特許第6291640号(P6291640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291640
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】ボビンホルダー
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/26 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   A01K97/26
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-220779(P2015-220779)
(22)【出願日】2015年11月10日
(65)【公開番号】特開2017-85978(P2017-85978A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】515063769
【氏名又は名称】ノースウッズ有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】715002102
【氏名又は名称】冨山 幸佳
(72)【発明者】
【氏名】冨山 幸佳
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−321054(JP,A)
【文献】 実開昭50−112685(JP,U)
【文献】 特開平9−221272(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0113159(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/26
D01H 9/02
B65H 67/04
B65H 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸貫通孔を有するボビンを保持するボビンホルダーであって、前記ボビンの前記軸貫通孔の一端から挿入される第1マグネットが先端部に設置された第1保持手段と、前記ボビンの前記軸貫通孔の他端から挿入される前記第1マグネットに吸引される第2マグネットが先端部に設置された第2保持手段と、を有し、前記ボビンと第2保持手段が、前記第1保持手段と分離することが可能であることを特徴とするボビンホルダー。
【請求項2】
第1保持手段がマグネット保持部材と前記マグネット保持部材と螺合するフランジとから構成されることを特徴とする請求項1記載のボビンホルダー。
【請求項3】
前記第2保持手段がマグネット保持部材と、前記マグネット保持部材に螺合・挿入されるフランジとから構成されることを特徴とする請求項1に記載のボビンホルダー。
【請求項4】
第2保持手段の前記フランジの外側端部に、前記ボビンに巻かれた糸の端部が係止される弾性リングを設けたことを特徴とする請求項1又は3に記載のボビンホルダー。
【請求項5】
第1保持手段の前記フランジに設置された自立手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のボビンホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は釣り具の一つである毛鉤作り用ボビンホルダーに係り、さらに詳しくは、フライフィッシングにおいて、フライ(毛鉤)を手作りで巻く際のスレッドと称される巻き糸を保持するボビンホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
フライフィッシングは、小魚、陸棲昆虫や水棲昆虫を模したフライと称される毛鉤を用いて鱒等の渓流魚、メバルや石鯛等の海水魚を釣る手法を言う。
これらのフライと称される毛鉤は市販品もあるが、大半は釣り人自身のタイイングと称される自作作業により作成されている。この毛鉤作成に際し、フライフックと称されるブランク鉤に鳥の羽毛、動物の毛、化学素材等をスレッドと称される巻き糸で巻き付けや留め付け、結び付けが行われる。
