(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2つのピアトランシーバがそれぞれのオフ電力状態に全く切り換わるのと同時に、ベクタリンググループの内部のクロストークを軽減するために、そのように特徴付けられたクロストークに基づきベクタリングプロセッサ(120)を構成するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
クロストーク(または、チャネル間干渉)は、デジタル加入者線(DSL)通信システムなどの、多入力多出力(MIMO)有線通信システムに対するチャネル障害の主な原因である。
【0003】
より高いデータ速度に対する需要が高まるにつれて、DSLシステムは、より高い周波数帯域に向かって進展しているのであるが、その場合、隣接する伝送回線(すなわち、ケーブルバインダにおける銅ツイストペアなど、その長さの一部または全部にわたり近接している伝送回線)の間のクロストークが、より多く報告されている(周波数が高ければ高いほど、より多くの結合が生じる)。
【0004】
クロストークを軽減させるために、そして、実効スループットと到達範囲と回線の安定性とを最大化するために、種々の戦略が開発されてきた。これらの技術は、静的または動的なスペクトル管理技術から、マルチユーザ信号調整(または、ベクタリング)へ、徐々に進化している。
【0005】
チャネル間干渉を低減させるための一つの技術として、合同信号プリコーディングがある:これは、伝送データシンボルが、それぞれの通信チャネル上を伝送される前に、合同してプリコーダを通過されるというものである。プリコーダは、プリコーダと通信チャネルとが連結される結果として、受信機においてチャネル間干渉がほとんどまたは全く生じないようになっている。
【0006】
チャネル間干渉を低減させるための別の技術として、合同信号後処理がある:受信されたデータシンボルは、検出される前に、合同してポストコーダを通過される。ポストコーダは、通信チャネルとポストコーダとが連結される結果として、受信機においてチャネル間干渉がほとんどまたは全く生じないようになっている。
【0007】
ベクタリンググループ、すなわち通信回線の組であって、その信号が合同して処理されるような組を選択することは、良好なクロストーク軽減性能を実現するために、相当に重要である。ベクタリンググループの内部において、各通信回線は、グループの他の通信回線へのクロストークを誘起する妨害回線とみなされ、その同じ通信回線が、グループの他の通信回線からのクロストークを受け取る被妨害回線とみなされる。ベクタリンググループに属さない回線からのクロストークは、外部ノイズとして扱われ、打ち消されない。
【0008】
理想的には、ベクタリンググループは、物理的かつ顕著に相互作用する通信回線の組全体と一致すべきである。しかし、(国の規制政策によって課される)ローカルループのバンドリング解除および/またはベクタリング能力の制約のために、そのような網羅的なアプローチが実現不可能なことがあり得るのであって、その場合には、ベクタリンググループは、物理的に相互作用する全回線のうちの部分集合のみを含むことになり、これにより、ベクタリングゲインは限定的となる。
【0009】
信号ベクタリングは、アクセスノードの内部で実行されるのが典型的であるが、アクセスノードでは、ベクタリンググループの全ての通信回線上を同時に伝送される、またはベクタリンググループの全ての通信回線から受信される全てのデータシンボルが利用可能である。たとえば、信号ベクタリングは、デジタル加入者線アクセスマルチプレクサ(DSLAM)の内部で実行されるのが有利であるが、このDSLAMは、中央局(CO)に配備されるか、または、加入者構内により近い、ファイバがフィードされるリモートユニットとして配備される(路上キャビネット、電柱キャビネット、建造物キャビネットなど)。信号プリコーディングは(カスタマ構内への)下り通信に特に適しており、他方で、信号後処理は(カスタマ構内からの)上り通信に特に適している。
【0010】
線形信号のプリコーディングおよび後処理は、行列の積によって実装するのが有利である。
【0011】
たとえば、線形プリコーダは、送信周波数サンプルのベクトルとプリコーディング行列との行列積を実行するのであるが、プリコーディング行列は全体チャネル行列が対角化されるようなものであり、これは、全体チャネルの対角線方向以外の係数が、すなわちチャネル間干渉が、ほとんどゼロになるまで減少することを意味する。実際には、1次近似として、プリコーダは、それぞれの妨害回線からの実際のクロストーク信号により受信機において弱め合う干渉を生じさせる逆位相クロストーク前置補償信号を、被妨害回線上で直接信号と共に重ねあわせる。
【0012】
同様に、線形ポストコーダは、受け取られた周波数サンプルのベクトルとクロストーク打消し行列との行列積を実行するのであるが、クロストーク打消し行列は、全体チャネル行列がやはり対角化されるようなものである。
【0013】
したがって、実際のクロストークを適切に軽減させるためには、それぞれのクロストーク結合の正確で最新の推定値を得ることが最も重要である。
【0014】
