(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291509
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】液圧スリーブを介して汚染保護してソレノイドモータを通気するための方法
(51)【国際特許分類】
F16K 11/07 20060101AFI20180305BHJP
F16K 3/26 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
F16K11/07 Z
F16K3/26 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-558057(P2015-558057)
(86)(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公表番号】特表2016-507041(P2016-507041A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】US2014015478
(87)【国際公開番号】WO2014130274
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/766,296
(32)【優先日】2013年2月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】デニス・アール・キュー
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−002773(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第04205173(DE,A1)
【文献】
実開平04−105272(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0084945(US,A1)
【文献】
米国特許第03009480(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F16K 3/00− 3/36
F16K 27/00−27/12
F16K 39/00−39/06
F16K 47/04
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール弁を装着する弁本体を含む弁装置であって、前記スプール弁が、第1の流体ポートと第2の流体ポートとを接続する前記弁本体の略円筒状の弁ポートを通して前記弁本体の前記第1の流体ポートを前記弁本体の前記第2の流体ポートと流体接続するために第1の軸線に沿って移動可能であり、前記弁本体の第2の流体ポートが、
前記第1の軸線に対して垂直の面に略延びる対称的に間隔を空けた長手方向の流れプレナムを含む空間形状を有し、前記プレナムが横方向の流れチャンバによって横方向に接合され、前記第2の流体ポートがブラインド端部と、前記プレナム用の出口ポートを備える絞り端部とを有し、
前記略円筒状の弁ポートから前記第2の流体ポートのブラインド端部までの距離が、前記略円筒状の弁ポートから前記第2の流体ポートの絞り端部までの距離に等しいか又はより大きい、弁装置。
【請求項2】
前記プレナムが、前記第1の軸線に沿って前記横方向の流れチャンバよりも大きな寸法を有する請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
スプール弁を装着する弁本体を含む弁装置であって、前記スプール弁が、第1の流体ポートと第2の流体ポートとを接続する前記弁本体の略円筒状の弁ポートを通して前記弁本体の前記第1の流体ポートを前記弁本体の前記第2の流体ポートと流体接続するために第1の軸線に沿って移動可能であり、前記弁本体の第2の流体ポートが、
前記第1の軸線に対して垂直の面に略延びる対称的に間隔を空けた長手方向の流れプレナムを含む空間形状を有し、前記プレナムが横方向の流れチャンバによって横方向に接合され、前記第2の流体ポートがブラインド端部と、前記プレナム用の出口ポートを備える絞り端部とを有し、
前記プレナムが、前記第1の軸線に沿って前記横方向の流れチャンバよりも大きな寸法を有する弁装置。
【請求項4】
略円筒状のブロック弁頭を有するメータアウトされるスプール弁を装着する弁本体を含む弁装置であって、前記スプール弁が、第1の流体ポートと第2の流体ポートとを接続する前記弁本体の略円筒状の弁ポートを通して前記第1の流体ポートを前記第2の流体ポートと流体接続するために第1の軸線に沿って移動可能であり、前記弁本体の第2の流体ポートが、
前記第1の軸線に対して垂直の面に略延びる対称的に間隔を空けた円形断面の管状空間プレナムを含む空間形状を有し、前記プレナムが、前記第1の軸線に沿って前記プレナムの直径よりも小さい寸法を有する細長い横方向の流れチャンバによって横方向に接合され、前記横方向の流れチャンバが略対称の流れノッチと接続され、前記第2の流体ポートがブラインド端部と、前記プレナム用の出口を備える絞り端部とを有し、前記ブラインド端部から前記略円筒状の弁ポートまでの距離が、前記略円筒状の弁ポートから前記絞り端部までの距離に等しいか又はより大きく、前記プレナムが前記出口によってより小さい直径に縮小される、弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置、特に電子制御の車両自動変速機に利用される弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1940年代後期及び1950年代初期まで、事実上すべての自動車には手動制御の変速機が設けられていた。1940年代後期及び1950年代初期に、車両の運転時に必要なギヤシフトを自動的に行うために、トルクコンバータと共に液圧ロジック制御のクラッチ及び同期装置を利用する自動変速機が生産された。1980年代に、変速機を操作し、これによって、より最適なシフトポイントを提供して車両走行距離を増すために、多くの自動車変速機が液圧ロジック制御弁に依拠するよりも、むしろ電子制御されるように転換された。電子制御を利用することにより、変速機を制御する液圧機構の多くはソレノイド作動弁によって操作される。ソレノイド作動弁は、典型的に、弁本体内に装着されたスプール弁を制御する。スプール弁は、制御圧力(クラッチ又は同期装置と接続されたポート)を供給圧力(ポンプと接続されたポート)と、又は排気圧(サンプと接続されたポート)と接続するために多くの用途で操作される。変速機に利用される多くのソレノイド弁は、共通の弁本体内に装着される。弁本体は、典型的に、液圧供給部、様々なクラッチを制御するためのいくつかのスプール弁とソレノイド弁の制御及び排出ポート、変速機の同期装置又は他の液圧機能部へのかつそれらからの通路を提供する多通路部材である。
