特許第6291566号(P6291566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291566
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】不浸透性バリアの波形の結合解除
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/04 20060101AFI20180305BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20180305BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   B65D90/04 E
   F17C13/00 302E
   B63B25/16 P
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-507033(P2016-507033)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-515986(P2016-515986A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】FR2014050819
(87)【国際公開番号】WO2014167228
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】1353262
(32)【優先日】2013年4月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドラノエ セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ボワイオ マルク
(72)【発明者】
【氏名】エリー ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ロンゲ ヴィルジニー
(72)【発明者】
【氏名】ペスケ ファビアン
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−126393(JP,A)
【文献】 特開2002−181288(JP,A)
【文献】 特開平07−229597(JP,A)
【文献】 特表平07−500406(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3175526(JP,U)
【文献】 米国特許第03302358(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/04
B63B 25/16
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア構造(2)上にタンク壁を備える密封され熱絶縁されたタンクであって、前記タンク壁が、外側から内側にかけて、前記キャリア構造上に保持された絶縁バリア(1)であって、前記キャリア構造の内側表面を覆う、絶縁バリアと、前記絶縁バリア上に載る密封されたバリア(4)と、前記絶縁バリアの上側表面に固定された、密封された金属アンカー固定部材(3)とを備え、
前記密封されたバリアが、
前記アンカー固定部材の一方側に位置する前記絶縁バリアの第1の部分上に配置された第1の波状の金属膜(5)と、
前記アンカー固定部材の他方側に位置する前記絶縁バリアの第2の部分上に配置された第2の波状の金属膜(6)と、第1(9)および第2(10)の複数のキャップとを備え、
前記第1の膜は、前記アンカー固定部材上に配置された組み立て縁(16)を有し、前記第1の膜の前記組み立て縁は、密封式に前記アンカー固定部材に溶接され、
前記第1の膜(5)は、第1の組の平行な波状部(7)および第2の組の平行な波状部(7b)を備えて波状になり、前記2つの組の波状部のそれぞれの方向は交差し、前記第1の組の波状部は、前記第1の膜の前記組み立て縁(16)と交差する方向に延び、
前記第2の膜(6)は、第1の組の平行な波状部(8)および第2の組の平行な波状部(8b)を備えて波状になり、前記2つの組の波状部のそれぞれの方向は交差し、前記第1の組の波状部は、前記第2の膜の組み立て縁(17)と交差する方向に延び、
前記キャップの各々は、ドームの形態の終端波状部分(19)を有する金属構成要素であって、前記キャップが閉鎖するそれぞれの波状部に連結されるよう意図され、前記終端波状部分を取り囲む基部プレート(21)まで降下する、金属構成要素を備える、密封され熱絶縁されたタンクにおいて、
前記アンカー固定部材が長手方向に細長であり、
前記第1の膜の前記組み立て縁が、前記アンカー固定部材の長手方向に平行に配向されており、前記第1の膜の前記第1の組の波状部の各々の波状部は、前記組み立て縁に沿って配置された前記第1の複数のキャップのキャップ(9)によって密封式に閉鎖され、
前記第2の膜の前記組み立て縁(17)が、前記アンカー固定部材の長手方向に、前記第1の膜を覆う前進部分と、前前記前進部分と交互になり、前記第1の膜の前記第1の組の波状部と連続して位置する凹部分(12)とを備え、前記凹部分は、前記アンカー固定部材の密封されたゾーンを露出させ、前記第1の複数の前記キャップ(9)は、常に、前記第1の膜(5)および前記アンカー固定部材の前記露出された、密封されたゾーン(13)に重なり、前記前進部分は、前記第2の膜の前記第1の組の波状部(8)と位置合わせされ、前記第2の膜の前記第1の組の波状部の各々の波状部は、前記組み立て縁に沿って配置された前記第2の複数のキャップのキャップ(10)によって密封式に閉鎖され、前記第2の複数の前記キャップ(10)は、常に、前記第2の膜の前記前進部分および前記第1の膜に重なり、
前記第1の膜の前記第1の組の波状部に関連付けられた、前記第1の複数のキャップの前記キャップの前記終端波状部分が、前記組み立て縁に対して横断方向に、前記第2の膜の方向に、前記第2の膜の前記第1の組の波状部に関連付けられた、前記第2の複数のキャップの前記キャップの前記終端波状部分を超えて延びることを特徴とする、タンク。
【請求項2】
前記第2の膜(6)の前記第1の組の波状部の前記波状部(8)が、前記組み立て縁に平行な方向にずれを形成するために、前記第1の膜(5)の前記第1の組の波状部の前記波状部(7)と位置合わせされない、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記ずれが、前記第1の膜の前記第1の組の波状部の前記波状部の間隔の半分に等しい、請求項2に記載のタンク。
【請求項4】
キャリア構造(2)上にタンク壁を備える密封され熱絶縁されたタンクであって、前記タンク壁が、外側から内側にかけて、前記キャリア構造上に保持された絶縁バリア(1)であって、前記キャリア構造の内側表面を覆う、絶縁バリア(1)と、前記絶縁バリア上に載る密封されたバリア(4)と、