国際電気通信連合(ITU)によって2010年4月に採用され、「Self−FEXT Cancellation(Vectoring)For Use with VDSL2 Transceivers」、ref.G.993.5と称される勧告では、トランシーバは、いわゆるSYNCシンボル上に、下り方向および上り方向のパイロットシーケンスを送るように構成されており、これは、256個ごとのDATAシンボルの後に、周期的に生じる。所与の被妨害回線では、トーンごとまたはトーンのグループごとに特定のSYNC信号に対して測定されたスライサエラー(または、受信エラーベクトル)の実部および虚部の両方を含むエラーサンプルが、さらなるクロストークの推定値のために、ベクタリングコントローラに報告される。エラーサンプルは、所与の妨害回線上を伝送される所与のパイロットシーケンスと、その妨害回線からのクロストーク係数を得るために、相関される。他の妨害回線からのクロストークの寄与を排除するため、パイロットシーケンスは、たとえば、「+1」および「−1」という逆位相シンボルを含むウォルシュ−アダマールシーケンスを用いることによって、相互に直交するように構成される。クロストークの推定値は、プリコーディング行列またはクロストーク打消し行列の係数を初期化または更新するために用いられる。
【0015】
勧告G.993.5による直交パイロットシーケンスは、非常に有効であり、クロストークチャネル(初期化)または残存クロストークチャネル(トラッキング)に関し、正確でバイアスのない推定値を常に生じる。しかし、次世代の銅アクセスのためのより広い送信スペクトルを用いる場合には、2次的な効果が生じ始めている。
【0016】
たとえば、ベクタリンググループの回線がシャットダウンし、対応するトランシーバが伝送媒体から切断されると、停止された回線上のインピーダンスの変化が、ベクタリンググループの他の依然としてアクティブな回線の間で、クロストークチャネルの顕著な変化を誘起させる。実際、キャリア周波数が上昇すると、2次的なクロストーク、すなわち妨害回線から停止された回線へそしてまた別の被妨害回線に戻るクロストークが、もはや無視できない。停止された回線において、インピーダンスが、公称の低い値(典型的には、100オーム)から高い値(典型的には、数千オームから開放インピーダンスまで)に変化すると、停止された回線へのおよび停止された回線からのクロストーク結合が変化し、それにより、ベクタリンググループの他の依然としてアクティブな回線上に、何らかの残存クロストークが生じる。したがって、新たな残存クロストークチャネルを特徴付けるためには、スーパーフレーム数個分の間だけ存続する新たなクロストーク取得ラウンドが、1つまたは複数の回線が停止された後で、生じることが必要である。他方で、他の依然としてアクティブな回線上の通信は、この残存クロストークによって著しく障害を受け、これは、ユーザの経験に影響を与え、回線再トレーニングに至ることさえあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ベクタリンググループにおける通信回線の整然とした退去を改善することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様によると、ベクタリンググループの一部を形成する特定の通信回線上の通信を停止させるための方法は、特定の加入者回線に結合された2つのピアトランシーバの間に確立された通信経路が整然と停止されるようにする、退去イベントを検出するステップを含む。方法は、退去イベントの検出に続く切断前フェーズの間に、2つのピアトランシーバを、第1のシンボル位置の間にはそれぞれのオフ電力状態に切り換え、第2の残りのシンボル位置の間にはそれぞれのオン電力状態に切り換えるステップと、通常のデータ通信があればそのために第2のシンボル位置が用いられる一方で、第1のシンボル位置の間に、ベクタリンググループの内部でのクロストークを特徴付けるステップと、クロストークの特徴付けが終了した後に、2つのピアトランシーバをそれぞれのオフ電力状態に全く切り換えるステップと、をさらに含む。
【0020】
本発明の一実施形態では、トランシーバのオン電力状態は、給電されているトランシーバの送信および受信経路と、伝送媒体の特性インピーダンスに近い公称負荷インピーダンス値とによって特徴付けられ、トランシーバのオフ電力状態は、オフに切り換えられているトランシーバの選択されたまたは全てのアクティブな構成要素と、さらなる負荷インピーダンス値とによって特徴付けられる。
【0021】
本発明の一実施形態では、さらなる負荷インピーダンス値は、2つのピアトランシーバの少なくとも一方に対する公称負荷インピーダンス値と異なる。
【0022】
本発明の一実施形態では、方法は、2つのピアトランシーバがそれぞれのオフ電力状態に全く切り換わるのと同時に、ベクタリンググループの内部のクロストークを軽減するためにそのように特徴付けられたクロストークに基づき、ベクタリングプロセッサを構成するステップを、さらに含む。
【0023】
