(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6291968
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】空気式防舷材および空気式防舷材用口金具
(51)【国際特許分類】
E02B 3/26 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
E02B3/26 K
E02B3/26 D
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-71321(P2014-71321)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193988(P2015-193988A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】山田 周
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−076609(JP,A)
【文献】
特開2002−115768(JP,A)
【文献】
特開2000−088690(JP,A)
【文献】
特開2003−129446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/26
B63B 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状部の両端にボウル状の鏡部を連接した防舷材袋体と、前記鏡部の少なくとも一方に設けられた口金具と、この口金具に前記防舷材袋体の内部空間の内圧が限界圧力に上昇した際に開弁して防舷材袋体の内部空間を外気に連通させて前記内圧を低下させる安全弁と、前記防舷材袋体の内部空間と外気とを連通させる連通路と、この連通路を開閉する開閉バルブとが設けられた空気式防舷材において、
前記口金具に、前記安全弁を前記防舷材袋体の内部空間と隔絶させる収容室と、この収容室を構成する隔壁に形成されて前記収容室の内部空間と前記防舷材袋体の内部空間を連通させる貫通孔と、この貫通孔を開閉する開閉弁と、この貫通孔を閉口する方向に前記開閉弁を常時付勢する付勢部材と、前記収容室の内部空間と外気とを連通させる収容室連通路と、この収容室連通路を開閉する収容室開閉バルブとを備え、前記防舷材袋体の内部空間の内圧が前記限界圧力未満で、所定の初期内圧に許容圧力を加えた基準圧力を超えた場合に、前記貫通孔を閉口していた前記開閉弁が開弁して前記貫通孔を開口した状態にする構成にしたことを特徴とする空気式防舷材。
【請求項2】
前記許容圧力が前記所定の初期内圧の5%以上20%以下に設定された請求項1に記載の空気式防舷材。
【請求項3】
前記付勢部材がコイルスプリングである請求項1または2に記載の空気式防舷材。
【請求項4】
前記安全弁と前記貫通孔とが前記防舷材袋体の筒軸方向に配置され、かつ、前記安全弁と前記貫通孔とが同軸線上にあり、前記開閉弁が前記筒軸方向に移動して前記貫通孔を開閉する構成である請求項1〜3のいずれかに記載の空気式防舷材。
【請求項5】
防舷材袋体の内部空間の内圧が限界圧力に上昇した際に開弁して防舷材袋体の内部空間を外気に連通させて前記内圧を低下させる安全弁と、前記防舷材袋体の内部空間と外気とを連通させる連通路と、この連通路を開閉する開閉バルブとを備えて、前記防舷材袋体を構成するボウル状の鏡部に取付けられる空気式防舷材用口金具において、
前記安全弁を前記防舷材袋体の内部空間と隔絶させる収容室と、この収容室を構成する隔壁に形成されて前記収容室の内部空間と前記防舷材袋体の内部空間を連通させる貫通孔と、この貫通孔を開閉する開閉弁と、この貫通孔を閉口する方向に前記開閉弁を常時付勢する付勢部材と、前記収容室の内部空間と外気とを連通させる収容室連通路と、この収容室連通路を開閉する収容室開閉バルブとが設けられ、前記防舷材袋体の内部空間の内圧が前記限界圧力未満で、所定の初期内圧に許容圧力を加えた基準圧力を超えた場合に、前記貫通孔を閉口していた前記開閉弁が開弁して前記貫通孔を開口した状態にする構成にしたことを特徴とする空気式防舷材用口金具。
