(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略箱型形状で上部が第1開口部として開口されたケース本体と、前記第1開口部から外側に延出して形成された第1フランジとを有し、前記第1フランジの少なくとも一部に前記第1開口部の周縁に沿ってシート上下方向に貫通したスリットが形成され、前記第1開口部がシート上方に開口するようにシートバックフレームに設けられたブラケットに取り付けられたケースと、
前記ケース本体の一対の側壁間に揺動自在に軸支され、揺動操作されることによりシートバックのロック状態を解除する操作レバーと、
略箱型形状で上部が第2開口部として開口され前記操作レバーの揺動範囲を規制するカバー本体と、記第2開口部の周縁から外側に延出して形成された第2フランジとを有し、前記第1開口部から前記ケース本体の内部に前記カバー本体を挿入して固定することにより第1開口部と第2開口部が連通されると共に、前記スリットに挿入されたシートバックの表面を覆う表皮の端部を前記第1フランジと前記第2フランジとで挟持するカバーと、
を備えるロック解除レバー取付構造。
前記カバーが前記ケースに重ねて装着された状態において、前記第2フランジから下方に延在し前記スリットに挿入される側板が形成されている請求項1〜3のいずれか1項記載のロック解除レバー取付構造。
前記ケースの側壁において前記スリットの下方には、外側面から外側に向かって突出しシート上下方向に延在するリブが形成されている請求項4記載のロック解除レバー取付構造。
前記ケースの側壁において前記スリットの下方には、外側面から外側に突出形成され、前記側板の前縁又は後縁に当接して前記カバーの揺動を規制するストッパが形成されている請求項4又は5記載のロック解除レバー取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の構造の場合には、表皮の端末に係止部材が接合されている等、部品点数が増加するという不都合がある。また、ベース部材の側壁に形成されたスリットに表皮の端末に接合された係止部材を挿入して係止させるという煩雑な作業が追加されるため、作業性に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、部品点数の増加及び作業性の悪化を回避しつつ、内部構造の露出を確実に防止できるロック解除レバー取付構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係るロック解除レバー取付構造は、略箱型形状で上部が第1開口部として開口されたケース本体と、前記第1開口部から外側に延出して形成された第1フランジとを有し、前記第1フランジの少なくとも一部に前記第1開口部の周縁に沿ってシート上下方向に貫通したスリットが形成され、前記第1開口部がシート上方に開口するようにシートバックフレームに設けられたブラケットに取り付けられたケースと、前記ケース本体の一対の側壁間に揺動自在に軸支され、揺動操作されることによりシートバックのロック状態を解除する操作レバーと、略箱型形状で上部が第2開口部として開口され前記操作レバーの揺動範囲を規制するカバー本体と、記第2開口部の周縁から外側に延出して形成された第2フランジとを有し、前記第1開口部から前記ケース本体の内部に前記カバー本体を挿入して固定することにより第1開口部と第2開口部が連通されると共に、前記スリットに挿入されたシートバックの表面を覆う表皮の端部を前記第1フランジと前記第2フランジとで挟持するカバーと、を備える。
【0009】
このロック解除レバー取付構造では、シートバックフレームに設けられたブラケットに上部に第1開口部が形成されたケース本体を含むケースが取り付けられる。このケース本体の側壁間にはシートバックのロック状態を解除する操作レバーが揺動自在に取り付けられている。また、ケースには、第1開口部の周縁から外側に延出して形成された第1フランジが設けられている。組付け時には、この第1フランジに形成されたスリットに表皮の端部が挿入される。さらに、ケースの第1開口部内にカバーのカバー本体を挿入してカバーをケースに固定することにより、スリットに挿入された表皮(の端部)を第1フランジと第2フランジとで挟持する。すなわち、表皮の端部は、第1フランジと第2フランジの間を通過してスリットから下方に挿入されることになる。
【0010】
したがって、カバーの第2フランジの周囲に位置するシートバックの表皮が下方に押圧された場合に、表皮が引っ張られて多少移動しても表皮の端部がカバーの第2フランジの下方から外部に引き出され内部構造が露出することが防止される。また、表皮と共に表皮の内側に配設されたパッドが下方に弾性変形しても、十分な長さの表皮の端部がカバーの第2フランジの下側に位置しているため、内部構造が外部に露出することが防止される。
【0011】