本発明の一実施形態では、ベクタリンググループの内部でのクロストークを特徴付けるステップは、ベクタリンググループの妨害回線上で一連のクロストークプロービングシンボルを第1のシンボル位置の間に送信するステップと、クロストークプロービングシンボルが送信されている間に、ベクタリンググループの被妨害回線上のクロストーク干渉を測定するステップと、測定されたクロストーク干渉に基づき、妨害回線から被妨害回線へのクロストークチャネルを特徴付けるステップと、を含む。
【0024】
本発明の一実施形態では、検出された退去イベントが2つのピアトランシーバの一方によって発行された切断前メッセージであることにより、通信経路が事実上切り離される前に予備的なステップが取られる。
【0025】
本発明の別の態様によると、ベクタリンググループの特定の通信回線上において、ピアトランシーバとの通信経路を動作させるトランシーバは、通信経路が整然と停止されるための退去イベントの検出に続く、切断前フェーズの間に、第1のシンボル位置の間にはオフ電力状態に、第2の残りのシンボル位置の間にはオン電力状態に切り換わるように構成される。第1のシンボル位置は、ベクタリンググループの内部でのクロストークの特徴付けのために用いられ、第2のシンボル位置は、通常のデータ通信があればそのために用いられる。トランシーバは、クロストークの特徴付けが終了した後には、オフ電力状態に全く切り換わるようにさらに構成される。
【0026】
トランシーバをさらに特徴付ける実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0027】
このようなトランシーバは、アクセス設備上において、加入者デバイスと共に、有線通信サービスをサポートする、DSLAM、イーサネット(登録商標)スイッチ、エッジルータなど、アクセスノードの一部を形成し得、COに、または、加入者構内(により近いファイバがフィードされるリモートユニットとして、設置され得る(路上キャビネット、電柱キャビネット、建造物キャビネットなど)。
【0028】
あるいは、そのようなトランシーバは、DSLゲートウェイやDSLルータなどの加入者ループ上において、アクセスノードと共に、有線通信サービスをサポートする顧客宅内機器(CPE)の一部を形成し得る。
【0029】
基本的な思想は、ピアトランシーバを、特定のシンボル位置の間にそれらのインピーダンスを切り換えるように構成する、ということである。実際のトランシーバの切断に先行するいわゆる切断前フェーズの間に、2つのピアトランシーバは、通常のDATAシンボルの間、それらのオンインピーダンス値(伝送媒体の特性インピーダンスに近い公称インピーダンス値)を維持することにより、ベクタリンググループの他の依然としてアクティブな回線上のデータ通信を損なわないようにして、しかし、ベクタリングコントローラが新たに訪れるクロストーク環境を適切に推定することを可能にするという目的だけのために、SYNCシンボルの間、そのそれぞれのオフインピーダンス値(公称インピーダンス値と比較すると高いインピーダンス値であるのが典型的である)に切り換わる。
【0030】
いったんクロストークの特徴付けが終了すると、両方のトランシーバが、所与のシンボル以降から、全てのそれ以降のシンボル(DATAおよびSYNCシンボルの両方)のために、それらのオフインピーダンス値に切り換わる。ベクタリングコントローラは、停止された回線上でのインピーダンスの変化によって生じた残存クロストークがいかなる過渡的な障害も生じさせることなくアクティブな回線上では適切に軽減されるように、ベクタリングプロセッサがその所与のシンボル以降からの新たなクロストークの推定値を用いて構成されていることを、確認する。
【0031】
添付の図面と共に実施形態に関する以下の説明を参照することにより、本発明の上述したおよび他の目的および特徴がより明らかになり、本発明自体が最もよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、アクセス設備1が示されており、このアクセス設備1は、COにおけるネットワークユニット10と、1つまたは複数の光ファイバを経由してネットワークユニット10に結合され、さらに銅ループ設備を経由して様々な加入者構内における顧客宅内機器(CPE)30に結合された遠隔配備されたアクセスノード20とを備えている。
【0034】
銅ループ設備は、加入者回線が相互に近接していることにより、相互へのクロストークを誘起させる共通アクセスセグメント40と、加入者構内への最終的な接続のための弱い相互作用を伴う専用ループセグメント50とを備えている。伝送媒体は、典型的には、銅の非シールドツイストペア(UTP)で構成される。
【0035】
アクセスノード20は、共通アクセスセグメント40の内部で誘起されるクロストークを軽減し、それぞれの加入者回線上で達成可能な通信データ速度を上昇させるために、ループ設備上を伝送されているまたはループ設備から受信されているデータシンボルを合同して処理するためのベクタリングプロセッサを備えている。
【0036】
図2には、本発明によるアクセスノード100が示されているが、このアクセスノード100は、N本のそれぞれの伝送回線L
1からL
Nを通過して本発明によるN個のCPE200
1から200
Nに結合されており、伝送回線L
1からL
Nは、同じベクタリンググループの一部を形成すると仮定される。
【0037】
