(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
【0015】
現在の電子写真技術の領域では、長寿命で安価な装置が求められており、例えば、電子写真感光体(以下、感光体と称する場合がある)の最表層の厚膜化や直流のみを印加する帯電方式が採用されている。しかし、接触帯電方式による帯電手段を用いると感光体の帯電不良(帯電ノイズ)が発生しやすくなり、画像に不規則な色筋の画像欠陥として発生する場合がある。
【0016】
本発明者らは、帯電部材に直流電圧のみを印加して接触帯電方式により感光体を帯電させる場合に用いる帯電部材について交流インピーダンス法による測定を行った。その結果、1MHzから1mHzまでの範囲で交流インピーダンス法により測定したとき、
100Hz以上
10kHz未満の高周波抵抗成分が1.20×10
4Ω以上2.99×10
4Ω以下であり、かつ、
0.1Hz以上
10Hz以下の低周波抵抗成分が2.48×10
4Ω以上3.60×10
4Ω以下の範囲となる帯電部材を用いることで画像に色筋が発生することが抑制され、さらに帯電部材の表面層にポリアミド粒子、カーボンブラック、及びジメチルポリシロキサンを含有させた帯電ロールを用いることで色筋の発生が更に抑制されることを見出した。
【0017】
本実施形態に係る帯電部材を用いることで画像に色筋の発生が抑制される理由は以下のように推測される。
画像の色筋の発生は、電子写真感光体と帯電ロールの接触部前後の放電形態および放電量が起因していると考えられる。直流のみを印加する接触帯電方式の場合、帯電ロールの従動方向に対し、感光体との接触部よりも手前の部分の放電量が多く、接触部よりも後の部分の放電量が少ない場合、帯電ノイズが発生しやすくなり、色筋が顕在化する傾向がある。しかし、低周波抵抗成分と高周波抵抗成分がそれぞれ上記範囲のインピーダンスの帯電部材を用いることで接触部前後の放電形態が帯電ノイズが発生しにくい形態となり、結果として画像に色筋が発生することが抑制されると考えられる。
【0018】
[帯電部材]
本実施形態に係る帯電部材は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に配置された導電性弾性層と、前記導電性弾性層上に配置された表面層と、を有し、1MHzから1mHzまでの範囲で交流インピーダンス法により測定したときに、
100Hz以上
10kHz未満の高周波抵抗成分が1.20×10
4Ω以上2.99×10
4Ω以下であり、かつ、
0.1Hz以上
10Hz以下の低周波抵抗成分が2.48×10
4Ω以上3.60×10
4Ω以下である。
【0019】
本実施形態に係る帯電部材の形状は特に限定されず、ロール状、ブラシ状、ベルト(チューブ)状、ブレード状等の形状が挙げられる。これらのなかでも、本実施形態において説明するロール状の帯電部材が好ましく、則ち、いわゆる帯電ロールの形態が好ましい。以下、本実施形態に係る帯電部材の一例として、ロール状の帯電部材(以下、帯電ロールという場合がある)について主に説明する。
【0020】
なお、本明細書において導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm未満であることを意味し、半導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×10
10Ωcm以下であることを意味する。また、本明細書における体積抵抗率は、TREK製体積抵抗計MODEL152-1などによって測定される値である。
【0021】
図1は本実施形態に係る帯電部材の構成の一例を示している。
図1に示す帯電部材は、導電性支持体としての円筒状又は円柱状の棒状部材(シャフト)30と、シャフト30の外周面に配設された導電性弾性層31と、導電性弾性層31の外周面に配設された表面層32と、を有する帯電ロール208である。なお、シャフト30と導電性弾性層31は、接着層(図示省略)によって接着されている。
【0022】
(導電性支持体)
本実施形態における導電性支持体30は、帯電ロールの電極及び支持部材として機能するものであり、例えば、その材質としては、鉄(快削鋼等),銅,真鍮,ステンレス,アルミニウム,ニッケル等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質が挙げられる。
導電性支持体は、導電性の棒状部材であり、外周面にめっき処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。
導電性支持体30は、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0023】
(導電性弾性層)
導電性弾性層31は、導電性支持体(シャフト)30の外周面にロール状に配置されている。
導電性弾性層31は、例えば、弾性材料と、導電剤と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0024】
弾性材料としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR及びこれらのブレンドゴムが望ましく用いられる。これらの弾性材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0025】
導電剤としては、電子導電剤及びイオン導電剤が挙げられる。
電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。
イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
導電剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