また、この取付構造は、既存のケースにあった第1フランジにスリットを設け、そのスリットに表皮の端部を挿入するだけで達成できるため、既存品と比較して部品点数の増加や作業性の悪化も抑制される。
【0012】
請求項2に記載の発明に係るロック解除レバー取付構造は、請求項1に記載のロック解除レバー取付構造において、前記第1フランジにおいて前記操作レバーの揺動軸の両端側に前記スリットが形成されている。
【0013】
このロック解除レバー取付構造では、第1フランジのうち、操作レバーの揺動軸の両端部側にスリットが形成されている。すなわち、ケースに対して揺動自在に操作レバーが取り付けられる部分では、揺動軸との干渉によりケースの第1開口部内に表皮の端部を十分な長さ挿入することができないおそれがある。
【0014】
そこで、第1フランジの当該部分にスリットを設けることによって、当該部分の表皮の端部をスリットの下方へ十分な長さ挿入することができる。これにより、シートバックのカバーの周囲の表皮に下向きの荷重が作用した場合に、内部構造が露出することを確実に防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明に係るロック解除レバー取付構造は、請求項1又は2に記載のロック解除レバー取付構造において、前記第1フランジの幅は、前記第1フランジ上に重ねられた部分の前記第2フランジの幅よりも広い。
【0016】
このロック解除レバー取付構造では、外部に露出しているカバーの第2フランジの周囲に位置する表皮(及びパッド)の下方には、第2フランジよりも幅が広いケースの第1フランジ(の端部)が位置している。したがって、当該部分の表皮が押圧された場合には、表皮及びその下方に位置しているパッドがケースの第1フランジに支持され、表皮及びパッドの変形が抑制される。この結果、カバーの第2フランジの周囲の表皮及びパッドが下方に変形して、内部構造が外部に露出することが一層防止される。
【0017】
請求項4記載のロック解除レバー取付構造では、請求項1〜3のいずれか1項記載のロック解除レバー取付構造において、前記カバーが前記ケースに重ねて装着された状態において、前記第2フランジから下方に延在し前記スリットに挿入される側板が形成されている。
【0018】
このロック解除レバー取付構造では、前記第2フランジにおいて、前記第1フランジの前記スリット形成部分の上に重ねられる部分には、第2フランジから下方に延在する側板が形成されている。したがって、カバーの第2フランジをケースの第1フランジ上に配置した際、側板がスリット内部に挿入されることによってスリットに挿入されていた表皮の端部が一層奥へ挿入されることになる。
【0019】
請求項5記載のロック解除レバー取付構造では、請求項4記載のロック解除レバー取付構造において、前記ケースの側壁において前記スリットの下方には、外側面から外側に向かって突出しシート上下方向に延在するリブが形成されている。
【0020】
このロック解除レバー取付構造では、ケースの側壁のうち、第1フランジにおいてスリットが形成された部分の下方に位置する部分の外側面には、シート上下方向に延在するリブが形成されている。したがって、表皮の端部をスリット内に挿入した際、表皮の端部がリブに当接(支持)されることによって、側壁との摩擦が低減され、表皮の端部の挿入が容易になる。
【0021】
請求項6記載のロック解除レバー取付構造では、請求項4又は5記載のロック解除レバー取付構造において、前記ケースの側壁において前記スリットの下方には、外側面から外側に突出形成され、前記側板の前縁又は後縁に当接して前記カバーの揺動を規制するストッパが形成されている。
【0022】
このロック解除レバー取付構造では、操作レバーが操作された場合、カバーがケースに対して揺動するおそれがあるが、カバーの側板の前縁又は後縁がケースの側壁の外側面に外側に突出形成されたストッパに当接されることにより、カバーの揺動が防止又は抑制される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1〜5記載の本発明に係るロック解除レバー取付構造は、部品点数の増加及び作業性の悪化を回避しつつ、内部構造が外部に露出することが確実に防止される。
【0024】
請求項6記載の本発明に係るロック解除レバー取付構造は、操作レバーの操作時にカバーが揺動することが防止される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係るロック解除レバー取付構造10について
図1〜
図8を参照して説明する。なお、各図は模式的なものであり、本発明と関連性の低いものは図示を省略している。また、
図2では、表皮140を省略している。
【0027】
[ロック解除機構11]