アクセスノード100は:
− N個のDSLトランシーバ110
1から110
Nと、
− ベクタリング処理ユニット(またはVPU)120と、
− VPU120の動作を制御するためのベクタリング制御ユニット(またはVCU)130と、
− 動作及び保守(O&M)コントローラ140と、
を備える。
【0038】
トランシーバ110は、個別的に、VPU120と、VCU130と、O&Mコントローラ140とに結合される。VCU130は、さらに、VPU120に結合される。O&Mコントローラ140は、さらに、VCU130に結合される。
【0039】
トランシーバ110は:
− デジタル信号プロセッサ(DSP)111と、
− アナログフロントエンド(AFE)112と、
をそれぞれ備える。
【0040】
CPE200は:
− DSLトランシーバ210と、
− O&Mコントローラ220と、
をそれぞれ備える。
【0041】
トランシーバ210は、O&Mコントローラ220に結合される。
【0042】
DSLトランシーバ210は:
− デジタル信号プロセッサ(DSP)211と、
− アナログフロントエンド(AFE)212と、
をそれぞれ備える。
【0043】
AFE112および212は、デジタルアナログコンバータ(DAC)およびアナログデジタルコンバータ(ADC)と、帯域外の干渉を排除しながら信号エネルギーを適切な通信周波数帯域の範囲内に制限するための送信フィルタおよび受信フィルタと、送信信号を増幅し伝送回線を駆動するためのラインドライバと、受信信号を可能な限り僅かなノイズで増幅するための低ノイズ増幅器(LNA)とをそれぞれ備える。
【0044】
AFE112および212は、低い送信機受信機結合比を達成しながら送信機出力を伝送回線に結合し伝送回線を受信機入力に結合するためのハイブリッドと、伝送回線の特性インピーダンスに適応するためのインピーダンス整合回路と、絶縁回路(典型的には、変圧器)とをさらに備える。時分割複信(TDD)動作の場合には、送信機と受信機とが交互モードで動作するときには、ハイブリッドが除去され得るのが有利である:すなわち、これは、送信回路がアクティブである間、受信回路がオフに切り換えられ(または、受信信号が廃棄される)、それとは逆に、受信回路がアクティブである間、送信回路がオフに切り換えられるというモードである。
【0045】
DSP111および211は、下りおよび上りのDSL通信チャネルを動作させるように、それぞれ構成されている。
【0046】
DSP111および211は、診断または管理コマンドや応答などのDSL制御トラフィックを転送するために用いられる下りおよび上りのDSL制御チャネルを動作させるように、さらに構成されている。制御トラフィックは、DSLチャネル上で、ユーザトラフィックと多重化される。
【0047】
より詳しくは、DSP111および211は、ユーザおよび制御データをデジタルデータシンボルに、エンコードして変調するためのものであり、また、デジタルデータシンボルからユーザおよび制御データを、復調してデコードためのものである。
【0048】
以下の送信ステップ:
− データ多重化、フレーミング、スクランブリング、誤り制御エンコーディング、データインターリービングなどのデータエンコーディングと、
− キャリア順序付けテーブルに従ってキャリアを順序付けるステップと、順序付けられたキャリアのそれぞれのビットローディングに従ってエンコードされたビットストリームを解析するステップと、場合に応じてトレリス符号化変調(TCM)を用い、ビットの各チャンクを(それぞれのキャリア振幅および位相で)適切な送信コンステレーションポイントにマッピングするステップと、を含む信号変調と、
− 信号スケーリングと、
− 逆高速フーリエ変換(IFFT)と、
− 巡回拡張(CE)の挿入と、
− 場合によって、時間ウィンドウイングと、
は、DSP111および211の内部で実行されるのが典型的である。
【0049】
以下の受信ステップ:
− CEの除去、そして、場合により、時間ウィンドウイングと、
− 高速フーリエ変換(FFT)と、
− 周波数等化(FEQ)と、
− パターンがそれぞれのキャリアのビットローディングに依存する適切なコンステレーショングリッドを、それぞれのそして全ての等化された周波数サンプルに適用するステップと、場合によりTCMデコーディングを用いて、予想される送信コンステレーションポイントと対応する送信ビットシーケンスとを検出するステップと、キャリア順序付けテーブルに従って、全ての検出されたビットのチャンクを再順序付けするステップと、を含む信号の復調および検出と、
− データのデインターリービング、誤り検出および/または訂正、デスクランブリング、フレーム識別(delineation)および多重分離などの、データデコーディングと、
は、DSP111および211の内部で実行されるのが典型的である。
【0050】
DSP111は、合同信号プリコーディングのために、逆高速フーリエ変換(IFFT)ステップの前に送信周波数サンプルをVPU120に供給し、合同信号後処理のために、高速フーリエ変換(FFT)ステップの後で受信周波数サンプルをVPU120に供給するように、さらに構成される。
【0051】