前記絶縁バリアの上側表面に固定された細長の、密封された金属アンカー固定部材(3)とを備え、
前記密封されたバリアが、
前記アンカー固定部材の一方側に位置する前記絶縁バリアの第1の部分上に配置された第1の波状の金属膜(5)と、
前記アンカー固定部材の他方側に位置する前記絶縁バリアの第2の部分上に配置された第2の波状の金属膜(6)と、第1(9)および第2(10)の複数のキャップとを備え、
前記第1の膜は、前記アンカー固定部材(3)の長手方向に平行に配向され、前記アンカー固定部材上に配置された組み立て縁(16)を有し、前記第1の膜の前記組み立て縁は、密封式に前記アンカー固定部材に溶接され、
前記第1の膜(5)は、第1の組の平行な波状部(7)および第2の組の平行な波状部(7b)を備えて波状になり、前記2つの組の波状部のそれぞれの方向は交差し、前記第1の組の波状部は、前記第1の膜の前記組み立て縁(16)と交差する方向に延び、第1の膜の前記第1の組の波状部の各々の波状部は、前記組み立て縁に沿って配置された前記第1の複数のキャップのキャップ(9)によって密封式に閉鎖され、
前記第2の膜(5)は、前記アンカー固定部材の長手方向に平行に配向され、前記アンカー固定部材上に配置された組み立て縁を有し、前記第2の膜の前記組み立て縁は、密封式に前記アンカー固定部材に溶接され、
前記第2の膜(5)は、第1の組の平行な波状部(7)および第2の組の平行な波状部(7b)を備えて波状になり、前記2つの組の波状部のそれぞれの方向は交差し、前記第1の組の波状部は、前記第2の膜の前記組み立て縁と交差する方向に延び、前記第2の膜の前記第1の組の波状部の各々の波状部は、前記組み立て縁に沿って配置された前記第2の複数のキャップのキャップによって密封式に閉鎖され、
前記アンカー固定部材は、前記アンカー固定部材の長手方向に位置合わせされた矩形のアンカー固定プレートの組を備え、
前記密封されたバリアは、さらに、嵌合された波状連結構成要素(25)の組を備え、前記組の各々の嵌合された波状連結構成要素は、その2つの端部において閉鎖され、細長シェルを完全に取り囲む基部プレートまで降下する、ドーム(28)の形態の細長シェルを備え、
前記組の各々のアンカー固定プレート(30)は、2つの横断方向縁を備え、
前記第1の膜の前記組み立て縁は、前記アンカー固定部材(3)に沿って切欠部(34)の組を備えるように輪郭付けされ、
前記第2の膜の前記組み立て縁は、前記アンカー固定部材に沿って切欠部(34)の組を備えるように輪郭付けされ、
前記第1の膜の切欠部および前記第2の膜の切欠部は、2つの隣接するアンカー固定プレート(30)間の横断方向の境界面と位置合わせされ、前記横断方向の境界面を露出させ、
前記組の各々の嵌合された波状連結構成要素(25)は、2つのアンカー固定プレートの横断方向の境界面の領域内に配置され、それにより、前記細長シェルは、前記横断方向の境界面、前記第1の膜(5)の前記対応する切欠部(34)および前記第2の膜(5)の前記対応する切欠部(34)に重なり、
前記キャップの各々は、ドームの形態の終端波状部分を有する金属構成要素であって、前記キャップが閉鎖するそれぞれの波状部に連結されるよう意図され、前記終端波状部分を取り囲む基部プレートまで降下する、金属構成要素を備え、 前記シェルの前記端部部分は、前記アンカー固定部材の横断方向に、前記第1の膜の方向に前記第1の膜の前記第1の組の波状部の前記終端波状部分を超えて、および前記第2の膜の方向に前記第2の膜の前記第1の組の波状部分の前記終端波状部分を超えて延びる、タンク。
【請求項5】
細長シェルが、2つのキャップ(28)によって閉鎖された中央波状部(26)を備え、前記キャップは、ドーム型の形態の終端波状部分を有し、前記中央波状部の端部に連結された金属構成要素を備える、請求項4に記載のタンク。
【請求項6】
前記細長シェルの前記中央波状部(26)が、直線状である、請求項4に記載のタンク。
【請求項7】
前記第1の膜(5)および前記第2の膜(5)が、角度αで交差する2つの平面を画定し、
前記嵌合された波形の前記中央波状部は、ベローズ(27)によって分離された直線状の波状部分(26)を備え、前記ベローズは、前記中央波状部の第1の部分の方向を、前記中央波状部の第2の部分の方向に前記角度αで戻す、請求項5に記載のタンク。
【請求項8】
前記アンカー固定プレート(30)の前記横断方向縁が、膜の前記第1の組の波状部に平行である、請求項4から7のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項9】
膜の前記組み立て縁の切欠部(34)が、前記組み立て縁に対して垂直に配向される、請求項4から8のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項10】
膜の前記組み立て縁の前記切欠部の組の切欠部(34)の幅が、2つの隣接するアンカー固定プレート(30)間の前記境界面の幅より大きく、切欠部の前記幅は、嵌合された波状連結構成要素の幅より小さい、請求項4から9のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項11】
膜の前記組み立て縁の切欠部(34)が、2つの隣接するアンカー固定プレート(30)間の前記境界面に平行である、請求項4から10のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項12】
前記嵌合された波状連結構成要素の前記シェルが、2つの周縁壁を備え、前記壁は、その長さにわたって均一である前記壁間の間隔を有する、請求項4から11のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項13】
前記膜(5)の前記第1の組の波状部(7)が、前記膜の前記組み立て縁に対して垂直である、請求項1から12のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項14】
前記第1の膜の前記第1の組の波状部の各々の波状部が、第1の直線部分と、曲がり部(97)と、第2の直線部分とを備え、前記曲がり部は、前記第2の直線部分を、前記アンカー固定部材と共に前記第1の膜の前記組み立て縁に対して垂直に配向することができる角度(93)を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項15】
前記第2の膜の前記第2の組の波状部の前記方向が、前記第1の膜の前記第2の組の波状部の前記方向に平行である、請求項1から14のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項16】
膜の前記第1の組の波状部が、前記膜の前記組み立て縁に垂直であり、前記膜の前記第2の組の波状部が、前記膜の前記組み立て縁に平行である、請求項1から15のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項17】