本実施形態に係るロック解除レバー取付構造10を含むロック解除機構11について説明する。以下の説明に用いる前後、上下及び左右は、ロック解除レバー取付構造10が適用された車両用シートにおけるシート前後方向の前後、シート上下方向の上下及びシート幅方向の左右を意味する。なお、各図に適宜示される矢印FR、矢印UP及び矢印RHは、それぞれ、シート前方、シート上方及びシート右方を示している。
【0028】
ロック解除レバー取付構造10は、
図1に示されるように、例えば、リアシート12(車両用シートの一例)のシートバック14におけるシート幅方向の一端側(左側)及び他端側(右側)の肩口部分に設けられている。
【0029】
ロック解除レバー取付構造10を含むロック解除機構11は、シートバック14におけるシート幅方向の一端側及び他端側の側部に設けられたロックプレート200(
図3参照)が、車体16の側壁18に設けられたストライカ20にロック(係合)された状態を解除する機構である。
【0030】
ロックプレート200がストライカ20にロックされることで、シートバック14は、所定の背もたれ角度に保持される。ロックプレート200によるロックがロック解除機構11によって解除されることで、シートバック14は、例えば、前倒しすることが可能となる。
【0031】
(ロックプレート200)
ロック解除機構11によってロック状態が解除されるロックプレート200は、シート幅方向に厚みを有する板状に形成されている。ロックプレート200には、
図3に示されるように、ストライカ20にロックするための切欠き202が形成されている。切欠き202は、下側に開口しており、シート幅方向視逆U字状とされている。
【0032】
また、ロックプレート200は、ネジ204のシャフト部分206によって、シートバック14のシートバックフレーム22(
図2参照)の側部に揺動可能に支持されている。具体的には、ロックプレート200は、ストライカ20にロックするロック位置(
図3に示す位置)と、ストライカ20に対するロックが解除されるロック解除位置(
図4に示す位置)と、の間を揺動可能に支持されている。このロックプレート200は、バネ等の付勢部材(図示省略)によりロック解除位置へ向けて付勢されている(
図3、矢印A参照)。
【0033】
さらに、ロックプレート200の下端部における前側部分には、係合プレート210の係合部212に係合される被係合部208が形成されている。このロックプレート200は、
図3に示されるように、ロック位置において、被係合部208が係合プレート210の係合部212に係合することで、ロック解除位置へ付勢する付勢部材に対抗してロック位置に留まり、ストライカ20へのロック状態が維持される。
【0034】
(係合プレート210)
係合プレート210は、シート幅方向に厚みを有する板状に形成されている。係合プレート210には、
図3に示されるように、ロックプレート200の被係合部208に係合する係合部212が上部に形成されている。係合部212は、上方へ凸状に構成されている。
【0035】
また、係合プレート210の後部は、ネジ214のシャフト部分216によって、シートバック14のシートバックフレーム22の側部に揺動可能に支持されている。具体的には、係合プレート210は、係合部212がロックプレート200の被係合部208に係合可能な係合位置(
図3に示す位置)と、係合部212がロックプレート200の被係合部208に対して係合しない非係合位置(
図4に示す位置)と、の間を揺動可能に支持されている。この係合プレート210は、バネ等の付勢部材(図示省略)により係合位置へ向けて付勢されている(
図4、矢印B参照)。係合プレート210の前部には、ロッド30の取付部114が揺動可能に取り付けられている。
【0036】
なお、係合プレート210及びロックプレート200は、上下に配置されたネジ204、214によってシートバック14のシートバックフレーム22の側部にねじ止めされた側部カバー218によって、左側から覆われている。側部カバー218の高さ方向中央部の後側部分には、ストライカ20を差し込み可能にする切欠き220が形成されている。
【0037】
[ロック解除レバー取付構造]
なお、シートバック14の左側及び右側の肩口部分に配置されたロック解除レバー取付構造10は、左右対称である点を除いて同様に構成されているので、以下では、シートバック14の左側の肩口部分に配置されたロック解除レバー取付構造10についてのみ説明する。
【0038】
ロック解除レバー取付構造10は、
図2に示されるように、シートバックフレーム22に取り付けられたブラケット24と、ブラケット24に固定されるケース26と、ケース26に揺動自在に取り付けられる操作レバー28と、後述する係合プレート210と操作レバー28を連結されるロッド30と、ケース26の上部に取り付けられるカバー32と、を有している。
【0039】
(ブラケット24)
ブラケット24は、例えば、金属プレートから構成されており、
