック32及び34に電気的に接続する。ここで、これらのリンク296及び298は、
・方向Yにおいて変形することで、ラプラス力の効果の下で、伝導体292の方向Yにおける変位を可能とする
・基板6上に伝導体292を架けられたままにする
ことができる。
【0103】
この目的のために、リンク296及び298の方向Yにおける剛性は、方向Zにおけるこれらの同じリンクの剛性の5分の1から50分の1以下である。例えば、このために、それぞれのリンク296及び298は蛇行形状で形成される。即ち、それぞれ、方向Yにおいてジグザグに進む巻線構成を形成する。それぞれのリンク296、298の一端は、基板6に自由度を有さずに接続され、一方、他端は、伝導体292の各端に自由度を有さずに接続されている。方向Yに柔軟な機械的リンクを用いることで、伝導体292の変位振幅と、従ってセンサ290の感度を増大させることができる。これは、伝導体292の寸法の最適化を簡単にすることもできる。
【0104】
図17は、レバー52がレバー312に置き換えられること以外はセンサ2と同一のセンサ310を表す。レバー312は、カウンター・ウェイト314を更に有する以外は、レバー52と同一である。カウンター・ウェイト314は、方向Yにおける機械的な加速及び振動へのセンサの感度を減少させるため、カウンター・ウェイト180について説明した方法と類似の方法で形成される。
【0105】
図18は、レバー52がレバー322に置き換えられること以外はセンサ2と同一のセンサ320を表す。レバー322は、レバー322の重心を回転軸60から離れるように動かすフライ・ウェイト324も有すること以外は、レバー52と同一である。例えば、レバー322の重心と軸60との間の最短距離は、方向Xにおけるレバー322の長さの10又は30%よりも大きい。このフライ・ウェイト324は、また、方向Yにおける加速に対するレバー322の感度を増加させる。
【0106】
この実施形態では、処理ユニット106もまた、要素Bの振幅に加えて、方向Yに平行な加速の要素aを同時に測定することができる処理ユニット326に置き換えられる。
【0107】
図19の方法を用いたセンサ320の動作が詳細に説明される。
【0108】
ステップ330において、電流源42は、測定される加速の要素aの周波数よりも非常に大きく、有利には周波数fに対応した、周波数fの交流電流を生成する。例えば、周波数fは、1又は2又は10kHzよりも大きい。ここで、周波数fは、20kHzに等しく選択される。
【0109】
次に、ステップ332において、処理ユニット326は、ゲージ76及び102により生成された測定信号を取得する。ステップ332において、ユニット326は、これらの測定信号をフィルターにかけることで、Qファクターを考慮に入れることにより周波数f周辺の要素を保持する。典型的には、要素又は保持された要素は、取得された信号のパワースペクトル密度の周波数fに集中した共鳴ピークの−3dBの幅内にある周波数のものだけである。この後、要素Bの振幅は、この周波数f周辺の周波数を有する測定信号の要素のみから決定される。
【0110】
並行して、ステップ334では、処理ユニット326が測定信号をフィルターにかけることで、加速度計の幅よりも大きい周波数を有する要素をそこから除去する。加速度計の帯域幅は、典型的には2kHz又は1kHz未満であり、しばしば100Hz未満である。例えば、周波数が周波数fの4分の1である信号の要素のみが保持される。そして、ステップ334では、ユニット326は、このフィルタリングで保持された要素のみから、要素aの振幅を決定する。
【0111】
図20は、磁界の要素B及びBの両方を測定することが可能なセンサ340を表す。この目的のために、センサ340は、センサ2及び140の特徴を組み合わせている。
【0112】
更に具体的には、センサ340は、リンク54がリンク342に置き換えられること以外は、センサ2と同一な、要素Bの振幅のセンサを備える。リンク342は、小ビーム55と、この小ビーム55をレバー52の遠位端64に機械的に接続する追加リンク344とを有する。このリンク344は、図16の機械的リンク296及び298について説明された方法と類似の方法により、蛇行形状に形成される。更に具体的には、ここで、このリンク344は、方向Yにおけるその剛性が、方向Zにおけるその剛性よりも少なくとも5から50倍大きくなるように形成される。この目的のために、リンク344は方向Xにおいてジグザグに進む。
【0113】
センサ340は、また、レバー142が、軸150に関して回転するように取付けられた、2つの同一の硬いレバー348及び358に置き換えられること以外は、センサ140と同一の、要素Bの振幅のセンサを備える。加えて、これらのレバー348及び358は、カウンター・ウェイト152の代わりに共通のカウンター・ウェイト352を有することで、方向Zに平行な機械的な加速又は振動に対するセンサの感度を減少させる。
【0114】
レバー348及び350は、面4に対して互いに対称である。このため、レバー348の電気伝導体8から13への接続のみを今は説明する。このために、リンク54はリンク354で置き換えられる。リンク354は、小ビーム55と、加えて、リンク344のように蛇行形状で形成されたリンク356とを有する。さらに具体的には、リンク356は、方向Zにおけるその剛性が、方向Yにおけるその剛性よりも少なくとも5から50倍大きくなるように、蛇行形状で形成される。この目的のため、これは方向Xではなく、方向Yにおいてジグザグに進む。
【0115】
多くの他の実施形態が可能である。例えば、図1及び20で説明したように、磁界センサは、1又は複数の測定軸を有することができる。そのため、センサは一軸性又は多軸性であってもよい。
【0116】
精度を向上するため、前述のそれぞれのセンサは、真空が生成されたエンクロージャーの内部に封入されてもよい。これにより、特に、機械系のQファクターを向上させることができる。しかしながら、応用や所望の感度によっては、これは絶対に必要なものではない。
【0117】
関連する実施形態に関わらず、ただ1つの電気伝導体、又は反対に、複数の電気伝導体を並行に用いることができる。更に、これらの電気伝導体は、図15を参照して説明されるように、コイルを形成するように互いに接続されることができる。
【0118】
電気伝導体を流れる電流は交流である必要はない。変形として、非正弦的に時間の関数として変化する電流や、符号が変わることのない直流が挙げられる。
【0119】
実施形態に関わらず、必要でなければ、カウンター・ウェイトは除くことができる。同様に、加速に対するセンサの感度を増加するために用いられるフライ・ウェイトは除くことができる。実際には、全てのレバーが多かれ少なかれ加速に敏感である。
【0120】
変形として、ラプラス力に敏感な1又は複数の伝導体もまた、レバーに固定されてもよい。
【0121】
同様に、レバーの角度移動の振幅を測定するゲージを異なるように取付ける必要はない。そのため、簡略化した変形では、センサは、レバーの角度移動を測定する1つのゲージのみを有してもよい。
【0122】
電気伝導体は、十分にドープされ、伝導状態にされた半導体材料のビームの形状で生成されてもよい。この場合、これによって、半導体材料で作られたビーム上に電気伝導材の層を置くことを回避することができる。
【0123】
先行する実施形態では、電気伝導体は、レバーの縦軸に平行に延びる。しかしながら、測定されるラプラス力が基板の平面に直角であるときは、これは絶対に必要ではない。そのため、変形として、電気伝導体は、レバーの縦軸に直角に延びてもよい。
【0124】
センサの感度を増大させるため、複数のレバーと複数のゲージを互いに平行に取付けることで、磁界の同一の要素を測定してもよい。
【0125】
共鳴ゲージが用いられたとき、全く同一の電極が、ビーム共鳴を作り、このビームの振動周波数を測定することの両方に用いられてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20