そして、そのスレッドの巻かれたボビンを装着し、ノズル部よりスレッドが供給される機能を有した治具として一般的に市販されている図8に示すボビンホルダー17が用いられている。
【0003】
このボビンホルダー17は、2本のアームの一端部に設けた挟持部によりボビンの両端に適度な挟持力で保持し、スレッドの巻き方向に回転可能でかつ脱着自在に支持するものである。また、アームの他端部には把手部が固定され、さらに把手部にはスレッドを通すためのノズルがボビンBに向かって貫通した状態で支持されている。このような一般的なボビンホルダー17においてはノズルからスレッドを随時引き出しながら毛鉤用のフックに鳥の羽、化学繊維、その他も各種の素材を巻き留めて毛鉤を作製する時等に使用される。なお、例えば特許文献1には、釣り具のフライを手作りで製造するために使用される機能的な糸抜け防止具を備えた釣り具用ボビンホルダーに関する技術が開示されている。
【0004】
従来のボビンホルダーはアームのバネ構造により適度な挟持力でボビンを保持しているため、スレッドを引き出してもボビンが空転することはない。
しかしながら、フライフィッシングのジャンルは多岐にわたり、毛鉤用フック寸法も長手方向3mm程度から同50mm程度と多種のフライ用フックが使用されている。
また、使用するスレッドの材質も、絹糸や綿糸などの天然繊維、化学繊維、極細金属製ワイヤー、等、太さ、材質、強度、彩色、共に多岐にわたり、大多数の製品が市販されている。
それらを使って、種類、大きさの異なる様々な毛鉤を巻く訳であるが、作業には各種素材における極細のスレッドから極太のスレッドが必要とされる。
そこで、極細スレッドを使用する際、従来のボビンホルダーから繰り出されるスレッドのテンションが大きいとスレッドが切れたりする。また、太いスレッドを使用する際には、スレッドのテンションが小さいと装飾素材の外れ、巻き緩みが生じてしまう問題がある。
【0005】
さらに、一つの毛鉤巻き作業工程のなかでも、物性上虚弱な素材を巻き込む際と硬い素材を巻き込む際とでは、個々に適正なテンションでの巻き付けが理想的であるが、従来のボビンホルダーでは、そういった微妙なスレッドのテンション調整を行うことは難しく、毛鉤巻き作業中スレッドが切れたり、巻き留める素材が潰れたり、外れたりと、細かな作業時など、場合によっては初めから作業をやり直すこともあった。
また、各社で販売されているボビンの幅寸法 (軸長方向)は規格化されておらず 、従来のボビンホルダーに各種のボビンを装着した際、ボビン幅が変わることによりボビンホルダー両端の2本のアームによる挟持力の変化に伴い、ボビン挟持部の回転摩擦が変動し、結果としてボビンより繰り出されるスレッドのテンションも変化してしまうことで 毛鉤巻き作業に支障が生じていた。
【0006】
前述のように異なる寸法の毛鉤、異なる素材の毛鉤、或は寸法の異なるボビンを従来のボビンホルダーで対応しようとすると、その都度、巻き工程上最適なテンションを得るために2本のボビン保持アーム部を手で曲げてアーム幅を変えることによるスレッドテンション調整の必要性が生じた。また、その度にボビンの脱着、ノズルへのスレッド通しを行う煩雑さが生じた。
前述の内容より、通常一般的には作業者は多数のボビンホルダーを保有し、種々各色のスレッドをボビンに装着したまま保管し、使用用途に合わせて使い分けることが多いが、スレッドノズルからのスレッド外れやスレッド解けによるスレッド同士の絡み、他のタイイングツールへのスレッド巻き付き、絡み等が発生し、作業上、ないし保管時に支障をきたすことがあった。
【0007】
多数のボビンホルダー保有による多種のスレッドを同時に使用した場合、作業机上はボビンホルダーが多数横たわることになり、作業スペースを占領し、また、各ボビンホルダーのスレッド同士の絡みや他のタイイングツールへのスレッドの巻き付き等、作業環境の整頓性に支障があった。
【0008】
さらに公知公開される特開2001−321054号公報の実施例2に示す技術は前記ボビンホルダーが持つ不便を解消するためのスレッドのテンション調節機能を有しており、それなりの効果は期待できる。しかしこの技術に於いても次のような不便や欠点がある。
