(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291685
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】スクロール型流体機械
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20180305BHJP
F01C 1/02 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
F04C18/02 311D
F01C1/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-79758(P2014-79758)
(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2015-200231(P2015-200231A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 二郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 清一
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−288169(JP,A)
【文献】
特開平11−093950(JP,A)
【文献】
特開平08−004666(JP,A)
【文献】
特開2013−194631(JP,A)
【文献】
特開2012−229650(JP,A)
【文献】
特開2006−329174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
F01C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転阻止機構により自転が阻止された可動スクロールが固定スクロールに接しつつ公転し、前記固定スクロールと前記可動スクロールとの間に前記公転に伴って容積変化する密閉空間を形成するスクロールユニットを備え、前記可動スクロールの背面又はハウジング壁の一方に突設したピンに嵌合する嵌合部を設けたスラストプレートを、前記可動スクロールの背面と前記ハウジング壁との間に介在させたスクロール型流体機械であって、
前記ピンを3本以上突設すると共に、前記ピンと同数の前記嵌合部のうち3つの嵌合部の形状を、スラストプレートの半径方向に延び且つスラストプレートの周方向で嵌め合い隙間が最小となる形状としたことを特徴とするスクロール型流体機械。
【請求項2】
前記嵌合部は、スラストプレートの半径方向に延び且つスラストプレートの内周側に開口する切欠部である請求項1に記載のスクロール型流体機械。
【請求項3】
前記嵌合部は、スラストプレートの半径方向に延びた長孔である請求項1に記載のスクロール型流体機械。
【請求項4】
前記自転阻止機構は、前記可動スクロールの背面又は前記ハウジング壁の一方に形成した円形穴と、他方に前記円形穴と係合するよう突設する係合ピンと、で構成され、前記自転阻止機構の前記係合ピンを、前記スラストプレートの嵌合部に嵌合する前記ピンで代用した請求項1〜3のいずれか1つに記載のスクロール型流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定スクロールと可動スクロールとを備え、これらにより形成される密閉空間の容積を変化させることで流体を圧縮又は膨張させるスクロール型流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール型流体機械として、例えば特許文献1に示されるようなスクロール型圧縮機がよく知られている。これは、自転阻止機構により自転が阻止された可動スクロールが固定スクロールに接しつつ公転し、固定スクロールと可動スクロールとの間に前記公転に伴って容積変化する密閉空間を形成するスクロールユニットを備えている。また、この圧縮機では、可動スクロールからのスラスト力を受けるフロントハウジング側のハウジング壁と可動スクロール背面との間に、可動スクロールとハウジング壁との相対的な摺動性を確保すべくスラストプレートを介在させるようにしている。
【0003】
特許文献1の圧縮機において、前記スラストプレートは、ハウジング壁側に2本のピンを突設し、スラストプレート側に長軸方向が互いに直交する2つの長孔を形成し、ハウジング壁側の2本のピンとスラストプレート側の2つの長孔を嵌合させることにより、ハウジング壁側に固定している。これにより、ピンの位置の製造公差を吸収してスラストプレートを確実且つ容易に取付けられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−288169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたスラストプレートの取付け構造では、スラストプレートの半径方向についてはスラストプレートの動きを規制できるが、スラストプレートの周方向については規制できず、可動スクロールの公転運動に伴ってピンと長孔の遊び分、スラストプレートが周方向に移動する虞れがある。このため、フロントハウジング内に収納されるスラストプレートの外周部とフロントハウジングの内周部との間の隙間管理が不十分だと、スラストプレート外周部とフロントハウジング内周部との衝突による異音の発生や、ピン及び長孔の摩耗による耐久性の低下が懸念される。
