(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2では高段側冷媒回路の凝縮器と低段側冷媒回路の中間冷却器を並設された別個の筺体に分けて設置し、若しくは、高段側冷媒回路の凝縮器を分けてその一部を中間冷却器側の筺体に設置するようにしていたため、設置スペースが拡大してしまう。これは一つの高段側冷媒回路に対して低段側冷媒回路が複数使用されるときに顕著な問題となる。
【0006】
また、係る構成ではカスケードコンデンサ手前の低段側冷媒回路の中間冷却器の空冷が不十分になる危険性があると共に、高段側冷媒回路と低段側冷媒回路の双方に二酸化炭素を冷媒として使用したときには、双方の二酸化炭素冷媒の放熱性能(各冷媒回路トータルでの放熱性能)に不足が生じ、運転効率が低下する問題があった。
【0007】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、高段側冷媒回路と低段側冷媒回路とをカスケード接続した冷凍装置において、各冷媒回路のガスクーラにおける熱交換効率を改善しながら、スペース的な効率と安定性も向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、高段側圧縮機、高段側ガスクーラ、高段側膨張弁、及び、高段側蒸発器を備えた高段側冷媒回路と、低段側圧縮機、低段側ガスクーラ、過冷却用熱交換器、低段側膨張弁、及び、低段側蒸発器を備えた低段側冷媒回路と、高段側蒸発器と過冷却用熱交換器とで構成され、高段側蒸発器で冷媒を蒸発させて過冷却用熱交換器を流れる冷媒を冷却するカスケード熱交換器とを備え、各冷媒回路には二酸化炭素を冷媒として封入して成る冷凍装置において、各圧縮機と、各ガスクーラと、カスケード熱交換器と、各ガスクーラを空冷するためのガスクーラ用送風機が設置される冷凍機ユニットを備え、低段側ガスクーラを、冷媒流に対して上流側に位置する第1の低段側ガスクーラと、その下流側に位置する第2の低段側ガスクーラとから構成すると共に、冷凍機ユニット内に、ガスクーラ用送風機により通風される第1の風路及び第2の風路を構成し、第1の低段側ガスクーラと高段側ガスクーラを第1の風路に設置し、第2の低段側ガスクーラを、第2の風路に設置したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明の冷凍装置は、上記発明において第1の低段側ガスクーラを、高段側ガスクーラに対して第1の風路内の空気下流側に配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明の冷凍装置は、上記各発明において第1及び第2のガスクーラ用送風機を備え、第1のガスクーラ用送風機を第1の風路に設置し、第2のガスクーラ用送風機を第2の風路に設置したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明の冷凍装置は、上記各発明において冷凍機ユニット内を上機械室と下機械室とに仕切る仕切板を備え、第1の風路を下機械室に、第2の風路を上機械室に構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明の冷凍装置は、上記発明において各圧縮機を下機械室に設置し、カスケード熱交換器を上機械室に設置したことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明の冷凍装置は、上記発明において第1及び第2の低段側冷媒回路と、各低段側冷媒回路にそれぞれ設けられた第1及び第2のカスケード熱交換器とを備え、高段側冷媒回路の高段側圧縮機と各低段側冷媒回路の低段側圧縮機のうちの何れか二つを下機械室に設置し、一つを上機械室に設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高段側圧縮機、高段側ガスクーラ、高段側膨張弁、及び、高段側蒸発器を備えた高段側冷媒回路と、低段側圧縮機、低段側ガスクーラ、過冷却用熱交換器、低段側膨張弁、及び、低段側蒸発器を備えた低段側冷媒回路と、高段側蒸発器と過冷却用熱交換器とで構成され、高段側蒸発器で冷媒を蒸発させて過冷却用熱交換器を流れる冷媒を冷却するカスケード熱交換器とを備え、各冷媒回路には二酸化炭素を冷媒として封入して成る冷凍装置において