まず、このボビンホルダーに於けるテンション調整機能の構造は、アーム部両端に敷設した板状の2枚の発砲ウレタン材等の摩擦素材の間にスレッドを挟み込んだ後に、この2枚の摩擦素材を2個の絞めネジにより絞め付けることで2枚の弾性素材間の圧迫力でスレッド自体に摩擦を与えテンションを発生させている。しかし、この方法では、テンションの調整を作業中に手元で即座に行うことはできず、また、調整の度に小さなネジをドライバーで回す不便さと、スレッドをセットする際に絞めネジを緩め、スレッドを挟み込み、また、セット後にその都度絞めネジによるテンション調整が必用となり、ボビンの装着、脱着に手間が掛かるという問題点が見受けられる。また、スレッド自体に摩擦を与えてテンションを発生させていることより、極細のスレッドや毛糸状のスレッドを使用した際にはスレッド切れやスレッドへのダメージも懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−321054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ボビンに巻かれた多種多様のスレッドを使用する際に、張力の調整を簡便に行うことができるとともに、ボビンの離着脱及び交換が極めて容易に行うことができるボビンホルダーを提供することを目的とする。
また、ボビンホルダーにスレッドを保持する機能と自立のための脚部材を付与することにより、毛鉤巻き作業の効率性、整頓性が得られるボビンホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(1)軸貫通孔を有するボビンと、前記ボビンの前記軸貫通孔の一端から挿入される第1マグネットが先端部に設置された第1保持手段と、前記ボビンの前記軸貫通孔の他端から挿入される前記第1マグネットに吸引される第2マグネットが先端部に設置された第2保持手段と、を有し、前記ボビンと第2保持手段が、前記第1保持手段と分離することが可能であることを特徴とするボビンホルダー。
(2)第1保持手段がマグネット保持部材と前記マグネット保持部材と螺合するフランジとから構成されることを特徴とする(1)記載のボビンホルダー。
(3)前記第2保持手段がマグネット保持部材と、前記マグネット保持部材に螺合・挿入されるフランジとから構成されることを特徴とする(1)に記載のボビンホルダー。
(4)第2保持手段の前記フランジ部の外側端部に、前記ボビンに巻かれた糸の端部が係止される弾性リングを設けたことを特徴とする(1)又は(3)に記載のボビンホルダー。
(5)第1保持手段の前記フランジ部に設置された自立手段を有することを特徴とする請求項(1)又は(2)に記載のボビンホルダー。
【0012】
本発明は、スレッドを毛鉤用ブランク鉤に簡便に素材を巻き付けるためにスレッドを保持するボビンホルダーに関する。ボビンホルダーは通常スレッドを保持するボビンホルダーとスレッドを引き出すためのノズルとノズルをボビンホルダーに連結するアームからなる。
本発明のボビンホルダーは、軸貫通孔を有するボビンと、前記ボビンの前記軸貫通孔の一端から挿入される第1マグネットが先端部に設置された第1保持手段と、前記ボビンの前記軸貫通孔の他端から挿入される前記第1マグネットに吸引される第2マグネットが先端部に設置された第2保持手段とから構成される。
【0013】
本発明のボビンは、一般に市販されている各種スレッドを巻き込んだボビンをそのまま用いる事が出来る。例えば、ユニ、カスケード、ティムコ等のボビンに各種のスレッドが巻き込まれた状態で市販されている。ボビンは一般に幅が29〜32mmのものが多く、スレッドの色としては各種着色されており、例えば、オレンジ、グレイ、ブラウン、ブラック等がある。用いるスレッドとしては各種太さがあり、6/0、8/0 、16/0 等の規格品が販売されている。
このボビンには軸の貫通孔を有しているのが一般的である。
【0014】
これらのボビンを保持するには、まず片側に第1保持手段を有する。第1保持手段は例えば、アームに連結された第1フランジと、ボビンの軸貫通孔の一端から挿入される第1マグネットと第1マグネットを内包する第1フランジが第1フランジの中央部に設置されている。第1マグネットは直径が4〜6mm、長さが4〜6mmであり、ネオジウム、アルニコ、フェライトなどが好適に用いることができる。好ましくはネオジウム磁石である。