【0006】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、ピン及びピン嵌合部の摩耗及び異音を抑制可能なスラストプレート取付け構造を採用したスクロール型流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明のスクロール型流体機械は、自転阻止機構により自転が阻止された可動スクロールが固定スクロールに接しつつ公転し、前記固定スクロールと前記可動スクロールとの間に前記公転に伴って容積変化する密閉空間を形成するスクロールユニットを備え、前記可動スクロールの背面又はハウジング壁の一方に突設したピンに嵌合する嵌合部を設けたスラストプレートを、前記可動スクロールの背面と前記ハウジング壁との間に介在させたスクロール型流体機械であって、前記ピンを3本以上突設すると共に、前記ピンと同数の前記嵌合部のうち3つの嵌合部の形状を、スラストプレートの半径方向に延び且つスラストプレートの周方向で嵌め合い隙間が最小となる形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスクロール型流体機械によれば、可動スクロールの背面又はハウジング壁の一方に突設するピンの位置の製造公差を吸収してスラストプレートを確実且つ容易に取付けられる。また、ピンとスラストプレート側嵌合部との嵌め合い隙間が最小な箇所を3箇所としたので、可動スクロールの公転に伴ってスラストプレートが動くことを防止できると共に、ピンとスラストプレート側嵌合部との接触面圧を小さくでき、ピンやスラストプレート側嵌合部の摩耗を抑制できる。これにより、異音の発生を抑制できると共に、ピンとスラストプレート側嵌合部とのガタの増大を抑制でき、スラストプレート、延いては、スクロール型流体機械の耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態を示すスクロール型圧縮機の正面図。
【
図3】センターハウジング側から見たフロントハウジング側の構成図。
【
図5】第2実施形態のセンターハウジング側から見たフロントハウジング側の構成図。
【
図7】別形状の嵌合部を設けたスラストプレートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明に係るスクロール型流体機械は、圧縮機或いは膨張機のどちらでも使用することができるが、ここでは圧縮機の例で説明する。
【0011】
本発明の第1実施形態について
図1〜
図4により説明する。
図1〜
図4は、第1実施形態でのスクロール型圧縮機の全体構成を示しており、
図1は正面図、
図2は
図1のA−A矢視断面図、
図3はセンターハウジング側から見たフロントハウジング側の構成図、
図4はスラストプレートの平面図である。
【0012】
スクロール型圧縮機1は、中心軸方向に対向配置される固定スクロール2と可動スクロール3とを有するスクロールユニット4を備えている。
図2に示すように、固定スクロール2は、端板2a上に渦巻きラップ2bが一体に形成されてなる。可動スクロール3は、同様に、端板3a上に渦巻きラップ3bが一体に形成されてなる。
【0013】
両スクロール2、3は、両渦巻きラップ2b、3bを噛み合わせ、渦巻きラップ2bの突出側の端縁が端板3aに接触し、渦巻きラップ3bの突出側の端縁が端板2aに接触するように配設される。尚、両渦巻きラップ2b、3bの突出側の端縁にはチップシールが埋設されている。
【0014】
また、両スクロール2、3は、両渦巻きラップ2b、3bの周方向の角度が互いにずれた状態で、両渦巻きラップ2b、3bの側壁が互いに部分的に接触するように配設される。これにより、両渦巻きラップ2b、3b間に三日月状の密閉空間である流体ポケット5が形成される。
【0015】
可動スクロール3は、駆動機構10と自転阻止機構30により、固定スクロール2の中心軸回りに公転運動され、自転が阻止される。これにより、両渦巻きラップ2b、3b間に形成される流体ポケット5が、渦巻きラップ2b、3bの外端部から中心部へ向かって移動されることにより、流体ポケット5の容積が縮小方向に変化する。従って、渦巻きラップ2b、3bの外端部側から流体ポケット5内に取込まれた流体(例えば冷媒ガス)が圧縮される。
【0016】
尚、膨張機の場合には、流体ポケット5が逆に渦巻きラップ2b、3bの中心部から外端部へ向かって移動されることにより、流体ポケット5の容積が増大方向に変化し、渦巻きラップ2b、3bの中心部側から流体ポケット5内に取込まれた流体が膨張される。
【0017】
スクロール型圧縮機1のハウジングは、フロントハウジング6と、固定スクロール2を一体的に内包するセンターハウジング7と、その背面側に配置されるリアハウジング8とから構成されている。
【0018】
