(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291869
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】詰替え容器
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20180305BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
B65D33/38
B65D33/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-15532(P2014-15532)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-140212(P2015-140212A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】雉鳥 紗希
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−213408(JP,A)
【文献】
特開2010−228770(JP,A)
【文献】
特開2010−001042(JP,A)
【文献】
特開平11−310254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ基材とシーラント層を有する表面積層体及び裏面積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁を熱シールしてなる詰替え容器であって、
上下の注出ノズルシール部によって、容器の収納部から斜め上方に突出するように形成された注出ノズル部を有し、
注出ノズル部は、その先端が熱シールされて注出ノズル先端シール部を形成しており、
注出ノズル部を形成する表面積層体及び裏面積層体には、積層体の裂け目を誘導して注出口を開口するための開封誘導線がそれぞれ2本ずつ形成されており、
1本の開封誘導線は、注出ノズル先端シール部の外縁から内縁の1点までと上側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、他の1本の開封誘導線は、前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点と下側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、
表面積層体及び裏面積層体の、前記上下の注出ノズルシール部の開口位置を結ぶ線上には、エンボスが形成されており、
前記2本の開封誘導線は、該エンボスを避けるように形成されていることを特徴とする詰替え容器。
【請求項2】
それぞれ基材とシーラント層を有する表面積層体及び裏面積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁を熱シールしてなる詰替え容器であって、
上下の注出ノズルシール部によって、容器の収納部から斜め上方に突出するように形成された注出ノズル部を有し、
注出ノズル部は、その先端が熱シールされて注出ノズル先端シール部を形成しており、
注出ノズル部を形成する表面積層体及び裏面積層体には、積層体の裂け目を誘導して注出口を開口するための開封誘導線がそれぞれ2本ずつ形成されており、
1本の開封誘導線は、注出ノズル先端シール部の内縁の1点と上側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、他の1本の開封誘導線は、前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点と下側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、
表面積層体及び裏面積層体の、前記上下の注出ノズルシール部の開口位置を結ぶ線上には、エンボスが形成されており、
前記2本の開封誘導線は、該エンボスを避けるように形成されており、
前記注出ノズル先端シール部の外縁に、積層体の裂け目を前記2本の開封誘導線に導く開封ノッチが設けられており、該開封ノッチを挟むように注出ノズル先端シール部の上下
を持って、該開封ノッチから前記上下の注出ノズルシール部の開口位置に至る開封誘導線に沿って、注出口を開封できるようにしたことを特徴とする詰替え容器。
【請求項3】
それぞれ基材とシーラント層を有する表面積層体及び裏面積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁を熱シールしてなる詰替え容器であって、
上下の注出ノズルシール部によって、容器の収納部から斜め上方に突出するように形成された注出ノズル部を有し、
注出ノズル部は、その先端が熱シールされて注出ノズル先端シール部を形成しており、
注出ノズル部を形成する表面積層体及び裏面積層体には、積層体の裂け目を誘導して注出口を開口するための開封誘導線がそれぞれ2本ずつ形成されており、
1本の開封誘導線は、注出ノズル先端シール部の内縁の1点と上側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、他の1本の開封誘導線は、前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点と下側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、
表面積層体及び裏面積層体の、前記上下の注出ノズルシール部の開口位置を結ぶ線上には、エンボスが形成されており、
前記2本の開封誘導線は、該エンボスを避けるように形成されており、
前記上下の注出ノズルシール部の前記開口位置に相対する外縁にそれぞれ開封ノッチが設けられており、それぞれの開封ノッチから出発した積層体の裂け目が、前記開口位置から前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点に至る開封誘導線に沿って進み、注出口を開封できるようにしたことを特徴とする記載の詰替え容器。
【請求項4】