図2に示されるように、シートバックフレーム22の左側の肩口部分に取り付けられている。ブラケット24は、底壁34と、底壁34のシート幅方向内側端部から上方に延在する側壁36と、底壁34のシート後方側端部から上方に延在する後壁38と、を有する。また、底壁34の前部には、後述の第1位置(
図3に示す位置)から第2位置(
図4に示す位置)へ移動する操作レバー28の移動スペースを確保するための開口40が形成されている(
図2参照)。
【0040】
また、底壁34の前部には、ケース26の挟込部52に挟まれる被挟込部42が設けられており、左右方向に長さを有する板状とされている。
【0041】
さらに、後壁38の上端から前斜め上方に延在する板状の被固定片44が形成されている。被固定片44には、後述するビス139が締結されるネジ孔46が形成されている。
【0042】
(ケース26)
ケース26は、
図2に示されるように、上方に開口する略箱型形状に形成されたケース本体50と、ケース本体50に設けられブラケット24の被挟込部42を挟み込む挟込部52と、ケース本体50に設けられブラケット24の被固定片44に固定される固定片54と、を有している。
【0043】
ケース本体50の左右の側壁56は、高さが後側から前側にいくに連れて徐々に低くなっており、ケース本体50に形成された第1開口部としての上部開口58が、前斜め上方を向いている。この上部開口58の周囲に外側に延出するフランジ60が形成されている。ここで、「外側」とは、平面視において上部開口58の中心から離間する方向を意味する。また、フランジ60は、平面視枠形状とされている。
【0044】
ケース本体50の左右の側壁56には、操作レバー28を支持する支持孔62が形成されている。ケース本体50の底壁63(
図3参照)における前方部分には、第1位置(
図3に示す位置)から第2位置(
図4に示す位置)へ移動する操作レバー28の移動スペースを確保するための開口64(
図3参照)が形成されている。この開口64は、ブラケット24の開口40の上方に重なって配置される。
【0045】
ケース本体50の後壁66の右端及び左端には、第1位置(
図3に示す位置)に位置する操作レバー28の一部(具体的には、後述の一対の側壁96)との干渉を避けるためのスリット68が形成されている。
【0046】
また、
図2及び
図3に示されるように、ケース本体50の後壁66に設けられた固定片54は、ブラケット24の被固定片44に取り付けるためのビス139用の挿通孔が形成されている
【0047】
一方、ケース本体50の前壁70には、前壁70の下端から前斜め下方へ突出するように挟込部52が形成されている。挟込部52は、先端部(前端部)が上下に二股に分岐して形成されており、組付け時にブラケット24の被挟込部42を上下に挟み込むものである。
【0048】
さらに、ケース本体50の一対の側壁56には、
図2に示すように、カバー32の組付け時にカバー32を案内するガイド部74と、カバー32を係止するとともに下方から支持する一対のリブである係止部76、78と、カバー32の側板124の前端と後端を位置決めする一対のストッパである位置決め部80、82とが、それぞれ外側に向かって突出形成されている。
【0049】
ガイド部74は、側壁56の上方から下方に延在する略矩形状の部分であり、組付け時に後述するカバー32の側板124のスリット134に挿入されることによって、カバー32を所定位置に案内するものである。
【0050】
一対の係止部76、78は、側壁56においてガイド部74の前後にそれぞれ形成されている。係止部76、78は、側壁56の上方から下方に延在する板状の部分である。係止部76、78の上端には、組付け時にカバー32の側板124の係止用孔部136に進入してカバー32を係止するための係止凸部84(
図5参照)が形成されている。また、係止部76、78の下端には、組付け時にカバー32の側板124の下端を支持する支持凸部86が形成されている。
【0051】
位置決め部80は、側壁56において係止部76の前方に配置されている略矩形状の部分であって、下方に向かって後方に傾斜するように形成されている。一方、位置決め部82は、側壁56において係止部78の後方に配置されている略矩形状の板体であって、下方に向かって前方に傾斜するように形成されている。
【0052】
さらに、ケース26のフランジ60には、上面に複数の小突起87が周回して設けられている。また、フランジ60のうち、シート幅方向の両側に位置する側方フランジ60A、60Bには、シート前後方向に延在するスリット88A、88Bが形成されている。
【0053】
(操作レバー28)
操作レバー28は、
図2に示されるように、レバー本体90と、レバー本体90をケース26に揺動自在に取り付けるための被支持部92と、レバー本体90にロッド30を連結させるための連結部94(
図3参照)と、を有している。レバー本体90は、
