(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291504
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】粒子検出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
G08B17/10 G
G08B17/10 H
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-543218(P2015-543218)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-504664(P2016-504664A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】AU2013001370
(87)【国際公開番号】WO2014082122
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】2012905188
(32)【優先日】2012年11月27日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】517198355
【氏名又は名称】ギャレット・サーマル・システムズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GARRETT THERMAL SYSTEMS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】タウフィーク・ゲハド・アル−ファラ
(72)【発明者】
【氏名】アラスデア・ジェイムズ・ウィリアムソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ビトウルカス
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ・レスリー・フィウスコ
(72)【発明者】
【氏名】ガッサン・ハベルリー
(72)【発明者】
【氏名】ラジブ・クマール・シン
【審査官】
石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−533967(JP,A)
【文献】
米国特許第04608556(US,A)
【文献】
米国特許第06121883(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域からサンプルフローを受け入れるための少なくとも2つのサンプル入口と流体連通した粒子検出器であって、サンプルフロー内の粒子レベルを検出し、サンプルフロー内の粒子レベルを示す第1信号を出力するための検出手段を含む粒子検出器と、
サンプル入口の下流に設置され、サンプルフローの流量を測定し、サンプルフローの流量を示す第2信号を出力するためのフローセンサとを備え、
少なくとも第1サンプル入口が、サンプルフローの少なくとも一部を受け入れるために、監視領域に対して通常は開放しており、
少なくとも第2サンプル入口が、監視領域に対して通常は閉止しているが、監視領域内の環境条件の変化に応答して監視領域に対して開放可能であり、
第1信号および第2信号を受信して、第1信号と予め定めた閾値レベルとを比較し、第2信号と予め定めた閾値流量とを比較して、第1信号および第2信号の個々の比較に基づいて出力信号を発生するように構成された処理手段をさらに含む、粒子検出システム。
【請求項2】
第2サンプル入口は、熱活性化サンプリングポイントである請求項1記載の粒子検出システム。
【請求項3】
第2サンプル入口は、監視領域に対して通常は閉止しているが、一般に火災に関連したレベルの高熱が監視領域に存在する場合、第2サンプル入口は、開放して、監視領域からフローセンサへ向かう追加のフローを許容するように構成される請求項2記載の粒子検出システム。
【請求項4】
監視領域に対して通常は開放している複数のサンプル入口が設けられる請求項1〜3のいずれかに記載の粒子検出システム。
【請求項5】
複数のサンプル入口は、粒子検出器と流体連通したサンプリングパイプネットワークの一部として設けられる請求項4記載の粒子検出システム。
【請求項6】
サンプル入口の各々が、監視領域に対して開放または開放可能である断面積を有する請求項1〜5のいずれかに記載の粒子検出システム。
【請求項7】
熱に対して応答する少なくとも1つのサンプル入口は、監視領域に対して通常は開放しているサンプル入口より大きい断面積が設けられる請求項6記載の粒子検出システム。
【請求項8】