前記第2の膜の前記第1の組の波状部の前記方向が、前記第1の膜の前記第1の組の波状部の前記方向に平行である、請求項1から16のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項18】
前記膜の前記第1の組の波状部の前記波状部が、規則的な間隔で離間される、請求項1から17のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項19】
低温液体製品の輸送のためのタンカー(70)であって、二重外郭構造(72)と、前記二重外郭構造内に配置された、請求項1から18のいずれか一項に記載のタンク(71)を備える、タンカー(70)。
【請求項20】
請求項19に記載のタンカ(70)に積み込むまたは積み下ろしするための方法であって、低温液体製品が、絶縁されたチャネル(73、79、76、81)を通って、浮体式もしくは地上貯蔵設備(77)から、または浮体式もしくは地上貯蔵設備(77)まで、タンカ(71)のタンクから、またはタンカー(71)のタンクまで運ばれる、方法。
【請求項21】
低温液体製品用の移送システムであって、請求項19に記載のタンカー(70)と、前記タンカーの前記外郭構造内に設置された前記タンク(71)を、浮体式または地上貯蔵設備(77)に連結するように配置された絶縁チャネル(73、79、76、81)と、低温液体製品の流れを、前記絶縁されたチャネルを通して、前記浮体式もしくは地上の貯蔵設備から、または前記浮体式もしくは地上の貯蔵設備まで、前記タンカーの前記タンクまで、または前記タンカーの前記タンクから駆動するためのポンプとを備える、移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封され熱絶縁されたタンクに関する。特に、本発明は、液化天然ガス(LNG)の貯蔵および輸送用に意図されたタンクに関する。より詳細には、本発明は、一次または二次の波状の密封された膜の波形の不連続性を可能にするために密封された膜の波形を結合解除することに基づく。この結合解除は、コーナゾーン内または平面ゾーン内の両方で実施され得る。
【背景技術】
【0002】
折り畳まれた膜を備えたタンクでは、膜の閉鎖部は、タンカーのビームの熱収縮および拡張を受け入れるために、ある程度の可撓性を必要とする。第1の応力、つまり熱収縮は、平坦な連結部を有さないことを必要とする。その理由は、連結ゾーンの位置を考慮すると、平坦な連結は、平面的なゾーン内に一方の方向に少しの距離を、但し径方向には長い長さを、いかなる波形も有することなく課すためである。したがって、熱収縮は、そのような解決策の正当性を立証するにはかなり不利になり得る。
【0003】
波状膜を有する技術は、波形が、タンカービームの熱負荷および伸長下で膜変形を吸収することができるという事実に基づく。膜の満足のいく機械的強度を有するために、2方向の応力における膜の剛性が実質的に連続的になることが好ましい。
【0004】
特許文献1は、波状の密封されたプレートによって形成された膜を説明している。この膜の密封されたプレートは、2つの隣接する密封されたプレートの波状部を位置合わせするために配置される。正方形の開口が、2つの密封されたプレート間の連結ゾーンの領域内に生み出される。支持脚部が、この開口の領域内に局所的に配置される。2つの閉鎖プレートは、開口を形成するために穿孔された2つの隣接する波状プレートがその上にアンカー固定される支持脚部の周りに、正方形の表面を形成する。正方形の開口によって離断された、密封されたプレートの波状部は、正方形の開口の領域内でキャップによって閉鎖される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/157915号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が基づく概念は、応力の一極集中を伴うゾーンを作り出すことなく、2つの相互の波状膜の密封された連結を生み出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、本発明は、キャリア構造上にタンク壁を備える密封され熱絶縁されたタンクであって、タンク壁が、外側から内側にかけて、キャリア構造上に保持された絶縁バリアであって、キャリア構造の内側表面を覆う、絶縁バリアと、絶縁バリア上に載る密封されたバリアと、絶縁バリアの上側表面に固定された細長の、密封された金属アンカー固定部材とを備え、
密封されたバリアは、
アンカー固定部材の一方側に位置する絶縁バリアの第1の部分上に配置された第1の波状の金属膜と、
アンカー固定部材の他方側に位置する絶縁バリアの第2の部分上に配置された第2の波状の金属膜と、第1および第2の複数のキャップとを備え、
第1の膜は、アンカー固定部材の長手方向に平行に配向され、アンカー固定部材上に配置された組み立て縁を有し、第1の膜の組み立て縁は、密封式にアンカー固定部材に溶接され、
第1の膜は、第1の組の平行な波状部および第2の組の平行な波状部を備えて波状になり、2つの組の波状部のそれぞれの方向は交差し、第1の組の波状部は、第1の膜の組み立て縁と交差する方向に延び、第1の膜の第1の組の波状部の各々の波状部は、組み立て縁に沿って配置された第1の複数のキャップのキャップによって密封式に閉鎖され、
第2の膜は、第1の組の平行な波状部および第2の組の平行な波状部を備えて波状になり、2つの組の波状部のそれぞれの方向は交差し、第1の組の波状部は、第2の膜の組み立て縁と交差する方向に延び、第2の膜の第1の組の波状部の各々の波状部は、組み立て縁に沿って配置された第2の複数のキャップのキャップによって密封式に閉鎖され、
第2の膜の組み立て縁は、アンカー固定部材に沿って、第1の膜を覆う前進部分と、アンカー固定部材の密封されたゾーンを露出するために第1の膜の第1の組の波状部と連続して位置する凹部分とを備えるように輪郭付けされ、第1の複数のキャップは、常に、第1の膜およびアンカー固定部材の露出された、密封されたゾーンに重なるように配置され、前進部分は、第2の膜の第1の組の波状部の位置合わせ内に位置し、第2の複数のキャップは、常に、第2の膜の前進部分および第1の膜に重なるように配置され、
キャップの各々は、ドームの形態の終端波状部分を有する金属構成要素であって、キャップが閉鎖するそれぞれの波状部に連結されるよう意図され、終端波状部分を取り囲む基部プレートのところまで降下する、金属構成要素を備え、第1の膜の第1の組の波状部に関連付けられた終端波状部分は、組み立て縁に対して横断方向に第2の膜の方向に、第2の膜の第1の組の波状部に関連付けられた終端波状部分を超えて延びる、密封され熱絶縁されたタンクを実現する。
【0008】
これらの特徴の結果、第1の波状膜および第2の波状膜を独立的に生み出し、2つの膜の波状部を正確に位置合わせする必要無く、それによってそれらの位置決めを極めて容易にして、これらを密封式に連結することが可能である。さらに、密封された膜は、密封作用のために波状部の閉鎖を保持しながら連続ゾーン内に可撓性を保持する。