図2に示されるように、一対の側壁96と、前壁98と、底壁100(
図3参照)と、湾曲壁102と、を有している。
【0054】
一対の側壁96は、その間に操作者の指を差し入れ可能な間隔を有して配置されている。すなわち、一対の側壁96の間には、操作者の指が差し入れられる差入空間104が形成されている。
【0055】
一対の側壁96は、前端同士が前壁98で接続され、下端同士が底壁100で接続されている。一対の側壁96の間の差入空間104は、操作レバー28単体において、上方及び後方において開放されている。なお、差入空間104の後方側は、操作レバー28及びカバー32がケース26に組み付けられた状態において(
図3参照)、カバー32の後壁156によって閉鎖されるため、操作者の指は、当該組み付け状態において差入空間104に対して上方から差し入れられる。
【0056】
被支持部92は、底壁100の下面側に設けられている。この被支持部92は、
図2、
図3、
図5に示されるように、平面視でレバー本体90のシート幅方向両端部(側壁96)から突出する一対の軸部106を有している。各軸部106がケース本体50の各支持孔62に差し込まれることで、操作レバー28がシート幅方向に沿った軸線周りに前後方向へ揺動可能にケース26に支持されている。したがって、操作レバー28は、被支持部92(下側部分)を支点にレバー本体90が前後方向に揺動可能とされている。具体的には、操作レバー28は、第1位置(
図3に示す位置)と第2位置(
図4に示す位置)との間で揺動可能とされている。
【0057】
操作レバー28は、係合プレート210を係合位置に付勢する前述の付勢部材(図示省略)により、第1位置へ向けて付勢されている(
図3、矢印A方向参照)。そして、操作レバー28は、差入空間104に差し入れられた指で前壁98が前方へ押されることによって、第2位置へ向けて前方へ揺動操作される。このように、操作レバー28では、前壁98が操作面として機能する。
【0058】
また、レバー本体90の湾曲壁102は、
図3に示されるように、前壁98の上端から前側に張り出している。この湾曲壁102は、シート幅方向視で軸部106周りの揺動方向に沿った円弧状に形成されている。
【0059】
連結部94は、
図3に示されるように、ロッド30と連結される部分であり、湾曲壁102と前壁98との間に配置されている。連結部94には、ロッド30が挿通される連結孔108がシート幅方向に沿って形成されている。
【0060】
(ロッド30)
ロッド30は、
図2に示されるように、上下方向に長さを有している。具体的には、ロッド30は、操作レバー28の連結部94に連結される被連結部110と、本体部112と、係合プレート210に連結される取付部114を有している。
【0061】
被連結部110は、ロッド30の上部に形成されており、シート前方から視て円弧状に湾曲されている。この被連結部110は、連結部94の連結孔108に挿通されることにより、ロッド30が操作レバー28に連結されている。
【0062】
本体部112は、ロッド30における被連結部110の下側部分に形成されており、被連結部110の左側(シート幅方向の一方側)からシート下方側へ延びている。
【0063】
取付部114は、本体部112の下端から左方向へ延びており、係合プレート210の前部に揺動可能に取り付けられている。この取付部114は、
図3に示されるように、側部カバー218に形成された円弧状の長孔222によって案内される。
【0064】
そして、操作レバー28が前方へ揺動操作されることで、ロッド30が下方へ移動し、取付部114がロックプレート200に対する係合プレート210のロック状態を解除することによって、ロックプレート200のストライカ20に対するロック状態を解除するものである(
図4参照)。
【0065】
(カバー32)
カバー32は、ケース26内に収容された操作レバー28の一部(一対の側壁96及び底壁100)を覆うように、当該ケース26に取り付けられる。なお、カバー32がケース26に取り付けられた状態において、操作レバー28の湾曲壁102及び前壁98は露出した状態となっている(
図3参照)。
【0066】
カバー32は、
図2に示されるように、上方及び前方で開口する略箱型形状に形成されたカバー本体120と、第2フランジとしてのフランジ122と、一対の側板124と、を有している。
【0067】
カバー本体120の側壁126及び底壁128における前方部分には、操作レバー28の配置スペースを確保するための開口130(切欠き、
図3参照)が形成されている。
【0068】
フランジ122は、カバー本体120の第2開口部としての上部開口132の周縁に形成されており、平面視で枠状に形成されている。フランジ122は、
図3〜
図5に示されるように、ケース26のフランジ60との間で、シートバック14のウレタンパッド148の表面を覆う表皮140を挟み込んでいる。