、各圧縮機と、各ガスクーラと、カスケード熱交換器と、各ガスクーラを空冷するためのガスクーラ用送風機が設置される冷凍機ユニットを備え、低段側ガスクーラを、冷媒流に対して上流側に位置する第1の低段側ガスクーラと、その下流側に位置する第2の低段側ガスクーラとから構成すると共に、冷凍機ユニット内に、ガスクーラ用送風機により通風される第1の風路及び第2の風路を構成し、第1の低段側ガスクーラと高段側ガスクーラを第1の風路に設置し、第2の低段側ガスクーラを、第2の風路に設置したので、冷媒流に対して下流側に位置する第2の低段側ガスクーラを、第2の風路に通風される空気により効果的に空冷することができるようになる。
【0015】
一方、上流側に位置する第1の低段側ガスクーラは、高段側ガスクーラと共に第1の風路に設置しているので、高段側ガスクーラを第1の低段側ガスクーラとは別個の風路に設置する場合に比して、冷凍機ユニットの小型化も図ることが可能となる。これは特に請求項6の発明の如く低段側冷媒回路を複数(第1及び第2)設ける場合に極めて有効となる。
【0016】
この場合、請求項2の発明の如く第1の低段側ガスクーラを、高段側ガスクーラに対して第1の風路内の空気下流側に配置すれば、第1の風路に通風される空気により最初に高段側ガスクーラを空冷することができるようになり、高段側ガスクーラの空冷も効果的に行うことができるようになる。また、第1の低段側ガスクーラには高段側ガスクーラを経た空気が通風されることになるが、第1の低段側ガスクーラは第2の低段側ガスクーラの冷媒上流側に位置するので、第1の低段側ガスクーラにて第2の低段側ガスクーラに流入する冷媒を予冷することができるようになる。これらにより、総じて高段側冷媒回路及び低段側冷媒回路の各ガスクーラにおける熱交換効率を著しく改善することが可能となるものである。
【0017】
また、請求項3の発明の如く第1及び第2のガスクーラ用送風機を設け、第1のガスクーラ用送風機を第1の風路に設置し、第2のガスクーラ用送風機を第2の風路に設置すれば、各風路に各ガスクーラ用送風機によって独立して通風することができるようになり、高段側ガスクーラ及び各低段側ガスクーラを一層効果的に空冷することができるようになる。
【0018】
また、請求項4の発明の如く冷凍機ユニット内を仕切板によって上機械室と下機械室とに仕切り、第1の風路を下機械室に、第2の風路を上機械室に構成することにより、各風路を並設する場合に比して、冷凍機ユニットの設置スペースも縮小することができるようになる。このとき、下機械室の第1の風路に高段側ガスクーラと第1の低段側ガスクーラが設置され、上機械室の第2の風路に第2の低段側ガスクーラが設置されることになるので、冷凍機ユニットの下部の重量配分を大きくすることができるようになり、安定性が良好となる。
【0019】
この場合、請求項5の発明の如く各圧縮機を下機械室に設置し、カスケード熱交換器を上機械室に設置すれば、重量の大きい各圧縮機が冷凍機ユニットの下部に配置されることになり、安定性が更に向上する。
【0020】
特に、請求項6の発明の如く冷凍装置が、第1及び第2の低段側冷媒回路と、各低段側冷媒回路にそれぞれ設けられた第1及び第2のカスケード熱交換器を備えている場合、高段側冷媒回路の高段側圧縮機と各低段側冷媒回路の低段側圧縮機のうちの何れか二つを下機械室に設置し、一つを上機械室に設置すれが、第1、第2の低段側冷媒回路を有する場合にも、冷凍機ユニットの小型化と安定性の向上を図ることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明を適用した一実施例の冷凍装置1の冷媒回路図である。
【0023】
(1)冷凍装置1の冷媒回路構成
実施例の冷凍装置1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店内に設置された複数台のショーケース2A、2B(実施例では二台)に、店外に設置された冷凍機ユニット3から冷媒を供給するものであり、一台の高段側冷媒回路4と、複数(実施例では二系統)の低段側冷媒回路(第1の低段側冷媒回路6A、及び、第2の低段側冷媒回路6B)とから構成されている。
【0024】