【0009】
実施形態によれば、そのような密封され熱絶縁されたタンクは、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。
【0010】
一実施形態によれば、第2の膜の第1の組の波状部の波状部は、組み立て縁と平行な方向に、第1の膜の第1の組の波状部の波状部の間隔の半分に等しいずれを形成するために、第1の膜の第1の組の波状部の波状部と位置合わせされない。
【0011】
一実施形態によれば、第2の膜の前進部分の幅は、第1の膜の第1の組の波状部の2つの波状部間の距離未満である。
【0012】
これらの特徴の結果、2つの密封された膜の組み立てが、容易にされる。
【0013】
一実施形態によれば、本発明はまた、キャリア構造上にタンク壁を備える密封され熱絶縁されたタンクであって、タンク壁が、外側から内側にかけて、キャリア構造上に保持された絶縁バリアであって、キャリア構造の内側表面を覆う、絶縁バリアと、絶縁バリア上に載る密封されたバリアと、絶縁バリアの上側表面に固定された細長の、密封された金属アンカー固定部材とを備え、
密封されたバリアが、
アンカー固定部材の一方側に位置する絶縁バリアの第1の部分上に配置された第1の波状の金属膜と、
アンカー固定部材の他方側に位置する絶縁バリアの第2の部分上に配置された第2の波状の金属膜と、第1および第2の複数のキャップとを備え、
第1の膜は、アンカー固定部材の長手方向に平行に配向され、アンカー固定部材上に配置された組み立て縁を有し、第1の膜の組み立て縁は、密封式にアンカー固定部材に溶接され、
第1の膜は、第1の組の平行な波状部および第2の組の平行な波状部を備えて波状になり、2つの組の波状部のそれぞれの方向は、交差し、第1の組の波状部は、第1の膜の組み立て縁と交差する方向に延び、第1の膜の第1の組の波状部の各々の波状部は、組み立て縁に沿って配置された第1の複数のキャップのキャップによって密封式に閉鎖され、
第2の膜は、アンカー固定部材の長手方向に平行に配向され、アンカー固定部材上に配置された組み立て縁を有し、第2の膜の組み立て縁は、密封式にアンカー固定部材に溶接され、
第2の膜は、第1の組の平行な波状部および第2の組の平行な波状部を備えて波状になり、2つの組の波状部のそれぞれの方向は交差し、第1の組の波状部は、第2の膜の組み立て縁と交差する方向に延び、第2の膜の第1の組の波状部の各々の波状部は、組み立て縁に沿って配置された第2の複数のキャップのキャップによって密封式に閉鎖され、
アンカー固定部材は、アンカー固定部材の長手方向に位置合わせされた矩形のアンカー固定プレートの組を備え、
密封されたバリアは、さらに、嵌合された波状連結構成要素の組を備え、この組の各々の嵌合された波状連結構成要素は、その2つの端部において閉鎖され、細長シェルを完全に取り囲む基部プレートまで降下する、ドームの形態の細長シェルを備え、
この組の各々のアンカー固定プレートは、2つの横断方向縁を備え、
第1の膜の組み立て縁は、アンカー固定部材に沿って切欠部の組を備えるように輪郭付けされ、
第2の膜の組み立て縁は、アンカー固定部材に沿って切欠部の組を備えるように輪郭付けされ、
第1の膜の切欠部および第2の膜の切欠部は、2つの隣接するアンカー固定プレート間の横断方向の境界面の位置合わせ内に配置され、横断方向の境界面を露出させ、
この組の各々の嵌合された波状連結構成要素は、2つのアンカー固定プレートの横断方向の境界面の領域内に配置され、それにより、細長シェルは、横断方向の境界面、第1の膜の対応する切欠部および第2の膜の対応する切欠部に重なり、
キャップの各々は、ドームの形態の終端波状部分を有する金属構成要素であって、キャップが閉鎖するそれぞれの波状部分に連結されるよう意図され、終端波状部分を取り囲む基部プレートまで降下する、金属構成要素を備え、
シェルの端部部分は、アンカー固定部材の横断方向に、第1の膜の方向に第1の膜の第1の組の波状部の終端波状部分を超えて、および第2の膜の方向に第2の膜の第1の組の波状部の終端波状部分を超えて延びる、密封され熱絶縁されたタンクを実現する。
【0014】
これらの特徴の結果、密封された膜は、密封作用のために波状部の閉鎖を保持しながら連続ゾーン内に可撓性を保持する。
【0015】
一実施形態によれば、細長シェルは、2つのキャップによって閉鎖された中央波状部を備え、キャップは、ドーム型の形態の終端波状部分を有し、中央波状部の端部に連結された金属構成要素を備える。
【0016】
これらの特徴の結果、連結構成要素は、波状部の特徴、特に、可撓性を有し、さらにこれは生み出すことが容易である。
【0017】
一実施形態によれば、細長シェルの中央波状部は、直線状である。
【0018】
一実施形態によれば、第1の膜および第2の膜は、角度αで交差する2つの平面を画定し、この場合、嵌合された波形の中央波状部は、ベローズによって分離された直線状の波状部分を備え、ベローズは、中央波状部の第1の部分の方向を、中央波状部の第2の部分の方向に角度αで戻す。
【0019】
これらの特徴の結果、二面体を形成する膜の2つの面の連結部に可撓性を保持することが可能である。
【0020】
一実施形態によれば、アンカー固定プレートの横断方向縁は、膜の第1の組の波状部に平行である。
【0021】
これらの特徴の結果、波状部方向に対して垂直な力が、膜の波状部および嵌合された連結構成要素によって一体的に吸収される。
【0022】
一実施形態によれば、膜の組み立て縁の切欠部は、組み立て縁に対して垂直に配向される。
【0023】
これらの特徴の結果、組み立て縁の方向に配向された応力が、膜の波状部および嵌合された波状連結構成要素の波状部が交互になるゾーン内に吸収される。
【0024】
一実施形態によれば、膜の組み立て縁の切欠部の組の切欠部の幅は、2つの隣接するアンカー固定プレート間の境界面の幅より大きく、切欠部の幅は、嵌合された波状連結構成要素の幅より小さい。
【0025】
これらの特徴の結果、切欠部の領域内の膜によって受け入れられる収縮は、2つのプレート間の境界面の幅によって限定されたアンカー固定部材のものより大きい。
【0026】
一実施形態によれば、膜の組み立て縁の切欠部は、2つの隣接するアンカー固定プレート間の境界面に平行である。
【0027】
これらの特徴の結果、膜は、切欠部の全深さにわたって同じ圧縮閾値を受け入れる。
【0028】
一実施形態によれば、嵌合された波状連結構成要素のシェルは、2つの周縁壁を備え、これらの壁は、その長さにわたって均一である壁間の間隔を有する。
【0029】
これらの特徴の結果、壁の直線ゾーン内の嵌合された波状連結構成要素の力に対する反応は、均一である。
【0030】
一実施形態によれば、膜の第1の組の波状部は、膜の組み立て縁に対して垂直である。
【0031】
これらの特徴の結果、密封された膜は、これがアンカー固定部材の長手方向の応力によって付勢されたときに最適な挙動を有する。
【0032】