DSP111は、さらなる伝送または検出のために、訂正された周波数サンプルをVPU120から受信するように、さらに構成される。あるいは、DSP111は、さらなる伝送または検出の前に、最初の周波数サンプルに加えるための訂正サンプルを受信することもあり得る。
【0052】
VPU120は、伝送回線上で誘起されるクロストークを軽減するように構成される。これは、予想されるクロストークの推定値を前置補償するために、送信周波数サンプルのベクトルとプリコーディング行列Pとを乗算すること(下り方向)によって、または、生じたクロストークの推定値を後置補償するために、受信周波数サンプルのベクトルとクロストーク打消し行列Qとを乗算すること(上り方向)によって、実現される。
【0053】
行列PまたはQにおいて、行nは特定の被妨害回線L
nを表し、列mは特定の妨害回線L
mを表す。交点においては、被妨害回線L
n上で妨害回線L
mからのクロストークを軽減するために、対応する妨害者(disturber)の送信または受信周波数サンプルに適用されるべき結合係数がある。行列の全ての係数が決定されることは必要ないのであって、その理由は、たとえば最強のクロストーク源に最初に割り当てられるベクタリング能力には限度があるからであり、または、さらにたとえば一部の回線の間では相互作用が顕著ではないからである。未決定の係数は、0に設定されるのが好ましい。
【0054】
また、レガシー回線など、ベクタリング動作がサポートされていないまたはイネーブルされていない通信回線であるが、他の通信回線との間で依然として顕著な干渉を生じる通信回線L
nは、ベクタリンググループの内部では単に妨害回線と考えられることに注意すべきである。したがって、行列PまたはQの対応する第n行の非対角係数は、全て、0に設定される。
【0055】
VCU130は基本的に、VPU120の動作を制御するためのものであり、さらに詳しくは、ベクタリンググループの伝送回線の間のクロストーク係数を推定するためのものであり、また、そのように推定されたクロストーク係数からプリコーディング行列Pとクロストーク打消し行列Qの係数を初期化または更新するためのものである。
【0056】
VCU130は、さらに、ベクタリングパラメータを適切に構成し調整することによって、トランシーバ110および210のベクタリング動作を制御するためのものである。
【0057】
VCU130は、最初に、下り方向のSYNCシンボルの変調のためにトランシーバ110によって用いられるそれぞれの下り方向のパイロットシーケンスを構成し、上り方向のSYNCシンボルの変調のためにトランシーバ210によって用いられる上り方向のパイロットシーケンスを構成することによって、始動する。伝送回線L
1からL
Nに割り当てられるパイロットシーケンスは、{S
ntk}
n=1..N,t=l..l+L−1,k=DS/USとして表され、ここで、nは1からNまで変化する回線インデクスを表し、tはlからl+L−1まで変化するSYNCシンボルインデクスを表し、lはクロストーク取得サイクルの開始に対する任意のシンボルインデクスを表し、Lはパイロットシーケンスの長さを表し、kは周波数またはキャリアインデクスを表し、DS/USは下り方向/上り方向の通信それぞれに対して用いられるキャリアインデクスの組を表す(TDD通信の場合には、下り方向および上り方向の通信は、典型的には、同じ組のキャリアを共用する)。目下のところ、共通のパイロットシーケンスが、全てのキャリアを通じてだけでなく、上り方向および下り方向の両方の通信に用いられる、と仮定される。
【0058】
パイロットシーケンス{S
ntk}
n=1..N,t=l..l+L−1,k=DS/USは、互いに直交するパイロットシーケンス{W
mt}
m=1..M,t=0..L−1の集合131から選択されるのであるが、ここで、mはシーケンスインデクスを表し、Mは集合131のサイズを表す。直交要件を満たすために、互いに直交するパイロットシーケンス131の集合のサイズMは、ベクタリングされた回線の本数N以上であり、パイロットシーケンスの長さL以下でなければならない。
【0059】
VCU130は、下り方向の通信についてはSYNCシンボルの検出の間にリモートトランシーバ210によって測定され、上り方向の通信についてはローカルなトランシーバ110によって測定されるそれぞれのスライサエラー{E
ntk}
n=1..N,t=l..1+L−1,k=DS/USを収集する。
【0060】
VCU130は、妨害回線L
mから被妨害回線L
nへのクロストークまたは残存クロストーク係数を推定するために、それぞれの被妨害回線L
n上のエラーサンプル{E
ntk}
n,t=l..l+L−1,k=DS/USと、それぞれの妨害回線L
m上を伝送されるパイロットシーケンス{S
mtk}
m,t=l..l+L−1,k=DS/USと、を相関させる。
【0061】
新たなクロストークまたは残存クロストークの推定値は、次に、プリコーディング行列Pとクロストーク打消し行列Qとの係数を初期化または更新するために用いられる。
【0062】
O&Mコントローラ140および220は、対応するDSL通信経路の動作状態に基づいて、トランシーバ110および210それぞれの電力状態を制御するように、構成される。
【0063】