ここで、カーボンブラックとして具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0027】
導電剤の平均粒子径としては、1nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、導電剤を電子顕微鏡で観察し、導電剤の100個の直径を測定し、その平均をとることで平均粒子径とする。
【0028】
導電性弾性層31における導電剤の添加量は特に制限はないが、電子導電剤の場合は弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが望ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより望ましい。
一方、イオン導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより望ましい。
【0029】
導電性弾性層31に配合されるその他添加剤としては、例えば、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)等の公知の導電性弾性層に添加され得る材料が挙げられる。
【0030】
導電性弾性層31の形成に際しては、導電性弾性層31を構成する導電剤、弾性材料、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤等の各成分)の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー又はVブレンダー等で混合し、押出機によって溶融混合して、押出成形する方法が挙げられる。
【0031】
導電性弾性層の厚みは、1mm以上10mm以下程度とすることが望ましく、2mm以上5mm以下程度とすることがより望ましい。
また、導電性弾性層の体積抵抗率は10
3Ωcm以上10
14Ωcm以下が望ましい。
【0032】
(表面層)
表面層32は主にトナー等による汚染の防止のために形成される層であり、結着樹脂中に粒子が分散されて形成されている。
【0033】
表面層32に用いられる結着樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース等が挙げられる。
【0034】
表面層32に含まれる粒子は、導電性材料を用いることで抵抗制御を行い、表面層32の抵抗値の環境変動を少なくし、安定した帯電特性を得ることや、ロール表面の凹凸を制御して感光体との摩擦係数を下げ、感光体相互の耐摩耗性を向上させる目的で用いられる。また、下の層(例えば導電性弾性層31)との接着性向上や結着樹脂中の粒子の分散を制御する目的で添加剤などを用いることができる。
【0035】
導電性の粒子としては、粒径が3μm以下で体積抵抗率が10
9Ωcm以下であるものが望ましい。たとえば、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物若しくはそれらの合金からなる粒子、又はカーボンブラック等を用いることができる。
その他の粒子としてフッ素系あるいはシリコーン系、アルミナやシリカ、ポリアミド系の粒子を用いることができ、粒径は3μm以上10μm以下であるものが望ましい。
【0036】
特に表面層32に含まれる導電性の粒子は、帯電ロールの体積抵抗率に影響し、目標とする体積抵抗率に応じて粒子の種類及び含有量を選択すればよい。通常は、表面層32に含まれる結着樹脂100質量部に対し、2質量部以上20質量部以下の範囲で導電性の粒子を配合する。
【0037】
なお、本実施形態における表面層は、色筋の発生を抑制するため、粒子としてカーボンブラック及びポリアミド粒子、添加剤としてジメチルシロキサンを含むことが望ましい。
【0038】
表面層32は、上記の結着樹脂及び粒子、さらに必要に応じて添加される添加剤を含む塗布液(表面層形成用塗布液)を導電性弾性層上に塗布して形成される。
表面層形成用塗布液の塗布方法としては、ロール塗布法、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
【0039】
表面層形成用塗布液を塗布した後、乾燥して表面層が形成される。乾燥温度は、例えば、80℃以上200℃以下である。
【0040】
表面層32の厚みは、5μm以上20μm以下程度とすることが望ましく、7μm以上13μm以下程度とすることがより望ましい。
また、表面層の体積抵抗率は1×10
3Ωcm以上1×10
14Ωcm以下が望ましい。
【0041】
(交流インピーダンス法による抵抗成分)
本実施形態に係る帯電ロールは、1MHzから1mHzまでの範囲で交流インピーダンス法により測定したとき、
100Hz以上
10kHz未満の高周波抵抗成分が1.20×10
4Ω以上2.99×10
4Ω以下であり、かつ、
0.1Hz以上
10Hz以下の低周波抵抗成分が2.48×10
4Ω以上3.60×10
4Ω以下となるように構成されている。
本実施形態における交流インピーダンス法による帯電ロールの各抵抗成分の測定については後述する実施例において説明する。
【0042】
本実施形態に係る帯電ロールの抵抗は、主に導電性弾性層及び表面層に含まれる導電剤の種類及び含有量のほか、表面層を塗布により形成するときの乾燥温度などによって調整される。具体的には、導電性弾性層の導電率は高周波抵抗成分への影響が大きく、表面層の導電率は低周波成分への影響が大きい。例えば、導電性弾性層における導電剤の含有量を多くするほど高周波抵抗成分の抵抗が小さくなり、表面層における導電剤の含有量を多くするほど低周波抵抗成分が小さくなる。また、表面層の乾燥温度が高いほど抵抗が小さくなる傾向がある。従って、導電性弾性層及び表面層に含まれる導電剤の種類及び含有量のほか、表面層を塗布により形成するときの乾燥温度を組み合わせて低周波抵抗成分及び高周波抵抗成分をそれぞれ上記範囲にすることができる。