一実施形態によれば、第1の膜の第1の組の波状部の各々の波状部は、第1の直線部分と、曲がり部と、第2の直線部分とを備え、この場合、曲がり部は、第2の直線部分を、アンカー固定部材と共に第1の膜の組み立て縁に対して垂直に配向することができる角度を有する。
【0033】
これらの特徴の結果、非直交の二面体を形成する2つの壁が接合されたとき、波状部は、2つの平面部における真っすぐな交差ラインおよびアンカー固定部材の長手方向配向に対して垂直に到達する。
【0034】
一実施形態によれば、第2の膜の第2の組の波状部の方向は、第1の膜の第2の組の波状部の方向に平行である。
【0035】
一実施形態によれば、膜の第1の組の波状部は、膜の組み立て縁に対して垂直であり、膜の第2の組の波状部は、膜の組み立て縁に平行である。
【0036】
これらの特徴の結果、第2の組の波状部は、組み立て縁と交差せず、この組み立て縁上で終端キャップを必要としない。さらに、2つの組の波状部は、応力を、膜によって画定された平面の全方向に支持することを可能にする膜の規則的かつ均一な格子を画定する。
【0037】
一実施形態によれば、第2の膜の第1の組の波状部の方向は、第1の膜の第1の組の波状部の方向に平行である。
【0038】
これらの特徴の結果、第1および第2の組の波状部による直交力に対する反応は、同一である。
【0039】
一実施形態によれば、膜の第1の組の波状部の波状部は、規則的な間隔で離間される。
【0040】
これらの特徴の結果、特に熱収縮力に対する膜の挙動は、膜のすべてにわたって一様である。
【0041】
そのようなタンクは、たとえば、LNGを貯蔵するための地上ベースの貯蔵設備の一部でよく、または、浮体式構造内に、海辺にまたは深海中に、特にメタンタンカー、浮体式貯蔵および再ガス化ユニット(FSRU)、海洋浮体式生成および貯蔵ユニット(FPSO)など内に設置されてよい。
【0042】
一実施形態によれば、低温液体製品の輸送用のタンカーは、二重外郭構造と、二重外郭構造内に配置された上記で述べられたタンクとを備える。
【0043】
一実施形態によれば、本発明はまた、そのようなタンカーに積み込むまたは積み下ろしするための方法であって、低温液体製品が、絶縁されたチャネルを通って、浮体式もしくは地上貯蔵設備から、または浮体式もしくは地上貯蔵設備まで、タンカーのタンクから、またはタンカーのタンクまで運ばれる、方法も実現する。
【0044】
一実施形態によれば、本発明はまた、低温液体製品の移送システムであって、上記で述べられたタンカーと、タンカーの外郭構造内に設置されたタンクを、浮体式または地上貯蔵設備に連結するように配置された絶縁チャネルと、低温液体製品の流れを絶縁されたチャネルを通して、浮体式もしくは地上の貯蔵設備から、または浮体式もしくは地上の貯蔵設備まで、タンカーのタンクまで、またはタンカーのタンクから駆動するためのポンプとを備える、移送システムも実現する。
【0045】
本発明の一部の態様は、膜の連結を生み出すために標準的な要素を使用することができるという概念に基づく。
【0046】
本発明の一部の態様は、一連ブロックを生み出す概念に基づき、一連ブロックは、工場内または船上構築現場上に装備され、キャリア構造体と、絶縁バリアと、密封された膜とを備え、このとき、キャリア構造の周囲ゾーンは、隣接するブロックとの溶接による組み立てのために自由にされている。本発明の一部の態様は、組み立てスペースを絶縁材で充填する2つのブロックの組み立ての後、次いで、密封された膜の閉鎖を実施するという概念に基づく。本発明の一部の態様は、相補的あそびが存在する場合でも、閉鎖構成要素の波形が2つの波形の間に配置されることを可能にするために、2つの隣接するブロックの膜間の膜の平面内に意図的なずれを生み出すという概念に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明は、非限定的な例証のみとして与えられた本発明のいくつかの特有の実施形態の以下の説明から、付属の図を参照することによって、より良好に理解され、その他の目的、詳細、特徴および利点が、より明確に認識される。
図1】平面的な連結ゾーン内のシーリング膜を示す概略平面図である。
図2図1によるタンク壁の断面図である。
図3図1の詳細の平面図である。
図4図3の断面A−Aに沿ったキャップの輪郭の詳細図である。
図5】1つが水平である、2つの壁のコーナ連結の概略的な切断斜視図である。
図6図5の絶縁バリアを位置決めするステップの概略斜視切断図である。
図7図5の第1の密封された膜を連結するステップの概略斜視切断図である。
図8図5の一部分の拡大図である。
図9】鉛直壁と傾斜壁の連結の概略斜視図である。
図10図9の鉛直壁の正面図である。
図11図9の詳細の正面図である。
図12】密封され熱絶縁されたタンクが設けられたメタンタンカーのタンクおよびこのタンクの積み込み/積み下ろしターミナルの概略切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
この説明では、重力場とは関係無く、上方、上側またはその上の用語は、タンクの内側に向かう部分を指すよう意図され、下方、下側またはその下の用語は、タンクの外側に向かう部分を指すよう意図される。
【0049】
図面に示されるさまざまに異なる変形形態では、同じ機能を実行する構成要素は、それらの生産がわずかに変更されていたとしても、同じ参照番号が与えられている。
【0050】
図1〜3を参照すれば、外側から内側にかけて、キャリア壁、絶縁バリア、およびシーリングバリアを連続的に備えるタンク壁が、説明される。図面を参照すれば、タンク壁の熱絶縁バリアの絶縁ブロックは、全体的に1で示されていることが見られ得る。この絶縁バリア1は、キャリア壁2上に載る。絶縁バリア1は、代替的に密封された膜と呼ばれ、全体的に4で示される密封されたバリアを支持する。密封されたバリア4は、平面的なアンカー固定部材3を介して絶縁バリア1に連結される。
【0051】
キャリア構造2からタンクの内側に向かう方向に、絶縁バリア1は、ポリウレタン発泡体タイプの熱絶縁材によって分離された合板の2つのプレートからなるサンドイッチ状のものである。平面的なアンカー固定部材3は、上側合板プレートに固定される。これらの平面的なアンカー固定部材3は、平面的なアンカー固定部材3を部分的に覆う金属シート5の縁の溶接を可能にするために、密封されたバリア4を形成する金属シート5および6の縁の領域内に配置される。
【0052】
金属シート5は、ある一定の可撓性を、応力を受けるシーリングバリア上に与える波状部7を備える。その理由は、たとえば、タンカーのビームの伸長、または貯蔵された低温液体の温度の結果生じる収縮などのシェル変形など、それが、この膜のアンカー固定力を限定するものであれ、または例外的な応力を吸収するものであれ、比較的可撓性の膜を有することが有利であるためである。タンカービームの熱収縮および伸長中、波形は広がり、締結ゾーン上にあまり応力をかけない。とりわけ、これは、外郭構造上の膜の強固なアンカー固定の要求事項を解消する。
【0053】