【0069】
一対の側板124は、それぞれ、フランジ122の左右両側部分である側方フランジ122A、122Bの下面から下方に突出形成されているものである。一対の側板124は、カバー本体120の各側壁126との間に隙間を有して、各側壁126に対するシート幅方向の外側に配置されている。当該隙間は、
図5に示されるように、操作レバー28の一対の側壁96及びケース26の側壁56が配置される配置スペースとなっている。
【0070】
各側板124の前後方向の略中央部には、下端から上方に延在するスリット134が形成されている。このスリット134には、組付け時にケース26のガイド部74が進入するものである。また、側板124のスリット134の前後には、一対の係止用孔部136が形成されている。この係止用孔部136には、組付け時にそれぞれケース26の係止凸部84が挿入されるものである。なお側板124の外側面において、各係止用孔部136の上側には、上下方向に延在するそれぞれ一対のガイド突起138が形成されている。
【0071】
さらに、側板124の前端面150と後端面152は、組付け時にケース26の位置決め部80、82に当接される構成である。
【0072】
(ロックプレート200のロック動作及びロック解除動作)
次に、本実施形態におけるロックプレート200のロック動作及びロック解除動作について説明する。
【0073】
ロックプレート200のロック動作は、例えば、以下のように行われる。
【0074】
ロック動作が開始される前は、ロックプレート200のロック状態が解除されており、例えば、シートバック14は、前倒しされている。この状態では、ロックプレート200は、付勢部材(図示省略)によりロック解除位置(
図4に示す位置)へ付勢されることで、ロック解除位置に位置する。また、係合プレート210が付勢部材(図示省略)により係合位置(
図3に示す位置)へ付勢されることで、係合プレート210及び操作レバー28が、それぞれ、係合位置(
図3に示す位置)及び第1位置(
図3に示す位置)に位置する。
【0075】
本実施形態のロック動作では、例えば、操作者が、前倒しされたシートバック14を後方へ揺動させてシートバック14を起こす。すると、ストライカ20がロックプレート200の切欠き202に入り込み(
図4参照)、ストライカ20がロックプレート200を押してロック位置(
図3に示す位置)へ移動させる。このとき、ロックプレート200の被係合部208が、係合プレート210の係合部212を乗り上げて係合部212に係合される(
図3参照)。これにより、ロックプレート200がストライカ20にロックされ、シートバック14が、所定の背もたれ角度に保持される。
【0076】
ロックプレート200のロック解除動作は、例えば、以下のように行われる。
本実施形態のロック解除動作では、例えば、操作者が操作レバー28の前壁98を前方へ押すことで、操作レバー28を前方へ揺動操作する。操作レバー28が前方へ揺動操作されると、操作レバー28が第2位置(
図4に示す位置)へ揺動して、ロッド30が下方へ移動する。
【0077】
ロッド30が下方へ移動すると、係合プレート210が非係合位置(
図4に示す位置)へ移動し、ロックプレート200の被係合部208に対する係合プレート210の係合部212の係合が解除される。被係合部208に対する係合部212の係合が解除されると、ロックプレート200は、付勢部材(図示省略)の付勢力によりロック解除位置へ移動する。これにより、ロックプレート200のストライカ20へのロックが解除され、シートバック14が、前倒し可能となる。
【0078】
(操作レバー28の組付け方法の説明)
【0079】
先ず、シートバックフレーム22に固定されているブラケット24の底壁34上にケース26のケース本体50の底壁63を載置する。この際、ケース26の挟込部52が、ブラケット24の被挟込部42を上下に挟み込む。また、ケース26の固定片54がブラケット24の被固定片44に重ねられ、固定片54の図示しない挿通孔を介して被固定片44のネジ孔46に上方からビス139を螺合することによって、ケース26がブラケット24に固定される。
【0080】
これにより、ブラケット24の開口40の上部にケース26の開口64が配置されることになる。
【0081】
次に、
図6に示されるように、ケース26の上部開口58からケース本体50の内部に操作レバー28を挿入する。操作レバー28の軸部106がケース26のケース本体50の支持孔62に挿入されることによって、操作レバー28がケース26に軸部106を中心として前後に揺動可能に取り付けられる。
【0082】