フロントハウジング6は、その内部に、可動スクロール3の駆動機構10を収容し、一端側に駆動機構10の駆動軸11を軸支する軸受12と軸シール部13が設けられている。他端側には、可動スクロール3をスラスト方向に支持するスラスト受け部(ハウジング壁)14が形成され、このスラスト受け部14と可動スクロール3の端板3bの背面との間に、後述するスラストプレート40が介在されている。尚、フロントハウジング6には、上記流体の吸入室(図示せず)が形成されており、フロントハウジング6の外壁に設けた吸入ポート15(
図1参照)を介して外部から吸入室へ上記流体が吸入される。
【0019】
センターハウジング7は、本実施形態では、固定スクロール2と一体に固定スクロール2の外殻シェルとして形成されている。但し、固定スクロール2とセンターハウジング7とを別部材として、センターハウジング7内に固定スクロール2を収容固定する構造としてもよい。センターハウジング7は、リア側が固定スクロール2の端板2bにより閉止され、フロント側が開口している。開口するフロント側は、スラスト受け部14側のフロントハウジング6外周部端面に接合し、図示しないボルトにより締結されている。
【0020】
リアハウジング8は、固定スクロール2の端板2aの背面側にボルト16により締結され、端板2aとの間に上記流体の吐出室17を形成している。端板2aの中心部には、可動スクロール3の公転運動により圧縮された流体ポケット5内の上記流体を吐出室17へ導入する吐出孔18が開設され、吐出孔18の出口側には一方向弁19が付設されている。また、リアハウジング8の外壁には、吐出室17から外部への上記流体の吐出ポート20(
図1参照)が設けられている。
【0021】
上記流体は、フロントハウジング6に設けられた吸入ポート15からフロントハウジング6内に導入され、スクロールユニット4の固定スクロール2と可動スクロール3間に形成される流体ポケット5内に取込まれ、圧縮に供される。圧縮された流体は、固定スクロール2の端板2aの中央部に穿設された吐出孔18から、リアハウジング8内の吐出室17に吐出され、そこから吐出ポート20を介して外部に導出される。
【0022】
フロントハウジング6に収容される駆動機構10は、例えば特開2012−237288号公報等に記載されているように、外部から入力される回転駆動力により回転駆動される駆動軸11にクランク機構を設け、このクランク機構を介して可動スクロール3に連結されている。
【0023】
駆動機構10は、軸受12により回転自在に軸支されている駆動軸11の一端側はフロントハウジング6の外に突出しており、ここに電磁クラッチ21を介してプーリ22が取付けられている。従って、プーリ22から電磁クラッチ21を介して入力される回転駆動力により、駆動軸11が回転駆動される。駆動軸11の他端側に設けられるクランク機構は、フロントハウジング6の内周壁に軸受23を介して軸支されるクランク24と、このクランク24に駆動軸11の中心軸に対して偏心させて取付けられる偏心ブッシュ25と、を備えて構成され、偏心ブッシュ25は、可動スクロール3の端板3bの背面に突出形成された円筒状のボス部26の内部に軸受27を介して嵌合している。クランク機構には、バランサウエイト28が取付けられている。
【0024】
従って、駆動軸11の回転によりクランク機構を介して可動スクロール3は旋回し、可動スクロール3は、後述の自転阻止機構30により自転が阻止され、可動スクロール3は、固定スクロール2の中心軸周りに公転旋回運動する。
【0025】
フロントハウジング6のスラスト受け部14と可動スクロール3の端板3bの背面との間に介在されるスラストプレート40は、フロントハウジング6のスラスト受け部14に可動スクロール3の背面に向けて3本以上、例えば4本突設されたピン31にそれぞれ嵌合する4つの嵌合部である切欠部41a〜41dを有し、
図3に示すように、各ピン31に各切欠部41a〜41dを嵌合させることにより、スラスト受け部14側に固定されている。スラストプレート40の4つの切欠部41a〜41dは、
図4に示すように、スラストプレート40の半径方向に延び且つスラストプレート40の内周側に開口する形状である。そして、4つの切欠部41a〜41dのうち3つの切欠部41a〜41cの形状は、スラストプレート40の周方向でピン31との嵌め合い隙間が最小となる形状であり、残りの1つの切欠部41dは、ピン31との嵌め合い隙間が3つの切欠部41a〜41cより大きい形状である。
【0026】
自転阻止機構30は、ピン&ホール方式の自転阻止機構であり、可動スクロール3の端板3aの背面の外周部寄りに複数形成された円形穴32に係合ピンを係合させ、可動スクロール3が固定スクロール2の軸心周りに旋回する際に、可動スクロール3の自転を阻止する構成であり、前記円形穴32を周方向に略等間隔で4つ形成し、前記係合ピンを、スラストプレート40の固定用の前記ピン31で代用している。
【0027】
かかる構成において、スラストプレート40をスラスト受け部14に取付ける場合、切欠部41a〜41dが半径方向に延びた形状であるので、スラストプレート40の中心から各ピン31までの距離のばらつきは、スラストプレート40を切欠部41a〜41dの延び方向(スラストプレートの半径方向)にずらすことで吸収できる。また、スラストプレート40の周方向におけるピン41の位置ずれも、1つの切欠部41dのピン41との嵌合隙間を大きくして切欠部41dとピン31との嵌合が遊びのある遊嵌状態としたことにより吸収できる。このため、ピン31の位置の製造公差を吸収して各ピン31にスラストプレート40の切欠部41a〜41dを確実且つ容易に嵌合させることができる。