全てのサンプル入口は、同じ断面積を有し、高熱条件が監視領域に生じた場合、通常開放のサンプル入口に対する熱活性化サンプル入口の比率は増加している請求項6記載の粒子検出システム。
【請求項9】
高熱条件が監視領域に生じた場合、少なくとも1つの熱活性化サンプル入口は活性化され、監視領域に対して開放状態になり、これによりフローセンサへの流量の増加を生じさせ、
そして、フローセンサによって検出された流量の増加が閾値レベル超えである場合、処理手段は、高熱条件を示す出力信号を発生する請求項1〜8のいずれかに記載の粒子検出システム。
【請求項10】
粒子検出器によって検出された粒子レベルも閾値レベル超えである場合、アラームが活性化され、可能性ある火災を信号で伝える請求項9記載の粒子検出システム。
【請求項11】
閾値流量は、上側閾値流量および下側閾値流量を含む閾値流量範囲である請求項1〜10のいずれかに記載の粒子検出システム。
【請求項12】
監視対象の空気体積から空気サンプルを分析し、空気サンプル中の第1粒子のレベルを決定するステップと、
空気体積からの空気サンプルの流量を分析し、空気サンプルの流量を決定するステップと、
空気サンプル中の粒子のレベルを、少なくとも1つの第1アラーム基準に従って処理し、空気サンプルの流量を、少なくとも1つの第2アラーム基準に従って処理するステップであって、第2アラーム基準は、閾値流量であり、可能性ある熱イベントを示すものである、ステップと、
ある動作を実施するステップとを含む粒子検出方法。
【請求項13】
ある動作を実施するステップは、アラームまたは障害条件、アラームまたは障害条件の変化、予備アラームまたは予備障害条件を示す信号、または粒子レベルおよび流量の何れかまたは両方を示す信号、を送ることを含む請求項12記載の粒子検出方法。
【請求項14】
第1アラーム基準は、閾値粒子レベルであり、可能性ある煙イベントを示すものである請求項12または13記載の粒子検出方法。
【請求項15】
空気サンプルおよび流量は、同時に、連続的にまたは交互に分析可能である請求項12〜14のいずれかに記載の粒子検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子検出システムに関し、特に、吸引された煙の検出システムに関する。しかしながら、本発明は、この特定の用途に限定されず、空気体積(volume)中の粒子を検出するための他のタイプの検知システムが本発明の範囲内に含まれる。
【背景技術】
【0002】
汚染監視ならびに、火災保護および抑制剤システムが、煙および他の浮遊汚染物質の存在を検出することによって動作できる。粒子の閾値レベルが検出されると、アラームまたは他の信号がアクティブになり、火災抑制剤システム及び/又は手動介入の動作が起動できる。
【0003】
吸引粒子検出システムの形態である空気サンプリング監視設備が、1つ以上のサンプリング孔または入口を備えた1つ以上のサンプリングパイプからなるサンプリングパイプネットワークを組み込むことができ、これは、サンプリングパイプネットワークに対して通常は外部になる、煙または発火前排出物が監視対象の領域または環境から収集される位置に設置されている。
【0004】
吸引粒子検出システムのための典型的な構成を、吸引煙検出システム10,20の形態で
図1と
図2にそれぞれ示している。空気が、吸引器またはファン(不図示)を用いてサンプリング孔14,24を通って、続いてパイプまたはパイプネットワーク12,22に沿って引き込まれ、遠隔場所にある検出器16を通って向けられる。サンプリング入口14,24の形態であるサンプリングポイントが、粒子検出が必要とされる領域に設置される。これらの領域は、典型的には実際の検出器から遠方にある。
【0005】
上述のようなシステムにおいて検出器として使用できる多数の異なるタイプの粒子検出器が存在しているが、こうしたシステムでの使用のための1つの特に適した形態の検出器が光学散乱検出器であり、合理的コストで適切な感度を提供できる。こうしたデバイスの一例が、出願人が販売しているVESDA LaserPlus煙検出器である。
【0006】
光学散乱検出器は、煙粒子または小さなサイズの他の浮遊汚染物質が検出チャンバ内に導入されて高強度光ビームに曝された場合、光を散乱させるという原理で動作する。光検出器が、散乱光を検知する。検出器チャンバ内に導入されたサンプル中の粒子量が大きいほど、光散乱量は大きくなる。散乱検出器は、散乱光の量を検出し、サンプルフロー中の煙粒子または他の汚染粒子の量を示す出力信号を提供できる。
【0007】
吸引粒子検出システムを、変化する環境条件に曝される環境内に設置した場合、監視対象の環境中の汚染物質または煙粒子のレベルを検出できるだけでなく、粒子のレベルに関わらず、環境中の熱のレベルも監視できることは有益であろう。環境中の粒子レベルおよび熱レベルの両方を監視できることは特に有益である。組合せで各々の高レベルが、一般には火災を示すからである。