ここで、操作レバー28のレバー本体90の下側に形成された連結部94の連結孔108に対してブラケット24の開口40、ケース26の開口64を介して下方からロッド30の被連結部110を挿入して、ロッド30を操作レバー28に連結する。これにより、ロッド30から操作レバー28に係合プレート210を付勢する付勢部材の付勢力が作用し、通常時に操作レバー28がケース26の後壁66側に押し付けられる。この際、係合突起39がスリット68の下端に当接することによって、操作レバー28の後傾が規制される。また、操作レバー28の側壁96の一部がスリット68から後側に突出している。
【0083】
次に、表皮140をケース26に挿入する。ここで、表皮140は、
図6に示すように、操作レバー28の配置位置に対応する位置に矩形の孔部142が形成され、孔部142の4つの角からそれぞれ左斜め前、右斜め前、左斜め後、右斜め前の4方向に切り込み144A〜144Dが形成されている。表皮140のうち、孔部側端部と切り込み144A、144Bで囲まれた部分を前側端部146A、孔部側端部と切り込み144C、144Dで囲まれた部分を後側端部146B、孔部側端部と切り込み144A、144Dで囲まれた部分を左側端部146C、孔部側端部と切り込み144B、144Cで囲まれた部分を右側端部146Dという。
【0084】
表皮140の孔部142がケース26の上部開口58の上部に位置するように、表皮140をケース26上に設置した後、
図7に示されるように、左側端部146C、右側端部146Dをそれぞれケース26のスリット88A、88Bに挿入する。また、表皮140の前側端部146A、146Bをケース本体50の上部開口58から前壁70、後壁66に沿って内側に折り込む。
【0085】
続いて、
図8に示されるように、この表皮140の上からケース26にカバー32を取り付ける。
【0086】
カバー32の一対の側板124をそれぞれケース26のスリット88A、88Bに挿入する。これにより、側板124のスリット134にケース26のガイド部74が進入し、カバー32を所定位置に案内する。カバー32のフランジ122がケース26のフランジ60に当接するまで側板124をスリット88A、88Bに挿入することによって、側板124の係止用孔部136にケース26の係止凸部84が嵌合され、カバー32がケース26に固定される。また、側板124の下端が支持凸部86に支持される。
【0087】
この際、スリット88A、88Bに挿入された一対の側板124によって、表皮140の左側端部146C、右側端部146Dがより下方に押し込まれる。特に、側板124の外側面にガイド突起138が設けられていることによって、一層押し込みが容易になる。
【0088】
これと同時に、カバー本体120がケース26の上部開口58から挿入される。この際、カバー本体120の側壁126及び底壁128は、ケース本体50に取り付けられたレバー本体90の差入空間104内に挿入され、操作レバー28との干渉が回避される。また、カバー本体120の後壁156によって表皮140の後側端部146Bがケース本体50の後壁66との間に挟持される。同様に、カバー本体120の前壁154によって表皮140の前側端部146Aがケース本体50の前壁70との間に挟持される。
【0089】
また、ケース26にカバー32が係止(固定)されることによって、ケース26のフランジ60上に位置する表皮140がカバー32のフランジ122で挟持されるが、フランジ60に形成された小突起87によって表皮140の位置ずれが一層抑制される。
【0090】
(本実施形態の作用効果)
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0091】
本実施形態の構成によれば、
図7に示されるように、表皮140の前側端部146A、後側端部146Bをケース26の上部開口58から内部に折り込むと共に、ケース26の側方フランジ60A、60Bに設けられたスリット88A、88Bに表皮140の左側端部146C、右側端部146Dを挿入しているため、各端部146A〜146Dを下方に長く挿入することができる(
図5参照)。この結果、組立後にシートバック14のカバー32の周囲に下向きの荷重が入力してウレタンパッド148が下方に変形して表皮140が引っ張られても、上部開口58又はスリット88A、88Bに十分な長さの表皮140の各端部146A〜146Dが挿入されているため、端部146A〜146Dがカバー32のフランジ122の下から外部に引き出され内部構造が露出することはない。また、荷重の入力により表皮140を支持するウレタンパッド148が変形しても十分な長さの端部146A〜146Dがケース26ケース本体50の周囲に位置しているため、ロック解除レバー取付構造10の内部構造(例えば、ケース本体50)が外部に露出することはない。
【0092】