前記2本の開封誘導線に平行する複数本の補助開封誘導線を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤、シャンプー、リンスなどのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品等を収納する詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤や柔軟仕上げ剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品は、それぞれ使いやすいような形状の専用容器に収納されている。専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階で、繰り返し使用することができるように、内容物のみを詰替える詰替え容器入りの製品が別途販売されていることが多い。
【0003】
例えば液体洗剤の容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、計量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用容器として用いられている。この容器に対して、内容物を補充するための詰め替え用の製品としては、なるべくコストを低くするために、軟包装フィルムからなる柔軟な容器が一般的に使用されている。
【0004】
詰替え容器としては、内容物の取出しが容易で、最後まで安定した流れを保ちながら内容物を取り出すことが求められており、従来では、注出口部に予め合成樹脂製などの中空円筒状ノズルを取り付けるようにしたもの(特許文献1)や、注出口部のフィルムを盛り上げた形状にして注出経路となる空間部を予め形成したもの(特許文献2)が提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された容器の場合、容器の製造工程でノズルを付加する特別な工程が必要なため、コストアップの原因となる。また特許文献2に記載された容器では、注出部が折れ曲り易く、注出時に内容物が通る注出経路が安定しなくなる欠点があった。
【0006】
すなわち、注ぎ口の根本部分に凹みエンボス部を複数形成することによって流路が形成された容器は、エンボス部の深さが小さすぎると、内容物の流れが堰き止められ、逆に深さが大きすぎると流路は十分に確保されるが、得られた容器の注ぎ口の根本部分が変形した状態となり、梱包が不安定となったり、充填包装機適性が悪くなったりした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−195457号公報
【特許文献2】特開2011−162212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の詰替え容器における問題点の原因の一つとしては、
図6に示したように、注ぎ口が両側シール部を直線的に結んだ切り方となる形状をしており、注ぎ口の両端がシールされているため、注出過程において表裏の2枚の軟包装フィルムが閉塞しやすいという問題が挙げられる。
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、注出経路の両端がシールされている詰替え容器において、梱包適性や充填包装機適性が良好であり、かつ注出経路の閉塞しにくい詰替え容器
を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、それぞれ基材とシーラント層を有する表面積層体及び裏面積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁を熱シールしてなる詰替え容器であって、
上下の注出ノズルシール部によって、容器の収納部から斜め上方に突出するように形成された注出ノズル部を有し、
注出ノズル部は、その先端が熱シールされて注出ノズル先端シール部を形成しており、
注出ノズル部を形成する表面積層体及び裏面積層体には、積層体の裂け目を誘導して注出口を開口するための開封誘導線がそれぞれ2本ずつ形成されており、
1本の開封誘導線は、注出ノズル先端シール部の
外縁から内縁の1点
までと上側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、他の1本の開封誘導線は、前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点と下側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、
表面積層体及び裏面積層体の、前記上下の注出ノズルシール部の開口位置を結ぶ線上には、エンボスが形成されており、
前記2本の開封誘導線は、該エンボスを避けるように形成されていることを特徴とする詰替え容器である。
【0011】
本発明に係る詰替え容器は、開口位置を結ぶ線上に、エンボスが形成されており、2本の開封誘導線が、エンボスを避けるように形成されているので、開封後の注出口には、開口位置にエンボスが切断されずに残っており、しかも開口位置よりも突出した表面積層体及び裏面積層体が開きやすいため注出口が閉塞しにくく、注出性が良好である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、
それぞれ基材とシーラント層を有する表面積層体及び裏面積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁を熱シールしてなる詰替え容器であって、
上下の注出ノズルシール部によって、容器の収納部から斜め上方に突出するように形成された注出ノズル部を有し、
注出ノズル部は、その先端が熱シールされて注出ノズル先端シール部を形成しており、
注出ノズル部を形成する表面積層体及び裏面積層体には、積層体の裂け目を誘導して注出口を開口するための開封誘導線がそれぞれ2本ずつ形成されており、
1本の開封誘導線は、注出ノズル先端シール部の内縁の1点と上側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、他の1本の開封誘導線は、前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点と下側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、
表面積層体及び裏面積層体の、前記上下の注出ノズルシール部の開口位置を結ぶ線上には、エンボスが形成されており、
前記2本の開封誘導線は、該エンボスを避けるように形成されており、