【0043】
なお、画像の色筋の発生を抑制するため、
100Hz以上
10kHz未満の高周波抵抗成分が2.0×10
4Ω以上2.5×10
4Ω以下であり、かつ、
0.1Hz以上
10Hz以下の低周波抵抗成分が3.3×10
4Ω以上3.6×10
4Ω以下であることが好ましい。
【0044】
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、前記本実施形態に係る帯電部材を有し、前記帯電部材に直流電圧のみを印加する接触帯電方式により前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。
【0045】
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
【0046】
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0047】
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
【0048】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、前記本実施形態に係る帯電部材を備える部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る帯電部材を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、本実施形態に係る帯電部材以外に、例えば、電子写真感光体、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
【0049】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0050】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。
図2に示す画像形成装置200は、電子写真感光体1と、電源209に接続され、電子写真感光体1を帯電させるDC接触帯電方式の帯電装置(帯電手段)と、帯電装置により帯電された電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成する露光装置210(静電潜像形性手段)と、露光装置210により形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置211(現像手段)と、電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像を記録媒体500に転写する転写装置212(転写手段)と、転写後、電子写真感光体1の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213(トナー除去手段)と、記録媒体500に転写されたトナー像を記録媒体500に定着させる定着装置215(定着手段)と、を備える。
【0051】
なお、
図2に示す画像形成装置200は、感光体表面のトナー像が転写された後、感光体表面に残留した電荷を除去する除電手段を備えない、イレーズレス方式の画像形成装置である。一般的に、感光体表面に残留した電荷を除去する除電手段を備えていない場合に画像に色筋が生じ易いが、本実施形態に係る画像形成装置は、かかる除電手段を備えていなくても色筋の発生が抑制される。
【0052】
(電子写真感光体)
電子写真感光体1は特に限定されず、公知の電子写真感光体を用いることができる。例えば、導電性支持体上に、下引層、電荷発生層、電荷輸送層がこの順序で積層され、電荷発生層と電荷輸送層とが別個に設けられた機能分離型の感光層を備えた感光体が挙げられる。また、電荷発生層と電荷輸送層とが一体的に形成された感光層を有する機能一体型の感光体であってもよい。
また、感光体1は、下引層を備えていないものでもよいし、下引層と感光層との間に中間層を設けてもよいし、感光層上に電荷輸送材料を含む保護層を設けてもよい。
【0053】
なお、本実施形態に係る電子写真感光体1は、色筋の発生を抑制するとともに長寿命化の観点から、電荷輸送性を有する表面層の合計の厚みが24μm以上50μm以下であることが好ましく、28μm以上38μm以下であることがより好ましい。
【0054】
例えば、DC接触帯電方式の帯電手段を備えた画像形成装置において、最表面層として電荷輸送層を備える機能分離型の感光体を用いる場合、電荷輸送層の厚みが大きいほど長寿命化を図れる反面、色筋が発生し易くなる。また、第1の電荷輸送層上に、保護層として第1の電荷輸送層よりも摩耗が抑制される第2の電荷輸送層を備える場合も第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層(保護層)の合計の厚みが大きいほどさらに長寿命化を図れる一方、色筋が発生し易くなる。
機能一体型の感光体の場合も電荷輸送性を有する表面層の合計厚みが大きいほど、長寿命化を図れる反面、色筋が発生し易くなる。
【0055】
しかし、本実施形態に係る帯電ロールを用いれば、感光体の電荷輸送性を有する表面層の合計の厚みが24μm以上50μm以下であっても色筋が発生が抑制されるとともに長寿命化が図れる。なお、本実施形態において、感光体の電荷輸送性を有する表面層とは、機能分離型の感光層上に電荷輸送材料を含む保護層を有する場合は電荷輸送層と保護層との合計の厚みであり、機能一体型の感光層上に電荷輸送材料を含む保護層を有する場合は感光層と保護層との合計の厚みである。
【0056】
(帯電装置)