【0003】
図1、
図2及び
図3を参照すると、従来技術の弁装置17が示されている。従来技術の弁装置には、弁本体内で動作するメータリングランド27を有するスプール弁19がある。第1の供給ポート23を第2の制御ポート21と接続するために、メータリングランドが第2の制御ポートに入る方向にスプール弁19が移動され、前記第1の供給ポートから前記第2の制御ポートへの液圧連通を開放する。流体は、当初、互いに180度で配向された2つの成形された制御縁部において第2の制御ポート21に入る。最終的に、メータリングランド27がさらに第2の制御ポート21に入るとき、流体は、メータリングランド27の360度の周囲全体に沿って入ることが可能である。第2の制御ポート21内に流れる流体は、第2の制御ポート21の出口端35において制御ポートを出る。従来技術のポート形状では、出口端35の180度反対側でメータリングする流体は、弁の周り全体にわたって流れなければならず、一方、出口端35の前で直接メータリングする流体は、妨げられない出口流れを有する。その結果、高いメータリング流れにおいて、圧力は、出口から180度において上昇することができ、弁の周りの圧力プロフィールを不均衡にさせる。上に指摘した設計は機能的に十分であるが、圧力不均衡がスプール弁19に対して横方向力を付与することがあり、このことが、スプール弁19と弁本体との間に過度の摩擦及び摩耗をもたらし得る。これらの横方向の誘導された力が最小にされ、したがって、弁装置に対する任意の横方向に誘導された力による摩耗を低減又は除去する弁装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上に指摘した要求及び他の要求を満たすために、本発明の構想が提案される。好ましい実施形態では、本発明は、特別に設計された第2の流体ポートを有する弁装置を提供し、この弁装置は、スプール弁に誘導された横方向の力を均等化して、このような力を大幅に低減又は除去し、これによって、スプール弁又は弁ポートに対してこの横方向に強制された誘導摩耗を事実上除去する。
【0005】
本発明のさらなる適用範囲は、以下に提供する詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、説明目的のみのために意図されるに過ぎず、本発明の範囲を限定するようには意図されないことを理解すべきである。
【0006】
本発明は、詳細な説明及び添付図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明以前の弁装置を有する弁本体の平面図である。
【
図3】
図1に示した弁本体の第2の
流体ポートの斜視図である。
【
図6】
図4の弁本体に示した弁装置による第2の
流体ポートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つ又は複数の好ましい実施形態の次の説明は、本質的に単に例示的なものに過ぎず、本発明、その適用、又は用途を限定するようには決して意図されない。
【0009】
図4、
図5及び
図6を参照すると、本発明による弁装置107が示されている。
図4及び
図6は弁本体108の一部を示している。弁本体108は、複数のクラッチ、同期装置及び変速機の他の機能部を制御するために弁本体に装着された複数のスプール弁を有して示された弁本体よりも実質的に大きい。しかし、本発明は、弁本体108のただ1つの部分で示されている。弁本体108は第1の流体ポート110を有する。典型的に、ポート110は、制御圧力にメータアウトされるべき加圧作動油源と流体接続されるか、又は制御圧力が排気圧にメータアウトされる。弁本体108は第2の流体ポート112を有する。弁本体108はスプール弁114を装着する。スプール弁114は、第1の軸線116に沿って軸方向に移動可能である。スプール弁114は、第1の流体ポートと第2の流体ポートとの間に流体をメータリングするためのメータリングランド128を有する。第1の流体ポート110を第2の流体ポート112と接続するために、メータリングランドが第2の制御ポートに入る方向にスプール弁114が移動され、前記第1の流体ポートから前記第2の流体ポートへの液圧連通を徐々に開放する。流体は、当初、互いに180度で配向された2つの成形された制御縁部において第2の流体ポート112に入る。最終的に、メータリングランド128がさらに第2の流体ポート112に入るとき、流体は、メータリングランド128の360度の周囲全体に沿って入ることが可能である。
【0010】
図6は、空間的な第2の流体ポート112の拡大図である。第2の流体ポートは、対称的に間隔を空けた2つの長手方向流れプレナム130を有する。プレナムは、スプール弁の第1の軸線116に対して垂直の面に略延びる。プレナム130は、細長い横方向の流れチャンバ131によって横方向に接続される。横方向の流れチャンバ131は、プレナム130の直径よりも典型的に小さい寸法132を第1の軸線に沿って有する。横方向の流れチャンバ132は、略対称のメータリング流れノッチ134によって接続される。
【0011】
第2の
流体ポートは、ブラインド端部140及び絞り端部142を有する。ブラインド端部140から略円筒状のポート121までの距離143は、ポート121から絞り端部142までの距離145に略等しいか又は僅かにより大きい。プレート144は、プレナム130の直径よりも僅かに小さい直径を有する出口146を有する絞り端部の大部分を形成する。プレート144により、すべての流体が第2の
流体ポートからプレナム130から出るようになる。プレナム130は、流れに対して、したがって極端な流量においても実質的に非制限的であるように寸法決めされ、プレナムの一方の端部から他方の端部までの圧力低下は最小である。プレート出口146の存在のため、メータリング縁部128の任意の角度配向でメータリングする流体は、プレナム130に対して横方向に流れなければならない。
【0012】
図示した本発明の弁装置により、第2の流体ポート112の圧力は、スプール弁121が弁本体108内で摺動し、したがって過度の摩擦及び摩耗が大幅に減らされるか又は除去されるので、スプール弁121の周りではるかに大きく均衡される。
【0013】
本発明の説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、したがって、本発明の要点から逸脱しない別形態は本発明の範囲内に含まれるように意図される。このような別形態は、本発明の趣旨と範囲からの逸脱とは見なされない。