実施例の高段側冷媒回路4は、スクロール圧縮機から成る高段側圧縮機7と、第1及び第2の(複数の)高段側ガスクーラ11A、11Bと、高段側膨張弁13と、第1及び第2の(複数の)高段側蒸発器16A、16Bとを備えている。この場合、第1及び第2の高段側ガスクーラ11A、11Bは、高段側圧縮機7の吐出配管8から分岐した分岐配管9A、9Bにそれぞれ接続されて相互に並列となる。また、第1の高段側ガスクーラ11Aの出口配管12Aと第2の高段側ガスクーラ11Bの出口配管12Bは合流され、入口配管20を介して高段側膨張弁13の入口に接続されている。即ち、各高段側ガスクーラ11A、11Bは高段側圧縮機7と高段側膨張弁13の間に並列に接続されたかたちとなる。
【0025】
この高段側膨張弁13の出口は出口配管15を経て第2の高段側蒸発器16Bの入口に接続されている。そして、この第2の高段側蒸発器16Bの出口配管17Bが第1の高段側蒸発器16Aの入口に接続され、この第1の高段側蒸発器16Aの出口配管17Aが高段側圧縮機7の吸込配管18に接続されている。即ち、各高段側蒸発器16A、16Bは高段側膨張弁13の出口に直列に接続されたかたちとなり、これにより、高段側冷媒回路4の冷凍サイクルが構成されている。そして、この高段側冷媒回路4には、二酸化炭素が冷媒として所定量封入されている。
【0026】
一方、低段側冷媒回路6A、6Bは何れも同一の構成である。先ず、実施例の低段側冷媒回路6Aは、これもスクロール圧縮機から成る低段側圧縮機21Aと、この低段側圧縮機21Aの吐出配管22Aに接続された第1の低段側ガスクーラ23Aと、その出口配管24Aに接続されて第1の低段側ガスクーラ23Aの冷媒下流側となる第2の低段側ガスクーラ26Aと、この第2の低段側ガスクーラ26Aの出口配管27Aに接続された過冷却用熱交換器28Aと、この過冷却用熱交換器28Aの出口配管29Aに接続された圧力調整用膨張弁31Aと、この圧力調整用膨張弁31Aの出口配管32Aに接続口35Aを介して接続された渡り配管33Aに接続されたショーケース2Aの低段側膨張弁34A及び低段側蒸発器36Aの直列回路とを備えている。
【0027】
これら低段側膨張弁34A及び低段側蒸発器36Aは、ショーケース2A内に設置されるものである。そして、ショーケース2A内の低段側蒸発器36Aの出口側には電磁弁37Aが接続され、この電磁弁37Aの出口が渡り配管38Aと接続口40A、入口配管42Aを経てアキュムレータ39Aに接続され、このアキュムレータ39Aの出口側が低段側圧縮機21Aの吸込配管41Aに接続されて冷凍サイクルが構成されている。アキュムレータ39Aは所定容量を有するタンクである。
【0028】
他方、低段側冷媒回路6Bは、やはりスクロール圧縮機から成る低段側圧縮機21Bと、この低段側圧縮機21Bの吐出配管22Bに接続された第1の低段側ガスクーラ23Bと、その出口配管24Bに接続されて第1の低段側ガスクーラ23Bの冷媒下流側となる第2の低段側ガスクーラ26Bと、この第2の低段側ガスクーラ26Bの出口配管27Bに接続された過冷却用熱交換器28Bと、この過冷却用熱交換器28Bの出口配管29Bに接続された圧力調整用膨張弁31Bと、この圧力調整用膨張弁31Bの出口配管32Bに接続口35Bを介して接続された渡り配管33Bに接続されたショーケース2Bの低段側膨張弁34B及び低段側蒸発器36Bの直列回路とを備えている。
【0029】
これら低段側膨張弁34B及び低段側蒸発器36Bは、ショーケース2B内に設置されるものである。そして、ショーケース2B内の低段側蒸発器36Bの出口側には電磁弁37Bが接続され、この電磁弁37Bの出口が渡り配管38Bと接続口40B、入口配管42Bを経てアキュムレータ39Bに接続され、このアキュムレータ39Bの出口側が低段側圧縮機21Bの吸込配管41Bに接続されて冷凍サイクルが構成されている。このアキュムレータ39Bも所定容量を有するタンクである。尚、各低段側冷媒回路6A、6Bにも、二酸化炭素が冷媒として所定量封入されている。
【0030】
そして、高段側冷媒回路4の第1の高段側蒸発器16Aと低段側冷媒回路6Aの過冷却用熱交換器28Aが熱交換関係に設けられて第1のカスケード熱交換器43Aが構成され、高段側冷媒回路4の第2の高段側蒸発器16Bと低段側冷媒回路6Bの過冷却用熱交換器28Bとが熱交換関係に設けられて第2のカスケード熱交換器43Bが構成されている。また、上記渡り配管33A、33Bと渡り配管38A、38Bが冷凍機ユニット3から各ショーケース2A、2Bに渡る配管となる。