典型的には、DSL通信経路は、リモートCPEがシャットダウンされたこと、または、加入者回線が切断されたもしくは欠陥があること、または、測定されたエラーレートが過剰であること、または、DSL通信経路を制御された方法で切断するために、ローカルもしくはリモートのオペレータによって発行されたメンテナンスコマンドのため、または、回線終端(LT)カードや全体アクセスノード100など、DSL通信経路をサポートするハードウェアの1つをディセーブルするまたはリブートするためのメンテナンスコマンドのために、停止され、L3状態に移行する。
【0064】
O&Mコントローラ140および220は、トランシーバ110および210それぞれを、3つの電力状態に、すなわち、PS0、PS1およびPS2に、構成することができる。
【0065】
PS0電力状態は、通信信号の送受信が可能であるような、送信および受信経路が給電され動作している電力状態であって、回線がショータイムにあるときのデフォルトの電力状態であり、PS2電力状態は、AFEの選択されたもしくは全てのアクティブな構成要素および/またはDSPの選択されたもしくは全ての機能が恒久的にシャットダウンされた電力状態であって、回線がダウンしているときのデフォルトの電力状態である。PS1電力状態は、特定のシンボル位置の間だけ、目下のところSYNCシンボルの間だけPS2電力状態が強制され、他方で、残りのシンボル位置の間、目下のところ通常のDATAシンボルの間はPS0電力状態が強制される、混合型の状態である。
【0066】
PS2電力状態の正確な実装は、トランシーバの特定のハードウェアの実装と、トランシーバがネットワーク側で動作するのか加入者側で動作するのか(xTU−OなのかxTU−Rなのか)とに依存する。
【0067】
たとえば、アクセスノード100において、AFE112の内部のラインドライバとDACとは、幾分かの実質的電力節約を達成するために、シャットダウンされ得る。さらに、DSP111は、さらにより多くの電力を節約するために、上述の送信ステップの全てを一時停止することがあり得る。AFE112の内部の受信経路とDSP111の受信動作とは、リモートCPE200から受信され得る任意のハンドシェーク信号をリスンするために、動作が維持される。
【0068】
さらにたとえば、CPE200においては、(DSP211とAFE212とを含む)トランシーバ210の全体が、たとえばCPEがシャットダウンするときのようにDSL通信がもはや要求されない場合や、DSL通信経路が何らかのローカルなインターフェースを介してディセーブルされているときに、シャットダウンされる。しかし、信号損失(LoS)など外部の故障が検出されると、CPE200は、その送信および受信動作を生かした状態に維持することが期待されるが、これは、ハンドシェーク信号を周期的に発行し、アクセスノード100からの応答をどのようなものであってもリスンすることによって、DSL通信経路を初期化することを試み続けるために、PS0電力状態に留まることを意味する。
【0069】
これらのアクティブな構成要素が、オフおよびオンに切り換えられる結果として、伝送回線から見られる負荷インピーダンスは、伝送媒体の特性インピーダンス(典型的には、UTPの場合、100Ω)と一致することが予想されるPS0電力状態における第1の値Z
ONと、PS2電力状態における第2の値Z
OFFとの間で変動し得る。第2の値Z
OFFは、両方のピアトランシーバ110および210に関して第1の値Z
ONと必ず異なるということはないが、それらの少なくとも一方に関しては、第1の値Z
ONと異なる(典型的には、数kΩの範囲で)。また、トランシーバ210は、様々なハードウェアの実装に応じて、異なるインピーダンス値Z
OFFを有し得る。PS0電力状態とPS2電力状態とのそれぞれにあるときのトランシーバ110に対するインピーダンス負荷値を、Z1
ONとZ1
OFFとによって表し、PS0電力状態とPS2電力状態とのそれぞれにあるときのトランシーバ210に対するインピーダンス負荷値を、Z2
ONとZ2
OFFとによって表すことにしよう(全てのトランシーバ210について等しいと仮定する)。
【0070】
O&Mコントローラ140および220は、2つの端部の一方によって整然としていない退去が要求されるときは常にそれらのそれぞれの動作を調整するために、それぞれの通信回線を経由して相互に通信する。
【0071】
典型的には、目下のところO&Mコントローラ220である、整然とした退去を開始するO&Mコントローラは、切断前フェーズへの移行をトリガするために、通信回線L
nを通じて、目下のところO&Mコントローラ140である、リモートにあるO&Mコントローラに向かって、PRE−L3−REQメッセージを発行する。このメッセージは、リモートにあるトランシーバによって、肯定応答されるか、または、拒絶される。
【0072】
PRE−L3−REQメッセージが拒絶されると、ピアトランシーバは、切断前フェーズを通過することなく、直ちにL3状態に移行することが予想される。
【0073】
PRE−L3−REQメッセージが肯定応答されると、O&Mコントローラ140および220は、それらのそれぞれのトランシーバ110および210に対して、混合型の電力状態PS1に切り換わるように命令し(