【0015】
ボビンの前記軸貫通孔の他端から挿入される第2フランジと前記第1マグネットに吸引される第2マグネットが先端部に設置され、第1及び第2マグネットを収納できる第2のマグネットケースからなる第2保持手段とを有する。第1保持手段と第2保手段でボビンを保持する。第2保持手段には先端に第2マグネットを設けることが好ましい。第2マグネットは直径が4〜6mm、長さが4〜6mmが好ましく、ネオジウム、アルニコ、フェライトなどが好適に用いることができる。最も好ましくはネオジウム磁石である。
【0016】
第2保持手段の第2マグネットケースは第1マグネットケースを内包する構造であることが好ましい。第2保持手段の軸の長さは使用するボビンに合わせ調整することが可能であるが、長さは26〜30mmが好ましい。これらの素材としてはステンレス、アルミニウム、真鍮、鉄、金、銀、銅、プラチナなどの金属類、プラスチック樹脂、セラミック等が好ましい。第2保持手段内に内包する第2マグネットと第1マグネットの距離は組み上げたときに0〜3mmにする事が好ましい。3mmを超えるとマグネットの吸引力が弱くなり、ボビンを保持できなくなる場合があり、好ましくない。
第1保持手段と第2保持手段とはマグネットの吸引力だけで保持されるため,簡単に取り付け、取り外しが可能となる。
【0017】
第1保持手段の第1フランジはアーム側フランジの中心部の雌ネジに螺入する雄ネジを延設した回転ノブを有する事が好ましい。雄ネジの先端には第1マグネットケースを配し、第2のマグネットケースの磁石に第2のマグネットケース内で対峙し、吸引力を生じさせる。このとき、ボビンをセットした後にノブを回転させることでボビンの両側軸貫通孔を支点に両磁石間の隙間を変化させることにより、両マグネット間の吸引力を調整でき、調整することにより、スレッドのボビンの回転に対する制動力が変化し、結果としてスレッドの引き出し張力を調整することができる。この引き出し張力の調整は毛鉤にスレッドを巻き付ける時のテンション調整を意味し、スレッドの太さや素材により、より最適な張力を与えることができ、そのことをフランジに接合するノブを回転させることにより調整することができる。このとき、両磁石間の吸引力の変動がボビン両支持部に加わる挟持力を変化させ、アーム側フランジとボビン穴外周との間の摩擦効果によるボビンの回転制動力が可変され、ボビンから繰り出されるスレッドのテンションを手元のノブの回転にて自在に調整が可能とすることができる。
【0018】
第2保持手段における第2フランジ中心部にシャフト状の雄ネジを延設し、第2保持手段における第2マグネットケースの端部には前記の第2フランジの雄ネジと同径の雌ネジを延設することで、両者は蝶入係合により一体化することが好ましい。このことにより、第2保持手段の全長は可変が可能となり、各種寸法幅の異なるボビンに対し、第1保持手段側のフランジと第2保持手段側のフランジの間の適正な距離の調整が可能となる。また、同雄ネジと雌ネジの中間に同径の雌ネジを配したストッパーナットを蝶入することで、両フランジ間の距離はストッパーナットの回転により第2マグネットケース側に押し当てることで簡易固定させることができる。
【0019】
前記第2フランジ側と前記第2マグネットケース側および前記ストッパーナットのネジの径はМ3からМ5を使用し、第2マグネットケース側の雌ネジ長は9mm程度とし、フランジ側の雄ネジ長は13mm程度が好ましい。また、ストッパーナットの直径は6mm程度で長手寸法は4mm程度が好ましい。
これらの部材の材質はステンレス、アルミニウム、真鍮、鉄、金、銀、銅、プラチナなどの金属類、プラスチック樹脂、セラミック等が好ましい。
【0020】
第2保持手段側フランジ外周部に溝を形成し、そこに弾性部材のOリングを設けることが好ましい。外周部には弾性材料のOリングを設置するための溝を有する。弾性材料のOリングとは弾性を有する直径が4〜15mmの一般的なOリングであり、弾性材料とからなり、弾性材料としてはエラストマー、天然又は合成ゴムからなり、硬度は80前後が好ましい。弾性材料Oリングにボビンをセットした状態のボビンホルダーのスレッドノズルに通したスレッドを挟み込むことで、ボビンホルダーにスレッド末端を保持させることができる。