【請求項6】
前記許容圧力が前記所定の初期内圧の5%以上20%以下に設定された請求項5に記載の空気式防舷材用口金具。
【請求項7】
前記付勢部材がコイルスプリングである請求項5または6に記載の空気式防舷材用口金具。
【請求項8】
前記安全弁と前記貫通孔とが前記防舷材袋体の筒軸方向に配置され、かつ、前記安全弁と前記貫通孔とが同軸線上にあり、前記開閉弁が前記筒軸方向に移動して前記貫通孔を開閉する構成である請求項5〜7のいずれかに記載の空気式防舷材用口金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気式防舷材および空気式防舷材用口金具に関し、さらに詳しくは、使用状態にある空気式防舷材に対して、安全弁の取外し取付け作業および安全弁の開弁圧力の確認試験を行なうことを可能にしてこれら作業に要する労力および時間を大幅に低減させてメンテナンス性を著しく向上させることができる空気式防舷材および空気式防舷材用口金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気式防舷材は、防舷材袋体の内部空間に空気を密封して衝撃緩和等の所定性能を得るようにしている。過剰に圧縮された場合に、防舷材袋体を密閉したままの状態にすると、内部空間の内圧が予め設定している限界圧力を超えて上昇して破損する危険性がある。そこで、防舷材袋体に設けられた口金具には、防舷材袋体の内部空間の内圧が限界圧力を超えた場合に、この内部空間を外気に連通させる安全弁が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この安全弁は、開弁圧力の確認テストや清掃等のメンテナンスのために、定期的(例えば、1年〜3年周期)に口金具から取り外す。防舷材袋体の内部空間に空気が充填されて所定の内圧になっている使用状態にある空気式防舷材の口金具から安全弁を取り外そうとすれば、内部空間から空気が急激に噴出するので安全弁の取り外しは不可能である。そのため、防舷材袋体の内部空間から空気を十分に排出させた後に安全弁の取り外し作業をしている。即ち、安全弁を口金具から取り外すには、使用中の空気式防舷材を陸上や船上等に引き揚げ、次いで、空気を排出させる作業を行なう。取り外した安全弁の開弁圧力の確認テストや清掃等を完了した後は、再び安全弁を口金具に取付けて、防舷材袋体の内部空間に空気を充填し、空気式防舷材を所定位置に設置する作業が必要になる。それ故、口金具に対して、安全弁を取外しおよび取付けしてメンテナンスするには多大な工数および時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−129446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、使用状態にある空気式防舷材に対して、安全弁の取外し取付け作業および安全弁の開弁圧力の確認試験を行なうことを可能にしてこれら作業に要する労力および時間を大幅に低減させてメンテナンス性を著しく向上させることができる空気式防舷材および空気式防舷材用口金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の空気式防舷材は、円筒状部の両端にボウル状の鏡部を連接した防舷材袋体と、前記鏡部の少なくとも一方に設けられた口金具と、この口金具に前記防舷材袋体の内部空間の内圧が限界圧力に上昇した際に開弁して防舷材袋体の内部空間を外気に連通させて前記内圧を低下させる安全弁と、前記防舷材袋体の内部空間と外気とを連通させる連通路と、この連通路を開閉する開閉バルブとが設けられた空気式防舷材において、前記口金具に、前記安全弁を前記防舷材袋体の内部空間と隔絶させる収容室と、この収容室を構成する隔壁に形成されて前記収容室の内部空間と前記防舷材袋体の内部空間を連通させる貫通孔と、この貫通孔を開閉する開閉弁と、この貫通孔を閉口する方向に前記開閉弁を常時付勢する付勢部材と、前記収容室の内部空間と外気とを連通させる収容室連通路と、この収容室連通路を開閉する収容室開閉バルブとを備え、前記防舷材袋体の内部空間の内圧が前記限界圧力未満で、所定の初期内圧に許容圧力を加えた基準圧力を超えた場合に、前記貫通孔を閉口していた前記開閉弁が開弁して前記貫通孔を開口した状態にする構成にしたことを特徴とする。