特に、本実施形態では、ケース26の上部開口58内に配設される操作レバー28の軸部106の両端部(シート幅方向両端部)に位置する側方フランジ60A、60Bにスリット88A、88Bを設けている。したがって、操作レバー28(軸部106)の存在によりケース26の上部開口58からケース本体50の内部に十分な長さを挿入できない表皮140の左側端部146C、右側端部146Dを、側方フランジ60A、60Bに設けたスリット88A、88Bから下方に挿入することによって、十分な長さの表皮140(左側端部146C、右側端部146D)を下方に延在させることができる。
【0093】
また、ケース本体50の側壁56の外側面には、係止部76、78が形成されているため、表皮140を側壁56から離間させてスムーズに押し込むことができる。
【0094】
さらに、カバー32のフランジ122から下方に延在する一対の側板124を設け、カバー32をケース26に取り付ける時に、一対の側板124をそれぞれスリット88A、88Bに挿入している。これにより、カバー32をケース26に対して固定すると共に、表皮140の左側端部146C、右側端部146Dを一層下方まで押し込むことができる。
【0095】
また、
図5に示されるように、ケース26のフランジ60において上部開口58から離間する方向の幅(例えば、側方フランジ60A、60Bであれば、シート幅方向の幅)(以下、「フランジ60の幅」という)が、カバー32のフランジ122において上部開口132から離間する方向の幅(以下、「フランジ122の幅」という)よりも広い。この結果、ケース26の上部にカバー32を装着すると、平面視でフランジ122の外側にフランジ60の外側端部が位置する。
【0096】
これにより、
図5に示されるように、カバー32のフランジ122(例えば、側方フランジ122A、122B)の周囲の表皮140に下向きの荷重が入力されると、ケース26のフランジ60(例えば、側方フランジ60A、60B)の外側端部(カバー32のフランジ122よりも広い部分)が表皮140とウレタンパッド148を支持して、その変形を抑制することができる。これによっても、ロック解除レバー取付構造10の内部構造(例えば、ケース本体50)が外部に露出することを抑制できる。
【0097】
さらに、カバー32の側板124の前端と後端が当接する位置決め部80、82をケース26の側壁56に設けたため、操作レバー28の揺動によりカバー32が揺動することを抑制できる。
【0098】
また、本構成は、既存のケース26のフランジ60にスリット88A、88Bを設けると共に、既存のカバー32のフランジ122から下方に側板124を設けるだけで対応できるので、既存の構成部品から部品点数を増加させることなく対応することができる。
【0099】
さらに、組付け時に、ケース26のスリット88A、88Bに表皮140の左側端部146C、右側端部146Dを挿入し、カバー32の側板124を挿入するだけなので、ロック解除レバー取付構造10に本構成を採用することで組付作業性が低下することも抑制される。
【0100】
(その他)
なお、本実施形態では、ケース26のフランジ60の幅をカバー32のフランジ122の幅よりも大きくしたが、これに限定されるものではない。
【0101】
また、本実施形態では、ケース26の側方フランジ60A、60Bにスリット88A、88Bを形成したが、フランジ60のうちシート前後方向の部分にもスリットを形成しても良い。フランジ60のうち、いずれの部分にスリットが形成されるかを特に限定するものではないが、少なくとも操作レバー28の軸部106の両端部側にはスリットが形成されていることが好ましい。
【0102】
さらに、ケース26のケース本体50の側壁56の外側面に設けられた係止部76、78及びガイド部74の(シート幅方向)高さは、スリット88A、88Bのシート幅方向の幅から表皮140の厚さを引いた高さ以下であることが好ましい。これは、スリット88A、88Bに表皮140を挿入する際の容易性が確保されるためである。さらに好ましくは、係止部76、78及びガイド部74の(シート幅方向)高さは、スリット88A、88Bのシート幅方向の幅から表皮140と側板124のシート幅方向の厚さを引いた高さ以下であることが好ましい。これは、表皮140が挿入されたスリット88A、88Bに側板124を挿入する際の容易性が確保されるためである。
【解決手段】ケース26の側方フランジ60に設けられたスリット88A、88Bに表皮140の左側端部146C、右側端部146Dを挿入し、その上からカバー32の側板124を挿入する。これにより、表皮140の左側端部146C、右側端部146Dがケース26のフランジ60の下方に奥深くまで進入する。カバー32をケース26に固定されることによって、フランジ60,122で表皮140が挟持されている。したがって、シートバック14のカバー32の周囲の表皮140に下向きの荷重が作用して外側に引き出すような荷重が表皮140に作用しても表皮140の左側端部146C、右側端部146Dが外部に引き出されて、ロック解除レバー取付構造10の内部構造が露出することが防止される。