【0021】
第1保持手段側のフランジ部に自立手段を設けることが好ましい。自立手段としては略台形の形状や、コの字型のワイヤー、金属製又は樹脂製のスタンドなどで、スレッドノズル方向に対し直角な平面ないしは線形形状物を設けることでボビンホルダー自体を単体でスレッドノズルが上向きの状態で自立させる効果を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明におけるボビンホルダーは、簡単にボビンをボビンホルダーに設置でき、かつ、マグネット間の距離を変えることにより、ボビンから繰り出されるスレッドのブランク鉤への巻き付け張力を調整することができ,毛鉤へのスレッドの巻き付け張力を手元で簡単に最適化することができる。
また、ボビンの脱着もただ両フランジをボビンから引き抜くだけで素早く容易にボビンを外すことが可能となる。
【0023】
本発明のボビンホルダーは毛鉤巻き作業に使用される多種のスレッド素材、極細スレッドから極太スレッド、また毛鉤の装飾を施すための各種素材の強度に対しても、随時、作業を中断することなく、それぞれの適正なスレッドのテンションを手元で簡単に調整ができ、スレッド切れや装飾用素材の巻き潰れや巻き緩みを防止することができる。
また第2保持手段側フランジ部に弾性部材Oリングを配することにより、ボビンホルダーのノズルより出ているスレッドをフランジ部溝と弾性Oリングの間に挟み込むことで、スレッドはボビンホルダーフランジ部に綺麗に保持され、そのことで、ボビンホルダーのノズルからの不用意なスレッド外れや、多数のボビンホルダー使用時のボビンホルダー同士のスレッド絡み、他のタイイングツールへのスレッド絡み、等のトラブルを大幅に軽減できる。
【0024】
さらに第1保持手段側のフランジ部の反ノズル方向にボビンホルダーのノズルを上向きに自立させる脚構造の部材を配することで、毛鉤巻き作業時、多数のボビンホルダー使用した際の卓上での省スペース化、整頓性向上が望め、また、作業時外の卓上保管や道具箱収納保管に際しても、前記同様の省スペース化、整頓性向上を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のボビンホルダーの斜視図
図2】本発明のボビンホルダーの正面からの断面図
図3】本発明のボビンホルダーの正面からの第1保持手段と第2保持手段を分離した状態の断面拡大図
図4】本発明のボビンホルダーの部品構成図
図5】本発明のボビンホルダーにボビンを装着しスレッドノズルにスレッドを通した使用状況を示す斜視図
図6】本発明のボビンホルダーのボビン保持力可変構造を示す断面図
図7】本発明のボビンホルダーのスレッドノズルにスレッドを通したまま、弾性部材Oリングにスレッドを挟み込んだ状態及び、フランジ底部に配したアンダースタンドによりボビンホルダー自体が自立している状態を示す斜視図
図8】従来製品斜視図
図9】ボビンホルダーによる毛鉤巻き作業参考写真
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施例でもって説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明のボビンホルダーについて図1に示す斜視図と図2の正面断面図と図3の第1保持部材1及び第2保持部材2の分離拡大図および図4の分解部品図にて説明する。
ここでは第1保持手段の構造を第1保持部材1と称し、また、第2保持手段の構造を第2保持部材2と称する。
本ボビンホルダーはステンレスで第1保持部材1及び第2保持部材2を構成した。
まず、第1保持部材1における第1フランジ3は直径16mm,厚さが4mmであり、中心部にM5の雌ネジ3bを螺設し、端部に内径2.5mmの貫通孔と外周にM5の雄ネジ9bを有する第1マグネットケース9を蝶入した後にアジャスターノブ4に設けた直径2.4mmのボス4aと勘合接着し一体化とした。