【0031】
図中44A、44Bは各低段側冷媒回路6A、6Bの低段側圧縮機21A、21Bの吐出配管22A、22Bにそれぞれ取り付けられた圧力センサであり、各低段側圧縮機21A、21Bから吐出された高圧側冷媒の圧力をそれぞれ検出する。また、図中46は、高段側圧縮機7の吐出配管8に取り付けられて高段側冷媒回路4の高圧側圧力を検出する圧力センサである。更に、図中47は温度センサであり、出口配管17Aに取り付けられて第1の高段側蒸発器16Aを出た冷媒の温度を検出する。
【0032】
図中51、52は第1及び第2のガスクーラ用送風機であり、第1のガスクーラ用送風機51は後に詳述する如く各高段側ガスクーラ11A、11Bと各低段側冷媒回路6A、6Bの第1の低段側ガスクーラ23A、23Bに通風してそれらを空冷し、第2のガスクーラ用送風機52は各低段側冷媒回路6A、6Bの第2の低段側ガスクーラ26A、26Bに通風して空冷する。また、図中53は外気温度を検出する温度センサである。更に、図中48は冷凍機ユニット3側の制御装置であり、各センサ44A、44B、46、47、53等の出力に基づいて高段側冷媒回路4の高段側圧縮機7の運転周波数、高段側膨張弁13の弁開度、各低段側冷媒回路6A、6Bの低段側圧縮機21A、21Bの運転周波数、圧力調整用膨張弁31A、31Bの弁開度、各ガスクーラ用送風機51、52の運転を制御する。
【0033】
尚、ショーケース2A、2B側の低段側膨張弁34A、34Bや電磁弁37A、37Bは各ショーケース2A、2Bの制御装置により陳列室内に温度やそこに吹き出される冷気の温度等に基づいて制御されるものであるが、ショーケース2A、2Bの制御装置と冷凍機ユニット3の制御装置48は店舗に設けられる統合制御装置により集中制御され、互いに連携して動作するものである。
【0034】
(2)冷凍装置1の動作
以上の構成で、制御装置48により高段側冷媒回路4の高段側圧縮機7、各低段側冷媒回路6A、6Bの低段側圧縮機21A、21B、各ガスクーラ用送風機51、52が運転されると、高段側圧縮機7で圧縮された高温高圧の冷媒(二酸化炭素)が吐出配管8に吐出され、分岐配管9A、9Bに分流された後、各高段側ガスクーラ11A、11Bに流入する。各高段側ガスクーラ11A、11Bに流入した冷媒は、ガスクーラ用送風機51により超臨界状態で冷却され、温度が低下する。
【0035】
高段側圧縮機7で圧縮された高温高圧の冷媒(二酸化炭素)が吐出配管8に吐出され、分岐配管9A、9Bに分流された後、各高段側ガスクーラ11A、11Bに流入する。各高段側ガスクーラ11A、11Bに流入した冷媒は、ガスクーラ用送風機51により超臨界状態で冷却され、温度が低下する。
【0036】
そして、各高段側ガスクーラ11A、11Bで冷却された冷媒は、出口配管12A、12Bを経て合流した後、高段側膨張弁13に流入し、そこで絞られた後(減圧)、出口配管15を経て先ず第2のカスケード熱交換器43Bを構成する第2の高段側蒸発器16Bに流入して蒸発し、第2の低段側冷媒回路6Bの過冷却用熱交換器28Bを流れる冷媒を冷却する(過冷却)。
【0037】
この第2の高段側蒸発器16Bを出た冷媒は、出口配管17Bを経て次に第1のカスケード熱交換器43Aを構成する第1の高段側蒸発器16Aに流入して蒸発し、第1の低段側冷媒回路6Aの過冷却用熱交換器28Aを流れる冷媒を冷却する(過冷却)。そして、この第1の高段側蒸発器16Aを出た冷媒は、出口配管17Aを経て吸込配管18から高段側圧縮機7に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0038】
一方、第1の低段側冷媒回路6Aの低段側圧縮機21Aで圧縮された高温高圧の冷媒(二酸化炭素)は吐出配管22Aに吐出され、第1の低段側ガスクーラ23Aに流入する。この第1の低段側ガスクーラ23Aに流入した冷媒は、ガスクーラ用送風機51により超臨界状態で冷却され、温度が低下した後、出口配管24Aを経て次に第2の低段側ガスクーラ26Aに流入する。この第2の低段側ガスクーラ26Aに流入した冷媒は、ガスクーラ用送風機52により超臨界状態で冷却され、温度が更に低下した後、出口配管27Aを経て第1のカスケード熱交換器43Aを構成する過冷却用熱交換器28Aに流入する。
【0039】