前記注出ノズル先端シール部の外縁に、積層体の裂け目を前記2本の開封誘導線に導く開封ノッチが設けられており、該開封ノッチを挟むように注出ノズル先端シール部の上下を持って、該開封ノッチから前記上下の注出ノズルシール部の開口位置に至る開封誘導線に沿って、注出口を開封できるようにしたことを特徴とす
る詰替え容器である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、
それぞれ基材とシーラント層を有する表面積層体及び裏面積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁を熱シールしてなる詰替え容器であって、
上下の注出ノズルシール部によって、容器の収納部から斜め上方に突出するように形成された注出ノズル部を有し、
注出ノズル部は、その先端が熱シールされて注出ノズル先端シール部を形成しており、
注出ノズル部を形成する表面積層体及び裏面積層体には、積層体の裂け目を誘導して注出口を開口するための開封誘導線がそれぞれ2本ずつ形成されており、
1本の開封誘導線は、注出ノズル先端シール部の内縁の1点と上側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、他の1本の開封誘導線は、前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点と下側の注出ノズルシール部の開口位置を通り、
表面積層体及び裏面積層体の、前記上下の注出ノズルシール部の開口位置を結ぶ線上には、エンボスが形成されており、
前記2本の開封誘導線は、該エンボスを避けるように形成されており、
前記上下の注出ノズルシール部の前記開口位置に相対する外縁にそれぞれ開封ノッチが設けられており、それぞれの開封ノッチから出発した積層体の裂け目が、前記開口位置から前記注出ノズル先端シール部の内縁の1点に至る開封誘導線に沿って進み、注出口を開封できるようにしたことを特徴とす
る記載の詰替え容器である。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記2本の開封誘導線に平行する複数本の補助開封誘導線を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰替え容器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る詰替え容器は、注出ノズルの開口位置を結ぶ線上に、エンボスが形成されており、2本の開封誘導線が、エンボスを避けるように形成されているので、開封後の注出口には、開口位置にエンボスが切断されずに残っている。また開口位置よりも突出した表面積層体及び裏面積層体が両端のシール部によって引張られることがなく、開きやすい状態で存在するため注出口が閉塞しにくく、注出性が良好である。
【0016】
また、エンボスの深さをあまり深くしなくても、良好な注出性が得られることから、包装袋の梱包性や、充填機適性を損うことがない。
【0017】
請求項2に記載の発明のように、注出ノズル先端シール部の外縁に、開封ノッチを設け、注出ノズル先端シール部の上下を持って、開封ノッチから前記開封誘導線に沿って、注出口を開封できるようにした場合には、1動作で開封ができ、迅速に開封できる。
【0018】
請求項3に記載の発明のように、上下の注出ノズルシール部の外縁にそれぞれ開封ノッチを設け、それぞれの開封ノッチから開封誘導線に沿って注出口を開封できるようにした場合には、開封動作は2回になるが、より確実に開封することができる。
【0019】
またさらに、注出ノズル先端シール部と、上下の注出ノズルシール部に開封ノッチを設け、どの開封ノッチからでも注出口を開封できるようにした場合には、前記2方向からのいずれの開封方法も可能である他、注出ノズル先端シール部から1動作で開封した場合に、万一開封に失敗した場合であっても、残った部分を逆方向から切り取ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明のように、2本の開封誘導線に平行する複数本の補助開封誘導線を設けた場合においては、開封ノッチから出発した積層体の裂け目が、より確実に開封誘導線または、補助開封誘導線に誘導される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係る詰替え容器の一実施態様を示した平面模式図である。
【
図2】
図2(1)は、
図1に示した詰替え容器の注出ノズル部を拡大した説明図である。
図2(2)は、
図2(1)のA−A’断面を示した断面模式図である。
図2(3)は、
図2(1)の注出ノズル部を開封した状態を示した説明図である。
【
図3】
図3(1)は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様における注出ノズル部の拡大説明図である。
図3(2)は、
図3(1)の注出ノズル部を開封した状態を示した説明図である。
【
図4】
図4(1)は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様における注出ノズル部の拡大説明図である。
図4(2)は、
図4(1)の注出ノズル部を開封した状態を示した説明図である。
【
図5】
図5(1)、
図5(2)は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様における注出ノズル部の拡大説明図である。
【
図6】
図6(1)は、従来の詰替え容器の注出ノズル部の例を示した拡大説明図である。
図6(2)は、
図6(1)の開口位置における断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る詰替え容器について詳細に説明する。
本発明に係る詰替え容器(1)は、
図1に示したように、基材とシーラント層を有する表面積層体(2)及び、同様に基材とシーラント層を有する裏面積層体(3)のシーラント層同士を対向させて、周縁を熱シールしてなる詰替え容器である。
【0023】
図1に示した実施態様においては、容器の容量を拡大するとともに自立性を与えるために、同様の構成からなる底テープ(4)が、シーラント層を外側にして2つ折りにされた状態で、表面積層体と裏面積層体の間に挿入され、サイドシール部(16)とボトムシール部(17)が熱シールされている。
【0024】