さらに第1保持部材1には挟持部となるフランジ3の中央部分板厚方向にボビン保持の際のセンター合わせ用テーパー3aを施した。
【0028】
また、第1フランジ3には直径1.4mmのステンレスワイヤーである2本のアーム5が挿入できる直径1.39mmの並列穴3cを設け、アーム5をそれぞれ勘合接着した。その2本のアーム5先端部にはスレッドノズル8の保持具であるステンレスのジョイントヘッド7にも直径1.39mmの並列孔7aを設け、それぞれをアーム5と挿入勘合接着し、ジョイントヘッド7の中心部にはスレッドの導管となるセラミック製のスレッドノズル8が通る貫通穴を設け、スレッドノズルを通した後に接着、ないしはスレッドノズル8を保持するためのネジ構造による挟持機構により固定した。
その際、スレッドノズル8は外径2.3mm〜2.6mm、内径1.2mm程度セラミック管を使用した。
【0029】
ジョイントヘッド7にはアーム5の並列穴と対角線上に同径の挿入穴7b1個を設け、そこにサブアーム6端部を勘合接着にて固定した。これは本ボビンホルダーが一般的なボビンホルダーとは異なり片持ち構造を有しているため、ボビンホルダーを手で持った時の安定感向上のための補助アームである。
【0030】
よって、図2および図3においてアジャストノブ4を回転させることで、フランジ3に対し第1マグネットケース9は左右水平方向に移動する構造を成す。この時、第1フランジ3に対しアジャストノブ4の回転による第1マグネットケース9の移動幅は3mmとした。
【0031】
一方、第2保持部材2に関しては、第1保持部材1側の第1マグネットケース9の円筒管部9bに対し、ガタつきなくスムーズに挿入できる係合内径を有した円筒管状の第2マグネットケース12に第2マグネット11を圧入接着し、その後端には第2フランジ14が蝶入可能な雌ネジ部12bを施してある。また、第2フランジ14には同径の雄ネジ部14aを施し、その中間に同径の雌ネジ部13aを施したストッパーナット13が蝶入係合された構造となっている。且つ、第2フランジ14にはボビン保持の際のセンター合わせ用テーパー14cを施し、またフランジ14の外周部には弾性体Oリング15を嵌め込むのに適度の深さと幅の溝14aを有している。
【0032】
このことにより、第2保持部材2において、第2マグネット12を支点に第2フランジ14を回転させることで、第2保持部材2自体の全長は可変可能な構造を有す。この可動構造により、第1保持部材1の第1フランジ3のボビン狭持部センター合わせ用テーパー3aから第2保持部材2における第2フランジ14のボビン狭持部センター合わせ用テーパー14cまでの距離を可変可能な構造とすることで、各種ボビンの異なるボビン幅に対し常に適正な保持寸法の調整が可能となる。
【0033】
また、前記の方法で挟持寸法を適正に調整した後、第2フランジ14の雄ネジ部14bに配した雌ネジ蝶入のストッパーナット13を第2マグネットケース12側の方向へ回転させ適度な力で第2マグネットケース12の端部に押し当てることでボビン幅に対する適正保持寸法を固定することができる。
【0034】
図5はボビンホルダーにボビンBを装着し、スレッドSをスレッドノズル8に通した毛鉤巻きに使用する状況を示した斜視図であるが、図6のボビン保持力可変構造を示す断面図と合わせてスレッドSのテンション調整構成を具体的に説明する。
【0035】
図5のボビンBには毛鉤巻きを行うためのスレッドSが巻回されている。ボビンホルダーに装着したボビンBから供給されるスレッドSをアーム5の先端に接着固定されたジョイントヘッド7を貫通した状態で接着固定されたスレッドノズル8に通した状態で毛鉤巻き作業を行う。
【0036】
図6の断面図C及び断面図DはボビンBを装着した状態での第1保持部材1と第2保持部材2における第1マグネット10と第2マグネット11間の隙間の可変状態を示した図である。
この図で、ボビンホルダー第1保持部材1の第1マグネットケース9と第2保持部材2の第2マグネットケース12の両端部をボビンBの貫通孔へ差し込んだ状況を表しているが、この状態でボビンBの貫通孔両端に対し第1保持部材1側の第1マグネット10と第2保持部材2側の第2マグネット11は互いの吸引力によりボビンの貫通孔外周部に対し、第1フランジ3のテーパー部3bと第2フランジ14のテーパー部14c間でボビンBを保持することができる。