【0007】
本発明の空気式防舷材用口金具は、防舷材袋体の内部空間の内圧が限界圧力に上昇した際に開弁して防舷材袋体の内部空間を外気に連通させて前記内圧を低下させる安全弁と、前記防舷材袋体の内部空間と外気とを連通させる連通路と、この連通路を開閉する開閉バルブとを備えて、前記防舷材袋体を構成するボウル状の鏡部に取付けられる空気式防舷材用口金具において、前記安全弁を前記防舷材袋体の内部空間と隔絶させる収容室と、この収容室を構成する隔壁に形成されて前記収容室の内部空間と前記防舷材袋体の内部空間を連通させる貫通孔と、この貫通孔を開閉する開閉弁と、この貫通孔を閉口する方向に前記開閉弁を常時付勢する付勢部材と、前記収容室の内部空間と外気とを連通させる収容室連通路と、この収容室連通路を開閉する収容室開閉バルブとが設けられ、前記防舷材袋体の内部空間の内圧が前記限界圧力未満で、所定の初期内圧に許容圧力を加えた基準圧力を超えた場合に、前記貫通孔を閉口していた前記開閉弁が開弁して前記貫通孔を開口した状態にする構成にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、口金具に安全弁を防舷材袋体の内部空間と隔絶させる収容室と、この収容室を構成する隔壁に形成されて収容室の内部空間と防舷材袋体の内部空間を連通させる貫通孔と、この貫通孔を開閉する開閉弁と、この貫通孔を閉口する方向に開閉弁を常時付勢する付勢部材とを備えていて、防舷材袋体の内部空間の内圧が限界圧力未満で、所定の初期内圧に許容圧力を加えた基準圧力を超えた場合に、貫通孔を閉口していた開閉弁が開弁して貫通孔を開口した状態にする構成にしたので、防舷材袋体の内部空間の内圧が限界圧力以上になれば、開閉弁が開弁した状態になって貫通孔を通じて防舷材袋体の内部空間と収容室の内部空間とが連通して安全弁も開弁する。これにより、安全弁が従来どおり機能して、防舷材袋体が過剰に圧縮されてもその内部空間の内圧が低下するので破損を防止することができる。
【0009】
防舷材袋体の内部空間の内圧が所定の初期内圧に許容圧力を加えた基準圧力を超えない場合は開閉弁が閉弁して貫通孔を閉口した状態にするので、空気式防舷材の通常の使用状態では、貫通孔が閉口していて収容室によって安全弁は防舷材袋体の内部空間とは隔絶される。それ故、安全弁を口金具から取外す作業および口金具に取付ける作業を安全に行なうことができる。したがって、使用状態にある空気式防舷材を陸上や船上に引き揚げることなく使用状態のままで、安全弁の取外しおよび取付けを行なえる。
【0010】
また、収容室の内部空間と外気とを連通させる収容室連通路と、この収容室連通路を開閉する収容室開閉バルブとを備えているので、安全弁が防舷材袋体の内部空間と隔絶された状態で、収容室開閉バルブを開いて収容室連通路を通じて収容室の内部空間の内圧を限界圧力まで上昇させることができる。即ち、使用状態にある空気式防舷材に対して、安全弁の開弁圧力の確認試験を行なうことができる。このように本発明によれば、使用状態にある空気式防舷材に対して、安全弁の取外し取付け作業および開弁圧力の確認試験を行なうことができるので、これら作業に要する労力および時間を大幅に低減させてメンテナンス性を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の空気式防舷材を縦断面視で例示する全体概要図である。
【
図2】
図1の本発明の口金具の周辺の拡大図である。
【
図3】
図1の本発明の口金具の周辺の平面図である。
【
図4】
図2の開閉弁が開弁している状態を例示する説明図である。