帯電装置は、前記した本実施形態に係る帯電ロール208を有し、直流電圧を印加して、電子写真感光体1の表面を帯電するDC接触帯電方式の帯電装置である。印加する電圧は、要求される感光体帯電電位に応じて、正又は負の50V以上2000V以下の直流電圧が挙げられる。
【0057】
また、帯電ロール208が感光体1に接触する圧力としては、例えば、250mgf以上600mgf以下の範囲が挙げられる。
【0058】
帯電ロール208を感光体1の表面に接触させることにより、帯電手段が駆動手段を有していなくても感光体1に従動して回転するが、帯電ロール208に駆動手段を取り付け、感光体1と異なる周速度で回転させてもよい。
【0059】
(露光装置)
露光装置210としては、公知の露光手段が用いられる。具体的には、例えば、半導体レーザ、LED(Light Emitting Diode)、液晶シャッター等の光源により露光する光学系装置等が用いられる。書きこみ時の光量としては、例えば、感光体表面上で0.5mJ/m
2以上5.0mJ/m
2の範囲が挙げられる。
【0060】
(現像装置)
現像装置211としては、例えば、キャリアとトナーとからなる現像剤が付着した現像ブラシ(現像剤保持体)を電子写真感光体1に接触させて現像させる二成分現像方式の現像手段、導電ゴム弾性体搬送ロール(現像剤保持体)上にトナーを付着させ電子写真感光体にトナーを現像する接触式一成分現像方式の現像手段等が挙げられる。
トナーとしては、公知のトナーであれば特に限定されない。具体的には、例えば、少なくとも結着樹脂が含まれ、必要に応じて着色剤、離型剤等が含まれたトナーであってもよい。
【0061】
トナーを製造する方法は、特に制約されるものではないが、例えば、通常の粉砕法、分散媒中で作製する湿式溶融球形化法、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法によるトナー製造法等が挙げられる。
【0062】
現像剤がトナーとキャリアとからなる二成分現像剤である場合、キャリアとしては特に制限はなく、例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物などの芯材のみからなるキャリア(ノンコートキャリア)、これら芯材の表面に樹脂層を設けた樹脂コートキャリア等が挙げられる。二成分現像剤では、例えばトナーとキャリアとの混合比(質量比)として、トナー:キャリア=1:100から30:100の範囲が挙げられ、3:100から20:100の範囲であってもよい。
【0063】
(転写装置)
転写装置212としては、ロール状の接触型帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、又はコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
【0064】
(トナー除去装置)
トナー除去装置213は、転写工程後の電子写真感光体1の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体1は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。トナー除去装置213としては、異物除去部材(クリーニングブレード)の他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等が用いられるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
なお、例えば感光体1の表面にトナーが残留しにくい場合など、残留トナーが問題にならない場合は、トナー除去装置213は設ける必要がない。
【0065】
画像形成装置200の基本的な作像プロセスについて説明する。
まず、帯電装置が感光体1の表面を、定められた電位に帯電させる。次に、帯電された感光体1の表面を、画像信号に基づいて、露光装置210によって露光して静電潜像を形成する。
次に、現像装置211の現像剤保持体上に現像剤が保持され、保持された現像剤が感光体1まで搬送され、現像剤保持体と感光体1とが近接(又は接触)する位置で静電潜像に供給される。これによって静電潜像は顕像化されてトナー像となる。
現像されたトナー像は、転写装置212の位置まで搬送され、転写装置212によって記録媒体500に直接転写される。
次いで、トナー像が転写された記録媒体500は、定着装置215まで搬送され、定着装置215によってトナー像が記録媒体500に定着される。定着温度としては、例えば100℃以上180℃以下が挙げられる。
一方、トナー像が記録媒体500に転写された後、転写されずに感光体1に残留したトナー粒子がトナー除去装置213との接触位置まで運ばれ、トナー除去装置213によって回収される。
以上のようにして、画像形成装置200による画像形成が行われる。次の画像形成を行う場合は、感光体1の表面の電荷を除去する工程を経ずに次の画像形成プロセスが行われる。
【0066】
<第2実施形態>
図3は第2実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。
図3に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体1a,1b,1c,1dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。例えば、感光体1aがイエロー、感光体1bがマゼンタ、感光体1cがシアン、感光体1dがブラックの色の画像をそれぞれ形成する。
図3に示す画像形成装置220でも、感光体表面のトナー像が転写された後、感光体表面に残留した電荷を除去する除電手段を備えない、イレーズレス方式の画像形成装置である。
【0067】