【0008】
明細書において先行技術への参照は、この先行技術が、オーストラリアまたは何れか他の管轄において共通の一般知識の一部を形成したり、あるいはこの先行技術が、当業者によって関連性あるものとして確認され、理解され、認定されるものと合理的に予期できるという知識または任意の形態の示唆ではなく、こうしたものとして受けとめるべきでない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、吸引粒子検出システムへのフロー障害(fault)の意図的な導入が、熱検出器と同じ目的を果たすことができるという考察から生まれたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、粒子検出システムを提供する。該粒子検出システムは、
監視領域からサンプルフローを受け入れるための少なくとも2つのサンプル入口と流体連通した粒子検出器であって、サンプルフロー内の粒子レベルを検出し、サンプルフロー内の粒子レベルを示す第1信号を出力するための検出手段を含む粒子検出器と、
サンプル入口の下流に設置され、サンプルフローの流量(flow rate)を測定し、サンプルフローの流量を示す第2信号を出力するためのフローセンサとを備え、
少なくとも第1サンプル入口が、サンプルフローの少なくとも一部を受け入れるために、監視領域に対して通常は開放しており、
少なくとも第2サンプル入口が、監視領域に対して通常は閉止しているが、監視領域内の環境条件の変化に応答して監視領域に対して開放可能であり、
粒子検出システムはさらに、第1信号および第2信号を受信して、第1信号と予め定めた閾値レベルとを比較し、第2信号と予め定めた閾値流量とを比較して、第1信号および第2信号の個々の比較に基づいて出力信号を発生するように構成された処理手段を含む。
【0011】
特に好ましい実施形態において、第2サンプル入口は、熱で活性化したサンプリングポイントである。従って、第2サンプル入口は、監視領域に対して通常は閉止しているが、一般に火災に関連したレベルの高熱が監視領域に存在する場合、第2サンプル入口は、開放して、監視領域からフローセンサへ向かう追加のフローを許容するように構成される。
【0012】
好都合には、監視領域に対して通常は開放している複数のサンプル入口が設けられる。この複数のサンプル入口は、好ましくは、粒子検出器と流体連通したサンプリングパイプネットワークの一部として設けられる。1つ以上のフローセンサが、粒子検出システムにおいて1つ以上のサンプル入口の下流に設置してもよい。
【0013】
サンプル入口の各々が、監視領域に対して開放または開放可能である断面積を有する。好ましくは、熱に対して応答する少なくとも1つのサンプル入口は、監視領域に対して通常は開放しているサンプル入口より大きい断面積が設けられる。代替として、全てのサンプル入口は、同じ断面積を有してもよく、通常開放のサンプル入口に対する熱活性化サンプル入口の比率は増加している。その結果、高熱条件が監視領域に生じた場合、少なくとも1つの熱活性化サンプル入口は活性化され、監視領域に対して開放状態になり、そして、熱活性化サンプル入口のより大きなサイズ及び/又はより高い比率に起因して、フローセンサへの流量の増加を生じさせる。流量の増加は、フローセンサによって閾値レベル超えとして検出される。粒子検出器によって煙も検出された場合、アラームが活性化され、可能性ある火災を信号で伝える。
【0014】
幾つかの実施形態において、閾値流量は、代わりに、上側閾値流量および下側閾値流量を含む閾値流量範囲でもよい。この場合、フローセンサへの流量が上側閾値流量を超えた場合、これは、上述のように、熱イベントまたはサンプリングパイプ破損を示すことができる。フローセンサへの流量が下側閾値流量を下回った場合、これは、サンプリングパイプ及び/又は1つ以上のサンプル入口の閉塞を示すことができる。
【0015】
本発明はまた、粒子検出方法を提供する。該粒子検出方法は、
監視対象の空気体積から空気サンプルを分析し、空気サンプル中の第1粒子のレベルを決定するステップと、
空気体積からの空気サンプルの流量を分析し、空気サンプルの流量を決定するステップと、
空気サンプル中の粒子のレベルを、少なくとも1つの第1アラーム基準に従って処理し、空気サンプルの流量を、少なくとも1つの第2アラーム基準に従って処理するステップと、
ある動作を実施するステップとを含む。
【0016】
ある動作を実施するステップは、ある信号、例えば、アラームまたは障害条件、アラームまたは障害条件の変化、予備アラームまたは予備障害条件または他の信号を示す信号、粒子レベルおよび流量の何れかまたは両方を示す信号、を送ることを含むことができる。