【0037】
まず、断面図CにおいてボビンホルダーBの装着に際し、アジャストノブ4にて第一マグネットケース9が最も右側に位置するよう回し切った状態で、第1マグネット10と第2マグネット11が互いの吸着力にて完全に密着させた上で、第2マグネットケース12と第2フランジ14の間の距離を前記調整機能にてボビンBが左右にガタの出ない状況にセットし、ストッパーナット13でフランジ14と第2マグネットケース12間を簡易固定する。
【0038】
この状態は第1保持部材1と第2保持部材2は一対のネオジウム磁石間の吸引力で一体化した状況となりボビンBは保持されているが、ただし、ボビンBへの挟持力はほぼ0である。
前記調整の後に、アジャストノブ4にて密着していた第1マグネット10と第2マグネット11を引き離なす方向へ回転させることで、両マグネット10と11の間に吸引力が生じ、第1フランジ3のボビン挟持部センター合わせ用テーパー3bと第2フランジ14のボビン挟持部センター合わせ用テーパー14cとボビンBの穴両端部外周部との間に挟持力が発生する構造を有している。
その際、アジャスターノブ4の回転により第1マグネット10と第2マグネット11間の距離を変えることで、ボビンBの回転制動力は無段階に変化する。
【0039】
現実的には、一般的な市販ボビンの穴径は約φ7mm程度であるため、第1マグネット10と第2マグネット11は共にφ5mm×H5mmまたはφ4mm×H6mmの円柱形状で、磁力4500ガウス前後のものを対で使用することが望ましい。また、両磁石間の隙間は0.1mmから最大3.0mm程度の可変が好ましく、その際、一般的な市販ボビン装着時のスレッドSの繰り出し引張り強さは最大約70グラム程度から最小約10グラム程度の範囲で無段階調整が可能となる。この前記スレッドSの繰り出し引張り強さの範囲にてストリーマーと称される大型フライからミッジと称される極小フライなどの毛鉤巻き工程のほぼ全般にわたり対応が可能となる故、一つのボビンホルダーで各種フライ製作が可能とする機能を有する。尚、同一幅寸法のボビン交換に際しては都度の調整も不要となる。
【0040】
図5図7は共にボビンホルダーにボビンBを装着し、スレッドSをスレッドノズル8に通した状況の斜視図である。ここでは両図を参照しながらボビンホルダーの自立機能とスレッド収納機能を説明する。
第1保持部材1側のフランジ3の設けたアーム5の接合用並列穴3cと対峙する同径の並列穴3dを設け、そこにコの字状にワイヤー材を成形したアンダースタンド16の両端を挿入し勘合接着することでボビンホルダーはスレッドノズル8を上向きに自立する機能を有する。また、スレッドノズル8に通したスレッドSを第2フランジ14の第2フランジ部溝14aと弾性部材Oリング15の隙間に挟み込みや巻き込むことでボビンホルダーがスレッドSを保持する機能を有する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のボビンホルダーは特にフライフィッシングに用いる毛鉤巻きを効率的に使用する用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 第1保持部材
2 第2保持部材
3 第1フランジ
3a 雌ネジ
3b テーパー
3c 並列穴
3d 並列穴
4 アジャストノブ
4a ボス
5 アーム
6 サブアーム
7 ジョイントヘッド
7a 並列穴
7b 挿入穴
8 スレッドノズル
9 第1マグネットケース
9a 雄ネジ
9b 貫通穴
10 第1マグネット
11 第2マグネット
12 第2マグネットケース
12a 雌ネジ
13 ストッパーナット
13a 雌ネジ
14 第2フランジ
14a 溝
14b 雄ネジ
14c テーパー
15 軟性部材Oリング
16 アンダースタンド
17 一般的なボビンホルダー
B ボビン
S スレッド









図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9