【
図5】本発明の口金具の別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の空気式防舷材および空気式防舷材用口金具を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1〜
図3に例示する本発明の空気式防舷材1(以下、防舷材1という)は、ゴムを主材料として補強材が埋設されて構成された防舷材袋体2を有している。防舷材袋体2は、円筒状部3aの筒軸方向両端にボウル状の鏡部3bを連接して形成されている。
【0014】
一方の鏡部3bには本発明の口金具4が設けられている。口金具4は両側の鏡部3bに設けられることもある。口金具4は、円筒凹状の金具部材であり、口金具4の開口はボルト等で取付けられる金具蓋部5で覆われている。
【0015】
口金具4には安全弁6と、防舷材袋体2の内部空間2aと外気とを連通させる連通路11と、連通路11を開閉する開閉バルブ11aとが設けられている。口金具4にはさらに、安全弁6を内部空間2aと隔絶させる収容室8と、この収容室8を構成する隔壁7に形成された貫通孔7aと、貫通孔7aを開閉する開閉弁9と、開閉弁9を常時付勢する付勢部材10と、収容室8の内部空間8aと外気とを連通させる収容室連通路12と、収容室連通路12を開閉する収容室開閉バルブ12aとが設けられている。
【0016】
収容室8は、安全弁6が取り付けられた平板部4aから防舷材袋体2の内部空間2aに向かって突出して形成されている。安全弁6は平板部4aを貫通して収容室8の内部空間8aに突出して平板部4aに固定されている。連通路11は平板部4aおよび収容室8を貫通して内部空間2aまで延設されている。収容室連通路12は平板部4aを貫通して収容室8の内部空間8aまで延設されている。
【0017】
貫通孔7aは、収容室8の内部空間8aと防舷材袋体2の内部空間2aを連通させる。開閉弁9は貫通孔7aよりも大きく形成されていて、収容室8の内部空間8aに配置されている。開閉弁9には、大径軸9aと大径軸9aに出没可能な小径軸9bとが設けられている。大径軸9aの一方端は開閉弁9に固定され、小径軸9bの他方端は平板部4aに固定されている。付勢部材10は、貫通孔7aを閉口する方向に開閉弁9を常時付勢する。この実施形態では付勢部材10として金属製のコイルスプリングが用いられていて、開閉弁9と平板部4aとの間に配置されたコイルスプリング10には大径軸9aおよび小径軸9bが挿通した構造になっている。
【0018】
安全弁6は、防舷材袋体2が過剰圧縮されても破損しないように設定された限界圧力Pmに上昇した際に開弁する。貫通孔7aを閉口する方向に常時付勢されている開閉弁9は、内部空間2aの内圧Pが限界圧力Pm未満で、所定の初期内圧Piに許容圧力Ptを加えた基準圧力Pcを超えた場合に開弁して貫通孔7aを開口した状態にする構成になっている。所定の初期内圧Piとは防舷材袋体2が圧縮されていない空気式防舷材1の中立の通常使用状態における内部空間2aの内圧に相当する。即ち、貫通孔7aを閉口している開閉弁9は、内部空間2aの内圧Pが、Pi+Pt<P<Pmの範囲になった場合に貫通孔7aを開口させる。
【0019】
この空気式防舷材1を使用する際には、内部空間2aに空気A、或いは、空気Aおよび流体(水)を充填して、内部空間2aを所定の初期内圧Piにする。この状態で空気式防舷材1を岸壁等の使用する場所に設置する。防舷材袋体2が圧縮されていない空気式防舷材1が中立の通常使用状態では、貫通孔7aは開閉弁9によって閉口された状態になっている。
【0020】
防舷材袋体2が圧縮されて内部空間2aの内圧Pが、基準圧力Pcを超えた場合(P>Pi+Pt=Pcの場合)、
図4に例示するように開閉弁9が付勢部材10による付勢力に対抗して、防舷材袋体2の筒軸方向に移動して開弁し、貫通孔7aを通じて内部空間2aと収容室8の内部空間8aとが連通した状態になる。この状態では、防舷材袋体2の内部空間2aの内圧と収容室8の内部空間8aの内圧とは同じになる。