この過冷却用熱交換器28Aに流入した冷媒は、第1の高段側蒸発器16A内で蒸発する高段側冷媒回路4の冷媒により冷却(過冷却)されて更に温度が低下した後、出口配管29Aを経て圧力調整用膨張弁31Aに至る。
【0040】
この圧力調整用膨張弁31Aで低段側冷媒回路6Aの高圧側冷媒は絞られ、出口配管32Aを経て接続口35Aで冷凍機ユニット3から出る。冷凍機ユニット3から出た冷媒は渡り配管33Aを経てショーケース2Aに入る。そして、低段側膨張弁34Aに至り、そこで絞られた後、低段側蒸発器36Aに流入して蒸発する。このときの吸熱作用で各ショーケース2Aの陳列室内は所定の温度に冷却される。
【0041】
そして、ショーケース2Aの低段側蒸発器36Aを出た冷媒は、電磁弁37A(ショーケース2Aを冷却する場合、電磁弁37Aは開放されているものとする)、渡り配管38Aを経て接続口40Aから冷凍機ユニット3に入る。そして、入口配管42Aからアキュムレータ39Aに流入する。アキュムレータ39Aに流入した冷媒はそこで気液分離され、ガス冷媒が吸込配管41Aを経て低段側圧縮機21Aに吸い込まれる循環を繰り返す。
【0042】
他方、第2の低段側冷媒回路6Bの低段側圧縮機21Bで圧縮された高温高圧の冷媒(二酸化炭素)は吐出配管22Bに吐出され、第1の低段側ガスクーラ23Bに流入する。この第1の低段側ガスクーラ23Bに流入した冷媒は、ガスクーラ用送風機51により超臨界状態で冷却され、温度が低下した後、出口配管24Bを経て次に第2の低段側ガスクーラ26Bに流入する。この第2の低段側ガスクーラ26Bに流入した冷媒は、ガスクーラ用送風機52により超臨界状態で冷却され、温度が更に低下した後、出口配管27Bを経て第2のカスケード熱交換器43Bを構成する過冷却用熱交換器28Bに流入する。
【0043】
この過冷却用熱交換器28Bに流入した冷媒は、第2の高段側蒸発器16B内で蒸発する高段側冷媒回路4の冷媒により冷却(過冷却)されて更に温度が低下した後、出口配管29Bを経て圧力調整用膨張弁31Bに至る。
【0044】
この圧力調整用膨張弁31Bで低段側冷媒回路6Bの高圧側冷媒は絞られ、出口配管32Bを経て接続口35Bで冷凍機ユニット3から出る。冷凍機ユニット3から出た冷媒は渡り配管33Bを経てショーケース2Bに入る。そして、低段側膨張弁34Bに至り、そこで絞られた後、低段側蒸発器36Bに流入して蒸発する。このときの吸熱作用で各ショーケース2Bの陳列室内は所定の温度に冷却される。
【0045】
そして、ショーケース2Bの低段側蒸発器36Bを出た冷媒は、電磁弁37B(ショーケース2Bを冷却する場合、電磁弁37Bは開放されているものとする)、渡り配管38Bを経て接続口40Bから冷凍機ユニット3に入る。そして、入口配管42Bからアキュムレータ39Bに流入する。アキュムレータ39Bに流入した冷媒はそこで気液分離され、ガス冷媒が吸込配管41Bを経て低段側圧縮機21Bに吸い込まれる循環を繰り返す。
【0046】
制御装置48は、温度センサ47が検出する第1の高段側蒸発器16Aを出た冷媒の温度に基づいて高段側圧縮機7の運転周波数を制御する。このとき、制御装置48は、各カスケード熱交換器43A、43Bにおいて低段側冷媒回路6A、6Bの高圧側冷媒の所要の過冷却がとれるように高段側圧縮機7の運転周波数を制御する。
【0047】
また、実施例で制御装置48は、温度センサ53が検出する外気温度に基づいて低段側冷媒回路6A、6Bの最適な高圧側圧力を算出し、それを目標値として各圧力調整用膨張弁31A、31Bの弁開度を制御する。この場合、制御装置48は外気温度とそのときの低段側冷媒回路6A(6B)の最適な高圧側圧力との関係を示す情報を予め保有しており、この情報に基づいて低段側冷媒回路6A(6B)の高圧側圧力の最適値を算出し、それを目標値として圧力調整用膨張弁31A、31Bを制御する。ここで、高圧側圧力の最適値とは、運転効率COPが最大、若しくは、それに近い値となる低段側冷媒回路6A(6B)の高圧側圧力を意味する。
【0048】
更に、制御装置48は、圧力センサ46が検出する高段側冷媒回路4の高圧側圧力に基づいて膨張弁13の弁開度を前述した低段側冷媒回路6A、6Bの圧力調整用膨張弁31A、31Bと同様に制御することにより、高段側冷媒回路4の高圧側圧力を前述同様の適正な値(高段側冷媒回路4の高圧側圧力の目標値)に制御する。
【0049】