詰替え容器(1)には、充填用開口部(9)から内容物を充填し、熱シールすることにより、詰め替え用製品が完成する。
【0025】
詰替え容器(1)は、上側注出ノズルシール部(6)と下側注出ノズルシール部(7)
とによって、容器の収納部から斜め上方に突出するように注出ノズル部(5)が形成されており、注出ノズル部(5)の先端は、熱シールされて注出ノズル先端シール部(8)を形成している。
【0026】
注出ノズル部(5)を形成する表面積層体(2)及び裏面積層体(3)には、開封時に積層体の裂け目を誘導して注出口を開口するために、それぞれ2本の開封誘導線(11、12)が形成されている。表裏面の開封誘導線は、ほぼ同じ位置に形成されている。
【0027】
2本の開封誘導線のうち、1本の開封誘導線(11)は、
図2(1)に示したように、注出ノズル先端シール部(8)の内縁の1点(P)と上側注出ノズルシール部(6)の開口位置(15a)を通り、他の1本の開封誘導線(12)は、注出ノズル先端シール部(8)の同じ内縁の1点(P)と下側注出ノズルシール部(7)の開口位置(15b)を通るように形成されている。
【0028】
表面積層体(2)及び裏面積層体(3)の、前記上下の注出ノズルシール部の開口位置(15a、15b)を結ぶ線上には、エンボス(13)が形成されており、前記2本の開封誘導線(11、12)は、いずれもエンボス(13)を避けるように形成されている。
【0029】
なお、エンボス(13)は、表裏面の積層体のうち、いずれか1方のみに形成してもよいが、
図2(2)に示したように、両面ともに設ける方が効果的である。
【0030】
開封後の注出ノズル部(5)は、
図2(3)に示したように、開口位置に配置されたエンボス(13)が切断されることなく完全な状態で残存し、表裏面の積層体が開口位置よりも突出した状態で存在する。この突出した部分は、上下の注出ノズルシール部によって引張られることがないため、注出時に閉塞しにくいのである。
【0031】
この詰替え容器を開封するには、
図2(1)に示したように、注出ノズル先端シール部(8)の外縁に設けられた開封ノッチ(10a)を挟むように注出ノズル先端シール部の上下を持って開封方向(14)に示した矢印の方向に引き裂くことにより、開封誘導線(11、12)に沿って、1動作で注出口を開口することができる。
【0032】
図3(1)は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様における注出ノズル部(5)の拡大説明図である。この実施態様においては、上下の注出ノズルシール部(6、7)の開口位置に相対する外縁にそれぞれ開封ノッチ(10b、10c)が設けられており、それぞれの開封ノッチから出発した積層体の裂け目が、開口位置(15a、15b)から注出ノズル先端シール部の内縁の1点(P)に至る開封誘導線(11、12)に沿って進み、注出口を開封できるようにしたものである。
【0033】
このように、
図2(1)に示した例とは、逆方向の開封方向(14)となることにより、開封動作は、2動作必要となるが、より確実に開封することができる。なお、
図3(2)に示したように、開封後の注出ノズル部(5)の形状は、
図2(3)の場合と同じである。
【0034】
図4(1)に示した実施態様は、注出ノズル先端シール部(8)と、上下の注出ノズルシール部(6、7)に開封ノッチ(10a、10b、10c)が設けられており、どの開封ノッチからでも注出口を開封できるようにしたものである。
【0035】
このようにすることにより、例えば注出ノズル先端シール部(8)に設けた開封ノッチ(10a)から開封した場合に、裂け目が開封誘導線(11)のみに走ってしまい、左側が開封されずに残ってしまった場合であっても、開封ノッチ(10c)から開封して残っ
た部分を除去することができる。
【0036】
図5(1)、及び
図5(2)は、本発明に係る詰替え容器における他の実施態様を示した説明図である。
図5(1)に示した例では、開封誘導線(11、12)に平行して、補助開封誘導線(11c、12c)を2本ずつ設けたものである。このようにすることにより、開封ノッチ(10a)の位置が多少ずれたとしても、開封ノッチから出発した積層体の裂け目が確実に開封誘導線または、補助開封誘導線に導かれ、開封が円滑に行われる。
【0037】
また、
図5(2)に示した例では、開封誘導線(11、12)の開始部分をY字状に交叉させたものである。このようにすることによっても、開封ノッチ(10a)から出発した積層体の裂け目が、より確実に点(P)に到達する。
【0038】
本発明に係る詰替え容器(1)に使用する積層体としては、通常軟包装袋に使用される積層体を用いることができる。基材としては、1層ないしは数層からなる合成樹脂フィルムや金属箔を使用する。一例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルムおよび金属箔等が単体または、複合して使用される。基材には、必要に応じて印刷層や接着剤層が含まれる。
【0039】
シーラント層としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0040】
積層体の具体的な構成例としては、PET/印刷層/接着剤層/延伸ポリアミド樹脂フィルム(以下ONYと略す)/接着剤層/LLDPEからなる構成のフィルムや、ONY/接着剤層/LLDPE、ONY/接着剤層/ONY/接着剤層/LLDPEなどが挙げられる。
【0041】
積層体に形成する開封誘導線は、表面積層体(2)および裏面積層体(3)の外側面に連続して設けたハーフカット線であることが好ましい。ハーフカット線を形成する方法としては、ダイカッター等の刃物による方法とレーザーを用いる方法がある。レーザーを用いる場合、レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーが好ましい。
【符号の説明】
【0042】
1・・・詰替え容器
2・・・表面積層体
3・・・裏面積層体
4・・・底テープ
5・・・注出ノズル部
6・・・上側注出ノズルシール部
7・・・下側注出ノズルシール部
8・・・注出ノズル先端シール部
9・・・充填用開口部
10、10a、10b、10c・・・開封ノッチ
11、12・・・開封誘導線
11c、12c・・・補助開封誘導線
P・・・注出ノズル先端シール部内縁の1点
13・・・エンボス
14・・・開封方向
15、15a、15b・・・開口位置
16・・・サイドシール部
17・・・ボトムシール部