【0021】
防舷材袋体2がさらに圧縮されて内部空間2aの内圧Pが限界圧力Pmを超えると、内部空間8aの内圧も限界圧力Pmを超えるので安全弁6は開弁する。このように防舷材袋体2が過剰に圧縮されて内部空間2aの圧力Pが限界圧力Pmを超えると、安全弁6は従来どおりに機能して、内部空間2aを外気に連通させて内部空間2aの内圧Pを限界圧力Pm以下に低下させるので、防舷材袋部2の破損を防止することができる。
【0022】
防舷材袋体2の内部空間2aの内圧Pが基準圧力Pcを超えない場合(P<Pi+Pt=Pcの場合)は開閉弁9が閉弁して貫通孔7aを閉口した状態にするので、空気式防舷材1の通常使用状態では、貫通孔7aが閉口した状態で収容室8によって安全弁6は防舷材袋体2の内部空間2aとは隔絶される。それ故、安全弁6を口金具4から取外す作業および口金具4に取付ける作業を安全に行なうことができる。したがって、使用状態にある空気式防舷材1を陸上や船上に引き揚げることなく使用状態のままで、安全弁6の取外しおよび取付けを行なえる。
【0023】
また、開閉弁9が閉弁して貫通孔7aが閉口した状態の空気式防舷材1の通常使用状態では、収容室開閉バルブ12aを開いて収容室連通路12を通じて収容室8の内部空間8aに圧縮空気を注入することで、内部空間8aの内圧を限界圧力Pmまで上昇させることができる。即ち、使用状態にある空気式防舷材1に対して、安全弁6の開弁圧力の確認試験を行なうことができる。このように本発明によれば、使用状態にある空気式防舷材1に対して、安全弁6の取外し取付け作業および開弁圧力の確認試験を行なうことができるので、これら作業に要する労力および時間を大幅に低減させてメンテナンス性を著しく向上させることができる。
【0024】
許容圧力Ptは例えば所定の初期内圧Piの5%以上20%以下に設定され、さらに好ましくは所定の初期内圧Piの5%以上10%以下に設定される。許容圧力Ptが所定の初期内圧Piの5%未満であると、開閉弁9が開弁して貫通孔7aが開口した状態になる頻度が高くなる。そのため、安全弁6を口金具4から取外し難くなる。一方、許容圧力Ptが所定の初期内圧Piの20%超であると、防舷材袋部2の内部空間2aの内圧Pが急激に限界圧力Pmまで上昇した際に、タイムラグなく迅速に安全弁6を開弁し難くなる。
【0025】
防舷材袋部2の内部空間2aの内圧Pが急激に限界圧力Pmまで上昇した際に、タイムラグなく迅速に安全弁6を開弁させるためには、貫通孔7aの開口面積をなるべく大きくするとよい。例えば貫通孔7aの開口面積は、安全弁6の圧力検知部の面積の3倍〜5倍にする。
【0026】
付勢部材10は、この実施形態のようにコイルスプリングを用いることが好ましい。コイルスプリングは様々な仕様のものが流通しているので、所望の付勢力、耐久性を有するものを入手し易い。付勢部材10としては、その他、ゴム等の弾性部材や板ばね等を用いることができる。
【0027】
図5に例示する口金具4の別の実施形態では、安全弁6と貫通孔7aとが防舷材袋体2の筒軸方向同軸線上に配置され、開閉弁9が防舷材袋体2の筒軸方向に移動して貫通孔7aを開閉する構成になっている。開閉弁9には安全弁6に向かって延設された支持軸9cの一端が固定されている。この支持軸9cと安全弁6とは防舷材袋体2の筒軸方向同軸線上に配置されている。支持軸9cと、安全弁6の平板部4aから突出している部分とがコイルスプリング10のそれぞれの端部に挿入されている。この実施形態の口金具4によれば、開閉弁9の設置に必要なスペースを小さくすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 空気式防舷材
2 防舷材袋体
2a 内部空間
3a 円筒状部
3b 鏡部
4 口金具
4a 平板部
5 金具蓋部
6 安全弁
7 隔壁
7a 貫通孔
8 収容室
8a 内部空間
9 開閉弁
9a 大径軸
9b 小径軸
9c 支持軸
10 付勢部材
11 連通路
11a 開閉バルブ
12 収容室開閉路
12a 収容室開閉バルブ