このように、各カスケード熱交換器43A、43Bの高段側蒸発器16A、16Bにおいて高段側冷媒回路4の冷媒を蒸発させ、過冷却用熱交換器28A、28Bを流れる各低段側冷媒回路6A、6Bの高圧側冷媒を過冷却することにより、二酸化炭素を冷媒として使用する場合にも、各冷媒回路4、6A、6Bの圧縮機7、21A、21Bとして比較的大型(大能力)の圧縮機を使用すること無く、各ショーケース2A、2Bの低段側蒸発器36A、36Bにおいて所要の冷却能力を得ることが可能となる。
【0050】
また、低段側冷媒回路6A、6Bの低段側蒸発器36A、36Bを出た冷媒は、当該低段側冷媒回路6A、6Bの高圧側冷媒と熱交換すること無く、低段側冷媒回路6A、6Bの低段側圧縮機21A、21Bに吸い込まれる構成とされているので、特に外気温度が高くなる夏期等に、低段側冷媒回路6A、6Bの高圧側圧力の異常上昇を防止することができるようになると共に、低段側圧縮機21A、21Bに密度の濃い冷媒を吸い込ませることができるので、効率も向上することになる。
【0051】
尚、低段側圧縮機21A、21Bの吸込側にはアキュムレータ39A、39Bが設けられているので、低段側圧縮機21A、21Bへの液バックは防止される。また、アキュムレータ39A、39Bは液溜めとして機能するので、低段側冷媒回路6A、6Bに十分な量の二酸化炭素冷媒を封入することが可能となる。
【0052】
また、カスケード熱交換器43A、43Bは、低段側ガスクーラ26A、26Bを出た冷媒を過冷却するので、低段側ガスクーラ23A、23B、26A、26Bで冷却された低段側冷媒回路6A、6Bの二酸化炭素冷媒をカスケード熱交換器43A、43Bにて更に過冷却することになり、更なる冷却能力を改善を図ることができるようになる。
【0053】
更に、この実施例では二系統の低段側冷媒回路6A、6Bと、各低段側冷媒回路6A、6Bにそれぞれ設けられた二つのカスケード熱交換器43A、43Bを備えているので、一つの高段側冷媒回路4にて二系統(複数)の低段側冷媒回路6A、6Bの高圧側冷媒を過冷却することができるようになる。
【0054】
更にまた、実施例では高段側冷媒回路4は、高段側ガスクーラ11A、11Bの出口に接続された高段側膨張弁13の出口に直列に各カスケード熱交換器43B、43Aをそれぞれ構成する二つ(複数)の高段側蒸発器16B、16Aを接続しており、下流側の第1の高段側蒸発器16Aを出た冷媒の温度で高段側圧縮機7の運転周波数を制御しているので、比較的簡単な構成とすることができると共に、高段側圧縮機7への液バックも適切に解消できる。
【0055】
(3)冷凍機ユニット3内のレイアウト
次に、
図2、
図3を参照しながら実施例の冷凍装置1の冷凍機ユニット3の構造と内部に設置される各機器のレイアウトについて説明する。冷凍機ユニット3は、底部のベース56と、左右の側面パネル57、58と、上部の天面パネル59等から構成された外装ケース61を備えており、この外装ケース61内に各機器が収納される機械室60が構成されている。天面パネル59の下側には間隔を存して天部仕切板62が取り付けられており、この天部仕切板62と天面パネル59の間に前記制御装置48等を含む電装基板が収納される基板室63が構成されている。
【0056】
更にこの天部仕切板62の下方の外装ケース61の機械室60内は、縦仕切板64により左右に仕切られており、更にこの縦仕切板64の左右の機械室60内は上下方向の中途部において左右の仕切板66、67により上機械室60Aと下機械室60Bとに仕切られ、これにより、縦仕切板64の左側で仕切板66の下側の下機械室60Bに第1の風路68が構成されると共に、縦仕切板64の左側で仕切板66の上側の上機械室60Aには第1の風路68とは独立した第2の風路69が構成され、縦仕切板64の右側で仕切板67の下側の下機械室60Bに第1の収納室71が構成され、縦仕切板64の右側で仕切板67の上側の上機械室60Aに第2の収納室72がそれぞれ構成されている。
【0057】
尚、第1及び第2の収納室71、72の前後面は着脱可能な図示しないパネル(通気口あり)によって隠蔽されている。また、第1及び第2の風路68、69の後面は、
図3に示すように空気吸込口73、74(着脱可能な図示しない通気性カバーが取り付けられる)とされ、前面は同様の空気排出口76、77とされている。
【0058】