電子写真感光体1a,1b,1c,1dは、それぞれ一方向(紙面上は反時計回り)に回転し、その回転方向に沿って帯電ロール402a,402b,402c,402d、現像装置404a,404b,404c,404d、1次転写ロール410a,410b,410c,410d、クリーニングブレード415a,415b,415c,415dが配置されている。帯電ロール402a,402b,402c,402dは、それぞれ前記した本実施形態に係る帯電ロールであり、直流電圧のみを印加する接触帯電方式が採用されている。
【0068】
現像装置404a,404b,404c,404dはそれぞれトナーカートリッジ405a,405b,405c,405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを供給し、また、1次転写ロール410a,410b,410c,410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体1a,1b,1c,1dに接している。
【0069】
ハウジング400内にはレーザ光源(露光装置)403が配置されており、レーザ光源403から出射されたレーザ光を帯電後の電子写真感光体1a,1b,1c,1dの表面に照射する。
これにより、電子写真感光体1a,1b,1c,1dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニング(トナー等の異物除去)の各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。そして、中間転写ベルト409上にトナー像が転写された後の電子写真感光体1a,1b,1c,1dは、表面の電荷を除去する工程を経ずに次の画像形成プロセスが行われる。
【0070】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、背面ロール408及び支持ロール407によって張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転する。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して背面ロール408と接するように配置されている。背面ロール408と2次転写ロール413とに挟まれた位置を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406と対向して配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0071】
また、ハウジング400内には記録媒体を収容する容器411が設けられており、容器411内の紙などの記録媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413とに挟まれた位置、さらには相互に接する2個の定着ロール414に挟まれた位置に順次移送された後、ハウジング400の外部に排出される。
【0072】
上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよいし、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合、中間転写体の基材を構成する樹脂材料としては、公知の樹脂が用いられる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態にかかる記録媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。
【0074】
<プロセスカートリッジ>
本実施形態のプロセスカートリッジは、前記本実施形態に係る帯電部材を有し、帯電部材に直流電圧のみを印加する接触帯電方式(DC接触帯電方式)により電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段を備え、画像形成装置に着脱される構成を有する。
図4は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の基本構成を概略的に示している。このプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体1と、帯電ロールに直流電圧を印加して、電子写真感光体1の表面を帯電させるDC接触帯電方式の帯電装置のほか、露光により電子写真感光体1上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置211、転写後、電子写真感光体1の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213、及び、露光のための開口部218を、取り付けレール216を用いて組み合わせて一体化したものである。
【0075】
そして、このプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像を記録媒体500に転写する転写装置212と、記録媒体500に転写されたトナー像を記録媒体500に定着させる定着装置215と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成する。
本実施形態のプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体1、帯電装置、現像装置211、トナー除去装置213、及び露光のための開口部218のほかに、電子写真感光体1の表面を露光する露光装置(図示せず)を備えていてもよい。
【実施例】
【0076】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
[電子写真感光体の作製]
(感光体1)