【0017】
第1アラーム基準は、好ましくは、閾値粒子レベルであり、可能性ある煙イベントを示す。第2アラーム基準は、好ましくは、閾値流量であり、可能性ある熱イベントまたはフロー障害を示す。
【0018】
空気サンプルおよび流量は、同時に、連続的にまたは交互に分析可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明について、添付図面を参照して一例としてのみ説明する。
【0020】
【
図1】従来の吸引粒子検出システムの概略図である。
【
図2】従来の吸引粒子検出システムの代替形態の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る吸引粒子検出システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
吸引粒子検出システム10を
図1に示しており、ポイント14として示す多数のサンプリング入口と、検出器16とを有するパイプ12を備える。
【0022】
検出器は、何れのタイプの粒子検出器でもよく、例えば、出願人が販売しているVESDA LaserPlus煙検出器などの粒子計数タイプのシステムを備える。典型的には、検出器16は、検出チャンバと、指示器手段と、サンプル採取した空気をパイプを通って検出チャンバに引くための吸引器とを備える。
【0023】
動作の際、各サンプリングポイント14が、煙検出が必要とされる場所に置くことができる。こうしてサンプリングポイント14が、ある領域での煙を検出するように機能する。
【0024】
粒子検出システムの第2実施形態を
図2に示しており、サンプリングポイント24を備えた多数のパイプ22を含むパイプネットワーク20を示している。
図1に示した検出器16と同様な検出器が使用できる。1つのパイプ22が、分岐、例えば、
図2の分岐Aからなってもよい。
【0025】
上記システムにおいて、空気が、サンプリングポイント14,24を通ってパイプ12,22の中に引き込まれる。パイプ12(または24)は、多数のサンプリングポイント14(または24)を有しており、従って、サンプリングポイントが開放である場合、空気が、全てのサンプリングポイントを通って単一のパイプ内に引き込まれることになる。
【0026】
典型的には、吸引粒子検出器において、一般に使用される2つのスタイルのサンプリングポイントが存在する。第1タイプのサンプリングポイントは、サンプリングパイプ12に穿孔した簡単な孔である。典型的には、孔は3mm直径でもよく、パイプは25mm外径でもよい。しかし、これらの数字は、設計ごとに領域ごとに変動する。第2スタイルのサンプリングポイントは、典型的には、ある長さの比較的狭い可撓性ホースによってサンプルパイプ12と接続されたノズルの形態である。
【0027】
図3に示した本発明の実施形態を参照して、フローセンサ30が、サンプリングポイント34の下流で、検出器16の前または後に設置される。サンプリングポイント34は、上述したサンプリングポイント14,24と同じであり、通常の周囲条件下では監視領域に対して開放している。
【0028】
図示した実施形態では、フローセンサ30が、各パイプ32に、検出器16の直ぐ上流に設けられる。フローセンサ30は、多数の形態をとり得る。一実施形態では、超音波流量計が使用される。超音波流量計は、既知の距離だけ離れている2つのトランスジューサを備え、必ずしもサンプリングポイントへの空気フローに露出していない。フローは、超音波波形の飛行時間、または一方のトランスジューサから他方のトランスジューサへ伝送される信号を測定することによって検出される。超音波トランスジューサの使用は、気流の正確な測定を可能にするとともに、気流に対して低い抵抗を提供する。トランスジューサは、気流の中に突出する必要がないからである。各フローセンサは、測定値、例えば、1分当りの空気のリッターの単位でプロセッサ(不図示)に出力する。サーマルフローセンサ、例えば、VESDA LaserPlus煙検出器に採用されている測温抵抗体(RTD)なども本発明において使用できる。
【0029】