そして、この第1の風路68の空気吸込口73側(空気流の上流側)に、高段側冷媒回路4の第1及び第2の高段側ガスクーラ11A、11Bが上下に設置され、その空気排出口76側(空気流の下流側)に、第1の低段側冷媒回路6Aの第1の低段側ガスクーラ23Aと第2の低段側冷媒回路6Bの第1の低段側ガスクーラ23Bが上下に設置されている。そして、これら低段側ガスクーラ23A、23Bの空気排出口76側の第1の風路68内に第1のガスクーラ用送風機51が設置されている。
【0059】
また、第2の風路69内には、第1の低段側冷媒回路6Aの第2の低段側ガスクーラ26Aと第2の低段側冷媒回路6Bの第2の低段側ガスクーラ26Bが上下に設置されている。そして、これら低段側ガスクーラ26A、26Bの空気排出口77側の第2の風路69内に第2のガスクーラ用送風機52が設置されている。
【0060】
また、高段側冷媒回路4の高段側圧縮機7と第2の低段側冷媒回路6Bの低段側圧縮機21B及びアキュムレータ39Bは、下側の第1の収納室71内のベース56上に設置されている。更に、第1の低段側冷媒回路6Aの低段側圧縮機21A及びアキュムレータ39Aは、その上側の第2の収納室72内の仕切板67上に設置され、各カスケード熱交換器43A、43Bも第2の収納室72内に収納されている。
【0061】
尚、各接続口35A、35B、40A、40Bは、第1の収納室71の第1の風路68とは反対側となる側面パネル58側に設けられて外装ケース61外に露出している。
【0062】
以上の構成で、第1のガスクーラ用送風機51が運転されると、
図3に矢印で示す如く第1の風路68の空気吸込口73から外気が吸引され、先ず、各高段側ガスクーラ11A、11Bに通風される。これにより、高段側冷媒回路4の高段側ガスクーラ11A、11Bは、他の機器と熱交換していない新鮮な外気によって効果的に空冷される。この高段側ガスクーラ11A、11Bを冷却した空気は、次に各第1の低段側ガスクーラ23A、23Bに通風された後、空気排出口76より排熱側に排出される。これにより、各低段側冷媒回路6A、6Bの冷媒の上流側に位置する第1の低段側ガスクーラ23A、23Bは冷却されるが、この空気は高段側ガスクーラ11A、11Bを経て温度が上昇した空気であるので、これは予冷的な効果となる。
【0063】
一方、第2のガスクーラ用送風機52が運転されると、
図3に矢印で示す如く第2の風路69の空気吸込口74から外気が吸引され、各第2の低段側ガスクーラ26A、26Bに通風された後、空気排出口77より排熱側に排出される。これにより、各低段側冷媒回路6A、6Bにおいて、第1の低段側ガスクーラ23A、23Bの冷媒の下流側に位置する第2の低段側ガスクーラ26A、26Bは、これも他の機器と熱交換していない新鮮な外気によって効果的に空冷される。これにより、第1の低段側ガスクーラ23A、23Bで予冷された各低段側冷媒回路6A、6Bの冷媒は、第2の低段側ガスクーラ26A、26Bにおいてより強力に冷却されて各過冷却用熱交換器28A、28Bに流入することになる。
【0064】
尚、ガスクーラ用送風機51によって形成される空気流は、第1の収納室71にも一部通風されるので、高段側圧縮機7や低段側圧縮機21Bも空冷される。また、ガスクーラ用送風機52により形成される空気流も、第2の収納室72内に一部通風されるので、低段側圧縮機21Aも空冷されることになる。
【0065】
以上詳述した如く、低段側冷媒回路6A、6Bの低段側ガスクーラを、冷媒流に対して上流側に位置する第1の低段側ガスクーラ23A、23Bと、その下流側に位置する第2の低段側ガスクーラ26A、26Bとから構成すると共に、冷凍機ユニット3内に、ガスクーラ用送風機51、52により通風される独立した第1の風路68と第2の風路69を構成し、第1の低段側ガスクーラ23A、23Bと高段側ガスクーラ11A、11Bを第1の風路68に設置し、第2の低段側ガスクーラ26A、26Bを、第2の風路69に設置したので、冷媒流に対して下流側に位置する第2の低段側ガスクーラ26A、26Bを、第2の風路69に通風される空気により効果的に空冷することができるようになる。
【0066】
一方、上流側に位置する第1の低段側ガスクーラ23A、23Bは、高段側ガスクーラ11A、11Bと共に第1の風路68に設置しているので、高段側ガスクーラ11A、11Bを第1の低段側ガスクーラ23A、23Bとは別個の風路に設置する場合に比して、冷凍機ユニット3の寸法の小型化を図ることが可能となる。これは特に実施例のように第1及び第2(複数)の低段側冷媒回路6A、6Bを設ける場合に極めて有効である。