図2におけるPS1−REQメッセージを参照のこと)、それにより、SYNCシンボルの間だけは、伝送回線のそれぞれの端部においてZ1
OFFおよびZ2
OFFをインピーダンス負荷として生じさせ、他方で、通常のDATAシンボルの間、公称インピーダンスZ1
ONおよびZ2
ONを維持する。PS1電力状態への移行は、ピアトランシーバ110および210の間で時間調整され、所与のシンボルインデクスt1から以降に開始する。
【0074】
O&Mコントローラ140は、回線の切断前フェーズへの移行について、VCU130に通知するようにさらに構成される(
図2におけるPRE−DISCONNECT−IND(L
n)メッセージを参照のこと)。VCU140は、新たなクロストーク環境を特徴付けるために、どの進行中のクロストーク取得も停止して、ベクタリンググループの他の依然としてアクティブな回線の一部または全部の上で、新たなクロストーク取得ラウンドを開始する。O&Mコントローラ140は、さらに、たとえばVCU130がクロストーク特徴付けのために利用可能であるかどうかを決定するために、PRE−L3−REQメッセージを肯定応答する前に、VCU130からの承認を求めることがあり得る。
【0075】
いったんクロストーク取得ラウンドが終了し、対応するクロストークの推定値が利用可能になると、VCU130は、O&Mコントローラ140に通知をする(
図2におけるPRE−DISCONNECT−CNF(L
n,t2)メッセージを参照のこと)。VCU130は、新たなクロストークの推定値から、プリコーディング行列Pとクロストーク打消し行列Qとの新たな係数を導く。新たな係数は、特定のシンボル位置t2から以降に、強制されることになる。予定されるシンボル位置t2は、O&Mコントローラ140に通知される。
【0076】
直ちに、O&Mコントローラ140は、通信回線L
nを通じてL3−REQメッセージを発行することによって、O&Mコントローラ220に、切断前フェーズの終了について通知する。L3−REQメッセージは、両方のトランシーバが、VCU130によって予定されたシンボルインデクスt2においてまたはその近くで、PS2状態に全く切り換わるように(
図2におけるPS2−REQメッセージを参照のこと)、適切な時点で発行され、それによって、伝送回線のそれぞれの端部におけるインピーダンス負荷としてZ1
OFFおよびZ2
OFFを生じる。
【0077】
あるいは、予定されたシンボルインデクスt2が、両方のトランシーバが正確な予定された時刻においてPS2電力状態に切り換わるように、L3−REQメッセージにエンコードされ得る。
【0078】
切断前フェーズの継続時間は、クロストーク特徴付けが終了したかしないかとは無関係に、対応するタイマの終了時にトランシーバが自律的にL3状態に移行するように、上限が定められていることがあり得る。
【0079】
回線の初期化の間に、参加する回線におけるインピーダンスの変化のために既にアクティブである回線を妨害しないように、類似の手順が適用される。ハンドシェークフェーズに続くO−P−VECTOR1/R−P−VECTOR1の初期化フェーズの間に、参加する回線は、別の混合型の電力状態PS4に移行するのであるが、このPS4では、SYNCシンボル位置の間だけなど、特定のシンボル位置の間だけPS0電力状態が強制され、他方で、通常のDATAシンボルの間などの残りのシンボル位置の間、PS2電力状態が強制される。なんというか、PS4電力状態は、PS1電力状態の「否定」である。
【0080】
VCU130は、次に、参加する回線から既にアクティブである回線へのクロストーク係数を、知る。いったん参加する回線からのクロストークが特徴付けられ、それに応じてプリコーダが構成されると、トランシーバは、PS0電力状態に切り換わり、さらなる初期化ステップを進めることができる。このようにして、アクティブな回線が、参加する回線上における通常のデータ通信の間のインピーダンスの変化によって、障害を被ることはない。
【0081】
図2においては別個の機能的実体として示されているが、O&Mコントローラ140および220は、それぞれのトランシーバ110および210に、部分的にまたは全体として一体化される場合がある、ということに注意すべきである。
【0082】
図3には、本発明による、整然とした退去の間のトランシーバのそれぞれの状態が、示されている。
【0083】
全ての回線がショータイムであるときには、トランシーバは、SYNC(S)およびDATAの両方のシンボル期間の間、PS0電力状態(ON)にある。整然とした退去に対する要求があると、対応するトランシーバが、一定のシンボルインデクスt1から、同時にPS1電力状態(非アクティブ)に切り換わるのであるが、これは、非アクティブ化するトランシーバが、SYNCシンボルの間はPS2電力状態(OFF)にあり、通常のDATAシンボルの間はPS0電力状態(ON)にあることを意味する。他方で、依然としてアクティブな回線のトランシーバは、デフォルトであるPS0電力状態に留まる。新たなクロストーク環境の特徴付けが終了すると、トランシーバは、ベクタリングプロセッサの新たな構成と同時に、別の所与のシンボルインデクスt2から、PS2電力状態(サイレント)に全く切り換わる。電力状態の切り換わりは、それぞれのシンボルのCEの間に、好ましくはウィンドウイング間隔の間に、予定されているのであるが、ウィンドウイング間隔とは、2つの隣接するシンボルの間のシンボル移行期間である。実際には、ラインドライバをオンまたはオフに切り換えるのに必要となる典型的な時間は約200nsであって、これは、CEの内部でそれを適合させるのに十分であるはずである。