熱活性化サンプリングポイント36が、1つ以上のパイプ32に設けられる。本実施形態では、1つの熱活性化サンプリングポイントが各パイプ32に設けられているが、当然ながら、1つより多い熱活性化サンプリングポイントをパイプ32に設けてもよい。サンプリングポイント36がパイプ32の端部に面して設けたように示したが、監視対象の領域に応じて、パイプ32に沿っていずれの場所に位置決めしてもよい。熱活性化サンプリングポイント36は、監視領域と連通した、サンプリングポイント34と同じ断面積を有してもよい。しかし、サンプリングポイント36は、より大きい断面積を有し、または、サンプリングポイント34に対する熱活性化サンプリングポイント36のより高い比率であることが好ましい。これにより、サンプリングポイント36が活性化した場合、流量のより大きな増加をサンプリングパイプ32に導入することが可能になる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、熱活性化サンプリングポイント36が、上述した従来のサンプリングポイント34と連結したサンプリングパイプネットワークに使用される。熱活性化サンプリングポイント36は、監視領域からサンプリングパイプの中に入って検出器16に至る空気のフローを可能にするハウジング(不図示)を備える。ハウジングは、例えば、封止剤(sealant)またはワックスなど、予め定めた融点を持つ物質によって形成または保持されたプラグによって閉塞されている。監視領域での温度が、ワックスの予め定めた融点に到達した場合、プラグは、溶融または脱落して、これによりハウジングを開放し、空気が監視領域からサンプリングパイプの中に入るのを許容する。フローの増加は、「フロー障害」を効率的に検出して、信号をプロセッサに送るフローセンサによって測定される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、検出器16は、サンプルフロー内の粒子レベルを検出し、サンプルフロー内の粒子レベルを示す第1信号をプロセッサ(不図示)に出力するためのするための検出手段を含む。同様に、フローセンサ30は、サンプルフローの流量を測定し、サンプルフローの流量を示す第2信号をプロセッサ(不図示)に出力する。
【0032】
プロセッサは、第1信号および第2信号を受信して、第1信号と予め定めた閾値レベルとを比較し、そして第2信号と予め定めた閾値流量とを比較する。個々の比較の結果、プロセッサは出力信号を発生する。
【0033】
プロセッサが発生し得る4つの出力信号または「アラーム状態」が存在する。
【0035】
第1アラームレベルでは、空気サンプル中に検出された粒子が、ある閾値レベル未満であり、空気サンプルの流量が、ある閾値レベル未満である。これは、煙も熱もない、即ち、火災なしを意味しており、アラームが生じない。
【0036】
第2アラームレベルでは、空気サンプル中に検出された粒子が、ある閾値レベル未満であり、空気サンプルの流量が、ある閾値レベル超えである。これは、監視領域において、熱またはフロー障害、例えば、サンプリングパイプ破損などがあることを意味しており、煙はない。監視領域をさらに調査するために、そしてフロー障害を是正するために、信号が発生する。これは、例えば、視覚的検査を含んでもよい。
【0037】
第3アラームレベルでは、空気サンプル中に検出された粒子が、ある閾値レベル超えであり、空気サンプルの流量が、ある閾値レベル未満である。これは、煙が存在するが、熱はないことを意味している。この場合、監視領域をさらに調査するために、信号が発生する。検出器は、サンプルフロー中の粒子のタイプ及び/又はレベルをさらに確認するために使用できる2次粒子検出段階を含んでもよい。
【0038】
第4アラームレベルでは、空気サンプル中に検出された粒子が、ある閾値レベル超えであり、空気サンプルの流量が、ある閾値レベル超えである。これは、監視領域において、煙および、熱またはフロー障害が存在することを意味している。監視領域を緊急に調査するために、アラームが活性化され、消防当局に通知してもよく、消火装置が活性化してもよい。
【0039】
特定の実施形態において、下側閾値流量も監視してもよい。この場合、測定した流量は、上側閾値流量および下側閾値流量を有する閾値流量範囲と比較される。フローセンサへの流量が上側閾値流量を超えた場合、これは、上述したように熱イベントまたはサンプリングパイプ破損を示すであろう。フローセンサへの流量が下側閾値流量未満に減少した場合、これは、サンプリングパイプ及び/又は1つ以上のサンプリング入口での閉塞を示すであろう。測定した流量が下側閾値流量未満である場合、潜在的にはパイプ及び/又は入口の閉塞に起因して、フロー障害を示す信号が発生する。そして、フロー障害を是正するための行動がとられる。
【0040】
吸引煙検出器の従来のサンプリングポイントと関連した熱活性化サンプリングポイントの使用は、熱イベント、煙イベントおよび熱煙イベントを明確に監視することが望まれる環境において、本発明が使用できることは理解されるであろう。
【0041】
本明細書に開示され規定された発明は、テキストまたは図面から言及または明らかである個々の特徴の2つ以上の代替の全ての組合せに及ぶことは理解されよう。これらの異なる組合せの全てが、本発明の種々の代替態様を構成する。