−下引層の形成−
酸化亜鉛粒子(テイカ社製、平均粒子径:70nm、比表面積値:15m
2/g)60質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(表面処理剤)として、KBM603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)を酸化亜鉛粒子100質量部に対して1.25質量部添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて除去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子を得た。
【0078】
前記シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子100質量部と、電子受容性化合物としてアントラキノン1質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)22.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業社製)25質量部とを、メチルエチルケトン142質量部に溶解した。この溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.008質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)6.5質量部とを添加し、下引層形成用の塗布液を得た。
この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、24分の乾燥硬化を行い、厚さ26μmの下引層を得た。
【0079】
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用の塗布液を得た。
この電荷発生層形成用の塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
【0080】
−電荷輸送層の形成−
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒径:0.2μm)8質量部と、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量:30000)0.015質量部と、テトラヒドロフラン4質量部と、トルエン1質量部と、を20℃の液温に保って48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液Aを得た。
【0081】
次に、電荷輸送物質として、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4質量部と、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)6質量部と、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部と、を混合して、テトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部を混合溶解して、混合溶解液Bを得た。
【0082】
この混合溶解液Bに前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液Aを加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cm
2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返し、フッ素変性シリコーンオイル(商品名:FL−100 信越化学工業社製)を5ppmとなるように添加し、撹拌して電荷輸送層形成用の塗布液を得た。
この塗布液を電荷発生層上に塗布して140℃で25分間乾燥して厚さ28.0μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。このようにして得た電子写真感光体を感光体Aとした。
【0083】
(感光体B)
感光体Aの作製において、電荷輸送層の厚みを22μmに変更したこと以外は感光体Aと同様にして感光体Bを作製した。
【0084】
(感光体C)
感光体Aの作製において、電荷輸送層の厚みを48μmに変更したこと以外は感光体Aと同様にして感光体Cを作製した。
【0085】
[帯電ロールの作製]
<実施例1>
−導電性弾性層の形成−
・エピクロロヒドリンゴム(Gechron3106、日本ゼオン社製)
100質量部
・カーボンブラック(旭♯60、旭カーボン社製) 6質量部
・炭酸カルシウム(ホワイトンSB、白石カルシウム社製) 20質量部
・イオン導電剤(BTEAC、ライオン社製) 5質量部
・加硫促進剤:ステアリン酸(日油社製) 1質量部
・加硫剤:硫黄(パルノックR、大内新興化学社製) 1質量部
・加硫促進剤:酸化亜鉛 1.5質量部
【0086】
上記に示した組成の混合物をオープンロールで混練りし、SUS303により形成された直径8mmの金属シャフト(導電性支持体)の表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロール状の導電性弾性層を形成した。その後研磨により直径14mmの導電性弾性ロールAを得た。
【0087】
−表面層の形成−
・結着樹脂:N−メトキシメチル化ナイロン(商品名F30K、ナガセケムテックス社製) 100質量部
・粒子A:カーボンブラック(商品名:MONAHRCH1000、キャボット社製) 15質量部
・粒子B:ポリアミド粒子(ポリアミド12、アルケマ社製) 20質量部
・添加剤:ジメチルポリシロキサン(BYK−307、アルタナ社製) 1質量部