【0028】
更に、ピン31と3箇所の切欠部41a〜41cとのスラストプレート40の周方向における嵌め合い隙間を最小としたので、可動スクロール3の公転運動に伴ってスラストプレート40が動くことを防止できると共に、スラストプレートの回転阻止部が2箇所の従来の取付け構造と比較して、スラストプレート40の回転阻止力をより一層分散でき、ピン31と切欠部41a〜41dの接触面圧を小さくできる。従って、ピン31や切欠部41a〜41dの摩耗を抑制でき、ピン31と切欠部41a〜41dとのガタの増大を抑制でき、スラストプレート40、延いては、スクロール型圧縮機1の耐久性が向上できる。また、可動スクロール3の公転運動に伴うスラストプレート40の移動を防止できるので、スラストプレート40外周部とフロントハウジング6内周部との衝突の発生を防止でき、異音の発生を防止できる。また、スラストプレート40側の嵌合部を切欠部41a〜41dとしたので、スラストプレート40を製造に際して、プレート内周部と嵌合部(切欠部41a〜41d)を一体の金型でプレス成形することが可能となり、スラストプレート40、延いてはスクロール型圧縮機1の生産性が向上する。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態を
図5及び
図6に示し説明する。
第2実施形態は、3本のピンでスラストプレートを位置決め固定するものである。
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、フロントハウジング6のスラスト受け部14に3本のピン31を、周方向に略等間隔で突設する。一方、本実施形態のスラストプレート50は、3本のピン31にそれぞれ嵌合する3つの嵌合部である切欠部51a〜51cが形成されている。スラストプレート50の3つの切欠部51a〜51cは、第1実施形態の切欠部41a〜41cと同様で、
図6に示すように、スラストプレート50の半径方向に延び且つスラストプレート50の内周側に開口し、スラストプレート50の周方向でピン31との嵌め合い隙間が最小となる形状である。
【0030】
かかる第2実施形態の構成によれば、切欠部51a〜51cが半径方向に延びた形状であるので、2つの切欠部をピン31に嵌合させた状態で、スラストプレート50をその周方向にずらすことができる。従って、ピン31の位置の製造公差を吸収して各ピン31にスラストプレート50の切欠部51a〜51cを確実且つ容易に嵌合させることができる。そして、ピン31と3箇所の切欠部51a〜51cとのスラストプレート50の周方向における嵌め合い隙間を最小としたので、可動スクロール3の公転運動に伴ってスラストプレート50が動くことを防止できる。また、第1実施形態と同様に、ピン31と切欠部51a〜51cの接触面圧を小さくでき、ピン31や切欠部51a〜51cの摩耗が抑制され、ピン31と切欠部51a〜51cとのガタの増大を抑制でき、スラストプレート50、延いては、スクロール型圧縮機1の耐久性が向上できる。また、スラストプレート50外周部とフロントハウジング6内周部との衝突の発生を防止でき異音の発生を防止できる。また、スラストプレート50側の嵌合部を切欠形状としたので、プレート内周部と嵌合部(切欠部51a〜51c)を一体の金型でプレス成形でき、スラストプレート50、延いてはスクロール型圧縮機1の生産性が向上する。
【0031】
上記各実施形態では、スラストプレートの嵌合部を切欠形状としたが、
図7に示すように、スラストプレート60の半径方向に延びた長孔61a〜61dとしてもよい。
図7は、嵌合部を4つ形成した例であるが、嵌合部が3つの場合も同様な長孔でもよいことは言うまでもない。尚、長孔の3つ以上は、スラストプレートの周方向で嵌め合い隙間が最小となる形状とすることは言うまでもない。
【0032】
また、上記各実施形態では、スラストプレート固定用のピン31をフロントハウジング6のスラスト受け部14に形成したが、可動スクロール3の端板3aの背面に、スラスト受け部14方向に向けて突設してもよい。この場合、自転阻止機構30の円形穴32は、スラスト受け部14に形成する。尚、ピン31を自転阻止機構30の係合ピンとして代用する場合には、ピン31の突入長さが可動スクロール3の端板3aの厚さで規制されるので、ピン31が抜け落ちるリスクを回避するためには可動スクロール3の端板3aを十分厚くする必要があり、スクロールユニット4の重量増を招く。従って、本実施形態のように、ピン31はフロントハウジング6側に突設する構成が好ましい。
【符号の説明】
【0033】
1 スクロール型圧縮機
2 固定スクロール
3 可動スクロール
4 スクロールユニット
5 流体ポケット(密閉空間)
10 駆動機構
14 スラスト受け部(ハウジング壁)
11 駆動軸
12,23,27 軸受
24 クランク
25 偏心ブッシュ
26 ボス部
30 自転阻止機構
31 ピン
32 円形穴
40,50,60 スラストプレート
41a〜41d,51a〜51c 切欠部
61a〜61d 長孔