【0067】
この場合、第1の低段側ガスクーラ23A、23Bを、高段側ガスクーラ11A、11Bに対して第1の風路68内の空気下流側に配置しているので、第1の風路68に通風される空気により最初に高段側ガスクーラ11A、11Bを空冷することができるようになり、高段側ガスクーラ11A、11Bの空冷も効果的に行うことができるようになる。
【0068】
一方、第1の低段側ガスクーラ23A、23Bには高段側ガスクーラ11A、11Bを経た空気が通風されることになるが、第1の低段側ガスクーラ23A、23Bは第2の低段側ガスクーラ26A、26Bの冷媒上流側に位置するので、第1の低段側ガスクーラ23A、23Bにて第2の低段側ガスクーラ26A、26Bに流入する冷媒を予冷することができるようになる。
【0069】
これらにより、総じて高段側冷媒回路4及び低段側冷媒回路6A、6Bの各ガスクーラ11A、11B、23A、23B、26A、26Bにおける熱交換効率を著しく改善することが可能となる。
【0070】
また、ガスクーラ用送風機としては第1及び第2のガスクーラ用送風機51、52を設け、第1のガスクーラ用送風機51を第1の風路68に設置し、第2のガスクーラ用送風機52を第2の風路69に設置しているので、各風路68、69に各ガスクーラ用送風機51、52によって独立して通風することができるようになり、高段側ガスクーラ11A、11B及び各低段側ガスクーラ23A、23B、26A、26Bを一層効果的に空冷することができるようになる。
【0071】
更に、冷凍機ユニット3内を仕切板66、67によって上機械室60Aと下機械室60Bとに仕切り、第1の風路68を下機械室60Bに、第2の風路69を上機械室60Aに構成しているので、各風路68、69を並設する場合に比して、冷凍機ユニット3の設置スペースを縮小することができる。更にまた、係る構成により下機械室60Bの第1の風路68に高段側ガスクーラ11A、11Bと第1の低段側ガスクーラ23A、23Bが設置され、上機械室60Aの第2の風路69に第2の低段側ガスクーラ26A、26Bが設置されることになるので、冷凍機ユニット3の下部の重量配分を大きくすることができるようになり、安定性が良好となる。
【0072】
この場合、高段側圧縮機7と低段側圧縮機21Bを下機械室60Bの第1の収納室71に設置し、第1及び第2のカスケード熱交換器43A、43Bを上機械室60Aの第2の収納室72に設置しているので、重量の大きい各圧縮機7、21Bが冷凍機ユニット3の下部に配置されることになり、安定性が更に向上する。特に、実施例では低段側圧縮機21Aも存在するが、それは上機械室60Aの第2の収納室72に設置しているので、それらを全て下部に並設する場合に比して、安定性を維持しながら冷凍機ユニット3の小型化を図ることが可能となる。
【0073】
尚、実施例では第2の低段側冷媒回路6Bの低段側圧縮機21Bを下側の第1の収納室71に設置し、第1の低段側冷媒回路6Aの低段側圧縮機21Aを上側の第2の収納室72に設置したが、低段側圧縮機21Bを第2の収納室72に設置し、低段側圧縮機21Aを高段側圧縮機7と共に第1の収納室71に設置してもよい。
【0074】
また、各低段側圧縮機21A、21Bとアキュムレータ39A、39Bを下側の第1の収納室71に設置し、高段側圧縮機7を上側の第2の収納室72に設置してもよい。更に、実施例では仕切板66、67により機械室60内を上下に仕切ったが、それに限らず、機械室60内を仕切らずに各ガスクーラ用送風機51、52による空気流によって各風路68、69が構成されるようにしてもよく、その場合には、各圧縮機7、21A、21Bの何れか二つをベース56に、残りはその上方に棚状の設置部を設けて設置するようにすればよい。
【0075】
尚、実施例では単一の高段側冷媒回路と二系統の低段側冷媒回路をカスケード接続したが、それに限らず、一系統、若しくは、三系統以上の低段側冷媒回路を高段側冷媒回路にカスケード接続した冷凍装置にも本発明は有効である。また、実施例ではショーケースを冷却する冷凍装置に本発明を適用したが、それに限らず、自動販売機等を冷却する冷凍装置にも本発明は有効である。