【0088】
上記組成の混合物をメタノールで希釈し、ビーズミルにて分散して得られた分散液を、前記導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、130℃で30分間加熱乾燥し、厚さ9μmの表面層を形成した。これにより、実施例1の帯電部材(帯電ロール)1を得た。
【0089】
<実施例2>
表面層の形成において、添加剤を0質量部とした以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の帯電ロール2を得た。
【0090】
<実施例3>
表面層の形成において、カーボンブラックを10質量部とした以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の帯電ロール3を得た。
【0091】
<実施例4>
表面層の形成において、加熱乾燥の温度を145℃とした以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の帯電ロール4を得た。
【0092】
<実施例5>
導電性弾性層の形成において、イオン導電剤を3.5質量部とした以外は実施例1と同様の方法で、実施例5の帯電ロール5を得た。
【0093】
<実施例6>
導電性弾性層の形成において、カーボンブラックを9質量部とした以外は実施例1と同様の方法で、実施例6の帯電ロール6を得た。
【0094】
<比較例1>
表面層の形成において、カーボンブラックを9質量部とした以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の帯電ロール7を得た。
【0095】
<比較例2>
表面層の形成において、加熱乾燥の温度を160℃とした以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の帯電ロール8を得た。
【0096】
<比較例3>
導電性弾性層の形成において、イオン導電剤を2質量部とした以外は実施例1と同様の方法で、比較例3の帯電ロール9を得た。
【0097】
<比較例4>
導電性弾性層の形成において、カーボンブラックを10質量部とした以外は実施例1と同様の方法で、比較例4の帯電ロール10を得た。
【0098】
上記実施例及び比較例で作製した帯電ロールの導電性弾性層と表面層の主な構成及び製造条件を表1に示す。なお、表1中、イオン導電剤とカーボンブラックに関する数値(質量部)は、各層における結着樹脂100質量部に対するそれぞれの配合量である。
【0099】
【表1】
【0100】
[交流インピーダンス測定]
−測定方法−
インピーダンスの測定には電源および電流計としてSI 1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ社製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ社製)を用いた。
インピーダンス測定用試料(上記実施例および比較例で得られた帯電ロール)における金属シャフトを陰極、帯電ロール表面に幅1.5cmのアルミプレートを一周巻き付けたものを陽極として、1Vp−pの交流電圧を周波数1MHzから1mHzまでの範囲で高周波側から印加し、各試料の交流インピーダンスを測定した。この測定より得られたCole−ColeプロットのグラフをRC並列の等価回路にフィッティングすることで体積抵抗率を得た。
【0101】
実施例及び比較例で作製した帯電ロールについて上記のように交流インピーダンス法により体積抵抗率の測定を行い、
100Hz以上
10kHz未満の高周波抵抗成分と
0.1Hz以上
10Hz以下の低周波抵抗成分を表2に示す。
【0102】
[色筋の評価]
色筋数は、帯電手段に直流電圧のみが印加された接触帯電手段を有するDocuCentre 505aの改造機に、上記作製した感光体Aと、上記実施例および比較例で得られた帯電ロールを組みこんで、高温高湿の条件下にて画像密度30%のA4ハーフトーン画像を出力し、プリントサンプル左上から縦94mm、横200mmの領域に発生した色筋の発生数を以下の基準で評価した。なお、ここで高温高湿とは、28℃、85RH(相対湿度)%の周辺環境である。評価結果を表2に示す。
【0103】
G0:未発生
G1:1箇所以上3箇所以下の色筋発生
G2:4箇所以上10箇所以下の色筋発生
G3:11箇所以上20箇所以下の色筋発生
G4:21箇所以上の色筋発生
【0104】
【表2】
【0105】
以上の評価結果より、実施例の帯電ロールでは、色筋の発生を抑制する事が確認できた。
【0106】
<実施例7>
実施例6と同様にして作製した帯電ロール11と、感光体Bを用い、実施例1と同様にして色筋の発生について評価を行った。
【0107】
<実施例8>
実施例6と同様にして作製した帯電ロール12と、感光体Cを用い、実施例1と同様にして色筋の発生について評価を行った。
【0108】
<比較例5>
比較例2と同様にして作製した帯電ロール13と、感光体Bを用い、実施例1と同様にして色筋の発生について評価を行った。
【0109】
<比較例6>
比較例2と同様にして作製した帯電ロール14と、感光体Cを用い、実施例1と同様にして色筋の発生について評価を行った。
【0110】
感光体と帯電ロールの組み合わせと評価結果を表3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
比較例2、5、6より、電荷輸送層の厚みが22μmである感光体Bよりも、電荷輸送層の厚みが28μmである感光体A、電荷輸送層の厚みが48μmである感光体Cを用いた方が画像に色筋が発生し易いことがわかる。
一方、実施例7、8では、感光体B、Cのいずれを用いた場合でも色筋の発生が抑制されたことがわかる。