【0084】
図4Aには、目下のところL3であるベクタリンググループの別の回線が停止されたときに、目下のところ回線L1およびL2であるベクタリンググループの2つのアクティブな回線に生じる、クロストークの振幅の相対的変化のプロットが示されている。回線L3の停止は、回線L3の2つの負荷インピーダンスの一方をZ
ONからZ
OFFに切り換えることによって、エミュレートされる。2つの負荷インピーダンスがZ
OFFに変化する場合には、それらの変化は、よりいっそう重大である。
【0085】
プロットは、10dBを2dB以上も上回るクロストーク振幅の変化を示している。インパクトは、先鋭なクロストークのくぼみの近くにおいて最大であるが、その理由は、くぼみの周波数における僅かなシフトが、そのくぼみの近くにおける周波数に対するクロストーク振幅の大きな差異を生じさせるからである。
【0086】
回線L3上におけるインピーダンスの変化は直接チャネルの変化も誘起させる、ということに注意すべきである。これらの変化は、クロストークチャネルにおいて誘起される変化よりも、振幅に関してははるかに小さいのであるが、異なるインパクトを有する。
【0087】
図4Bには、
図4Aに示されているようなクロストークチャネル振幅の相対的変化に対するSNIRの変化が示されている。このプロットの場合には、送信電力は−76dBm/Hzに等しく、ノイズフロアは−140dBm/Hzに等しく、(インピーダンスの変化前の)公称クロストークチャネル振幅は−40dBに等しい、と仮定される。
【0088】
見ることができるように、クロストークチャネル振幅の1dBの変化は、SNIRでは6DBの変化を生じさせるが、これは、ノイズマージンのために設定される典型的な値である。その閾値以降で、エンコードされたビットストリームが、ひどく壊れ始める。
【0089】
「備える(comprising)」という用語は、それ以降に列挙される手段に限定されるものと解釈されるべきではない、ということに注意すべきである。よって、「手段AおよびBを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみから構成されるデバイスに限定されるべきではない。これは、本発明に関しては、デバイスの関連する構成要素がAおよびBである、ということを意味する。
【0090】
「結合された(coupled)」という用語は、直接的な接続のみに限定されるものと解釈されるべきではない、ということにさらに注意すべきである。よって、「デバイスBに接続されたデバイスA」という表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接的に接続されている、および/または、その逆である、デバイスまたはシステムに限定されるべきではない。これは、Aの出力とBの入力との間の経路、および/または、その逆の経路が存在することを意味しているのであり、この存在する経路は、他のデバイスまたは手段を含む経路でもあり得る。
【0091】
本明細書および図面は、単に、本発明の原理を例証しているだけである。よって、本明細書においては明示的な説明や図示を行わないが、当業者であれば、本発明の原理を具体化する様々な構成を考案できることは理解される。さらに、本明細書に記載された全ての実施例は、主に、本発明の原理と本発明者(たち)により当技術の発展のために寄与された概念とを理解する際に読者を補助するという教育的目的のためのものにすぎないことが明示的に意図されており、そのような特に記載された実施例および条件に制限されることはないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体例を記載している本明細書の全ての記述は、それらの均等物を包含することが意図されている。
【0092】
図面に示された様々な要素の機能は、適切なソフトウェアととともにソフトウェアを実行することが可能なハードウェアだけでなく、専用のハードウェアを用いても提供され得る。プロセッサにより提供されると、これらの機能は、単一の専用プロセッサにより、単一の共有プロセッサにより、または、一部が共有され得る複数の個別的なプロセッサにより、提供され得る。さらに、プロセッサとは、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのことを排他的に指すものと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを、これらの限定されることはないが、暗黙的に含み得る。リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性ストレージなど、従来型のおよび/またはカスタムである他のハードウェアも、含まれ得る。