これらの波状部7は、金属シート5の一方の縁から対向する縁まで延びる。平面的なアンカー固定部材のゾーン内では、波状部7は、キャップ9と称される終端要素によって遮られる。これらのキャップ9を使用して、波状部7は、密封された膜4の密封作用を金属シート5および波状部7の縁ゾーン内で確実にするために、密閉して閉鎖される。
【0054】
金属シート5と同じようにして、金属シート6は、平面的なアンカー固定部材3を部分的に覆う。さらに、金属シート6の縁17は、組み立てゾーン内で金属シート5の縁に重なる。このようにして、金属シート6の縁は、平面的なアンカー固定部材3および金属シート5に適合し、金属シート5の厚さを重なりゾーン14内で補償することを可能にする凹部15を備える。2つの金属シート5および6は、接触している部分内で密封式に一緒に溶接される。生産のために、金属シート6は、型打ちされたストリップを有し、この型打ちされたストリップは、隣接する金属シート5の縁を覆うために、内側に向かって金属シート6の平面に対して厚さの方向にずらされる。
【0055】
金属シート6もまた、金属シート6の全長にわたって直線状の波状部8を備える。波状部8は、金属シート5の波状部7に類似する。その理由は、これらが、波状部7のものと同じ機能を実行するためである。これを達成するために、これらの波状部8は、タンクの壁の表面全体にわたって膜の挙動の連続性および一様性を確実にすることができるように、波状部7に平行に配向される。さらに、各々の波状部8は、波状部8と波状部7との位置合わせをせずにすますことを可能にするために、2つの波状部7間に配置される。2つの波状部7間の距離になるピッチをとり、波状部8は、好ましくは、波状部7に対して半ピッチだけずらされる。最後に、波状部7と同じやり方で、波状部8は、キャップ10を用いて閉じられ、密封された膜4の密封作用を確実にする。
【0056】
力の吸収の連続性を確実にするために、金属シート5および6の連結ゾーン内では、各々のキャップ9は、波状部7を、金属シート5の縁16を超えて2つの波状部8間に延ばす。これを達成するために、キャップ9は、金属シート5および6によって覆われない平面的なアンカー固定部材3の開口13を形成する空間内に、平面的なアンカー固定部材3と適合し、これと接触する周囲基部18を備える。周囲基部18は、さらに、金属シート5の平面的な部分20に重なる。さらに、キャップ9は、波状部分11を備え、波状部分11は、一方側において金属シート5の波状部7と適合し、金属シート5から外方に金属シート6に向かって配向される方向に周囲基部まで漸進的に降下する。キャップ9のこの終端部は、ドームのタイプを形成する。一変形形態では、平面的な切断面のものなどの終端部の他の形態が、採用され得る。
【0057】
キャップ9と同じやり方で、各々のキャップ10が、波状部8を、金属シート6の縁17を超えて2つの波状部8の間に延ばす。このようにして、組み立て縁の配向にしたがって、2つの隣接する金属シート5および6の組み立てゾーン内で密封された膜上で力を受けることができる波状部の密度を増大させる、波状部7および8の重なりが存在する。
【0058】
次に、キャップ10が、図4を参照して説明される。キャップ9と同じやり方で、キャップ10は、重なりゾーン14の一方側およびその他方において、金属シート5および6上に載る周囲基部21を備える。キャップ10は、波状部分11を備え、波状部分11は、金属シート6の波状部8に適合され、これもまたドーム、アーチまたはキュポラとも呼ばれる終端キャップ19を形成するために周囲基部21まで低下する。
【0059】
キャップ9および10の成形は、折り畳みによってまたは型打ちによって得られる。
【0060】
再度図1から3を参照すれば、金属シート5および6それぞれ上の波状部7および8に対して垂直である波状部7bおよび8bの存在を見ることがさらに可能である。波状部7bおよび8bは、波状部7および8に類似する、またはこれと同一である特徴を有する。波状部7および8それぞれと対にされるこれらの波状部7bおよび8bは、特にシーリング膜によって構成される平面内で、全方向に力を支持する機能を実行する。
【0061】
金属シート6は、さらに、縁17の輪郭部上に、金属シートの厚さの方向の凹部に加えて切欠部12を有し、切欠部12は、キャップ9を取り囲み、金属シート5の波状部7と位置合わせして配置される。これらの切欠部12は、波状部8と交互に配置される。
【0062】
これらの切欠部12は、金属シート5およびキャップ9の組み立て後に絶縁バリア1上に置かれる金属シート6の組み立てを容易にするよう意図される。切欠部12はまた、金属シート5と6の間の位置合わせの相違を可能にするよう意図される。切欠部12の切断部の寸法は、キャップ9と切断部の縁との間に十分なあそびを提供するように生み出される。このあそびは、同じ切断部を金属シートのすべてに対して生み出すことを可能にし、過剰に厳しい許容差の結果、膜が使用されるときの位置合わせの問題を防止する。
【0063】
その理由は、タンクの構築が、複数の手順によってもたらされ得るためである。たとえば、キャリア構造からタンクの内側にかけて絶縁バリア1によって部分的に覆われるキャリア構造2と、密封されたバリア4とを備える事前製作されたブロックが、構築現場に配置される。事前製作されたブロックの周囲ゾーンは、キャリア構造の2つのブロックの組み立て作業、つまりシーリングの溶接および検証のためにアクセスできるように残される。次いで、周囲ゾーンは、絶縁材で充填され、密封された膜6によって覆われる。一変形形態では、キャリア構造は、構築現場で一体的に組み立てられる。その後、絶縁膜1、次いで、密封された膜4が、キャリア構造の内側面上に配置される。作業は、タンク壁の一方の端部から各々が開始する2つのチームを用いる介入によって最適化され得る。これら2つの例が示すように、絶縁膜の2つの金属シートの波状部を連結するために必要とされる正確な位置合わせを確実にすることは複雑である。一方向または他方向に最大2cmの位置合わせの横断方向の相違に遭遇することが通常である。このようにして、切欠部12は、平面的なアンカー固定部材3の長手方向に+−2cmの位置決め相違の許容差を可能にするようにサイズ設定される。
【0064】
金属シート5および6ならびにキャップ9および10は、折り畳みまたは型打ちによって成形された、ステンレス鋼またはアルミニウムの金属シートから生み出される。他の金属または合金も可能である。例として、金属シート5および6は、約1.2mmの厚さを有する。金属シート5および6の厚みが、そのコストの増大をもたらし、波状部の剛性を全体的に増大させることを考慮しながら、他の厚さもまた、企図され得る。
【0065】
事前製作される実施形態では、波状部7は、好ましくは、工場内の組み立て中に最終化される。タンクの長さ内で密封されたバリア4の長さを調整するために、波状部の閉鎖部の反対側の長さを適切な長さに切断することが可能である。
【0066】
一変形形態では、平面的なアンカー固定部材3は、密封式にキャリア構造に溶接された閉鎖戻り部材を備える。この閉鎖部は、ブロックの事前組み立てされた部分の密封作用を、構築現場において組み立てる前に工場内で試験することを可能にする。
【0067】
図5から8を参照すれば、次に、キャリア構造2が、角度αを形成する2つの面からなる実施形態が、差別化によって説明される。2つの面は、絶縁バリア1およびシーリングバリア4によって覆われる。
【0068】
その原理は、膜の正常な作動に必要な可撓性を保持しながらも面間の波の連続性を解消することである。
【0069】
絶縁バリア1は、たとえば、木材がたとえば蒲材である、合板の2つのプレート間に係合されたポリウレタン発泡体からなるサンドイッチ状のものである。アンカー固定部材3は、タンクの内側に向かって配向された合板プレートに固定される。
【0070】
シーリングバリア4は、二面体を形成する非同一平面の金属シート5および嵌合された波状連結構成要素25からなる。金属シート5は、キャリア構造2の2つの面をたどる。金属シート5は、アンカー固定部材3に溶接される。
【0071】
キャリア構造2の2つ面の連結接合部の領域内に配置されたアンカー固定部材3は、金属プレート30の組からなる。これらのプレート30は、二面体を形成し、その2つの平面間の角度は、キャリア構造2の二面体の2つの面の間に存在する同じ角度αである。プレート30は、アンカー固定部材の長手方向に位置合わせされる。2つの隣接するプレート30各々は、2つのプレート30間に境界面を構成する横断方向縁を有する。この境界面では、空隙33が、アンカー固定部材から長手方向に弾性を得るために設けられる。一変形形態では、境界面における縁は、接触しているまたは溶接される。
【0072】
各々のアンカー固定プレートの2つの横断方向縁は、アンカー固定部材の長手方向に垂直に、すなわち、金属シート5の波状部7と概ね平行に配置される。プレートの境界面は、さらに、金属シート5の2つの隣接する波状部7間に配置される。
【0073】
アンカー固定部材3に対する金属シート5の連結は、キャップ24によって閉鎖される波状部を有する縁取り金属シート35と共に生み出される。キャップ24は、金属シート35に溶接される。一変形形態では、キャップ24は、キャップ9を備えた図1の実施形態の原理にしたがって金属シート35およびプレート30をまたぐように装着される。さらに、縁取り金属シート35の縁の輪郭部は、波形7と交互である切欠部34を備える。これらの切欠部34およびプレート30の境界面は、全体的に位置合わせされる。これらの切欠部34は、得られた弾性を、アンカー固定部材3に対するシーリングバリア4の連結領域内の空隙33を用いて保持することを可能にする。
【0074】
最後に、シーリング作用を最終化するために、嵌合された波状連結構成要素25は、2つのプレートの境界面および互いに面する2つのプレートの切欠部34の領域内に配置される。
【0075】
嵌合された波状連結構成要素25は、ある程度の弾性を密封されたバリア4に対して確実にすることを可能にする形状を有する。アンカー固定部材3との連結部分内で、可撓性の連続性を確実にし、密封されたバリア4の弾性を保持するために、波状部7の端部部分は、ゾーン37内で連結構成要素25の一部分と交互になる。図8のこのゾーンが、例として示される。その理由は、これが、金属シート5とアンカー固定部材3の間に生み出された連結部の縁全体を、このアンカー固定部材3の一方側および他方において覆うことを理解することが有利であるためである。このようにして、シーリングバリア4は、アンカー固定部材3の領域内で力を受けることができる。
【0076】
波状連結構成要素25の形状は、力をタンクのコーナ内で受け入れることを可能にするように意図された、角度αを有するベローズ27を用いて接合された2つの上を向いたシェル29のものである。そのような連結構成要素を生み出すために、すべての折り畳みおよび型打ち手段が使用され得る。2つのシェル各々は、一体型で生み出されてよく、または直線状の波形部分26に溶接されたキャップ28を備えて生み出されてよい。次いで、これらに、角度αの値に適応されたベローズ27が組み付けられる。
【0077】
この配置は、これ以上連結される波形は存在しないため、面間のより大きい位置決め許容差を可能にする。
【0078】
そのようなタンクの二面体を形成する壁の組み立てが、次に、図6から開始して説明され、ここでは、キャリア構造2の2つの面は、工場内で事前装備されており、または絶縁膜1および絶縁ブロックを部分的に覆う金属シート5を有するシーリング膜4が、構築現場に設けられる。特にキャリア構造面2によって構成された各々のブロックにおける周囲ゾーンは、2つの隣接する面の溶接作業を可能にするために何もないままにされる。
【0079】
次いで、第1の絶縁コーナブロック31が、キャリア構造2上に置かれる。このブロックには、アンカー固定部材3が設けられる。図7に移ると、絶縁コーナブロック31の一方側および他方側では、絶縁コーナブロック31の組み立てに必要なあそびをとるためのブロック32が設置されることが見られ得る。シーリング膜は、膜4の連続性を確実にする金属シート5を、アンカー固定部材3のプレート30に重なるまで追加することによって補強され得る。金属シート5と各々のプレート30の間の溶接された組立体は、密封式に生み出される。
【0080】
最後に、連結構成要素25が、2つのプレート30間の境界面のシーリング作用を覆い、確実にするために、同じやり方で溶接される。連結構成要素25は、切欠部34の領域内で、2つのプレート30、および2つのプレート30の境界面および金属シート5に重なる。
【0081】
一変形形態では、アンカー固定部材3を覆う金属シート5の縁は、切欠部34を備えない。
【0082】
一変形形態では、キャリア構造2の2つの面は、同一平面上にある。アンカー固定部材3を構成するプレート30は、そのため平面であり、連結構成要素25は直線状であり、ベローズを備えない。連結構成要素25は、このとき、単一の型打ち部分内に生み出され得る。
【0083】
図9から11を参照すれば、傾斜壁と鉛直壁の連結が、次に、説明される。これまでのように、壁は、絶縁バリア1を覆う金属シート5によって構成される。これらの金属シート5は、波状部7および7bを備える。他の実施形態のように、壁90上に配置された金属シート5の波状部7と傾斜壁91上に配置された金属シート5の波状部との位置合わせが、問題となる。その理由は、壁90の金属シートの波状部間のピッチと壁91の金属シートの波状部のピッチが、水平に対してスロープとも呼ばれる壁91の傾斜にしたがって適応されることを最初に必要とするためである。このとき、波状部の連結に対する正確な位置合わせを確実にすることが必要である。最後に、連結ゾーン内では、膜によって吸収された力は、アンカー固定部材の長手方向に配向される。その結果、連結ゾーン内では、最適な効率性のためにアンカー固定部材の長手方向に対して垂直方向の波状部を有することが有利である。2つの壁の金属シート間の波状部の格子ピッチを適応させることにより、アンカー固定部材の長手方向に対する波状部の垂直配向の基準は、遵守されない。
【0084】
図9の図では、壁91は、タンクの基部92と共に135°の角度を形成する。スロープ上の波状部のピッチは、480.8mmである。鉛直方向壁90上では、水平の波状部7が、135°の同じ角度によって向け直される。この目的を達成するために、角度戻り構成要素94が、縁96を介して、金属シート5と連続して溶接される。これは、縁98を介してアンカー固定部材3に溶接される。
【0085】
縁98は、アンカー固定部材3の長手方向に全体的に平行である。
【0086】
角度戻り構成要素94は、波状部7が、波状部99を用いて角度93にしたがって延ばされることを可能にする。波状部99は、波状部7の方向を、壁90の平面内で135°である角度93にしたがって向け直す。
【0087】
金属シート5に対する連結の密封作用を確実にするために、キャップ100が波状部7bを閉鎖する。波状部99を用いる戻り部およびキャップ100は、2つの面間の独立性が確実にされることを可能にする。可撓性は、波状部の重なりによって確実にされる。
【0088】
切欠部34は、アンカー固定部材3と共に組み立て縁98の輪郭部上に配置される。これらの切欠部34は、先行する実施形態と同じ特徴および機能を有する。アンカー固定部材3の2つのプレート間の境界面の領域内に配置されたこれらの切欠部34は、密封作用を確実にするために嵌合された波状連結構成要素25によって覆われる。ベローズ27の角度は、135°であり、これは、2つの壁90と91の間の角度に対応する。
【0089】
角度戻り部94、金属シート5およびアンカー固定部材3は、密封式に溶接される。
【0090】
したがって、この実施形態はまた、解離された面間の大きな許容差を伴った組み立ても確実にする。
【0091】
一変形形態では、角度93は、床部に対して、スロープの傾斜にしたがって適合される。たとえば、これは、角度戻りが、135°、161.6°、170.6°または173.7°の値を有して実施されることを可能にする。
【0092】
一変形形態では、波状部を生み出すための任意の他の格子ピッチ、たとえば、他のピッチと組み合わされるまたはタンクの面のすべてにわたって同一である、340mmのピッチが、使用され得る。
【0093】
連結のこの方法はまた、タンクの屋根からタンクの基部に向かう傾斜壁に対して使用され得る。これは、タンクの外形の選択において大きな自由度を可能にする。
【0094】
実施形態のすべては、事前製作される副組立体を工場内で生産し、構築現場で組み立てを実施することができることを可能にし、それによって現場での手動溶接作業を限定する。これは、実施される必要がある正確な調整の問題を解消することを可能にする。
一変形形態では、波状部の閉鎖は、キャップと置き換わる任意の他の手段によって得られ得る。
【0095】
膜の実装およびより詳細には膜の溶接のために、自動式の溶接ロボットの使用が可能である。その理由は、適応された形状は、連続溶接が平面的な表面上で生み出されることを可能にするためである。連結溶接作業は、したがって、溶接ロボットによって、溶接トーチの適応された進路を伴って迅速に実施され得る。他の溶接作業は、生産準備段階中に実施され得る。したがって、従来の溶接ロボットによって生み出され得る2つの連結膜間の連結溶接部だけが残る。
【0096】
シーリング膜を生成するための上記で説明される技術は、たとえば、地上設備内で、またはメタンタンカーなどの浮体式構造内でLNG容器の一次シーリング膜を構成するために、さまざまに異なるタイプの容器内において使用され得る。
【0097】
図12を参照すると、メタンタンカー70の切断図は、タンカーの二重外郭構造72内に装着された全体的に角柱形態の密封され絶縁されたタンク71を示す。タンク71の壁は、タンク内に含有されたLNGと接触するよう意図された一次の密封されたバリアと、一次の密封されたバリアとタンカーの二重外郭構造72との間に配置された二次の密封されたバリアと、一次の密封されたバリアと二次の密封されたバリア、それぞれとの間、および二次の密封されたバリアと二重外郭構造72との間に配置された2つの絶縁バリアとを備える。
【0098】
それ自体知られているやり方で、タンカーの上側ブリッジ上に配置された積み込み/積み下ろしチャネル73が、適切なコネクタを用いて、LNGの積み荷をタンカー71からまたはタンカー71まで移送するために海上または港のターミナルに連結され得る。
【0099】
図12は、積み込みおよび積み下ろしステーション75と、海中導管76と、地上設備77とを備える、海上ターミナルの例を示す。積み込みおよび積み下ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78とを備える固定された海洋設備である。可動アーム74は、積み込み/積み下ろしチャネル73に連結され得る可撓性の絶縁された管79の束を担持する。配向され得る可動アーム74は、すべてのゲージのメタンタンカーに適応される。図示されない連結導管が、タワー78の内側を延びる。積み込みおよび積み下ろしステーション75は、メタンタンカー70の地上設備77からの積み込みおよび地上設備77への積み下ろしを可能にする。これは、液化ガス用の貯蔵タンク80と、海中導管76を介して積み込みまたは積み下ろしステーション75に連結された連結導管81とを備える。海中導管76は、液化ガスが、積み込みまたは積み下ろしステーション75と地上設備77の間を、大きな距離、たとえば5kmにわたって移送されることを可能にし、それによって、メタンタンカー70を、積み込みおよび積み下ろし作業中、海岸から大きな距離を離して保つことを可能する。
【0100】
液化ガスの移送に必要とされる圧力を生み出すために、タンカー70上に搭載されたポンプ、および/または地上設備77に設けられたポンプ、および/または積み込みおよび積み下ろしステーション75に設けられたポンプが使用される。
【0101】
本発明は、いくつかの特有の実施形態に関連して説明されてきたが、これが、それらに限定されず、これが、説明された手段のすべての等価の技術および本発明に含まれる場合のそれらの組み合わせを含むことが、はっきりと明白である。
【0102】
動詞「備える」、「含有する」、または「含む」、およびそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲において記載されたもの以外の要素またはステップの存在を排除しない。1つの要素またはステップに対する不定冠詞「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、別途記載されない限り、複数のそのような要素またはステップの存在を排除しない。
【0103】
特許請求の範囲において、括弧内の任意の参照番号は、特許請求の範囲の限定であると解釈されてはならない。
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図12